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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01D
管理番号 1313831
審判番号 不服2014-26334  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-24 
確定日 2016-04-19 
事件の表示 特願2013-100868「煙道ガス脱硫性能改善のための酸化制御」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月28日出願公開、特開2013-237044〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成25年5月13日(パリ条約による優先権主張 2012年5月11日、米国)の出願であって、平成26年3月12日付けで拒絶理由が通知され、同年5月30日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月5日付けで拒絶査定されたので、同年12月24日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年12月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年12月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正と補正発明
(1)本件補正は特許請求の範囲についてするものであって、請求項4の補正は、その発明を特定する事項に関し、本件補正前は「タンク内にスラリーを受け容れる段階」であったものを、本件補正により「湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔において、煙道ガスに噴霧されたスラリーを、その後、当該噴霧器からタンク内に受け容れる段階」と補正して、スラリーを特定のものに限定するとともに、
同じく、補正前の「スラリーの亜硫酸イオン濃度S_(1)を測定する段階」を本件補正により「スラリーの亜硫酸イオン濃度S_(1)を亜硫酸イオン濃度測定センサにより測定して、亜硫酸イオン濃度S_(1)の測定結果を得る段階」と補正して、亜硫酸イオン濃度の測定方法を具体的に限定し、
補正前の「S_(1)に基づき」を本件補正により「亜硫酸イオン濃度S_(1)に基づき」と明確化し、
「亜硫酸イオンの酸化率」に関し、本件補正により「タンク内に受け容れられたスラリー中の亜硫酸イオンの酸化が、100%未満である」として亜硫酸イオンの酸化の程度を限定するものである。
したがって、本件補正は、請求項4に係る発明の特定事項を限定する補正事項を含むものである。また、補正前後の請求項4に係る発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第3項の規定に反する新規事項を追加するものではない。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかを、請求項4に係る発明について検討する。
請求項4に記載された発明(以下、「補正発明」という。)は、次のとおりのものである。
「カルシウムベースのスラリー中の亜硫酸イオンの酸化率の制御方法であって、
・湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔において、煙道ガスに噴霧されたスラリーを、その後、当該噴霧器からタンク内に受け容れる段階、前記スラリーは1つまたはそれより多くの亜硫酸イオンを含む;
・ガスの流れを前記タンク内に供給する段階;
・前記タンク内に受け容れられたスラリーの亜硫酸イオン濃度S_(1)を亜硫酸イオン濃度測定センサにより測定して、亜硫酸イオン濃度S_(1)の測定結果を得る段階;
・亜硫酸イオン濃度S_(1)に基づき、前記タンク内へのガスの流量を調節する段階を含み、流量の調節がさらに、スラリーの予め規定された亜硫酸イオン濃度に基づき、前記ガスが酸素を含み、前記スラリーが、湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔から受け容れられ、さらに、前記タンク内に受け容れられたスラリーにマグネシウムを含むカチオンを添加する段階を含み、添加されたカチオンが前記タンク内に受け容れられたスラリー中で溶解される亜硫酸イオンの濃度を増加させ、タンク内に受け容れられたスラリー中の亜硫酸イオンの酸化が、100%未満である、前記方法。」

2 引用例に記載された発明
(1)引用例及び引用例の記載事項
・引用例;特開昭60-226403号公報
本願優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で引用された上記引用例には、次の事項が記載されている。
(ア)「亜硫酸塩を含有する液又は懸濁液の亜硫酸塩を酸化する方法において、該液の亜硫酸塩濃度を検出した信号と、亜硫酸塩濃度設定値との偏差信号により該液中の亜硫酸塩を酸化するための酸化剤又は/及び酸化触媒の供給量を調整することを特徴とする亜硫酸塩濃度調整方法。」(【特許請求の範囲】)
(イ)「本発明は・・・亜硫酸塩や亜硫酸水素塩(以下亜硫酸も含めて、亜硫酸塩と総称する。)の濃度を管理する方法に関するもので、例えばSO_(2)を含む排ガスを脱硫処理する吸収液(以下懸濁液も含めて、吸収液と総称する。)に含まれる亜硫酸塩を酸化して硫酸塩とする際に酸化剤や、酸化触媒の供給量を調整する場合に極めて有効な方法を提供するものである。」(第1頁左下欄12?同頁右下欄2行)
(ウ)「さて、亜硫酸塩を酸化して硫酸塩となす操作を工業的規模で行う場合は、通常連続操作で行われる。即ち、反応槽へ連続的に亜硫酸塩を含む液を供給しつつ他方やはり酸化剤を連続的に反応槽へ供給し、物質収支に従って、反応槽から連続的に液を抜き出す操作を採用する。そして、反応槽から抜き出される液は、硫酸塩を主体に含み、若干の亜硫酸塩が混在したものとなる。」(第2頁左上欄10行?18行)
(エ)「第1図は本発明の方法の実施態様例の例示図である。第1図においてSO_(2)を含んだ排ガス100が吸収塔本体101に導かれ、塔内で吸収液と接触してSO_(2)が除去されて後、浄化ガス102として塔外へ排出される。吸収塔本体101の下部には吸収液を溜めるタンク103が設けてあり、攪拌機104で吸収液を攪拌すると共に、吸収塔循環ポンプ105によって、吸収液を塔頂に送って塔内に散布し、排ガスと接触させてSO_(2)を吸収させる。吸収剤がSO_(2)を吸収して生成する亜硫酸塩の一部は気液接触ゾーンで排ガス中のO_(2)によって酸化されるので、亜硫酸塩と硫酸塩を含んでpHが低くなった酸性吸収液がタンク103に落下する。タンク103ではSO_(2)吸収剤としてのCaCO_(3)がCaCO_(3)供給ライン106からSO_(2)吸収量に見合って供給され、吸収液を中和すると共に吸収液中の亜硫酸塩を酸化して硫酸塩とする為、タンク内に設けた空気ノズル107から空気を吹き込むか又は、マンガン塩やコバルト塩などの酸化触媒を含む液を酸化触媒供給ライン108から供給する。もちろん空気と酸化触媒を併用する場合もある。」(第4頁右上欄8行?同頁左下欄10行)
(オ)「即ち、排ガス100の処理量が多くなったり、SO_(2)濃度が高くなったり、O_(2)濃度が低くなったりすると、空気ノズル107からの空気量を増やしたり、酸化触媒の濃度を高めたりすることによって対処し、逆に酸化の負荷量が減ると、空気量を低減したり酸化触媒の供給を削減することで対処する訳である。本発明ではタンク103内の吸収液中の亜硫酸塩濃度をオンラインで瞬時に検出すべく、第2図の構成からなる亜硫酸塩検出器109を設け、その濃度信号を亜硫酸塩調節計110に送る。亜硫酸塩調節計110では、副生品中の亜硫酸塩濃度許容値とSO_(2)吸収性能に係る亜硫酸塩濃度許容値との関係に於いて設定した亜硫酸塩濃度設定値と、検出値との偏差信号を空気流量調節計111及び/又は酸化触媒流量調節計112に送る。
空気流量調節計111では、空気流量計113からの信号と亜硫酸塩調節計110からの信号とを受け、バルブ114の開閉調整を行うことによって空気ノズル107から吹き込む空気量を調整して所望の亜硫酸塩濃度が維持出来る最小空気量で運転する。」(第4頁左下欄下から4行?同頁右下欄下から2行)
(カ)「本発明の方法によれば、変動の激しい負荷条件にも瞬時に対応して、無駄なく最適量の酸化剤(空気等)や酸化触媒を供給して亜硫酸塩濃度を所望の値に調整することができ、極めて経済的であるという特有の効果を奏する。」(第5頁左下欄下から7行?下から2行)
(キ)「第1図



(2)引用例に記載された発明
引用例には、記載事項(ア)によれば、亜硫酸塩を含有する液又は懸濁液の亜硫酸塩を酸化するにあたり、酸化剤の供給量を調整することにより亜硫酸塩濃度を調整する方法が記載されている。この方法は、同(イ)によれば、SO_(2)を含む排ガスを脱硫処理した後の吸収液に含まれる亜硫酸塩を酸化して硫酸塩とする際に、酸化を行う酸化剤の供給量を調整する場合に適用されるものである。
具体的な処理操作は、同(エ)によれば、SO_(2)を含む排ガスは吸収塔本体に導かれ塔内で散布された吸収液と接触してSO_(2)が除去される。そして、該吸収液はSO_(2)を吸収して亜硫酸塩を生成し、吸収塔本体の下部に設けられたタンクに落下する。タンクでは、SO_(2)吸収剤としてのCaCO_(3)がSO_(2)に見合った量が供給されるとともに、空気が吸収液に吹き込まれて吸収液中に吸収された亜硫酸塩を酸化して硫酸塩とする、というものである。
その際に吹き込む空気量の調整については、同(オ)によれば、タンク内の吸収液中の亜硫酸塩濃度を検出し、あらかじめ設定した亜硫酸塩濃度設定値と検出値との偏差信号に基づいて、吹き込む空気量を調整して所望の亜硫酸塩濃度が維持できる最小空気量で運転する、というものである。
同(カ)には、このような調整による効果が記載されており、最適量の空気を供給して亜硫酸塩濃度を所望の値に調整するので、経済的な処理ができるとされている。
これらの事項を補正発明の構成に沿って整理すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「SO_(2)吸収剤としてCaCO_(3)を含む吸収液中の亜硫酸塩の濃度を調整するにあたり、
SO_(2)を含む排ガスを、吸収塔本体内で吸収液を散布して接触させることで脱硫し、吸収液は、吸収液中に亜硫酸塩を生成して吸収塔本体下部のタンクに受け入れられ、
タンク内に空気が吹き込まれて亜硫酸塩を酸化して硫酸塩とし、
その際に、タンク内の吸収液中の亜硫酸塩濃度を検出し、検出した亜硫酸塩濃度に基づいて吹き込む空気量を調整するものであり、
吹き込む空気量の調整は、あらかじめ設定した亜硫酸塩濃度と検出値との検査信号に基づいて行われるものであることからなる、亜硫酸塩の濃度調整方法。」

3 対比と判断
(1)対比
補正発明と引用発明とを比較する。
引用発明の「吸収液」はSO_(2)吸収剤としてCaCO_(3)を含むので、補正発明の「カルシウムベースのスラリー」に相当し、また、引用発明の「吸収塔本体」内では、SO_(2)を含む排ガスに吸収液を散布して脱硫しているので、補正発明の「湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔」に相当することは明らかである。
そして、引用発明では、吸収液中に空気を送り込んで亜硫酸塩を酸化して濃度を調整しているので、引用発明の「SO_(2)吸収剤としてCaCO_(3)を含む吸収液中の亜硫酸塩の濃度を調整」する方法は、補正発明の「カルシウムベースのスラリー中の亜硫酸イオンの酸化率の制御方法」に相当する。
また、引用発明では、吸収塔本体内で散布されて排ガスと接触した吸収液は、吸収液中に亜硫酸イオンを生成し、吸収塔本体下部のタンクに受け入れられているので、これらの処理(吸収塔本体内で散布されて排ガスと接触して亜硫酸イオンを生成した吸収液を、吸収塔本体下部のタンクに受け入れること)は、補正発明の「煙道ガスに噴霧されたスラリーを、その後、当該噴霧器からタンク内に受け容れる段階、前記スラリーは1つまたはそれより多くの亜硫酸イオンを含む;」に相当する。
また、亜硫酸塩の酸化率の制御方法に関しては、引用発明では、「タンク内の吸収液中の亜硫酸塩濃度を検出」しているので、これは、補正発明の「タンク内に受け容れられたスラリーの亜硫酸イオン濃度S_(1)を亜硫酸イオン濃度測定センサにより測定して、亜硫酸イオン濃度S_(1)の測定結果を得る段階;」に相当するし、引用発明では「タンク内にガスが吹き込まれて」「検出した亜硫酸塩濃度に基づいて吹き込む吸気量を調整する」にあたり、「吹き込む空気量の調整は、あらかじめ設定した亜硫酸塩濃度と検出値との検査信号に基づいて行われるものである」が、これは、補正発明における、「ガスの流れを前記タンク内に供給する段階」「亜硫酸イオン濃度S_(1)に基づき、前記タンク内へのガスの流量を調節する段階を含み、」「流量の調節がさらに、スラリーの予め規定された亜硫酸イオン濃度に基づき、前記ガスが酸素を含み、前記スラリーが、湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔から受け容れられ、」に相当する。
また、引用発明では、あらかじめ設定した亜硫酸塩濃度になるように吹き込む空気量を調整しており、記載事項(ウ)によれば吸収液には若干の亜硫酸塩が含まれるのが通常であるので、補正発明と同様に、「タンク内に受け容れられたスラリー中の亜硫酸イオンの酸化が、100%未満である」といえる。
とすると、補正発明と引用発明とは、
「 カルシウムベースのスラリー中の亜硫酸イオンの酸化率の制御方法であって、
・湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔において、煙道ガスに噴霧されたスラリーを、その後、当該噴霧器からタンク内に受け容れる段階、前記スラリーは1つまたはそれより多くの亜硫酸イオンを含む;
・ガスの流れを前記タンク内に供給する段階;
・前記タンク内に受け容れられたスラリーの亜硫酸イオン濃度S_(1)を亜硫酸イオン濃度測定センサにより測定して、亜硫酸イオン濃度S_(1)の測定結果を得る段階;
・亜硫酸イオン濃度S_(1)に基づき、前記タンク内へのガスの流量を調節する段階を含み、流量の調節がさらに、スラリーの予め規定された亜硫酸イオン濃度に基づき、前記ガスが酸素を含み、前記スラリーが、湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔から受け容れられ、タンク内に受け容れられたスラリー中の亜硫酸イオンの酸化が、100%未満である、前記方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。
補正発明では、「タンク内に受け容れられたスラリーにマグネシウムを含むカチオンを添加する段階を含み、添加されたカチオンがタンク内に受け容れられたスラリー中で溶解される亜硫酸イオンの濃度を増加させ」るのに対し、引用発明では、スラリーにマグネシウムを添加することが明らかではない点(以下、「相違点」という。)。

(2)判断
上記相違点について検討するに、排ガス中の硫黄酸化物を吸収するための吸収剤として、水酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物、及び炭酸カルシウム等のカルシウム化合物は、ともに周知の吸収剤である(この点について必要なら、例えば特開平8-66613号公報の段落【0010】を参照されたい。)。
また、排ガス中の硫黄酸化物を吸収して脱硫処理するにあたり、マグネシウム化合物とカルシウム化合物の混合物を使用することも、周知の技術である。
これに関しては、例えば、特開2005-87828号公報の段落【0017】?【0019】には、燃焼排ガスを脱硫するにあたり、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物を脱硫吸収液として用いて硫黄酸化物の大部分を除去した後に、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基性化合物の2種以上の混合物を塩基性吸収液として用いて高度脱硫処理することが記載されている。
すなわち、カルシウム化合物とマグネシウム化合物の混合物を燃焼排ガスのさらなる脱硫に用いることが記載されている。
また、特開平7-16425号公報には、硫黄酸化物を含む排ガスを脱硫するにあたり、炭酸カルシウム中に生成した亜硫酸塩が酸化されて硫酸塩が生成されるのとは別に、亜硫酸塩の酸化で一部生成するジチオン酸の生成(段落【0002】【0003】)を抑制することを目的として、ナトリウム化合物やマグネシウム化合物等の混合物を吸収液に添加することとしており(段落【0006】)、実施例では、炭酸カルシウムを含有する吸収液に硫酸マグネシウムを添加して湿式脱硫することが記載されている(段落【0010】)。
これらの記載からすれば、排ガス中の硫黄酸化物を吸収して脱硫処理するにあたり、より高度な脱硫を行ったり脱硫の副生成物を除去するために、マグネシウム化合物とカルシウム化合物の混合物を使用することは周知の技術であるといえる。
したがって、引用発明には、吸収材として使用するカルシウムを含むスラリーに対し、マグネシウムを添加することは記載されていないが、マグネシウム化合物は周知の吸収剤で有り、燃焼排ガスの脱硫でカルシウム化合物と併用することも通常行われていることであるので、引用発明において、上記相違点に係る事項を採用することは、当業者が容易に想到するところである。また、カルシウムとマグネシウムを併用することによる効果も、実験データ等により具体的に明らかにされたものではなく、格別のものとすることはできない。
したがって、補正発明は、引用例1の記載及び周知技術に基づいて当業者が容易になしえたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4 本件補正についての結び
以上のとおり、補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年12月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明は、平成26年5月30日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項4に記載されたとおりのものであるところ、請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「カルシウムベースのスラリー中の亜硫酸イオンの酸化率の制御方法であって、
・タンク内にスラリーを受け容れる段階、前記スラリーは1つまたはそれより多くの亜硫酸イオンを含む;
・ガスの流れを前記タンク内に供給する段階;
・前記タンク内に受け容れられたスラリーの亜硫酸イオン濃度S_(1)を測定する段階;
・S_(1)に基づき、前記タンク内へのガスの流量を調節する段階
を含み、流量の調節がさらに、スラリーの予め規定された亜硫酸イオン濃度に基づき、前記ガスが酸素を含み、前記スラリーが、湿式の煙道ガス脱硫を実施するために構成された噴霧塔から受け容れられ、さらに、前記タンク内に受け容れられたスラリーにマグネシウムを含むカチオンを添加する段階を含み、添加されたカチオンが前記タンク内に受け容れられたスラリー中で溶解される亜硫酸イオンの濃度を増加させる、前記方法。」

2 拒絶査定の理由
原査定の拒絶理由の1つは、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、そこで引用された引用文献2は、上記「第2の2(1)」に提示した引用文献であり、該引用文献には、上記「第2の2(2)」に認定したとおりの引用発明が記載されている。

3 進歩性の判断
本願発明は、上記「第2の1」で検討したとおり、補正発明に対してなされたいくつかの発明特定事項の限定を解除した、補正発明の上位概念に相当する発明である。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、更に他の特定事項で限定したものに相当する補正発明が、前記「第2の3(2)」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-16 
結審通知日 2015-11-24 
審決日 2015-12-07 
出願番号 特願2013-100868(P2013-100868)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松井 一泰長谷川 真一小久保 勝伊  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 真々田 忠博
後藤 政博
発明の名称 煙道ガス脱硫性能改善のための酸化制御  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 篠 良一  
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