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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1315372
審判番号 不服2015-18432  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-09 
確定日 2016-06-21 
事件の表示 特願2014- 99341「露光装置及びデバイス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日出願公開、特開2014-195099、請求項の数(42)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年12月13日(優先権主張 平成22年12月14日)を国際出願日とする特願2012-548652号の一部を平成26年5月13日に新たな特許出願としたものであって、平成27年2月10日付けで拒絶理由が通知され、同年4月14日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、同年8月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年10月9日に該拒絶査定を不服として審判請求がなされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1?42に係る発明は、平成27年4月14日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?42により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
パターンが形成されたマスクに近接して配置される感光性の基板上に前記パターンを転写する露光装置であって、
エネルギビームで前記マスクを照明する照明光学装置と、
前記マスクのパターン領域の周囲に配置された複数のアクチュエータと、該複数のアクチュエータの前記基板に対向する側の面に固定され、前記マスクの前記パターン領域の周囲領域を上方から保持する変形自在のチャック部材と、を有し、前記マスクに対して、少なくとも所定平面に平行な面内の力を作用させるマスク保持装置と、
前記基板を保持して前記所定平面に沿って移動する基板保持装置と、を備える露光装置。」


第3 原査定の拒絶の理由の概要
1 平成27年2月10日付けで通知した拒絶理由の概要
平成27年2月10日付けで通知した拒絶理由について、拒絶査定の理由である理由3の概要は、次のとおりである。

「 【理由3】
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1、43
・引用文献1、2
・備考:
請求項1に係る発明は、引用文献1または2の記載から、当業者であれば容易に想到しうることである。

・請求項2-4
・引用文献等1-3
・備考:
膜状部材からなるマスクチャックは、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献3を参照。)。

・請求項5-6
・引用文献等1-4
・備考:
マスクステージを平面モータによって駆動することは、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献4を参照。)。
引用文献1または2に開示されたマスク基板に面内応力を付与する手段として平面モータによる駆動力を採用するかどうかは、必要な応力値や安定性などを考慮して、当業者が適宜選択しうる設計事項である。

・請求項7-14
・引用文献等1-5
・備考:
露光時にマスク基板やウエハの凹凸を計測して平坦面となるように湾曲した状態で露光を行うことは、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献5を参照。)。

・請求項15-22
・引用文献等1-6
・備考:
基板表面情報計測装置として、基板の移動による気流の動圧による浮上体の位置情報を計測するものは、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献6を参照。)。
計測装置を複数段設けて精度を上げることは、計測装置の精度や信頼性に応じて、当業者が適宜選択しうる設計事項である。

・請求項23-24
・引用文献等1-7
・備考:
マスクとウエハとのプリアライメントを行った後、露光時に微動させることで正確なアライメントを実施する露光方法は、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献7を参照。)。

・請求項25-32
・引用文献等1-8
・備考:
露光フィールドの大きさを適宜切り替える露光方法は、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献8を参照。)。
引用文献1または2に開示された近接露光装置においても、露光フィールドの大きさを可変とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。

・請求項33-37
・引用文献等1-9
・備考:
近接露光において、ショットとショットの間のステップ移動時に、ウエハとマスクとの間隔を広げることは、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献9を参照。)。

・請求項38-42
・引用文献等1-10
・備考:
マスク異物検査装置やマスクの帯電除去装置を備えた露光装置は、当業者にとって周知の技術的事項である(必要であれば文献10を参照。)。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開平10-312957号公報
(特に、第5頁左欄42行目-右欄5行目を参照。)
2.特開2000-260690号公報
(特に、【0005】段落を参照。)
3.特開2007-005789号公報
4.特開平11-214302号公報
(特に、【0083】段落を参照。)
5.特開昭57-204547号公報
6.特開2007-242707号公報
7.特開2010-266561号公報
8.特開平05-190415号公報
9.特開2010-250239号公報
(特に、【0006】段落を参照。)
10.国際公開第2002/041375号」

2 平成27年10月9日付けでした拒絶査定の概要
平成27年10月9日付けでした拒絶査定の概要は、次のとおりである。

「この出願については、平成27年 2月10日付け拒絶理由通知書に記載した理由3によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
●理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項1
・引用文献等1-3
平成27年4月14日付け手続補正書における補正後の請求項1は、補正前の請求項1に対して請求項2の発明特定事項が追加されたものである。
また、上記手続補正書と同日付けで提出された意見書において、出願人は、補正前の請求項2の発明特定事項である「マスクのパターン領域の周囲に配置された複数のアクチュエータと、該複数のアクチュエータの前記基板に対向する側の面に固定され、前記マスクの前記パターン領域の周囲領域を上方から保持する変形自在のチャック部材」は、引用文献1-10のいずれにも開示されておらず当業者であれば容易に想到しうることではないと主張している。

引用文献1には、原版4に外力を加えるための3個の倍率補正部材33a(アクチュエータに相当。)が原版チャックベース30(チャック部材に相当。)の裏面に設けられた構成、すなわち、複数のアクチュエータの基板に対向する側の面に固定されたチャック部材も開示されている([0023]段落および図4を参照)。
引用文献1には、原版4のチャック部材が変形自在であることは開示がされていないが、原版4のチャック部材を倍率補正部材33aによる原版4の変形に追従して確実に原版をチャックできるように変形自在とすること、例えば文献3に例示されるような周知の膜状チャック部材を採用することは、当業者であれば容易に想到しうることである。
したがって、補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1の記載および当業者の周知技術から、当業者であれば容易に想到しうることである。

また、引用文献2には、マスクの倍率補正を行うための倍率補正機構3の基板に対向する側の面に、マスクのチャック部材を固定することは、記載も示唆もされていない。
しかしながら、マスクの倍率補正を行うための倍率補正機構3の基板に対向する側の面に、マスクのチャック部材を固定することは、上記したように引用文献1に開示されている。
したがって、補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1及び2の記載および当業者の周知技術から、当業者であれば容易に想到しうることである。

また、上記手続補正書による補正後の請求項2-42は、補正前の請求項3-43と同一である。
そして、上記各請求項に係る発明についての上記理由3は解消していない。
すなわち、請求項2-3に係る発明は引用文献等1-3から、請求項4-5に係る発明は引用文献等1-4から、請求項6-13に係る発明は引用文献等1-5から、請求項14-21に係る発明は引用文献等1-6から、請求項22-23に係る発明は引用文献等1-7から、請求項24-31に係る発明は引用文献等1-8から、請求項32-36に係る発明は引用文献等1-9から、請求項37-41に係る発明は引用文献等1-10から、請求項42に係る発明は引用文献等1-3から、それぞれ、当業者であれば容易に想到しうることである。

<引用文献等一覧>
1.特開平10-312957号公報
(特に、第5頁左欄42行目-右欄5行目を参照。)
2.特開2000-260690号公報
(特に、【0005】段落を参照。)
3.特開2007-005789号公報(周知技術を示す文献)
4.特開平11-214302号公報(周知技術を示す文献)
(特に、【0083】段落を参照。)
5.特開昭57-204547号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2007-242707号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2010-266561号公報(周知技術を示す文献)
8.特開平05-190415号公報(周知技術を示す文献)
9.特開2010-250239号公報(周知技術を示す文献)
(特に、【0006】段落を参照。)
10.国際公開第2002/041375号(周知技術を示す文献)」


第4 当審の判断
1 引用文献、引用発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-312957号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、露光装置におけるマスク等の原版のパターンをウエハ等の基板に高精度に転写する露光方法およびデバイス製造方法に関するものである。」

イ 「【0017】パターンが形成されているマスク等の原版4は原版チャック6に固定され、また、ウエハ等の基板5は基板チャック7に吸着保持され、基板チャック7はX方向およびY方向に移動可能な基板ステージ8に取り付けられており、発光光源から放射されるX線、紫外光あるいは可視光などの露光光2は、照明系3を経て原版4を照射し、原版4に形成されているパターンを基板5上に露光転写する。そして、原版4に荷重を加えることにより原版の倍率を補正する倍率補正機構10は倍率補正制御部11の出力信号に応じて駆動し、また、基板5を所望の位置に移動させるための基板ステージ8の駆動は、ステージ制御部12の出力信号によりなされ、基板5の位置、移動速度および加速度はステージ制御部12によって制御される。これらの倍率補正制御部11およびステージ制御部12は、1ショット露光中に、補正手段13の補正テーブルの指令値に基づいて倍率補正機構10および基板ステージ8を駆動させるように構成されている。なお、補正手段13の補正テーブルの詳細は後述する。」

ウ 「【0023】次に、倍率補正機構10の具体的な構成の一例を図4の(a)および(b)を用いて説明する。原版チャックベース30の裏面には、X方向に相対向して一対の倍率補正部材33aと33cが配設され、Y方向に相対向して一対の倍率補正部材33bと33dが配設されている。これらの倍率補正部材33a?33dはすべて同じ機構を有しており、X方向に配設された倍率補正部材33aについて説明する。倍率補正部材33aは、原版チャックベース30の一面に位置付けられた原版フレーム21と原版チャックベース30にそれぞれ設けられて重ね合わされた貫通孔35aと貫通孔37aに挿入される補正ピン36aと、この補正ピン36aをX方向に進退させるべくロッドを介して駆動するエアシリンダ34aからなり、エアシリンダ34aは原版チャックベース30の裏面に装着され、その圧力は倍率補正制御部11および補正手段13の補正テーブルの指令値に応じて制御される。また、原版フレーム21に設けられた貫通孔35aは、原版チャックベース30の貫通孔37aよりも小さく形成されている。このような構成により、エアシリンダ34aの圧力を変化させることにより、補正ピン36aはロッドを介して貫通孔37a内でX方向に移動し、補正ピン36aの側面が、原版フレーム21の貫通孔35aの内面をX方向に押したり引いたりする。したがって、倍率補正部材33aのエアシリンダ34aの圧力を制御することにより、補正ピン36aを介して、原版4にX方向に独立に圧縮力あるいは引張り力を加えることができる。他の倍率補正部材33b、33c、33dも同様の機構を備えており、それぞれのエアシリンダ34a?34dの圧力を倍率補正制御部11および補正手段13の補正テーブルの指令値に応じて制御することにより、原版4にX方向およびY方向にそれぞれ独立して圧縮力あるいは引張り力を加えて、原版4の倍率を、基板の倍率に合うように、変化させることができる。このように、本発明における倍率補正機構10は、1ショット露光中に、倍率補正制御部11および補正手段13の補正テーブルの指令にしたがって転写倍率を変化させる。例えば、ショット露光中に、基板は熱膨張によって図13の(c)に示すようにショット中心Oを中心として拡大する。そこで、上述したように倍率補正を制御することにより、基板の熱膨張によって生じる基板のショット中心Oを中心としたXおよびY方向への倍率変化をほぼゼロとすることができる。」

エ 図1


オ 図4


上記ア?オより、引用文献1には、
「マスク等の原版4は原版チャック6に固定され、また、ウエハ等の基板5は基板チャック7に吸着保持され、基板チャック7はX方向およびY方向に移動可能な基板ステージ8に取り付けられており、発光光源から放射されるX線、紫外光あるいは可視光などの露光光2は、照明系3を経て原版4を照射し、原版4に形成されているパターンを基板5上に露光転写する露光装置であって、
倍率補正部材33aは、原版チャックベース30の一面に位置付けられた原版フレーム21と原版チャックベース30にそれぞれ設けられて重ね合わされた貫通孔35aと貫通孔37aに挿入される補正ピン36aと、この補正ピン36aをX方向に進退させるべくロッドを介して駆動するエアシリンダ34aからなり、エアシリンダ34aは原版チャックベース30の裏面に装着され、その圧力は倍率補正制御部11および補正手段13の補正テーブルの指令値に応じて制御され、倍率補正部材33aのエアシリンダ34aの圧力を制御することにより、補正ピン36aを介して、原版4にX方向に独立に圧縮力あるいは引張り力を加えて、原版4の倍率を、基板の倍率に合うように、変化させることができる、露光装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-260690号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0005】そこで、X線露光装置における、倍率補正方法としてはマスク基板に面内応力や面外応力を作用させ、マスク基板を積極的に変形させメンブレン上のパターン倍率を制御する方法が提案されている。例えば、面内応力をマスク基板に作用させる従来例としては、特公平4-66095に示すように、マスクチャックのクランプ機構に機械的手段(電歪素子を利用)を設け、マスク支持フレームに変形を与える。結果として支持フレーム上のマスク基板が伸縮させられるものである。」

(3)原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-5789号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

ア 「【0026】
図2は、本発明の一実施例によるマスク・テーブルの平面図を示したものである。マスク・テーブルMTは、マスクMAが配置される領域に相対低圧力を生成し、それによりマスクMAをマスク・テーブルMTに吸着する真空クランプVCを備えている。真空クランプVCは真空領域VAを備えており、実質的にその上側の部分に比較的低い圧力が提供されている。真空クランプVCは、さらに、真空領域VAの境界を画定している吸着カップSCを備えている。図に示す実施例には2つの真空クランプVCが示されている。クランプVCは、マスクMAが配置される位置Lの端部に配置されている。真空クランプVCは、位置Lの長さに沿って走査方向Yに延在している。これらの真空クランプVCの位置は、投影ビームが通過する領域の中まで真空クランプVCが延在しないような位置である。真空クランプVCは、マスクMAの透過領域の中まで延在することができないため、マスクMAを所定の位置で保持するためにマスクMAに印加することができる真空力の量が制限されるように真空クランプのサイズが限定されている。これらの真空クランプVCは、板ばね2によってマスク・テーブルMTの上に取り付けられている。マスク・テーブルMTは、マスク・チャックMCを備えている。真空クランプVCは、詳細には板ばね2によってマスク・チャックMCの上に取り付けられている。板ばね2は、真空クランプVCの長さに沿って走査方向に延在している。真空クランプVC、CLは、真空クランプ領域VAを有する吸着カップCU、SCを有している(同じく図3参照)。吸着カップSCは、マスクMAを支持するために配置されている複数のこぶ6を備えている。吸着カップSCは、マスクMAの長さに沿って走査方向Yに真空クランプ効果を提供するように寸法決めされている。したがって吸着カップSCの寸法は、個々のマスクMAのサイズによって様々である。吸着カップSCの典型的な寸法は、走査方向Yに130mm、走査方向Yに直角のX方向に30mmである。」

イ 図3


2 対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
「パターンが形成されたマスクに近接して配置される感光性の基板上に前記パターンを転写する露光装置であって、
エネルギビームで前記マスクを照明する照明光学装置と、
前記マスクのパターン領域の周囲に配置された複数のアクチュエータを有し、前記マスクに対して、少なくとも所定平面に平行な面内の力を作用させるマスク保持装置と、
前記基板を保持して前記所定平面に沿って移動する基板保持装置と、を備える露光装置。」の点で一致している。

他方、本願発明と引用発明は、以下の相違点で相違している。
「マスク保持装置」が、本願発明では、「該複数のアクチュエータの前記基板に対向する側の面に固定され、前記マスクの前記パターン領域の周囲領域を上方から保持する変形自在のチャック部材」「を有」するのに対して、引用発明では、そのようなチャック部材を有しない点。

3 判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、「倍率補正制御部11および補正手段13の補正テーブルの指令値に応じて制御され、倍率補正部材33aのエアシリンダ34aの圧力を制御することにより、補正ピン36aを介して、原版4にX方向に独立に圧縮力あるいは引張り力を加えて、原版4の倍率を、基板の倍率に合うように、変化させることができる」ものである。これに対して、倍率補正制御部11と原版4との間に変形自在な部材を配置すると、倍率補正部材33aのエアシリンダ34aの圧力が原版4に伝わり難くなり、原版4の倍率を、基板の倍率に合うように、変化させることができなくなる。すなわち、倍率補正制御部11と原版4との間に変形自在のチャック部材を有するようにすることに、阻害要因がある。
したがって、引用文献3に記載された板ばねのような変形自在のチャック部材が周知技術であっても、引用発明に周知技術を適用して上記相違点にかかる構成とすることは、当業者といえも、容易に想到し得たこととすることはできない。
また、引用文献2にも変形自在のチャックについての記載はない。
よって、本願発明は、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

本願の請求項2?42に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。


第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1?42に係る発明は、いずれも、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-06-07 
出願番号 特願2014-99341(P2014-99341)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松岡 智也  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 松川 直樹
井口 猶二
発明の名称 露光装置及びデバイス製造方法  
代理人 立石 篤司  

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