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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1315676
異議申立番号 異議2016-700192  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-07 
確定日 2016-05-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第5775699号「ナビゲーション装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 特許第5775699号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯

特許第5775699号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は,平成23年2月3日に特許出願され,平成27年7月10日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許(以下「本件特許」という。)に対し,平成28年3月7日に特許異議申立人星野裕司(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

2 申立理由の概要

異議申立人は,証拠として,甲第1号証(特開2008-292279号公報),甲第2号証(特開2004-363871号公報),甲第3号証(特開2009-210269号公報)及び甲第4号証(特開2006-17572号公報)を提出し,本件特許の請求項1ないし3に係る特許発明は,甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明により,当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,請求項1ないし3に係る特許を取り消すべきものである旨,主張している。

3 本件特許発明

特許第5775699号の請求項1ないし3に係る特許発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される,次のとおりのものである(以下,それぞれ,「本件特許発明1」,「本件特許発明2」,「本件特許発明3」という。)。
なお,A?Oについては,説明のために,異議申立人が付したものを参考にして,当審にて付したものである(以下,「構成要件A」,「構成要件B」などと称する。)。

[本件特許発明1](請求項1)
A 地図を表示し目的地までの経路を案内するとともに,指示された地点を登録地点として登録するナビゲーション装置において,
B 移動体に設けられた撮影装置から入力される撮影像に写っている文字を文字認識する文字認識手段と,
C 前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得手段と,
D 登録する地点の名称の入力を受け付ける入力手段と,を備え,
E 前記移動体の移動中に,前記文字認識手段によって前記撮影装置の撮影像に対して文字認識し,名称を示す文字が検出された場合に,当該名称が写った撮影像を撮影画像として取り込み,当該撮影画像を,取り込み時の移動体の位置情報,及び前記名称と対応付けて記憶装置に記憶し,
F 前記入力手段により受け付けた名称に対応する撮影画像,及び,位置情報を前記記憶装置から取り出し,当該位置情報が示す位置を登録する地点とし,名称及び撮影画像と対応付けて登録地点に登録し,
G 前記登録地点の位置情報に基づいて前記登録地点を示すアイコンを地図上に表示することを特徴とする
H ナビゲーション装置。

[本件特許発明2](請求項2)
I 前記入力手段は,
J 音声入力を受け付ける音声入力手段と,
K 音声を認識する音声認識手段と,を備え,
L 登録する地点の名称を示す音声が前記音声認識手段により認識されたときに,認識された名称に対応する撮影画像,及び,位置情報を前記記憶装置から取り出し,当該位置情報が示す位置を登録する地点とし,名称及び撮影画像と対応付けて登録地点に登録することを特徴とする
M 請求項1に記載のナビゲーション装置。

[本件特許発明3](請求項3)
N 前記音声認識手段により認識された名称に対応する撮影画像が前記記憶装置に記憶されていない場合,当該名称を保持し,当該名称に対応する撮影画像が記憶されたときに,当該撮影画像,位置情報,及び名称を対応付けて登録地点に登録することを特徴とする
O 請求項2に記載のナビゲーション装置。

4 甲第1号証ないし甲第4号証の記載事項

(4-1)甲第1号証の記載事項

甲第1号証(特開2008-292279号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は,カメラを持つ移動体において移動中に位置情報を取得し,位置情報に関連づけられた文字情報を利用するナビゲーション装置に関する。」

イ 「【0005】
移動体のナビゲーション装置において,データベースへの情報追加は利用者の期待とは必ずしもマッチしない基準や更新頻度で行われるため実際の施設状況の改変に追いつかないといった問題が,またデータベース提供者が網羅できないローカルな情報は利用者が手動で登録しなければ利用できないといった問題があった。
【0006】
例えば新しく出来た郊外スーパーAといった施設名の情報はデータベース上に存在しないため行き先検索で指定出来ず,更新されたデータが供給されるのを待つか,利用者が手動で入力するしかなく,また新しい物でなくともB商店といった様なローカルである為にデータベースが網羅できない施設・店舗名称は,利用者が手動で登録する以外にデータベースへ追加する手段がなかった。
【0007】
また上述の利用者が手動で情報を追加するケースでは,一般にナビゲーション装置の文字入力は漢字入力に多くの操作ステップを伴う為,利用者は編集から早期に運転に移行したいという意識から近傍住所名の自動入力で仮入力を済ませてしまうケースがあり,こうしたデータは事後の検索が困難であるため再編集もされず結果的に死蔵されてしまうことも多かった。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり,目的はカメラ装置と画像認識により位置情報と関連づけた文字情報を得る事で,データベースの更新を随時,可能な限り自動で行うことにある。」

ウ 「【0016】
上述したように,本発明のナビゲーション装置またはナビゲーションシステムによれば,移動体が実際にカメラで撮影した画像に含まれる看板等の施設名を文字認識により自動的に入力していく為,ナビゲーション用データベースの更新が追いつかない新規の施設名や,データベース提供者が登録する基準を満たしていないローカルな施設名が,生活圏に即した範囲でナビゲーション用データベースに追加される。
【0017】
このためナビゲーション用データベースに名称検索や行き先指定,新規ポイント指定などで期待する名称が登録されている可能性が高まる。」

エ 「【0021】
図1は第一の実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置1はナビゲーションコントローラ10,車両/歩行者位置検出部11,カメラ12,ディスプレイ装置13,操作部14を含んで構成されている。
【0022】
ナビゲーションコントローラ10は移動体,すなわち車両又は歩行者周辺の地図表示,経路探索,施設案内等を行う為にナビゲーション装置全体の動作を制御するものである。このナビゲーションコントローラ10はCPU,ROM,RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することにより実現される。
【0023】
車両/歩行者位置検出部11は移動体,すなわち車両又は歩行者の位置情報(緯度,経度)を検出し,ナビゲーションコントローラ10に出力するものである。GPS受信機,方位センサ,加速度センサ,距離メータ等により実現される。」

オ 「【0028】
ナビゲーション動作処理部100は,地図情報格納部101に格納された地図情報と文字情報/位置情報格納部102に格納された文字情報/位置情報を用いて,地図情報の表示を行うための画像データ生成や,文字情報から位置情報の検索,経路検索,ランドマーク表示などの所定のナビゲーション処理を行う。また,車両/歩行者位置検出部11からの入力や,地図情報格納部101の情報,各種センサの情報を処理して得られた確定位置情報(緯度,経度)を認識文字登録判定部205へ出力する。」

カ 「【0030】
文字認識部202は,認識除外範囲処理部200から出力される認識除外範囲をマスクされた画像に対して文字認識処理を行う。」

キ 「【0032】
認識文字登録判定部205は,認識文字照合部204より入力された文字情報とナビゲーション動作処理部100より入力される確定位置情報を使用し,文字情報/位置情報格納部102の情報に対して類似候補検索を行う。文字情報/位置情報格納部102より得られた類似候補と比較し,類似の情報が無いと判定した場合,認識文字照合部204から得られた文字情報とナビゲーション動作部100より得られた確定位置情報を関連づけて文字情報/位置情報格納部102に登録する。」

ク 「【0033】
本実施形態のナビゲーション装置1は以上のような構成をとる。続いて動作を詳細に説明する。図2はカメラ12により撮影された画像から文字認識を行い,新規情報を登録するナビゲーション装置1の動作手順を示すフロー図である。なおこの図2に示す一連の処理は一定周期で繰り返し行われるものとする。
【0034】
画像撮影と位置情報取得(ステップ100)
まず移動体に搭載されたカメラ12で撮影を行い,認識除外範囲処理部200へ出力する。同時にナビゲーション装置100では車両/歩行者位置検出部11から出力される情報と各種センサ情報から確定位置情報を生成する。」

ケ 「【0035】
除外範囲判定(ステップ101)
認識除外範囲処理部200において,カメラ12から得られた画像データを除外特徴格納部201のデータと比較し,標識など新規に位置情報と関連づける必要のない文字情報が含まれる除外領域を特定する。続いて後段の文字認識部202で認識しないように除外領域を均一な色情報に置き換える処理を行う。また移動体が車両である場合,正面及び左右車線の車両が付帯する文字情報を認識してしまわないよう固定範囲除外処理も同時に行う。
【0036】
具体的に除外範囲を指定する例として,車両に設置されたカメラからの入力画像例を図3(a)に示す。図3(a)には正方形かつ青地に白ふちといった案内標識テンプレートに適合する画像領域110が存在する。また,車両に設置されていることから正面中央域120には車両が存在する確立が高く,この領域で文字認識を行っても位置情報と関連づけるのに適した名称が得られる確立は低い。こうした領域を固定色に置き換えた例を図3(b)に示す。110は130のように,120は140のように塗りつぶされることで,誤登録を防ぐと共に認識処理の負荷を低減させる。
【0037】
文字認識(ステップ102)
文字認識部202において,認識除外範囲処理部200から入力された画像に対して文字認識を行い,文字情報を文字情報照合部204へ出力する。入力画像例を図3(b)に示す。この場合,文字認識されるのは図3(c)における150の「50m先工事中」,160の「ABC」,170の「DEFG」の3フレーズとなる。
【0038】
認識文字照合(ステップ103)
認識文字照合部204において,文字認識部202より入力された文字情報が除外文字格納部203に格納されている文字情報が含まれるか照合を行う。「工事中」,「右折」,「km」といった位置情報に関連付ける必要の無い文字を含む文字情報はここで削除される。照合を行った結果残った文字情報は認識文字登録判定部205へ出力する。入力画像例図3(c)にて認識される文字のうち,150の「50m先工事中」がステップ103において削除される文字情報となる。
【0039】
類似文字情報の除外(ステップ104)
認識文字登録判定部205において,認識文字照合部204より入力された文字情報を使用して,文字情報/位置情報格納部102に格納されている情報に類似検索を行う。文字情報/位置情報格納部102からは類似検索に適合性の高い数個の文字情報が,関連付けられた位置情報と併せて入力され,認識文字登録判定部205は認識文字照合部204からの入力とナビゲーション動作処理部100より入力された確定位置情報を関連づけた上でこれらを比較する。結果,類似性の高い認識文字照合部204からの文字情報を除外し,残った文字情報と確定位置情報を出力する。
【0040】
具体的な例として,文字情報/位置情報格納部102に「ABC」「DEFG」の検索を行い,類似文字情報として「ABC」が一定近傍範囲内に既に存在する事,「DEFG」は存在しないという結果が得られたとすると,「ABC」は出力情報から除外される事となる。」

コ 「【0041】
新規文字情報/位置情報登録(ステップ105)
認識文字登録判定部205において,ステップ104で除外されない文字情報/位置情報がある場合,これを新規のデータとして文字情報/位置情報格納部102へ登録する。このようにして,新たに出現した施設看板を文字認識し,位置情報と関連づけて記録することで文字情報/位置情報データベースに自動的に追加していくことが出来る。」

(4-2)甲第2号証の記載事項

甲第2号証(特開2004-363871号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。

ア 「【0026】
本発明のデータ保存装置は,画像,映像,音声の電子データに対してインデクスを付加するために,
(1)画像,映像,音声の電子データを取得する,電子データ取得手段と,
(2)画像,映像,音声の電子データを取得する際に,同時に位置情報を取得する,位置情報取得手段と,
(3)画像,映像,音声の電子データを取得する際に,同時に時刻情報を取得する,時刻情報取得手段と,
(4)上記(2),(3)から得られる結果以外の情報として,電子データから認識した情報をインデクスとして指定して付与する,インデクス付与手段(認識手段)と,
(5)画像,映像,音声の電子データと上記(2)?(4)より得られたインデクスとを関連付けて保存する,データ保存手段と,
(6)データ保存手段により保存された電子データから,利用者の必要とする電子データ探し出す,検索手段と,
(7)検索手段により電子データを探し出すために必要な検索キーを入力する検索項目指定手段と,
(8)検索手段により得られた利用者に必要な情報を表示する,電子データ表示手段とを備えるように構成する。」

イ 「【0028】
本発明の構成では,電子データ取得手段において取得した,前記画像,映像,音声の電子データに対して,既存の認識手法を適用して認識を行う認識手段を備え,認識結果をインデクスとしてデータ保存手段において前記画像,映像,音声の電子データと関連付けて保存する。
【0029】
このとき,前記画像,映像データに対して文字認識手段による文字認識処理を行い,認識結果をインデクスデータとして使用することもある。あるいは,このとき,前記画像,映像データに対して顔認識手段による顔認識処理を行い,認識結果をインデクスデータとして使用することもある。あるいは,このとき,前記画像,映像データに対して物体認識手段による物体認識処理を行い,認識結果をインデクスデータとして使用することもある。さらに,このとき,前記音声データに対して音声認識手段による音声認識処理を行い,認識結果をインデクスデータとして使用することもある。」

ウ 「【0041】
次に,データ保存手段5に保存されている情報を利用する処理について説明する。
【0042】
先ず初めに,利用者は検索項目指定手段6において,どのような条件で前記画像,映像,音声の電子データを検索するのか,検索条件を指定し,指定された検索条件を検索手段7へ送る。検索条件の指定には,図2の画面1のように,検索条件をテキスト形式で入力するのか,あるいは位置情報を条件として,地図情報から検索を行うのか,あるいは時刻情報を検家条件として,カレンダーから検索を行うのかを指定する。」

エ 「【0056】
図7は,本発明の第1の実施形態例におけるデータ保存方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0057】
図7では,通信ネットワークに接続せずに,利用者の所有する携帯端末上での処理の流れのみを示し,通信ネットワーク上に設置したデータ保存装置を利用する場合の処理の流れについては,図9に示す。
【0058】
本実施形態例では,先ず初めに前記画像,映像,音声の電子データ取得するとともに,同時にその取得時の位置情報,時刻情報を取得し(ST1),これらの取得情報を前記電子データと関連付けし(ST2),関連付けられた電子データと取得情報とを保存する(ST3)。次いで,保存された電子データに対して,異なる検索条件での検索を容易にするために,前記電子データに対して認識処理を行い(ST4?13),その結果も前記電子データと関連付けて(ST2),保存する(ST3)。
【0059】
図8は,第1の実施形態例におけるデータ検索方法の処理の流れを表すフローチャートである。図8では,通信ネットワークに接続せずに,利用者の所有する携帯端末上での処理の流れのみを示し,通信ネットワーク上に設置したデータ保存装置を利用する場合の処理の流れについては図10に示す。
【0060】
本実施形態例では,利用者は先ず初めに,位置情報,時刻情報,認識結果のいずれを検索項目として使用するのかを選択する(ST14)。ここで選択された検索項目に従い,次いで,その項目の詳細な情報(検索キー),例えば時刻情報の場合は,検索したい日付を入力として与え(ST15),記録されている情報の検索を行う(ST16)。このとき,入力した日付と合致する日付(即ち,検索キーに合致もしくは類似する関連情報)に保存された前記電子データが存在する場合(ST17)は,その結果を出力し(ST18),存在しない場合は,再度検索項目の指定,検索キー(日付など)を入力として与え,再度検索を行う(ST19)。」

(4-3)甲第3号証の記載事項

甲第3号証(特開2009-210269号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。

ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,上記従来のカーナビゲーション装置においては,常に自動車が目的地に到達して駐車された時点で撮影された画像が登録されるため,上述の如くその後に目的地を設定する際にディスプレイに表示される撮影画像が目的地を適切に表わす画像であるとは限らない問題があった。例えば,目的地がファミリーレストランであって,自動車が後部をファミリーレストランに向けて駐車された場合には,撮影方向を自動車の前方に向けて配備されているカメラによっては駐車場が撮影されることとなり,ファミリーレストランについて駐車場を表わす撮影画像がディスプレイに表示されることになる。
そこで本発明の目的は,常に目的地を適切に表わす撮影画像を登録することが可能なナビゲーション装置及び該装置における地点登録方法を提供することである。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下,本発明の実施の形態につき,図面に沿って具体的に説明する。
図1に示す本発明に係るカーナビゲーション装置は,GPS(Global Positioning System)測位機能を有しており,GPS処理回路(2)では,図示省略するGPSアンテナによって受信された信号に基づいて自動車の現在位置の経度及び緯度が測定され,その測定結果を表わす位置情報が制御回路(1)に供給される。又,ジャイロスコープ(3)により自動車の角速度が検出されて,その検出信号が制御回路(1)に供給されると共に,車速検出回路(4)により自動車の走行速度が検出されて,その検出信号が制御回路(1)に供給される。
【0013】
制御回路(1)には,複数の操作スイッチからなる操作スイッチ群(5),撮影方向を自動車の前方に向けて配備されたカメラ(6),地図や撮影画像等の種々の情報を表示するためのディスプレイ(7),及びハードディスクドライブ装置や不揮発性メモリからなる記憶装置(8)が接続されており,該記憶装置(8)には,地図データ,住所データ,設定データ等の各種の情報が格納されている。
制御回路(1)は,GPS処理回路(2)から得られる位置情報に応じた地図データを記憶装置(8)から読み出し,該地図データをディスプレイ(7)に表示すると共に,GPS処理回路(2)から得られる位置情報,ジャイロスコープ(3)から得られる角速度検出信号及び車速検出回路(4)から得られる速度検出信号に基づいて,自動車の現在位置を前記地図データ上に表示する。
【0014】
本発明に係るカーナビゲーション装置においては,GPS処理回路(2)から得られた位置情報とカメラ(6)によって撮影された複数枚の撮影画像の中からユーザにより選択された1枚の撮影画像とを互いに関連付けて登録することが可能であって,上記記憶装置(8)には,自動車の走行開始後,図2に示す地点情報テーブルが作成されて格納されると共に,ユーザ操作に応じて,図3に示す地点登録テーブルが作成されて格納される。
【0015】
ユーザが自動車に走行を開始させる際にアクセサリー電源をオンに設定すると,その後,後述のタイミングでカメラ(6)による画像撮影が行なわれ,これによって得られる画像データとそのときにGPS処理回路(2)から得られる位置情報とが図2に示す地点情報テーブルに書き込まれる。ここで,画像撮影は,自動車の走行速度が所定速度(例えば20km/h)以上低下したとき,自動車が右折或いは左折したとき,及び自動車が前回の撮影位置から所定距離(例えば500m或いは1km)だけ移動したときに行なわれる。
その後,自動車が目的地に到達してユーザが自動車のアクセサリー電源をオフに設定すると,その時点でカメラ(6)による画像撮影が行なわれ,これによって得られる画像データとそのときにGPS処理回路(2)から得られる位置情報とが図2に示す地点情報テーブルに書き込まれる。」

ウ 「【0018】
画像選択画面がディスプレイ(7)に表示されている状態で,ユーザが操作スイッチ群(5)に対して前記複数枚の撮影画像の中から1枚の撮影画像を選択する操作を行なうと,地点情報テーブルから前記選択されたグループについての最新の位置情報及び選択された撮影画像を表わす画像データが読み出され,読み出された位置情報及び画像データが図3に示す地点登録テーブルに書き込まれる。
【0019】(中略)
【0020】
その後,ユーザが目的地の設定を行なうべく操作スイッチ群(5)に対して複数のメニューの中から目的地設定メニューを選択する操作を行なうと,上記地点登録テーブルから1或いは複数の地点についての位置情報及び画像データが読み出され,各地点について読み出された位置情報に応じた住所と画像データが表わす撮影画像とを含む図11に示す目的地選択画面がディスプレイ(7)に表示される。この状態で,ユーザが操作スイッチ群(5)に対して複数の地点の中から目的地とする1つの地点を選択する操作を行なうと,地点登録テーブルから選択された地点についての位置情報が読み出され,該位置情報とその時点でGPS処理回路(2)から得られる位置情報とに基づいて現在位置から目的地までの経路が探索されて,経路探索の結果がディスプレイ(7)に表示される。」

エ 「【0026】
上記手続きによれば,自動車のアクセサリー電源がオンに設定されてからオフに設定されるまでの間,自動車の走行速度が所定速度以上低下したとき,自動車が右折或いは左折したとき,自動車が前回の撮影位置から所定距離だけ移動したとき,及びアクセサリー電源がオフに設定されたときに,カメラによる画像撮影が行なわれると共にGPS処理回路から位置情報が取得され,これによって得られる複数枚の撮影画像を表わす複数の画像データ及び複数の位置情報が,図2に示す地点情報テーブルに1つのグループとして地点毎に順次書き込まれることになる。
【0027】
図7は,上記制御回路(1)によって実行される地点登録手続きを表わしており,先ずステップS21にて,複数のメニューの中から地点登録メニューが選択されたか否かを判断し,ユーザにより地点登録メニューを選択する操作が行なわれてイエスと判断された場合は,ステップS22に移行して,地点情報テーブルから1或いは複数のグループについて夫々,最新の位置情報及び全ての画像データを読み出した後,記憶装置に格納されている住所データの中から読み出した位置情報に応じた住所データを検索し,検索の結果得られた住所データと読み出した画像データとに基づいて図9に示すグループ選択画面をディスプレイに表示する。
次に図7のステップS23では,前記1或いは複数のグループの中から1つのグループが選択されたか否かを判断し,ノーと判断された場合はステップS23にて同じ判断を繰り返す。一方,ユーザにより1つのグループを選択する操作が行なわれた場合には,ステップS23にてイエスと判断されてステップS24に移行し,地点情報テーブルから選択されたグループについての複数の全ての画像データを読み出し,読み出した複数の画像データに基づいて図10に示す画像選択画面をディスプレイに表示する。
【0028】
続いて図7のステップS25では,ディスプレイに表示されている複数枚の撮影画像の中から1枚の撮影画像が選択されたか否かを判断し,ノーと判断された場合はステップS25にて同じ判断を繰り返す。一方,ユーザにより1枚の撮影画像を選択する操作が行なわれた場合には,ステップS25にてイエスと判断されてステップS26に移行し,地点情報テーブルから選択されたグループについての最新の位置情報及び選択された撮影画像を表わす画像データを読み出し,読み出した位置情報及び画像データを図3に示す地点登録テーブルに書き込む。
【0029】
上記手続きによれば,ユーザが複数のメニューの中から地点登録メニューを選択する操作を行なうと,図9に示すグループ選択画面がディスプレイに表示され,この状態でユーザが地点登録を行なわんとする1つのグループを選択する操作を行なうと,選択されたグループについての図10に示す画像選択画面がディスプレイに表示される。その後,この状態でユーザが登録せんとする所望の1枚の撮影画像を選択する操作を行なうと,前記選択されたグループについての最新の位置情報,即ち目的地の位置情報と選択された撮影画像の画像データとが地点登録テーブルに書き込まれることになる。」

オ 「【0032】
本発明に係るカーナビゲーション装置においては,自動車が目的地に到達するまでの地点及び目的地にて撮影された複数枚の撮影画像の中から登録せんとする撮影画像を選択することが出来るので,常に目的地を適切に表わす撮影画像を地点登録テーブルに登録することが出来る。従って,その後に目的地を設定する際には,地点登録テーブルに登録されている1或いは複数の地点について夫々,各地点を適切に表わす撮影画像を表示させることが出来,各地点を容易に認識することが出来る。
例えば,自動車が図4に示すA地点?H地点を順次通過してI地点に到達し,I地点にて駐車された場合,従来のカーナビゲーション装置においては,I地点での撮影画像とI地点の位置情報とが登録されることになるが,カメラは撮影方向を自動車の前方に向けて配備されているので,該撮影画像は目的地ではなく駐車場を表わすものとなる。これに対し,本発明に係るカーナビゲーション装置においては,A?I地点での撮影画像の中から目的地を適切に表わす撮影画像,例えば目的地の看板が写っているC地点やD地点での撮影画像,或いは目的地が写っているE地点やF地点での撮影画像を登録することが出来る。」

(4-4)甲第4号証の記載事項

甲第4号証(特開2006-17572号公報)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。

ア 「【要約】
【目的】新たな案内地点のユーザ登録が簡便に且つ確実な案内がなされる車載用ナビゲーション装置を提供する。
【構成】車載用ナビゲーション装置10は,地図データ上の任意地点をユーザ登録地点Pとして登録するとともに,その位置座標データXと,マイク1の音声入力手段で入力されたユーザ登録地点Pに関する情報の外部音声の音声データSと,これを音声認識手段によって文字化した文字データMとを対応させて記憶装置6に保存するユーザ登録地点登録手段と,ユーザ登録地点Pを経路案内の地図上の該当位置にアイコン表示するユーザ登録地点表示手段と,経路案内中にユーザ登録地点Pに接近した場合に,記憶装置6に保存された当該ユーザ登録地点Pに対応する音声データSを再生してスピーカ26から音声出力するとともに,表示装置8の画面上に文字データMを表示するユーザ登録地点案内手段と,を備える構成である。」

イ 「【0014】
本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施の形態の好適な例を図面に基づいて説明する。なお,車載用ナビゲーション装置として一般的な公知技術となっている現在位置情報取得手段,マップマッチング,地図情報表示手段などは本発明の車載用ナビゲーション装置でも同様なので説明を省略し,専ら本発明の主旨であるユーザ指定の新たな案内地点の音声による案内内容の記憶とその地点の案内手段について説明する。
【0015】(中略)
【0016】
図1において,車載用ナビゲーション装置10は,地図データ上の指定された任意地点をユーザ登録地点Pとして登録するとともに,マイク1の音声入力手段で入力されアンプ2で増幅されA/Dコンバータ3でデジタルデータ化されたユーザの発した前記ユーザ登録地点Pに関する情報の外部音声の音声データSと,簡略図示されたGPSと各種センサーとマップマッチングなどによる位置検出手段11によって得られる指定された任意地点としての現在位置或いは地図上の一点をデジタイジングにてポイント指定することにより地図データベース6aから得られる当該指定された任意地点の位置座標データXと,前記音声データSを音声認識装置4の音声認識手段によって文字化した文字データMとを対応させてフラッシュROMやHDDなどの記憶装置6に保存するユーザ登録地点登録手段と,前記ユーザ登録地点Pを,表示装置8の画面に示された経路案内の地図上の該当する位置にアイコン表示するユーザ登録地点表示手段と,経路案内中に前記ユーザ登録地点Pに接近した場合に,前記記憶装置6に保存された当該ユーザ登録地点Pに対応する音声データSを記憶装置6から読み出してD/Aコンバータ7にてアナログ音声信号に変換してスピーカ26から再生出力するとともに,前記表示装置8の画面上に当該ユーザ登録地点Pに対応する前記文字データMを前記記憶装置6から読み出して表示するユーザ登録地点案内手段と,を備える構成である。なお,図1には,ユーザの発する音声とともに入力される外部ノイズを分離除去するためのノイズフィルタ(音声周波数領域のみを通す帯域フィルタなど)は図示省略されている。また,スピーカ26を駆動するオーディオ再生部も図示省略されている。」

ウ 「【0019】
(1)ユーザ登録地点(走行中における現在地点)の登録のフロー
図2において,
(a)ユーザ(運転者または同乗者)がキー入力部9の単純なキー操作によって所定のユーザ登録開始のスタート操作を行うと,
(b)その時点の現在地点がユーザ登録地点Pとして決定され,その位置座標(緯度経度データ)Xが記憶装置6に記憶保存される。
(c)次に,ユーザはマイク1で自身による前記ユーザ登録地点Pの案内の音声を入力し,この案内の音声の音声データSが記憶装置6に記憶保存される。
(d)同時に音声認識手段によリ前記音声データSの文字化が行われて,その文字データMが記憶装置6に記憶保存される。
(e)さらに,ユーザ登録地点Pの表示案内用のアイコンがユーザの指定または自動的に選択され,地図上の当該地点への登録が行われる。(f)ユーザのキー入力部9のキー操作によって録音が終了する。
(g)ユーザ登録地点Pの位置座標に登録されたアイコンに音声データS及び文字データMをリンクする。
【0020】
なお,(e)におけるアイコンは,複数のユーザ登録地点P1,P2,P3・・を識別する番号などの記号を自動的に付したユーザ登録地点であることを表す予め定めたマークでもよいし,ユーザ登録地点の種類をマークの種類とそのアイコンを予め設定しておき,ユーザの音声入力で指定する種類を音声認識手段で判別して該当するアイコンが選択されるようにしてもよい。」

エ 「【0025】
次回に同じ地点を走行した場合に,図4のような表示装置の画面に示される案内地図上における▽で示される現在地点Zが先に登録したユーザ登録地点P1に接近すると,図3のフローチャートの手順でスピーカ26から当該ユーザ登録地点P1の「右方向OOOが見えます。」の音声案内と,画面への同文の文字表示によって的確に具体的詳細な案内を受けることが出来る。」

5 当審の判断

(5-1)甲第1号証に記載された発明

上記(4-1)の摘記事項アないしコの記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して,甲第1号証の記載を検討する。

(ア) 上記(4-1)アないしウには,名称検索や行き先指定等で期待する名称が登録されている可能性が高まるように,ナビゲーション用データベースの更新を自動で行う『ナビゲーション装置』について記載されている。

(イ) 上記(4-1)エ及びオには,前記ナビゲーション装置が,移動体周辺の地図表示,経路探索,施設案内等を行うことについて記載されている。
当該記載を踏まえれば,甲第1号証には,『地図を表示し,経路探索を行う』ナビゲーション装置が記載されているといえる。

(ウ) 上記(4-1)クには,移動体に搭載されたカメラで撮影を行うことが記載されている。
上記(4-1)カ及びケには,前記ナビゲーション装置の文字認識部において,入力された画像に対し,文字認識を行うことについて記載されている。
以上の記載を踏まえれば,甲第1号証には,『移動体に搭載されたカメラで撮影された画像に対し,文字認識を行う文字認識部』が記載されているといえる。

(エ) 上記(4-1)アには,移動体において位置情報を取得することについて記載されている。
上記(4-1)エには,前記ナビゲーション装置の車両/歩行者位置検出部において,移動体の位置情報を検出することについて記載されている。
以上の記載を踏まえれば,甲第1号証には,『前記移動体の位置情報を取得する車両/歩行者位置検出部』が記載されているといえる。

(オ) 上記(4-1)エには,前記ナビゲーション装置が,操作部を含んで構成されていることについて記載されている。
当該記載を踏まえれば,甲第1号証には,『操作部』を『備え』ることが記載されているといえる。

(カ) 上記(4-1)アには,カメラを持つ移動体において,移動中に位置情報を取得することについて記載されている。
上記(ウ)で示したように,上記(4-1)クには,移動体に搭載されたカメラで撮影を行うことについて記載され,上記(4-1)カ及びケには,前記ナビゲーション装置の文字認識部において,入力された画像に対し,文字認識を行うことについて記載されている。
上記(4-1)キ,ケ及びコには,文字認識を行って得られ,位置情報と関連づけるのに適した名称についての文字情報,及び確定位置情報があると判定した場合,これらを新規のデータとして,前記ナビゲーション装置の文字情報/位置情報格納部に記録することについて記載されている。
上記(4-1)エ及びクには,前記ナビゲーション装置において,前記カメラでの撮影と同時に,前記車両/歩行者位置検出部から出力される前記位置情報と,各種センサ情報とから,前記確定位置情報を生成することについて記載されている。
以上の記載を踏まえれば,甲第1号証には,『前記移動体の移動中に前記位置情報を取得し,前記文字認識部によって前記カメラで撮影された画像に対して文字認識し,前記位置情報と関連付けるのに適した名称についての文字情報があると判定した場合に,撮影と同時に前記位置情報から生成される確定位置情報,及び前記文字情報を,文字情報/位置情報格納部に記録する』ことが記載されているといえる。

(キ) まとめ
以上によれば,甲1号証には,次の発明(以下「甲1発明」という。)が開示されているものと認められる。なお,甲1発明に対し,以下のとおり,当審において,(a)ないし(f)の記号を説明のために付した。以下,構成要件a,構成要件bなどと称することとする。

(甲1発明)
「(a) 地図を表示し,経路探索を行うナビゲーション装置において,
(b) 移動体に搭載されたカメラで撮影された画像に対し,文字認識を行う文字認識部と,
(c) 前記移動体の位置情報を取得する車両/歩行者位置検出部と,
(d) 操作部と,を備え,
(e) 前記移動体の移動中に前記位置情報を取得し,前記文字認識部によって前記カメラで撮影された画像に対して文字認識し,前記位置情報と関連付けるのに適した名称についての文字情報があると判定した場合に,撮影と同時に前記位置情報から生成される確定位置情報,及び前記文字情報を,文字情報/位置情報格納部に記録する,
(f) ナビゲーション装置。」

(5-2)甲第2号証に記載された発明

上記(4-2)の摘記事項アないしエの記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して,甲第2号証の記載を検討する。

上記(4-2)ア及びエには,画像の電子データを取得し,前記電子データに対して認識処理を行い,その結果と前記電子データとを関連付けてデータ保存手段に保存することについて記載されている。また,検索キーの入力により,保存された画像の電子データの検索がなされることについても記載されている。
上記(4-2)イには,前記認識処理が,画像データに対する文字認識処理であり,認識結果をインデクスデータとして使用することについて記載されている。
上記(4-2)ウ及びエには,利用者が,認識結果を検索項目として使用し,検索キーをテキスト形式で入力して前記検索を行うことについて記載されている。

以上によれば,甲2号証には,次の発明(以下「甲2発明」という。)が開示されているものと認められる。

(甲2発明)
「保存された画像データを検索するために,画像データを文字認識した結果を使用すること。」

(5-3)甲第3号証に記載された発明

上記(4-3)の摘記事項アないしオの記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して,甲第3号証の記載を検討する。

上記(4-2)ア及びオには,目的地を適切に表す撮影画像を登録することができるナビゲーション装置が記載されている。
上記(4-2)イには,前記ナビゲーション装置において,所定のタイミングで,カメラによる画像撮影をすると,画像データと,そのときにGPS処理回路から得られる位置情報とが,地点情報テーブルに書き込まれることについて記載されている。
上記(4-2)ウ,エ及び図9,10には,前記ナビゲーション装置において,前記地点情報テーブルから読み出された,複数の画像データに係る複数の撮影画像が,一の住所データに対応付けられてディスプレイに表示されることが開示されている。また,ユーザが,当該表示された撮影画像の中から一枚の撮影画像を選択すると,位置情報と,選択された前記撮影画像を表す画像データとが,地点登録テーブルに書き込まれることも開示されている。

以上によれば,甲3号証には,次の発明(以下「甲3発明」という。)が開示されているものと認められる。

(甲3発明)
「ナビゲーション装置において,撮影画像の画像データと位置情報とを地点情報テーブルに書き込むこと,及び前記地点情報テーブルから撮影画像の複数の画像データを読み出して表示し,その中からユーザが選択した画像データと位置情報とを地点登録テーブルに書き込むこと。」

(5-4)甲第4号証に記載された発明

上記(4-4)の摘記事項アないしエの記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して,甲第4号証の記載を検討する。

上記(4-4)アないしウには,車載用ナビゲーション装置において,ユーザの操作により,当該操作の時点の現在地点がユーザ登録地点として決定され,その位置座標が記憶装置に登録されることについて記載されている。また,ユーザが,前記ユーザ登録地点の案内を入力すると,その文字データも前記記憶装置に登録されることについても記載されている。さらに,前記位置座標を識別するアイコンが,前記位置座標に対して登録されることについても記載されている。
上記(4-4)アないしエ及び図4には,前記車載用ナビゲーション装置の表示装置の画面に示される案内地図上において,該当する位置に,前記ユーザ登録地点を識別するアイコンが表示されることについて開示されている。

以上によれば,甲4号証には,次の発明(以下「甲4発明」という。)が開示されているものと認められる。

(甲4発明)
「ユーザが指定した地点を登録地点として登録するナビゲーション装置において,ユーザが入力した前記登録地点の案内を登録することができ,また,前記登録地点の位置座標を識別するアイコンが,地図上の前記登録地点に対応する位置に表示されること。」

(5-5)本件特許発明1と甲1発明との対比

(5-5-1)構成要件Aと構成要件aとの対比
ア ナビゲーション装置が,目的地までの道案内を行うための装置であることに鑑みれば,甲1発明における,「経路探索を行う」ことは,本件特許発明1の「目的地までの経路を案内する」ことに相当する。

イ よって,甲1発明の構成要件aと,本件特許発明1の構成要件Aとは,「地図を表示し目的地までの経路を案内」する「ナビゲーション装置」という点で共通する。
もっとも,本件特許発明1の構成要件Aでは,同発明に係るナビゲーション装置において,「指示された地点を登録地点として登録する」ことが特定されているのに対し,甲1発明の構成要件aでは,そのような特定がなされていない点で,両発明は相違する。

(5-5-2)構成要件Bと構成要件bとの対比
ア 甲1発明における,「カメラ」,「文字認識部」が,それぞれ,本件特許発明1の「撮影装置」,「文字認識手段」に相当することは,明らかである。
また,甲1発明において,カメラが移動体に「搭載され」ることは,カメラが移動体に「設けられ」ていることにほかならない。

イ 甲1発明における,カメラで「撮影された画像」は,「撮影像」ということができ,また,当該撮影像は,カメラ撮影されることにより,ナビゲーション装置に「入力される」ものといえる。そして,前記画像に「対し,文字認識を行う」ということは,前記撮影像に「写っている文字を文字認識する」ことにほかならない。

ウ よって,甲1発明の構成要件b「移動体に搭載されたカメラで撮影された画像に対し,文字認識を行う文字認識部と,」は,本件特許発明の構成要件B「移動体に設けられた撮影装置から入力される撮影像に写っている文字を文字認識する文字認識手段と,」に相当するといえる。

(5-5-3)構成要件Cと構成要件cとの対比
ア 甲1発明における,「車両/歩行者位置検出部」は,移動体の位置情報を取得するものであるから,本件特許発明1の「位置情報取得手段」に相当する。

イ よって,甲1発明の構成要件c「前記移動体の位置情報を取得する車両/歩行者位置検出部と,」は,本件特許発明の構成要件C「前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得手段と,」に相当するといえる。

(5-5-4)構成要件Eと構成要件eとの対比
ア 上記(5-5-2)アで示したように,甲1発明における,「文字認識部」,「カメラ」は,それぞれ,本件特許発明1における,「文字認識手段」,「撮影装置」に相当する。
また,上記(5-5-2)イで示したように,甲1発明における,「撮影された画像」は,「撮影像」ということができる。
ここで,甲1発明における,情報を「記録」することは,情報を「記憶」することと言い換えることができる。そして,「文字情報/位置情報格納部」は,情報を記憶することができるものであるから,「記憶装置」ということができる。

イ 甲1発明において,「前記移動体の移動中に位置情報を取得」することについて検討するに,上記(4-1)ケの摘記箇所において,甲第1号証には,新たに出現した施設看板を文字認識し,位置情報と関連づけて記録することで,文字情報/位置情報データベースに自動的に追加していく旨,記載されている。そうすると,位置情報を取得するのみならず,文字認識して得られた文字情報及び位置情報を記録する処理を含め,「前記移動体の移動中に」行うことは,明らかである。

ウ 甲1発明における,「前記位置情報と関連づけるのに適した名称についての文字情報があると判定した場合」とは,そのような「名称を示す文字が」,文字認識の結果,「検出された場合」であるといえる。

エ 甲1発明における,「撮影と同時」に「前記位置情報から生成される確定位置情報」は,移動体の位置を示す情報であるといえるから,本件特許発明1における,「取り込み時」の「移動体の位置情報」と,「移動体の位置情報」という点では共通する。

オ 甲1発明における,「前記文字情報」は,「前記位置情報と関連付けるのに適した名称についての文字情報」のことであるから,「前記名称」を示すものということができる。

カ よって,甲1発明の構成要件eと,本件特許発明1の構成要件Eとは,「前記移動体の移動中に,前記文字認識手段によって前記撮影装置の撮影像に対して文字認識し,名称を示す文字が検出された場合に,移動体の位置情報及び前記名称を記憶装置に記憶」する点で共通する。
もっとも,撮影像から名称を示す文字が検出された場合に,位置情報と前記名称とを記憶装置に記憶することに関し,本件特許発明1の構成要件Eでは,「当該名称が写った撮影像を撮影画像として取り込み,当該画像を,取り込み時の移動体の位置情報及び前記名称と対応付けて」記憶する構成を有しているのに対し,甲1発明の構成要件eでは,撮影された画像を,位置情報及び名称と対応付けて記憶する構成を有していない点で,両者は相違する。
また,記憶装置に記憶される位置情報が,本件特許発明1の構成要件Eでは,文字認識後の,撮影像を撮影画像として取り込む時である,「取り込み時」の位置情報であるのに対し,甲1発明の構成要件eでは,「撮影と同時」に生成されるものであって,文字認識後の時点の位置情報ではない点で,両者は相違する。

(5-5-5)構成要件D,Fと構成要件d,fとの対比
ア 甲1発明における,「操作部」は,ユーザによる入力を行うためのものであるから,本件特許発明1の「入力手段」に相当する。

イ よって,甲1発明の構成要件d,fと,本件特許発明1の構成要件D,Fとは,「入力手段」を「備え」る点で共通する。
もっとも,記憶装置に記憶した位置情報及び名称について,本件特許発明1の構成要件D,Fでは,前記入力手段で「登録する地点の名称の入力を受け付け」,前記入力手段により「受け付けた名称に対応する撮影画像,及び,位置情報を前記記憶装置から取り出し,当該位置情報が示す位置を登録する地点とし,名称及び撮影画像と対応付けて登録地点に登録」するのに対し,甲1発明の構成要件d,fでは,記憶した位置情報等について,さらに,入力手段で受け付けた名称に対応する位置情報等を取り出して登録するという構成を有していない点で,両者は相違する。

(5-5-6)構成要件Gについて
本件特許発明1では,構成要件Gにおいて,「前記登録地点の位置情報に基づいて前記登録地点を示すアイコンを地図上に表示する」構成が特定されているが,甲1発明では,そのような構成を有していない点で,両者は相違する。

(5-5-7)構成要件Hと構成要件fとの対比
甲1発明の「ナビゲーション装置」は,上記(5-5-1),(5-5-4),(5-5-5)及び(5-5-6)において示した相違を除き,本件特許発明1の「ナビゲーション装置」に相当する。

(5-6)本件特許発明1と甲1発明との一致点及び相違点

上記(5-5)に示した対比の結果に基づき,本件特許発明1と甲1発明との間の一致点及び相違点をまとめると,以下のとおりである。

[一致点]

「地図を表示し目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において,
移動体に設けられた撮影装置から入力される撮影像に写っている文字を文字認識する文字認識手段と,
前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得手段と,
入力手段と,を備え,
前記移動体の移動中に,前記文字認識手段によって前記撮影装置の撮影像に対して文字認識し,名称を示す文字が検出された場合に,移動体の位置情報及び前記名称を記憶装置に記憶する
ことを特徴とするナビゲーション装置。」

[相違点]

(相違点1)
本件特許発明1では,同発明に係るナビゲーション装置において,「指示された地点を登録地点として登録する」ことが特定されているのに対し,甲1発明では,そのような特定がなされていない点

(相違点2)
撮影像から名称を示す文字が検出された場合に,位置情報と前記名称とを記憶装置に記憶することに関し,本件特許発明1では,「当該名称が写った撮影像を撮影画像として取り込み,当該画像を,取り込み時の移動体の位置情報及び前記名称と対応付けて」記憶する構成を有しているのに対し,甲1発明では,撮影された画像を,位置情報及び名称と対応付けて記憶する構成を有していない点

(相違点3)
記憶装置に記憶される位置情報が,本件特許発明1では,文字認識後の,撮影像を撮影画像として取り込む時である,「取り込み時」の位置情報であるのに対し,甲1発明では,「撮影と同時」に生成されるものであって,文字認識後の時点の位置情報ではない点

(相違点4)
記憶装置に記憶した位置情報及び名称について,本件特許発明1では,前記入力手段で「登録する地点の名称の入力を受け付け」,前記入力手段により「受け付けた名称に対応する撮影画像,及び,位置情報を前記記憶装置から取り出し,当該位置情報が示す位置を登録する地点とし,名称及び撮影画像と対応付けて登録地点に登録」するのに対し,甲1発明では,記憶した位置情報等について,さらに,入力手段で受け付けた名称に対応する位置情報等を取り出して登録するという構成を有していない点

(相違点5)
本件特許発明1では,「前記登録地点の位置情報に基づいて前記登録地点を示すアイコンを地図上に表示する」構成が特定されているのに対し,甲1発明では,そのような構成を有していない点

(5-7)相違点についての判断

(5-7-1)(相違点1)について
甲1号証には,甲1発明のナビゲーション装置について,ユーザに指示された地点を登録地点として登録する機能を備えることについての明示の記載はなされていない。
しかしながら,上記(5-4)に示したように,甲4発明のナビゲーション装置は,ユーザの操作により,当該操作の時点の現在地点を登録地点として登録する,すなわち,ユーザが指定した地点を登録地点として登録する機能を有するものであり,また,当該機能は,ナビゲーション装置において,一般的なものである。
したがって,甲1発明のナビゲーション装置において,甲4発明に示されているようなナビゲーション装置が備える一般的機能を備えるものとし,「ユーザに指示された地点を登録地点として登録する」ように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

(5-7-2)(相違点2)について
甲1発明は,地図を表示するナビゲーション装置に係る発明であるところ,地図表示において,利用者が目的地に容易に到達できるようにするための情報(例えば,目印となる施設の画像等)を豊富化することは,本願出願前に周知の課題であるといえる。
ここで,上記(5-3)に示したように,甲3発明は,ナビゲーション装置において,撮影画像の画像データと位置情報とを地点情報テーブルに書き込む,すなわち記録するものである。また,甲3発明において,撮影画像は,一の住所データに対応付けられてディスプレイに表示されるのであるから,画像データが,位置情報と対応付けられて記録されることは自明である。
甲1発明と,甲3発明とは,ナビゲーション装置の表示情報に関する発明である点で共通し,加えて前記周知の課題をも踏まえると,甲1発明に甲3発明を適用する動機付けが存在するといえる。
したがって,甲1発明における,位置情報と関連づけるのに適した名称についての文字情報があると判定した場合の,位置情報等の記憶に関し,甲3発明を適用し,カメラで撮影された画像も,位置情報及び名称と対応付けて記憶するように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

(5-7-3)(相違点3)について
上記(4-1)ウ及びケに示されているように,甲1号証には,甲1発明における位置情報とともに文字情報/位置情報記憶部に記憶される文字情報がいかなるものであるのかに関し,当該位置情報と関連付けるのに適した,看板等の施設名の名称であることについて,例示されている。
ここで,そのような施設の看板の位置と,撮影位置とは,完全には一致しないから,撮影時から一定程度経過した時点の位置情報であっても,前記名称に関連付けるのに適したものといえることは明らかである。
そうすると,前記関連付けるのに適しているといい得る範囲において,前記位置情報を撮影時以降のいつの時点のものとするかは,当業者が適宜選択し得た設計的事項にすぎないといえる。
よって,位置情報について,上記(5-7-2)で示した甲3発明の甲1発明への適用の際に,撮影と同時に生成するもの,すなわち,文字認識前の時点の位置情報とすることに代え,文字認識後の画像を取り込んだ時点の位置情報とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

(5-7-4)(相違点4)について
ア 甲1発明は,文字情報/位置情報格納部に記録した位置情報等について,さらに,入力手段で受け付けた名称に対応する位置情報等を取り出して登録するという構成を備えていない。
ここで,上記(5-3)に示したように,甲3発明は,ナビゲーション装置において,撮影画像の画像データと位置情報とを地点情報テーブルに書き込み,すなわち記憶し,さらに前記地点情報テーブルから撮影画像の複数の画像データを読み出して表示し,その中からユーザが選択した画像データと位置情報とを地点登録テーブルに書き込む,すなわち記憶するものである。したがって,甲3発明は,いったん記憶した位置情報等の中から,ユーザが選択したものを,改めて登録するものであるといえる。
しかしながら,甲3発明において,いったん記録した位置情報等の中から,登録すべきものをユーザに選択させる手法は,上記(4-3)ア及びオに示されているように,複数の画像データを表示して当該地点を適切に表す画像データを選択させるというものであり,本件特許発明1のように,入力手段で名称を受け付けることにより登録すべき地点自体を選択させるものとは全く異なっている。
そうすると,甲1発明に,甲3発明を適用したとしても,本件特許発明1の「登録する地点の名称の入力を受け付け」,「受け付けた名称に対応する撮影画像,及び,位置情報を前記記憶装置から取り出し,当該位置情報が示す位置を登録する地点とし,名称及び撮影画像と対応付けて登録地点に登録」する構成に到達することはできない。
また,本件特許発明1の当該構成については,甲2発明及び甲4発明も備えておらず,当業者が適宜なし得た設計的事項ということもできない。
したがって,本件特許発明1の(相違点4)に係る構成については,甲1発明ないし甲4発明に基づき,当業者が容易になし得たものとはいえない。

イ ここで,異議申立人は,特許異議申立書の第13ページ下から第8行ないし第14ページ第2行において,同人の示す相違点3に対応した,この(相違点4)に関し,「ユーザが指定する撮影画像と位置情報を関連付けて記憶手段に登録することが甲第3号証で開示されている。
甲第3号証の記載事項を甲1発明に適用して,画像から文字認識された文字,指定した撮影画像,及び,画像の撮影時の位置情報,画像データを登録することは,当業者であれば容易に想到しうるものである。なお,画像の指定に画像認識した文字を使用することについては,甲第2号証が,撮影した画像データに対する文字認識処理の結果をインデクスデータとして画像の検索に使用してする〔ママ〕ことを開示しており周知技術である。」と主張している。
しかしながら,甲3発明は,本件特許発明1のように,入力手段で名称を受け付けることにより登録すべき地点を選択させるものでなく,甲3発明を甲1発明に適用しても,(相違点4)に係る構成に到達しないことは,上記アに示したとおりである。
また,甲2発明のように,「保存された画像データを検索するために,画像データを文字認識した結果を使用する」ことが本願出願前に周知であることを指摘してみても,それは,甲1発明に甲3発明を適用した発明における,文字情報/位置情報格納部に記録された位置情報及び画像データに関し,当該画像データの検索を,当該画像データを文字認識した結果を使用して行えることの容易想到性を示すにとどまる。したがって,甲2発明を考慮したとしても,当業者は,なお(相違点4)に係る構成に到達することはできない。
したがって,異議申立人の主張を踏まえても,本件特許発明1の(相違点4)に係る構成について,当業者が容易に想到し得たものということはできない。

(5-7-5)(相違点5)について
甲1発明は,本件特許発明1の「前記登録地点の位置情報に基づいて前記登録地点を示すアイコンを地図上に表示する」という構成を備えていない。
一方,上記(5-4)に示したように,甲4発明は,「ユーザの操作により,当該操作の時点の現在地点を登録地点として登録するナビゲーション装置において,前記登録地点の位置座標を識別するアイコンが,地図上の前記登録地点に対応する位置に表示される」ものである。そして,甲4発明のように,ユーザに指示された登録地点を示すアイコンを地図上に表示することは,本願出願前に周知の技術である。この点,異議申立人の(相違点5)についての主張(特許異議申立書の第14ページ第3ないし9行。なお,(相違点5)は,異議申立人の示す相違点4に対応する。)のうち,前記の技術が本願出願前に周知であり,甲4発明がその一例である旨の主張については,妥当なものといえる。
しかしながら,本件特許発明1の(相違点5)に係る構成のうち,「前記登録地点」についてみると,これは,「前記入力手段により受け付けた名称に対応する撮影画像,及び,位置情報を前記記憶装置から取り出し,当該位置情報が示す位置を登録する地点とし,名称及び撮影画像と対応付けて登録地点に登録し」た,その登録地点である。
そして,「登録する地点の名称の入力を受け付け」,「受け付けた名称に対応する撮影画像,及び,位置情報を前記記憶装置から取り出し,当該位置情報が示す位置を登録する地点とし,名称及び撮影画像と対応付けて登録地点に登録」する構成について,当業者が容易に想到し得たものといえないことは,(相違点4)について検討した(5-7-4)において示したとおりである。
そうすると,本件特許発明1の(相違点4)に係る構成について,当業者が容易に想到し得たものということができないことに伴い,上記「前記登録地点」という構成について,当業者が容易に想到し得たものということはできないから,結局,本件特許発明1の(相違点5)に係る構成は,上記異議申立人の主張を踏まえても,当業者が容易に想到し得たものということはできない。

(5-8)小括

以上の検討によれば,本件特許発明1が,甲1発明ないし甲4発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

(5-9)本件特許発明2及び本件特許発明3について

本件特許発明2及び本件特許発明3は,本件特許発明1を更に減縮したものであるから,上記(5-5)ないし(5-7)の判断と同様の理由により,本件特許発明2及び本件特許発明3が,甲1発明ないし甲4発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

6 むすび

したがって,特許異議申立ての理由及び証拠によっては,請求項1ないし3に係る特許を取り消すことができない。
また,他に請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-05-12 
出願番号 特願2011-22010(P2011-22010)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 梅本 達雄  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 戸次 一夫
小池 正彦
登録日 2015-07-10 
登録番号 特許第5775699号(P5775699)
権利者 クラリオン株式会社
発明の名称 ナビゲーション装置  
代理人 特許業務法人クシブチ国際特許事務所  

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