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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C |
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管理番号 | 1317344 |
審判番号 | 不服2015-13394 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-07-14 |
確定日 | 2016-07-19 |
事件の表示 | 特願2011-544809「ナビゲーション装置、利用者の戻り時刻を監視する方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月22日国際公開、WO2010/081550、平成24年 7月 5日国内公表、特表2012-515326〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、2009(平成21)年1月14日を国際出願日とする出願であって、平成22年11月18日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成23年2月9日に特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲、要約書及び図面の翻訳文が提出された後、平成25年6月14日付けで拒絶理由が通知され、平成25年12月18日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年2月28日付けで再度、拒絶理由が通知されたのに対し、平成26年5月28日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年10月28日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成27年2月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年3月11日付けで平成27年2月23日提出の手続補正書でした手続補正を却下する決定がなされるとともに同日付けで拒絶査定がされ、平成27年7月14日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成27年9月30日に上申書が提出されたものである。 第2.平成27年7月14日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成27年7月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 (1)本件補正の内容 平成27年7月14日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成26年5月28日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。 (ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「 【請求項1】 ナビゲーション装置であって、 利用者がいつまでに駐車している車両(500)に戻るかを示す前記利用者の戻り時刻を表す時間データを入力する入力装置(220、240)と、 前記利用者の戻り時刻までの残り時間を監視し、前記残り時間に応じて警報信号を発出する様に構成されているプロセッサ(210)と、 を備え、 前記プロセッサは、 前記利用者の位置を判定し、 前記利用者の位置から前記車両までの前記利用者の移動時間を評価し、 前記残り時間と前記評価した前記車両までの前記利用者の移動時間とを比較し、前記残り時間が、前記評価した前記車両までの前記利用者の移動時間以下であると、前記警報信号を発出し、 前記利用者からの入力に応答し、前記ナビゲーション装置を通して購入された追加の駐車時間に応じて前記戻り時刻を延長する様にさらに構成されていることを特徴とするナビゲーション装置。」 (イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「 【請求項1】 ナビゲーション装置であって、 利用者がいつまでに駐車している車両(500)に戻るかを示す前記利用者の戻り時刻を表す時間データを入力する入力装置(220、240)と、 前記利用者の戻り時刻までの残り時間を監視し、前記残り時間に応じて警報信号を発出する様に構成されているプロセッサ(210)と、 を備え、 前記プロセッサは、 前記利用者の位置を判定し、 前記利用者の位置から前記車両までの前記利用者の移動時間を評価し、 前記残り時間と前記評価した前記車両までの前記利用者の移動時間とを比較し、前記残り時間が、前記評価した前記車両までの前記利用者の移動時間以下であると、利用者に前記戻り時刻を延長するか前記車両に戻るかを忠告する前記警報信号を発出し、 前記利用者からの入力に応答し、前記ナビゲーション装置を通して購入された追加の駐車時間に応じて前記戻り時刻を現在時刻の後の時刻に延長する様にさらに構成されていることを特徴とするナビゲーション装置。」(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。) (2)本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「警報信号」が「利用者に戻り時刻を延長するか車両に戻るかを忠告する」ものである旨を限定するとともに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「戻り時刻を延長する」ことに関し、延長後の戻り時刻が「現在時刻の後の時刻」である旨を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2.独立特許要件についての判断 本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。 2.-1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2008-257362号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「駐車支援システム」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。 (ア)「【0001】 本発明は、車両を止めた駐車場へのユーザ(車両の持ち主)の帰還タイミングを支援する駐車支援システムに関する。 …(後略)…」(段落【0001】) (イ)「【0009】 図1は、本発明の実施例1による駐車支援システム1の全体構成を示す図である。この駐車支援システム1は、大きく分けて、車両に搭載される車載装置20と、当該車両のユーザが携帯する携帯機70とを備える。 【0010】 携帯機70は、主に、通信アンテナ72、GPSアンテナ74、表示部76、情報入力部78及び情報処理部79を備える。情報処理部79は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。 【0011】 携帯機70の情報処理部79は、通信アンテナ72を介して車載装置20と双方向の無線通信を行う通信機能を有する。情報処理部79は、車載装置20から送られてくる各種信号を処理して、必要な制御を実行する。例えば、情報処理部79は、車載装置20から送られてくるユーザ位置情報の要求を受信した場合には、携帯機70の位置(及び速度)を表すユーザ位置情報を、車載装置20に送信する。尚、携帯機70の位置(及び速度)は、GPSアンテナ74を介して受信した衛星電波に基づいて測位される。測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよい。また、情報処理部79は、車載装置20から情報出力指示を受信した場合には、情報出力指示に応じた情報出力態様で、表示部76に、要求された情報(例えば、後述の帰還促進通知や移動速度増加促進通知等)を出力する。尚、情報の出力は、表示部76での表示に代えて若しくは表示に加えて、スピーカー(図示せず)を介した音声による出力によって実現されてもよい。また、情報処理部79は、車載装置20から所定の要求(例えば、後述の戻り予定時刻の入力要求)を受信した場合には、要求内容を表示部76に出力すると共に、ユーザがそれに応じて情報入力部78を介して入力した情報(例えば、後述の戻り予定時刻)を、ユーザからの送信指示に従って、車載装置20に送信する。 【0012】 車載装置20は、制御装置26を中心として構成される。制御装置26は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。 【0013】 制御装置26には、通信機22、ユーザインターフェース28、及び、データベース30が接続される。 【0014】 通信機22は、制御装置26による制御下で、通信アンテナ24を介してユーザ側の携帯機70と無線通信を行い、各種情報のやり取りを行う。例えば、通信機22は、携帯機70に対してユーザ位置情報の送信を要求し、当該要求に応じて携帯機70から送られてくるユーザ位置情報を、制御装置26に供給する。また、通信機22は、制御装置26による制御下で、携帯機70に対して所定の情報(例えば、後述の帰還促進通知や移動速度増加促進通知等)を携帯機70の表示部76に出力するように要求する。 【0015】 ユーザインターフェース28は、好ましくは、ユーザとの対話形式でユーザとの間で各種情報をやり取りできるようなものであり、例えばタッチパネルディスプレイであってよい。 【0016】 データベース30は、書き換え可能な不揮発性のメモリ(補助記憶装置)で構成され、例えばハードディスクドライブで構成されてよい。データベース30には、ナビゲーションシステムで用いられるような地図データや、後述の駐車場に関する駐車場データが蓄積されている。これらのデータは、予めデータベース30に記憶されていてもよいし、事後的に外部(例えば外部の情報提供センタ)から無線通信を介して取得して記憶されてもよい。データベース30内のデータは、外部から無線通信を介して取得したデータを用いて定期的に更新・補強されてもよい。また、駐車場データは、駐車場に車両が入庫した際に、駐車場に設置されるインフラ設備(例えばRFタグ)との通信を介して当該インフラ設備から取得されてもよい。 【0017】 以上のように構成された本実施例の駐車支援システム1では、車載装置20とユーザ側の携帯機70は、協動して、車両を止めた駐車場へのユーザ(車両の持ち主)の帰還タイミングを支援する機能を有する。以下では、この機能について重点的に説明する。」(段落【0009】ないし【0017】) (ウ)「【0018】 図2は、車載装置20の制御装置26により実行される目標帰還時刻決定処理の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理は、車両が駐車場に駐車された場合に起動される。尚、ここでは、駐車場とは、ユーザの自宅などの駐車場ではなく、駐車料金が掛かる有料駐車場であるとする。尚、図2に示す処理は、車両が駐車場に駐車された場合に自動的に起動されてもよいし、ユーザからユーザインターフェース28を介して支援開始指示があった場合に起動されてもよい。前者の場合、車両が駐車場に駐車されたことは、ナビゲーションシステムで得られる情報(車両位置と地図データとの関係)に基づいて検出されてもよい。 【0019】 ステップ100では、制御装置26は、ユーザインターフェース28を介して、ユーザに対して、駐車場への戻り予定時刻の入力を要求する(戻り予定時刻の問い合わせ)。例えば、制御装置26は、「駐車場への戻り予定時刻を入力してください」といったメッセージを音声や画像により出力する。これを受けて、ユーザは、必要に応じて、ユーザインターフェース28を介して戻り予定時刻を入力する。尚、戻り予定時刻の問い合わせ及び入力は、ユーザインターフェース28に代えて、携帯機70(即ち、携帯機70との通信及び携帯機70の表示部並びに情報入力部78)を介して実現されてもよい。 【0020】 ステップ102では、制御装置26は、ユーザによる戻り予定時刻の入力があったか否かを判定する。戻り予定時刻の入力があった場合には、ステップ104に進み、戻り予定時刻の入力が要求後所定時間内に無い場合には、ステップ106に進む。 【0021】 ステップ104では、制御装置26は、入力された戻り予定時刻に基づいて、ユーザが駐車場に戻るべき目標帰還時刻を決定する。この場合、目標帰還時刻は、入力された戻り予定時刻そのものであってもよい。或いは、制御装置26は、データベース30内の駐車場データ(駐車場の料金体系に関するデータ)に基づいて、入力された戻り予定時刻に最も近い、駐車料金が上がる時刻を、目標帰還時刻として決定してもよい。例えば、戻り予定時刻が15時であり、その前後の駐車料金が上がる時刻が14時45分と15時15分である場合、14時45分及び15時15分のいずれかを、目標帰還時刻として決定してもよい。この場合、入力された戻り予定時刻よりも遅い方の時刻(この例では、15時15分)を採用してもよいし、ユーザインターフェース28を介してユーザにいずれかを選択させてもよい。尚、このように、駐車場の料金体系を考慮して、入力された戻り予定時刻と異なる時刻を目標帰還時刻と決定した場合には、その旨をユーザインターフェース28又は携帯機70を介して、ユーザに通知することとしてもよい。尚、駐車料金が上がる時刻に基づいて目標帰還時刻を決定する場合、駐車料金が上がる時刻の10分前といった具合に、駐車料金が上がる時刻ぎりぎりでない余裕のある時刻が、目標帰還時刻として決定されてもよい。この余裕分の時間は、ユーザにより指定可能とされてもよい。」(段落【0018】ないし【0021】) (エ)「【0024】 図3は、目標帰還時刻が決定された後に、車載装置20の制御装置26により実行される主要処理の一例を示すフローチャートである。 【0025】 ステップ110では、制御装置26は、通信機22から携帯機70に向けてユーザ位置情報の送信を要求し、携帯機70側から最新のユーザ位置情報を取得する。 【0026】 ステップ112では、制御装置26は、駐車場の位置と、ユーザの位置(携帯機70の現在位置)との関係に基づいて、ユーザの現在位置から駐車場へユーザが移動して戻るのに必要な移動時間Tを算出する。駐車場の位置は、データベース30内の駐車場データに基づいて決定されてもよいし、車載GPS受信機(図示せず)で測位された駐車完了時の車両位置であってもよい。移動時間Tは、簡易的に、駐車場の位置とユーザの位置間の直線距離を、ユーザの移動速度で割ることで、算出されてもよい。或いは、制御装置26は、駐車場の位置と、ユーザの位置と、データベース30内の地図データとに基づいて、ユーザの位置から駐車場までの最適な戻り経路を探索し、該探索した経路の長さを、ユーザの移動速度で割ることで、移動時間Tを算出してもよい。ユーザの移動速度は、ユーザ位置情報に含まれるユーザの速度が利用されてもよいし、簡易的に一般的な人の歩行速度を利用してもよいし、利用する交通手段(バスや、電車、タクシー等)の一般的な速度を考慮して決定されてもよい。特に、利用する交通手段が予めユーザにより指定されている場合(例えばユーザインターフェース28又は携帯機70を介して指定されている場合)には、当該交通手段の一般的な移動速度を利用してもよい。この際、バスや電車の時刻表や、ユーザ位置から駐車場までの経路の渋滞状態等の情報等を考慮して移動速度を決定してもよい。これらの情報は、統計データに基づいて予めデータベース30内に記憶されていてもよいし、外部の情報提供センタ等から定期的に供給されてもよい。また、制御装置26は、データベース30内の駐車場データに基づいて、駐車場の料金支払い場所を考慮して、駐車場の料金支払い場所にユーザが移動して戻るのに必要な移動時間Tを算出してもよい。この際、駐車場が料金ゲートにて乗車状態で駐車料金を支払う方式の駐車場である場合には、駐車場に戻ってから料金ゲートまで車両を移動させるのに必要な出庫時間を加味して、移動時間Tを算出するのが好ましい。この際、出庫時間は、好ましくは、駐車場内の車両位置と料金ゲートの位置関係や、駐車場内の混雑状況を考慮して決定されてもよい。駐車場内の混雑状況は、日時や天候等に応じて収集された統計データに基づいて判断されてもよい。この統計データは、駐車場データの一部としてデータベース30内に記憶されていてもよいし、部の情報提供センタ等から定期的に供給されてもよい。 【0027】 ステップ114では、制御装置26は、現在時刻と、上記ステップ112で算出した移動時間Tとに基づいて、駐車場にユーザが到着する到着予想時刻を算出する。到着予想時刻は、現在時刻から移動時間T後の時刻であってよい。尚、明らかであるが、到着予想時刻は、現在時刻やユーザの位置の変化等に伴って変化する。 【0028】 ステップ116は、制御装置26は、上記ステップ114で算出した到着予想時刻が、上述の図2の目標帰還時刻決定処理で決定された目標帰還時刻と対応しているか否かを判定する。尚、到着予想時刻や目標帰還時刻は、例えば分単位で決定されていてよく、到着予想時刻と目標帰還時刻とが例えば所定誤差[分]内のずれしかない場合には、到着予想時刻が目標帰還時刻と対応していると判断してもよい。この場合、所定誤差は、固定値であってもよいし、駐車場の位置とユーザの位置間の距離(又は上記の移動時間T)に応じて決定される可変値であってもよい。例えば、所定誤差は、移動時間Tが短いほど小さくされてもよい。これは、移動時間Tが短いほど、移動速度等の調整による誤差の吸収が困難となるからである。到着予想時刻が目標帰還時刻と対応している場合には、ステップ124に進み、到着予想時刻が目標帰還時刻と対応していない場合(到着予想時刻が目標帰還時刻よりも前である場合)には、ステップ118に進む。 【0029】 ステップ118では、制御装置26は、到着予想時刻が目標帰還時刻よりも所定時間Th以上前であるか否かを判定する。所定時間Thは、到着予想時刻が目標帰還時刻よりも十分前であることを表す時間であり、例えば30分であってよい。到着予想時刻が目標帰還時刻よりも所定時間Th以上前である場合には、ステップ120に進み、到着予想時刻が目標帰還時刻よりも所定時間Th未満前である場合には、ステップ122に進む。 【0030】 ステップ120では、制御装置26は、次回周期の処理の開始タイミングを決めるタイマーをΔT1に設定して、ステップ110に戻る。従って、次回周期のステップ110からの処理ルーチンは、今回周期から所定時間ΔT1後に起動される。所定時間ΔT1は、制御装置26の処理負荷を考慮して、例えば5分といった長めの固定値であってもよいし、到着予想時刻と目標帰還時刻の差異に応じて決定される可変値であってもよい。例えば、到着予想時刻が目標帰還時刻よりも十分前である場合(例えば2時間以上前である場合)には、所定時間ΔT1は、1時間半といった長い値であってもよい。 【0031】 ステップ122では、制御装置26は、次回周期の処理の開始タイミングを決めるタイマーをΔT2に設定して、ステップ110に戻る。所定時間ΔT2は、例えば1分または30秒といった短めの固定値であってよい。このステップ120及び122の処理によれば、制御装置26の処理負荷を最小限に抑えつつ、時々刻々と変化する到着予想時刻に対して、到着予想時刻が目標帰還時刻に対応するタイミングを逃すことなく検出することができる。 【0032】 ステップ124では、制御装置26は、携帯機70と協動して、帰還促進通知を行う。具体的には、制御装置26は、通信機22から携帯機70に向けて、帰還促進通知を出力するよう要求する要求信号を送信する。この要求信号を受けて、携帯機70は、表示部76に、例えば「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような、ユーザに駐車場に戻るように促す情報を出力する。これにより、ユーザは、駐車場に戻り始めるタイミングを知ることができる。尚、上記のステップ112において最適な戻り経路を探索した場合には、制御装置26は、通信機22から携帯機70に向けて最適な戻り経路を表す信号を送信し、最適な戻り経路をユーザに通知してもよい。また、制御装置26は、目標帰還時刻に戻れた場合の駐車料金を同様にユーザに通知してもよい。尚、駐車料金は、定期的に(或いは駐車料金が上がる毎に)、ユーザに通知されてもよい。」(段落【0024】ないし【0032】) (オ)「【0033】 このようにして、帰還促進通知が実行されると、次いで、図4に示す処理ルーチンに進む。 【0034】 図4は、帰還促進通知後に、車載装置20の制御装置26により実行される主要処理の一例を示すフローチャートである。図4に示す処理ルーチンは、図3に示した処理ルーチンに比べて短時間の周期毎に繰り返し実行される。例えば、図4に示す処理ルーチンは、30秒毎に繰り返し実行されてよい。 【0035】 ステップ130では、制御装置26は、図3のステップ110と同様に、携帯機70側から最新のユーザ位置情報を取得する。 【0036】 ステップ132では、制御装置26は、駐車場の位置と、ユーザの位置(携帯機70の現在位置)との関係に基づいて、ユーザが駐車場に帰還したか否かを判定する。制御装置26は、駐車場の位置とユーザの位置とが略一致した場合には、ユーザが駐車場に帰還したと判定してよい。ユーザが駐車場に帰還した場合には、今回の駐車場に対する支援が終了する。ユーザが未だ駐車場に帰還していない場合には、ステップ134に進む。 【0037】 ステップ134では、制御装置26は、ユーザに帰還意思があるか否かを判定する。帰還意思は、携帯機70から車載装置20へユーザにより通知されてもよいし、ユーザの位置と駐車場の位置との関係の推移に基づいて推定されてもよい。例えば、ユーザの位置が駐車場に確実に接近しつつある場合には、ユーザに帰還意思があると判定してよい。ユーザに帰還意思がある場合には、ステップ136に進む。他方、ユーザに帰還意思がない場合には、図2の処理ルーチンに戻る。この場合、図2の処理ルーチンが起動され、新たな目標帰還時刻が再決定されることになる。例えば、新たな戻り予定時刻の入力が無い場合には、図2のステップ106により、次に駐車料金が上がる時刻が新たな目標帰還時刻として再決定されることになる。このようにして目標帰還時刻が再決定されると、再び図3の処理ルーチンに移行することになる。」(段落【0033】ないし【0037】) (2)引用文献1記載の事項 上記(1)(ア)ないし(オ)並びに図1ないし図4の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていることが分かる。 (カ)上記(1)(ア)及び(イ)並びに図1の記載から、引用文献1には、ナビゲーションシステムで用いられるような地図データをデータベース30に蓄積した駐車支援システム1の車載装置20が記載されていることが分かる。 (キ)上記(1)(イ)及び(ウ)並びに図1及び図2の記載から、引用文献1に記載された駐車支援システム1の車載装置20は、車両を止めた駐車場のユーザの駐車場への戻り予定時刻を入力するユーザインターフェース28と、制御装置26とを備えることが分かる。 (ク)上記(1)(エ)及び(オ)並びに図3の記載から、引用文献1に記載された駐車支援システム1の車載装置20において、制御装置26は、ユーザの位置情報を取得し、ユーザの現在位置から駐車場へユーザが移動して戻る経路を探索するとともに必要な移動時間Tを算出し、現在時刻と移動時間とに基づいて算出した到着予想時刻が、戻り予定時刻に基づいて決定した目標帰還時刻と対応しているか否かを判定し、対応している場合には、「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような帰還促進通知をユーザが携帯する携帯機70に出力させ、対応していない場合には、次期周期で到着予想時刻が目標帰還時刻と対応しているかを判定するものであることが分かる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)並びに図1ないし図4の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「ナビゲーションシステムで用いられるような地図データをデータベース30に蓄積した駐車支援システム1の車載装置20であって、 車両を止めた駐車場のユーザの駐車場への戻り予定時刻を入力するユーザインターフェース28と、 制御装置26と、 を備え、 制御装置26は、ユーザの位置情報を取得し、ユーザの現在位置から駐車場へユーザが移動して戻る経路を探索するとともに必要な移動時間Tを算出し、現在時刻と移動時間とに基づいて算出した到着予想時刻が、戻り予定時刻に基づいて決定した目標帰還時刻と対応しているか否かを判定し、対応している場合には、「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような帰還促進通知をユーザが携帯する携帯機70に出力させ、対応していない場合には、次期周期で到着予想時刻が目標帰還時刻と対応しているかを判定する駐車支援システム1の車載装置20。」 2.-2 引用文献2 (1)引用文献2の記載 本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2004-110666号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「システム利用支援方法、サーバ、プログラム」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。 (サ)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、所定の時間単位で課金するシステムの利用に係わり、特にユーザの利用装置を用いて、キャッシュレスで料金支払いを行え、またリアルタイムの情報提供を行う方法、装置等に関する。」(段落【0001】) (シ)「【0017】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 尚、以下の実施の形態では、「所定の時間単位で課金するシステム」の一例としてパーキングメータ(駐車場)の利用を例にし、「ユーザの利用装置」の一例として携帯電話を例にして説明するが、これに限るわけではない(詳しくは後述する)。 【0018】 図1は、本例によるパーキング利用支援システム1全体のシステム構成図である。 尚、上記短時間の路上駐車を認めるエリアは、厳密に言えば駐車場ではないが、以下の説明では、これも駐車場の一種として扱うものとする。 【0019】 同図において、センタ装置10と、各パーキングメータ5とが、ネットワーク4に接続しており、相互に通信可能となっている。また、センタ装置10は、ネットワーク3を介して、各駐車場利用者の携帯電話2と通信可能となっている。」(段落【0017】ないし【0019】) (ス)「【0032】 図6(a)?(d)は、図3?図5に示す▲1▼?▲4▼において送受信するデータの一例を示す図である。 以下、まず、図3を参照して、駐車料金精算時の処理を説明する為のフローチャート図である。この処理は、駐車料金決済部14によって実行される。 【0033】 駐車料金精算を行うタイミングは、その駐車場における料金支払い方法によって異なる。すなわち、前払い、後払い、あるいは前払い且つ追加料金支払いの何れかに応じたタイミングで行われる。」(段落【0032】及び【0033】) (セ)「【0046】 登録確認した場合には(ステップS52,NO)、携帯電話2に対して、更に登録に必要なデータ(通知希望情報)を要求する(ステップS53)。携帯電話2側では、利用者に通知希望情報を入力させて、この情報(図示の▲3▼;一例を図6(c)に示す)をセンタ装置10に送信する(ステップS42)。センタ装置10側では、この通知希望情報を登録する(ステップS54)。 【0047】 この通知希望情報とは、例えば利用状況通知希望時刻であり、図6(c)に示す例のように、30分毎や1時間毎に通知を行うことを希望することができる。勿論、これは一例であり、その他、例えば、課金されそうになる数分前に通知を行うことや、上記利用可能時間を過ぎる直前等(例えば5分前等)に、通知を希望することもできる。但し、この場合は、該当するパーキングメータ5にアクセスして、利用開始時間、課金方法(20分毎、30分毎、1時間毎等、様々な課金方法があるので)、利用可能時間等の情報を取得して、これを通知希望情報と共に登録する必要がある。」(段落【0046】及び【0047】) (ソ)「【0049】 図5は、情報提供を行う際の処理フローチャート図である。 センタ装置10において、図示のステップS71,S72の処理は、基本的には、上記ステップS54で登録した情報に基づいて自動的に行うが、これに限らず、利用者が好きなときに、自己の携帯電話2において所定の操作を行って、利用状況確認要求を出し(ステップS61)、これに応じて行うようにしてよい。 【0050】 何れにしても、センタ装置10は、情報提供を行う為に、該当するパーキングメータ5に アクセスして、現在の利用状況の照会を行う(ステップS71)。これに応じて、パーキングメータ5は、自己が保持・管理する利用状況データ(現在までの経過時間、利用料金等)を、センタ装置10に返信する(ステップS81)。この返信を受けて、センタ装置10は、携帯電話2に対して、利用状況(図示の▲4▼;一例を図6(d)に示す)を通知する(ステップS72)。携帯電話2は、この利用状況データを受信して、これを表示する(ステップS62)。 【0051】 尚、図5に示す処理は、一例であり、例えば利用可能時間を過ぎそうであることを警告する場合には、ステップS71の処理を行う必要はなく、ステップS72の処理の代わりに、警告メッセージ等を通知すればよい。」(段落【0049】ないし【0051】) (タ)「【0058】 尚、上述した実施の形態では、パーキングメータ(駐車場)の利用を例にして説明したが、これに限るわけではなく、本発明は、「所定の時間単位で課金するシステム(またはサービス)」全てに適用できる。「所定の時間単位で課金するシステム(またはサービス)」としては、上記パーキングメータ(駐車場)の他に、例えばオーディオCD、ビデオテープ、DVD等のレンタル、レンタカー等の各種レンタルサービス等がある。勿論、これらに限らない。 【0059】 また、これら各種レンタルサービスに関して、例えば「所定の時間単位経過毎にユーザの利用装置にメッセージを通知し、そのメッセージを受信したユーザの利用装置において決済を可能とする」構成としてもよい。例えば、「あなたがレンタルしたビデオの返却期限を過ぎています。現在の延滞料金は760円です。」等のメッセージを送り、ユーザに返却を促すと共に、キャッシュレスで延滞料金を支払える構成としてもよい。」(段落【0058】及び【0059】) 2.-3 対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「車両を止めた駐車場のユーザ」及び「ユーザ」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「利用者」に相当し、以下同様に、「車両を止めた駐車場のユーザの駐車場への戻り予定時刻」及び「戻り予定時刻」は「利用者がいつまでに駐車している車両に戻るかを示す前記利用者の戻り時刻を表す時間データ」及び「戻り時刻」に、「ユーザインターフェース28」は「入力装置」に、「制御装置26」は「プロセッサ」に、「ユーザの位置情報を取得」することは「利用者の位置を判定」することに、「移動時間T」は「移動時間」に、「ユーザの現在位置から駐車場へユーザが移動して戻る経路を探索するとともに必要な移動時間Tを算出」することは「利用者の位置から車両までの利用者の移動時間を評価」することに、それぞれ相当する。 また、引用発明における「到着予想時刻」と「戻り予定時刻」との差が、本願補正発明における「残り時間」に相当するといえるから、引用発明において「現在時刻と移動時間とに基づいて算出した到着予想時刻が、戻り予定時刻に基づいて決定した目標帰還時刻と対応しているか否かを判定」することは、その技術的意義からみて、本願補正発明において「残り時間と評価した車両までの利用者の移動時間とを比較」することに相当する。 そして、引用発明において、「「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような帰還促進通知をユーザが携帯する携帯機70に出力させ」ることは、その技術的意義からみて、本願補正発明において「利用者に」「車両に戻る」よう「忠告する警報信号を発出」することに相当するといえるから、「残り時間が、評価した車両までの利用者の移動時間以下であると、利用者に車両に戻るよう忠告することを含む警報信号を発出」するという限りにおいて、引用発明において「(現在時刻と到着予想時刻が)対応している場合には、「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような帰還促進通知をユーザが携帯する携帯機70に出力させ、対応していない場合には、次期周期で到着予想時刻が目標帰還時刻と対応しているかを判定する」ことは、本願補正発明において「残り時間が、評価した車両までの利用者の移動時間以下であると、利用者に戻り時刻を延長するか車両に戻るかを忠告する警報信号を発出」することに相当する。 さらに、引用発明において「現在時刻と移動時間とに基づいて算出した到着予想時刻が、戻り予定時刻に基づいて決定した目標帰還時刻と対応しているか否かを判定し、対応している場合には、「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような帰還促進通知をユーザが携帯する携帯機70に出力させ、対応していない場合には、次期周期で到着予想時刻が目標帰還時刻と対応しているかを判定する」ことは、本願補正発明において「利用者の戻り時刻までの残り時間を監視し、残り時間に応じて警報信号を発出する」ことに相当する。 そして、「利用者が駐車している車両への戻り時刻までの時間を監視し、残り時間に応じて警報信号を発出する装置」という限りにおいて、引用発明における「ナビゲーションシステムで用いられるような地図データをデータベース30に蓄積した駐車支援システム1の車載装置20」は、本願補正発明における「ナビゲーション装置」に相当する。 以上から、本願補正発明と引用発明は、 「利用者が駐車している車両への戻り時刻までの時間を監視し、残り時間に応じて警報信号を発出する装置であって、 利用者がいつまでに駐車している車両に戻るかを示す前記利用者の戻り時刻を表す時間データを入力する入力装置と、 前記利用者の戻り時刻までの残り時間を監視し、前記残り時間に応じて警報信号を発出する様に構成されているプロセッサと、 を備え、 前記プロセッサは、 前記利用者の位置を判定し、 前記利用者の位置から前記車両までの前記利用者の移動時間を評価し、 前記残り時間と前記評価した前記車両までの前記利用者の移動時間とを比較し、前記残り時間が、評価した車両までの利用者の移動時間以下であると、利用者に車両に戻るよう忠告することを含む警報信号を発出する装置。」 である点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。 〈相違点〉 (a)「残り時間が、評価した車両までの利用者の移動時間以下であると、利用者に車両に戻るよう忠告することを含む警報信号を発出」することに関し、本願補正発明においては「残り時間が、評価した車両までの利用者の移動時間以下であると、利用者に戻り時刻を延長するか車両に戻るかを忠告する警報信号を発出」するのに対し、引用発明においては「(現在時刻と到着予想時刻が)対応している場合には、「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような帰還促進通知をユーザが携帯する携帯機70に出力させ、対応していない場合には、次期周期で到着予想時刻が目標帰還時刻と対応しているかを判定する」点(以下、「相違点1」という。)。 (b)「利用者が駐車している車両への戻り時刻までの時間を監視し、残り時間に応じて警報信号を発出する装置」であることに関し、本願補正発明においては「ナビゲーション装置」であるのに対し、引用発明においては「ナビゲーションシステムで用いられるような地図データをデータベース30に蓄積した駐車支援システム1の車載装置20」である点(以下、「相違点2」という。)。 (c)本願補正発明においては「利用者からの入力に応答し、ナビゲーション装置を通して購入された追加の駐車時間に応じて戻り時刻を現在時刻の後の時刻に延長する様にさらに構成されている」のに対し、引用発明においてはそのような構成を有しない点(以下、「相違点3」という。)。 2.-4 判断 上記各相違点について検討する。 まず、相違点1に関し、引用文献2には、引用発明と同様にパーキング利用支援システムに係り、「パーキングメータの追加料金支払いを、駐車場の利用者の携帯電話2とセンタ装置10の間で精算処理するとともに、センタ装置10から携帯電話2に対して利用可能時間を過ぎそうであることを警告する技術。」(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されている。 してみると、引用発明と引用文献2記載技術とは、パーキング利用を支援するシステムという共通の技術分野に属するものであるから、引用発明において引用文献2記載技術を適用することの動機付けがあったといえる。 そして、上記適用にあたり、引用発明において「「今から駐車場に向かって戻り始めて下さい」といったような帰還促進通知」に加え、帰還をしない場合にはユーザに戻り時刻を延長することを忠告するように設定することは、単なる装置設計上の事項にすぎない。 したがって、引用発明において引用文献2記載技術を適用することにより、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点2に関し、引用発明に係る駐車支援システム1は、「ナビゲーションシステムで用いられるような地図データをデータベース30に蓄積し」、「ユーザの現在位置から駐車場へユーザが移動して戻る経路を探索するとともに必要な移動時間Tを算出」する機能を有するものであって、少なくとも、ユーザが現在位置から駐車場へ戻る経路に関しナビゲーションを行うものであるといえるから、引用発明における「車載装置20」は「ナビゲーション装置」であり、相違点2は実質的な相違点ではない。 また、仮に、相違点2が実質的な相違点であったとしても、引用発明に係る駐車支援システム1の車載装置20に車両自体のナビゲーション機能を加えることによって、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、相違点3に関し、引用文献1には「ユーザに帰還意思がない場合には」「新たな目標帰還時刻が再決定される」(上記2.-1(1)(オ)の段落【0037】)ことが記載されているほか、追加料金支払いの精算処理をユーザが携帯する携帯機70とセンタ装置の間で直接行うか、駐車支援システム1の車載装置20を通して行うかは、単なる設計上の事項にすぎないから、上記したように引用発明において引用文献2記載技術を適用した際に、ユーザが携帯する携帯機70からの入力に応答し、駐車支援システム1の車載装置20を通して購入された追加料金に係る駐車時間に応じて、現在時刻の後の時刻に延長した時刻を、新たな目標帰還時刻とすることにより、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 なお、審判請求人は、審判請求書において、引用文献2記載技術は既に発生した延滞料金を支払うものであって、駐車期間は現在時刻まで延長されるのみである旨を主張している。 しかし、引用文献2記載技術は、「所定の時間単位で課金するシステム」(上記2.-2(1)(サ))を前提としているから、追加料金支払いを精算処理したときには、所定の時間単位の終期まで駐車期間が延長されることになり、引用文献2記載技術も本願補正発明と同様に、駐車期間が現在時刻の後の時刻まで延長されるものであるといえるから、審判請求人の上記主張は失当である。 そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明及び引用文献2記載技術から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 上記のとおり、平成27年7月14日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成26年5月28日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲、並びに平成23年2月9日提出の明細書及び図面の翻訳文の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであり、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の[理由]1.(1)(ア)【請求項1】のとおりのものである。 2.引用発明 本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2008-257362号公報)記載の発明(引用発明)は、前記第2.の[理由]2.-1の(3)に記載したとおりである。 3.対比・判断 前記第2.の[理由]1.(2)で検討したとおり、本件補正は、該補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2.の[理由]2.-3及び2.-4に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4.むすび 上記第3.のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-02-18 |
結審通知日 | 2016-02-22 |
審決日 | 2016-03-04 |
出願番号 | 特願2011-544809(P2011-544809) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G01C)
P 1 8・ 121- Z (G01C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 貴雄 |
特許庁審判長 |
加藤 友也 |
特許庁審判官 |
中村 達之 金澤 俊郎 |
発明の名称 | ナビゲーション装置、利用者の戻り時刻を監視する方法及びプログラム |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康徳 |