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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01H
管理番号 1314223
審判番号 不服2015-16574  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-09 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2011-63235「電磁開閉装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月18日出願公開、特開2012-199115〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月22日の出願であって、平成26年10月29日付けの拒絶理由通知に対して、平成27年1月13日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月2日付け(発送日:同年6月9日)で拒絶査定がされ、これに対して、同年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明は、平成27年1月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のもの(以下、「本願発明」という。)である。

「外部からの指令に応じて接点を開閉する電磁開閉装置であって、前記接点の開閉状態を検出する検出手段と、当該検出手段が検出する前記接点の開閉状態と前記指令に対応した当該接点の開閉状態とに基づいて異常の有無を判断する判断手段と、当該判断手段の判断結果を外部に出力する出力手段と、前記各手段を収納するケースとを備えることを特徴とする電磁開閉装置。」

第3 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平3-117318号公報(以下、「刊行物」という。)には、「故障予知機能リレー回路」に関し、図面(特に、第1図及び第2図参照)とともに、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

1 第1ページ左欄第19行ないし右欄第1行
「制御システムやプログラムコントローラ等においては、多数のリレーが用いられている。」

2 第2ページ左上欄第6行ないし右下欄第11行
「[実施例]
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。第1図に示すように、本実施例では2個のリレーA、Bを使用しており、両リレーA、Bの接点a、bをダイオードD_(1)、D_(2)を介して並列に接続し、ダイオードD_(1)、D_(2)の接続点に負荷2と負荷電源1を接続している。また、リレーA、Bは同一電源にて駆動されるようにしてある。
まず、リレーA側について説明する。リレーAのリレーコイルr_(1)にリレー操作信号を与えることにより、リレーコイルr_(1)は励磁されて接点aは閉成し、励磁を切ることで接点aが開離する。第1図は、障害が生じたリレーの接点を強制的に開離させ、正常な他のリレーの動作を続行させる制御手段のブロック図を示し、第2図はタイムチャートを示している。リレー操作パルス発生回路3からは、第1図(1)(当審注:(1)は、丸付き数字1を表す。以下同様。)に示すようなリレー操作パルスが出力される。上記リレー操作信号を与えていない期間中に短時間T_(2)のパルス(接点閉成テストパルスと呼ぶ)を閉成テストパルス発生回路4にて発生させるようにしている。閉成テストパルス発生回路4では、リレー操作パルスを受けて、微分回路、ワンショットマルチ回路等により第2図(2)、(3)、(4)、(5)に示すように、最終的に第2図(9)に示すような接点閉成テストパルスを発生させる。尚、第2図(5)に示すT_(1)、T_(2)は各ワンショットマルチ回路の定数の変更により任意に選択が可能である。
一方、接点aからの第2図(6)に示すような接点信号を接点パルス増幅回路8と接点パルス反転回路9とで、増幅、反転して、第2図(8)に示すような信号を得る。この信号(8)と閉成テストパルス(9)とを閉成アンド回路6に入力する。この場合、接点aが正常動作であれば、接点閉成テストパルス(9)がHレベルのときは、接点aからの信号(8)はLレベルで、閉成アンド回路6から出力はされない。しかし、ゴミ、接点消耗等で接点aに障害が発生し、接点aが閉成しない場合には、信号(8)は第2図(8)に示すような破線となり、Hレベルの信号(8)と、Hレベルの閉成テストパルス(9)とで、閉成アンド回路6から信号が出力されることになる。すなわち、接点aが閉成しないと、障害発生の信号が出力される。
閉成アンド回路6から信号が出力されると、サイリスタSCR_(2)が動作し、閉成不良信号を出力して、ランプやブザー等にて報知を行い、その報知を維持する。尚、サイリスタの代わりに、所謂ラッチ回路でも良い、一方、サイリスタSCR_(2)の信号は、禁止回路10に入力され、このサイリスタSCRからの信号(接点開離信号)により、リレーコイルr_(1)、の励磁を切って接点aを強制的に開離するようにしている。
すなわち、上述の動作では、接点aが開成しないと、閉成不良信号を発すると共に、リレーAの接点aは強制的に開離状態となる。
同様に接点開離テストパルスも行われる。すなわち、リレー操作パルス発生回路3からリレー操作パルスを受けた開離テストパルス発生回路5では、第2図(10)、(11)、(12)に示すように、ワンショットマルチ回路の構成にて所定の信号を形成し、第2図(13)に示すように接点開離テストパルスを作成し、接点aからの信号と開離アンド回路7、サイリスタSCR_(1)等にて開離不良信号を出力するようにしている。この場合でも、開離不良信号を出力し、その旨を報知して維持すると共に、リレーAのリレーコイルr_(1)の励磁を切って接点aを強制的に開離する。」

3 第3ページ右下欄第3行ないし第7行
「尚、第1図等に示す回路は、ハイブリッドIC化を行い、リレーと同一ケース内で入れることでコンパクトに構成できるものである。また、1つのケース内に複数のリレーを内蔵してIC化することで、よりコンパクトにできる。」

4 上記2の「接点aからの第2図(6)に示すような接点信号を接点パルス増幅回路8と接点パルス反転回路9とで、増幅、反転して、第2図(8)に示すような信号を得る。」との記載及び第2図(6)から、「接点パルス増幅回路8と接点パルス反転回路9」は、接点aの開離及び閉成の状態を検出する手段であることが理解される。

5 上記2の「リレー操作信号を与えることにより、リレーコイルr_(1)は励磁されて接点aは閉成し、励磁を切ることで接点aが開離する。」との記載、同「上記リレー操作信号を与えていない期間中に短時間T_(2)のパルス(接点閉成テストパルスと呼ぶ)を閉成テストパルス発生回路4にて発生させるようにしている。閉成テストパルス発生回路4では、リレー操作パルスを受けて、微分回路、ワンショットマルチ回路等により第2図(2)、(3)、(4)、(5)に示すように、最終的に第2図(9)に示すような接点閉成テストパルスを発生させる。」との記載、同「リレー操作パルス発生回路3からリレー操作パルスを受けた開離テストパルス発生回路5では、第2図(10)、(11)、(12)に示すように、ワンショットマルチ回路の構成にて所定の信号を形成し、第2図(13)に示すように接点開離テストパルスを作成し」との記載、第1図並びに第2図(1)ないし(5)及び(9)ないし(13)から、「接点開離テストパルス」及び「接点閉成テストパルス」は、リレー操作信号に対応した接点aの開離及び閉成の状態を反映することが理解される。

6 上記2の「この信号(8)と閉成テストパルス(9)とを閉成アンド回路6に入力する。この場合、接点aが正常動作であれば、接点閉成テストパルス(9)がHレベルのときは、接点aからの信号(8)はLレベルで、閉成アンド回路6から出力はされない。しかし、ゴミ、接点消耗等で接点aに障害が発生し、接点aが閉成しない場合には、信号(8)は第2図(8)に示すような破線となり、Hレベルの信号(8)と、Hレベルの閉成テストパルス(9)とで、閉成アンド回路6から信号が出力されることになる。すなわち、接点aが閉成しないと、障害発生の信号が出力される。閉成アンド回路6から信号が出力されると、サイリスタSCR_(2)が動作し、閉成不良信号を出力して、ランプやブザー等にて報知を行い、その報知を維持する。」との記載、同「第2図(13)に示すように接点開離テストパルスを作成し、接点aからの信号と開離アンド回路7、サイリスタSCR_(1)等にて開離不良信号を出力するようにしている。この場合でも、開離不良信号を出力し、その旨を報知して維持する」との記載、上記5の事項及び第1図から、「開離アンド回路7」は接点パルス増幅回路8からの信号と接点開離テストパルスに基いて、「閉成アンド回路6」は接点パルス反転回路9からの信号と接点閉成テストパルスに基づいて、それぞれ接点aの障害の発生の有無を判断し、障害が発生しているときは、障害発生の信号の有無によって、判断結果をサイリスタSCR_(1)及びSCR_(2)に伝え、サイリスタSCR_(1)及びSCR_(2)は、開離不良信号や閉成不良信号を接点aの障害の発生の有無の判断結果としてランプやブザー等に出力する手段であることが理解される。

これらの記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「リレー操作信号に応じて接点aを開離及び閉成するリレーAであって、接点aの開閉状態を検出する接点パルス増幅回路8及び接点パルス反転回路9と、接点パルス増幅回路8及び接点パルス反転回路9が検出する接点aの開離及び閉成状態とリレー操作信号に対応した接点aの開離及び閉成状態とに基づいて障害の有無を判断する開離アンド回路7及び閉成アンド回路6と、開離アンド回路7及び閉成アンド回路6の判断結果をランプやブザー等に出力するサイリスタSCR_(1)及びSCR_(2)と、各回路及びサイリスタSCR_(1)及びSCR_(2)を入れるケースとを備えるリレーA。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「リレー操作信号」は、前者の「指令」に相当し、以下同様に、「接点a」は「接点」に、「開離及び閉成」は「開閉」に、「リレーA」は「電磁開閉装置」に、「接点パルス増幅回路8及び接点パルス反転回路9」は「検出手段」に、「障害」は「異常」に、「開離アンド回路7及び閉成アンド回路6」は「判断手段」に、「ランプやブザー等に出力するサイリスタSCR_(1)及びSCR_(2)」は「外部に出力する出力手段」に、「各回路及びサイリスタSCR_(1)及びSCR_(2)」は「各手段」に、「入れる」ことは「収納する」ことに、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「指令に応じて接点を開閉する電磁開閉装置であって、前記接点の開閉状態を検出する検出手段と、当該検出手段が検出する前記接点の開閉状態と前記指令に対応した当該接点の開閉状態とに基づいて異常の有無を判断する判断手段と、当該判断手段の判断結果を外部に出力する出力手段と、前記各手段を収納するケースとを備えることを特徴とする電磁開閉装置。」
で一致し、次の点で相違する。

〔相違点〕
本願発明では、「外部からの」指令に応じて接点を開閉するのに対し、引用発明では、「リレー操作信号」が「外部から」であるか不明である点。

第5 当審の判断
1 そこで、上記相違点を検討する。
引用発明のリレー操作信号は、リレーの接点を開離及び閉成する信号であるところ、リレーは制御システムやプログラムコントローラにおいて用いられるのであるから、これらの制御システムやプログラムコントローラ中の信号をリレー操作信号として、リレーの「外部から」与えることに格別の困難性はない。
そうすると、引用発明において、「外部からの」リレー操作信号に応じて接点aを開離及び閉成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 本願発明が奏する効果は、引用発明から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。

3 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-01 
結審通知日 2016-03-08 
審決日 2016-03-22 
出願番号 特願2011-63235(P2011-63235)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 克彦  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 内田 博之
小柳 健悟
発明の名称 電磁開閉装置  
代理人 北出 英敏  
代理人 坂口 武  
代理人 仲石 晴樹  
代理人 西川 惠清  

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