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審決分類 審判 訂正 特126 条1 項 訂正しない A63F
管理番号 1317286
審判番号 訂正2016-390027  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-02-12 
確定日 2016-07-19 
事件の表示 特許第5360242号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る特許第5360242号(以下、「本件特許」という。)は、平成15年5月16日に出願された特願2003-138394号の一部を平成21年8月21日に特願2009-191875号として新たに特許出願し、さらにその出願の一部を平成24年1月27日に特願2012-015158号として新たに特許出願したものであって、平成25年9月13日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成28年2月12日に本件訂正審判の請求がなされた後、当審において、平成28年3月25日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかったものである。

第2 審判請求の趣旨
本件審判請求は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件特許の訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(訂正事項1について(1)ないし(3)のように、当審において分説した。下線は、訂正箇所を示す。)。
1.訂正事項1
(1)本件特許明細書の段落【0002】における
「従来、パチンコ機等の遊技機において、例えば、複数の図柄列が変動表示される図柄変動表示装置を備えた遊技機において、その図柄変動表示装置に変動表示される複数の図柄列の停止時の組合せが予め定めた大当り図柄の組合せとなったときに大当り遊技状態となると共に、複数の図柄列のうち、1つを除く他の図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せであるリーチ遊技状態となったときに、図柄変動表示装置にてリーチ演出を行うように構成されたものがある。そして、近年、この種の遊技機においては多種多様のリーチ演出が行われるようになり、一台で複数のリーチ演出を行うものも出てきている。また、これら複数のリーチ演出のうち、他のリーチ演出と比較して非常に稀にしか行われないリーチ演出(いわゆる「プレミアムリーチ」)を行う遊技機もあり(例えば、特許文献1参照。)、プレミアムリーチでしか見られない特定のキャラクタ(いわゆる「プレミアムキャラクタ」)を画面表示することにより遊技の興趣を向上させようとする遊技機も提案されている。」
という記載を、
「従来、パチンコ機等の遊技機において、例えば、複数の図柄列が変動表示される図柄変動表示装置を備えた遊技機において、表示装置にて演出を行うように構成されたものがある。また、稀にしか行われない演出を画面表示することにより遊技の興趣を向上させようとする遊技機も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。」
と訂正する。

(2)本件特許明細書の段落【0003】における
「一方、近年、撮影機能付きの携帯電話機が広く普及するようになったため、遊技機の図柄変動表示装置において表示されたプレミアムキャラクタを撮影機能付きの携帯電話機で撮影し、撮影した画像データを電子メールに添付して友人の携帯電話機に送信することにより、非常に稀にしか見られないプレミアムキャラクタを登場させたことを自慢して楽しむことも可能となってきている。」
という記載を削除する。

(3)本件特許明細書の段落【0005】における
「しかしながら、遊技者は、表示画面上のどの画像が撮影対象であるかを把握することが困難な場合がある。」
という記載を、
「しかしながら、さらなる興趣の向上の余地がある。」
と訂正する。

第4 当審の判断
1.訂正の目的について
上記訂正事項1の(1)ないし(3)は、その訂正の内容からみて、「特許請求の範囲の減縮」、「誤記又は誤訳の訂正」、「他の請求の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とする訂正に該当しないことは明らかである。

審判請求人は訂正事項1について「上記訂正事項1は、特許時の[背景技術]においては、「プレミアムリーチ」、「プレミアムキャラクタ」、「電子メールに添付」などといった、特許請求の範囲に記載されていない用語が含まれており、また、特許時の[発明が解決しようとする課題]においても、特許請求の範囲に必ずしもなじまない記載ぶりであったところ、本件特許発明と関係のない不明りょうな事項を削除し、特許請求の範囲との対応関係を、より明瞭なものとするものである。」と主張しているので、以下において、この点について検討する。

本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、発明特定事項として「遊技者の所持する携帯端末によって取得又は識別可能な対象画像を前記表示手段にて画面表示させる対象画像表示制御手段」、及び、「前記対象画像は、所定の確率で実行される特定のリーチ演出において前記図柄変動表示装置にて表示される特定の画像に対応するもので」あるという構成を有するものである。
そして、本件特許発明の「特定のリーチ演出」及び「対象画像」という構成は、本件特許明細書の段落【0023】に記載の「プレミアムリーチ」及び「プレミアムキャラクタ」を一般化した構成であり、本件特許発明は、本件特許明細書に記載の実施例を包含するものである。
一方で、訂正前の本件特許明細書の段落【0002】には、「他のリーチ演出と比較して非常に稀にしか行われないリーチ演出(いわゆる「プレミアムリーチ」)を行う遊技機もあり・・・、プレミアムリーチでしか見られない特定のキャラクタ(いわゆる「プレミアムキャラクタ」)を画面表示することにより遊技の興趣を向上させようとする遊技機も提案されている」と記載されており、段落【0003】には、段落【0002】に記載された「プレミアムキャラクタ」に関連し、「撮影機能付きの携帯電話機が広く普及するようになったため、・・・プレミアムキャラクタを撮影機能付きの携帯電話機で撮影し、撮影した画像データを電子メールに添付して友人の携帯電話機に送信することにより、非常に稀にしか見られないプレミアムキャラクタを登場させたことを自慢して楽しむことも可能となってきている」と記載されている。これより、訂正前の本件特許明細書の段落【0002】及び【0003】には、段落【0023】に記載の「プレミアムリーチ」及び「プレミアムキャラクタ」についての背景技術が記載されているといえる。
そして、上述のように、本件特許発明の「特定のリーチ演出」及び「対象画像」という構成は、「プレミアムリーチ」及び「プレミアムキャラクタ」を一般化した構成であるから、本件特許発明の「特定のリーチ演出」及び「対象画像」という構成もまた、訂正前の本件特許明細書の段落【0002】及び【0003】に記載の「プレミアムリーチ」及び「プレミアムキャラクタ」についての背景技術に関係するものである。
したがって、本件特許発明と訂正前の本件特許明細書の段落【0002】及び【0003】の記載との対応関係は明瞭であり、本件特許発明と訂正後の本件特許明細書は、訂正事項1の(1)及び(2)のように、「プレミアムリーチ」及び「プレミアムキャラクタ」に関する記載を削除することで、むしろ不明瞭となっている。

また、本件特許発明は、発明特定事項として「前記表示手段にて画面表示された対象画像を明示する明示手段」、及び、「前記明示手段は、前記対象画像の略全体が含まれる対象領域を囲む枠線を表示する」との構成を有するものである。
そして、本件特許発明の上記発明特定事項は、本件特許明細書の段落【0037】に記載の、「遊技者は、表示画面5aにおいてどの画像が撮影対象画像としてのプレミアムキャラクタ5bであるかを確実に把握して撮影機能付きの携帯電話機200を用いて撮影を行うことができる」との効果を奏する「プレミアムキャラクタ5bの略全体を含む撮影対象領域を囲む点線枠5cの表示が行われる」という構成を一般化した構成であり、本件特許発明は、本件特許明細書に記載の実施例を包含するものである。
一方で、訂正前の本件特許明細書の段落【0003】には、「プレミアムキャラクタを撮影機能付きの携帯電話機で撮影」するという背景技術が記載され、段落【0005】には、当該背景技術において、「遊技者は、表示画面上のどの画像が撮影対象であるかを把握することが困難な場合がある」という課題が存在することついて記載されている。これより、訂正前の本件特許明細書の段落【0003】に記載された背景技術、及び、段落【0005】に記載された課題が、上記段落【0037】に記載の構成及び効果と関係していることは明らかである。
そして、上述のように、本件特許発明の発明特定事項は、段落【0037】に記載の構成を一般化した構成であるから、本件特許発明の発明特定事項もまた、訂正前の本件特許明細書の段落【0003】に記載された背景技術、及び、段落【0005】に記載された課題に関係するものである。
したがって、本件特許発明と訂正前の本件特許明細書の段落【0003】及び【0005】の記載との対応関係は明瞭であり、本件特許発明と訂正後の本件特許明細書は、訂正事項1の(2)及び(3)のように、「プレミアムキャラクタを撮影機能付きの携帯電話機で撮影」するという背景技術に関する記載と、「遊技者は、表示画面上のどの画像が撮影対象であるかを把握することが困難な場合がある」という課題に関する記載を削除することにより、むしろ不明瞭となっている。

以上のことから、訂正前の本件特許明細書の段落【0002】、【0003】及び【0005】の記載と、本件特許発明との対応関係は明瞭であり、不明瞭な事項は存在しない。そして、本件特許明細書に明瞭でない記載の存在が認められない以上、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものではない。

第5 むすび
上記第4において検討したとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とする訂正に該当しないので、特許法第126条第1項ただし書の要件を満たさず、本件訂正審判請求による訂正は適法な訂正とは認められない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-19 
結審通知日 2016-05-23 
審決日 2016-06-06 
出願番号 特願2012-15158(P2012-15158)
審決分類 P 1 41・ 85- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 山崎 仁之
瀬津 太朗
登録日 2013-09-13 
登録番号 特許第5360242号(P5360242)
発明の名称 遊技機  
代理人 川口 光男  

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