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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01H
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01H
管理番号 1316546
審判番号 不服2015-19198  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-23 
確定日 2016-07-01 
事件の表示 特願2011-102621「回路遮断器の取付構造」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月29日出願公開、特開2012-234711〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年4月30日の出願であって、平成27年1月16日付けの拒絶理由通知に対して、意見書及び手続補正書が提出されず、同年6月26日付け(発送日:同年7月21日、送達日:同年7月23日)で拒絶査定がされ、これに対して、同年10月23日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。

第2 平成27年10月23日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成27年10月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
平成27年10月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された
「【請求項1】
プラグイン端子金具が設けられたプラグインタイプの回路遮断器を分電盤などの母線が設けられた取付板側に取り付けるための回路遮断器と取付板の構造として、
回路遮断器の底面から突出する、しないを外部つまみで択一的に選択可能なロックレバーを回路遮断器に設けるとともに、
取付板側には前記ロックレバーの嵌合部を設け、
取付板の上に載置した回路遮断器を母線の方向にスライドさせていくと母線がプラグイン端子金具に差し込まれていき、
回路遮断器の底面からロックレバーが突出して取付板側の嵌合部に嵌合することにより、母線から回路遮断器を取り外す方向の動きが規制される構造を備えたものであって、
前記外部つまみの周囲に前記外部つまみの移動軌跡を避けて囲繞部を形成することを特徴とした回路遮断器の取付構造。
【請求項2】
前記囲繞部の一部として少なくとも前記外部つまみの底面側に、前記母線から回路遮断器を取り外す方向に突出したリブを形成することを特徴とした請求項1記載の回路遮断器の取付構造。
【請求項3】
前記回路遮断器の並設方向から回路遮断器を臨む側面視にて、
前記外部つまみが前記囲繞部の外方に突出しないことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器の取付構造。
【請求項4】
前記回路遮断器の取付面側から回路遮断器を臨む底面視にて、
前記外部つまみが前記囲繞部の外方に突出しないことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回路遮断器の取付構造。
【請求項5】
前記回路遮断器の側面視及び底面視にて、
前記外部つまみが前記囲繞部の外方に突出しないことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器の取付構造。」を、

補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された
「【請求項1】
プラグイン端子金具が設けられたプラグインタイプの回路遮断器を分電盤などの母線が設けられた取付板側に取り付けるための回路遮断器と取付板の構造として、
回路遮断器の底面から突出する、しないを外部つまみで択一的に選択可能なロックレバーを回路遮断器に設けるとともに、
取付板側には前記ロックレバーの嵌合部を設け、
取付板の上に載置した回路遮断器を母線の方向にスライドさせていくと母線がプラグイン端子金具に差し込まれていき、
回路遮断器の底面からロックレバーが突出して取付板側の嵌合部に嵌合することにより、母線から回路遮断器を取り外す方向の動きが規制される構造を備えたものであって、
前記外部つまみの周囲に前記外部つまみの移動軌跡を避けて囲繞部を形成する一方、該囲繞部は前記外部つまみの側面側及び底面側において前記母線から回路遮断器を取り外す方向に突出したリブを形成することにより構成されることを特徴とした回路遮断器の取付構造。
【請求項2】
前記回路遮断器の並設方向から回路遮断器を臨む側面視にて、
前記外部つまみが前記囲繞部の外方に突出しないことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器の取付構造。
【請求項3】
前記回路遮断器の取付面側から回路遮断器を臨む底面視にて、
前記外部つまみが前記囲繞部の外方に突出しないことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回路遮断器の取付構造。
【請求項4】
前記回路遮断器の側面視及び底面視にて、
前記外部つまみが前記囲繞部の外方に突出しないことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器の取付構造。」
と補正するものである。
なお、下線は補正箇所であり、請求人が付したとおりである。

本件補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「囲繞部」を「該囲繞部は前記外部つまみの側面側及び底面側において前記母線から回路遮断器を取り外す方向に突出したリブを形成することにより構成される」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2 引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開2008-226852号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「回路遮断器の取付構造」に関して、図面(特に、【図1】ないし【図5】参照)とともに、次の事項が記載されている。なお、下線部は合議体が付した(以下同様。)。

「【0009】
図1から図3において、1は電源側をプラグインタイプの端子とした回路遮断器、2は分電盤に設けられた取付板、3、4は取付板に設けられ回路遮断器1の取付板と鉛直な方向の動きを規制する爪部aと爪部b、5、6は前記爪部に対応する回路遮断器側に設けられた凹部aと凹部b、7は回路遮断器側に設けられ取付板から回路遮断器を取り外す方向の動きを規制するロックレバー、8はロックレバー7と嵌合する取付板側の嵌合部、9、10は回路遮断器の側面を規制する突出部aと突出部bである。また、11、12は取付板に設けられた母線、13、14はプラグイン端子部、15、16はプラグイン端子金具である。3の爪部aと4の爪部bは電源側から負荷側に向けて伸びており(開放されており)、5の凹部aと6の凹部bは電源側に向けて開放されている。これにより回路遮断器1を取付板2に載置して母線方向にスライドさせたときには、3の爪部aと5の凹部aが、4の爪部bと6の凹部bが勘合し取付板と鉛直な方向の動きを規制することができる。
【0010】
図1に示すロックレバー7は遮断器の底面から突出していない状態を示しているが、図4はロックレバー7が遮断器の底面から突出した様態の外観を示した。ロックレバー7は枠部701内を図の上端部と下端部に選択的に指掛部702をもって操作でき、それにより係止部703が底面から突出したり突出しなかったりする。
【0011】
図5は回路遮断器内のロックレバー7の周辺の構造を示している。この状態はロックレバー7が回路遮断器底面から突出していない状態を示している。指掛部702は図のように回路遮断器の負荷側側面からの突出がほとんどないようにしている。回路遮断器側に設けられた突起部17とふたつの溝18と19のいずれかが嵌合することにより、回路遮断器底面から突出した状態と突出しない場合の2つの位置を安定的に保持できるようにしてある。
【0012】
このように構成された取付構造により回路遮断器を取付板に取り付ける場合について説明する。まず、図1において、回路遮断器1のロックレバー7の係止部703が回路遮断器底面より突出しない状態にしておき、取付板の突出部a9、突出部b10の間に遮断器がくるように、また4の爪部bが遮断器の6の凹部bの開口部にくるように取付板の上に載置する。この時点では爪部3、4と遮断器の凹部5、6はかみ合っていない。次に回路遮断器1を母線11、12の方向にスライドさせていくと母線11、12がプラグイン端子金具15、16に差し込まれていき、取付板に設けられた爪部3及び爪部4がそれぞれ回路遮断器の凹部5、凹部6と嵌合する。
【0013】
以上により、回路遮断器は図1の上方向(取付板に対する鉛直方向)と側面方向の動きが規制されるが、この状態では、回路遮断器は母線11,12から遠い方向(遮断器の負荷側方向)へは取り外し可能である。
【0014】
次にロックレバー7の指掛部702を指で取付板の方向に押圧すると、係止部703が回路遮断器の底面より突出し、取付板の嵌合部8に嵌合する。これにより母線から回路遮断器を取り外す方向の動きを規制することができ、取付板2に回路遮断器1が取付られた状態となる。
【0015】
次に回路遮断器1を取付板2から取り外す場合について説明する。まず、ロックレバー7の指掛部702を取付板と反対の方向に指で引き上げ、嵌合部8とロックレバー7の係止部703との嵌合を解除する。次に回路遮断器1を母線11、12と反対の方向に引き抜くように移動させることにより、爪部3、及び爪部4と凹部5及び凹部6との嵌合が外れる。この状態で回路遮断器1を取付板から持ち上げると取付板2から取り外すことができる。
【0016】
以上の説明のように、プラグインタイプの回路遮断器1を分電盤に設けられた取付板2に取り付けるために、取付板2と鉛直な方向の動きを規制する爪部3及び爪部4を取付板2に設けるとともに前記爪部3、4とそれぞれ対応する凹部5、及び凹部6を回路遮断器1に設け、取付板2に設けられた母線11、12から回路遮断器1を取り外す方向の動きを規制するロックレバー7を回路遮断器1に設けるとともに取付板2には前記ロックレバー7が嵌合する嵌合部8を設け、回路遮断器の側面を位置規制する突出部9及び突出部10を取付板2に設けたために、プラグインタイプの回路遮断器を取付板と平行にスライドさせながら取り付けることが可能となり、分電盤内に電線を引き回す場合にもロックレバー7の指掛部は回路遮断器の負荷側側面からわずかしか突出していないため電線被覆を傷付ける恐れがない。また、回路遮断器の取り外しに工具を用いる必要がなく、工具を携帯しておく必要性もない取付構造を提供できる。」

上記記載事項及び【図1】ないし【図5】を総合して、本願補正発明に則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「プラグイン端子金具15、16が設けられたプラグインタイプの回路遮断器1を分電盤などの母線11、12が設けられた取付板2に取り付けるための回路遮断器1と取付板2の構造であって、
回路遮断器1の底面から突出する、しないを指掛部702で択一的に選択可能なロックレバー7を回路遮断器1に設けるとともに、
取付板2にはロックレバー7の嵌合部8を設け、
取付板2の上に載置した回路遮断器1を母線11、12の方向にスライドさせていくと母線11、12がプラグイン端子金具15、16に差し込まれていき、
回路遮断器1の底面からロックレバー7の係止部703が突出して取付板2の嵌合部8に嵌合することにより、母線11、12から回路遮断器1を取り外す方向の動きが規制されて、取付板2に回路遮断器1が取り付けられた状態となる回路遮断器1の取付構造。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開2000-188054号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「回路遮断器」に関して、図面(特に、【図1】及び【図2】参照)とともに、次の事項が記載されている。

ア 「【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような回路遮断器において、従来は以下の問題があった。
(省略)
(2)操作ハンドルの把手が露出しているため、なんらかの拍子に外力が加わって誤操作される危険が大きい。
そこで、この発明の課題は、操作ハンドルの把手の突出をできるだけ小さくして設置スペースを縮小するとともに、誤操作の危険を減らすことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、この発明は、回路遮断器のカバーの前面に、操作ハンドルの把手の移動方向に沿って、この把手を操作する指先を案内する案内溝を設けるとともに、前記把手をこの案内溝内に収めるものとする(請求項1)。
(省略)」

イ 「【0011】さて、ここで図1及び図2において、操作ハンドル3の把手3aは指先を掛けるのに必要な最小限の長さに短縮される一方、 カバー2の前面には把手3aの移動方向に沿って、この把手3aを操作する指先を案内し、かつ把手3aをその内部に収める案内溝2bが設けられている。この案内溝2bは電源側(図1の上側)がやや深く、かつその端部が開放されるとともに角部や底部は指が滑りやすいように曲面が施されている。
【0012】このような構成において、操作ハンドル3をOFF操作するには、案内溝2bの開放端から人指し指を滑り込ませ、その指先で把手3aを破線のOFF位置まで押し下げる。また、ON操作するには親指を案内溝2bに差し込み、その指先で把手3aを図示ON位置まで押し上げる。その場合、ON/OFFいずれの操作でも指先の移動が案内溝2bの側壁で案内され、把手3aが短くても指先が外れる不安がない。
【0013】操作ハンドル3の操作は、ON→OFFの場合は開閉スプリングの蓄積エネルギの開放と同時に操作力が急に軽くなり、指先が速く移動するようになるが、その際に仮に指先が把手3aから外れても、図示実施の形態では案内溝2bの負荷側(図1の下側)の端部が閉じているためこの部分で指先が止まり、指先が空を切る心配がない。これに対して、OFF→ONの場合は開閉スプリングを引き伸ばすため操作力が重く、指先が把手3aから外れる不安がないので、案内溝2bの電源側端部の開放は気にならない一方、OFF操作の場合にすでに述べたように指を滑り込ませるのに便利である。
【0014】また、上記構成において、把手3aは案内溝2b内に収まり、これから突出することがない。従って、把手3aに手などが触れて誤操作される危険が少ない。」

上記記載事項及び図示内容を総合すれば、刊行物2には、「カバー2の前面には把手3aの移動方向に沿って、この把手3aを操作する指先を案内し、かつ把手3aをその内部に収める案内溝2bが設けられ」、「指先の移動が案内溝2bの側壁で案内され」、「案内溝2bの負荷側(図1の下側)の端部が閉じている」こと、すなわち、把手3aをその内部に収める案内溝2bの側壁及び負荷側(図1の下側)の端部からなる立壁部(以下、「刊行物2の記載事項」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「プラグイン端子金具15、16」は、その機能、構造からみて、本願補正発明の「プラグイン端子金具」に相当し、同様に、「回路遮断器1」は「回路遮断器」に、「母線11、12」は「母線」に、「取付板2」は「取付板」に、「ロックレバー7」は「ロックレバー」に、「指掛部702」は「外部つまみ」に、「嵌合部8」は「嵌合部」に、相当する。

以上の点からみて、本願補正発明と引用発明とは、

[一致点]
「プラグイン端子金具が設けられたプラグインタイプの回路遮断器を分電盤などの母線が設けられた取付板側に取り付けるための回路遮断器と取付板の構造として、
回路遮断器の底面から突出する、しないを外部つまみで択一的に選択可能なロックレバーを回路遮断器に設けるとともに、
取付板側にはロックレバーの嵌合部を設け、
取付板の上に載置した回路遮断器を母線の方向にスライドさせていくと母線がプラグイン端子金具に差し込まれていき、
回路遮断器の底面からロックレバーが突出して取付板側の嵌合部に嵌合することにより、母線から回路遮断器を取り外す方向の動きが規制される構造を備えた取付構造。」
である点で一致し、

次の点で相違する。
[相違点]
本願補正発明では、「外部つまみの周囲に外部つまみの移動軌跡を避けて囲繞部を形成する一方、該囲繞部は外部つまみの側面側及び底面側において母線から回路遮断器を取り外す方向に突出したリブを形成するとにより構成される」「囲繞部」(以下、単に「囲繞部」という。)を備えているのに対して、引用発明では、「囲繞部」を備えていない点。

4 判断
(1)相違点について
刊行物1の「指掛部702は図のように回路遮断器の負荷側側面からの突出がほとんどないようにしている」(段落【0011】)との記載及び「分電盤内に電線を引き回す場合にもロックレバー7の指掛部は回路遮断器の負荷側側面からわずかしか突出していないため電線被覆を傷付ける恐れがない」(段落【0016】)との記載に照らせば、刊行物1には、指掛部702と電線との接触を回避する必要性が少なくとも示唆されていると解される。そして、かかる必要性を意識した当業者であれば、指掛部702と電線との接触を回避するように、指掛部702がその周囲部材と接触しない構成に想いを巡らすのが自然である。
この点、刊行物2に記載された立壁部は、「把手が露出しているため、なんらかの拍子に外力が加わって誤操作される危険が大きい」(段落【0003】)との課題に鑑み、「誤操作の危険を減ら」(同段落)し、「把手3aに手などが触れて誤操作される危険が少ない」(段落【0014】)ものであって、把手3aの移動方向を妨げずに(本願補正発明の「避けて」に相当する。)、把手3aをその内部に収める案内溝2bで囲繞するものであるから、周囲部材と接触しない構成というべきである。
しかも、刊行物2に記載された立壁部は、負荷側(図1の下側)の端部が立壁になり、OFF→ONの誤操作が回避されるように把手3aの側面側のみならず下側に立壁を備える、すなわち、把手3aから見れば把手3aの側面側のみならず下側において突出した立壁があることになるから、本願補正発明の「囲繞部」が外部つまみの「側面側及び底面側」において「母線から回路遮断器を取り外す方向に突出」している点においても共通するというべきである。
そうすると、引用発明及び刊行物2の記載事項に基いて上記相違点に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。
そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び刊行物2の記載事項から当業者が予測し得た程度のものにすぎない。

(2)まとめ
よって、本願補正発明は、引用発明及び刊行物2の記載事項に基いて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2」の「1」に補正前の特許請求の範囲の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物1及び2の記載事項並びに引用発明及び刊行物2の記載事項は、上記「第2」の「2」に記載したとおりのものである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明に係る「囲繞部」につき「外部つまみの周囲に外部つまみの移動軌跡を避けて囲繞部を形成する一方、該囲繞部は外部つまみの側面側及び底面側において母線から回路遮断器を取り外す方向に突出したリブを形成するとにより構成される」との発明特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含む本願補正発明が、上記「第2」の「3」及び「4」に記載したとおり、引用発明及び刊行物2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び刊行物2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び刊行物2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-11 
結審通知日 2016-04-05 
審決日 2016-04-19 
出願番号 特願2011-102621(P2011-102621)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01H)
P 1 8・ 575- Z (H01H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塚本 英隆  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 小柳 健悟
大内 俊彦
発明の名称 回路遮断器の取付構造  

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