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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B |
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管理番号 | 1316733 |
審判番号 | 不服2015-5309 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-03-19 |
確定日 | 2016-07-26 |
事件の表示 | 特願2011- 81993「情報処理装置、撮影システム、情報処理方法および情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 8日出願公開、特開2012-213557、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年4月1日の出願であって、平成26年9月22日付けで拒絶理由が通知され、同年12月1日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年12月18日付けで拒絶査定がなされたのに対し、平成27年3月19日付けで拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正がなされたものである。 その後、当審において平成28年4月5日付けで拒絶理由が通知され、平成28年6月9日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1?15に係る発明は、平成28年6月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるものと認められる。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「3次元画像における被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置を取得する第1の取得手段と、 前記被検体の体表における該被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置を取得する第2の取得手段と、 前記第1の取得手段により取得された前記3次元画像における被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置、及び前記胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と前記胸骨の下方位置とにより定義される前記胸骨の方向と、前記第2の取得手段により取得された前記被検体の体表における該被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置、及び前記胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と前記胸骨の下方位置とにより定義される前記胸骨の方向とが合うように、前記被検体と前記3次元画像との対応関係を算出する算出手段と、を有し、 前記第1の取得手段は更に、前記3次元画像における前記被検体の肋骨に基づく複数の位置を取得し、 前記第2の取得手段は更に、前記被検体における該被検体の肋骨に基づく複数の位置を取得し、 前記算出手段は、前記第1の取得手段が取得した前記胸骨および肋骨に基づく複数の位置と、第2の取得手段が取得した前記胸骨および肋骨に基づく複数の位置との対応関係を算出することにより、前記被検体と前記3次元画像との位置の対応関係を算出することを特徴とする情報処理装置。」 第3 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用例:国際公開第2010/055816号 引用例では、複数の解剖学的特徴部位として、剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨などを用いることが記載されており、引用例において、胸骨の下端や第2肋骨の付け根を用いることは、当業者であれば適宜設定し得ることである。 2 原査定の理由の判断 (1)引用例の記載事項 引用例には次の事項が記載されている(下線は当審において付したものである)。 ア 「実施例1 [0030] 図1に、本発明の実施例1の超音波診断装置のブロック構成図を示す。図1に示すように、超音波探触子1は周知の構成を有し、被検体との間で超音波を送受するようになっている。超音波送受信回路2は、超音波探触子1を駆動して超音波を被検体に送波するとともに、被検体から発生される反射エコー信号を受波し、所定の受信処理を行ってRFデータを超音波信号変換部3に出力するようになっている。超音波信号変換部3は、入力されるRFデータに基づいてRFフレームデータごとに2次元画像データに変換してモニタである画像表示部4に出力表示するようになっている。また、超音波信号変換部3は、変換した複数の2次元画像データを記憶手段である画像及び画像情報保存部5に3次元画像データとして格納するようになっている。 [0031] 一方、超音波探触子1には、3次元位置検出手段としての位置センサユニット9が接続されている。位置センサユニット9は、図2に示すように、超音波探触子1に取り付けられた3次元の位置センサ11と、被検体の周囲に例えば3次元の磁場空間を形成するトランスミッター12を有して形成されている。位置センサユニット9により検出された位置センサ11の位置及び傾きを含む位置情報は、位置情報入力部10を介して画像及び画像情報保存部5に格納されるようになっている。この位置情報は、超音波信号変換部3から入力される各RFフレームデータに対応させて、画像及び画像情報保存部5に格納されるようになっている。これにより、画像及び画像情報保存部5には、超音波探触子1で被検体の体表を走査して取得された3次元画像データ及び位置センサユニット9により検出された位置センサ11の位置情報が対応付けて格納される。 [0032] DICOMデータ変換部6は、画像及び画像情報保存部5に格納された3次元画像データを、規格画像データの1種である周知のDICOMデータに変換して、再び画像及び画像情報保存部5に格納するようになっている。すなわち、DICOMデータ変換部6は、DICOMデータ設定手段とDICOMデータ生成手段とを有して構成されている。DICOMデータ設定手段は、画像及び画像情報保存部5に記憶された3次元画像データを複数のスライス画像データに分割し、位置センサ11の位置情報に基づいて、各スライス画像データに予め定められたDICOMデータ構造のデータ要素である画像位置情報と傾き情報を設定するようになっている。DICOMデータ生成手段は、各スライス画像データに設定された画像位置情報と傾き情報を付加して3次元規格画像データを生成して、画像及び画像情報保存部5に記憶させるようになっている。 [0033] また、図1、2に示すように、超音波診断装置20を構成する超音波信号変換部5とDICOMデータ変換部6は、それぞれ画像送受信部7を介してネットワークに接続され、ネットワークに接続されたCT22、MR23などの他のモダリティ画像撮像装置、又はビューワ(Viewer)24、PACS25などのDICOMサーバとの間で画像データを送受可能になっている。」 イ 「[0044] このように規定された超音波画像のDICOMデータに基づいて、超音波の3次元画像データの位置情報を表現することにより、異なる超音波診断装置により撮像されたそれぞれの超音波画像の画像位置情報と傾き情報を共通データで表すことができ、2つの画像データの位置情報を相互に利用できる。また、本実施例では、他のモダリティ撮像装置に適用されているDICOMデータにより、超音波画像を表現できることから、超音波診断装置と他のモダリティ画像撮像装置との間で、画像データの位置情報を相互に利用できる。 なお、本発明の規格画像データ構造は、DICOMデータ構造に限定されるものではないが、広く採用されているDICOMのデータ構造を採用することが好ましい。」 ウ 「実施例2 [0048] 図8に、本発明の超音波診断装置の実施例2における処理手順のフローチャートを示す。本実施例が、実施例1と相違する点は、3次元の位置センサ11の座標系の原点を被検体の解剖学的特徴部位に位置合せする被検体座標系の原点位置に調整する座標変換手段を備設けたことにある。その他の点は、実施例1と同様であることから説明を省略する。図8に示すように、図4のフローチャートのステップS1の次に、被検体の解剖学的特徴部位で位置センサ座標系の原点を調整するステップS8を追加した。 [0049] 本実施例によれば、位置センサ11により検出された位置情報を、DICOM画像データで用いられている被検体座標系で定義できるから、一層容易に2つの画像間の位置合せを行なうことができる。また、例えば、複数回の検査により得られた超音波画像間で、容易に画像比較を行うことができる。なお、解剖学的特徴部位としては、剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨の少なくとも1つ以上を選択できる。この場合において、複数(例えば、3つ)の解剖学的特徴部位を用いれば、位置センサ座標系の傾きを被検体座標系に合わせることができ、精度のよい画像位置データを取得できる。」 上記記載事項ア?ウから、引用例には、以下の発明が記載されていると認められる。 「画像及び画像情報保存部5に、超音波探触子1で被検体の体表を走査して取得された3次元画像データ及び位置センサユニット9により検出された位置センサ11の位置情報が対応付けて格納され、 DICOMデータ変換部6が、画像及び画像情報保存部5に格納された3次元画像データを、規格画像データの1種である周知のDICOMデータに変換して、再び画像及び画像情報保存部5に格納するようになっており、 超音波信号変換部5とDICOMデータ変換部6は、それぞれ画像送受信部7を介してネットワークに接続され、ネットワークに接続されたCT22、MR23などの他のモダリティ画像撮像装置、又はビューワ(Viewer)24、PACS25などのDICOMサーバとの間で画像データを送受可能になっており、 規定された超音波画像のDICOMデータに基づいて、超音波の3次元画像データの位置情報を表現することにより、異なる超音波診断装置により撮像されたそれぞれの超音波画像の画像位置情報と傾き情報を共通データで表すことができ、2つの画像データの位置情報を相互に利用でき、 また、他のモダリティ撮像装置に適用されているDICOMデータにより、超音波画像を表現できることから、超音波診断装置と他のモダリティ画像撮像装置との間で、画像データの位置情報を相互に利用できる、超音波診断装置であって、 3次元の位置センサ11の座標系の原点を被検体の解剖学的特徴部位に位置合せする被検体座標系の原点位置に調整する座標変換手段を備え、 位置センサ11により検出された位置情報を、DICOM画像データで用いられている被検体座標系で定義できるから、一層容易に2つの画像間の位置合せを行なうことができ、 解剖学的特徴部位としては、剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨の少なくとも1つ以上を選択でき、この場合において、複数(例えば、3つ)の解剖学的特徴部位を用いれば、位置センサ座標系の傾きを被検体座標系に合わせることができる超音波診断装置。」(以下、「引用発明」という。) (2)本願発明と引用発明との対比 ア 引用発明は、「異なる超音波診断装置により撮像されたそれぞれの超音波画像」または「超音波診断装置と他のモダリティ画像撮像装置との間」で、「位置センサ11により検出された位置情報を、DICOM画像データで用いられている被検体座標系で定義」し、「2つの画像間の位置合せを行なう」際に、「3次元の位置センサ11の座標系の原点」と「傾き」を「被検体の」「剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨」のうちの「複数(例えば、3つ)の」「解剖学的特徴部位に位置合せする」「座標変換手段を備え」るものであるから、その前提として、「超音波診断装置」の「3次元」の「画像」と「位置合せ」される「異なる超音波診断装置により撮像された超音波画像」または「他のモダリティ画像装置に適用されているDICOMデータ」が3次元画像であることは自明であり、さらに、その3次元画像において位置合わせのための「剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨」のうちの「複数(例えば、3つ)の」「解剖学的特徴部位」の位置を取得する手段を有することも自明である。 したがって、引用発明における上記自明な事項と、本願発明の「3次元画像における被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置を取得する第1の取得手段」であって「前記第1の取得手段は更に、前記3次元画像における前記被検体の肋骨に基づく複数の位置を取得」するものとは、「3次元画像における被検体の複数の解剖学的特徴部位に基づく位置を取得する第1の取得手段」の点で共通する。 イ 引用発明の「超音波探触子1で被検体の体表を走査」する際に「検出され」る「3次元の位置センサ11の座標系」を「被検体の」「剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨」のうちの「複数(例えば、3つ)の」「解剖学的特徴部位に位置合せする被検体座標系の原点位置」と「傾き」を「調整する座標変換手段」と、本願発明の「前記被検体の体表における該被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置を取得する第2の取得手段」であって「前記第2の取得手段は更に、前記被検体における該被検体の肋骨に基づく複数の位置を取得」するものとは、「前記被検体の体表における該被検体の複数の解剖学的特徴部位に基づく位置を取得する第2の取得手段」の点で共通する。 ウ 引用発明の「3次元の位置センサ11の座標系」「を被検体の解剖学的特徴部位に位置合せする」「座標変換手段」であって、「解剖学的特徴部位としては、剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨」のうちの「複数(例えば、3つ)の解剖学的特徴部位を用いれば、位置センサ座標系の傾きを被検体座標系に合わせることができる」ものは、「DICOMデータ」に「規定された超音波画像」と、「異なる超音波診断装置により撮像され」「DICOMデータ」に「規定された超音波画像」または「他のモダリティ画像撮像装置」の「DICOMデータ」「画像」における対応する「解剖学的特徴部位」との位置合せを行うための「座標変換手段」であるから、これら引用発明の構成と、本願発明の「前記第1の取得手段により取得された前記3次元画像における被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置、及び前記胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と前記胸骨の下方位置とにより定義される前記胸骨の方向と、前記第2の取得手段により取得された前記被検体の体表における該被検体の胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置、及び前記胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と前記胸骨の下方位置とにより定義される前記胸骨の方向とが合うように、前記被検体と前記3次元画像との対応関係を算出する算出手段」であって「前記算出手段は、前記第1の取得手段が取得した前記胸骨および肋骨に基づく複数の位置と、第2の取得手段が取得した前記胸骨および肋骨に基づく複数の位置との対応関係を算出することにより、前記被検体と前記3次元画像との位置の対応関係を算出する」ものとは、「前記第1の取得手段により取得された前記3次元画像における被検体の解剖学的特徴部位に基づく位置、及び複数の解剖学的特徴部位に基づく位置により定義される解剖学的特徴部位の方向と、前記第2の取得手段により取得された前記被検体の体表における該被検体の解剖学的特徴部位に基づく位置、及び複数の解剖学的特徴部位に基づく位置により定義される前記解剖学的特徴部位の方向とが合うように、前記被検体と前記3次元画像との対応関係を算出する算出手段」の点で共通する。 そうすると、両者は 「3次元画像における被検体の複数の解剖学的特徴部位に基づく位置を取得する第1の取得手段と、 前記被検体の体表における該被検体の複数の解剖学的特徴部位に基づく位置を取得する第2の取得手段と、 前記第1の取得手段により取得された前記3次元画像における被検体の解剖学的特徴部位に基づく位置、及び複数の解剖学的特徴部位に基づく位置により定義される解剖学的特徴部位の方向と、前記第2の取得手段により取得された前記被検体の体表における該被検体の解剖学的特徴部位に基づく位置、及び複数の解剖学的特徴部位に基づく位置により定義される前記解剖学的特徴部位の方向とが合うように、前記被検体と前記3次元画像との対応関係を算出する算出手段と、を有する情報処理装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 (相違点) 被検体と3次元画像との位置の対応関係を算出するために第1の取得手段と第2の取得手段で取得される被検体の複数の解剖学的特徴部位が、本願発明では「胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置」と「肋骨に基づく複数の位置」であるのに対し、引用発明では「剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨」のうちの「複数(例えば、3つ)の」位置である点。 (3)相違点についての検討・判断 被検体と3次元画像との位置の対応関係を算出するために第1の取得手段と第2の取得手段で取得される被検体の複数の解剖学的特徴部位について、引用発明では「剣状突起、肋骨下部の突起、腰骨」のうちの「複数(例えば、3つ)の」位置とすることを示すにとどまるものであり、本願発明の「胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置」と「肋骨に基づく複数の位置」とする動機付けは見い出せない。よって、この相違点にかかる本願発明の構成が当業者に容易になし得た事項ということはできない。 そして、本願発明では、体表において指定しやすい「胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置」と「肋骨に基づく複数の位置」を指定することで、被検者と3次元画像とで胸骨の位置及び向きを合わせるため、被検者と3次元画像との対応関係を効率的かつ精度よく得ることができるものであり、胸骨のうち第2肋骨の付け根の部分付近の体表位置は体外からでも特に精度よく指定できるものであるから、超音波プローブなど体外から非侵襲的に被写体の位置を特定する場合に、胸骨の位置を指定しやすくなるという特有の効果を奏するものである。 (4)小括 したがって、本願発明は、当業者が引用例に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本願の請求項2?12に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、同様に、当業者が引用例に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 さらに、本願の請求項13、14及び15に係る発明は、本願発明と主要な点を共通としながら、情報処理装置である本願発明を撮影システム、情報処理方法及びプログラムに書き換えたものであるので、同様に、当業者が引用例に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。 第4 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要 本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 発明の詳細な説明には、被検体と3次元画像との対応関係を効率的かつ精度よく得るという課題を解決するために、基準位置と胸骨軸方向と胸骨軸周りとが合うように被検体と3次元画像との対応関係を算出することが記載されている(図6、図11及び図13参照。)。他方、請求項1、14、15、16には、基準位置たる胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と、胸骨軸方向たる胸骨の第2肋骨の付け根部分に基づく位置と胸骨の下方位置とにより定義される胸骨の方向とが合うように被検体と3次元画像との対応関係を算出することが記載されるのみであり、発明の詳細な説明に記載された胸骨軸周りも合うように被検体と3次元画像との対応関係を算出することが反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。 ここで、基準位置と胸骨軸方向のみを合わせるだけでは、被検体と3次元画像との3次元的な対応関係を算出することは不可能なことは自明である。 よって、請求項1、14、15、16及び請求項1を直接または間接的に引用する請求項2?6、10?13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 なお、請求項7?9は、胸骨軸周りたる肋骨に基づく複数の位置における被検体と3次元画像との対応関係を算出することにより、被検体と3次元画像との位置の対応関係を算出することが特定されているから、上記拒絶理由は該当しない。 2 当審拒絶理由の判断 平成28年6月9日付け手続補正書によって、補正前の請求項1、14、15、16は、補正前の請求項7を追加して限定され新たに請求項1、13、14、15として規定され、補正前の請求項7を削除する補正がなされた。このことにより、補正後の請求項1、13、14、15及び補正後の請求項1を直接または間接的に引用する補正後の請求項2?12に係る発明は、胸骨軸周りたる肋骨に基づく複数の位置における被検体と3次元画像との対応関係を算出することにより、被検体と3次元画像との位置の対応関係を算出することが特定されたから、課題を解決するものとして、発明の詳細な説明に記載されたものである。 よって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-07-12 |
出願番号 | 特願2011-81993(P2011-81993) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 冨永 昌彦、田邉 英治 |
特許庁審判長 |
三崎 仁 |
特許庁審判官 |
▲高▼見 重雄 藤田 年彦 |
発明の名称 | 情報処理装置、撮影システム、情報処理方法および情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラム |
代理人 | 黒岩 創吾 |
代理人 | 阿部 琢磨 |