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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1313836
審判番号 不服2015-10137  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-01 
確定日 2016-04-19 
事件の表示 特願2013-553884「端面での直接コンタクトを有する直接コンタクト式差込接続部」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月23日国際公開、WO2012/110423、平成26年 3月 6日国内公表、特表2014-505989〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年2月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年2月17日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成26年8月18日付けの拒絶理由通知に対して、同年10月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年2月2日付け(発送日:同年2月9日)で拒絶査定がされ、これに対して、同年6月1日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成26年10月6日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】
プリント基板(2)と、該プリント基板(2)に差込接続可能な直接コンタクト式プラグ(4)とを有する直接コンタクト式差込接続部(1)であって、
前記プリント基板(2)は、1つの側に複数のコンタクト面(3)を有し、
前記直接コンタクト式プラグ(4)は、前記プリント基板(2)の複数の前記コンタクト面(3)との電気的な直接コンタクトのための複数のコンタクトエレメント(6)を有する、
直接コンタクト式差込接続部(1)において、
前記コンタクト面(3)は、前記差込接続部(1)の差込方向(7)に対して横断方向に延在するプリント基板部分(2a)の上に設けられており、
前記コンタクトエレメント(6)の、差込方向(7)における前方の端面(6a)が、それぞれ前記コンタクト面(3)に複数のコンタクト点(13)においてコンタクトしている、
ことを特徴とする直接コンタクト式差込接続部(1)。」

第3 刊行物に記載された事項
1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された特開平10-255901号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「コネクタ」に関し、図面(特に、【図2】ないし【図5】、【図11】、【図12】、【図18】及び【図20】参照)とともに、次の事項が記載されている。
なお、下線は合議体が付した(以下、同様である。)。

(1) 段落【0007】ないし段落【0010】
「【0007】受けハウジング1はダッシュパネルPに固定されたブラケット2に、上下、左右及び前後方向に若干移動できるように保持されており、挿込ハウジング3は図示しないインストルメントパネルに固定されている。受けハウジング1には、少なくとも1つの折曲部4aを備えた積層フラットケーブル4の端末部5が、受けハウジング1の側方の例えば直交する4方向から受けハウジング1内に導入されている。積層フラットケーブル4の略扇状形をした各端末部5には凸型端子6が固着されており、挿込ハウジング3には電線7に接続され、凸型端子6と接続する凹型端子8が収容されている。
【0008】図5は凹型端子8と凸型端子6の未だ電線に接続していない状態の部分断面図を示している。凹型端子8には、凸型端子6を受け入れる端子接続部10と、若干幅狭の中間部11と、電線7の芯線を圧着する芯線圧着部12とが設けられている。端子接続部10は筒状とされ、そこには複数の例えば3個の切欠き13が形成されることにより3個の可撓片14が設けられている。可撓片14の先端側は内方に折り返され、凸型端子6を受け入れて圧接し得る可撓接片15が形成されている。
【0009】凸型端子6には凹型端子8の可撓接片15の間に圧入される接続部16と、積層フラットケーブル4の端末部5の後述するカバーの端子露出孔に嵌合される嵌合部17と、積層フラットケーブル4の後述する導体の露出部に固着される固着部18とが設けられている。接続部16の突端は、嵌合部17から突出する例えば3枚の突片をすぼめることにより形成できる。
【0010】挿込ハウジング3の円柱状の本体20の上面には凹部21が形成され、本体20には凹型端子8を収容するための多数の端子収容孔22が複列に設けられており、これらの端子収容孔22に凹型端子8が抜け出すことがないように係止されている。・・・」

(2) 段落【0016】及び段落【0017】
「【0016】図11は積層フラットケーブル4の端末部5の斜視図、図12は分解斜視図であり、積層フラットケーブル4は積層された例えば4枚のフラットケーブル50?53から構成され、フラットケーブル50?53は箔状導体50a?53aが両面から絶縁シート50b?53bにより保護され、可撓性が与えられている。フラットケーブル50?53の幅は上位に従って広くされ、導体50a?53aにはそれぞれ凸型端子6が上向きに溶着されている。この際に、2個の積層フラットケーブル4を使用する場合は、積層フラットケーブル50?53の幅は上位が狭くなる。
【0017】積層フラットケーブル4の端末部5では、4枚の縁縁プレート54?57が後方に退くように積み重ねられ、これらの縁縁プレート54?57の先端は、受けハウジング1の隔壁37同士の間に導入される形状とされている。縁縁プレート54?57にはフラットケーブル50?53の導体50a?53aの露出部と、絶縁シート50b?53bの一部とを収容するケーブル収容溝54a?57aがそれぞれ形成されている。最下位の縁縁プレート54の上面には例えば2本のピン部54bが形成され、上位の縁縁プレート55?57にはピン部54bを挿通するピン挿通孔55b?57bが形成されている。」

(3) 段落【0023】
「【0023】このとき、図18に示すように凸型端子6の接続部16は凹型端子8の可撓接片15に接触する。そして、インストルメントパネルを最終的に押し込むと、板ばね39の頂部39aが軸部25により押圧され、図4に示したようにそれまで頂部39aが上方に膨出していた板ばね39は反転して、頂部39aが下方に膨出することになり、板ばね39の頂部39aはブラケット2の底壁41に当接し、板ばね39の裾部39cが受けハウジング1を挿込ハウジング3側に付勢する。同時に、図19の部分断面図に示すように係合片39fが内方にすぼまり、受けハウジング1のスリット36を通って挿込ハウジング3の係止突起27に係合する。このとき、図20に示すように凸型端子6の接続部15は、凹型端子8の可撓接片15を撓ませながらそれらの間に若干進入し、両端子6、8の間に十分な接触圧が得られ、電気的接続が可能となる。」

(4) 上記記載事項(1)及び(2)並びに【図2】ないし【図4】、【図11】及び【図18】から、4つの積層フラットケーブル4の端末部5と該4つの端末部5に差込接続可能な挿込ハウジング3とを有する差込接続部が看て取れ、4つの積層フラットケーブル4の端末部5に固着された凸型端子6及び挿込ハウジング3に係止された凹型端子8が直接コンタクトしていることから、挿込ハウジング3及び差込接続部が直接コンタクト式であることが理解できる。また、4つの積層フラットケーブル4の端末部5は、1つの側に複数の接続部16を有していること、及び挿込ハウジング3は、4つの積層フラットケーブル4の端末部5の複数の接続部16との電気的な直接コンタクトのための複数の凹型端子8を有することが看て取れる。

(5) 上記記載事項(1)及び(2)並びに【図2】、【図11】及び【図12】から、差込接続部において、接続部16は、差込接続部の差込方向に対して横断方向に延在する絶縁プレート54?57の上に設けられていることが看て取れる。

(6) 上記記載事項(1)の「端子接続部10は筒状とされ、そこには複数の例えば3個の切欠き13が形成されることにより3個の可撓片14が設けられている。可撓片14の先端側は内方に折り返され、凸型端子6を受け入れて圧接し得る可撓接片15が形成されている。」(段落【0008】)との記載に照らせば、接続部16に複数のコンタクト点があることが理解でき、かかる理解を踏まえ、上記記載事項(1)及び(3)並びに【図5】、【図18】及び【図20】から、凹型端子8の、差込方向における可撓接片15が、それぞれ接続部16に複数のコンタクト点においてコンタクトしていることが理解できる。

これら記載事項、認定事項及び図示内容を総合して、本願発明に則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「4つの積層フラットケーブル4の端末部5と、該4つの端末部5に差込接続可能な直接コンタクト式挿込ハウジング3とを有する直接コンタクト式差込接続部であって、
積層フラットケーブル4の端末部5は、1つの側に複数の接続部16を有し、
直接コンタクト式挿込ハウジング3は、4つの積層フラットケーブル4の端末部5の複数の接続部16との電気的な直接コンタクトのための複数の凹型端子8を有する、
直接コンタクト式差込接続部において、
接続部16は、差込接続部の差込方向に対して横断方向に延在する絶縁プレート54?57の上に設けられており、
凹型端子8の、差込方向における可撓接片15が、それぞれ接続部16に複数のコンタクト点においてコンタクトしている、
直接コンタクト式差込接続部。」

2 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された特開平8-236228号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「電気コネクタ・アセンブリ」に関して、【図4】とともに、次の事項が記載されている。

(1) 段落【0009】
「【0009】第1の組のパッド52と第2の組のパッド54を有するフレキシブル回路(フレックス回路と呼ぶこともある)部材50が設けられている。第1と第2の組のパッドは、導電配線またはトレースの形態の回路55によって接続されている。フレキシブル回路50は、第1の対の位置合せ穴56があり、この位置合せ穴は、第1の組のパッド52について所定の位置合せがなされている。第2の組のパッド54について精密位置合せ位置にある、第2の対の位置合せ穴58がある。フレキシブル回路50の両端部には、パッド52に隣接して1対のねじ受け穴60がフレキシブル回路50のねじ受け穴38と位置合せされて設けられている。穴60に隣接して1対のピン受け穴61が設けられており、後述するように、コネクタが結合されたときに対合するコネクタのピン34を受け入れてボードとかみ合うように配置されている。・・・」

(2) 段落【0012】及び段落【0013】
「【0012】・・・図4には、カード・アセンブリが回路ボード80に接続される位置にある状態が示されている。
【0013】回路ボード80は、第1の組のパッド82と第2の組のパッド84を備えている。パッド82はカードの一方の側にある2つのコネクタ上でパッド54とかみ合うように配置されており、パッド84はカード20の他方の側にあるコネクタ上でパッド54と接続するように配置されている。・・・」

(3) 上記記載事項(1)の「フレキシブル回路部材50」及び上記記載事項(2)の「回路ボード80」【図4】は、いずれもコネクタに用いられる配線を有する部材ということができ、いずれもプリント基板(以下、「周知の事項」という。)と理解できる。

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「直接コンタクト式挿込ハウジング3」は、その機能、構造からみて、本願発明の「直接コンタクト式プラグ(4)」に相当する。同様に、引用発明の「直接コンタクト式差込接続部」、「接続部16」、「凹型端子8」、「可撓接片15」は、本願発明の「直接コンタクト式差込接続部(1)」、「コンタクト面(3)」、「コンタクトエレメント(6)」、「前方の端面(6a)」に相当する。
また、引用発明の「4つの積層フラットケーブル4の端末部5」と本願発明の「プリント基板(2)」は、配線を有する部材という限りにおいて共通するし、引用発明の「絶縁プレート54?57」と本願発明の「プリント基板部分(2a)」は、配線を有する部材部分という限りにおいて共通する。

以上の点からみて、本願発明と引用発明とは、

[一致点]
「配線を有する部材と、配線を有する部材に差込接続可能な直接コンタクト式プラグとを有する直接コンタクト式差込接続部であって、
配線を有する部材は、1つの側に複数のコンタクト面を有し、
直接コンタクト式プラグは、配線を有する部材の複数のコンタクト面との電気的な直接コンタクトのための複数のコンタクトエレメントを有する、
直接コンタクト式差込接続部において、
コンタクト面は、差込接続部の差込方向に対して横断方向に延在する配線を有する部材部分の上に設けられており、
コンタクトエレメントの、差込方向における前方の端面が、それぞれコンタクト面に複数のコンタクト点においてコンタクトしている、
直接コンタクト式差込接続部。」
である点で一致し、

次の点で相違する。

[相違点]
配線を有する部材に関して、本願発明では、プリント基板であるのに対して、引用発明では、4つの積層フラットケーブル4の端末部5である点。

第5 判断
上記相違点について検討するに、コネクタに用いられる配線を有する部材として、プリント基板は、例えば刊行物2に記載されるように周知の事項であるから、引用発明の4つの積層フラットケーブル4の端末部5を周知の事項であるプリント基板とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明による効果も、引用発明及び周知の事項から当業者が予測し得た程度のものである。
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-17 
結審通知日 2015-11-24 
審決日 2015-12-08 
出願番号 特願2013-553884(P2013-553884)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 中川 隆司
小柳 健悟
発明の名称 端面での直接コンタクトを有する直接コンタクト式差込接続部  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 高橋 佳大  
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