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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1314761
審判番号 不服2015-10622  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-04 
確定日 2016-06-06 
事件の表示 特願2013-528583「パッケージングユニット内で複数のLEDを編成する方法、および、複数のLEDを含むパッケージングユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月22日国際公開、WO2012/034827、平成25年12月19日国内公表、特表2013-544712、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年8月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年9月16日、2010年10月27日、いずれもドイツ国)を国際出願日とする出願であって、平成25年4月18日に国際出願翻訳文提出書が提出され、拒絶理由通知がなされ、同年8月7日に意見書が提出されたが、平成27年2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月4日に本件の拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明(以下、請求項の番号に応じて「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、平成25年4月18日に提出された請求の範囲の翻訳文の請求項1ないし10に記載された以下の事項により特定されるとおりのものと認められる。
「【請求項1】
複数のLED(5)をパッケージングユニット(4)内で編成する方法であって、
前記複数のLED(5)の色座標を求めるステップと、
各LED(5)を種々異なる複数の色座標領域(A,B,C,D)へ分けるために、それぞれのLED(5)に対して求められた色座標を有する、いずれかの色座標領域(A,B,C,D)へ、各LED(5)を分類するステップと、
前記パッケージングユニット(4)が、それぞれ複数のLED(5)から成る、複数の連続する列(1,2,3)を含むように、各LED(5)を前記パッケージングユニット(4)内に配置するステップと
を含み、
前記複数の列(1,2,3)の全てが前記複数の色座標領域(A,B,C,D)の全てから1つずつのLED(5)を含み、前記列(1,2,3)内の、異なる色座標領域(A,B,C,D)からの各LEDがそれぞれ同じ順序で配置されている
ことを特徴とする複数のLEDをパッケージングユニット内で編成する方法。
【請求項2】
各LED(5)を3個以上8個以下の色座標領域(A,B,C,D)に分類する、請求項1記載の複数のLEDをパッケージングユニット内で編成する方法。
【請求項3】
500個以上20000個以下のLED(5)を前記パッケージングユニット(4)内に配置する、請求項1または2記載の複数のLEDをパッケージングユニット内で編成する方法。
【請求項4】
前記パッケージングユニット(4)内に配置された各列(1,2,3)の開始部にそれぞれマーキングを付す、請求項1から3までのいずれか1項記載の複数のLEDをパッケージングユニット内で編成する方法。
【請求項5】
前記パッケージングユニット(4)は前記複数のLED(5)から成る前記複数の列(1,2,3)を順に配置したロールである、請求項1から4までのいずれか1項記載の複数のLEDをパッケージングユニット内で編成する方法。
【請求項6】
種々異なる複数の色座標領域(A,B,C,D)からの複数のLED(5)を含むパッケージングユニット(4)であって、
各LED(5)は、それぞれのLED(5)から動作中に放出される光の色座標を有する、前記複数の色座標領域(A,B,C,D)のうちのいずれかの色座標領域に対応づけ
られており、
各LED(5)は、パッケージングユニット(4)内で、複数のLED(5)から成る複数の連続する列(1,2,3)として配置されており、各列(1,2,3)は前記複数の色座標領域(A,B,C,D)の全てからそれぞれ1つずつのLED(5)を含んでおり、
前記列(1,2,3)内の異なる色座標領域(A,B,C,D)からの各LED(5)はそれぞれ同じ順序で配置されている
ことを特徴とするパッケージングユニット。
【請求項7】
前記パッケージングユニット(4)は各LED(5)から成る前記複数の列(1,2,3)を順に配置したロールである、請求項6記載のパッケージングユニット。
【請求項8】
前記複数の列(1,2,3)の開始部はそれぞれマーキング(6)を有している、請求項6または7記載のパッケージングユニット。
【請求項9】
前記色座標領域(A,B,C,D)の個数は3個以上8個以下である、請求項6から8までのいずれか1項記載のパッケージングユニット。
【請求項10】
前記パッケージングユニット(4)は500個以上20000個以下のLED(5)を有する、請求項6から9までのいずれか1項記載のパッケージングユニット。」

第3 原査定の理由の概要
本願発明1?10は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1.米国特許第7736017号明細書
2.米国特許出願公開第2009/0323334号明細書
3.国際公開第2009/064363号
4.特開2010-129953号公報
5.特開昭59-217399号公報

第4 当審の判断
1.引用文献及び引用発明
(1)引用文献3
原査定の拒絶理由に引用文献3として引用された国際公開第2009/064363号には、図とともに、次の記載がある。(日本語訳は当審による。下線は当審が付した。)

ア 「[0003] Panel lighting devices are used for a number of lighting applications. A lighting panel may be used, for example, as a backlighting unit (BLU) for an LCD display. Backlighting units commonly rely on an arrangement of multiple light emitters such as fluorescent tubes and/or light emitting diodes (LED). An important attribute of the multiple light emitters may include uniformity of color and/or luminance in displayed output. Presently, light emitters may be tested and grouped and/or binned according to their respective output and/or performance to improve relative uniformity among multiple light emitters. The grouping may be performed using, for example, chromaticity values, such as the x,y values used in the CIE 1931 color space that was created by the International Commission on Illumination in 1931. In this manner, each light emitter may be characterized by x,y coordinates. Emitters having similar x,y values may be grouped or binned to be used together. However, emitters having similar x,y coordinates and/or luminosity may include significantly different spectral power distributions that may adversely impact uniformity when used in conjunction with other components in a device.」
「パネル照明装置は、いくつかの照明用途に対して使用される。照明パネルは、たとえば、LCDディスプレイ用のバックライトユニット(BLU)として使用することができる。バックライトユニットは、一般に、蛍光管および/または発光ダイオード(LED)などの複数の発光体の配置に依存する。複数の発光体の重要な属性には、表示された出力中の色および/また輝度の均一性が含まれ得る。現在、発光体は、それらの各々の出力および/または複数の発光体間の相対均一性を高める性能に従って試験をして、グループ化し、かつ/または区分けすることができる。このグループ化は、たとえば、1931年に国際照明委員会によって作成されたCIE1931色空間で使用されるx、y値などの色度値を使用して実施することができる。このように、各発光体は、x、y座標によって特徴付けることができる。同等のx、y値を有する発光体は、共に使用するためにグループ化、または区分けすることができる。しかし、同等のx、y座標および/または輝度を有する発光体は、機器内の他の構成要素と共に使用された場合に、均一性に悪影響を与え得る著しく異なるスペクトルパワー分布を含む可能性がある。」

イ 「[0006] Some embodiments include selecting a plurality of portions of the plurality of light emitters using a plurality of adjacent regions. In some embodiments, each of the regions includes a substantially similar geometry, orientation and size. Some embodiments include selecting the portion of the light emitters as a function of an application specific transmission characteristic. In some embodiments, the application specific transmission characteristic includes a transmission characteristic of a display panel.」
「いくつかの実施形態は、複数の隣接した領域を使用して複数の発光体の複数の部分を選択するステップを含む。いくつかの実施形態において、各々の領域は、実質的に同等の形状、方向およびサイズを備える。いくつかの実施形態は、特定用途向け透過特性に応じて発光体の部分を選択するステップを含む。いくつかの実施形態において、特定用途向け透過特性は、ディスプレイパネルの透過特性を含む。」

ウ 「[0083] Reference is now made to Figure 12, which is a schematic diagram of a device according to yet other embodiments of the present invention. Some embodiments include a support/retention structure 129 that is configured to support the multiple light emitters 100 during transportation, storage and/or dispensing. For example, a support/retention structure 129 may include a tape and/or reel configured to receive, support, store, and/or dispense the multiple light emitters 100. In this regard, the multiple light emitters that are selected, grouped and/or binned according to filtered chromaticity may be provided in commercially beneficial packaging. In some embodiments, a support/retention structure 129 may include a rigid and/or flexible printed circuit board (PCB) strip on which multiple light emitters 100 are mounted prior to use.」
「次に、本発明の更に他の実施形態による機器の概略図である図12を参照する。いくつかの実施形態は、輸送、保管、および/または供給する間に複数の発光体100を支持するように構成された支持/保持の構造体129を含む。たとえば、支持/保持の構造体129は、複数の発光体100を受け、支持し、保存し、かつ/または供給するように構成されたテープおよび/またはリールを含むことができる。この点に関して、フィルタリングされた色度に従って選択され、グループ化され、かつ/または区分された複数の発光体が、商業的に有利なパッケージングで提供することができる。いくつかの実施形態において、支持/保持の構造体129は、複数の発光体100が使用前に装着された剛性および/または柔軟性のプリント回路基板(PCB)ストリップを含むことができる。」

(2)引用文献5
同じく、引用文献5として引用された特開昭59-217399号公報には、次の記載がある。(下線は当審が付した。)

「〔発明の技術分野〕
本発明は、半導体部品のテーピング用テープに関する。
〔発明の技術的背景〕
従来、半導体部品を包装する場合、電気特性の揃っているもの同志を、他の特性を有するものと区別して包装することが行われている。トランジスタの電気特性としては、例えば直流電流増幅率(h_(FE)’)や降伏電圧が調べられ、ダイオードの電気特性としては、容量-電圧、降伏電圧、スイッチング特性が調べられる。近年では、これらの特性を更に細く分類することが行われている。
このような種々の半導体部品を自動化された装置で基板に組立てるために、多数個の半導体部品をテーピング用テープに、電気特性の同じもの毎にまとめて固定することが行われている。しかしながら、従来のテーピング用テープでは、電気特性の異なる半導体部品と区別する手段として、故意に半導体部品の数個分の空白部をテーピング用テープに設けることが行われている。
〔背景技術の問題点〕
このようなテーピング用テープでは、電気特性の同じ半導体部品の数が少ない場合には、空白部分が多くなり、1巻のテーピング用テープに固定できる半導体部品の数が少なくなる欠点がある。また、このような空白部分の多いテーピング用テープを使用すると、頻繁にテーピング用テープを交換しなければならず、作業性が悪い欠点がある。更に、テーピング用テープを使用する自動挿入装置のソフトウェアを、空白部分の検出ができるように変更しなければならない問題があった。
〔発明の目的〕
本発明は、半導体部品の基板等への供給操作を円滑に行い、かつ、電気特性の異なる部品の区別を容易にすると共に、固定する半導体部品の数を増大できる半導体部品のテーピング用テープを提供することをその目的とするものである。
〔発明の概要〕
本発明は、半導体部品を固定する固定部の複数個毎に対応して、認識マークを設けたことにより、半導体部品の基板等への供給操作を円滑に行い、かつ、電気特性の異なる部品の区別を容易にすると共に、固定する半導体部品の数のの増大を図った半導体部品のテーピング用テープである。」

(3)引用発明
上記(1)ウには、複数の発光体100を支持する支持/保持の構造体129としてテープおよび/またはリールが記載され、この発光体100がLEDを含むことは上記(1)アからも明らかであるから、引用文献3には、「フィルタリングされた色度に従って選択され、グループ化され、かつ/または区分された複数のLEDを商業的に有利なパッケージングで提供する、複数のLEDを受け、支持し、保持し、かつ/または供給するように構成されたテープおよび/またはリール。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

2.本願発明6について
(1)引用発明の「テープおよび/またはリール」は、「複数の発光体を商業的に有利なパッケージングで提供する」ものであるから、本願発明6の「パッケージングユニット」に相当するといえる。
(2)引用発明の「複数のLED」は、「フィルタリングされた色度に従って選択され、グループ化され、かつ/または区分された複数のLED」であるから、引用発明は、本願発明6と同様に「種々異なる複数の色座標領域(A,B,C,D)からの複数のLED(5)を含むパッケージングユニット(4)」であるといえる。
(3)また、引用発明の「複数のLED」は、「フィルタリングされた色度に従って選択され、グループ化され、かつ/または区分された複数のLED」であるから、本願発明6の「各LED(5)」と同様に「それぞれのLED(5)から動作中に放出される光の色座標を有する、前記複数の色座標領域(A,B,C,D)のうちのいずれかの色座標領域に対応づけられて」いるものと認められる。
(4)以上によれば、両者は、
「種々異なる複数の色座標領域(A,B,C,D)からの複数のLED(5)を含むパッケージングユニット(4)であって、
各LED(5)は、それぞれのLED(5)から動作中に放出される光の色座標を有する、前記複数の色座標領域(A,B,C,D)のうちのいずれかの色座標領域に対応づけられているパッケージングユニット。」の点で一致する。
(5)一方、両者は、次の点で相違する。
本願発明6は、「各LED(5)は、パッケージングユニット(4)内で、複数のLED(5)から成る複数の連続する列(1,2,3)として配置されており、各列(1,2,3)は前記複数の色座標領域(A,B,C,D)の全てからそれぞれ1つずつのLED(5)を含んでおり、 前記列(1,2,3)内の異なる色座標領域(A,B,C,D)からの各LED(5)はそれぞれ同じ順序で配置されている」ものであるのに対し、引用発明は、このようなものとされていない点。
(6)上記相違点について検討する。
引用文献3には、フィルタリングされた色度に従って選択され、グループ化され、かつ/または区分された複数のLEDがテープおよび/またはリールに支持又は保持されることの記載はあっても、本願発明6のごとく、「各LED(5)が、複数の連続する列(1,2,3)として配置されており、各列(1,2,3)は前記複数の色座標領域(A,B,C,D)の全てからそれぞれ1つずつのLED(5)を含んでおり、 前記列(1,2,3)内の異なる色座標領域(A,B,C,D)からの各LED(5)はそれぞれ同じ順序で配置されている」ことについての記載や示唆はない。
この点について、引用文献5には、「複数の半導体部品から成る、複数の連続する列を含むように、各半導体部品をテープ本体(1)内に配置する」ことの記載はあると認められるが、引用文献5の「多数個の半導体部品をテーピング用テープに、電気特性の同じもの毎にまとめて固定することが行われている」及び「本発明は、半導体部品を固定する固定部の複数個毎に対応して、認識マークを設けた」の記載によれば、引用文献5に記載されるのは、「電気特性の同じものを複数個毎にテーピング用テープに固定する」ものであると認められ、引用文献5に「複数の列の全てが複数の特性の全てから1つずつの半導体部品を含み、列内の異なる特性からの各半導体部品がそれぞれ同じ順序で配置されていること」の記載があるとは認められない。
また、引用文献5に記載されるのは、トランジスタのような半導体部品をテープに固定することであって、本願発明6のようなLEDをテープに固定することの記載や示唆はない。
仮に、引用文献5にならって、LEDをテープに固定したとしても、同じ色座標領域に属するLEDが複数個毎にテープに固定されるだけであって、本願発明6のように隣り合うLEDが異なる色座標領域に属するものとはならない。
原査定の拒絶理由で引用された引用文献1、引用文献2及び引用文献4を見ても、引用発明において、本願発明6のごとく「各LED(5)が、複数の連続する列(1,2,3)として配置されており、各列(1,2,3)は前記複数の色座標領域(A,B,C,D)の全てからそれぞれ1つずつのLED(5)を含んでおり、 前記列(1,2,3)内の異なる色座標領域(A,B,C,D)からの各LED(5)はそれぞれ同じ順序で配置されている」よう構成することについて、記載又は示唆があるとは認められない。
したがって、原査定の理由により、本願発明6を当業者が容易に発明できたとすることはできない。

3.本願発明1について
本願発明1は、「前記複数の列(1,2,3)の全てが前記複数の色座標領域(A,B,C,D)の全てから1つずつのLED(5)を含み、前記列(1,2,3)内の、異なる色座標領域(A,B,C,D)からの各LEDがそれぞれ同じ順序で配置されている」ことを発明特定事項に含むから、本願発明6と同様、本願発明1を当業者が容易に発明できたとすることはできない。

4.本願発明2ないし5、本願発明7ないし10について
本願発明2ないし5及び本願発明7ないし10は、それぞれ本願発明1及び本願発明6をさらに限定したものであるから、本願発明1及び本願発明6と同様に、当業者が容易に発明できたとすることはできない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1ないし10について、引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたということはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-05-24 
出願番号 特願2013-528583(P2013-528583)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 武内 大志藤井 眞吾  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 近藤 幸浩
河原 英雄
発明の名称 パッケージングユニット内で複数のLEDを編成する方法、および、複数のLEDを含むパッケージングユニット  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 星 公弘  
代理人 久野 琢也  

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