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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1316382 |
審判番号 | 不服2015-19550 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-10-30 |
確定日 | 2016-07-12 |
事件の表示 | 特願2013-127704「ドライバー生成装置、ドライバー生成方法、およびドライバー生成プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月 5日出願公開、特開2015- 1951、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年6月18日の出願であって、平成27年4月22日付けで拒絶理由が通知され、同年6月29日付けで手続補正がなされ、同年7月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月30日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1?8に係る発明は、平成27年6月29日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「第1の画像処理装置を制御するための第1のドライバープログラムによって定められ、所定の処理を定めた制御コマンドと前記所定の処理に関連してユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドとを関連付けた複数の部分定義データのうちから1以上を選択する選択手段と、 前記選択された1以上の部分定義データを含む第2のドライバープログラムを生成する生成手段と、 画像処理装置制御手段と、を備え、 前記複数の部分定義データは、前記第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応し、前記第1の画像処理装置を制御するための複数の制御コマンドのうち当該機能に対応する1以上の制御コマンドと、前記部分画面として当該機能に対する設定値を設定するための機能別画面を表示するための表示コマンドとを関連付けた機能定義データを含み、 前記1以上の制御コマンドそれぞれは、前記第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応し、それが対応する機能に対して設定することが可能な1以上の設定値のいずれかに対応し、 前記第2のドライバープログラムを実行する前記画像処理装置制御手段は、前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の表示コマンドを実行することによって、1以上の機能別画面を表示し、前記表示された設定画面に従ってユーザーにより入力される設定値を受け付ける設定値受付手段と、 前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の制御コマンドのうちから前記設定値受付手段により受け付けられた設定値に対応する制御コマンドを第2の画像処理装置に出力するコマンド出力手段と、を含む、ドライバー生成装置。」 第3 原査定の理由の概要 本願発明についての原査定の理由の概要は次のとおりである。 引用文献1には、プリンタドライバ作成部20を有するPCであって、プリンタドライバ作成部20はUI部21及びドライバ作成部24を有し、 UI部21は、プリンタドライバ選択画面で選択されたプリンタドライバについて、機能選択画面を作成して表示し、 UI部21は、機能選択画面において選択した機能について選択項目設定画面を作成して表示し、 ドライバ作成部24は、選択項目設定画面で選択された機能について、UI部の指示によってドライバ作成処理を実行する、PCが記載されている(特に、段落[0013]、[0014]、[0020]、[0024]、[0028]-[0030]、[図1]、[図5]-[図11]を参照されたい。)。 また、引用文献1には、機能選択画面において選択した機能(本願の請求項1に係る発明の「機能に対応する1以上の制御コマンド」に相当)を選択すると、選択された機能の選択項目(本願の請求項1に係る発明の「機能に対する設定値を設定するための機能別画面を表示するための表示コマンド」に相当)を選択する選択項目設定画面を表示することが記載されている(特に、段落[0024]、[0025]、[図8]、[図9]を参照されたい。)。 本願の請求項1に係る発明と、引用文献1に記載された発明とを対比すると、 請求項1に係る発明はユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドが部分定義データに関連付けられているのに対し、引用文献1に記載された発明は選択した機能に部分画面が関連付けられていることについて明記されていない点で相違する。 しかし、引用文献2には、プリンタドライバ画面を作成する際にUI構成部品リストから使用する部品を選択することが記載されており(特に段落[0026]、[図6]を参照されたい。)、引用文献1に記載された発明を実施する際に機能選択画面において機能を選択する画面として、引用文献2に記載されているようなUI構成部品リストを表示するようにすること、つまり、選択した機能に部分画面を関連付けるようにすることは当業者が容易に想到しうることである。 なお、出願人は平成27年 6月29日付け意見書において、「引用文献1および引用文献2のいずれにおいても、設定値を設定するためのUI画面を生成するプリンタドライバーを作成することは開示されていますが、プリンタードライバーのうちで、設定された設定値にしたがってプリントジョブを生成する部分を作成することは開示されて」おらず、また、「特に、引用文献1および引用文献2のいずれにも、制御コマンドと表示コマンドとを関連付けることについては、開示も示唆もされて」いないことから、「本願発明は引用文献1および引用文献2を基に当業者が容易になし得る発明ではなく、拒絶理由は解消している」旨主張している。 しかし、本願の補正後の請求項1には、「プリントジョブ」という単語がなく、本願の補正後の請求項1には、「設定された設定値にしたがってプリントジョブを生成する部分を作成すること」が記載されていない。 また、引用文献1には、機能選択画面において選択した機能(本願の請求項1に係る発明の「機能に対応する1以上の制御コマンド」に相当)を選択すると、選択された機能の選択項目(本願の請求項1に係る発明の「機能に対する設定値を設定するための機能別画面を表示するための表示コマンド」に相当)を選択する選択項目設定画面を表示することが記載されている。つまり、「機能に対応する1以上の制御コマンド」を選択することによって、「機能に対する設定値を設定するための機能別画面を表示するための表示コマンド」を選択する画面を表示しているのであるから、引用文献1には、「制御コマンドと表示コマンドとを関連付けること」が記載されているといえる。 以上の点から出願人の上記主張は採用できない。 <引用文献等一覧> 1.特開2011-54013号公報 2.特開2004-110678号公報 第4 当審の判断 1.引用文献1の記載事項・引用発明 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、上述したプリンタで設定可能な情報を取得して、その情報に応じてプリンタドライバの選択項目を変更する情報処理装置では、情報処理装置と接続しているプリンタの設定しか反映できないという問題があった。また、プリンタドライバ側で対応している機種の選択項目すべてをもたなければならないという問題もあった。 さらに、代表的な機能を集めた機種共通のプリンタドライバを用いる情報処理装置では、一般的な機能のみが対象となるため、ユーザが利用したい機能が使えないことがあるという問題があった。また、新しい機種が発売されたり機能が追加された際のアップデートがリアルタイムで行えないという問題もあった。 この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、複数種類のプリンタドライバからユーザが所望する共通する機能を備えたプリンタドライバを容易に作成できるようにすることを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0004】 この発明は上記の目的を達成するため、自装置内に記憶されている複数種類のプリンタドライバから使用可能な機能を確認する手段と、複数種類のプリンタドライバで共通する機能を確認する手段と、上記共通する機能を出力する手段と、上記共通する機能の中から選択する手段と、上記選択された機能に基づいてプリンタドライバを作成するために必要な情報を上記各プリンタドライバから取得する手段と、上記取得した情報に基づいてプリンタドライバを作成する手段を備えた情報処理装置を提供する。 また、上記各プリンタドライバは、情報処理装置で実行可能な状態にインストールされているプリンタドライバと、情報処理装置に記憶されているだけでインストールされていないプリンタドライバを含むとよい。」 「【0011】 図4は、図2及び図3に示すPC1の内部の印刷に係る各機能を示す機能ブロック図である。 このPC1の制御部10は、このPC1の全体の制御を司り、プリンタドライバ部13はPC1の制御部10がHDD4に印刷制御を実施可能な状態で記憶されているプリンタドライバを実行することによって実現される機能である。 プリンタドライバ部13は、用紙サイズ,レイアウト情報,ユーザ情報などを設定するユーザインタフェース(UI)部14を有し、文書作成プログラムを含むアプリケーション11の実行により作成された文書データの印刷データとPJL(このPJLはなくてもよい)からなるデータをGDI12を介して描画部15に生成する。 そして、この描画部15に生成されたデータをスプーラ17とポートモニタ18を介してプリンタ2へ送信することにより、プリンタ2で印刷される。 【0013】 図1は、図2及び図3に示すPC1の内部のプリンタドライバ作成に係る各機能を示す機能ブロック図である。 このPC1の制御部10は、HDD4に実行可能な状態で記憶されているプリンタドライバ作成プログラムを実行することにより、プリンタドライバ作成部20の機能を実現する。 このプリンタドライバ作成部20は、ユーザインタフェース(UI)部21と、解析部22と、選択情報保持部23と、ドライバ作成部24とからなる。 入力部5は、ユーザが各種の操作情報を入力する入力装置であり、表示部6は、ユーザに対して各種の操作画面や情報を表示する表示装置である。 【0014】 図5は、この実施例のPC1のプリンタドライバ作成部20におけるプリンタドライバ作成処理を示すフローチャート図である。 ユーザが、プリンタドライバ作成アプリケーションを起動すると、プリンタドライバ作成処理を実行し、プリンタドライバ作成部20の機能が処理を開始する。 ステップ(図中「S」で示す)1で、プリンタドライバ作成部20のUI部21は、ドライバ選択画面を作成して表示する処理を実行する。 ドライバ選択画面を作成して表示する処理では、UI部21は、自装置のHDD4に保持されている全プリンタドライバを確認し、任意のプリンタドライバを選択するプリンタドライバ選択画面を作成して表示する。 上記HDD4に記憶されているプリンタドライバには、PC1で実行可能な状態にインストールされているプリンタドライバと、PC1に記憶されているだけでインストールされていないプリンタドライバを含む。」 「【0020】 図5に戻り、ステップ2で、UI部21は、プリンタドライバ選択画面に対するプリンタドライバの選択入力を受付ける。ここで選択入力されたプリンタドライバの種類が選択情報として、プリンタドライバ作成部20の選択情報保持部23に蓄積される。 ステップ3で、UI部21は、プリンタドライバ選択画面で選択されたプリンタドライバについて、機能選択画面を作成して表示する処理を実行する。 機能選択画面を作成して表示する処理では、UI部21は、上記選択されたプリンタドライバの情報を解析部22へ送る。 【0021】 プリンタドライバ作成部20の解析部22は、HDD4の上記選択されたプリンタドライバを参照し、その参照したプリンタドライバの内部を解析し、上記選択されたプリンタドライバで実現可能な機能の種類と、その機能で設定可能な選択項目の種類と、その機能で使用可能なプリンタ言語の種類を調べ、上記選択されたプリンタドライバで使用可能な機能とその機能の選択項目とその機能で使用可能なプリンタ言語のそれぞれの種類を示すリストを作成し、UI部21へ送る。 上記機能とは、例えば、原稿サイズ,用紙方向,出力用紙サイズ,用紙種類,ステープル,パンチなどの印刷設定項目を含んでいる。 UI部21は、解析部22から受け取ったリストに基づいて、そのリストが示す機能の種類を一覧表示して任意の機能を選択する機能選択画面を作成して表示する。 【0022】 例えば、図8は、ユーザが選択した各プリンタドライバで使用可能な全機能を一覧表示して、その任意の機能を選択する機能選択画面の一例を示す図である。 この機能選択画面により、ユーザは、設定可能な機能一覧から使用する機能を選択することができる。 この機能選択画面では、設定可能な機能として「全ての機種に共通の機能のみ表示」「2機種以上で共通の機能を表示」「すべての機能を表示」など、ユーザに表示したい内容を選択させる表示内容切り換え項目40を持たせることも可能である。 この機能選択画面において、ユーザが選択した各プリンタドライバで共通の機能のみがリストボックス41に表示されており、そのリストボックス41から追加したい機能を選択して追加ボタン42を押すと、リストボックス41に選択されている機能一覧のリストボックス43に機能名が移動して表示される。 【0023】 また、リストボックス43内に表示された機能名の内、削除したい機能名を選択し、削除ボタン44をクリックすると、リストボックス43内から削除され、その機能名はリストボックス41に戻る。 さらに、選択されている機能のリストボックス43の中から1つ機能を選択して詳細設定ボタン45をクリックすると、後述する選択項目設定画面を表示する。 また、一覧表示ボタン46をクリックすると、後述する選択内容確認画面を表示する。 さらに、設定完了ボタン47をクリックすると、設定を完了し、リストボックス43内の選択された機能が使用可能なプリンタドライバを生成する。 また、キャンセルボタン48を押すと上記操作をキャンセルできる。 【0024】 図5に戻り、ステップ4で、UI部21は、機能選択画面に対する機能の選択入力を受付ける。ここで選択入力された機能の種類が、選択情報保持部23に保持されている、上記選択されたプリンタドライバの種類を蓄積した選択情報に追加して蓄積される。 ステップ5で、UI部21は、機能選択画面で選択された機能について、選択項目設定画面を作成して表示する処理を実行する。 選択項目設定画面を作成して表示する処理では、UI部21は、解析部22から受け取ったリストに基づいて、そのリストから上記選択された機能の選択項目を一覧表示して任意の選択項目を選択する選択項目設定画面を作成して表示する。 【0025】 例えば、図9は、パンチ機能の選択項目設定画面の一例を示す図である。 この選択項目設定画面により、パンチ機能についての詳細な設定が可能である。 ユーザは、この設定可能項目リストボックス50から追加したい選択項目を選択する。 この選択項目設定画面において、設定可能項目リストボックス50にパンチ機能についての設定可能な選択項目が表示される。例えば、パンチ穴数「2穴」「3穴」「4穴」が選択可能に表示される。 【0026】 そして、そのリストボックス50から使用したい項目を選択して追加ボタン51を押すと、リストボックス50に選択済み項目のリストボックス52に項目名が表示される。 また、リストボックス52内に表示された項目名の内、削除したい項目名を選択し、削除ボタン53をクリックすると、リストボックス52内から削除される。 そして、設定完了ボタン54を押すと、上記機能選択画面に戻る。 また、キャンセルボタン55を押すと上記操作をキャンセルできる。 なお、この選択項目設定画面において、上述した選択可能な機能の一覧を表示したときと同様に表示する機能をユーザに限定させる手段を準備することも可能である。 例えば、全ての機種で使用可能な項目のみ表示の項目56である。 【0027】 図10は、パンチ機能の選択項目設定画面における選択項目の一覧表示処理を示すフローチャート図である。 UI部21は、ステップ11で、全ての機種で使用可能な項目のみ表示の項目のチェックがオンか否かを判断し、オンでなければ、ステップ12で、パンチ機能について、設定が可能な機種が多いものから順に選択項目を並べたリストを作成し、ステップ14で、上記リストに基づいてリストボックス内に選択項目を一覧表示し、この処理を終了する。 一方、ステップ11で、全ての機種で使用可能な項目のみ表示の項目のチェックがオンなら、ステップ13で、選択されたプリンタドライバのパンチ機能について、共通の項目のみを抽出して並べたリストを作成し、ステップ14で、上記リストに基づいてリストボックス内に選択項目を一覧表示し、この処理を終了する。 【0028】 図5に戻り、ステップ6で、UI部21は、選択項目設定画面に対する選択項目の選択入力を受付ける。ここで選択入力された選択項目の種類が、選択情報保持部23に保持されている、上記選択されたプリンタドライバの種類と機能の種類を蓄積した選択情報に追加して蓄積される。ここで、UI部21は、選択完了の指示があるか否かを判断し、選択完了の指示がなければ、ステップ2へ戻って上述の処理を繰り返し、選択完了の指示があれば、ステップ7へ進む。 【0029】 ステップ7で、UI部21は、ユーザによって選択された機能とその機能の選択項目を一覧表示する選択内容確認画面を作成して表示する処理を実行する。ここで、UI部21は、選択内容確認画面に対する設定完了の入力があれば、ステップ8へ進む。 例えば、図11は、選択内容確認画面の一例を示す図である。 この選択内容確認画面により、ユーザは、選択した機能,選択項目の一覧を確認することができる。 この選択内容確認画面には、設定一覧リストボックス60に、選択された機能の一覧が表示され、その各機能中で選択されている機能で選択した選択項目が選択可能項目リストボックス61に表示され、OKボタン62が押されると、機能選択画面に戻る。 【0030】 図5に戻り、ステップ8で、UI部21からの指示により、プリンタドライバ作成部20のドライバ作成部24はドライバ作成処理を実行する。 ドライバ作成処理では、ドライバ作成部24はUI部21から指示があると、選択情報保持部23に保持された選択情報と、HDD4に記憶されているプリンタドライバとに基づいて、プリンタドライバのパッケージを作成し、この処理を終了する。」 上記下線部の記載及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「PC1の制御部10は、HDD4に印刷制御を実施可能な状態で記憶されているプリンタドライバを実行することによってプリンタドライバ部13の機能を実現し、HDD4に実行可能な状態で記憶されているプリンタドライバ作成プログラムを実行することにより、プリンタドライバ作成部20の機能を実現するものであり、 プリンタドライバ作成部20は、ユーザインタフェース(UI)部21と、解析部22と、選択情報保持部23と、ドライバ作成部24とからなり、 UI部21は、自装置のHDD4に保持されている全プリンタドライバを確認し、任意のプリンタドライバを選択するプリンタドライバ選択画面を作成して表示し、HDD4に記憶されているプリンタドライバには、PC1で実行可能な状態にインストールされているプリンタドライバと、PC1に記憶されているだけでインストールされていないプリンタドライバを含んでおり、 UI部21は、プリンタドライバ選択画面に対するプリンタドライバの選択入力を受付け、選択入力されたプリンタドライバの種類が選択情報として、選択情報保持部23に蓄積され、上記選択されたプリンタドライバの情報が解析部22へ送られ、 解析部22は、HDD4の選択されたプリンタドライバを参照し、その参照したプリンタドライバの内部を解析し、選択されたプリンタドライバで実現可能な機能の種類と、その機能で設定可能な選択項目の種類と、その機能で使用可能なプリンタ言語の種類を調べ、上記選択されたプリンタドライバで使用可能な機能とその機能の選択項目とその機能で使用可能なプリンタ言語のそれぞれの種類を示すリストを作成し、UI部21へ送り、上記機能には、例えば、原稿サイズ,用紙方向,出力用紙サイズ,用紙種類,ステープル,パンチなどの印刷設定項目を含んでおり、 UI部21は、解析部22から受け取ったリストに基づいて、そのリストが示す機能の種類を一覧表示して任意の機能を選択する機能選択画面を作成して表示し、機能選択画面に対する機能の選択入力を受付け、選択入力された機能の種類が、選択情報保持部23に保持されている、上記選択されたプリンタドライバの種類を蓄積した選択情報に追加して蓄積され、 UI部21は、機能選択画面で選択された機能について、解析部22から受け取ったリストに基づいて、そのリストから上記選択された機能の選択項目を一覧表示して任意の選択項目を選択する選択項目設定画面を作成して表示し、設定可能項目リストボックス50から追加したい選択項目を選択し、例えば、設定可能項目リストボックス50にパンチ機能についての設定可能な選択項目であるパンチ穴数「2穴」「3穴」「4穴」が選択可能に表示され、リストボックス50から使用したい項目を選択して追加ボタン51を押すと、選択済み項目のリストボックス52に項目名が表示され、選択項目設定画面に対する選択項目の選択入力を受付け、選択入力された選択項目の種類が、選択情報保持部23に保持されている、上記選択されたプリンタドライバの種類と機能の種類を蓄積した選択情報に追加して蓄積され、 UI部21からの指示により、プリンタドライバ作成部20のドライバ作成部24は、選択情報保持部23に保持された選択情報と、HDD4に記憶されているプリンタドライバとに基づいて、プリンタドライバを作成するPC1。」 2.対比 本願発明と引用発明を対比する。 ・引用発明の解析部22は、「HDD4の選択されたプリンタドライバを参照し、その参照したプリンタドライバの内部を解析し、選択されたプリンタドライバで実現可能な機能の種類と、その機能で設定可能な選択項目の種類と、その機能で使用可能なプリンタ言語の種類を調べ、上記選択されたプリンタドライバで使用可能な機能とその機能の選択項目とその機能で使用可能なプリンタ言語のそれぞれの種類を示すリストを作成」しており、引用発明のリストが示す「選択されたプリンタドライバで実現可能な機能」と「その機能で設定可能な選択項目」は、本願発明と同様に「第1の画像処理装置を制御するための第1のドライバープログラムによって定められ」ているものといえ、引用発明の「上記選択されたプリンタドライバで使用可能な機能とその機能の選択項目」「のそれぞれの種類を示すリスト」は、本願発明の「第1の画像処理装置を制御するための第1のドライバープログラムによって定められ、所定の処理を定めた制御コマンドと前記所定の処理に関連してユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドとを関連付けた複数の部分定義データ」と、「第1の画像処理装置を制御するための第1のドライバープログラムによって定められ、所定の処理を定めた機能と関連付けた複数の部分定義データ」である点では共通するといえる。 また、引用発明の「上記選択されたプリンタドライバで使用可能な機能とその機能の選択項目」「のそれぞれの種類を示すリスト」は、本願発明の「複数の部分定義データは、第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応し、前記第1の画像処理装置を制御するための複数の制御コマンドのうち当該機能に対応する1以上の制御コマンドと、前記部分画面として当該機能に対する設定値を設定するための機能別画面を表示するための表示コマンドを対応付けた機能定義データを含」む点と「第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応する1以上の機能と、当該機能に対する設定値を対応付けた機能定義データを含」む点では共通するといえ、引用発明の「選択されたプリンタドライバで実現可能な機能」は、「その機能で設定可能な選択項目」を有するから、本願発明の「前記1以上の制御コマンドそれぞれは、前記第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応し、それが対応する機能に対して設定することが可能な1以上の設定値のいずれかに対応」している点と「前記1以上の機能それぞれは、前記第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応し、機能に対して設定することが可能な1以上の設定値のいずれかに対応」している点では共通するといえる。 そして、引用発明の「UI部21」は、「解析部22から受け取ったリストに基づいて、そのリストが示す機能の種類を一覧表示して任意の機能を選択する機能選択画面を作成して表示し、機能選択画面に対する機能の選択入力を受付け」るから、本願発明の「第1の画像処理装置を制御するための第1のドライバープログラムによって定められ、所定の処理を定めた制御コマンドと前記所定の処理に関連してユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドとを関連付けた複数の部分定義データのうちから1以上を選択する選択手段」と「第1の画像処理装置を制御するための第1のドライバープログラムによって定められ、所定の処理を定めた機能と関連付けた複数の部分定義データのうちから1以上を選択する選択手段」である点では共通するといえる。 ・引用発明の「プリンタドライバ作成部20のドライバ作成部24」は、「選択情報保持部23に保持された選択情報と、HDD4に記憶されているプリンタドライバとに基づいて、プリンタドライバを作成する」から、本願発明の「選択された1以上の部分定義データを含む第2のドライバープログラムを生成する生成手段」に相当するといえる。 ・引用発明において、「PC1の制御部10」は、作成したプリンタドライバを実行することによってプリンタドライバ部13の機能を実現し、受付手段により受け付けられた機能に対応する制御コマンドを画像処理装置に出力することは明らかであるから、本願発明の「前記第2のドライバープログラムを実行する前記画像処理装置制御手段は、前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の表示コマンドを実行することによって、1以上の機能別画面を表示し、前記表示された設定画面に従ってユーザーにより入力される設定値を受け付ける設定値受付手段と、前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の制御コマンドのうちから前記設定値受付手段により受け付けられた設定値に対応する制御コマンドを第2の画像処理装置に出力するコマンド出力手段と、を含む」と「前記第2のドライバープログラムを実行する前記画像処理装置制御手段は、前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の機能のうちから受付手段により受け付けられた機能に対応する制御コマンドを第2の画像処理装置に出力するコマンド出力手段と、を含む」点では共通するといえる。 ・引用発明の「PC1の制御部10」は、「HDD4に印刷制御を実施可能な状態で記憶されているプリンタドライバを実行することによってプリンタドライバ部13の機能を実現」するから、本願発明の「画像処理装置制御手段」に相当し、引用発明の「PC1」は、その「制御部10」が「HDD4に実行可能な状態で記憶されているプリンタドライバ作成プログラムを実行することにより、プリンタドライバ作成部20の機能を実現」しているから、引用発明と同様の「ドライバー生成装置」といい得るものである。 そうすると、両者は、次の点で一致する。 「第1の画像処理装置を制御するための第1のドライバープログラムによって定められ、所定の処理を定めた機能と関連付けた複数の部分定義データのうちから1以上を選択する選択手段と、 前記選択された1以上の部分定義データを含む第2のドライバープログラムを生成する生成手段と、 画像処理装置制御手段と、を備え、 前記複数の部分定義データは、第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応する1以上の機能と、当該機能に対する設定値を対応付けた機能定義データを含み、 前記機能それぞれは、前記第1の画像処理装置が有する複数の機能のいずれかに対応し、機能に対して設定することが可能な1以上の設定値のいずれかに対応し、 前記第2のドライバープログラムを実行する前記画像処理装置制御手段は、前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の機能のうちから受付手段により受け付けられた機能に対応する制御コマンドを第2の画像処理装置に出力するコマンド出力手段と、を含むドライバー生成装置。」 他方、本願発明と引用発明は次の点で相違する。 <相違点> 本願発明では、選択手段により選択され、生成する第2のドライバープログラムに含まれる「部分定義データ」は、「所定の処理を定めた制御コマンドと前記所定の処理に関連してユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドとを関連付けた」ものであり、かつ「複数の制御コマンドのうち当該機能に対応する1以上の制御コマンドと、前記部分画面として当該機能に対する設定値を設定するための機能別画面を表示するための表示コマンドとを関連付けた機能定義データを含」むものであって、「前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の表示コマンドを実行することによって、1以上の機能別画面を表示」するものであるのに対し、引用発明では、部分的定義データは、「所定の処理を定めた制御コマンドと前記所定の処理に関連してユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドとを関連付けた」ものではなく、「複数の制御コマンドのうち当該機能に対応する1以上の制御コマンドと、前記部分画面として当該機能に対する設定値を設定するための機能別画面を表示するための表示コマンドとを関連付けた機能定義データを含」むものでもなく、「前記第2のドライバープログラムによって定められた1以上の部分定義データそれぞれに含まれる1以上の表示コマンドを実行することによって、1以上の機能別画面を表示」するものではない点。 3.判断 上記相違点について検討する。 引用発明は、複数種類のプリンタドライバからユーザが所望する共通する機能を備えたプリンタドライバを容易に作成できるようにすることを課題とし(段落【0003】参照。)、選択した各プリンタドライバで使用可能な全機能を一覧表示して、その任意の機能を選択し、当該選択情報と、HDD4に記憶されているプリンタドライバとに基づいて、プリンタドライバを作成するものであるから、引用発明自体には、「所定の処理を定めた制御コマンドと前記所定の処理に関連してユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドとを関連付けた」「部分定義データ」を選択してドライバープログラムを作成することを示唆することは認められない。 原査定の拒絶理由に引用した特開2004-110678号公報(以下、「引用文献2」という。)の段落【0026】には、プリンタドライバを生成する際に、「オペレータがドラッグ・アンド・ドロップ操作により、UI構成部品リスト204から使用する部品を選択し、UIイメージ206上に直接配置して、機能を選択すると共に視覚的な配置(レイアウト)を決定」することが記載されているが、引用文献2の段落【0039】の「ウエブページにおいて、オペレータが作成したUIイメージが完成する。最後に、ステップ318で、UIイメージが、コンピュータが直接実行可能な言語に変換(コンパイル)され、ソフトウエアとしてのプリンタドライバが完成する」との記載を参酌すると、上記「UI構成部品リスト204から使用する部品を選択し、UIイメージ206上に直接配置して、機能を選択すると共に視覚的な配置(レイアウト)を決定」することは、本願発明の「所定の処理を定めた制御コマンドと前記所定の処理に関連してユーザーによる操作を受け付けるための部分画面を表示する表示コマンドとを関連付けた複数の部分定義データのうちから1以上を選択」することに相当するものとはいえない。 よって、引用発明において、引用文献2に記載された技術を採用できたとしても、そのことによって上記相違点を克服することが当業者にとって容易であったということはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 本願請求項2?6に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるから、本願発明と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 本願請求項7に係る発明は、本願発明を方法として記載したものであるから、本願発明と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 本願請求項8に係る発明は、本願発明をプログラムとして記載したものであるから、本願発明と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1?8に係る発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたとはいえないから、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-06-28 |
出願番号 | 特願2013-127704(P2013-127704) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 三森 雄介 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 和田 志郎 |
発明の名称 | ドライバー生成装置、ドライバー生成方法、およびドライバー生成プログラム |
代理人 | 中川 雅博 |