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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1315682
異議申立番号 異議2016-700311  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-14 
確定日 2016-06-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第5795132号発明「継続検査支援システム,および継続検査支援装置」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5795132号の請求項1,2,9,10,12ないし14,および,21ないし24に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第5795132号の請求項1,2,9,10,12ないし14,および,21ないし24に係る特許についての出願は,平成27年3月24日に特許出願され,平成27年8月21日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許に対し,特許異議申立人株式会社ブロードリーフにより特許異議の申立てがされたものである。

第2.本件発明
特許第5795132号の請求項1,2,9,10,12ないし14,および,21ないし24の特許に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1,2,9,10,12ないし14,および,21ないし24に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
自動車検査登録制度により義務付けられている車両の継続検査を支援するための継続検査支援システムであって,
継続検査用データの入力日を前記継続検査の検査年月日として特定する検査年月日特定手段と,
前記継続検査用データの入力日を前記継続検査における保安基準適合証の交付年月日として特定する交付年月日特定手段と,
前記継続検査の対象となる継続検査対象車両の自動車検査証に印字されている二次元バーコードの読み取りを受け付けた場合に,読み取った前記二次元バーコードに基づいて,前記継続検査対象車両の車検有効期間,自動車登録番号,型式指定番号,類別区分番号,車台番号,型式,初度登録年月を特定する車両基本情報特定手段と,
前記車両基本情報特定手段によって特定された前記自動車登録番号に基づいて,前記継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定する更新後車検有効期間特定手段と,
前記車両基本情報特定手段によって特定された前記型式指定番号と前記類別区分番号に基づいて,前記継続検査対象車両の乗車定員,最大積載量,用途,車両総重量を特定する車両諸元情報特定手段と,
自動車検査証に記載されている住所コードの入力を受け付ける住所コード入力受付手段と,
前記住所コード入力受付手段で入力を受け付けた前記住所コードに基づいて,前記継続検査対象車両の所有者の住所を特定する住所特定手段と,
自動車検査証に記載されている前記継続検査対象車両の所有者名の入力を受け付ける所有者名入力受付手段と,
前記継続検査対象車両の自賠責保険の保険期間を含む自賠責保険情報の入力を受け付ける自賠責保険情報入力受付手段と,
前記継続検査対象車両の走行距離の入力を受け付ける走行距離入力受付手段と,
前記型式指定番号,前記型式,前記初度登録年月に基づいて,前記継続検査対象車両の重量税税率を特定する重量税税率特定手段と,
前記継続検査対象車両の前記自動車登録番号と前記車両総重量とに基づいて,重量税印紙額を算出する重量税印紙額算出手段と,
前記検査年月日,前記保安基準適合証の交付年月日,前記車検有効期間,前記自動車登録番号,前記型式指定番号,前記類別区分番号,前記車台番号,前記型式,前記更新後の車検有効期間,前記乗車定員,前記最大積載量,前記用途,前記車両総重量,前記所有者の住所,前記所有者名,前記自賠責保険情報,前記走行距離,前記重量税税率,前記重量税印紙額の各データを含んだ継続検査用データを記録装置に記録する継続検査用データ記録手段と
を備えることを特徴とする継続検査支援システム。」

「【請求項2】
請求項1に記載の継続検査支援システムにおいて,
操作者の指示によって,前記継続検査における保安基準適合証の印刷が指示されたとき
に,前記記録装置に記録されている前記継続検査用データに基づいて,前記保安基準適合
証を印刷するための保安基準適合証印刷データを作成する保安基準適合証印刷データ作成
手段と,
前記保安基準適合証印刷データ作成手段によって作成された前記保安基準適合証印刷デ
ータを印刷装置へ出力する保安基準適合証印刷手段とをさらに備えることを特徴とする継
続検査支援システム。」

「【請求項9】
請求項1?8のいずれか一項に記載の継続検査支援システムにおいて,
前記走行距離入力受付手段は,前記自動車登録番号に基づいて,前記走行距離の入力が必須であるか否かを判定し,必須である場合には,必須であることを示すメッセージを画面上に出力することを特徴とする継続検査支援システム。」

「【請求項10】
請求項1?9のいずれか一項に記載の継続検査支援システムにおいて,
前記自動車登録番号に基づいて運輸支局を特定し,特定した運輸支局が自動車NOx・PM法に基づく車種規制を行っている支局であると判定した場合に,警告通知を出力する警告通知手段をさらに備えることを特徴とする継続検査支援システム。」

「【請求項12】
請求項1?11のいずれか一項に記載の継続検査支援システムにおいて,
前記車両基本情報特定手段は,操作者から,前記継続検査の記録簿データの転用指示を受け付けた場合には,前記継続検査対象車両の前記記録簿データからデータを抽出することによって,前記継続検査対象車両の前記車検有効期間,前記自動車登録番号,前記型式指定番号,前記類別区分番号,前記車台番号,前記型式,前記初度登録年月を特定することを特徴とする継続検査支援システム。」

「【請求項13】
請求項1?12のいずれか一項に記載の継続検査支援システムにおいて,
前記検査年月日特定手段は,操作者によって前記検査年月日の日付が修正された場合には,前記継続検査用データの入力日に代えて,修正後の日付を前記継続検査の検査年月日として特定し,
前記交付年月日特定手段は,操作者によって前記交付年月日の日付が修正された場合には,前記継続検査用データの入力日に代えて,修正後の日付を前記継続検査における保安基準適合証の交付年月日として特定することを特徴とする継続検査支援システム。」

「【請求項14】
自動車検査登録制度により義務付けられている車両の継続検査を支援するための継続検査支援装置であって,
継続検査用データの入力日を前記継続検査の検査年月日として特定する検査年月日特定手段と,
前記継続検査用データの入力日を前記継続検査における保安基準適合証の交付年月日として特定する交付年月日特定手段と,
前記継続検査の対象となる継続検査対象車両の自動車検査証に印字されている二次元バーコードの読み取りを受け付けた場合に,読み取った前記二次元バーコードに基づいて,前記継続検査対象車両の車検有効期間,自動車登録番号,型式指定番号,類別区分番号,車台番号,型式,初度登録年月を特定する車両基本情報特定手段と,
前記車両基本情報特定手段によって特定された前記自動車登録番号に基づいて,前記継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定する更新後車検有効期間特定手段と,
前記車両基本情報特定手段によって特定された前記型式指定番号と前記類別区分番号に基づいて,前記継続検査対象車両の乗車定員,最大積載量,用途,車両総重量を特定する車両諸元情報特定手段と,
自動車検査証に記載されている住所コードの入力を受け付ける住所コード入力受付手段と,
前記住所コード入力受付手段で入力を受け付けた前記住所コードに基づいて,前記継続検査対象車両の所有者の住所を特定する住所特定手段と,
自動車検査証に記載されている前記継続検査対象車両の所有者名の入力を受け付ける所有者名入力受付手段と,
前記継続検査対象車両の自賠責保険の保険期間を含む自賠責保険情報の入力を受け付ける自賠責保険情報入力受付手段と,
前記継続検査対象車両の走行距離の入力を受け付ける走行距離入力受付手段と,
前記型式指定番号,前記型式,前記初度登録年月に基づいて,前記継続検査対象車両の重量税税率を特定する重量税税率特定手段と,
前記継続検査対象車両の前記自動車登録番号と前記車両総重量とに基づいて,重量税印紙額を算出する重量税印紙額算出手段と
を備えることを特徴とする継続検査支援装置。」

「【請求項21】
請求項14?20のいずれか一項に記載の継続検査支援装置において,
前記走行距離入力受付手段は,前記自動車登録番号に基づいて,前記走行距離の入力が必須であるか否かを判定し,必須である場合には,必須であることを示すメッセージを画面上に出力することを特徴とする継続検査支援装置。」

「【請求項22】
請求項14?21のいずれか一項に記載の継続検査支援装置において,
前記自動車登録番号に基づいて運輸支局を特定し,特定した運輸支局が自動車NOx・PM法に基づく車種規制を行っている支局であると判定した場合に,警告通知を出力する警告通知手段をさらに備えることを特徴とする継続検査支援装置。」

「【請求項23】
請求項14?22のいずれか一項に記載の継続検査支援装置において,
前記車両基本情報特定手段は,操作者から,前記継続検査の記録簿データの転用指示を受け付けた場合には,前記継続検査対象車両の前記記録簿データからデータを抽出することによって,前記継続検査対象車両の前記車検有効期間,前記自動車登録番号,前記型式指定番号,前記類別区分番号,前記車台番号,前記型式,前記初度登録年月を特定することを特徴とする継続検査支援装置。」

「【請求項24】
請求項14?23のいずれか一項に記載の継続検査支援装置において,
前記検査年月日特定手段は,操作者によって前記検査年月日の日付が修正された場合には,前記継続検査用データの入力日に代えて,修正後の日付を前記継続検査の検査年月日として特定し,
前記交付年月日特定手段は,操作者によって前記交付年月日の日付が修正された場合には,前記継続検査用データの入力日に代えて,修正後の日付を前記継続検査における保安基準適合証の交付年月日として特定することを特徴とする継続検査支援装置。」


第3.申立理由の概要
特許異議申立人株式会社ブロードリーフは,証拠として,本件特許発明の特許権者が継続検査登録システムについて公開したホームページであって,2013年10月14日付で「INTERNET ARCHIVE WAYBACK MACHINE」により保存されたもののプリントアウト“継続検査登録システム システム概要及び図1 ”,INTERNET ARCHIVE WAYBACK MACHINE,[online],2013年10月14日,株式会社エム・エス・ピーのホームページ,[2016年4月11日検索] ,インターネット<URL:https://web. archive.org/web/20131014155030/http://kmsp. jp/sys_hoteki.html>)(以下「甲1号証」という。)を提出し,及び従たる証拠として特開2009-217831号公報(以下「甲2号証」という。),特開2008-238870号公報(以下「甲3号証」という。),特開平11-25164号公報(以下「甲4号証」という。),特開2003-99641号公報(以下「甲5号証」という。),特開2009-217423号公報(以下「甲6号証」という。),特開2010-231826号公報(以下「甲7号証」という。),特開2004-297131号公報(以下「甲8号証」という。),車両点検システムのカタログ“車検・点検支援システム「スーパー検査員」”,(日本)株式会社ブロードリーフ,2007,p.2(以下「甲9号証」という),特開平6-266672号公報(以下「甲10号証」という。),を提出し,請求項1,2,9,12ないし14,および,21ないし24に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,請求項1,2,9,12ないし14,および,21ないし24に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

第4.証拠の記載
1.甲1号証(“継続検査登録システム システム概要及び図1 ”)について
甲1号証には,以下の発明(以下、「甲1号証発明」という)が記載されている。

「自動車検査登録制度により義務付けられている車両の継続検査を支援するための継続検査支援システムであって,
継続検査の検査年月日を特定する検査年月日特定手段と,
継続検査における保安基準適合証の交付年月日を特定する交付年月日特定手段と,
継続検査の対象となる継続検査対象車両の自動車検査証に印字されている二次元バーコードの読み取りを受け付け,継続検査対象車両の車検有効期間,自動車登録番号,型式指定番号,類別区分番号,車台番号,型式,初度登録年月を特定する車両基本情報特定手段と,
継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定する更新後車検有効期間特定手段と,
継続検査対象車両の乗車定員,最大積載量,用途,車両総重量を特定する車両諸元情報特定手段と,
自動車検査証に記載されている住所コードの入力を受け付ける住所コード入力受付手段と,
入力された住所コードに基づいて,継続検査対象車両の所有者の住所を特定する住所特定手段と,
自動車検査証に記載されている継続検査対象車両の所有者名の入力を受け付ける所有者名入力受付手段と,
継続検査対象車両の自賠責保険の保険期間を含む自賠責保険情報の入力を受け付ける自賠責保険情報入力受付手段と,
継続検査対象車両の走行距離の入力を受け付ける走行距離入力受付手段と,
型式,初度登録年月に基づいて,継続検査対象車両の重量税税率を特定する重量税税率特定手段と,
重量税印紙額を算出する重量税印紙額算出手段と,
検査年月日,保安基準適合証の交付年月日,車検有効期間,自動車登録番号,型式指定番号,類別区分番号,車台番号,型式,更新後の車検有効期間,乗車定員,最大積載量,用途,車両総重量,所有者の住所,所有者名,自賠責保険情報,走行距離,重量税税率,重量税印紙額の各データを含んだ継続検査用データを記録装置に記録する継続検査用データ記録手段と
を備える継続検査支援システム。」

2.甲2号証(特開2009-217831号公報)について
甲2号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「データ入力日を登録日として特定する」

3.甲3号証(特開2008-238870号公報)について
甲3号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「継続検査の対象となる継続検査対象車両の自動車検査証に印字されている二次元バーコードの読み取りを受け付けた場合に,読み取った二次元バーコードに基づいて,継続検査対象車両の車検有効期間,自動車登録番号,車台番号,型式を特定する」

4.甲4号証(特開平11-25164号公報)について
甲4号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「継続検査の対象となる継続検査対象車両の自動車検査証に印字されている二次元バーコードの読み取りを受け付けた場合に,読み取った二次元バーコードに基づいて,継続検査対象車両の車検有効期間,自動車登録番号,型式指定番号,類別区分番号,車台番号,型式,初度登録年月を特定する」


5.甲5号証(特開2003-99641号公報)について
甲5号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「自動車登録番号と車検有効期限とが関連付けられて記憶されている」,
及び「車体重量に基づいて重量税を決める」


6.甲6号証(特開2009-217423号公報)について
甲6号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「型式指定番号と類別区分番号から車両の構造等の車両諸元情報を特定する」


7.甲7号証(特開2010-231826号公報)について
甲7号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「型式指定番号から重量税税率を特定する」


8.甲8号証(特開2004-297131号公報)について
甲8号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「ある情報の入力の要否を別の情報に基づいて判定し,入力が必要であると判定された情報が入力されていないときには当該入力を促す」


9.甲9号証(“車検・点検支援システム「スーパー検査員」”)について
甲9号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「NOX・PM法に基づく車種規制の対象であるか否かを判定し,規制対象である場合には警告通知を出力する」

10.甲10号証(特開平6-266672号公報)について
甲10号証には,以下の技術的事項が記載されている。

「自動的に特定された日付を修正又は変更し,修正・変更後の日付を登録日等として特定する」

第5.判断
1.特許法第29条第2項について
(1)対比・判断
ア 請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と特許異議申立人が提出した甲1号証発明とを対比すると,当該甲1号証発明には,すくなくとも,自動車登録番号に基づいて,継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定する点(以下「相違点1」という),および,継続検査対象車両の自動車登録番号に基づいて,重量税印紙額を算出する点(以下「相違点2」という)が開示されていない。また,この点は,甲2号証ないし甲10号証にも記載されていない。したがって,本件請求項1に係る発明は,上記甲1号証発明および甲2号証ないし甲10号証に記載された事項から当業者が容易になし得るものではない。

(相違点1について)
特許異議申立人は,自動車登録番号に基づいて,継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定する点について,甲5号証には,「自動車登録番号と車検有効期限とが関連付けられて記憶されている」という事項が記載されており,甲5号証に記載された事項は,車両管理に関するデータ処理に用いられるものであり,甲1号証発明と技術分野が共通する。したがって,甲5号証に記載された事項を甲1号証発明に適用することは,当業者であれば,容易に想到し得るものである。さらに,自動車登録番号と車検有効期限とが関連付けられて記憶されている構成において,自動車登録番号に基づいて車検有効期限を特定することは,当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない旨主張している。
しかし,甲5号証において「自動車登録番号と車検有効期限とが関連付けられて記憶されている」という事項の根拠とされた甲5号証の段落0038には,「データベース100には,顧客が所有する車体の所有車両データが記憶されており,この所有車両データは,顧客情報データテーブル115において記憶されている(図示省略)。この所有車両データは,顧客IDと関連づけて記憶されており,例えば,メーカー名,車種名,型式,用途,車検有効期限,自動車登録番号,車台番号等が含まれている。」と記載されており,この車検有効期限は,顧客が所有する車体の現在有効な車検証の有効期限にすぎず,更新後の車検有効期限ではない。一般に,現在有効な車検有効期限と,更新後の車検有効期限は必ずしも同じとは限らない(例えば,自家用自動車の新車の初回登録時の車検有効期限は3年であっても,更新後の車検有効期限は2年となるから,顧客の所有する初回登録時の車検有効期限3年を自動車登録番号に関連付けて記憶しておいても,更新後の車検有効期限としては利用できない。)。したがって,甲1号証発明に甲5号証に記載の事項を組み合わせても,「自動車登録番号に基づいて,継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定する」構成を想到することは容易でなく,異議申立人の相違点1にかかる主張は採用できない。
そして,本件特許明細書の段落0079には,「制御装置203は,自動車登録番号に基づいて,継続検査対象車両が登録車であるか軽自動車であるか,および自家用であるか事業用であるかを判定し,その判定結果に基づいて継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定するようにした。これによって,更新後の車検有効期間を自動的に特定することができ,操作者が更新後の車検有効期間を特定する手間を省くことができる。」という相違点1の構成を採用することによる特有の効果が記載されている。

(相違点2について)
特許異議申立人は,「継続検査対象車両の自動車登録番号に基づいて,重量税印紙額を算出する」点について,甲5号証には「車体種別データ,車体重量及び車検期間から重量税データが特定される」という事項が記載されており,かかる記載事項から,どのような情報に基づいて重量税印紙額を決めるかについては当業者にとって設計的事項であるといえる。したがって,パラメータとして自動車登録番号を加えることは,当業者にとって容易に想到し得るものである旨主張している。
ここで,一般に自動車の重量税印紙額は,自動車の更新後の有効期限と,登録車であるか軽自動車であるか,自家用であるか事業用であるか,車両総重量などに基づいて定まることは,当業者に顕著な事実である。
本件特許明細書の段落の段落0079には,「制御装置203は,自動車登録番号に基づいて,継続検査対象車両が登録車であるか軽自動車であるか,および自家用であるか事業用であるかを判定し,その判定結果に基づいて継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定するようにした。これによって,更新後の車検有効期間を自動的に特定することができ,操作者が更新後の車検有効期間を特定する手間を省くことができる。」と記載されており,また,段落0084には,「制御装置203は,継続検査対象車両の自動車登録番号と車両総重量とに基づいて,継続検査対象車両の自動車種別に応じた重量税印紙額の基本金額と係数を特定し,特定した基本金額に係数を乗じることにより,重量税印紙額を算出するようにした。これによって,操作者が継続検査対象車両の自動車種別に応じた重量税印紙額を算出する手間を省くことができる。」と記載されている。すなわち,継続検査対象車両の自動車登録番号を用いることにより,継続検査対象車両の自動車が登録車であるか軽自動車であるか,および自家用であるか事業用であるかを判定可能となり,更新後の車検有効期間を自動的に特定できるのであるから,継続検査対象車両の自動車種別等(登録車であるか軽自動車であるか,自家用であるか事業用であるか,更新後の車検有効期間)を別途入力する手間を省くことが可能であるといえる。これは,相違点2の継続検査対象車両の自動車登録番号に基づいて,重量税印紙額を算出する構成を採用することによる特有の効果であるから,単なる設計的事項とはいえず,異議申立人の相違点2にかかる主張は採用できない。

イ 請求項2,9,10,12及び13に係る発明について
請求項2,9,10,12及び13に係る発明は,請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから,前述アの請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により,上記甲1号証発明および甲2号証ないし甲10号証に記載された事項から当業者が容易になし得るものではない。

ウ 請求項14に係る発明について

請求項14に係る発明と特許異議申立人が提出した甲1号証発明とを対比すると,当該甲1号証発明には,請求項1に係る発明と同様に,すくなくとも,自動車登録番号に基づいて,継続検査対象車両の更新後の車検有効期間を特定する点(相違点1),および,継続検査対象車両の自動車登録番号に基づいて,重量税印紙額を算出する点(相違点2)が開示されていない。したがって,前述のアの請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により,請求項14に係る発明は,上記甲1号証発明および甲2号証ないし甲10号証に記載された事項から当業者が容易になし得るものではない。

エ 請求項21ないし24に係る発明について
請求項21ないし24に係る発明は,請求項14に係る発明を更に減縮したものであるから,前述のウの請求項14に係る発明についての判断と同様の理由により,上記甲1号証発明および甲2号証ないし甲10号証に記載された事項から当業者が容易になし得るものではない。

(2)まとめ
以上のとおり,請求項1,2,9,10,12ないし14,および,21ないし24に係る発明は,甲1号証発明および甲2号証ないし甲10号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6.むすび
したがって,特許異議申立ての理由及び証拠によっては,請求項1,2,9,10,12ないし14,および,21ないし24に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1,2,9,10,12ないし14,および,21ないし24に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-06-08 
出願番号 特願2015-60457(P2015-60457)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 梅岡 信幸  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 金子 幸一
野崎 大進
登録日 2015-08-21 
登録番号 特許第5795132号(P5795132)
権利者 株式会社エムエスピー
発明の名称 継続検査支援システム、および継続検査支援装置  
代理人 藤田 壮一郎  
代理人 秋山 敦  
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