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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B31D
管理番号 1313660
審判番号 不服2015-10179  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-01 
確定日 2016-04-21 
事件の表示 特願2014-170962「カッティング装置及びカッティング方法」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成26年8月25日の出願であって、平成27年2月10日付けで手続補正がなされ、同年2月25日付けで拒絶の査定(謄本送達日同年3月3日)がなされ、これに対し、同年6月1日に拒絶査定に対する審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされた。

第2 平成27年6月1日の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否について

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、本件補正前の請求項1及び7(すなわち、平成27年2月10日付けで手続補正された下記(1)のもの)を、下記(2)に示す請求項1及び7へと補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び7
【請求項1】
画像が形成された基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する連続媒体を搬送する搬送手段と、
該搬送手段により搬送される前記連続媒体に対して所望の形状にカットを行うカット手段と、
該カット手段により所望の形状にカットされた前記連続媒体について、前記剥離層と前記基材層のうち少なくとも前記画像を含む領域とから成る必要部分以外の不要部分を前記剥離層から剥離して分離する分離手段と、
該分離手段により分離された前記不要部分を巻き取る不要部分巻取手段と、を備え、
該不要部分巻取手段は、
前記不要部分を巻き取る巻取ローラと、
前記不要部分に接触する部分の外表面が非粘着性材質より成り、前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分を押圧する押圧ローラと、を有することを特徴とするカッティング装置。

【請求項7】
画像が形成された基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する
連続媒体を搬送する搬送工程と、
該搬送工程により搬送される前記連続媒体に対して所望の形状にカットを行うカット工程と、
該カット工程により所望の形状にカットされた前記連続媒体について、前記剥離層と前記基材層のうち少なくとも前記画像を含む領域とから成る必要部分以外の不要部分を前記剥離層から剥離して分離する分離工程と、
該分離工程により分離された前記不要部分を巻き取る不要部分巻取工程と、を実行し、
該不要部分巻取工程は、
巻取ローラによって前記不要部分を巻き取る工程と、
前記不要部分に接触する部分の外表面が非粘着性材質より成る押圧ローラによって前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分を押圧する工程と、を実行することを特徴とするカッティング方法。

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び7(下線は審決で付した。以下、同様。)
【請求項1】
画像が形成された基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する連続媒体を搬送する搬送手段と、
該搬送手段により搬送される前記連続媒体に対して所望の形状にカットを行うカット手段と、
該カット手段により所望の形状にカットされた前記連続媒体について、前記剥離層と前記基材層のうち少なくとも前記画像を含む領域とから成る必要部分以外の不要部分を前記剥離層から剥離して分離する分離手段と、
該分離手段により分離された前記不要部分を巻き取る不要部分巻取手段と、を備え、
該不要部分巻取手段は、
前記不要部分を巻き取る巻取ローラと、
前記不要部分に接触する部分の外表面が非粘着性材質より成り、前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分の粘着剤を有しない表面側から押圧する押圧ローラと、を有することを特徴とするカッティング装置。

【請求項7】
画像が形成された基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する連続媒体を搬送する搬送工程と、
該搬送工程により搬送される前記連続媒体に対して所望の形状にカットを行うカット工程と、
該カット工程により所望の形状にカットされた前記連続媒体について、前記剥離層と前記基材層のうち少なくとも前記画像を含む領域とから成る必要部分以外の不要部分を前記剥離層から剥離して分離する分離工程と、
該分離工程により分離された前記不要部分を巻き取る不要部分巻取工程と、を実行し、
該不要部分巻取工程は、
巻取ローラによって前記不要部分を巻き取る工程と、
前記不要部分に接触する部分の外表面が非粘着性材質より成る押圧ローラによって前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分の粘着剤を有しない表面側から押圧する工程と、を実行することを特徴とするカッティング方法。

2.補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に係る発明の「不要部分を押圧する押圧ローラ」に関して、「不要部分の粘着剤を有しない表面側から押圧する押圧ローラ」と、また、補正前の請求項7に係る発明の「押圧ローラによって前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分を押圧する工程」に関して、「押圧ローラによって前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分の粘着剤を有しない表面側から押圧する工程」というように、いずれも押圧ローラが不要部分を押圧する側を限定するものであり、補正前の請求項に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、かつ、補正前の前記各請求項に記載された発明と補正後の前記各請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成27年6月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1.(2)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。

(2)引用刊行物
ア 刊行物1
本願の出願日前に頒布された特開2002-284438号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着面で貼着することによって二層構造とした例えばラベル用素材、シール用素材など長尺帯状体の粘着面を有する上面だけを刃物により所定の形状で打抜いた状態の帯状体2(以下単に帯状体と呼ぶ)の、帯状のかす部分4(以下単に帯状かすと呼ぶ)を帯状体から剥離する装置に関するものである。」
(審決注:「帯状体1」、「帯状のかす部分2」とあるのは、「帯状体2」、「帯状のかす部分4」の誤記であることは明らかであるから訂正して摘記した。)

(イ)「【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、剥離部材1により斜めにかすを剥離する装置において、あらゆる形状の帯状かす4に対して帯状かす4を剥離する際に製品本体がつられて剥離することを著しく減少し、常に一定の状態でのかす剥離を実現し、ひいては安定して巻取ることで操作、生産性の向上を大幅に図ること、さらには剥離後のかすを安定して巻取り、ロール状に収めることで、従来の人手によるかす剥離ではかさ高になるかすの廃棄処理に貢献することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような目的を達成するために次のような手段をとる。すなわち、剥離部材1に複数の丸棒状シャフト等部材を平行に組み合わせる構造にし、各々の部材形状を適切に選ぶことで、帯状かす4の良好な剥離性および滑らかなガイド性が両立でき、シール、ラベル製品本体がつられて剥離してしまう現象の大幅な除去が実現できる。帯状かす4が安定して剥離されることを維持するためには剥離位置が常に安定しており剥離部材に接触していることであるが帯状かす4は通常の長尺帯状体とは異なり空間部分が多く形状によっては幅方向に縮小傾向の強いものがあるために、張力を与えて進行させるだけでは幅方向の縮小傾向を除去することは困難である。そこで、帯状かすに剥離張力を発生させながら進行させるかす送り駆動ローラ上で帯状かす4の両端一部のみに接触させる二分割ローラを設けることにより幅方向の縮小傾向を除去でき、帯状かす4の巻取りには表面巻方式を採用することでさらなる安定性の向上を図る。」

(ウ)「【0008】帯状かす4を剥離部材3にて剥離する場合には常に一定の位置で均一に接触していなければならず、図3に示すような特に帯状かす4の幅方向の縮小傾向が強いものの場合には容易に剥離部材1から離れてしまうために張力が不安定になり切断を起こしやすくなる。そこで、図4に示すように帯状かす4に剥離張力を発生させて進行させるかす送り駆動ローラ5上で二分割ローラ6により帯状かすの両端一部のみに接触させると剥離部材1での帯状かす4の位置が安定し、帯状かす4の縮小傾向が強くても一定の幅で進行させることができる。その結果、縮小傾向に起因する張力の不安定さによる切断の問題が著しく改善される。二分割ローラ6は帯状かす4の幅サイズに合わせて両端一部のみに接触させる位置に可変調節できる構造にし、また帯状かす4の粘着面が二分割ローラ表面に接触するために非粘着処理を施して帯状かす4が二分割ローラ表面に粘着しないようにしている。

(エ)「【0009】帯状かす4がかす送り駆動ローラ5および二分割ローラ6を通過した後は帯状かす4に適当な張力を与えて巻取ればよいが、本実施例においては図5に示すかすロール7の表面をかす巻駆動ローラ8の外周に押圧接触させて巻取る表面巻方式を用いている。この巻取り方式においてはかす送り駆動ローラ5とかす巻駆動ローラ8にある程度の速度差を与えれば安定した巻取り張力を発生できる。また、この表面巻方式の利点は図6に示すような巻取り軸9を駆動させてその軸に直接帯状かす4を巻き付けてかすロール10を形成していくいわゆる軸巻方式に比べて、かすロール表面を常に押圧接触させてかすロールを形成するために、ロール表面を常に平らに保つことができ、かす巻取り張力が安定している。したがって、ロール表面の乱れに起因する巻取り張力の不安定性により発生する帯状かす4の切断を防止することができる。」

(オ)図3ないし5からは、移動する帯状体2がガイドローラ3に支持されていること、及び、帯状かす4が剥離された後、シール、ラベル製品本体が剥離されずに残る帯状体2が移動することが看て取れる。

(カ)図5からは、剥離されてかすロール7に巻き取られた帯状かす4の表面側にかす巻駆動ローラが配置されることが看て取れる。

上記(ア)ないし(カ)から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「粘着面で貼着することによって二層構造とした例えばラベル用素材、シール用素材など長尺帯状体の粘着面を有する上面だけを刃物により所定の形状で打抜いた状態の帯状体2の、帯状かす4を帯状体から剥離する装置であって、剥離部材1により斜めにかすを剥離する装置において、移動する帯状体2はガイドローラ3に支持され、剥離部材1に複数の丸棒状シャフト等部材を平行に組み合わせる構造にし、各々の部材形状を適切に選ぶことで、帯状かす4の良好な剥離性および滑らかなガイド性が両立でき、シール、ラベル製品本体がつられて剥離してしまう現象の大幅な除去が実現できるものであって、帯状かす4が剥離された後、シール、ラベル製品本体が剥離されずに残る帯状体2が移動し、帯状かす4の巻取りには表面巻方式を採用し、表面巻方式は、かすロール7の表面をかす巻駆動ローラ8の外周に押圧接触させて巻取る方式であり、かす巻駆動ローラ8が剥離された帯状かす4の表面側に配置される装置。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、
ア 引用発明1の「長尺帯状体」は、本願補正発明の「連続媒体」に相当する。
また、引用発明1の二層構造の長尺帯状体の「粘着面を有する上面」は、「帯状かす4及びシール、ラベル製品本体」となり、剥離可能であるから、本願補正発明の「基材層」に相当し、引用発明1の二層構造の上記上面以外の層は「剥離層」といえることは明らかである。よって、引用発明1の「粘着面で貼着することによって二層構造とした長尺帯状体」は、「基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する連続媒体」といえる。
また、引用発明1のシール、ラベル製品本体は製品として必要部分であることは明らかであるから、引用発明1の「シール、ラベル製品本体が残る帯状体2」と、本願補正発明の「剥離層と基材層のうち少なくとも画像を含む領域とから成る必要部分」とは、「剥離層と基材層のうち一部領域とから成る必要部分」との概念で共通し、引用発明1の「帯状かす4」は「不要部分」といえる。

イ 引用発明1の「ガイドローラ3」は、帯状体を支持し搬送していることは明らかであるから、本願補正発明の「搬送手段」に相当する。
また、引用発明1の「刃物」は、長尺帯状体の粘着面を有する上面だけを刃物により所定の形状で打抜くものであるから、本願補正発明の「連続媒体に対して所望の形状にカットを行うカット手段」に相当する。以下同様に、「剥離部材1」は「分離手段」に相当する。

ウ 引用発明1の「かすロール7」は本願補正発明の「巻取ローラ」に相当する。また、引用発明1の「かす巻駆動ローラ8」は、その外周がかすロール7の表面に押圧接触されて巻き取るものであり、本願補正発明の「押圧ローラ」に相当する。そして、帯状かす4は二層構造のうち粘着面を有する上面が剥離されたものであるから、引用発明1の「かす巻駆動ローラ8が剥離された帯状かす4の表面側に配置される」ことは「巻取ローラに巻き取られた不要部分の粘着剤を有しない表面側から押圧する」ことといえる。
さらに、引用発明1の「かすロール7」及び「かす巻き駆動ローラ8」は、本願補正発明の「不要部分巻取手段」に相当する。

エ 引用発明1の「帯状かす4を帯状体から剥離する装置」と本願補正発明の「カッティング装置」とは、ともに二層構造の連続媒体から不要部分を剥離する手段を構成として有しており、「連続媒体の不要部分を剥離する装置」という概念で共通する。

したがって、両者は、
「基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する連続媒体を搬送する搬送手段と、
カット手段により所望の形状にカットされた前記連続媒体について、前記剥離層と前記基材層のうち一部領域とからなる必要部分以外の不要部分を前記剥離層から剥離して分離する分離手段と、
該分離手段により分離された前記不要部分を巻き取る不要部分巻取手段と、を備え、
該不要部分巻取手段は、
前記不要部分を巻き取る巻取ローラと、
前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分の粘着剤を有しない表面側から押圧する押圧ローラと、を有する連続媒体の不要部分を剥離する装置。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明においては、基材層が「画像が形成された」ものであるとともに、基材層のうち必要部分が「少なくとも前記画像を含む領域」とからなるのに対し、引用発明1においては基材層(粘着面を有する上面)が画像が形成されたものか否か不明である点。

[相違点2]
本願補正発明は「搬送手段に搬送される連続媒体に対して所望の形状にカットを行うカット手段」を有する「カッティング装置」であるのに対し、引用発明1はカット手段を同じ装置内に有するか否か不明であって、カッティング装置といえるか否か不明である点。

[相違点3]
押圧ローラが、本願補正発明においては「不要部分に接触する部分の外表面が非粘着性材質」より成るのに対し、引用発明1においてはそのような構成であるのか不明である点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
ラベル製品の製造においては、あらかじめ画像が形成されたものを搬送して、画像が含まれる必要部分以外を不要部分として剥離して分離することは、例えば、特開昭56-123229号公報第2頁右上欄第10行-同頁左上欄第6行及び図1、特開昭56-159683号公報第2頁左下欄第7-15行及び図6、及び、特許5132212号公報段落【0002】-【0004】及び図1に示すように、本願出願時のラベル製造の分野における常套手段である。
してみると、引用発明1において、「シール、ラベル製品本体」が画像を含む領域となるようにあらかじめ基材層に画像を形成したものとすることは、当業者に格別の創意を必要とするものではない。

イ 相違点2について
ラベル類の必要部分以外の不要部分を分離して除去する装置において、カット手段を併せ有し、カッティング装置ともいえるように構成することは、例えば、特開昭56-123229号公報第2頁右上欄第10行-同頁左上欄第6行、特開昭56-159683号公報第2頁左下欄第7-15行、及び、特許5132212号公報段落【0002】-【0004】に示すように、本願出願時のラベル製造の分野における常套手段である。
そして、上記のようにカット手段を併せ有することが常套手段であることを踏まえると、引用発明1において、カット手段による所定の形状の打ち抜きを同じ装置内で行い、カッティング装置とすることは、当業者に格別の創意を必要とするものではない。

ウ 相違点3について
上記「3.(2)ア(ウ)」に示したように、刊行物1段落【0008】には、帯状かすの粘着面が接触するローラの表面に非粘着処理を施して粘着しないようにする点が記載されている。また、例えば、特許5132212号公報段落【0025】には、「カス上げ方向修正ローラー22は、その円周にローレット加工を施して、ラベル原料の裏面の粘着剤層11の粘着剤が付着することを防止している。あるいは、シリコーンオイルなど同粘着剤が付着しない材料を塗布することもできる。」と記載されている。以上からすれば、粘着剤に接触するローラの外表面の材質として非粘着性材質は、本願出願時点において一般的な材料であるといえる。
そして、引用発明1の剥離された後の粘着面が露出する帯状かすを処理する際に、粘着面に接触する部材のみならず、各構成部品に粘着剤の付着がないように予防することは、当業者にとって通常の創作能力を発揮する範囲内の事項であって、粘着剤が粘着しないようにする非粘着性材質は上記のとおり一般的な材料であるから、引用発明1のかす巻駆動ローラに対し、上記相違点3に係る発明特定事項となすことは当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明の発明特定事項の全部によって奏される作用効果は、引用発明1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4. むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成27年2月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は上記「第2 1(1)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。

2.引用刊行物
(1)刊行物3
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された特開平3-46689号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。

ア 「(イ)産業上の利用分野
本発明はラベル印刷等において、印刷、ラミネート加工及びダイカットした後の工程であるカス部を除去する際、必要なラベル部までも巻き上げ除去してしまう共上がり現象や、巻き取り途中にカス部が切れてしまうことを防止し、かつカス巻き取りロールに大量のカス部をスムースに巻き取ることができるべくラベル加工におけるカス取り装置及びカス取り方法に関するものである。」(第2頁左上欄第11-19行)

イ 「(ホ)作用
ダイカット工程後、送りドラム(1)上に送られるロール巻原紙(12)の先端が、分離上げロール(2)または分離上げ板(3)と送りドラム(1)の間を通過した後、カス部(13)のみをロール巻原紙(12)の剥離紙(9)から分離させ、送りドラム(1)の間欠前方回転運動とは逆方向つまりUターンするように分離上げロール(2)または分離上げ板(3)を巻動、摺動させる。更に、押圧ロール(4)と、押圧ロール(4)側面上部に押圧すべくカス巻き取りロール(5)の間を通過させ、カス巻き取りロール(5)の連続後方回転運動に合わせるようカス巻き取りロール(5)に係止する。
然るに、間欠前方回転運動すべく送りドラム(1)と連続後方回転運動すべくカス巻き取りロール(5)を作動させることにより、カス部(13)は最終的にカス巻き取りロール(5)に巻動され、巻き取りが開始されるのである。」(第4頁左上欄第3行-同頁右上欄第1行)

ウ 「(へ)実施例
本発明の実施例としては、主に次の例が挙げられよう。
ラミネート加工及びダイカット工程後、剥離紙(9)上に粘着剤(10)を介して印刷紙(11)を貼着している三層構造のロール巻原紙(12)は、間欠前方回転すべく送りドラム(1)と、送りドラム(1)と当接し連動する分離上げロール(2)または分離上げ板(3)との間を送りドラム(1)の回転に合わせて通過することになる。この段階にて、同じ印刷紙(11)を形成するラベル部(14)を剥離紙(9)上に残存させ、カス部(13)のみを分離し巻き取る工程を開始する。」(第4頁右上欄第2-14行)

エ 「次に、カス部(13)が僅かな空間地点を経て押圧ロール(4)側面下部に到達した段階では、送りドラム(1)と、押圧ロール(4)側面端部に設けたロール溝(6a)または押圧ロール(4)より直径が小さいベルト掛け部(6b)に掛け渡されたベルト(7)を介して送りドラム(1)から間欠前方回転運動が伝わることで、押圧ロール(4)も間欠前方回転運動を起こすことになる。そのため、カス部(13)は分離段階と差異ない移動を続行することができる。しかも、押圧ロール(4)側面にはカス部(13)の裏面つまり裏面に貼着している粘着剤(10)側が接するため隙間なく貼接され、歪みやズレなく均一に押圧ロール(4)上部まで送付される。更に、ベルト(7)自体押圧ロール(4)の直径より小さい直径となるべくロール溝(6a)またはベルト掛け部(6b)に巻動するため、より強い回転力を押圧ロール(4)に与えることになり、カス部(13)を弛みなく送付することができる。」(第4頁左下欄第6行-同頁右下欄第4行)

オ 「カス部(13)が押圧ロール(4)上部に到達した段階では、カス巻き取りロール(5)が押圧ロール(4)上部を押圧しており、カス巻き取りロール(5)と押圧ロール(4)の間を通過後、直ちにカス巻き取りロール(5)の連続後方回転運動に巻動し、カス巻き取りロール(5)側面に歪みやズレなく均一に貼着しながら回転することになる。回転後再びカス巻き取りロール(5)と押圧ロール(4)の間を通過することになるが、この段階では、後続のカス部(13)が同じくカス巻き取りロール(5)と押圧ロール(4)の間を通過しようとするので、双方重なり合いながら改めて1回転することになる。
即ち、重なり合いは必ず先行カス部(13)の裏面つまり裏面に貼着している粘着剤(10)に後続カス部(13)の表面が貼着し、更に、カス巻き取りロール(5)が押圧ロール(4)を押圧しているため先行カス部(13)と後続カス部(13)の貼着面は歪み、ズレ、隙間なく均一にしかも弛みなくカス巻き取りロール(5)に巻き取られることになる。」(第4頁右下欄第5行-第5頁左上欄第5行)

カ 図1からは、カス部13が分離された後、ラベル部14が残存する剥離紙が移動することが看て取れる。

上記アないしカから、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「ラベル加工におけるカス取り装置であって、
ラミネート加工及びダイカット工程後、剥離紙(9)上に粘着剤(10)を介して印刷紙(11)を貼着している三層構造のロール巻原紙(12)は、間欠前方回転すべく送りドラム(1)と、送りドラム(1)と当接し連動する分離上げロール(2)または分離上げ板(3)との間を送りドラム(1)の回転に合わせて通過し、この段階にて、同じ印刷紙(11)を形成するラベル部(14)を剥離紙(9)上に残存させ、カス部(13)のみを分離し巻き取り、
カス部(13)が分離された後、ラベル部(14)が残存する剥離紙(9)が移動し、
カス部(13)は最終的にカス巻き取りロール(5)に巻動され、
カス巻き取りロール(5)が押圧ロール(4)を押圧しているため先行カス部(13)と後続カス部(13)の貼着面は歪み、ズレ、隙間なく均一にしかも弛みなくカス巻き取りロール(5)に巻き取られるカス取り装置。」

3.対比
本願発明と引用発明2とを対比すると、
ア 引用発明2の「印刷紙(11)」は、所定の印刷が施されているのであるからから、本願発明の「画像が形成された基材層」に相当する。以下同様に、「剥離紙(9)」は「剥離層」に、「ロール巻原紙(12)」は「連続媒体」に、「送りドラム(1)」は「搬送手段」に、「分離上げロール(2)または分離上げ板(3)」は「分離手段」に、「ラベル部(14)が残存する剥離紙(9)」は「必要部分」に、「カス部(13)」は「不要部分」に、「カス巻き取りロール(5)」は「巻取ローラ」に、それぞれ相当する。

イ 引用発明2のラベル部となる印刷紙が剥離可能であることは明らかであるから、「剥離紙(9)上に粘着剤(10)を介して印刷紙(11)を貼着している三層構造のロール巻原紙(12)」は、「画像が形成された基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する連続媒体」といえる。

ウ 引用発明2のロール巻原紙はダイカット工程を経てラベル部とカス部が分離されるものであり、技術常識からすればダイカット工程にてカット手段によりラベル部とカス部を分けるカットを行っていることは明らかであるから、「ロール巻原紙(12)は、間欠前方回転すべく送りドラム(1)と、送りドラム(1)と当接し連動する分離上げロール(2)または分離上げ板(3)との間を送りドラム(1)の回転に合わせて通過し、この段階にて、同じ印刷紙(11)を形成するラベル部(14)を剥離紙(9)上に残存させ、カス部(13)のみを分離」することは、「カット手段により所望の形状にカットされた連続媒体について、剥離層と基材層のうち少なくとも画像を含む領域とから成る必要部分以外の不要部分を前記剥離層から剥離して分離」することといえる。

エ 引用発明2は、カス巻き取りロール(5)が押圧ロール(4)を押圧しており、これにより押圧ロール(4)がカス巻き取りロール(5)を押圧するともいえるから、引用発明2の「押圧ロール(4)」は、「巻取ローラに巻き取られた不要部分を押圧する押圧ローラ」といえる。
また、引用発明2の「押圧ロール(4)」及び「カス巻き取りロール(5)」は、本願発明の「不要部分巻取手段」に相当する。

オ 引用発明2の「カス取り装置」と本願補正発明の「カッティング装置」とは、ともに連続媒体から不要部分を剥離する手段を構成として有しており、「連続媒体の不要部分を剥離する装置」という概念で共通する。

したがって、両者は、
「画像が形成された基材層と該基材層が剥離可能な状態で付着している剥離層とを有する連続媒体を搬送する搬送手段と、
カット手段により所望の形状にカットされた前記連続媒体について、前記剥離層と前記基材層のうち少なくとも画像が形成された領域を含む必要部分以外の不要部分を前記剥離層から剥離して分離する分離手段と、
該分離手段により分離された前記不要部分を巻き取る不要部分巻取手段と、を備え、
該不要部分巻取手段は、
前記不要部分を巻き取る巻取ローラと、
前記巻取ローラに巻き取られた前記不要部分を押圧する押圧ローラと、を有する連続媒体の不要部分を剥離する装置。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点4]
本願発明は「搬送手段に搬送される連続媒体に対して所望の形状にカットを行うカット手段」を有する「カッティング装置」であるのに対し、引用発明2はカット手段を同じ装置内に有するか否か不明であって、カッティング装置といえるか否か不明である点。

[相違点5]
押圧ローラが、本願発明においては「不要部分に接触する部分の外表面が非粘着性材質」より成るのに対し、引用発明2においてはそのような構成であるのか明示のない点。

4.判断
以下、相違点について検討する。
(1)相違点4について
ラベル類の必要部分以外の不要部分を分離して除去する装置において、カット手段を併せ有し、カッティング装置ともいえるように構成することは、上記「第2 3.(4)イ」に示したように、本願出願時のラベル製造の分野における常套手段である。
そして、上記のようにカット手段を併せ有することが常套手段であることを踏まえると、引用発明2において、ダイカット工程を同じ装置で行い、カッティング装置とすることは、当業者に格別の創意を必要とするものではない。

(2)相違点5について
引用発明2においては、カス部は、押圧ロール側面にはカス部の裏面に貼着している粘着剤側が接するため隙間なく貼接されるものではあるが、最終的にカス巻き取りロール上の先行カス部に表面が貼着し、カス巻き取りロールに巻き取られることになるのであり(上記「2.(1) ウ及びエ」参照。)、押圧ロール側面からカス部が剥離されることが前提の装置である。押圧ロール側面が粘着性であればこうしたカス部の剥離が達成できないことは明らかであって、粘着材が粘着しないようにする非粘着性材質は一般的な材料であるから、引用発明2の押圧ロールに対し、カス巻き取りロールへの巻取りが可能な程度の非粘着性材質とすることは当業者が容易になし得るものである。

そして、本願発明の発明特定事項の全部によって奏される作用効果は、引用発明2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-17 
結審通知日 2016-02-23 
審決日 2016-03-07 
出願番号 特願2014-170962(P2014-170962)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B31D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤井 達也荒井 隆一砂川 充  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 山本 一
黒瀬 雅一
発明の名称 カッティング装置及びカッティング方法  
代理人 秋山 敦  
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