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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1314007
審判番号 不服2014-20394  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-08 
確定日 2016-04-25 
事件の表示 特願2009- 40076「化粧品処理装置及び処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 9月 9日出願公開、特開2010-195693〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年2月24日の出願であって、平成25年6月26日付けで拒絶理由が通知され、同年9月24日受付の手続補正書が提出されたが、平成26年6月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月8日に拒絶査定不服審判が請求され、同年11月25日受付の手続補正書(方式)が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし2に係る発明は、平成25年9月24日受付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次のとおりのものである。

「 【請求項1】
水分含有の化粧品製品を収納する収納容器と、
無誘導的配置とした処理電線と、
処理電線に電力を供給する電源とよりなり、
無誘導的配置した処理電線は、基板材の上下にそれぞれ一列に立設している電線支持棒間で折り返すように、等間隔に導線を平面的に形成し、
電源は、ホワイトノイズ発生器で20?20kHzの周波数のものを用いると共に、
化粧品製品を収納した収納容器の側面に基板材の処理電線を当接させ、電源を少なくとも24時間以上処理電線に通電を行う制御装置を有することを特徴とする化粧品処理装置。
【請求項2】
化粧品素材収納容器に収納した水分を含む化粧品用素材に、基板材の上下にそれぞれ一列に立設している電線支持棒間で折り返すように、等間隔に導線を平面的に形成した処理電線にホワイトノイズ発生器により発生した電磁波を加えることを特徴とする化粧品処理方法。」

第3 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、「理由1」は、
「1.この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」
というものであって、以下のような指摘事項を含むものである。

「○理由1
1)について
指摘箇所は手続補正書によっても修整されておらず、意見書による反論もない。

5)について
指摘箇所には、手続補正書によって「この官能テストは、官能検査、官能試験と言われており、JISで定義されている。化粧品については、官能評価{(JIS Z 8144)http://kikakurui.com/z8/Z8144-2004-01.html}のd)触覚に基づいて行われる。」との記載が追加されたが、引用されているJIS規格は、用語の規格であって「官能テスト」そのものの規格ではない上、触覚と言っても様々な評価基準が存在するため、依然としてどのようなテストであるのか不明である。
(なお、上記追加された記載は、本願の願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載も示唆もされていない。また、化粧料における「官能テスト」は触覚だけとは限らないため、当該追加された記載が当初明細書等の記載から自明なものであるともいえない。これとは別に、官能テストの内容が不明であるため、本願請求項1,2に記載された発明が解決すべき課題を解決可能なものであるのかが不明である。)」

そして、平成25年6月26日付けの拒絶理由通知では以下のように指摘されていたものである。
「○理由1
1)発明の詳細な説明には「ホワイトノイズ波形であって20?20kHzの周波数を用いるとともに」と記載されているが、「ホワイトノイズ」とは不規則に上下に振動する波からなり、全ての周波数で同じ強度となるノイズであって、周波数は存在しないから、当該記載は技術常識に反しており、その意味が不明である。また、同段落0014には、周波数を3kHzとすることが記載されているが、上述のとおり、技術常識と反するからその意味が不明である。また、同段落0015-0016には、「ホワイトノイズ」波形について「サイン波」とすることが記載されているが、上述のとおり、「ホワイトノイズ」は不規則な波であるため「サイン波」となることはないから、その意味が不明である。」

「5)発明の詳細な説明に記載された実施例には「官能テスト」なるものの結果が存在するが、当該「官能テスト」の定義が記載されていないため、当該「官能テスト」の意味が不明である(新規性進歩性の判断に際しては、当該「官能テスト」の結果を考慮していない。)。」

第4 当審の判断
1 本願明細書の発明の詳細な説明の記載
平成25年9月24日受付の手続補正書で補正された本願明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「本願明細書」という。)には、以下の記載がある。

1ア「【0005】
……
そこで、本発明では、化粧品として成分的に均一な状態の機能を有する製品を使用し、この成分的に均一な状態の機能を有する製品を処理することで、製品内に存する水分を有効に機能させることで、化粧品の官能性能が良好な化粧品を提供することにある。」

1イ「【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧品処理装置によれば、水分含有の化粧品製品を収納した収納容器に、処理電線にホワイトノイズにより処理する構成であり、非常に簡易な構成となっており、従来の製品ラインの一部に修正を加えるのみで製造することができ、非常に効率的に製品を製造することが出来る。また、通常の化粧品であれば、個別個装する直前のほぼ最終製品を入れた容器に対し処理を施すことことで処理作業が簡易に行うことが出来る。
さらに、水分を含有する化粧品であれば種類を選ばないため、化粧水からクリーム状の化粧品まで、非常に広範囲の化粧品に適用することが出来る。
また、処理に使う製造装置の構成は、電源として使用するホワイトノイズの発生器は通常市販されているものを使用できるほか、処理電線の構造も無誘導配置とした電線を使用する等簡易な構成で製造することが出来る等優れた効果を有する。」

1ウ「【0014】
<電源4>
本発明に用いる電源の一例を図4に示す。
図において、40は交流電源であり、整流回路41、42で整流し、ホワイトノイズ発生器43及び増幅器44の作動に使用する。そして、ホワイトノイズ発生器43で発生させたホワイトノイズを増幅器44で増幅し処理電線3に供給する。
ここで、整流回路41、42、増幅器44は通常の電気回路を用い製作することが出来る。
一般に水は、3KHz程度の周波数帯で運動が大きくなることが知られている。
そこで、3KHzの周波数で、表1に示すように、波形によって、化粧品製品1への影響の有無を調べた。
波形の生成にあたっては、市販されている任意波形発生装置を用いた。
評価は、処理後の製品を、化粧品一般に使用されている官能テストでの結果を示したもので、◎は非常に良い、○は良い、△はやや良い、×は変化が無い、もしくは悪いである。
この官能テストは、官能検査、官能試験と言われており、JISで定義されている。
化粧品については、官能評価{(JIS Z 8144)http://kikakurui.com/z8/Z8144-2004-01.html}のd)触覚に基づいて行われる。」

1エ「【0016】
この表1に示すように、サイン波形について良好な結果を得ることが出来た。
そこで、本発明では、サイン波を基本とするホワイトノイズ発生器を電源として用いている。
なお、ホワイトノイズ発生器は、市販の例えばリオン(株)製のホワイトノイズ発生器を使用することで簡易に製作することが出来る。
ホワイトノイズ発生器ICによれば、一般的に周波数20Hz?200MHzの範囲でホワイトノイズを発生することが出来、本発明では、3kHzのホワイトノイズを使用する。
また、ホワイトノイズ発生器において、本発明に使用する周波数域の範囲では、下限としての周波数20Hz以上としたのは、ホワイトノイズ発生器等の簡易なノイズ生成器で使用出来る下限であるからである。」

1オ「【実施例】
【0017】
次に、本発明の具体的処理について述べる。
(1)処理時間
製品として所定の製造を行った化粧品製品1を収納容器2内に装入し、処理電線3内面に設けている対の基板材30間に、収納容器2の側面が処理電線3に当接するように3個配置する。この状態で電源4のホワイトノイズ発生器43で発生させたホワイトノイズを増幅器43で増幅し処理電線3に供給する。
ここで、被処理品である化粧品は、化粧液を使用している。また、収納容器2(ポリスチレン製)の大きさは幅300mm、高さ400mm、奥行き400mm、容器の厚み2mmとなっており、基板材30(奥行き1800mm)の幅方向に3個奥行き方向に接して配置している。また、処理電線3については、2mm2の太さの一般的な電線を図に示すように、基板材30に線芯間を4mmとして張設している。
表2は、処理電線3にホワイトノイズを供給した時間と処理後の製品を化粧品一般に使用されている官能テストでの結果を示したものである。
なお、処理し使用したホワイトノイズは、ホワイトノイズ発生器43から、出力は0.3A、±15V、周波数3kHzで処理電線3に供給している。」

1カ「【0018】
【表2】(省略)
この表2からも判るように、24時間以上の処理時間で、収納容器2内の被処理物である化粧品の官能テストによる評価は良好となった。」

1キ「【0019】
(2)出力試験
出力試験は、上記装置でホワイトノイズ発生器の出力電流を変化させたもので、電圧は±15Vを用い、処理時間は48時間で処理した結果を表3に示した。
【表3】(省略)
この表3よりも判るように0.25A以上の電流で効果が出ることが判った。
この電流値に関しては、微少電力では収納容器2内の被処理物である化粧品に電磁誘導作用が及ばないためと思われる。
なお、上限については、特に規定していないが、大きな電流を流したとしても、処理電線が、いわゆる無誘導巻き的な配置としている為、処理電線から離れた部分では電磁誘導の作用が打ち消され、大電流を流す意義はあまりない。」

1ク「【0020】
(3)処理電線間隔
なお、上記処理において、容器の大きさを変更して処理電線2の間隔を変更した実施例を表4に示す。
なお、処理し使用したホワイトノイズは、ホワイトノイズ発生器から、出力は0.3A、0.4A、0.5Aの三種類で、±15V、周波数3kHzで処理電線に48時間供給したものである。
0.3A、0.4A、0.5Aのいずれも同じ結果であり,その結果を表4に示す。
【表4】(省略)
かかる表4からも判るように、処理電線の間隔が700mm以下で使用する必要がある。
ただし、上記間隔は被処理物の物性と関係し、水分量が少なく流動性が悪い被処理物等においては,上記間隔は異なってくることはいうまでもない。」

2 理由1の1)について
2ア 請求項1に係る発明は「電源は、ホワイトノイズ発生器で20?20kHzの周波数のものを用いる」ものであるが、この点に関して、本願明細書には、特許請求の範囲の記載と同様の文言を除いて、
・【0008】(上記1イ)
「本発明の化粧品処理装置によれば、……処理電線にホワイトノイズにより処理する構成であり」
「電源として使用するホワイトノイズの発生器は通常市販されているものを使用できる」
・【0014】(上記1ウ)
「図において、40は交流電源であり、整流回路41、42で整流し、ホワイトノイズ発生器43及び増幅器44の作動に使用する。そして、ホワイトノイズ発生器43で発生させたホワイトノイズを増幅器44で増幅し処理電線3に供給する。」
・【0016】(上記1エ)
「本発明では、サイン波を基本とするホワイトノイズ発生器を電源として用いている。」
「ホワイトノイズ発生器は、市販の例えばリオン(株)製のホワイトノイズ発生器を使用することで簡易に製作することが出来る。」
「ホワイトノイズ発生器において、本発明に使用する周波数域の範囲では、下限としての周波数20Hz以上としたのは、ホワイトノイズ発生器等の簡易なノイズ生成器で使用出来る下限であるからである。」
・【0017】(上記1オ)
「この状態で電源4のホワイトノイズ発生器43で発生させたホワイトノイズを増幅器43で増幅し処理電線3に供給する。」
「なお、処理し使用したホワイトノイズは、ホワイトノイズ発生器43から、出力は0.3A、±15V、周波数3kHzで処理電線3に供給している。」
・【0019】(上記1キ)
「出力試験は、上記装置でホワイトノイズ発生器の出力電流を変化させたもので、電圧は±15Vを用い、処理時間は48時間で処理した結果を表3に示した。」
「この表3よりも判るように0.25A以上の電流で効果が出ることが判った。」
・【0020】(上記1ク)
「なお、処理し使用したホワイトノイズは、ホワイトノイズ発生器から、出力は0.3A、0.4A、0.5Aの三種類で、±15V、周波数3kHzで処理電線に48時間供給したものである。」
と記載されるのみである。

2イ そうすると、本願明細書には、ホワイトノイズ発生器を接続する回路や、出力電流、電圧、周波数、通電時間等の処理条件は記載されているが、ホワイトノイズ発生器自体については「サイン波を基本とするホワイトノイズ発生器」、「市販の例えばリオン(株)製のホワイトノイズ発生器を使用する」との記載以外、特段の説明はない。そして、本願明細書の記載全体を見ても「サイン波を基本とするホワイトノイズ発生器」とは具体的にどのようなものか不明である。

2ウ ここで、ホワイトノイズとは、すべての周波数帯域においてエネルギーが均一(強さが同一)に混入したノイズであって、平坦な周波数特性を備えたノイズ(白色雑音)である(下記周知文献A?C参照)。

周知文献A:特開2008-201253号公報(特に、【0022】参照)
周知文献B:特開2007-173967号公報(特に、【0015】参照)
周知文献C:国際公開2007/088987号(特に、明細書1頁10?12行参照)

2エ また、リオン(株)製でホワイトノイズ発生機能を有する製品として唯一市販される製品は「雑音発生器SF-06」であるが、その取扱説明書(2008年5月発行)をみると、その「仕様」(51頁)には、「出力周波数範囲 WHITE NOISE / PINK NOISE 帯域幅20Hz?20kHZ」と記載されている(下記周知文献D参照)。

周知文献D:「取扱説明書 雑音発生器 SF-06」リオン株式会社、2008年5月発行、表紙、16頁、51頁、裏表紙

D1)「


」(表紙)

D2)「


」(16頁)

D3)「


」(51頁)

D4)「


」(裏表紙)

2オ 上記2ウによれば、ホワイトノイズとはある特定の周波数のものでないことは明らかであり、上記2エによれば、リオン(株)製品の仕様の「出力周波数範囲」の「帯域幅20Hz?20kHZ」とは、その帯域内ではホワイトノイズの発生を保障する(すなわち、20Hz?20kHZの帯域ではどの周波数も強さ(エネルギー)が同一であることを保障する)ものであり、リオン(株)製品が20Hz?20kHZの間のいずれか特定の周波数のみ発生させるというものではない。(なお、「仕様」(51頁)に「オクターブバンド 31.5、63、125、500、1k、2k、4k、8k(Hz)」と記載されるのは、16頁の「設定」の「周波数バンドの選択」に「31.5Hz?8kHzキーを選択するとそれぞれ31.5Hz?8kHzを中心周波数とするオクターブバンドノイズが出力されます。」と記載されるとおり、例えば8kHzキーを選択した場合には、8kHzを中心周波数とする1オクターブの周波数の幅の信号からなるノイズが出力されるものであって、オクターブバンドノイズはホワイトノイズではないことは当業者に周知のことであるから、周波数8kHzのホワイトノイズを発生させるものではない。)

2カ してみると、「サイン波を基本とするホワイトノイズ発生器」などというものは市販のホワイトノイズ発生器の仕様からはかけ離れたものであり、当業者といえどもどのようなものか不明であるといわざるを得ない。また、「本発明では、3kHzのホワイトノイズを使用する。」との記載も技術的に正しい記載とはいえない。
更に付言すると、そもそも、ホワイトノイズ発生器は音源であって、電源ではない。

2キ したがって、ホワイトノイズ発生器に関する上記2ア、2イの本願明細書の記載は、技術的に見て正しい記載、あるいは、当業者に正しく理解されるのに十分な記載とはいえず、請求項1に係る発明で使用される「ホワイトノイズ発生器」がどのようなものか技術常識を参酌しても理解出来ない。
よって、本願明細書の記載は、「ホワイトノイズ発生器」に関して、当業者が請求項1に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。

3 理由1の5)について
3ア 【0005】(上記1ア)によれば、「化粧品の官能性能が良好な化粧品を提供すること」が請求項1ないし2に係る発明の課題の一つといえる。

3イ そうすると、当業者は、請求項1ないし2に係る発明の実施にあたり、化粧品の官能性能が良好となったことを確認する必要があるが、その確認のためには、「化粧品の官能性能」とは具体的にどのような官能性能か、また、官能性能が良好となったことを確認するにはどのような手法によればよいかが明らかでなければならない。

3ウ そうであるところ、本願明細書には、請求項1ないし2に係る発明において「官能テスト」を行ったことに関して、
・【0014】(上記1ウ)
「評価は、処理後の製品を、化粧品一般に使用されている官能テストでの結果を示したもので、◎は非常に良い、○は良い、△はやや良い、×は変化が無い、もしくは悪いである。
この官能テストは、官能検査、官能試験と言われており、JISで定義されている。
化粧品については、官能評価{(JIS Z 8144)http://kikakurui.com/z8/Z8144-2004-01.html}のd)触覚に基づいて行われる。

・【0017】(上記1オ)
「表2は、処理電線3にホワイトノイズを供給した時間と処理後の製品を化粧品一般に使用されている官能テストでの結果を示したものである。」
・【0018】(上記1カ)
「この表2からも判るように、24時間以上の処理時間で、収納容器2内の被処理物である化粧品の官能テストによる評価は良好となった。」
との記載があるのみである。

3エ 【0014】(上記1ウ)の「この官能テストは、官能検査、官能試験と言われており、JISで定義されている。化粧品については、官能評価{(JIS Z 8144)http://kikakurui.com/z8/Z8144-2004-01.html}のd)触覚に基づいて行われる。」との箇所は、平成25年9月24日受付の手続補正書による補正で追加されたものであり、審判請求書(平成26年11月25日受付の手続補正書(方式)3頁「4.」)でも
「(5)「官能テスト」の定義
この官能テストは、官能検査、官能試験と言われており、JISで定義されています。
化粧品については、官能評価{(JIS Z 8144)http://kikakurui.com/z8/Z8144-2004-01.html}のd)触覚に基づいて行われます。
特に化粧品の分野では、一般的に広く用いられる手法です。」
と繰り返し述べるにとどまる。

3オ ここで、【0014】(上記1ウ)で補正により追加された「(JIS Z 8144)のd)触覚」の項目の内容は、以下のとおりである。


(中略)



3カ また、被処理品である化粧品の種類(形態)については、【0017】(上記1オ)に「化粧液」との記載があるが、請求項1ないし2に係る発明では、「水分含有の化粧品製品」又は「水分を含む化粧品用素材」と規定されるように、水分を含有する化粧品であればよいものであって、特定の形態の化粧品に限定されるものではない。

3キ 一般に化粧品の技術分野において実施される官能テストには化粧品の種類・形態に応じて様々なものがあるところ、上記3ウ、3エのとおり、本願明細書全体の記載を見ても、本願明細書における「化粧品一般に使用されている官能テスト」がどのような官能テストをさすのか不明である。

3ク そして、【0014】(上記1ウ)の補正で追加された箇所は、出願当初の明細書には何等記載されておらず、自明な事項ともいえないものであるから、そもそも、その記載を参酌することはできないものであるが、仮にこの項目(上記3オ)の用語の定義を参酌したとしても、「触覚」でどのような評価を行うのか皆目不明である。

3ケ したがって、官能評価の手法が不明である以上、化粧品の官能性能が良好となったことを確認することができないから、本願明細書の記載は、当業者が請求項1ないし2に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、この出願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、その余の拒絶の理由を検討するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-17 
結審通知日 2016-02-19 
審決日 2016-03-01 
出願番号 特願2009-40076(P2009-40076)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 吾一  
特許庁審判長 松浦 新司
特許庁審判官 小川 慶子
大熊 幸治
発明の名称 化粧品処理装置及び処理方法  
代理人 井上 春季  

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