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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B01D |
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管理番号 | 1315588 |
審判番号 | 不服2015-834 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-01-15 |
確定日 | 2016-06-09 |
事件の表示 | 特願2011-75754「ハニカムフィルタ及びハニカムフィルタの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月25日出願公開、特開2012-206079〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成23年3月30日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成26年 6月 6日付け:拒絶理由の通知 同年 7月29日 :意見書の提出 同年10月10日付け:拒絶査定 平成27年 1月15日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年11月25日付け:平成27年1月15日にされた手続補正についての補正却下の決定、当審による拒絶理由の通知 平成28年 1月21日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本件出願の請求項1?6に係る発明は、平成28年1月21日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「 【請求項1】 流体の流路となる複数のセルを形成する複数の多孔質の隔壁部と、 前記隔壁部上に形成され前記流体に含まれる固体成分を捕集する捕集層と、を備え、 電子顕微鏡による前記隔壁部上の撮影画像を材料領域と複数の細孔領域とに分割し、該各々の細孔領域に内接する最大内接円により求められる内接円直径分布でのメディアン細孔径D50が1μm以上6μm以下、且つ該内接円直径分布でのメディアン細孔径D80が1μm以上7μm以下を満たし、前記内接円直径分布により求められる内接円気孔率が35%以上60%以下を満たす所定の捕集領域が前記隔壁部上に存在し、 前記隔壁部は、少なくとも下流側端面から前記ハニカムフィルタの全長に対して20%の領域が前記所定の捕集領域であり、且つ下流側端面から前記ハニカムフィルタの全長に対して50%以下の領域が前記所定の捕集領域であり、 前記所定の捕集領域以外の領域は、前記内接円直径分布により求められる内接円気孔率が15%以上35%以下を満たす、 ハニカムフィルタ。」 第3 当審による拒絶理由の概要 平成27年11月25日付けで当審が通知した拒絶理由の一つは、概ね以下のとおりである。 本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 本願【0061】【表4】、【0062】【表5】には、本願発明の特定事項である、内接円気孔率が35%以上60%以下を満たす捕集層(「所定の捕集領域」)を得た旨記載されているが、本願の図7に開示されたSEM画像から認識、算出される内接円気孔率は、10%にも満たない。 したがって、本願の発明の詳細な説明は、「内接円直径分布により求められる内接円気孔率が35%以上60%以下を満たす所定の捕集領域が前記隔壁部上に存在する」ことを特定事項とする本願発明1に対し、実施可能要件を満たしているとはいえない。 第4 当審の判断 1.発明の詳細な説明の記載 本件出願の発明の詳細な説明には、次のとおりの記載がある。 a 「【図面の簡単な説明】 【0015】 【図2】捕集層24の細孔分布の測定位置の説明図。 【図3】SEM画像による捕集層の細孔分布の算出方法の説明図。 【図4】最大内接円の直径と積算面積との関係図。 ・・・ 【図6】隔壁部のみの表面、上流領域及び下流領域の隔壁部表面のSEM写真。 【図7】SEM画像から内接円直径分布を求める説明図。」 b 「【0024】 ここで、内接円直径分布でのメディアン細孔径D50,D80及び、内接円直径分布での内接円気孔率について詳しく説明する。隔壁部22上に形成された捕集層24の細孔分布や比表面積などは、ガス吸着測定や水銀圧入法などでも求めることが困難である。ここでは、隔壁上のSEM写真を撮影し、撮影したSEM写真を解析することにより、捕集層24を主とする細孔径や気孔率を求めるものとした。・・・試料は、図2の下段に示すように、隔壁部22と水平な面で切断するものとする。・・・次に、各切出試料の隔壁部22の表面に対して、任意の5視野のSEM写真を撮影する(図3上段参照)。・・・3つの切出試料、各5視野の計15のSEM画像を取得し、画像解析を実行してメディアン細孔径や気孔率値を計測し、その平均値を所定の捕集領域(下流領域)での値とする。ここでは、捕集層の内接円直径分布により求められるメディアン細孔径D50(μm)、捕集層のメディアン細孔径D80(μm)、捕集層の内接円気孔率(面積%)を求めた。なお、画像解析方法については、後述する。・・・ 【0025】 電子顕微鏡による隔壁部上の撮影画像を材料領域と複数の細孔領域とに分割し、この各々の細孔領域に内接する最大内接円により内接円直径分布を求め、この内接円直径分布から得られるメディアン細孔径D50、メディアン細孔径D80及び内接円気孔率を求める。図3中段に示すように、SEM画像30に対し、画像解析ソフトによる2値化処理を行い、材料領域33と細孔領域34とに分割する。・・・また、この2値化処理にて、取得された細孔領域に関して、50ピクセル未満のサイズのものは・・・これを排除し、50ピクセル以上のサイズのものを細孔領域と定義する。次に、図3下段に示すように、SEM画像30に含まれる複数の細孔領域34の各々に対し、その領域に内接する最大内接円36を描き、この最大内接円36の直径や個数などをカウントする。細孔領域は、様々な形状を有しているが、1つの領域に対して1つの最大内接円36を描くものとする。図4に示すように、横軸を最大内接円の直径とし、縦軸をこの最大内接円の積算面積としてプロットし、この分布より内接円直径分布によるメディアン細孔径D50、D80を算出することができる。また、観察視野全体の面積に対する最大内接円の積算面積の割合を内接円気孔率(面積%)とすることができる。」 c 「【0042】 (内接円直径分布) 電子顕微鏡による隔壁部上の撮影画像を材料領域と複数の細孔領域とに分割し、この各々の細孔領域に内接する最大内接円により内接円直径分布を求め、この内接円直径分布から得られるメディアン細孔径D50、メディアン細孔径D80及び内接円気孔率を求めた。SEMの膜面画像に対し、画像解析ソフトによる2値化処理を行い、材料領域と細孔領域とに分けた(図7中段参照)。・・・また、この2値化にて取得された細孔領域に関して、50ピクセル未満のサイズのものは・・・これを排除し、50ピクセル以上のサイズのものを細孔領域と定義した。次に、SEM画像に含まれる複数の細孔領域の各々に対し、その領域に内接する最大円を描き、この最大円の直径や個数などをカウントした。細孔領域は、様々な形状を有しているが、1つの領域に対して1つの最大内接円を描くものとした(図7下段参照)。この分布より内接円直径分布によるメディアン細孔径D50、D80を算出した。また、観察視野全体の面積に対する最大内接円の積算面積の割合を内接円気孔率(面積%)とした。」 d 「【0045】 このように、実験例6?10では、下流領域の捕集層の内接円直径分布により求められるメディアン細孔径D50を主として調整した。この細孔分布調整処理について説明する。・・・下流領域での原料平均粒径(μm)、製膜量(g/L)、供給空気流量(L/min)に加え、この条件で得られた下流領域でのメディアン細孔径D50(μm)をまとめて表1に示した。このようにして、下流領域のメディアン細孔径D50を主として種々の値に調整したハニカムフィルタを得ることができる。なお、実験例1?5においても同様の手法により、メディアン細孔径D50を調整した。」 e 「【0046】 」 f 「【0049】 ・・・このとき、実験例11?16では、下流領域には平均粒径3μmの捕集層原料粒子を用い、実験例17?23では、下流領域には平均粒径5μmの捕集層原料粒子を用いた。」 g 「【0052】 このように、実験例24?34では、下流領域の捕集層の内接円直径分布により求められる内接円気孔率を調整した。この細孔分布調整処理について説明する。内接円気孔率の調整は、捕集層を形成する原料の平均粒径を固定し、製膜時の供給空気流量を制御する事で捕集層の気孔率の調整を行った。流量が多いほど原料粒子が圧密されるため気孔率が低くなり、流量が少ないほど粒子が緩やかに堆積するため気孔率が高くなる。まず、下流領域以外の部分を吸水させて下流領域以外の透過抵抗を高めた状態とする。次に、捕集層原料粒子(平均粒径5μm)を、流量160L/min?720L/minに調整して空気を流通させ、下流領域での捕集層の形成量である製膜量を1.0g/Lとなるよう調整し、この下流領域に捕集層原料を堆積させた。・・・下流領域での原料粒径(μm)、製膜量(g/L)、供給空気流量(L/min)に加え、この条件で得られた下流領域での内接円気孔率(%)をまとめて表3に示した。このようにして、下流領域の内接円気孔率だけを種々の値に調整したハニカムフィルタを得ることができる。」 h 「【0053】 」 i 「【0061】 」 j 「 」 k 「 」 l 「 」 m 「 」 n 「 」 2.検討 本願発明は、前記「第2」に記載したとおりのものである。 また、前記「第3」の当審による拒絶理由の概要は、要するに、本件出願の発明の詳細な説明は、当業者が、「内接円直径分布により求められる内接円気孔率が35%以上60%以下を満たす所定の捕集領域が前記隔壁部上に存在する」ことを特定事項とする本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない、というものである。 ここで、前記1.に摘示した事項に基づいて、本件出願の発明の詳細な説明に記載されていた事項を整理すると、次のとおりの事項が開示されていたものと認められる。 ア 捕集層のSEM画像は、材料領域と複数の細孔領域とに分割されること。(摘示箇所a?c、j、k、n) イ 捕集層のSEM画像に含まれる複数の細孔領域の各々に対し、1つの最大内接円を描くこと。(摘示箇所a?c、j、k、n) ウ 捕集層のメディアン細孔径D50は、最大内接円の積算面積が50%となる点に対応する、最大内接円の直径であること。(摘示箇所a、b、j、l) エ 捕集層の内接円気孔率は、観察視野全体の面積に対する最大内接円の積算面積の割合を、面積%で表したものであること。(摘示箇所a、b、j、l) オ 捕集層のメディアン細孔径D50は、捕集層原料の平均粒径により調整されること。(摘示箇所d、e) カ 平均粒径5μmの捕集層原料粒子を用い、流量を220L/min?640L/minに調整して空気を流通させ、製膜量を1.0g/Lとなるように調整し、メディアン細孔径D50が3μm、内接円気孔率が35?60%となる下流領域の捕集層を形成したこと。(摘示箇所g?i) そこで、上記本件出願の発明の詳細な説明に記載されていた事項に基づいて、本願発明の条件を満たすものを製造することができるか否かを検討する。 (1)本願の図7には、「SEM画像から内接円直径分布を求める説明図」が開示されているが、「捕集層の内接円気孔率は、観察視野全体の面積に対する最大内接円の積算面積の割合」である(上記記載事項エ)ことに照らせば、当該SEM画像から認識、算出される内接円気孔率、すなわち、図7の「<隔壁+捕集層>」の最下段のSEM画像において、白い円で表されている最大内接円の面積の合計の、SEM画像全体の面積に対する割合は、本願発明における「所定の捕集領域」の下限値である「35%」にはるかに及ばず、10%にも満たないものと認められる。 また、本願の図6にも、「<下流領域>」とされるSEM写真が開示されているが、該SEM写真は、図7の「<隔壁+捕集層>」のSEM写真と同一の写真と認められることから、上記図7に対する理由と同様の理由により、図6から認識、算出される内接円気孔率も、上記「所定の捕集領域」の下限値である「35%」にははるかに及ばないものと認められる。 したがって、本件出願の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)には、内接円気孔率が35?60%の範囲にあると認められる捕集層、すなわち、本願発明における「所定の捕集領域」の捕集層にあたるSEM写真は具体的に開示されていないといえる。 なお、この点については、当審において作成した応対記録と、該応対記録に添付した、2016年2月29日に請求人から提出された回答書に記載のとおり、請求人に対し、本願発明に係る「内接円気孔率が35%以上」を満たす所定の捕集領域のSEM画像について釈明を求めたが、請求人は当該SEM画像の提示を行わなかった。 (2)そこで、「所定の捕集領域」に相当する下流領域の捕集層の内接円気孔率が、本願発明の下限値の「35%」である「実験例26」(上記1.の摘示箇所g?iを参照)について、捕集層が本願の図3(同摘示箇所k)に記載されたような構造を有するものとし、また、上記記載事項ア、ウ、カに基づいて、捕集層粒子(○)として、捕集層原料粒子の平均粒径と等しい直径5μmの円を用い、また、細孔領域の最大内接円(●)の直径が、全て捕集層のメディアン細孔径D50の値と等しい3μmである場合に、内接円気孔率が大きくなるように原料粒子を配置して作成した[参考図A]を以下に示す。 [参考図A](当審において作成) 上記[参考図A]にて、四角で囲まれた範囲は、一辺が15μmに相当するものであり、かかる範囲内には、直径3μmの最大内接円(●)が、おおよそ6個分包含されるものと認められる。 してみれば、上記[参考図A]において、本願発明で定義される内接円気孔率は下記のように算出されるが、これは、「実験例26」の内接円気孔率とされる「35%」を大きく下回る。 (1.5×1.5×π×6)/(15×15)≒0.188=18.8% 一方、 (15×15)×0.35/(1.5×1.5×π)≒11.1 であるから、本願発明の定義に照らせば、「内接円気孔率が35%」となるためには、上記[参考図A]中の四角で囲まれた一辺15μmの範囲内に、最大内接円(●)の直径が3μmの細孔領域を、おおよそ11個以上収める必要があるといえる。 しかしながら、「捕集層のSEM画像に含まれる複数の細孔領域の各々に対し、1つの最大内接円を描く」(上記記載事項イ)ことに照らせば、各々の細孔領域は、捕集層粒子(○)により形成される材料領域によって区画されていなければならず、一辺15μmの範囲内に、最大内接円(●)の直径が3μmとなる11個の細孔領域を配置し、更に、それらを直径5μmの円で表される捕集層粒子(○)で形成される材料領域によって個々の細孔領域に区画するのが幾何的に不可能であることは、上記[参考図A]からみて明らかである。 「所定の捕集領域」に相当する下流領域の捕集層の内接円気孔率が、本願発明の下限値の「35%」とされる「実験例26」についてみても上記のとおりであるから、内接円気孔率がより大きい、本願明細書等に開示されたその他の実験例においても、同様のことがいえる。 したがって、本件明細書等には、「所定の捕集領域」に相当する下流領域の捕集層の内接円気孔率が35?60%となる実験例が開示されてはいるものの、そのような内接円気孔率を有する捕集層とは具体的にいかなるものであるかについて、本件出願の発明の詳細な説明の記載から、当業者は合理的に理解することができない。 (3)なお、最大内接円(●)の直径を固定したとき、捕集層粒子(○)で形成される材料領域の幅を狭くすれば、本願発明で定義される内接円気孔率を大きくとることができるから、仮に捕集層粒子(○)を表す直径を、実験例の平均粒径よりも小さくし、材料領域の幅を狭くした例についても検討する。 ここで、上記記載事項オのとおり、捕集層のメディアン細孔径D50は、捕集層原料の平均粒径により調整することができるとされる。 しかしながらその一方で、上記1.の摘示箇所d?iからみて、捕集層のメディアン細孔径D50は、捕集層原料の平均粒径よりも大きくはならないものと理解される。 そこで、捕集層粒子(○)を表す円の直径を、細孔領域の最大内接円(●)の直径と同じになるまで小さくできるものと仮定し、かつ、本願発明で定義される内接円気孔率が最大となるように原料粒子を配置して作成した[参考図B]を以下に示す。 [参考図B](当審において作成) 上記[参考図B]によれば、一辺が2X[μm]の正六角形で囲まれた領域の中心に、直径2X[μm]の最大内接円(●)を配した単位領域が繰り返されることになるから、上記[参考図B]における内接円気孔率は、下記のように算出される。 (X^(2)×π)/(√3×X^(2)×6)≒0.302=30.2% ここで、最大内接円(●)の直径を固定して、捕集層粒子(○)を表す円の直径を大きくすれば、材料領域の幅は相対的に広くなるから、本願発明で定義される内接円気孔率の値は、上記の「30.2%」より小さくなることが明らかである。 そして、上記のとおり、捕集層のメディアン細孔径D50は、捕集層原料の平均粒径よりも大きくはならないものと理解されるから、上記仮定に従い、材料領域の幅を、本願明細書等の記載から予測可能な範囲で狭くしたとしても、得られる捕集層の内接円気孔率は「最大で30.2%」であり、本願発明に係る「内接円気孔率が35?60%」の捕集層を得ることは不可能である。 (4)上記[参考図A、B]を用いた検討、及び、本件明細書等には、本願発明の捕集層の具体的なSEM画像が開示されていないことに照らせば、当業者は、本件出願の発明の詳細な説明の記載から、「内接円直径分布により求められる内接円気孔率が35%以上60%以下を満たす所定の捕集領域」が具体的にいかなるものであり、また、具体的にどのようにして得るのかを、合理的に理解することができない。 (5)本願【0033】にも記載のとおり、本願発明は、捕集層の細孔状態を、従来知られていた「ガス吸着測定」や「水銀圧入法」にかえて、「SEM画像から得られる内接円直径分布により求められる内接円気孔率」という新規なパラメータによって特定しようとするものであり、本件出願の出願時において、該「内接円気孔率」の制御に関する技術常識は存在しない。 そして、「捕集層を形成する原料の平均粒径を固定し、製膜時の供給空気流量を制御する」(1.の摘示箇所gを参照)という記載をはじめ、その他本件出願の発明の詳細な説明の記載全体を考慮しても、技術的に合理性のある具体的な実験例の開示によることなく、「内接円気孔率が35%以上60%以下を満たす捕集層」を得る具体的手段を当業者が合理的に理解し、本願発明を実施することができるとはいえない。 3.まとめ よって、本件出願の発明の詳細な説明は、「内接円直径分布により求められる内接円気孔率が35%以上60%以下を満たす所定の捕集領域が前記隔壁部上に存在する」点において、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていたとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり、本件出願の発明の詳細な説明の記載は、本願発明を、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-04-01 |
結審通知日 | 2016-04-05 |
審決日 | 2016-04-19 |
出願番号 | 特願2011-75754(P2011-75754) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(B01D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 目代 博茂 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
大橋 賢一 永田 史泰 |
発明の名称 | ハニカムフィルタ及びハニカムフィルタの製造方法 |
代理人 | 特許業務法人アイテック国際特許事務所 |