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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1313655
審判番号 不服2015-7255  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-17 
確定日 2016-04-21 
事件の表示 特願2010- 42721「情報処理装置、キーワード登録方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月15日出願公開、特開2011-180729〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成22年2月26日を出願日とする出願であって、平成25年10月10日付けで拒絶理由通知がなされ、平成25年12月9日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされ、平成26年4月4日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、平成26年6月6日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたが、平成27年1月23日付けで補正の却下の決定がなされるとともに同日付で拒絶査定がなされ、これに対して平成27年4月17日付けで拒絶査定不服審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年4月17日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.手続補正の内容
平成27年4月17日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲は、次のとおりである。

<本件補正後の特許請求の範囲>
「 【請求項1】
所定のトリガを受信する受信部と、
前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを推定するキーワード推定部と、
前記キーワード推定部により推定された前記キーワードを登録するキーワード登録部と、
登録されている前記キーワードの管理を行う管理部と、
を備え、
前記キーワード推定部は、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを推定し、
前記管理部は、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を前記条件に基づいて該検索の結果から抽出して取得する、情報処理装置。
【請求項2】
前記キーワード登録部は、前記キーワードを当該キーワードの属性に応じて分類した上で登録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
登録されている前記キーワードをユーザに提供する情報提供部を更に備え、
前記情報提供部は、前記登録されているキーワードを、テキストに変換される前のデータ形式で提供する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
登録されている前記キーワードをユーザに提供する情報提供部を更に備え、
前記情報提供部は、前記登録されているキーワードをテキスト形式で提供する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定のトリガは、前記情報処理装置と通信可能なリモートコントローラから発信される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定のトリガは、ユーザが行う所定のジェスチャーである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報提供部は、前記情報処理装置と相互に通信が可能な登録情報表示装置に対して、前記登録されているキーワードを提供する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記キーワード推定部は、前記コンテンツの表示画面、前記コンテンツにおける音声データ、前記コンテンツに含まれるキャプションデータ、及び、前記コンテンツに対応するEPGデータの少なくとも何れかを利用して、前記キーワードの推定を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記キーワード登録部は、前記コンテンツのタイトル、ジャンル、前記キーワードが存在した前記コンテンツの冒頭からの時間的位置、前記コンテンツの提供日時の少なくとも何れかを、前記キーワードに関連付けて登録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
推定された前記キーワードに関連する関連情報を取得する関連情報取得部を更に備え、
前記関連情報取得部は、前記キーワードに関連する住所、電話番号、緯度・経度に関する位置情報及び日時情報の少なくとも何れかを、外部に設けられた情報検索サーバから取得し、
前記キーワード登録部は、前記関連情報取得部の取得した前記関連情報を対応する前記キーワードに関連付けて登録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記関連情報取得部は、前記キーワードに関連するホームページ、ブログ、口コミ情報、RSSの少なくとも何れかのURLを更に取得する、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記情報提供部は、前記登録されたキーワードに日時を表す日時情報が関連付けられており、現在日時と前記日時情報との差分が所定の閾値以内である場合に、前記登録されたキーワードに関連付けられた日時が近い旨を表す情報を提供する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記情報提供部は、前記登録情報表示装置から、当該登録情報表示装置の現在位置を表す位置情報が送信された場合に、前記登録されたキーワードのうち、当該登録されたキーワードに関連付けられた位置情報が送信された前記現在位置を表す位置情報を中心とした所定の範囲内に位置するものを、前記登録情報表示装置に提供する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記情報提供部は、前記登録情報表示装置から、当該登録情報表示装置の現在位置を表す位置情報が送信され、当該現在位置を表す位置情報の表す位置が、前記登録されたキーワードに関連付けられた位置情報の表す位置の近傍となった場合、近傍となった前記登録されたキーワードに関する情報を前記登録情報表示装置に自動的に提供する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記所定の範囲は、前記登録情報表示装置から設定可能である、請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータが所定のトリガを受信するステップと、
前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを前記コンピュータが推定するステップと、
推定された前記キーワードを前記コンピュータが登録するステップと、
登録されている前記キーワードを前記コンピュータが管理するステップと、
を含み、
前記キーワードを推定するステップでは、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを前記コンピュータが推定し、
前記管理するステップは、前記コンピュータが、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を前記条件に基づいて該検索の結果から抽出して取得する、キーワード登録方法。
【請求項17】
コンピュータに、
所定のトリガを受信する受信機能と、
前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを推定するキーワード推定機能と、
前記キーワード推定機能により推定された前記キーワードを登録するキーワード登録機能と、
登録されている前記キーワードを前記コンピュータが管理する管理機能と、
を実現させ、
前記キーワード推定機能は、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを推定し、
前記管理機能は、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を前記条件に基づいて該検索の結果から抽出して取得するためのプログラム。」(なお、下線は補正箇所を示すものとして請求人が付与したものである。)

本件補正前の特許請求の範囲は、次のとおりである。

<本件補正前の特許請求の範囲>
「 【請求項1】
所定のトリガを受信する受信部と、
前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを推定するキーワード推定部と、
前記キーワード推定部により推定された前記キーワードを登録するキーワード登録部と、
登録されている前記キーワードの管理を行う管理部と、
を備え、
前記キーワード推定部は、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを推定し、
前記管理部は、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を取得する、情報処理装置。
【請求項2】
前記キーワード登録部は、前記キーワードを当該キーワードの属性に応じて分類した上で登録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
登録されている前記キーワードをユーザに提供する情報提供部を更に備え、
前記情報提供部は、前記登録されているキーワードを、テキストに変換される前のデータ形式で提供する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
登録されている前記キーワードをユーザに提供する情報提供部を更に備え、
前記情報提供部は、前記登録されているキーワードをテキスト形式で提供する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定のトリガは、前記情報処理装置と通信可能なリモートコントローラから発信される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定のトリガは、ユーザが行う所定のジェスチャーである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報提供部は、前記情報処理装置と相互に通信が可能な登録情報表示装置に対して、前記登録されているキーワードを提供する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記キーワード推定部は、前記コンテンツの表示画面、前記コンテンツにおける音声データ、前記コンテンツに含まれるキャプションデータ、及び、前記コンテンツに対応するEPGデータの少なくとも何れかを利用して、前記キーワードの推定を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記キーワード登録部は、前記コンテンツのタイトル、ジャンル、前記キーワードが存在した前記コンテンツの冒頭からの時間的位置、前記コンテンツの提供日時の少なくとも何れかを、前記キーワードに関連付けて登録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
推定された前記キーワードに関連する関連情報を取得する関連情報取得部を更に備え、
前記関連情報取得部は、前記キーワードに関連する住所、電話番号、緯度・経度に関する位置情報及び日時情報の少なくとも何れかを、外部に設けられた情報検索サーバから取得し、
前記キーワード登録部は、前記関連情報取得部の取得した前記関連情報を対応する前記キーワードに関連付けて登録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記関連情報取得部は、前記キーワードに関連するホームページ、ブログ、口コミ情報、RSSの少なくとも何れかのURLを更に取得する、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記情報提供部は、前記登録されたキーワードに日時を表す日時情報が関連付けられており、現在日時と前記日時情報との差分が所定の閾値以内である場合に、前記登録されたキーワードに関連付けられた日時が近い旨を表す情報を提供する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記情報提供部は、前記登録情報表示装置から、当該登録情報表示装置の現在位置を表す位置情報が送信された場合に、前記登録されたキーワードのうち、当該登録されたキーワードに関連付けられた位置情報が送信された前記現在位置を表す位置情報を中心とした所定の範囲内に位置するものを、前記登録情報表示装置に提供する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記情報提供部は、前記登録情報表示装置から、当該登録情報表示装置の現在位置を表す位置情報が送信され、当該現在位置を表す位置情報の表す位置が、前記登録されたキーワードに関連付けられた位置情報の表す位置の近傍となった場合、近傍となった前記登録されたキーワードに関する情報を前記登録情報表示装置に自動的に提供する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記所定の範囲は、前記登録情報表示装置から設定可能である、請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータが所定のトリガを受信するステップと、
前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを前記コンピュータが推定するステップと、
推定された前記キーワードを前記コンピュータが登録するステップと、
登録されている前記キーワードを前記コンピュータが管理するステップと、
を含み、
前記キーワードを推定するステップでは、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを前記コンピュータが推定し、
前記管理するステップは、前記コンピュータが、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を取得する、キーワード登録方法。
【請求項17】
コンピュータに、
所定のトリガを受信する受信機能と、
前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを推定するキーワード推定機能と、
前記キーワード推定機能により推定された前記キーワードを登録するキーワード登録機能と、
登録されている前記キーワードを前記コンピュータが管理する管理機能と、
を実現させ、
前記キーワード推定機能は、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを推定し、
前記管理機能は、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を取得するためのプログラム。」

2.本件補正の目的について
本件補正後の請求項1,16,17において、「前記キーワードに関連する情報を取得する」を「前記キーワードに関連する情報を前記条件に基づいて該検索の結果から抽出して取得する」とする補正は、「キーワードに関連する情報」を取得する際、「条件に基づいた検索の結果から抽出する」との限定を加えるものである。
よって、上記請求項1,16,17についての補正は、いずれも特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。


3.独立特許要件について
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)引用例
(1-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-71623号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与したものである。

(a)「【0025】
CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)111から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)201、およびTVアプリケーションプログラム202のような各種アプリケーションプログラムを実行する。TVアプリケーションプログラム202はTV機能を実行するためのソフトウェアである。このTVアプリケーションプログラム202は、TVチューナ117によって受信された放送番組データを視聴するためのライブ処理、放送番組データをHDD111に記録する録画処理、および記録された放送番組データ/ビデオデータを再生する再生処理等を実行する。また、CPU101は、BIOS-ROM109に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。」

(b)「【0036】
TVアプリケーションプログラム202は、メイン処理部301、ユーザインタフェース部(UI)302、視聴処理部303、録画/再生処理部304、文章情報取得部305、キーワード抽出部306、キーワードリスト表示部307、および情報取得処理部308等を備えている。」

(c)「【0041】
文章情報取得部305は、文章情報として使用可能な各種データを視聴対象のチャンネルのテレビジョン放送信号から取得する。文章情報として使用可能なデータは、例えば、視聴処理中の放送番組データに含まれる字幕情報、視聴処理中の放送番組データに関する電子番組情報、視聴処理中の放送番組データの映像データに含まれるテロップ、視聴処理中の放送番組データに含まれる音声データ、等である。視聴処理中の放送番組データに含まれる字幕情報は、例えば、視聴中のチャンネルのテレビジョン放送信号によって搬送される、EITと称されるテーブル情報などに含まれている。文章情報取得部305は、これら字幕情報、電子番組情報、テロップ、および音声データの少なくとも一つを文章情報取得用データとして選択し、これら選択した各データから文章情報を取得する。例えば、字幕情報と電子番組情報の少なくとも一方がデフォルトの文章情報取得用データとして使用される。音声データから文章情報を取得する場合、つまり音声データを文章情報取得用データとして使用する場合には、文章情報取得部305は、視聴処理中の放送番組データに含まれる音声データに対して音声認識処理を実行し、その認識結果を文章情報としてデータベース309に蓄積する。
【0042】
キーワード抽出部306は、メイン処理部301の制御の下、データベース309に蓄積された文章情報を形態素解析することによって、当該文章情報からキーワードを抽出する。キーワード抽出部306によるキーワード抽出処理は、例えば、ユーザによって“気になる”ボタンが操作された時に実行される。この場合、データベース309に蓄積された文章情報全てがキーワード抽出処理の対象となるのではなく、“気になる”ボタンが操作された時点の直前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報が処理対象として選択される。換言すれば、“気になる”ボタンが操作された時点よりも所定時間前の時点から、“気になる”ボタンが操作された時点までの所定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報のみが処理対象となる。これにより、放送番組の視聴中に蓄積された文章情報の内で、ユーザが実際に気になった話題、言葉等を含む文章情報のみを処理対象とすることができる。
【0043】
キーワード抽出部306は、処理対象の文章情報を形態素解析して複数のキーワードを抽出した際、辞書310を参照しながら意味解析を行うことで、キーワード毎に、そのキーワードの属性情報を取得し、付加情報として出力する。属性情報は、単語、即ちキーワードの意味的なカテゴリを示す情報である。辞書310は、HDD111の記憶領域内の一部の記憶領域上に構成されている。
【0044】
また、キーワード抽出部306は、この意味解析によって、キーワード毎に、そのキーワードに関連する単語や優先度などを付加情報としてさらに出力する。キーワードに関連する単語は、例えば、抽出されたキーワードの上位/下位概念を表す単語等である。例えば、キーワードが“ワインであれば、“飲む”、“フランス”、“赤ワイン”等の単語が関連する単語として出力される。優先度は、後述のキーワードリストの表示に使用されるものであり、処理対象の文章情報の内でデータベース309に蓄積されたタイミングが遅い文章情報から抽出されたキーワードほど、つまり“気になる”ボタンが操作された時点により近いタイミングで蓄積された文章情報から抽出されたキーワードほど、優先度が高くなる。
【0045】
キーワードリスト表示部307は、メイン処理部301の制御の下、キーワード抽出部306によって抽出されたキーワードの一覧を示すキーワードリストを生成し、その生成したキーワードリストを、ユーザが気になっている話題、言葉、あるいは覚えておきたい事柄等を書きとめたメモ情報としてLCD17等の表示装置に表示する。このキーワードリストの生成時、キーワードリスト表示部307は、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した属性情報に基づき、カテゴリアイコンテーブル311に画像データが格納された複数のアイコンの中から各キーワードに最も適したアイコンを選択して対応づける。このアイコンは、様々な単語を意味的にカテゴリ分けした際、その最上位に位置づけられる所定数のカテゴリを図案化したものであり、このアイコンを対応づけることによって、未知のキーワードがリスト上に存在したとしても、ユーザは、その大まかな意味を視覚的に把握することができる。カテゴリアイコンテーブル311は、HDD111の記憶領域内の一部の記憶領域上に構成されている。」

(d)「【0047】
また、キーワードリスト表示部307は、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した関連単語も、キーワードリスト上の各キーワードに対応づけて表示する。
【0048】
情報取得処理部308は、メイン処理部301の制御の下、ネットワークコントローラ114を介してインターネット上の所定のサーバ装置との通信を実行することにより、表示されたキーワードリストの内からユーザによって選択されたキーワードに関連する情報をインターネットから取得する。具体的には、情報取得処理部308は、キーワードリストの内からユーザによってあるキーワードが選択された場合、この選択されたキーワードをネットワークコントローラ114を介してインターネット上の所定のサーバ装置に検索語として送信することによって検索語に合致する情報をインターネットから取得し、そして取得した情報をLCD17等の表示装置に表示する。
【0049】
この場合、情報取得処理部308は、より的確な情報をインターネットから取得するために、選択されたキーワードのみならず、その選択されたキーワードの付加情報として対応づけられて表示されている関連単語も検索語としてサーバ装置に送信する。」

(e)「【0056】
図5(C)はコンピュータ10のLCD17に表示される検索結果ページの例を示している。この検索結果ページは、選択されたキーワードである“カルヴァドス”と、関連する単語である“飲む”,“買う”とが検索語としてサーバ装置に送信された場合に対応するものである。サーバ装置は、例えば、“カルヴァドス”の検索要求、“カルヴァドス”と“飲む”とのアンド検索要求、“カルヴァドス”と“買う”とのアンド検索要求を検索サーバに送信し、その検索結果に基づいて、図5(C)のような検索結果ページを生成してコンピュータ10に送信する。ユーザによって検索結果ページ上の“「カルヴァドス」と検索”タブが選択された場合には、“カルヴァドス”の検索要求に対応する検索結果が表示される。同様に、検索結果ページ上の“飲む”タブが選択された場合には、“カルヴァドス”と“飲む”とのアンド検索要求に対応する検索結果が表示され、検索結果ページ上の“買う”タブが選択された場合には、“カルヴァドス”と”買う”とのアンド検索要求に対応する検索結果が表示される。」

(1-2)以上の記載によれば、引用例1には次のことが記載されている。

(ア)上記(a)の段落【0025】には、「CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、TVアプリケーションプログラム202のような各種アプリケーションプログラムを実行する」ことが記載されている。
よって、ここには、「TVアプリケーションプログラム202を実行するプロセッサを備えたコンピュータ10」が記載されている。

(イ)上記(b)の段落【0036】には、「TVアプリケーションプログラム202は、文章情報取得部305、キーワード抽出部306、キーワードリスト表示部307、および情報取得処理部308を備えること」が記載されている。

(ウ)上記(c)の段落【0041】には、「文章情報取得部305は、文章情報として使用可能な各種データを視聴対象のチャンネルのテレビジョン放送信号から取得し、文章情報として使用可能なデータは、例えば、視聴処理中の放送番組データに含まれる字幕情報、視聴処理中の放送番組データに関する電子番組情報、視聴処理中の放送番組データの映像データに含まれるテロップ、視聴処理中の放送番組データに含まれる音声データ、等である」こと、及び、「文章情報取得部305は、これら字幕情報、電子番組情報、テロップ、および音声データの少なくとも一つを文章情報取得用データとして選択し、これら選択した各データから文章情報を取得する」ことが記載されている。
よって、ここには、「文章情報取得部305は、視聴対象のチャンネルのテレビジョン放送信号から、字幕情報、電子番組情報、映像データに含まれるテロップ、および音声データ等を取得して選択し、これら選択した各データから文章情報を取得すること」が記載されている。

(エ)上記(c)の段落【0042】には、「キーワード抽出部306によるキーワード抽出処理は、例えば、ユーザによって“気になる”ボタンが操作された時に実行され、この場合、データベース309に蓄積された文章情報全てがキーワード抽出処理の対象となるのではなく、“気になる”ボタンが操作された時点の直前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報が処理対象として選択される」ことが記載されている。
また、上記(c)の段落【0043】には、「キーワード抽出部306は、処理対象の文章情報を形態素解析して複数のキーワードを抽出した際、キーワード毎に、そのキーワードの属性情報を取得し、付加情報として出力し、属性情報は、単語、即ちキーワードの意味的なカテゴリを示す情報である」ことが記載されている。ここで、「キーワード抽出部306」は、文章情報を形態素解析して複数のキーワードを抽出するのであるから、文章情報からキーワードとなる単語を推定して抽出しているものといえる。
また、上記(c)の段落【0044】には、「キーワード抽出部306は、キーワード毎に、そのキーワードに関連する単語を付加情報としてさらに出力する」ことが記載されている。
よって、ここには、「キーワード抽出部306は、ユーザによって“気になる”ボタンが操作されると、直前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報を処理対象として選択し、処理対象の文章情報を形態素解析して複数のキーワードを推定して抽出するとともに、そのキーワードの意味的なカテゴリを示す情報である属性情報と、そのキーワードに関連する単語とを付加情報として出力すること」が記載されている。

(オ)上記(c)の段落【0045】には、「キーワードリスト表示部307は、キーワード抽出部306によって抽出されたキーワードの一覧を示すキーワードリストを生成し、その生成したキーワードリストをメモ情報としてLCD17等の表示装置に表示し、このキーワードリストの生成時、キーワードリスト表示部307は、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した属性情報に基づき、各キーワードに最も適したアイコンを選択して対応づけること」が記載されている。
また、上記(d)の段落【0047】には、「キーワードリスト表示部307は、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した関連単語も、キーワードリスト上の各キーワードに対応づけて表示する」ことが記載されている。
よって、ここには、「キーワードリスト表示部307は、キーワード抽出部306によって抽出されたキーワードの一覧を示すキーワードリストを生成し、その生成したキーワードリストをメモ情報としてLCD17等の表示装置に表示し、このキーワードリストの生成時、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した属性情報に基づき、各キーワードに最も適したアイコンを選択して対応づけ、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した関連単語も、キーワードリスト上の各キーワードに対応づけて表示すること」が記載されている。

(カ)上記(d)の段落【0048】には、「情報取得処理部308は、キーワードリストの内からユーザによってあるキーワードが選択された場合、この選択されたキーワードをインターネット上の所定のサーバ装置に検索語として送信することによって検索語に合致する情報をインターネットから取得し、そして取得した情報を表示装置に表示する」ことが記載されている。
また、上記(d)の段落【0049】には、「情報取得処理部308は、選択されたキーワードのみならず、その選択されたキーワードの付加情報として対応づけられて表示されている関連単語も検索語としてサーバ装置に送信する」ことが記載されている。
また、上記(e)の段落【0056】には、「選択されたキーワードである“カルヴァドス”と、関連する単語である“飲む”,“買う”とが検索語としてサーバ装置に送信された場合」において、「サーバ装置は、“カルヴァドス”の検索要求、“カルヴァドス”と“飲む”とのアンド検索要求、“カルヴァドス”と“買う”とのアンド検索要求を検索サーバに送信し、その検索結果に基づいて、検索結果ページを生成してコンピュータ10に送信する」ことが記載されている。
よって、ここには、「情報取得処理部308は、キーワードリストの内からユーザによってあるキーワードが選択された場合、この選択されたキーワード及びそのキーワードの付加情報として対応づけられている関連単語をインターネット上のサーバ装置に検索語として送信して、検索結果ページを取得し、そして取得した検索結果ページを表示装置に表示し、
検索結果ページは、サーバ装置がキーワードと関連単語とのアンド検索要求を検索サーバに送信し、その検索結果に基づいて生成したものであること」が記載されている。

(キ)上記(e)の段落【0056】には、「検索結果ページ上の“飲む”タブが選択された場合には、“カルヴァドス”と“飲む”とのアンド検索要求に対応する検索結果が表示され、検索結果ページ上の“買う”タブが選択された場合には、“カルヴァドス”と”買う”とのアンド検索要求に対応する検索結果が表示される」ことが記載されている。
ここで、検索結果はコンピュータ10が表示するものであり、“カルヴァドス”はキーワードを表し、“飲む”及び”買う”は、関連単語を表すものであることは自明である。
よって 、ここには、「検索結果ページ上には、関連単語を示すタブを選択可能に表示され、関連単語を示すタブが選択されると、キーワードと選択されたタブが示す関連単語のアンド検索要求に対応する検索結果が表示される」ことが記載されている。

(ク)以上のことから、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明 」という。)が記載されている。
「TVアプリケーションプログラム202を実行するプロセッサを備えたコンピュータ10であって、
TVアプリケーションプログラム202は、文章情報取得部305、キーワード抽出部306、キーワードリスト表示部307、および情報取得処理部308を備え、
文章情報取得部305は、視聴対象のチャンネルのテレビジョン放送信号から、字幕情報、電子番組情報、映像データに含まれるテロップ、および音声データ等を取得して選択し、これら選択した各データから文章情報を取得し、
キーワード抽出部306は、ユーザによって“気になる”ボタンが操作されると、直前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報を処理対象として選択し、処理対象の文章情報を形態素解析して複数のキーワードを推定して抽出するとともに、そのキーワードの意味的なカテゴリを示す情報である属性情報と、そのキーワードに関連する単語とを付加情報として出力し、
キーワードリスト表示部307は、キーワード抽出部306によって抽出されたキーワードの一覧を示すキーワードリストを生成し、その生成したキーワードリストをメモ情報としてLCD17等の表示装置に表示し、このキーワードリストの生成時、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した属性情報に基づき、各キーワードに最も適したアイコンを選択して対応づけ、キーワード抽出部306がキーワード毎に付加情報として出力した関連単語も、キーワードリスト上の各キーワードに対応づけて表示し、
情報取得処理部308は、キーワードリストの内からユーザによってあるキーワードが選択された場合、この選択されたキーワード及びそのキーワードの付加情報として対応づけられている関連単語をインターネット上のサーバ装置に検索語として送信して、検索結果ページを取得し、そして取得した検索結果ページを表示装置に表示し、
検索結果ページは、サーバ装置がキーワードと関連単語とのアンド検索要求を検索サーバに送信し、その検索結果に基づいて生成したものであり、
検索結果ページ上には、関連単語を示すタブを選択可能に表示され、関連単語を示すタブが選択されると、キーワードと選択されたタブが示す関連単語のアンド検索要求に対応する検索結果が表示される、コンピュータ10。」

(2)対比
次に、本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「コンピュータ10」は、本件補正発明の「情報処理装置」に対応している。

(イ)引用発明の「キーワード抽出部306」は、ユーザによって“気になる”ボタンが操作されると、直前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報を処理対象として選択して複数のキーワードを推定して抽出するものであるから、「キーワード抽出部306」は、ユーザによって“気になる”ボタンが操作されたことを示す信号を受信する受信部を有することは自明である。
また、「キーワードリスト表示部307」では、キーワード抽出部306によって抽出されたキーワードの一覧を示すキーワードリストが生成されるのであるから、「キーワード抽出部306」は、ユーザによって“気になる”ボタンが操作されたことにより、キーワードリストにユーザが登録を所望するキーワードを推定して抽出しているものといえる。
してみれば、引用発明の「キーワード抽出部306」は、「所定のトリガを受信する受信部と、提供されている情報から、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを推定する」点で、本件補正発明の「キーワード推定部」と共通している。

(ウ)引用発明の「キーワード抽出部306」が複数のキーワードを推定して抽出する「文章情報」は、「文章情報取得部305」が、視聴対象のチャンネルのテレビジョン放送信号から、字幕情報、電子番組情報、映像データに含まれるテロップ、および音声データ等を取得して選択し、これら選択した各データから取得するものである。
ここで、本願明細書の段落【0049】には、「コンテンツ視聴装置3が再生している各種のコンテンツ(例えば、各種のTV番組、ラジオ番組、ネットワークを介して配信されているコンテンツ)の実体データ」と記載されており、段落【0050】には、「コンテンツに関連付けられているメタデータの例として、例えば、EPG(Electric Program Guide)に代表される番組情報に記載されている各種のデータや、クローズドキャプション等の文字情報を挙げることができる。」と記載されており、引用発明の「字幕情報」及び「電子番組情報」は本件補正発明の「メタデータ」に相当し、引用発明の「映像データに含まれるテロップ」及び「音声データ」は、本件補正発明の「コンテンツ」に相当するものであるから、引用発明の「文章情報取得部305」及び「キーワード抽出部306」は、「コンテンツ」及び「メタデータ」から「文章情報」を取得して、複数のキーワードを推定して抽出するものといえる。
してみれば、引用発明の「文章情報取得部305」及び「キーワード抽出部306」は、「コンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、キーワードを推定する」点で、本件補正発明の「キーワード推定部」と共通している。

(エ)引用発明の「キーワードリスト表示部307」は、キーワード抽出部306によって抽出されたキーワードの一覧を示すキーワードリストを生成するのであるから、キーワード抽出部306により推定されて抽出されたキーワードをキーワードリストに登録しているものといえる。
してみれば、引用発明の「キーワードリスト表示部307」は、本件補正発明の「前記キーワード推定部により推定された前記キーワードを登録するキーワード登録部」に相当している。

(オ)引用発明の「キーワード抽出部306」は、「映像データに含まれるテロップ」又は「音声データ」から取得された文章情報を形態素解析し、複数のキーワードを推定して抽出するのであるから、「映像データに含まれるテロップ」又は「音声データ」がテキストに変換された文章情報から、複数のキーワードを推定しているものといえる。
してみれば、引用発明の「キーワード抽出部306」は、本件補正発明の「コンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを推定」する点で、本件補正発明の「キーワード推定部」と共通している。

(カ)引用発明の「情報取得処理部308」は、キーワード及びそのキーワードの付加情報として対応づけられている関連単語をインターネット上のサーバ装置に検索語として送信し、サーバ装置から検索結果ページを取得するものであるから、キーワードの管理を行うものであって、「キーワード」に「関連単語」を付加した検索条件で検索を行うものといえる。
そして、引用発明の「関連単語」は、キーワード抽出部306がキーワードを抽出する際に、キーワードの意味的なカテゴリを示す情報である属性情報とともに付加情報として出力したものであり、「キーワード」と「属性情報」と「関連単語」とは対応付けられ、「関連単語」は、キーワードの「属性情報」に応じた情報であることは自明である。
してみれば、引用発明の「情報取得処理部308」は、「キーワード」に、検索を行うための条件として、キーワードの「属性情報」に応じた「関連単語」を付加した検索条件で検索を行うものであるから、「登録されている前記キーワードの管理を行い、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行う」点で、本件補正発明の「管理部」と共通している。

(キ)引用発明は、サーバ装置から取得した「検索結果ページ」を表示する際、検索結果ページ上に関連単語を示すタブを選択可能に表示し、関連単語を示すタブが選択されると、キーワードと選択されたタブが示す関連単語のアンド検索要求に対応する検索結果を表示するものである。
ここで、サーバ装置から取得した「検索結果ページ」は、サーバ装置に検索語を送信してサーバ装置から取得したものであるから、本件補正発明の「検索の結果」に対応している。
また、関連単語を示すタブが選択されると、選択されたタブが示す関連単語に対応する「検索結果」を表示するのであるから、関連単語(本件補正発明の「前記条件」に相当する。)に基づいて、「検索結果ページ」に含まれている複数の検索結果の中から、選択されたタブが示す関連単語に対応する「検索結果」を抽出して取得し、表示しているものといえる。
そして、表示される「検索結果」は、キーワードと関連単語のアンド検索要求に対応する検索結果であるから、「キーワードに関連する情報」であることは自明である
してみれば、引用発明の「コンピュータ10」は、「前記キーワードに関連する情報を前記条件に基づいて該検索の結果から抽出して取得する」点で、本件補正発明と共通している。

(ク)以上の(ア)乃至(キ)から、本件補正発明と引用発明 は、次の点で一致している。
「所定のトリガを受信する受信部と、
提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを推定するキーワード推定部と、
前記キーワード推定部により推定された前記キーワードを登録するキーワード登録部と、
登録されている前記キーワードの管理部を行う管理部と、
を備え、
前記キーワード推定部は、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを推定し、
前記管理部は、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を前記条件に基づいて該検索の結果から抽出して取得する、情報処理装置」

また、本件補正発明と引用発明は、次の点で相違している。
[相違点1]
本件補正発明の「キーワード推定部」は、「前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータ」からキーワードを推定するのに対し、引用発明の「キーワード抽出部306」は、“気になる”ボタンが操作されると、「直前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報」から複数のキーワードを推定するものであり、「所定期間前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報」から複数のキーワードを推定するものではない点。

(3)当審の判断
(3-1)相違点1についてについて
引用発明において“気になる”ボタンが操作された際に、「データベース309に蓄積された文章情報」のうち、どの一定期間中の文章情報からキーワードを推定するかは、ユーザが“気になる”ボタンを押すまでにかかる時間や、“気になる”ボタンが押されてから“気になる”ボタンが押されたことを示す信号を受信するまでの処理時間等に基づいて、最適と考えられる一定期間を適宜決定すれば良いものであるから、「所定期間前の一定期間中にデータベース309に蓄積された文章情報」からキーワードを推定する構成とすることは、当業者であれば適宜実施し得る程度の設計的事項にすぎない。

(3-2)そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
(1)本願の請求項に係る発明について
平成27年4月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年12月9日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
所定のトリガを受信する受信部と、
前記トリガを受信したタイミングよりも所定期間前に提供されているコンテンツ又は当該コンテンツに対応するメタデータから、前記トリガを発信したユーザが登録を所望するキーワードを推定するキーワード推定部と、
前記キーワード推定部により推定された前記キーワードを登録するキーワード登録部と、
登録されている前記キーワードの管理を行う管理部と、
を備え、
前記キーワード推定部は、前記所定期間に提供されているコンテンツの少なくとも一部がテキストに変換されたテキストデータから前記キーワードを推定し、
前記管理部は、テキストに変換された前記キーワードに、前記キーワードの属性に応じた条件を付加した検索条件で検索を行い、前記キーワードに関連する情報を取得する、情報処理装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2.補正却下の決定」の「3.独立特許要件について」の「(1)引用例」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記本件補正発明から「前記キーワードに関連する情報を取得する」する際、「前記条件に基づいて該検索の結果から抽出して取得する」構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2.補正却下の決定」の「3.独立特許要件について」に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4)まとめ
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-18 
結審通知日 2016-02-23 
審決日 2016-03-07 
出願番号 特願2010-42721(P2010-42721)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齊藤 貴孝  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 緑川 隆
小田 浩
発明の名称 情報処理装置、キーワード登録方法及びプログラム  
代理人 亀谷 美明  

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