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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C11D
管理番号 1314102
審判番号 不服2014-541  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-10 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2009-550367「液体処理組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月25日国際公開、WO2008/114226、平成22年 6月 3日国内公表、特表2010-519365〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下「本願」という。)は、2008年3月19日の国際出願日(パリ条約に基づく優先権主張:2007年3月20日、欧州特許庁)に出願されたものとみなされる特許出願であって、以降の手続の経緯は以下のとおりである。

平成21年 8月25日 国内書面(願書)提出
同日 出願審査請求
平成24年 5月31日付け 拒絶理由通知
平成24年12月 4日 意見書・手続補正書
平成25年 9月11日付け 拒絶査定
平成26年 1月10日 本件審判請求
同日 手続補正書
平成26年 1月17日付け 審査前置移管
平成26年 2月 4日付け 前置報告書
平成26年 2月 7日付け 審査前置解除
平成27年 1月20日付け 拒絶理由通知(最後)
同日付け 補正の却下の決定
平成27年 4月15日 意見書・手続補正書

第2 原査定の概要
原審では、概略、下記のとおりの拒絶理由が通知され、当該拒絶理由をもって拒絶査定がなされた。
<拒絶理由通知>
「理 由

1.・・(中略)・・
2.・・(中略)・・
3.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
4.・・(中略)・・

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・・(中略)・・
・理由3
本願実施例には、付着補助剤として「アクリルアミド/MAPTAC」又は「ポリクアテルニウム10カチオン性ヒドロキシルエチルセルロース」、織物色相染料として「DV99」を用いた組成物の調整例が記載されているが、前記組成物を用いた場合の具体的・客観的な試験データは開示されておらず、前記組成物を用いた場合にどのような効果が得られるのかが不明であり、前記組成物が本願発明の課題(段落[0005]等)を解決できるのか否かは不明である。
さらに、本願発明の「付着補助剤」、「織物色相染料」には、それぞれ広範な化合物及びその組合せが包含されると思料されるが、付着補助剤、織物色相染料及びこれらの組合せにより奏せられる効果を予測することが困難であることが出願時の技術常識といえるところ、本願発明における付着補助剤と織物色相染料及びこれらの組合せの全般について、本願所望の効果が奏され、本願発明の課題が解決できるのか否かも不明である。
よって、請求項1?19に係る発明の範囲にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
・理由4
・・(後略)」

<拒絶査定>
「この出願については、平成24年 5月31日付け拒絶理由通知書に記載した理由1?4によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
・・(中略)・・
・理由3について
先の拒絶理由通知書に記載したとおり、本願実施例には、組成物の調整例が記載されるのみであり、当該組成物を用いた場合にどのような効果が得られるのかが不明であるところ、当該組成物ないし本願請求項に規定される組成物が、本願発明の課題(段落[0005]等)を解決できるのか否かは、依然として不明である。
よって、請求項1?16に係る発明の範囲にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
なお、本願実施例の組成物が、本願請求項に規定される要件を満たすのか否かも不明である。

・理由4について
・・(後略)」

第3 本願特許請求の範囲に記載された事項及び本願に係る発明
平成27年4月15日付け手続補正書により補正された本願特許請求の範囲には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
付着補助剤と織物色相染料とを組み合わせて含んでなる布地の処理のための液体処理組成物であって、
前記付着補助剤が、カチオン性セルロースエーテルおよびコポリマーを含んでなり、前記コポリマーが、
a)N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAM)、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリ-メチルアンモニウムクロリド(QDMAM)、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、四級化ビニルイミダゾール、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びこれらの誘導体からなる群から選択される第1のカチオン性モノマーと、
b)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート及びその誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルメタンスルホン酸(AMPS)及びこれらの塩からなる群から選択される第2のモノマーと、
を含むコポリマーから選択され、
さらに、前記色相染料が、トリアリールメタンブルー塩基性染料、トリアリールメタンバイオレット塩基性染料、メチンブルー塩基性染料、メチンバイオレット塩基性染料、アントラキノンブルー塩基性染料、アントラキノンバイオレット塩基性染料、アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38、若しくは塩基性バイオレット48、オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141、若しくはナイルブルーA、キサンテン染料塩基性バイオレット10、アルコキシル化アントラキノン高分子着色剤、アルコキシル化トリフェニルメタン高分子着色剤、アルコキシル化チオフェン高分子着色剤、またはこれらの混合物からなる群から選択され、かつ、少なくとも10の色相効率、および30%?85%の範囲の洗浄除去値を示す色相染料からなる群から選択されるものであることを特徴とする、液体処理組成物。
【請求項2】
前記色相染料が、少なくとも15の色相効率、及び40%?85%の範囲の洗浄除去値を示す、請求項1に記載の液体処理組成物。
【請求項3】
重量で0.0001%?0.1%の色相染料を含む、請求項1または2に記載の液体処理組成物。
【請求項4】
前記色相染料がメチンブルー塩基性染料またはメチンバイオレット塩基性染料である、請求項1?3のいずれか1項に記載の液体処理組成物。
【請求項5】
前記色相染料がアルコキシル化アントラキノン高分子着色剤である、請求項1?3のいずれか1項に記載の液体処理組成物。
【請求項6】
前記色相染料がアルコキシル化トリフェニルメタン高分子着色剤である、請求項1?3のいずれか1項に記載の液体処理組成物。
【請求項7】
前記色相染料がアルコキシル化チオフェン高分子着色剤である、請求項1?3いずれか1項に記載の液体処理組成物。
【請求項8】
布地柔軟化剤、色保護剤、毛玉低減剤、磨耗防止剤、皺防止剤、およびこれらの混合物からなる群から選択された布地ケア有益剤を更に含む、請求項1?7のいずれか1項に記載の液体処理組成物。
【請求項9】
前記組成物が、水溶性フィルム内に包装された液体の形態である、請求項1?8のいずれか1項に記載の液体処理組成物。
【請求項10】
非着色布地直接染料を更に含む、請求項1?9のいずれか1項に記載の液体処理組成物。
【請求項11】
アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物から選択される界面活性剤を更に含む、請求項1?10のいずれか一項に記載の液体処理組成物。
【請求項12】
付着補助剤を含む組成物を用いて洗濯される布地の、清浄度に対する認識を改善させるための色相染料の使用方法であって、請求項1?11のいずれか1項に記載の液体処理組成物を使用することを特徴とする、方法。
【請求項13】
付着補助剤と織物色相染料とを組み合わせて含んでなる布地の処理のための非水性液体処理組成物であって、
前記付着補助剤が、前記付着補助剤が、カチオン性セルロースエーテルおよびコポリマーを含んでなり、前記コポリマーが、
a)N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAM)、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリ-メチルアンモニウムクロリド(QDMAM)、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、四級化ビニルイミダゾール、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びこれらの誘導体からなる群から選択される第1のカチオン性モノマーと、
b)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート及びその誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルメタンスルホン酸(AMPS)及びこれらの塩からなる群から選択される第2のモノマーと、を含むコポリマーから選択され、
さらに、前記色相染料が、トリアリールメタンブルー塩基性染料、トリアゾールメタンバイオレット塩基性染料、メチンブルー塩基性染料、メチンバイオレット塩基性染料、アントラキノンブルー塩基性染料、アントラキノンバイオレット塩基性染料、アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38、若しくは塩基性バイオレット48、オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141、若しくはナイルブルーA、キサンテン染料塩基性バイオレット10、アルコキシル化アントラキノン高分子着色剤、アルコキシル化トリフェニルメタン高分子着色剤、アルコキシル化チオフェン高分子着色剤、またはこれらの混合物からなる群から選択され、かつ、少なくとも10の色相効率、および30%?85%の範囲の洗浄除去値を示す色相染料からなる群から選択されるものであることを特徴とする、非水性液体処理組成物。」
(以下、上記請求項1に記載された事項で特定されたとおりの発明を「本願発明」という。)

第4 当審の判断
当審は、以下詳述する理由により、本願は拒絶すべきものと判断する。

・特許法第36条第6項に係る理由について
事案に鑑み、特許法第36条第6項、特に同法同条同項第1号に係る要件(いわゆる「サポート要件」)につき、検討する。

1.本願発明の解決しようとする課題
本願明細書の発明の詳細な説明には、本願発明の解決すべき課題に関し、以下の記載がある。(以下の摘記における下線部は当審が付した。)

「【背景技術】
【0002】
布地の処理に用いる組成物は、一般的に、布地の洗浄に使用する洗剤、布地の柔軟化及び一般的ケアに使用する柔軟剤又はコンディショナー、並びに布地の洗浄、柔軟化及びケアを目的とする柔軟/コンディショニング洗剤に特徴づけられる。本発明は、最後の種類の布地処理組成物に関する。
【0003】
洗剤組成物は一般に、布地から汚れや染みを浮かし、油状汚れを乳化する界面活性剤を含む。一方で、布地ケア有益剤は意図的に布地上に付着され、柔軟な感触を付与したり、皺防止、アイロンの容易さ、色の保護、毛玉/毛羽立ちの低減、摩擦防止、及び同種の利益を提供したりする。これら布地ケア有益剤の布地表面上への付着を促進するため、出願者らは、付着補助剤の使用が有益であることを見出した。
【0004】
しかし出願者らは、付着補助剤の存在により、実際に有益剤の布地上への付着が増加する一方で、洗浄水からの汚れ、特に負に帯電した汚れの布地上への再付着も増加することを見出している。このため出願者らは、布地ケアを改善しつつも、クリーニング性能への悪影響に注意を払っている。更に、このクリーニング性能の低減は、消費者の目を引くものであり、許容されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって出願者らは、本発明の目的を、良好なクリーニング性能及び改善された柔軟性能又はケア性能を有する洗剤組成物を提供することとしている。」

上記記載からみて、本願発明の解決課題は、「布地ケア有益剤の布地表面上への付着を促進するための付着補助剤の存在によるクリーニング性能の低下を防止した、良好なクリーニング性能及び改善された柔軟性能又はケア性能を有する洗剤組成物を提供する」というものであると認められる。

2.本願明細書の発明の詳細な説明の記載
本願発明の詳細な説明には、本願発明の課題の解決に関して次の記載がある。

(a)
「【0006】
本発明により、付着補助剤及び織物色相染料を含む、布地の処理に好適な液体処理組成物が提供される。
【0007】
出願者らは、織物色相染料を付着補助剤を含む組成物に添加すると、組成物の清浄度に対する認識が改善されることを見出した。色相染料は、繰り返しの着用及び洗濯後の、望ましくない白色布地の黄変や、その他薄色布地の同様の変色を改善することが分かっている。色相染料、つまり青味づけ染料は、洗濯の洗浄及び/又はすすぎサイクル中に布地に付着し、布地に対し、消費者が清浄であると認識する青色の色相を与える。」

(b)
「【0033】
付着補助剤
本明細書で使用する場合、「付着補助剤」は、洗濯中に布地ケア有益剤の布地への付着を顕著に高める、あらゆるカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの組み合わせを指す。
【0034】
有効な付着助剤は、好ましくは、ファンデルワールス力のような物理力、あるいは水素結合及び/又はイオン結合のような非共有化学結合を介した、水不溶性布地ケア有益剤との強い結合能力を有する。それは、好ましくは、天然の織物繊維、特に綿繊維に対して非常に強い親和力を有する。
【0035】
付着補助剤は水溶性であり、水不溶性の布地ケア有益剤の粒子表面を被覆するか、又はいくつかの粒子を結束させることができるように柔軟な分子構造を有する必要がある。したがって、分子の柔軟性を欠く傾向があるあるため、付着補助剤は架橋されないことが好ましく、網目構造を有さないことが好ましい。
【0036】
布地ケア有益剤を布地上に推進させるためには、付着補助剤の正味電荷は布地と布地ケア有益剤との間の反発に打ち勝つために好ましくは正であり、これは大抵の布地が水性の環境中でわずかに負電荷を有する織物繊維を含むからである。水中でわずかに負の電荷を示す繊維の例には、これだけに限定するものではないが、綿、レーヨン、絹、羊毛などが含まれる。
【0037】
好ましくは、付着助剤はカチオン性又は両性ポリマーである。本発明の両性ポリマーは、やはりカチオン性の正味電荷を有し、すなわち、これらのポリマー上にあるカチオン性電荷の合計が、アニオン性電荷の合計を上回る。ポリマーのカチオン電荷密度は、約0.05ミリ当量/g?約6ミリ当量/gの範囲である。電荷密度は、繰り返し単位当たりの正味電荷数を、繰り返し単位の分子量で割ることにより計算される。一実施形態においては、電荷密度は、約0.1ミリ等量/g?約3ミリ当量/gで変化する。正電荷は、ポリマーの主鎖又はポリマーの側鎖上に存在することができる。
【0038】
付着増強剤の非限定的例は、カチオン性多糖類、キトサン及びその誘導体、並びにカチオン性合成ポリマーである。」

(c)
「【0039】
a.カチオン性多糖類
カチオン性多糖類には、それらに限定されないが、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、キトサン及び誘導体、並びにカチオン性デンプンが挙げられる。・・(中略)・・
【0040】
好適なカチオン性多糖類の一群はカチオン性セルロース誘導体であり、好ましくはカチオン性セルロースエーテル類である。・・(中略)・・
【0042】
構造式Iのカチオン性セルロースエーテル類には、同様に、市販のものが包含され、市販物質を従来式に化学修飾することによって調製できる物質が更に包含される。構造式I型の市販のセルロースエーテルとしては、JR 30M、JR 400、JR 125、LR 400及びLK 400ポリマー(これら全ては、アマコール社(Amerchol Corporation)(ニュージャージー州、エッジウォーター(Edgewater))から販売される)、並びにセルクアト(Celquat)H200及びセルクアトL-200(ブリッジウォーター(Bridgewater)(ニュージャージー州)のナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Company)から入手可能)が挙げられる。」

(d)
「【0045】
b.合成カチオン性ポリマー
一般にカチオン性ポリマー及びその製造方法は、文献において知られている。例えば、カチオン性ポリマーの詳細な説明は、「高分子科学-化学雑誌(Journal of Macromolecular Science-Chemistry)」A4巻6号、1327?1417頁、1970年10月発行、のM.フレッド・フーバー(M.Fred Hoover)による記事に見ることができる。フーバー(Hoover)の記事で開示された全内容は、参照として本明細書に組み込まれる。その他の好適なカチオン性ポリマー類は、紙の製造で歩留まり向上剤として使用されるものである。これらのポリマーは、ジェームズ・ケーシー(James Casey)編集の「パルプ及び紙、化学及び化学技術第3巻(Pulp and Paper, Chemistry and Chemical Technology Volume III)」(1981年)に記載されている。これらのポリマーの分子量は2,000?5,000,000の範囲内である。
・・(中略)・・
【0058】
及びこれらの混合物
本発明に従う好ましいポリマーの非限定的な実施例としては、以下を含むコポリマーが挙げられる。
【0059】
a)N,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、これらの四級化誘導体、ビニルアミン及びその誘導体、アリルアミン及びその誘導体、ビニルイミダゾール、四級化ビニルイミダゾール及びジアリルジアルキル塩化アンモニウムからなる群から選択されるカチオン性モノマー。
【0060】
b)第2モノマーであって、アクリルアミド(AM)、N,N-ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、C1?C12アルキルアクリレート、C1?C12ヒドロキシアルキルアクリレート、C1?C12ヒドロキシエーテルアルキルアクリレート、C1?C12アルキルメタクリレート、C1?C12ヒドロキシアルキルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルアルコール、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルブチレート、及びこれらの誘導体並びに混合物、からなる群から選択される。
【0061】
好適なカチオン性モノマーには、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAM)、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリ-メチルアンモニウムクロリド(QDMAM)、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、四級化ビニルイミダゾール、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0062】
好適な第2のモノマーsnには、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、C1?C4アルキルアクリレート、C1?C4ヒドロキシアルキルアクリレート、ビニルホルムアミド、ビニルアセテート、及びビニルアルコールが挙げられる。最も好適な非イオン性モノマーは、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート及びその誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルメタンスルホン酸(AMPS)及びこれらの塩がある。
・・(中略)・・
【0064】
付着ポリマーが処方可能であり、組成物中で安定であるためには、ポリマーに組み入れられるモノマーがコポリマーを形成することが重要であり、大きく異なった反応性比を有するがモノマーが使用される場合には特に正しい。市販のコポリマーと異なって、本明細書の付着ポリマーは、モノマーの10重量%未満の遊離モノマー含量を有し、好ましくは5重量%未満である。付着ポリマーを含有し、遊離モノマー含量が低い反応生成物を製造するのに好適な合成条件は以下に記述される。
【0065】
付着支援ポリマーはランダム型、ブロック型、グラフト型で可能である。それらは線状又は分岐状であることができる。付着支援ポリマーは約1?約60モル%、好ましくは約1?約40モル%のカチオン性モノマー反復単位及び約98?約40モル%、約60?約95モル%の非イオン性モノマー反復単位を有する。」

(e)
「【0069】
織物色相染料
本発明の組成物は、その本質的な特徴として色相染料を含む。本洗剤組成物に包含される色相染料は、好ましくは少なくとも10の色相効率、及び約30%?約85%の範囲の洗浄除去値を示す。こうした染料は、洗濯洗浄サイクル中好ましい着色効率を示し、洗濯後過度の望ましくない蓄積を示さないことがわかった。染料の色相効率は、染料を含有しない溶液中で洗浄された織物サンプルを、染料を含有する溶液中で洗浄された織物サンプルと比較することにより測定され、色相染料が望ましい色付け、例えば白くなること、を付与するのに有効かどうかを示す。・・(中略)・・本洗剤組成物において使用するのに好適な色相染料は、少なくとも10の色相効率を示す。より具体的な実施形態においては、色相染料は少なくとも15の色相効率を示す。
【0070】
洗浄除去値は、色相染料の織物への蓄積に対する耐性の表示であり、従って、色相染料が色付けには有効であるが、繰返し洗浄した後、望ましくない織物の青味づけを引き起こさないことを示している。・・(中略)・・本洗剤組成物において使用するのに適した色相染料は、約30%?約85%の範囲の洗浄除去値を示す。より具体的な実施形態においては、色相染料は、約40%?約85%、あるいは約45%?約85%の範囲の洗浄除去値を示す。
・・(中略)・・
【0071】
色相染料は洗濯洗剤組成物中に洗剤を包含する溶液中で洗浄される布地に着色効果を与えるのに十分な量が含まれる。一実施形態においては、洗剤組成物は、約0.0001重量%?約0.1重量%、より具体的には約0.001重量%?約0.05重量%の色相染料を含む。
【0072】
本発明による色相効率と洗浄除去値の組合せを示す代表的な染料としては表2に示されるようないくつかのトリアリールメタンブルー及びバイオレット塩基性染料、表3に示されるようなメチンブルー及びバイオレット塩基性染料、表4に示されるようなアントラキノン染料、アントラキノン染料塩基性ブルー35及び塩基性ブルー80、アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38、塩基性バイオレット48、オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141、ナイルブルー及びキサンテン染料塩基性バイオレット10、並びにこれらの混合物が挙げられる。
・・(中略)・・
【0075】
得られる着色剤が少なくとも10の色相効率、及び約30%?約85%の範囲の洗浄除去値を示すとき、こうした材料を、本発明で使用することができる。」

(f)
「【実施例】
【0150】
【表5】


【0151】
濃縮液体洗剤は、以下のように調製される:
【表6】


【表7】


1 C10?C18のアルキルエトキシサルフェート
2 C9?C15直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩
3 C12?C13エトキシル化(EO9)アルコール
4 イリノイ州シカゴのアクゾ(Akzo)ケミカル社より供給される
5 ノースカロライナ州ノボザイム(Novozymes)より供給される
6 ノースカロライナ州ハイポイントのチバ(Ciba)スペシャリティケミカルズ社より供給される
7 米国特許第4,597,898号明細書に記載される
8 米国特許第5,565,145号明細書に記載される
9 BASF社から入手可能な商品名ルーテンシト(LUTENSIT)(登録商標)及び国際公開第01/05874号公報に記載のようなもの
10 ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporation)(ミシガン州、ミッドランド(Midland))から供給される
11 信越シリコーン(Shin-Etsu Silicones)(オハイオ州、アクロン(Akron))から供給される
12 ナルコケミカルズ(Nalco Chemcials)(イリノイ州、ネーパービル(Naperville))から供給される
13 エクハード・アメリカ(Ekhard America)(ケンタッキー州、ルーイビル(Louisville))から供給される
14 デグサ社(Degussa Corporation)(バージニア州、ホープウェル(Hopewell))から供給される
15 ローディア化学(Rhodia Chemie)(フランス)により供給される
16 アルドリッチケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州、グリーンベイ(Greenbay))から供給される
17 ダウケミカルズ(Dow Chemicals)(ニュージャージー州、エッジウォーター(Edgewater))から供給される
18 シェルケミカルズ(Shell Chemicals)から供給される
【0152】
以下の比限定的な実施例は本発明を例証する。別途明記しない場合、百分率は重量によるものである。」

3.検討

(1)まず、本願明細書の発明の詳細な説明の【実施例】に係る部分(摘示(f)参照)を検討すると、全ての具体例(【表5】の実施例AないしD及び【表6】並びに【表7】の例「1」ないし「9」)において、カチオン性セルロースエーテル(実施例B及びC)又はコポリマー(実施例A及びD並びに例「1」ないし「9」)のいずれか一方を使用する場合のみであり、更にそれら全ての具体例におけるクリーニング性能及び柔軟性能又はケア性能については、記載されていない。
(下線は、当審が付与した。なお、全ての具体例で使用されている「色相染料DV99」は、本願請求項1に記載された色相染料に係る特定事項を具備するものであるか否かについても不明である。)
してみると、上記【実施例】に係る部分における全ての具体例は、いずれも本願発明に係る「付着補助剤が、カチオン性セルロースエーテルおよびコポリマーを含んでなり」という事項を具備しないものであり、さらに、各具体例に係るクリーニング性能及び柔軟性能又はケア性能等の効果について開示されていないのであるから、当該【実施例】に係る記載に基づいて、本願発明が上記課題に対応する効果を奏するであろうと当業者が認識することができるとは認めることができない。

(2)また、本願明細書の発明の詳細な説明の上記【実施例】に係る部分以外の部分(【0001】?【0149】)を検討すると、上記部分には、「付着補助剤」として、「カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、・・並びにカチオン性デンプン」などの「カチオン性多糖類、キトサン及びその誘導体、並びにカチオン性合成ポリマー」が使用できることが記載され(摘示(b)及び(c)参照)、さらに、当該「カチオン性合成ポリマー」として、好適には「N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAM)、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリ-メチルアンモニウムクロリド(QDMAM)、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、四級化ビニルイミダゾール、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びこれらの誘導体」等の「カチオン性モノマー」と「アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート及びその誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルメタンスルホン酸(AMPS)及びこれらの塩」等の「第2のモノマー」とからなる「コポリマー」を使用すること(摘示(d)参照)が記載されている。
また、上記部分には、「織物色相染料」として、「少なくとも10の色相効率、及び約30%?約85%の範囲の洗浄除去値を示す」「表2に示されるようないくつかのトリアリールメタンブルー及びバイオレット塩基性染料、表3に示されるようなメチンブルー及びバイオレット塩基性染料、表4に示されるようなアントラキノン染料、アントラキノン染料塩基性ブルー35及び塩基性ブルー80、アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38、塩基性バイオレット48、オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141、ナイルブルー及びキサンテン染料塩基性バイオレット10、並びにこれらの混合物」を使用することも記載されてはいる(摘示(e)参照)。
しかしながら、上記「付着補助剤」及び「織物色相染料」に係る記載は、使用できる各成分を列挙するのみにとどまり、各成分を使用することにより、本願発明、すなわち、付着補助剤がカチオン性セルロースエーテルおよび(特定の)コポリマーを含み、色相効率が少なくとも15で40?85%の洗浄除去値を有する色相染料を更に含む液体処理組成物が、上記解決課題に対応する特段のクリーニング性能及び改善された柔軟性能又はケア性能を有するであろうと当業者が認識することができる作用機序などの技術的裏付け又は根拠となる事項につき、開示されているものとは認められない。

(3)そして、本願発明の液体処理組成物が、上記当業者に公知の技術などの従来技術に比して、特段のクリーニング性能及び改善された柔軟性能又はケア性能を有するであろうと当業者が認識することができるような技術常識が、本願出願時(優先日時)において当業者に存したものとも認めることができない。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載では、たとえ技術常識に照らしたとしても、当該記載に基づき、本願発明が、同発明に係る上記課題を解決できるであろうと当業者が認識できるものではない。
よって、本願発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものといえず(平成17年(行ケ)10042号判決参照)、本願特許請求の範囲(特に請求項1)の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものではない。

4.まとめ
以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第6項(柱書)の規定を満たしているものではない。

第5 むすび
結局、本願は、その余につき検討するまでもなく、特許法第49条第4号に該当し、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-27 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-14 
出願番号 特願2009-550367(P2009-550367)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C11D)
P 1 8・ 537- Z (C11D)
P 1 8・ 113- Z (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂井 哲也  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 豊永 茂弘
橋本 栄和
発明の名称 液体処理組成物  
代理人 永井 浩之  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 出口 智也  
代理人 中村 行孝  
代理人 磯貝 克臣  
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