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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1316691
審判番号 不服2015-9205  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-18 
確定日 2016-07-07 
事件の表示 特願2011-500510「携帯型端末、及び情報取得システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月26日国際公開、WO2010/095426〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年2月17日(優先権主張日 2009年2月20日)を国際出願日とする出願であって、平成26年3月26日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年5月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月18日付けで最後の拒絶の理由が通知され、これに対して、平成27年1月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年2月10日付けで、平成27年1月23日に提出された手続補正書が却下されると共に拒絶査定がなされ、同査定の謄本は同年2月17日に請求人に送達された。これに対して、同年5月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、同年6月10日付けで前置報告書が作成されたものである。

第2 平成27年5月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成27年5月18日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。

「携帯型端末と情報検索システムとを備え、前記情報検索システムが前記携帯型端末から入力される経路情報に基づいて経路に関する情報を検索し、前記携帯型端末に検索結果を送信する情報取得システムであって、
前記携帯型端末は、
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記現在位置から目的地までの前記経路のうち前記現在位置から交通機関の出発地までの第1経路と前記交通機関の経路である第2経路と前記交通機関の到着地から前記目的地までの第3経路とをそれぞれナビゲーションするナビゲーション部と、表示部とを備え、
前記情報検索システムは、
前記経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶されたデータベースと、前記経路情報をもとに前記経路に関する情報を前記データベースから検索し、前記経路に関する情報をもとに前記第2経路における前記交通機関の予約時刻を含む予約情報を該交通機関の予約システムから取得して、取得した前記予約情報を前記データベースに記憶させる情報検索サーバと、を備え、
前記情報検索サーバは、前記経路に関する情報とともに、前記データベースに記憶された前記予約情報を前記携帯型端末に送信し、
前記携帯型端末は、前記位置情報、前記予約情報及び前記経路に関する情報に基づいて、前記経路を案内し、
前記ナビゲーション部は、前記位置情報と前記情報検索サーバが送信した前記予約情報とを用いて、前記現在位置から前記目的地までのナビゲーションを開始するものであって、前記現在位置に基づいてユーザが前記交通機関の出発地に到着したことを検出して前記第2経路の表示画面に前記表示部の表示画面を切り替えて前記第2経路を案内する、又は前記現在位置に基づいてユーザが前記交通機関の到着地に到着したことを検出して前記第3経路の表示画面に前記表示部の表示画面を切り替えて前記第3経路を案内する際に、前記現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内する、ことを特徴とする情報取得システム。」

(2)本件補正前の、平成26年5月30日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「携帯型端末と情報検索システムとを備え、前記情報検索システムが前記携帯型端末から入力される経路情報に基づいて経路に関する情報を検索し、前記携帯型端末に検索結果を送信する情報取得システムであって、
前記携帯型端末は、
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記現在位置から目的地までの前記経路のうち前記現在位置から交通機関の出発地までの第1経路と前記交通機関の経路である第2経路と前記交通機関の到着地から前記目的地までの第3経路とをそれぞれナビゲーションするナビゲーション部と、表示部とを備え、
前記情報検索システムは、
前記経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶されたデータベースと、前記経路情報をもとに前記経路に関する情報を前記データベースから検索し、前記経路に関する情報をもとに前記第2経路における前記交通機関の予約情報を該交通機関の予約システムから取得する情報検索サーバと、を備え、
前記情報検索サーバは、前記経路に関する情報とともに、前記予約情報を前記携帯型端末に送信し、
前記携帯型端末は、前記位置情報、前記予約情報及び前記経路に関する情報に基づいて、前記経路を案内し、
前記ナビゲーション部は、前記現在位置に基づいてユーザが前記交通機関の出発地に到着したことを検出して前記第2経路の表示画面に前記表示部の表示画面を切り替えて前記第2経路を案内する、又は前記現在位置に基づいてユーザが前記交通機関の到着地に到着したことを検出して前記第3経路の表示画面に前記表示部の表示画面を切り替えて前記第3経路を案内する、ことを特徴とする情報取得システム。」

(3)上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「交通機関の予約情報」について、「予約時刻を含む」との限定を付加し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報検索サーバ」について、「取得した前記予約情報を前記データベースに記憶させる」との限定を追加し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「予約情報」について、「前記データベースに記憶された」との限定を付加し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ナビゲーション部」について、「前記位置情報と前記情報検索サーバが送信した前記予約情報とを用いて、前記現在位置から前記目的地までのナビゲーションを開始するものであって」との限定と「第2経路を案内する、又は、」(中略)「第3経路を案内する際に、前記現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内する」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 本件補正発明の独立特許要件についての検討

(1)サポート要件(特許法第36条第6項第1号)の検討

上記補正書によって、「ナビゲーション部」は、「第2経路を案内する、又は」(中略)「第3経路を案内する際に、前記現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内する、」との限定が付加されており、その根拠として、出願人は、審判請求書において、明細書の段落0113-0014の下記記載を挙げている。
「【0113】
ユーザが上記コンボボックス内の種類を選択すると、制御部11は、ユーザの入力確認のため、選択した項目の種類を項目表示欄PP0に表示させる。
ユーザが選択した項目の種類を確認し、確定アイコンEP0を選択すると、制御部11は、確定アイコンEP0が選択されたことを検出し、現在の時刻と予定データに記載された次の予定の時刻との差時刻を求める。なお、制御部11は、予定データに次の予定がない場合、又は予約データにおける次の予約の時刻の方が次の予定の時刻より早い場合には、予約データにおける次の予約の時刻との差を差時刻として算出してもよい。
そして、制御部11は、選択された項目の項目識別情報及び選択された種類の種類識別情報とともに、自身のカメラ識別情報とを情報検索サーバ21へ送信する。
【0114】
上記項目識別情報、差時刻及びカメラ識別情報が入力されると、情報検索サーバ21は、データベース22における予め記憶されている図16に示す寄り道テーブルを選択する。ここで、例えば、情報検索サーバ21は、上記差時刻より、少ない時間(例えば、食事であれば往復にかかる時間と平均的な食事の時間を加算した時間、買い物であれば往復の時間と買い物にかかる平均的な時間を加算した時間、など)にて用事を完了することが可能な店を寄り道テーブルから選択する。
情報検索サーバ21は、寄り道テーブルにおいて、項目識別情報に対応した項目を選択し、この項目における種類を種類識別情報に対応して検索する。
例えば、お土産の項目が選択された場合、情報検索サーバ21は、寄り道テーブルから項目識別情報及と種類識別情報とに対応する商品を選択し、選択した商品毎の商品名、商品情報(商品の価格、商品の画像データ)、商品識別情報、販売している店名、その店の店識別情報、ホームページのアドレス及び店の住所(緯度経度情報を含む)を読み出し、店選択を行う画像データ(地図の画像データも含む、この地図の画像データは、情報検索サーバ21により、送信する店の位置が全て表示可能な範囲が選択される)の情報とともにデジタルカメラ1へ送信する。」(下線は当審で付加した。)

上記限定箇所では「予約情報」と明記されているから、「予定情報」ではなく、交通機関の予約にかかる「予約情報」であり、「差時刻情報」は、現在時刻と次の交通機関の予約の時刻との差であると解される。
しかし、第2経路は、交通機関の利用を開始してから終了するまでの区間である一方、第3経路は、交通機関の利用を終了してから目的地までの区間であり、第2の経路には、現在時刻と次の予約情報(交通機関の到着時刻や、次に乗り継ぐ交通機関の出発時刻等)が存在し、差時刻情報が算出できる一方、第3経路では、交通機関の利用を終えているため、次の予約情報(交通機関の予約)が存在せず、差時刻情報が算出できないから、差時刻情報を用いて案内することもできない。
したがって、「第3経路を案内する際に、前記現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内する、」という構成は、本願の発明の詳細な説明の欄に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)を満たしていない。

(2)進歩性(特許法第29条第2項)の検討
ア 引用例
(ア)引用例1
原査定の拒絶の理由(平成26年11月18日付け最後の拒絶理由)に(引用文献14として)引用された特開2004-334517号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は通信端末を利用した移動支援システムに関し、特に、現在地から目的地までの経路や所要時間を示し、さらに複数にわたる交通機関の料金決済までを行うようにしたシステムに関する。」

「【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は、本発明に係る移動支援システムの全体構成を示す図である。図1を参照すると、利用者が所持するユーザ端末10と、利用者の要求により目的地までの経路を提示したり当該経路に含まれる交通手段の利用料金を決済したりするサービスサーバ20と、利用者の目的地までの移動過程で用いられる交通手段のシステム30と、利用者の交通費引き落とし口座を管理する金融機関システム40とを備え、これらの要素はインターネット等の通信ネットワークで相互に接続されている。
【0013】
ユーザ端末10は、利用者が常時携行可能な大きさの携帯電話機、PHS、PDA、または本システム専用に設計された無線通信端末であり、文字情報を入力可能な入力手段と、地図情報やサーバ20からのメッセージ等を表示しうる表示画面と、後述する交通機関のゲート端末31との間で赤外線通信を行う赤外線通信ポートを備えるものとする。さらに、ユーザ端末10は地図情報を有し通信衛星から位置情報を受信して地図上における現在位置を画面に表示するGPS(Gloval Positioning System)機能を備えることが好ましい。
【0014】
図2にサービスサーバ20の機能概略を示す。サービスサーバ20は、本願システムの運営者によりインターネット上に設置されるワークステーションサーバであり、移動経路提示手段21と、経路連絡手段22と、請求・分配処理手段23と、記憶手段24とを備えている。記憶手段24には全国の地図データ、各種交通手段の路線図データ、時刻表データ、料金データのほか、各交通手段のターミナル施設(例えば、駅、空港、タクシー乗り場等)の施設情報が登録されている。これらのデータは記憶媒体に格納してサービスサーバ20に提供されてもよいし、本システム外のデータ提供サーバから随時ダウンロードまたは更新を行う構成としてもよい。
【0015】
移動経路提示手段21は、ユーザ端末10からの要求により利用者の出発地から目的地までの推奨経路を探索して提示する手段であり、記憶手段24を参照して1または2以上の推奨経路をユーザ端末に配信する。この経路には、出発地から目的地に至るまでに利用しうる電車、地下鉄、バス、航空路線等の定期路線交通機関の経路が含まれるものとする。このような定期路線交通機関を含む推奨経路の探索装置については上述した特許文献1(特開2001-63579)に開示されているので詳細な説明は本明細書では省略する。さらに、サービスサーバは経路探索において、出発地から目的地までの全行程または、出発地から乗車駅まで及び/又は降車駅から目的地までをタクシーで移動する場合の経路およびその距離から予想されるタクシー料金の目安を算出してユーザ端末に配信してもよい。
【0016】
なお、本実施形態のサービスサーバ20は、ユーザ端末10に経路情報を送信する際に利用者にいずれか1の経路を選択決定するとともに出発時期をサーバ20に返信するよう促す。ここで利用者が選択した経路は経路連絡手段22に渡されるとともにサービスサーバ20内に保存される。
【0017】
経路連絡手段22は、利用者が選択した経路と出発時刻の情報が取得された場合に、当該経路に含まれる交通機関のシステム30に利用者の情報と、この利用者が当該交通機関を利用する時期を通知する。すなわち、記憶手段24を参照して、通知された利用者の出発地点から各交通機関に辿り着くまでの所要時間を利用者から通知された出発時刻に足して各交通機関の予想利用時刻を算出し、この予想利用時刻をユーザ端末の識別情報や利用区間等の情報とともに各交通機関のシステム30に通知する。また、交通機関システム30から予約完了報告を受けた場合に前記利用者のユーザ端末10にその情報を転送する。
(中略)
【0020】
前述したサービスサーバ20の経路連絡手段22からの通知により、交通機関側では利用者が何時にどこからどこまで利用するのかを予め把握することができる。したがって、例えば利用される交通機関が全席指定の列車や旅客機等である場合には、交通機関システム30は経路連絡手段22からの通知を予約要求として扱い、当該利用者の席予約を確保するとともに予約完了の旨や座席番号等の情報をサービスサーバ20に返信する。すなわち、通知された予想利用時刻以降で最も早い時刻の列車や航空機の座席を端末ユーザに割り当て、予約の可否や便名、車両番号、座席番号等の予約情報をサーバ20に返信する。この場合にサービスサーバ20は受信情報をユーザ端末10に転送するようにする。なお、予約情報は交通機関システム20からユーザ端末10に直接送信するように構成してもよい。また、サービスサーバ20の移動経路提示手段21は、交通手段の予約結果によって利用者の移動時間に変動が生ずる場合には所要時間を修正した新たな経路情報をユーザ端末10に通知するようにしてもよい。」

「【0024】
図3は、上記システムにより利用者が実際に出発地から目的地まで移動する場合の処理を説明する図である。図3に示すように、利用者は予めユーザ端末10からサービスサーバ20にアクセスし、ユーザ端末10の識別情報(電話番号、メールアドレス等)と住所氏名を登録しておく(ステップS1)。また、金融機関に出向く等して口座を開設し、必要な金額を入金しておく(ステップS2)。
【0025】
利用者が本システムを用いて移動する場合、まずユーザ端末10のGPS機能を用いて現在位置情報を取得する(ステップS3)。次に、サービスサーバ20にログインし、目的地を入力してステップ3で得た現在位置とともにサーバ20に送信する(ステップS4)。図4にサービスサーバ20のログイン画面の例を示す。この画面での入力情報はステップ1の利用者登録で付与されるものとする。また、目的地の入力は図5に示されるような画面上にて行う。ここで、出発地の情報はGPS機能により取得された現在位置が自動的に入力されるように構成する。
【0026】
この要求に応じてサービスサーバ20は1以上の推奨ルートを探索し、ユーザ端末10に返信する(ステップS5)。この送信情報には、各種交通機関を用いる場合のルートやその利用料金、所要時間が含まれており、ユーザ端末10の画面上に例えば図6のように表示される。図6に示すように、経路提示画面には数種の移動ルートが所要時間や料金とともに表示され、利用者がルートを選択する欄と、出発時期を入力する欄が設けられている。利用者はこの画面上で選択したルートと出発時刻を入力し、サービスサーバ20に送信する(ステップS6)。
また、サービスサーバ20は推奨するルート上にあるターミナル施設の情報を記憶手段24から抽出し、ユーザ端末10に送信する。これにより、利用者は適宜駅等のターミナル施設の自動昇降機やバリヤフリー等の情報を参照することができる。
【0027】
ユーザ端末10から選択ルートの情報を受け取ったサービスサーバ20の経路連絡手段22は、利用者が選択したルートに含まれる交通機関に対し、利用者の利用日時、利用区間とユーザ端末10の識別情報を交通機関システム40に通知する(ステップS7)。上述したように、ここで通知される利用時刻は各交通手段により異なり、サーバ20が利用者の出発日時に各交通機関の乗り場までの所要時間を加算した日時となる。交通機関システム40は、通知された区間に予約手配が必要なものである場合は予約処理を行い、予約結果をサーバ20及び/又はユーザ端末10に送信する(ステップS8)。例えばユーザが選択したルートに全席指定の列車や旅客機などが含まれる場合がこれに該当する。また、ユーザが選択したルートにタクシーが含まれる場合、通知された利用時刻に予めタクシーが手配されるようにしてもよい。また、交通機関側ではサービスサーバ20からの通知により利用者の利用時刻や利用区間の情報を把握することができ、例えば混雑状況の予測やマーケティング資料として用いることができる。
【0028】
以上の事前手続がなされた後に利用者はユーザ端末10のGPS機能およびサーバ20から提示されたルート情報に従って移動する(ステップS9)。上述したように、各交通機関の要所には通過ゲートが設けられており、これを利用者が通過する際にユーザ端末10とゲート端末31で交信を行うようにする(ステップS10)。
(中略)
【0030】
このようにして利用者は必要に応じて交通機関を乗り継ぎ、さらにGPS機能等を利用して目的地へ到達する(ステップS12)。」

さらに、図3では、ユーザ端末19(利用者)の処理ステップとして、
S9「GPS・提示ルートにしたがって移動」、
S10「各ゲートにて、赤外線通信により識別情報送信」、
S12「GPS・提示ルートにより目的地に到着」と記載されている。

また、図6では、ユーザ端末の表示画面に表示されたルート探索結果の例として、山手線だけを用いて新宿駅から田町駅に向かうルート1と、中央線と山手線を用いて新宿駅から東京駅で乗り換えて田町駅に向かうルート2が選択可能に表示されている。

以上の引用例1の記載によれば、引用例1には以下の事項を含む発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

「通信端末を利用した移動支援システムに関し、特に、現在地から目的地までの経路や所要時間を示し、さらに複数にわたる交通機関の料金決済までを行うようにした移動支援システムであって、
移動支援システムは、利用者が所持するユーザ端末10と、利用者の要求により目的地までの経路を提示したり当該経路に含まれる交通手段の利用料金を決済したりするサービスサーバ20と、利用者の目的地までの移動過程で用いられる交通手段のシステム30と、を備え、これらの要素はインターネット等の通信ネットワークで相互に接続されており、
ユーザ端末10は、利用者が常時携行可能な大きさの携帯電話機、PHS、PDA、または本システム専用に設計された無線通信端末であり、地図情報やサーバ20からのメッセージ等を表示しうる表示画面を備え、さらに、ユーザ端末10は地図情報を有し通信衛星から位置情報を受信して地図上における現在位置を画面に表示するGPS(Gloval Positioning System)機能を備え、
サービスサーバ20は、移動経路提示手段21と、経路連絡手段22と、記憶手段24とを備え、記憶手段24には全国の地図データ、各種交通手段の路線図データ、時刻表データ、料金データのほか、各交通手段のターミナル施設(例えば、駅、空港、タクシー乗り場等)の施設情報が登録されており、
移動経路提示手段21は、ユーザ端末10からの要求により利用者の出発地から目的地までの推奨経路を探索して提示する手段であり、記憶手段24を参照して1または2以上の推奨経路をユーザ端末に配信するものであり、この経路には、出発地から目的地に至るまでに利用しうる電車、地下鉄、バス、航空路線等の定期路線交通機関の経路が含まれ、
さらに、サービスサーバは経路探索において、出発地から目的地までの全行程または、出発地から乗車駅まで及び/又は降車駅から目的地までをタクシーで移動する場合の経路およびその距離から予想されるタクシー料金の目安を算出してユーザ端末に配信するものであり、
サービスサーバ20は、ユーザ端末10に経路情報を送信する際に利用者にいずれか1の経路を選択決定するとともに出発時期をサーバ20に返信するよう促し、ここで利用者が選択した経路は経路連絡手段22に渡されるとともにサービスサーバ20内に保存され、
経路連絡手段22は、利用者が選択した経路と出発時刻の情報が取得された場合に、当該経路に含まれる交通機関のシステム30に利用者の情報と、この利用者が当該交通機関を利用する時期を通知し、すなわち、記憶手段24を参照して、通知された利用者の出発地点から各交通機関に辿り着くまでの所要時間を利用者から通知された出発時刻に足して各交通機関の予想利用時刻を算出し、この予想利用時刻をユーザ端末の識別情報や利用区間等の情報とともに各交通機関のシステム30に通知し、また、交通機関システム30から予約完了報告を受けた場合に前記利用者のユーザ端末10にその情報を転送し、
交通機関システム30は経路連絡手段22からの通知を予約要求として扱い、当該利用者の席予約を確保するとともに予約完了の旨や座席番号等の情報をサービスサーバ20に返信し、すなわち、通知された予想利用時刻以降で最も早い時刻の列車や航空機の座席を端末ユーザに割り当て、予約の可否や便名、車両番号、座席番号等の予約情報をサーバ20に返信し、この場合にサービスサーバ20は受信情報をユーザ端末10に転送し、
サービスサーバ20の移動経路提示手段21は、交通手段の予約結果によって利用者の移動時間に変動が生ずる場合には所要時間を修正した新たな経路情報をユーザ端末10に通知し、
利用者が本システムを用いて移動する場合、まずユーザ端末10のGPS機能を用いて現在位置情報を取得し(ステップS3)、次に、サービスサーバ20にログインし、目的地を入力してステップ3で得た現在位置とともにサーバ20に送信し、
また、目的地の入力は図5に示されるような画面上にて行い、ここで、出発地の情報はGPS機能により取得された現在位置が自動的に入力され、
サービスサーバ20は1以上の推奨ルートを探索し、ユーザ端末10に返信し、この送信情報には、各種交通機関を用いる場合のルートやその利用料金、所要時間が含まれており、ユーザ端末10の画面上に例えば図6のように表示され、図6に示すように、経路提示画面には数種の移動ルートが所要時間や料金とともに表示され、利用者がルートを選択する欄と、出発時期を入力する欄が設けられ、利用者はこの画面上で選択したルートと出発時刻を入力し、サービスサーバ20に送信し、
また、サービスサーバ20は推奨するルート上にあるターミナル施設の情報を記憶手段24から抽出し、ユーザ端末10に送信し、これにより、利用者は適宜駅等のターミナル施設の自動昇降機やバリヤフリー等の情報を参照することができ、
ユーザ端末10から選択ルートの情報を受け取ったサービスサーバ20の経路連絡手段22は、利用者が選択したルートに含まれる交通機関に対し、利用者の利用日時、利用区間とユーザ端末10の識別情報を交通機関システム40に通知し、ここで通知される利用時刻は各交通手段により異なり、サーバ20が利用者の出発日時に各交通機関の乗り場までの所要時間を加算した日時となっており、
交通機関システム40は、通知された区間に予約手配が必要なものである場合は予約処理を行い、予約結果をサーバ20及び/又はユーザ端末10に送信し、例えばユーザが選択したルートに全席指定の列車や旅客機などが含まれる場合がこれに該当しており、
以上の事前手続がなされた後に利用者はユーザ端末10のGPS機能およびサーバ20から提示されたルート情報に従って移動し、必要に応じて交通機関を乗り継ぎ、さらにGPS機能およびサーバ20から提示されたルート情報を利用して目的地へ到達する、
移動支援システム」

(イ)引用例2
原査定の拒絶の理由(平成26年11月18日付け最後の拒絶理由)に(引用文献15として)引用された国際公開第2009/011018号(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付加した。)。

「[0001] 本発明は、出発地から目的地までの経路案内を行う経路案内システム、サーバ装置、携帯端末装置、サーバ装置用プログラム及び携帯端末装置用プログラムの技術分野に関する。」

「[0036] 次に、携帯電話機MPの構成及び機能について、図3を用いて説明する。なお、図3は携帯電話機MPの概要構成の一例を示すブロック図である。
(中略)
[0038] また、携帯電話機MPは、文字や画像等の情報を表示する表示部24(例えば、液晶ディスプレイ等)と、ユーザからの操作指示を受け付け、その指示内容を指示信号としてシステム制御部28に出力する選択手段の一例としての操作部25(例えば、ダイヤルボタン、カーソルボタン等)と、各種プログラム(例えば、オペレーティングシステム、Webブラウザプログラム、目的地誘導アプリ等)及びデータ等を記憶する記憶部27(例えば、フラッシュメモリ等)と、を備えている。

[0039] 更に、携帯電話機MPは、GPS衛星から発信された衛星軌道及び時刻データを含む電波を受信するとともに、この受信した電波に基づいて携帯電話機MPの現在位置(緯度経度)を算出するGPS測位部26を備えている。GPS測位部26は、システム制御部28の制御により、現在位置の測位を開始し、一度測位を開始すると、システム制御部28による他の処理(プログラムの実行を含む)と並行して、連続して測位を行うようになっている。

[0040] 更にまた、携帯電話機MPは、CPU(Central#Processing#Unit)、RAM(Random#Access#Memory)、ROM(Read#Only#Memory)等を備えるシステム制御部28を備え、システム制御部28と各部とはシステムバス29を介して相互に接続されている。
(中略)
[0043] 具体的に、システム制御部28は、目的地誘導アプリを起動することにより、当該目的地誘導アプリの目的地設定画面を表示させる。このとき、システム制御部28は、システムバス29を介して測位開始命令をGPS測位部26に出力し、GPS測位部26により現在位置の測位を開始させる。

[0044] そして、システム制御部28は、ユーザにより操作部25を用いて目的地が指定されるとともに、GPS測位部26により測位された現在位置を出発地とすることが選択されると、当該指定された目的地の名称や緯度経度等を示す目的地情報をRAMに設定し、当該目的地情報と、GPS測位部26により測位された現在位置を示す現在位置情報とを含むルート探索要求信号をサーバSVに送信する。なお、システム制御部28は、ユーザにより操作部25を用いて現在位置以外の地点を出発地とすることが入力された場合には、現在位置情報に代えてユーザにより入力された地点を示す出発地情報をサーバSVに送信することとしてもよい。

[0045] また、システム制御部28は、サーバSVから送信されたルート探索結果情報を受信し、当該ルート探索結果情報にポイントデータが含まれている場合には、当該ポイントデータ及び特殊態様画像データの送信要求をサーバSVへ送信する。次いで、システム制御部28は、サーバSVから送信された特殊態様画像データとルート探索結果情報とに基づいて、図8に示すような探索結果画面100を表示する。

[0046] また、システム制御部28は、探索結果画面100を表示させている際、ユーザにより操作部25を用いて誘導開始の指示がなされると、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信する。次いで、システム制御部28は、サーバSVから表示データを受信すると表示データに基づいて、例えば、図11に示すような歩行モード用の誘導案内画面(歩行モード誘導画面)400を表示する。システム制御部28は、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信した後は、随時、GPS測位部26により測位される現在位置情報をサーバSVへ送信することにより、ユーザの現在位置及びその周囲を示す地図を表示するための表示データをサーバSVから受信し、当該表示データに基づく画像を歩行モード誘導画面400として表示させる。

[0047] また、システム制御部28は、徒歩による移動の後に、鉄道による移動を案内する場合には、例えば、歩行モード誘導画面400を表示している際にユーザが出発駅の出入口に到着したことをGPS測位部26により測位される現在位置により確認すると、ユーザが鉄道による移動を完了して、到着駅の出入口を通過するまでの間、探索結果画面100(誘導が完了した部分を除く)を再表示させる。次いで、システム制御部28は、ユーザが到着駅の出入口を通過したことをGPS測位部26により測位される現在位置により確認すると、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信する。そして、システム制御部28は、サーバSVから表示データを受信すると、当該表示データに基づいて図12に示すような歩行モード誘導画面500を表示させる。」

「[0049] 次に、図4?図7を用いてサーバSVの記憶部11に記憶されている、路線網データの一部である路線会社テーブル、路線テーブル、駅テーブル及び特殊態様画像テーブルについて説明する。なお、図4に示す路線会社テーブルは路線会社テーブルの一例であり、図5に示す路線テーブルは路線テーブルの一例である。また、図6に示す駅テーブルは駅テーブルの一例であり、図7に示す特殊態様画像テーブルは特殊態様画像テーブルの一例である。

[0050] 図4に示す路線会社テーブルは、後述するポイントデータの3、4桁目により識別される路線会社に対応づけて、画像IDと、当該路線会社の所有する路線とを規定している。路線会社としては、「X地下鉄」、「Y鉄道」、「Zモノレール」などがある。路線会社テーブルに規定されている画像IDは、路線会社名用の特殊態様画像データに対応しており、路線会社名用の特殊態様画像データが存在しない場合には、「X地下鉄」のように画像IDの欄が空欄となっている。路線としては、「X地下鉄」の「X1線」、「X2線」、「X3線」などがある。

[0051] 図5に示す路線テーブルは、後述するポイントデータの3#6桁目により識別される路線に対応づけて、画像IDと、当該路線上の駅とを規定している。路線テーブルに規定されている画像IDは、路線名用の特殊態様画像データに対応しており、路線名用の特殊態様画像データが存在しない場合には、画像IDの欄が空欄となっている。路線上の駅としては、「X地下鉄X1線」の「X11駅」、「X12駅」、「X13駅」などがある。

[0052] 図6に示す駅テーブルは、後述するポイントデータの3?10桁目により識別される各駅の有する各出入口に対応づけて、画像IDを規定している。駅テーブルに規定されている画像IDは、出入口用の特殊態様画像データに対応している。

[0053] 図7に示す特殊態様画像テーブルは、画像IDに対応づけて特殊態様画像データを規定している。特殊態様画像データとしては、Y鉄道の特殊態様画像データ、X1線の特殊態様画像データ、A3出口の特殊態様画像データなどがある。例えば、Y鉄道の特殊態様画像データとは、実際に駅などに設けられている標示物にY鉄道を示す色として標示されている色を表す特殊態様画像を表示させるための画像データである。また、X1線の特殊態様画像データとは、例えば、実際に駅などに設けられている標示物にX1線を示す色付きのマークとして標示されている色付きのマークを表す特殊態様画像を表示させるための画像データである。また、A3出口の特殊態様画像データとは、例えば、実際に駅などに設けられている標示物にA3出口を示すものとして黄色地に黒い文字で「A3出口」と標示された標記を表す特殊態様画像を表示させるための画像データである」

「[0054] 次に、図8を用いて、経路の探索結果画面100について説明する。なお、図8は、探索結果画面100の一例である。

[0055] 探索結果画面100は、徒歩で移動する区間(「徒歩区間」という)における出発地(「徒歩出発地」という)、到着地(「徒歩到着地」という)、所要時間(「徒歩所要時間」という)等を表示する徒歩区間表示領域110、140と、鉄道で移動する区間(「鉄道区間」という)における出発地(「鉄道出発地」という)、到着地(「鉄道到着地」という)、乗車する電車等を表示する鉄道区間表示領域120、130とにより構成されている。なお、ルートの探索結果によっては、徒歩区間表示領域だけが表示される場合や、鉄道区間表示領域が1つ又は2つ以上表示される場合などもある。

[0056] 徒歩区間表示領域110、140は、徒歩出発地に関する情報を表示する徒歩出発地表示領域111、141と、徒歩移動区間の所要時間を表示する徒歩所要時間表示領域112、142と、徒歩到着地に関する情報を表示する徒歩到着地表示領域113、143とにより構成されている。具体的には、徒歩出発地表示領域111、141には、出発時刻と出発地の住所や施設名などが表示される。徒歩所要時間表示領域113、143には、徒歩出発地から徒歩出発地までの移動距離や徒歩所要時間が表示される。徒歩到着地表示領域113、143には、予想到着時刻と到着地の住所や施設名などが表示される。なお、ルート探索の結果、徒歩区間を移動した後に鉄道を利用するルートを探索した場合には、徒歩到着地表示領域113内の、次に利用する鉄道の駅の出入口番号(複数の出入口がある場合には、最適出入口の番号)を示すための駅入口表示領域114に、出入口用の特殊態様画像データに基づく画像が表示される。

[0057] 鉄道区間表示領域120、130は、利用する鉄道に関する情報を表示する鉄道情報表示領域121、131と、鉄道出発地に関する情報を表示する鉄道出発地表示領域123、134と、乗車する電車に関する情報を表示する乗車電車表示領域124、135と、鉄道到着地に関する情報を表示する鉄道到着地表示領域125、136と、最適出入口の名称を表示する駅出口表示領域126、137とにより構成されている。具体的には、鉄道情報表示領域121は、利用する鉄道の路線会社名及び路線名を表示するとともに、路線名特殊態様表示領域122を有し、路線会社名特殊態様表示領域122には、路線名用の特殊態様画像データに基づいて特殊態様画像が表示される。また、鉄道情報表示領域131は、利用する鉄道の路線会社名及び路線名を表示するとともに、路線会社名特殊態様表示領域132と路線名特殊態様表示領域133を有する。路線会社名特殊態様表示領域132には、路線会社名用の特殊態様画像データに基づいて特殊態様画像が表示され、路線名特殊態様表示領域133は、路線名用の特殊態様画像データに基づいて特殊態様画像が表示される。鉄道出発地表示領域123、134には、鉄道に乗車する時刻と鉄道に乗車する駅、また、鉄道到着地までの運賃が表示される。乗車電車表示領域124、135には、乗車する電車の行き先(周回する路線の場合には、内回りや外回り)や、乗り降りする際にユーザにとって便利な車両(例えば、最適な出入口に近い車両)が表示される。駅出口表示領域126、137には、電車を乗り換える必要がある場合は乗り換えする際の移動距離及び移動時間が最短となる最適な出入口が表示され、一方、電車を降りた後に徒歩で移動する場合は最適出入口が表示される。また、駅出口表示領域126、137には、出入口用の特殊態様画像データに基づいて特殊態様画像が表示される。」

「[0062] 図11に示す歩行モード誘導画面400は、ユーザが鉄道を利用するために現在位置から徒歩により出発駅のA2出入口(徒歩到着地に当たる)まで移動している際、携帯電話機MPの表示部24に表示される画面である。歩行モード誘導画面400には、ユーザの現在位置及びその周囲の地図が表示される。ユーザの現在位置は、現在位置マーカー410によって示され、ユーザを徒歩出発地から徒歩到着地まで案内する経路は、案内経路ライン420によって示されている。」

[0062] 図12に示す歩行モード誘導画面500は、鉄道による移動後、到着駅のA5出入口(徒歩出発地に当たる)からユーザが徒歩により徒歩到着地まで移動している際、携帯電話機MPの表示部24に表示される画面である。歩行モード誘導画面500には、ユーザの現在位置及びその周囲の地図が表示される。ユーザの現在位置は、現在位置マーカー510によって示され、ユーザを徒歩出発地から徒歩到着地まで案内する経路は、案内経路ラインは520によって示される。」

以上の引用例2の記載によれば、引用例2には以下の事項を含む発明(以下「引用例2発明」という。)が開示されていると認められる。

携帯電話機MPは、文字や画像等の情報を表示する表示部24と、携帯電話機MPの現在位置(緯度経度)を算出するGPS測位部26と、システム制御部28等を備えており、
システム制御部28は、目的地設定画面を表示させ、測位開始命令をGPS測位部26に出力し、GPS測位部26により現在位置の測位を開始させ、
システム制御部28は、ユーザにより操作部25を用いて目的地が指定されるとともに、GPS測位部26により測位された現在位置を出発地とすることが選択されると、当該目的地情報と、GPS測位部26により測位された現在位置を示す現在位置情報とを含むルート探索要求信号をサーバSVに送信し、
また、システム制御部28は、サーバSVから送信されたルート探索結果情報を受信し、
次いで、システム制御部28は、サーバSVから送信された特殊態様画像データとルート探索結果情報とに基づいて、図8に示すような探索結果画面100を表示し、
ここで、探索結果画面100は、徒歩で移動する区間(「徒歩区間」という)における出発地(「徒歩出発地」という)、到着地(「徒歩到着地」という)、所要時間(「徒歩所要時間」という)等を表示する徒歩区間表示領域110、140と、鉄道で移動する区間(「鉄道区間」という)における出発地(「鉄道出発地」という)、到着地(「鉄道到着地」という)、乗車する電車等を表示する鉄道区間表示領域120、130とにより構成されており、
また、システム制御部28は、探索結果画面100を表示させている際、ユーザにより操作部25を用いて誘導開始の指示がなされると、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信し、次いで、システム制御部28は、サーバSVから表示データを受信すると表示データに基づいて、例えば、図11に示すような歩行モード用の誘導案内画面(歩行モード誘導画面)400を表示し、システム制御部28は、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信した後は、随時、GPS測位部26により測位される現在位置情報をサーバSVへ送信することにより、ユーザの現在位置及びその周囲を示す地図を表示するための表示データをサーバSVから受信し、当該表示データに基づく画像を歩行モード誘導画面400として表示させ、
ここで、歩行モード誘導画面400は、ユーザが鉄道を利用するために現在位置から徒歩により出発駅のA2出入口(徒歩到着地に当たる)まで移動している際、携帯電話機MPの表示部24に表示される画面であり、歩行モード誘導画面400には、ユーザの現在位置及びその周囲の地図が表示されており、ユーザの現在位置は、現在位置マーカー410によって示され、ユーザを徒歩出発地から徒歩到着地まで案内する経路は、案内経路ライン420によって示されており、
また、システム制御部28は、徒歩による移動の後に、鉄道による移動を案内する場合には、例えば、歩行モード誘導画面400を表示している際にユーザが出発駅の出入口に到着したことをGPS測位部26により測位される現在位置により確認すると、ユーザが鉄道による移動を完了して、到着駅の出入口を通過するまでの間、探索結果画面100(誘導が完了した部分を除く)を再表示させ、
ここで、探索結果画面100の鉄道区間表示領域120、130は、利用する鉄道に関する情報を表示する鉄道情報表示領域121、131と、鉄道出発地に関する情報を表示する鉄道出発地表示領域123、134と、乗車する電車に関する情報を表示する乗車電車表示領域124、135と、鉄道到着地に関する情報を表示する鉄道到着地表示領域125、136と、最適出入口の名称を表示する駅出口表示領域126、137とにより構成されており、鉄道情報表示領域131は、利用する鉄道の路線会社名及び路線名を表示し、鉄道出発地表示領域123、134には、鉄道に乗車する時刻と鉄道に乗車する駅、また、鉄道到着地までの運賃が表示され、乗車電車表示領域124、135には、乗車する電車の行き先(周回する路線の場合には、内回りや外回り)や、乗り降りする際にユーザにとって便利な車両(例えば、最適な出入口に近い車両)が表示され、駅出口表示領域126、137には、電車を乗り換える必要がある場合は乗り換えする際の移動距離及び移動時間が最短となる最適な出入口が表示され、一方、電車を降りた後に徒歩で移動する場合は最適出入口が表示されており、
次いで、システム制御部28は、ユーザが到着駅の出入口を通過したことをGPS測位部26により測位される現在位置により確認すると、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信し、そして、システム制御部28は、サーバSVから表示データを受信すると、当該表示データに基づいて図12に示すような歩行モード誘導画面500を表示させ、
ここで、歩行モード誘導画面500は、鉄道による移動後、到着駅のA5出入口(徒歩出発地に当たる)からユーザが徒歩により徒歩到着地まで移動している際、携帯電話機MPの表示部24に表示される画面であり、歩行モード誘導画面500には、ユーザの現在位置及びその周囲の地図が表示されており、ユーザの現在位置は、現在位置マーカー510によって示され、ユーザを徒歩出発地から徒歩到着地まで案内する経路は、案内経路ラインは520によって示されている
携帯電話機MP。

(ウ)引用例3

原査定の拒絶の理由(平成26年11月18日付け最後の拒絶理由)に周知技術の例示として(引用文献16として)引用された特開2002-114149号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付加した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、交通機関を利用しているユーザに対してナビゲーション情報の提供を行うシステムおよび方法に関する。」

「【0014】以上のように、上記第1の発明によれば、ユーザが交通機関を利用して移動する際に、交通機関ルート上の乗換駅や降車駅等の所要の位置に近づくと、そのことが携帯している携帯端末機を介してユーザに通報されるので、例え不慣れな路線を利用したりする場合でも乗り過ごしたりするといった事態が発生するのを防止することができ、ユーザが安心して交通機関を利用することが出来るようになる。」

「【0083】例えば、図5に示されるように、ユーザが東京山の手線の目黒駅から横浜駅に行く際に、品川駅を経由する交通機関ルートが設定されると、ユーザが大崎駅を過ぎて乗換駅である品川駅に近づくと、交通機関ナビゲーションシステムSの案内情報送信プログラムS3cからユーザが携帯する携帯端末機Tに乗換駅が近づいたことを知らせる案内情報が送信され、さらに、降車駅である横浜駅に近づいたときにも、そのことを知らせる案内情報が携帯端末機Tに送信される。
【0084】なお、この乗換駅や降車駅が近づいたことを知らせる案内情報としては、音声や振動でユーザに知らせるものの他、「あと5分で**駅に到着します。**駅で東海道線に乗り換えてください。」といった表示を携帯端末機Tのディスプレイに行うものが考えられる。
(中略)
【0088】なお、上記においては、ユーザ位置と乗換駅または降車駅との距離が所定の距離以下になったときに携帯端末機Tに案内情報が送信される例が示されているが、ユーザ位置から乗換駅または降車駅までの所要時間が所定の時間以下になったときに、携帯端末機Tに案内情報が送信されるようにしてもよい。」

以上の引用例3の記載によれば、引用例3には以下の事項を含む周知技術(以下「引用例3例示周知技術」という。)が開示されていると認められる。

(引用例3例示周知技術)
ユーザ位置から乗換駅または降車駅までの所要時間が所定の時間以下になったときに、ユーザが乗換駅または降車駅に近づいたことを知らせる案内情報(例えば、「あと5分で**駅に到着します。**駅で東海道線に乗り換えてください。」といった)表示を携帯端末機のディスプレイに行う周知技術。

(エ)引用例4

原査定の拒絶の理由(平成26年11月18日付け最後の拒絶理由)に(引用文献7として)引用された特開2008-77311号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付加した。)。

「【0001】
本発明は、例えば目的地への道案内等を行うための行動案内装置、目的地までの行程におけるの行動予定を生成及び変更等する行動予定処理方法、行動案内システム、行動予定処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆるナビゲーション装置では、GPS(Global Positioning System)などにより得られる現在位置情報と、ユーザの手作業等により入力された目的地や経由地の情報と、地図情報とを用いて、出発地或いは現在位置から目的地に至るまでの行程(経路、ルート)を地図上に表示等するような道案内機能が実現されている。
【0003】
また、従来のナビゲーション装置においては、上述した目的地までの行程表示を行う基本機能に加えて、例えば、目的地までの経路の近傍にある様々な地点,施設等の情報を、ユーザの嗜好や希望に基づいてデータベースより検索し、それらの情報を地図上に表示して案内するような機能も実現されている。」

「【0012】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、目的地までの行程の途中で行動予定が変更されるような場合に、行動予定の変更のためにユーザに対して複雑な操作を要求せず、また、装置についても複雑な演算処理が不要で、ユーザにとって判りやすく簡単且つ効率的で、さらにはインタラクティブで楽しい道案内を実現することができる行動案内装置、行動予定処理方法、行動案内システム、及び行動予定処理プログラムを提供することを目的とする。」

「【0021】
〔携帯電話端末の概略構成〕
図1には、本発明実施形態のナビゲーション機能を備えた携帯電話端末の概略的な内部構成例を示す。」

「【0026】
第1表示部32と第2表示部33は、それぞれ例えば液晶ディスプレイ等の表示デバイスとそのディスプレイの表示駆動回路とを含み、それらディスプレイ上に画像や文字、後述する行動予定の画面等を表示する。」

「【0032】
GPSアンテナ27は、GPSにおける測地衛星の発信する電波を受信する。GPS制御部26は、GPSアンテナ27の電波受信に基づいて、自端末の現在位置の緯度及び経度を求める。これらGPSアンテナ27及びGPS制御部26により得られたGPSデータ(緯度,経度を表すデータ)は、制御部10へ送られる。」

「【0035】
メモリ部15は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、OS(Operating System)、制御部10が各部を制御するための制御プログラムや各種の初期設定値、フォントデータ、各辞書データ、本実施形態にかかるナビゲーション機能を実行するためのナビゲーションプログラムコード及び行動予定の作成及び更新機能を実行するための行動予定処理プログラムプログラムコード、後述する行動予定のデータや共有行動予定データベースのデータ、電子メールやスケジュール帳等のプログラムコード、その他、携帯電話端末に搭載される各種のプログラムコード、当該携帯電話端末の識別情報(ID)などを記憶している。このROMは、いわゆるNAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)のような書き換え可能なROMをも含み、当該書き換え可能なROMには、例えば、本実施形態にかかる行動予定データ、共有行動予定データベース、電子メールデータ、電話帳や電子メールアドレス、その他、各種のデータや各種設定値等を保存することも可能となされている。RAMは、制御部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0036】
上記制御部10は、通信回路11における通信の制御、音声処理部22や画像処理部23等の各制御の他、本実施形態の携帯電話端末の各構成要素の制御や各種演算処理を行う。詳細については後述するが、特に本実施形態の場合、制御部10は、メモリ部15の上記ナビゲーションプログラムコードによるナビゲーション機能の実行や、上記行動予定処理プログラムコードによる行動予定の作成や更新等の実行を行う。」

「【0038】
〔行動予定とナビゲーション機能の概要〕
以下、ユーザが自宅から例えば自動車で出発して目的地E村まで出かける場合(同行者が存在しない場合)と、ユーザと友人Bさんがそれぞれの自宅から例えば自動車で出発して目的地E村まで出かける場合(同行者が存在する場合)の、本発明実施形態にかかる行動予定(行動計画)の作成と、その行動予定に基づくナビゲーション(道案内)と、必要に応じて行われる行動予定の変更等の概略的な流れについて説明する。なお、以下の説明では、上記同行者が存在しない場合と同行者が存在する場合の両方において、ユーザは、自宅から自動車で出発した後、途中で友人A氏宅に寄り、そのA氏を自動車に同乗させて目的地E村まで行く例を挙げている。
【0039】
本発明実施形態では、目的地E村までの行程内の行動予定をスケジュール表(例えばいわゆる遠足の栞のようなスケジュール表)として予め作成し、その行動予定のスケジュール表の内容に沿ってナビゲーションを行う。
【0040】
また、本発明実施形態では、行動予定のスケジュール表の内容を、実際の行動の状況変化に応じて略々リアルタイムに更新しながら、目的地E村に予定通りに辿り着けるようにするためのナビゲーションを行う。
【0041】
すなわち、本実施形態では、ユーザの行動或いは同行者の行動が変更された場合や、ナビゲーションの途中で行動予定の通りに進捗しなくなった場合に、現時点以後に必要又は不要となる行動(イベント)を判断し、ユーザ或いは同行者の新たな行動予定を立てて、その行動予定をアップデート(ユーザ或いは同行者の携帯電話端末の行動予定のリスケジュール処理)し、そのリスケジュール処理された新たな行動予定に沿ってナビゲーションを行う。」

「【0102】
〔行動予定を変更する場合の基本的な処理の流れ〕
上述したような行動予定に沿ってユーザが行動を開始した後、その行動予定に殆ど狂いが生じなかった場合には、当初の行動予定を変更せずに、そのままナビゲーションを続行できるが、例えば何らかの理由により行動予定に狂いが生じた場合、その後の行動予定を変更しなければならなくなることが起こり得る。
【0103】
図12には、ユーザが行動を開始した後、何らかの理由により行動予定に狂いが生じ、その結果行動予定の変更が必要になる場合の処理の基本的な流れを示す。
(中略)
【0106】
次に、実際にユーザが行動予定に沿って行動を開始すると、携帯電話端末は、ステップS12の処理として、予め設定されている行動予定と実際の行動内容との比較を行う。ここで、上記予め設定されている行動予定の通りに実際の行動がなされている場合には、上記予め設定されている行動予定をそのまま用いて(変更を加えずに)ナビゲーションを続行する。一方、上記予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に差分(ズレ)が生じてきている場合、携帯電話端末は、バックグラウンド処理として、その差分(ズレ)を補正することができる行動予定を再作成(リスケジュール処理)すると共に、上記予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に差分(ズレ)が生じてきていることをユーザに対して通知する。」

「【0136】
〔同行者が存在しない場合に経由地を追加して行動予定を変更する際の処理の流れ〕
図17には、同行者が存在しない場合において、何らかの理由により行動予定に余裕が生じた時に、例えば新たな経由地の追加による行動予定のリスケジュール処理(再作成)を行う際の処理の流れを示す。
(中略)
【0140】
一方、上記予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に差分(ズレ)が生じてきている場合、携帯電話端末は、バックグラウンド処理により、ステップS43の処理として、予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に生じた時間のズレ(差分時間)を算出し、上記行動予定に設定されている各経由地に立ち寄るために必要な時間情報と上記差分時間とを比較する。
【0141】
次いで、携帯電話端末は、ステップS44の処理として、上記行動予定に設定されている各経由地に立ち寄るために必要な時間と上記差分時間との比較の結果、各経由地に立ち寄ったとしても一定時間以上の余裕が発生するか否か判定し、一定時間以上の余裕が発生しないと判定した時にはステップS41へ処理を戻し、一方、一定時間以上の余裕が発生すると判定した時にはステップS45へ処理を進める。すなわち、本実施形態の携帯電話端末は、一定時間以上の時間的余裕の発生をトリガとして、ステップS45以降へ処理を進める。
【0142】
上記ステップS44にて一定時間以上の余裕が発生すると判定してステップS45の処理に進むと、携帯電話端末は、行動予定には組み込まれずに予めユーザにより設定されている複数の希望経由地(候補経由地)、若しくは、ユーザの趣味・嗜好情報に基づいてインターネット等を通じて取得した複数の希望経由地の中から、現在地以降に立ち寄り可能な各希望経由地を抽出し、さらにそれら各希望経由地の中から、一例として、前述の追加プライオリティのうちで最も高い追加プライオリティが設定されている希望経由地を追加することにした場合の追加時間を、現在地から当該希望経由地までの距離情報と予測行動速度、及びその経由地での滞在可能時間或いは希望滞在時間から算出する。言い換えると、その希望経由地を追加することで発生する時間、すなわち、当該希望経由地に立ち寄った場合に必要となる時間分に相当する追加時間を算出する。
(中略)
【0149】
次に、ステップS46において上記希望経由地の追加がユーザにより許可されてステップS47の処理に進むと、携帯電話端末は、バックグラウンドの処理として、上記希望経由地を追加するような行動予定のリスケジュール処理を行い、ステップS48へ処理を進める。
(中略)
【0152】
そして、ステップS49にて、一定時間以上の余裕が存在しなくなってステップS50の処理に進むと、携帯電話端末は、上記新たな経由地追加によるリスケジュール処理後の最新の行動予定を確定させてディスプレイに表示させることで行動予定の表示更新を行うと共に、現在位置及び実際に更新された内容を表す更新情報をディスプレイに表示させることで、ユーザへの通知を行う。」

以上の引用例4の記載によれば、引用例4には以下の事項を含む発明(以下「引用例4発明」という。)が開示されていると認められる。

ナビゲーション機能を備えた携帯電話端末であって、
実際にユーザが行動予定に沿って行動を開始すると、携帯電話端末は、予め設定されている行動予定と実際の行動内容との比較を行い、予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に差分(ズレ)が生じてきている場合、携帯電話端末は、その差分(ズレ)を補正することができる行動予定を再作成(リスケジュール処理)する機能を有し、
何らかの理由により行動予定に余裕が生じた時に、例えば新たな経由地の追加による行動予定のリスケジュール処理(再作成)を行う際に、
予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に生じた時間のズレ(差分時間)を算出し、上記行動予定に設定されている各経由地に立ち寄るために必要な時間情報と上記差分時間とを比較し、
行動予定に設定されている各経由地に立ち寄るために必要な時間と上記差分時間との比較の結果、各経由地に立ち寄ったとしても一定時間以上の余裕が発生するか否か判定し、一定時間以上の余裕が発生すると判定した時には、
携帯電話端末は、行動予定には組み込まれずに予めユーザにより設定されている複数の希望経由地(候補経由地)、若しくは、ユーザの趣味・嗜好情報に基づいてインターネット等を通じて取得した複数の希望経由地の中から、現在地以降に立ち寄り可能な各希望経由地を抽出し、
当該希望経由地に立ち寄った場合に必要となる時間分に相当する追加時間を算出し、
携帯電話端末は、上記希望経由地を追加するような行動予定のリスケジュール処理を行い、
携帯電話端末は、上記新たな経由地追加によるリスケジュール処理後の最新の行動予定を確定させてディスプレイに表示させる
携帯電話端末。

イ 対比
そこで、本件補正発明と引用例1発明とを対比する。

(ア)引用例1発明の「移動支援システム」と本件補正発明の「情報取得システム」とは、入力される経路情報(現在位置と目的地)に基づいて経路に関する情報を取得するシステムという共通の技術分野に属し、経路に予約が必要な交通機関を含んだルート情報を提示するという点で、課題が共通しているといえる。

(イ)引用例1発明の「ユーザ端末」は、常時携行可能な大きさの携帯電話機であるから、本件補正発明の「携帯型端末」に対応しており、引用例1発明の「移動支援システム」も、本件補正発明の「情報取得システム」と同様に、携帯型端末を備えているといえる。

(ウ)引用例1発明の「サービスサーバ」は、ユーザ端末から現在位置および目的地(入力される経路情報に相当する)を送信されると現在位置(出発地)から目的地までの推奨経路(経路に関する情報に相当する)を探索(検索に相当する)して、ユーザ端末に出発地から目的地までの全行程(検索結果に相当する)を配信しているから、本件補正発明の「情報検索システム」に対応しており、引用例1発明の「移動支援システム」も、本件補正発明の「情報取得システム」と同様に、携帯型端末から入力される経路情報に基づいて経路に関する情報を検索し、前記携帯型端末に検索結果を送信する情報検索システムを備えているといえる。

(エ)引用例1発明の「ユーザ端末」は、現在位置を取得するGPS機能を備えているから、本件補正発明の「携帯型端末」と同様に、位置情報取得部を備えているといえる。

(オ)引用例1発明の「ユーザ端末」には、サービスサーバの移動経路提示手段から、出発地から乗車駅までをタクシーで移動する場合の経路(第1経路に相当)、出発地から目的地に至るまでに利用しうる電車、地下鉄、バス、航空路線等の定期路線交通機関の経路(第2経路に相当)、降車駅から目的地までをタクシーで移動する場合の経路(第3経路に相当)が配信され、少なくとも、定期路線交通機関の経路(第2経路に相当)を表示画面に表示していると認められるが、出発地から乗車駅までをタクシーで移動する場合の経路(第1経路に相当)や、降車駅から目的地までをタクシーで移動する場合の経路(第3経路に相当)を表示画面に表示したり、それらの経路をナビゲーション(案内)しているか否か明らかでない。
したがって、本件補正発明の「携帯型端末」が現在位置から目的地までの前記経路のうち前記現在位置から交通機関の出発地までの第1経路と前記交通機関の経路である第2経路と前記交通機関の到着地から前記目的地までの第3経路とをそれぞれナビゲーションするナビゲーション部を備えているのに対し、引用例1発明の「ユーザ端末」が現在位置から目的地までの前記経路のうち前記現在位置から交通機関の出発地までの第1経路と前記交通機関の経路である第2経路と前記交通機関の到着地から前記目的地までの第3経路とをそれぞれナビゲーションする構成を備えているのか否か明らかでない点で相違している。

(カ)引用例1発明の「ユーザ端末」は、地図情報やサーバ20からのメッセージ等を表示しうる表示画面を備えているから、本件補正発明の「携帯型端末」と同様に、表示部を備えているといえる。

(キ)引用例1発明の「サービスサーバ」は、全国の地図データ、各種交通手段の路線図データ、時刻表データ、料金データのほか、各交通手段のターミナル施設(例えば、駅、空港、タクシー乗り場等)の施設情報が登録された記憶手段を備え、記憶手段を参照して1または2以上の推奨経路をユーザ端末に配信しており、入力される目的地および現在地(経路情報に相当)に対応する推奨経路を探索する際に参照されていることから、本件補正発明の「情報検索システム」と同様に、経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶された手段を備えているといえる。しかし、本件補正発明の「情報検索システム」が備える、経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶された手段は、データベースとして構成されているのに対し、引用例1発明の「サービスサーバ」が備える、経路に関する情報が記憶された手段がデータベースとして構成されているのか否か明らかでない点で相違している。

(ク)引用例1発明の「サービスサーバ」が備える「移動経路提示手段」は、ユーザ端末からの要求により利用者の出発地から目的地までの推奨経路を探索して提示する手段であり、記憶手段を参照して1または2以上の推奨経路をユーザ端末に配信しているから、本件補正発明の「情報検索システム」が備える「検索サーバ」と同様に、経路情報をもとに前記経路に関する情報を、経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶された構成から検索しているといえる。

(ケ)引用例1発明の「サービスサーバ」は、交通機関システム(交通機関の予約システムに相当する)から返信された、予約の可否や便名、車両番号、座席番号等の予約情報を受信(取得)し、受信情報をユーザ端末に転送しており、ここで、情報を受信したり、転送するためには、一旦当該情報を記憶する必要があることは当業者にとって自明であるから、本件補正発明の「情報検索システム」が備える「検索サーバ」と同様に、経路に関する情報をもとに第2経路における前記交通機関の予約情報を該交通機関の予約システムから取得して、取得した前記予約情報を記憶させる構成を備えているといえる。しかし、本件補正発明において、予約情報が予約時刻を含み、データベースに記憶されるのに対し、引用例1発明において、予約情報が予約時刻を含み、データベースに記憶されるか否か明らかでない点で相違している。

(コ)引用例1発明の「サービスサーバ」は、交通機関システム(交通機関の予約システムに相当する)から返信された、予約の可否や便名、車両番号、座席番号等の予約情報を受信(取得)し、受信情報をユーザ端末に転送しするとともに、交通手段の予約結果によって利用者の移動時間に変動が生ずる場合には所要時間を修正した新たな経路情報をユーザ端末に通知しているから、本件補正発明の「情報検索システム」と同様に、経路に関する情報とともに、記憶された予約情報を携帯型端末に送信する構成を備えているといえる。しかし、本件補正発明において、予約情報がデータベースに記憶されるのに対し、引用例1発明において、予約情報がデータベースに記憶されるか否か明らかでない点で相違している。

(サ)引用例1発明の「ユーザ端末」は、地図情報を有し通信衛星から位置情報を受信して地図上における現在位置を画面に表示するGPS(Gloval Positioning System)機能を備えており、サービスサーバの移動経路提示手段から、出発地から乗車駅までをタクシーで移動する場合の経路(第1経路に相当)、出発地から目的地に至るまでに利用しうる電車、地下鉄、バス、航空路線等の定期路線交通機関の予約された経路(第2経路に相当)、降車駅から目的地までをタクシーで移動する場合の経路(第3経路に相当)が配信され、少なくとも、定期路線交通機関の経路(第2経路に相当)を表示画面に表示していると認められるが、出発地から乗車駅までをタクシーで移動する場合の経路(第1経路に相当)や、降車駅から目的地までをタクシーで移動する場合の経路(第3経路に相当)を表示画面に表示したり、それらの経路をナビゲーション(案内)しているか否か明らかでない。したがって、本件補正発明の「携帯型端末」が位置情報、予約情報及び経路に関する情報に基づいて、経路を案内しているのに対し、引用例1発明の「ユーザ端末」が位置情報、予約情報及び経路に関する情報に基づいて、経路を案内しているのか否か明らかでない点で相違している。

(シ)本件補正発明の「携帯型端末」が備えるナビゲーション部は、位置情報と情報検索サーバが送信した予約情報とを用いて、現在位置から目的地までのナビゲーションを開始するものであって、現在位置に基づいてユーザが交通機関の出発地に到着したことを検出して第2経路の表示画面に表示部の表示画面を切り替えて第2経路を案内する、又は現在位置に基づいてユーザが交通機関の到着地に到着したことを検出して第3経路の表示画面に表示部の表示画面を切り替えて第3経路を案内する際に、現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内しているのに対して、引用例1発明の「ユーザ端末」は、そのような構成を備えていない点で相違している。

(ス)以上(ア)?(シ)によれば以下の点で一致し、また、相違する。

[一致点]
「携帯型端末と経路に関する情報を検索するシステムとを備え、前記経路に関する情報を検索するシステムが前記携帯型端末から入力される経路情報に基づいて前記経路に関する情報を検索し、前記携帯型端末に検索結果を送信する前記経路に関する情報を取得するシステムであって、
前記携帯型端末は、
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、表示部とを備え、
前記経路に関する情報を検索するシステムは、
前記経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶されている手段と、
前記経路情報をもとに前記経路に関する情報を記憶した手段から検索し、前記経路に関する情報をもとに第2経路における交通機関の予約時刻を含む予約情報を該交通機関の予約システムから取得し、取得した予約情報を記憶する手段と、前記経路に関する情報とともに、前記予約情報を前記携帯型端末に送信する手段と、を備えた、
経路に関する情報を取得するシステム」

[相違点1]本件補正発明の「携帯型端末」が現在位置から目的地までの前記経路のうち前記現在位置から交通機関の出発地までの第1経路と前記交通機関の経路である第2経路と前記交通機関の到着地から前記目的地までの第3経路とをそれぞれナビゲーションするナビゲーション部を備えているのに対し、引用例1発明の「ユーザ端末」は、サービスサーバから、出発地から目的地までの全行程または、出発地から乗車駅までタクシーで移動する場合の経路(第1の経路に相当)、定期路線交通機関の経路(第2の経路に相当)、降車駅から目的地までタクシーで移動する場合の経路(第3の経路に相当)等を受信しているものの、それらの経路を用いて、案内(ナビゲーション)しているのか否か明らかでない点。

[相違点2]本件補正発明の「情報検索システム」が備える、経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶された手段は、データベースとして構成されているのに対し、引用例1発明の「サービスサーバ」が備える、経路に関する情報が記憶された手段がデータベースとして構成されているのか否か明らかでない点。

[相違点3]本件補正発明において、予約情報が予約時刻を含み、データベースに記憶されるのに対し、引用例1発明において、予約情報が予約時刻を含み、データベースに記憶されるか否か明らかでない点。

[相違点4]本件補正発明の「携帯型端末」が位置情報、予約情報及び経路に関する情報に基づいて、経路を案内しているのに対し、引用例1発明の「ユーザ端末」が位置情報、予約情報及び経路に関する情報に基づいて、経路を案内しているのか否か明らかでない点。

[相違点5]本件補正発明の「携帯型端末」が備えるナビゲーション部は、位置情報と情報検索サーバが送信した予約情報とを用いて、現在位置から目的地までのナビゲーションを開始するものであって、現在位置に基づいてユーザが交通機関の出発地に到着したことを検出して第2経路の表示画面に表示部の表示画面を切り替えて第2経路を案内する、又は現在位置に基づいてユーザが交通機関の到着地に到着したことを検出して第3経路の表示画面に表示部の表示画面を切り替えて第3経路を案内しているのに対して、引用例1発明の「ユーザ端末」は、サービスサーバから、出発地から目的地までの全行程または、出発地から乗車駅までタクシーで移動する場合の経路(第1の経路に相当)、定期路線交通機関の経路(第2の経路に相当)、降車駅から目的地までタクシーで移動する場合の経路(第3の経路に相当)等を受信しているものの、それらの経路を用いて、案内(ナビゲーション)しているのか否か明らかでない点。

[相違点6]本件補正発明の「携帯型端末」が備えるナビゲーション部は、第2経路を案内する、又は第3経路を案内する際に、現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内しているのに対して、引用例1発明の「ユーザ端末」は、そのような構成を備えていない点。

ウ 判断

[相違点1、4および5について]

上記ア(イ)で記載したとおり、引用例2には、以下の通りの引用例2発明が開示されている。

携帯電話機MPは、文字や画像等の情報を表示する表示部24と、携帯電話機MPの現在位置(緯度経度)を算出するGPS測位部26と、システム制御部28等を備えており、
システム制御部28は、目的地設定画面を表示させ、測位開始命令をGPS測位部26に出力し、GPS測位部26により現在位置の測位を開始させ、
システム制御部28は、ユーザにより操作部25を用いて目的地が指定されるとともに、GPS測位部26により測位された現在位置を出発地とすることが選択されると、当該目的地情報と、GPS測位部26により測位された現在位置を示す現在位置情報とを含むルート探索要求信号をサーバSVに送信し、
また、システム制御部28は、サーバSVから送信されたルート探索結果情報を受信し、
次いで、システム制御部28は、サーバSVから送信された特殊態様画像データとルート探索結果情報とに基づいて、図8に示すような探索結果画面100を表示し、
ここで、探索結果画面100は、徒歩で移動する区間(「徒歩区間」という)における出発地(「徒歩出発地」という)、到着地(「徒歩到着地」という)、所要時間(「徒歩所要時間」という)等を表示する徒歩区間表示領域110、140と、鉄道で移動する区間(「鉄道区間」という)における出発地(「鉄道出発地」という)、到着地(「鉄道到着地」という)、乗車する電車等を表示する鉄道区間表示領域120、130とにより構成されており、
また、システム制御部28は、探索結果画面100を表示させている際、ユーザにより操作部25を用いて誘導開始の指示がなされると、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信し、次いで、システム制御部28は、サーバSVから表示データを受信すると表示データに基づいて、例えば、図11に示すような歩行モード用の誘導案内画面(歩行モード誘導画面)400を表示し、システム制御部28は、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信した後は、随時、GPS測位部26により測位される現在位置情報をサーバSVへ送信することにより、ユーザの現在位置及びその周囲を示す地図を表示するための表示データをサーバSVから受信し、当該表示データに基づく画像を歩行モード誘導画面400として表示させ、
ここで、歩行モード誘導画面400は、ユーザが鉄道を利用するために現在位置から徒歩により出発駅のA2出入口(徒歩到着地に当たる)まで移動している際、携帯電話機MPの表示部24に表示される画面であり、歩行モード誘導画面400には、ユーザの現在位置及びその周囲の地図が表示されており、ユーザの現在位置は、現在位置マーカー410によって示され、ユーザを徒歩出発地から徒歩到着地まで案内する経路は、案内経路ライン420によって示されており、
また、システム制御部28は、徒歩による移動の後に、鉄道による移動を案内する場合には、例えば、歩行モード誘導画面400を表示している際にユーザが出発駅の出入口に到着したことをGPS測位部26により測位される現在位置により確認すると、ユーザが鉄道による移動を完了して、到着駅の出入口を通過するまでの間、探索結果画面100(誘導が完了した部分を除く)を再表示させ、
ここで、探索結果画面100の鉄道区間表示領域120、130は、利用する鉄道に関する情報を表示する鉄道情報表示領域121、131と、鉄道出発地に関する情報を表示する鉄道出発地表示領域123、134と、乗車する電車に関する情報を表示する乗車電車表示領域124、135と、鉄道到着地に関する情報を表示する鉄道到着地表示領域125、136と、最適出入口の名称を表示する駅出口表示領域126、137とにより構成されており、鉄道情報表示領域131は、利用する鉄道の路線会社名及び路線名を表示し、鉄道出発地表示領域123、134には、鉄道に乗車する時刻と鉄道に乗車する駅、また、鉄道到着地までの運賃が表示され、乗車電車表示領域124、135には、乗車する電車の行き先(周回する路線の場合には、内回りや外回り)や、乗り降りする際にユーザにとって便利な車両(例えば、最適な出入口に近い車両)が表示され、駅出口表示領域126、137には、電車を乗り換える必要がある場合は乗り換えする際の移動距離及び移動時間が最短となる最適な出入口が表示され、一方、電車を降りた後に徒歩で移動する場合は最適出入口が表示されており、
次いで、システム制御部28は、ユーザが到着駅の出入口を通過したことをGPS測位部26により測位される現在位置により確認すると、歩行モード案内開始信号をサーバSVへ送信し、そして、システム制御部28は、サーバSVから表示データを受信すると、当該表示データに基づいて図12に示すような歩行モード誘導画面500を表示させ、
ここで、歩行モード誘導画面500は、鉄道による移動後、到着駅のA5出入口(徒歩出発地に当たる)からユーザが徒歩により徒歩到着地まで移動している際、携帯電話機MPの表示部24に表示される画面であり、歩行モード誘導画面500には、ユーザの現在位置及びその周囲の地図が表示されており、ユーザの現在位置は、現在位置マーカー510によって示され、ユーザを徒歩出発地から徒歩到着地まで案内する経路は、案内経路ラインは520によって示されている
携帯電話機MP。

ここで、引用例2発明の、徒歩出発地から出発駅まで案内する経路、出発駅から到着駅までの経路、到着駅から徒歩到着地までの経路は、それぞれ、本件補正発明の第1の経路、第2の経路、第3の経路に、相当し、本件補正発明と同様に、出発駅への到着や、到着駅への到着を現在位置により確認して、誘導(案内)画面を切り替えているといえる。

引用例1発明の携帯型端末と引用例2発明の携帯電話機MPとは、出発地から目的地までの経路移動を支援する情報を提示するシステムにおける携帯端末装置という共通の技術分野に属し、交通機関を含んだ経路移動を支援するための情報を提供するという共通の課題を有しており、また、引用例1発明においても、サービスサーバから、携帯型端末に出発地から目的地までの全行程または、交通機関に乗車するまでの第1の経路、予約した交通機関に係る第2の経路、交通機関を降車してからの第3の経路を配信しており、地図上にルートを表示可能なGPS機能を備えているのであるから、引用例1発明において、サービスサーバから受信した経路情報を用いて、引用例2発明に開示されているような現在位置に基づいて第1経路ないし第3経路におけるナビゲーション(案内)を行う構成を採用することは、当業者が本願優先日前に容易に想到し得たものである。

したがって、引用例1発明においても、本件補正発明と同様に、携帯型端末のそれぞれの経路移動を支援するための情報を提示する手段が、第1経路の表示画面で現在位置に基づくナビゲーション(案内)を行い、現在位置に基づいてユーザが交通機関の出発地に到着したことを検出して予約した交通機関に係る第2経路の表示画面に表示部の表示画面を切り替えて第2経路をナビゲーション(案内)を行い、又は現在位置に基づいてユーザが交通機関の到着地に到着したことを検出して第3経路の表示画面に表示部の表示画面を切り替えて第3経路を現在位置に基づくナビゲーション(案内)を行うよう構成することは、当業者が本願優先日前に容易に想到し得たものである。

[相違点2について]
経路移動を支援する情報を検索するシステムの技術分野において、経路移動を支援する情報を出発地や到着地、出発駅や到着駅等の経路情報に基づいて検索可能なデータベースとして構成することは、本願の優先日前に周知の技術にすぎない(例えば、引用例2の段落[0049]-[0053]図4-図7などにも、複数のテーブルで構成されたデータベースの例が開示されている。)。

したがって、引用例1発明においても、当該周知技術を適用して、本件補正発明と同様に、経路移動を支援する情報を検索するシステムが備える経路情報に対応して経路に関する情報が記憶されている手段を、データベースとして構成することは、当業者が本願優先日前に容易に想到し得たものである。

[相違点3について]
経路移動を支援する情報を検索するシステムの技術分野において、交通機関の予約情報に、予約時刻(交通機関の乗車時刻等)を含む構成は、本願の優先日前に周知の技術にすぎない。
また、引用例1発明の経路を辿るための情報を検索するシステムは、利用者が選択した経路を保存する手段を備えており、段落0020に「サービスサーバ20の移動経路提示手段21は、交通手段の予約結果によって利用者の移動時間に変動が生ずる場合には所要時間を修正した新たな経路情報をユーザ端末10に通知する」と記載されているから、利用者が選択した経路を保存する手段に保存された経路を、交通手段の予約結果によって修正された新たな経路情報で保存して、保存された新たな経路情報を携帯型端末に送信するよう構成することは、当業者が、本願の優先日前に容易に想到し得たものである。そして、保存の際に使用しうる保存先は任意であるから、保存先を経路情報に対応して経路に関する情報が記憶されている手段とすることは、当業者が、必要に応じて適宜選択すべき設計的事項にすぎない。
したがって、引用例1発明においても、本件補正発明と同様に、予約情報に予約時刻を含み、経路移動を支援する情報を検索するシステムが備える経路情報に対応して経路に関する情報が記憶されている手段に、交通機関の予約システムから取得した予約情報を記憶させる構成を採用することは、当業者が本願優先日前に容易に想到し得たものである。

[相違点6について]

上記第2 2(1)で検討したとおり、第3経路を案内する際に、前記現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内するという構成は、本願の発明の詳細な説明の欄に記載されたものではないから、仮に、選択的構成である、第2経路を案内する際に、前記現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内するという構成を当業者が容易に想到し得たものであるか検討する。

上記ア(エ)で記載したとおり、引用例4には、以下の通りの引用例4発明が開示されている。

ナビゲーション機能を備えた携帯電話端末であって、
実際にユーザが行動予定に沿って行動を開始すると、携帯電話端末は、予め設定されている行動予定と実際の行動内容との比較を行い、予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に差分(ズレ)が生じてきている場合、携帯電話端末は、その差分(ズレ)を補正することができる行動予定を再作成(リスケジュール処理)する機能を有し、
何らかの理由により行動予定に余裕が生じた時に、例えば新たな経由地の追加による行動予定のリスケジュール処理(再作成)を行う際に、
予め設定されている行動予定と実際の行動内容との間に生じた時間のズレ(差分時間)を算出し、上記行動予定に設定されている各経由地に立ち寄るために必要な時間情報と上記差分時間とを比較し、
行動予定に設定されている各経由地に立ち寄るために必要な時間と上記差分時間との比較の結果、各経由地に立ち寄ったとしても一定時間以上の余裕が発生するか否か判定し、一定時間以上の余裕が発生すると判定した時には、
携帯電話端末は、行動予定には組み込まれずに予めユーザにより設定されている複数の希望経由地(候補経由地)、若しくは、ユーザの趣味・嗜好情報に基づいてインターネット等を通じて取得した複数の希望経由地の中から、現在地以降に立ち寄り可能な各希望経由地を抽出し、
当該希望経由地に立ち寄った場合に必要となる時間分に相当する追加時間を算出し、
携帯電話端末は、上記希望経由地を追加するような行動予定のリスケジュール処理を行い、
携帯電話端末は、上記新たな経由地追加によるリスケジュール処理後の最新の行動予定を確定させてディスプレイに表示させる
携帯電話端末。

ここで、予約情報に含まれる予約時刻も、交通機関の乗降にかかる予定時刻の一種に他ならない。また、実際の行動内容は、現在位置および現在の時刻に基づき求められ、予め設定されている行動予定も、予定位置および到着予定時刻等に基づいて求められることはあきらかである。

引用例1発明と引用例4発明とは、携帯型端末を用いて、経路移動を支援するための情報を提示する技術分野で共通しており、複数の経由地(交通機関の乗降地、乗り換え地等)を経由して経路移動を支援するための情報を提示する点で課題が共通している。

したがって、引用例1発明に、引用例4発明を適用して、交通機関の乗り換え等の予定時刻までに、現在位置に基づいて乗り換えの予定駅に到着済みで、乗車時刻と現在時刻との差を算出して、余裕があると判定した場合などに、別の経由地(駅構内の売店等)をナビゲーションする情報を提示するよう構成すること、すなわち、本件補正発明と同様に、第2経路を案内する際に、現在位置に基づく現在の時刻と予約情報に含まれる予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内するよう構成することは、当業者が本願優先日前に容易に想到し得たものである。

なお、上記ア(ウ)で記載した以下の通りの周知技術を引用例1発明に適用してもよい。

(引用例3例示周知技術)
ユーザ位置から乗換駅または降車駅までの所要時間が所定の時間以下になったときに、ユーザが乗換駅または降車駅に近づいたことを知らせる案内情報(例えば、「あと5分で**駅に到着します。**駅で東海道線に乗り換えてください。」といった)表示を携帯端末機のディスプレイに行う周知技術。

つまり、引用例1発明に、引用例3例示周知技術を適用して、交通機関の乗り換え駅や降車駅への到着予定時刻との差時間に基づいて、乗り換える路線の発着番線などの案内情報をナビゲーションする構成すること、すなわち、本件補正発明と同様に、第2経路を案内する際に、現在位置に基づく現在の時刻と予約情報に含まれる予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内するよう構成することは、当業者が本願優先日前に容易に想到し得たものである。

また、本件補正発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って、当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本件補正発明は、引用例1、引用例2および引用例4に記載された発明ならびに引用例3に例示の周知技術等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび

前記のとおり、本件補正発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるということはできないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるから、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明
平成27年5月18日付の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年5月30日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「携帯型端末と情報検索システムとを備え、前記情報検索システムが前記携帯型端末から入力される経路情報に基づいて経路に関する情報を検索し、前記携帯型端末に検索結果を送信する情報取得システムであって、
前記携帯型端末は、
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記現在位置から目的地までの前記経路のうち前記現在位置から交通機関の出発地までの第1経路と前記交通機関の経路である第2経路と前記交通機関の到着地から前記目的地までの第3経路とをそれぞれナビゲーションするナビゲーション部と、表示部とを備え、
前記情報検索システムは、
前記経路情報に対応して前記経路に関する情報が記憶されたデータベースと、前記経路情報をもとに前記経路に関する情報を前記データベースから検索し、前記経路に関する情報をもとに前記第2経路における前記交通機関の予約情報を該交通機関の予約システムから取得する情報検索サーバと、を備え、
前記情報検索サーバは、前記経路に関する情報とともに、前記予約情報を前記携帯型端末に送信し、
前記携帯型端末は、前記位置情報、前記予約情報及び前記経路に関する情報に基づいて、前記経路を案内し、
前記ナビゲーション部は、前記現在位置に基づいてユーザが前記交通機関の出発地に到着したことを検出して前記第2経路の表示画面に前記表示部の表示画面を切り替えて前記第2経路を案内する、又は前記現在位置に基づいてユーザが前記交通機関の到着地に到着したことを検出して前記第3経路の表示画面に前記表示部の表示画面を切り替えて前記第3経路を案内する、ことを特徴とする情報取得システム。」

3 引用例

原査定の拒絶の理由に引用された引用例1ないし引用例4ならびにその記載事項は、前記「第2 2(2)ア」に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、本件補正発明において、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「交通機関の予約情報」について、「予約時刻を含む」との限定を削除し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報検索サーバ」について、「取得した前記予約情報を前記データベースに記憶させる」との限定を削除し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「予約情報」について、「前記データベースに記憶された」との限定を削除し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ナビゲーション部」について、「前記位置情報と前記情報検索サーバが送信した前記予約情報とを用いて、前記現在位置から前記目的地までのナビゲーションを開始するものであって」との限定と「第2経路を案内する、又は、」(中略)「第3経路を案内する際に、前記現在位置に基づく現在の時刻と前記予約情報に含まれる前記予約時刻との差に基づく差時刻情報を用いて案内する」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらにより詳細な限定を加えたものに相当する本件補正発明が、前記第2 2(2)ウに記載したとおり、引用例1、引用例2および引用例4に記載された発明ならびに引用例3に例示の周知技術等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記限定を削除した本願発明も同様の理由により、引用例1、引用例2および引用例4に記載された発明及び引用例3に例示の周知技術等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、本願優先日前に頒布された引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-06 
結審通知日 2016-05-10 
審決日 2016-05-24 
出願番号 特願2011-500510(P2011-500510)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮地 匡人唐橋 拓史  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 野崎 大進
石川 正二
発明の名称 携帯型端末、及び情報取得システム  
代理人 志賀 正武  
代理人 高橋 詔男  

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