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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06T
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T
管理番号 1317517
審判番号 不服2015-5185  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-18 
確定日 2016-08-16 
事件の表示 特願2012-516919「画像情報に基づいた構造の輪郭の決定」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月29日国際公開、WO2010/150156、平成24年12月10日国内公表、特表2012-531649、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)6月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年6月24日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成23年12月27日付けで手続補正がなされ、平成26年2月27日(起案日)付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成26年6月25日付けで手続補正がなされたが、平成26年11月18日(起案日)付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成27年3月18日に拒絶査定不服審判が請求され、その後当審において、平成28年4月13日(起案日)付けで最初の拒絶理由が通知され、それに応答して平成28年6月22日付けで手続補正がなされたものである。

第2.本願の特許請求の範囲に係る発明
本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成26年6月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)を、平成28年6月22日付けの手続補正で補正した特許請求の範囲の請求項1ないし14(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)に記載された事項により特定されるものであり、その補正前及び補正後の特許請求の範囲は、それぞれ以下のとおりのものである(アンダーラインは補正箇所)。

(補正前の特許請求の範囲)
「【請求項1】
構造の輪郭を決定するシステムであって、
第一の画像により少なくとも部分的に表される構造であって、第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュを初期化する初期化サブシステムと、
前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに基づいて前記適応メッシュを変形させる変形サブシステムとを備え、
前記変形サブシステムは、前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する力決定サブシステムを有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記力決定サブシステムは、前記第一の画像のタイプ及び/又は第二の画像のタイプに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記変形サブシステムは、前記第一の画像及び前記第二の画像を取得するために使用される特定の画像形成のモダリティ又はプロトコルについてトレーニングされたそれぞれのモデルを使用して、前記第一の画像及び前記第二の画像から特徴情報を抽出する特徴情報抽出サブシステムを有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記第一の画像及び前記第二の画像における特徴情報と前記適応メッシュに基づいて、前記適応メッシュと、前記第一の画像と前記第二の画像の少なくとも1つとの間の関係を定義する第一の座標変換を決定する変換決定サブシステムを更に備える、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記変換決定サブシステムは、前記第一の座標変換に基づいて、前記第一の画像の座標系と前記第二の画像の座標系との間の関係を定義する第二の座標変換を決定する、
請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記座標変換は、アフィン変換である、
請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記構造の概要を表す形状モデルを提供する概要提供サブシステムを更に備え、
前記変形サブシステムは、前記形状モデルにも基づいて前記適応メッシュを変形させる、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記第一の画像及び第二の画像は、X線、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴、超音波、陽電子放出型断層撮影、単電子放出型コンピュータ断層撮影、及び磁気粒子画像形成からなるグループから少なくとも1つの画像形成のモダリティを使用して取得される、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記第一の画像と前記第二の画像は、2つの異なる画像形成のモダリティを使用して取得される、
請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記第一の画像は、特定の物体が画像形成される被写体において見える間に取得されており、前記第二の画像は、前記特定の物体が前記画像形成される被写体において見えない間に取得されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムを備える医用画像形成用のワークステーション。
【請求項12】
請求項1記載の、前記第一の画像を取得するスキャナと、前記システムとを備える医用画像形成取得装置。
【請求項13】
構造の輪郭を決定する方法であって、
第一の画像により少なくとも部分的に表される構造であって、第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュを初期化するステップと、
前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに基づいて前記適応メッシュを変形させるステップとを含み、
前記変形させるステップは、前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
プロセッサシステムに、請求項13記載の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム。」

(補正後の特許請求の範囲)
「【請求項1】
構造の輪郭を決定するシステムであって、
第一の画像により少なくとも部分的に表される構造と第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュを初期化する初期化サブシステムであって、前記第一の画像及び前記第二の画像は異なる医用画像形成モダリティを使用して取得される、初期化サブシステムと、
前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに基づいて前記適応メッシュを変形させる変形サブシステムとを備え、
前記変形サブシステムは、前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する力決定サブシステムを有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記力決定サブシステムは、前記第一の画像のタイプ及び/又は第二の画像のタイプに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記変形サブシステムは、前記第一の画像及び前記第二の画像を取得するために使用される特定の画像形成のモダリティ又はプロトコルについてトレーニングされたそれぞれのモデルを使用して、前記第一の画像及び前記第二の画像から特徴情報を抽出する特徴情報抽出サブシステムを有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記第一の画像及び前記第二の画像における特徴情報と前記適応メッシュに基づいて、前記適応メッシュと、前記第一の画像と前記第二の画像の少なくとも1つとの間の関係を定義する第一の座標変換を決定する変換決定サブシステムを更に備える、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記変換決定サブシステムは、前記第一の座標変換に基づいて、前記第一の画像の座標系と前記第二の画像の座標系との間の関係を定義する第二の座標変換を決定する、
請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記座標変換は、アフィン変換である、
請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記構造の概要を表す形状モデルを提供する概要提供サブシステムを更に備え、
前記変形サブシステムは、前記形状モデルにも基づいて前記適応メッシュを変形させる、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記第一の画像及び第二の画像は、X線、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴、超音波、陽電子放出型断層撮影、単電子放出型コンピュータ断層撮影、及び磁気粒子画像形成からなるグループから少なくとも1つの画像形成のモダリティを使用して取得される、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記第一の画像と前記第二の画像は、2つの異なる画像形成のモダリティを使用して取得される、
請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記第一の画像は、特定の物体が画像形成される被写体において見える間に取得されており、前記第二の画像は、前記特定の物体が前記画像形成される被写体において見えない間に取得されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムを備える医用画像形成用のワークステーション。
【請求項12】
請求項1記載の、前記第一の画像を取得するスキャナと、前記システムとを備える医用画像形成取得装置。
【請求項13】
構造の輪郭を決定する方法であって、
第一の画像により少なくとも部分的に表される構造と第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュを初期化するステップであって、前記第一の画像及び前記第二の画像は異なる医用画像形成モダリティを使用して取得される、初期化するステップと、
前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに基づいて前記適応メッシュを変形させるステップとを含み、
前記変形させるステップは、前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
プロセッサシステムに、請求項13記載の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム。」

第3.原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
本願の請求項1ないし14(補正前の特許請求の範囲)に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献)
引用文献1:特開平6-223159号公報
引用文献2:特表2004-536374号公報

引用文献1(特に、【0002】?【0189】,【図2】参照)には、第一の画像の特徴情報(ボリューム1)と第二の画像の特徴情報(ボリューム2)とに依存して適応メッシュ(多角形パッチ)の少なくとも1部に作用する力を決定することが記載されている。
また、段落【0040】,【図2】には、近似的な輪郭を表す適応メッシュを初期化する構成(多角形パッチ処理)が共通の処理ブロック(多角形パッチ処理34,36)として記載されている。
よって、本願の請求項1ないし6,8ないし14に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

本願の請求項7に係る発明は、形状モデルに基づいて適応メッシュを変形させることは周知である(引用文献2【請求項1】,【0002】,【0006】参照)から、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2.原査定の理由の判断
(1)請求項1に係る発明について
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、上記第2の(補正後の特許請求の範囲)の請求項1に記載した事項により特定される次のとおりのものである。なお、本願発明1の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。

(本願発明1)
(A)構造の輪郭を決定するシステムであって、
(B)第一の画像により少なくとも部分的に表される構造と第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュを初期化する初期化サブシステムであって、前記第一の画像及び前記第二の画像は異なる医用画像形成モダリティを使用して取得される、初期化サブシステムと、
(C)前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに基づいて前記適応メッシュを変形させる変形サブシステムとを備え、
(D)前記変形サブシステムは、前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する力決定サブシステムを有する、
(E)ことを特徴とするシステム。

(2)引用文献の記載事項
a.原査定の拒絶の理由に引用された引用文献である特開平6-223159号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「3次元画像化方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも一の画像は画像化装置により人体を走査して得られる人体の2以上の画像、或いはその領域のマッチング、位置合わせ、統合、又は相関を行う方法に関する。本発明は、その特定の面において、画像化された人体の領域が、弾性的な変形と説明される局所的な幾何形状的変形を示す2以上の立体的な画像のマッチングに関する。
【0002】
【従来の技術】種々の画像化様式から得られ、又は種々の時点に同じ様式から得られる立体的画像の統合利用、或いは標準画像への画像のマッチングは、多様な工業用及び医療用の応用を有する。医療画像分野において、3次元画像の検討は、X線コンピュータトモグラフィ(CT)、磁気共鳴画像(MRI)、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)、シングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)、及び超音波様式により得られる。更に、多数の横断面の各々に対する2次元画像データとして立体的な画像データの組を収集することが共通の実施法である。しかし、収集された立体的な画像は、輝度の値、又は規則的な3次元グリッド内の格子点に中心を置く体積要素を有する。
【0003】上記の様式は、相補的な情報を屡々提供するが、一般的には位置、方向、及びスケールの差と同時に空間とコントラスト解像度の差により特徴付けられる。その上、標準的な画像は、例えば、コンピュータ化された解剖学図表による比較の目的に利用し得る。2以上のかかる画像の統合的利用は、機能的/解剖学的な相関、放射線治療計画、手術計画及び回顧的検討に応用し得る。かかる応用はすべて、画像が互いに位置合わせされることを必要とする。

【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、少なくとも一方は一つの画像化様式から得られる相互に変形された第1及び第2の立体的な画像の位置合わせを、夫々の立体的な画像から対応する表面を抽出し、一方の抽出された表面を他方へ歪曲させ、次に、歪曲された表面上の点の局所的な変位の関数として決められる局所的な変形を利用して第2の立体的な画像全体を弾性的に変形することによってなし得る方法の提供を目的とする。局所的な変形は3次元で決められることを更なる目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】簡単に言えば、本発明の上記及び他の目的は、表面上にある間を隔てられた表面サンプル点を特定して、表面を張る隣接する3角形パッチの頂点を形成するよう線セグメントによりこれらの点を接続し、2つの表面を粗く位置合わせして重ね合わせることによって、第1及び第2の画像夫々から対応する目標及び開始表面を抽出することにより満たされる。したがって、表面のマッチングは、各表面の各頂点に対して、頂点と他方の表面の最近傍パッチとの間の変位ベクトルを決めることによって行われ、2つの表面の頂点に対する変位ベクトルの組を作成する。力の場が変位ベクトルの組から計算され、目標表面は、目標表面の頂点に適用し得る3次元変位ベクトルの組を決めるように、開始表面との位置合わせ方向に反復的に歪曲される。次に、この変位ベクトルの組は、目標表面の変形に対応する残りの3次元ベクトルの組を形成するように大局的なあらゆる変位成分を除去して調節される。したがって、第1の立体的な画像の各格子点における3次元変形ベクトルは、その立体の弾性的な剛性の度合いに対応する減衰定数を有する空間的に減衰する重み付き関数を利用して残りのベクトルの組から決められる。各3次元変形ベクトルと大局的な変位ベクトルの和の反対向きのベクトルは、第2の立体的な画像の格子点に適用される場合、輝度が格子点に移動させられる体積要素中心のボリューム2内での元の位置を示す。かかる体積要素は一般的には格子点に中心を置かれないので、その輝度は隣接する格子点における輝度に関する補間により分かる。このように、補間された体積要素は第2の立体的な画像の格子点に動かされ、弾性的な変換を構成する。

【0012】
【実施例】図1を参照すると、例えば、必要とされる患者の体内領域のような同一物体を順次に走査し、そこから夫々の立体画像ボリューム1及ぶボリューム2を作成する磁気共鳴(MR)画像化器12と、X線コンピュータトモグラフィ(CT)画像化器14から成る多様式画像化装置10が一般的に示される。各立体画像は、3次元モード(例えば、螺旋状の走査を作るようCT画像化器の患者台を平行移動することにより)、又は一般的に平行な複数の横断面から成る多数の2次元画像として得られる。この画像化様式の組合せは例示的に示されており、MRとCTは特に相補的な情報を生成し、すなわち、CTは空間解像度が良好で特に良好な骨の影像を生成し、MRは柔らかい組織に関して良好な影像とコントラストを生成し、白と黒色素の識別及び通常の組織と腫瘍の識別を可能にするが、2以上の様式から成る他の組合せも利用し得る。更に、本発明の原理は、産業用検査応用にも適用できる。上述の何れの応用においても、2つの立体画像の位置合わせは必要である。説明の便宜上、例示された様式の画像化装置10の場合において説明をすすめる。

【0014】MR画像化器12及びCT画像化器14夫々により作成される立体画像ボリューム1及びボリューム2は、画像位置合わせプロセッサ16に伝達される。そこで、縮尺、輝度解像度及び空間解像度の差異に対する通常の補正に加えて、例えば、例示される如く、ボリューム2は、補正された立体画像、すなわち、補正化ボリューム2へ弾性的に歪曲される。第1の立体画像ボリューム1と、第1の立体画像に位置合わせされたと想定される補正された第2の立体画像補正化ボリューム2の両方は、画像統合表示プロセッサ18に伝達される。プロセッサ18は、ディスプレイ20に伝達される2次元画像上に写された1以上の選択図を作成する。後者は、CRT面のようなディスプレイ画面22を含む。複数の選択図が横並びの関係で現れる。選択図は、一の立体画像を通り、斜め及び/又は非平面的な選択横断面に沿った体積画素より成り得る。異なる様式による同一の選択横断面の更なる図は、同じ視線に関して横並びの関係でディスプレイ画面22に写される。更に、統合画像が、2つの立体画像からの画像データを統合する横断面(又は投影)から作られ得る。これは、例えば、1以上のユーザ定義輪郭内の領域がMRデータであり、外側の領域はCTデータであるセグメンテーションにより達成される。或いは、すべての表示画素が各様式により提供される横断面画素の輝度の関数として発生される。例えば、これらのデータは、臨床上の大きな用途を提供し得る表示画素の輝度及び色属性に統合され得る。
【0015】図2のフローチャートに示すようにプロセッサ16により実行される位置合わせ処理の説明を目的として、ボリューム1及び2は、一般的に間を隔てられた平行な多数の2次元横断面と見做される。3次元データも同様に隣接する1体積要素厚さの多数の横断面と見做される。2つの立体的なデータの集まり、すなわちボリューム1及び2は、立体により構成される横断面から対応する閉じた輪郭を抽出する夫々の輪郭抽出処理ブロック30及び32に供給される。(以下省略)

【0036】この解は、降下ステップサイズτを利用してエネルギー汎関数のローカルミニマムに収束する。各反復はオーダーO(B)の演算であるため、数値的にかなり効率が良い。図3に示すように、ボリューム1及び2の各々に対して輪郭抽出は多数の輪郭Ωとなる。この輪郭は、抽出された表面上に各立体毎に集積的にサンプル点を構成する間を隔てられた点Pによりサンプリングされる。したがって、夫々のボリューム1及び2から抽出された表面:
【0037】
【数10】(数式省略)
【0038】及び、
【0039】
【数11】(数式省略)
【0040】上のサンプル点Pの集合は、夫々の3次元座標xi 、yi 、zi 及びxj 、yj、zj の組を有する。ボリューム1及び2に対して、図2の処理ブロック34及び36夫々が適用され、図5に示す方法により線でこれらの点を相互接続し、夫々の抽出された表面:
【0041】
【数12】(数式省略)
【0042】及び、
【0043】
【数13】(数式省略)
【0044】を望ましくは3角形の、多角形パッチ表面Δc 及びΔd 夫々を用いて張る。ここに、各パッチ表面Δは一の輪郭Ω上の順次の2点Pの頂点と順次の輪郭上の1点Pとを有する。(以下省略)

【0053】と表わされる。表面マッチングは、上述の如く、Burrにより提案された2次元アルゴリズムの拡張である3次元弾性方法を利用して図2の処理ブロック38において実行される。開始表面と目標表面とが与えられると、このアルゴリズムは、一方の表面を他方の表面へ変形する力の場を決める。目標表面は、目標表面と開始表面との間の局所パターンマッチより得られる力によって開始表面との位置合わせに向けて歪曲されると都合良い。このアルゴリズムは、反復ガウシアン平滑化変形モデルを利用する。このアルゴリズムのステップは次の通りである:
(a)2つの表面を粗く位置合わせして重ね合わせる。各表面の各頂点に対して、表面パッチ間の類似度を利用する距離測度に基づいて他方の表面から最近傍の3角形表面パッチを見つける。
【0054】(b)夫々の2つの表面の頂点から他方の表面の最近傍3角形パッチへの2組の変位ベクトルを決める。
(c)2つの表面の2組の変位ベクトルから力の場を計算する。
(d)一方の表面を他方に反復的に変形する。
(e)目標変位ベクトルと1組の表面歪みベクトルを決める。

b.同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献である特表2004-536374号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「画像セグメンテーション」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0001】
画像セグメンテーションは、一般的に、データセットの選択部の選択、及び/又は、分離に関連する。このようなデータセットは、特に、撮像された対象の画像情報を表し、選択部は、画像の特定の部分に関連する。データセットは、一般的に、データ値を、多次元の幾何学空間における位置に割当てる多次元データセットである。特に、このようなデータセットは、2次元又は3次元画像であり、データ値は、2次元平面又は3次元容積におけ
る位置に割当てられる、例えば、輝度値、グレイ値、又は、色値といった画素値である。
【0002】
本発明は、多次元データセットから選択領域を切り出すセグメンテーション方法に係る。本発明の方法は、
-選択領域の全体的な外形を表す形状モデルを設定する段階と、
-選択領域の近似輪郭を表す適応メッシュを設定する段階とを含み、適応メッシュは、形状モデルに基づいて初期化される。
【0003】
3次元データセットから選択領域を切り出す上述のようなセグメンテーション方法は、A.J.ブルピット(Bulpitt)及びN.E.エッフォード(Efford)による「An efficient 3D deformable model with a self-optimising mesh」(イメージ・アンド・ビジョンコンピューティング14(1996)、p.573-580)なる名称の記事から公知である。
【0004】
この公知の方法は、3次元画像の形式である多次元データセットに作用する。この公知の方法は、三角メッシュを用いて、選択領域の表面を表す。いわゆる距離変換を使用して、この適応メッシュを初期化し、このメッシュが、その最終ソリューションに近いとき、画像のグレイレベル勾配を使用して、メッシュの変形を行う。
【0005】
本発明は、データセットから選択領域を切り出すセグメンテーション方法を提供することを目的とする。本発明の方法は、従来の方法より計算速度が速く、ロバストであり、且つ、正確である。
【0006】
この目的は、データセットから選択領域を切り出すセグメンテーション方法によって達成されるが、本発明では、適応メッシュは、形状モデルと、選択領域の特徴情報に依存して変形する。

【0041】
選択領域の境界の正確な近似まで収束する適応メッシュの変形は、短い時間しかかからない。つまり、最大約30秒しかかからない。このことは、本発明のセグメンテーション方法を、大きいデータセットが関連する場合にもかなり実用的にする。特に、このような大きなデータセットは、高い空間分解能を有する3次元データセットを使用する医療診断適用において用いられる。良好な結果は、特に、人間の背骨の3次元画像からの脊椎の切り出しにおいて得られる。なんらかの対処が施されない限り、この適用は、近傍の脊椎の一部によって形成される擬似誘引子に影響を受け易いからである。

(3)引用発明
上記引用文献1に記載された発明を以下に認定する。

a.画像化装置
引用文献1の段落【0001】,【0012】,【0014】の記載によれば、引用文献1には、磁気共鳴(MR)画像化器及びX線コンピュータトモグラフィ(CT)画像化器から、人体を走査して得られる立体画像ボリューム1及び立体画像ボリューム2を取得し、画像位置合わせプロセッサにより、2つの立体画像ボリュームを位置合わせして、立体画像ボリューム1へ弾性的に歪曲させて補正された立体画像補正化ボリューム2を生成し、画像統合表示プロセッサにより、立体画像ボリューム1と立体画像補正化ボリューム2からの画像データを統合した統合画像(例えば、内側の領域がMRデータで外側の領域がCTデータ)を生成して表示する画像化装置が記載されている。

b.画像位置合わせプロセッサ
引用文献1の段落【0009】,【0015】,【0036】?【0044】の記載によれば、引用文献1の画像化装置の画像位置合わせプロセッサは、まず、立体画像ボリューム1及び2に対して、夫々の輪郭抽出処理ブロック30及び32により、多数の輪郭を抽出して表面を特定する。そして、夫々の多角形パッチ処理ブロック34及び36により、表面上のサンプル点を相互接続して3角形パッチ表面を生成する。
次に、引用文献1の段落【0008】,【0009】,【0014】,【0053】,【0054】の記載によれば、上記画像位置合わせプロセッサは、各表面の表面パッチ間の類似度を利用して一方の表面の三角形パッチに対応する他方の表面の最近傍の三角形パッチを求め、一方の表面を他方の表面へ変形する力の場を求め、一方の表面を他方の表面へ反復的に変形させて表面のマッチングを行う。
ここで、一方を立体画像ボリューム2とし他方を立体画像ボリューム1とすれば、表面が変形された一方は、立体画像補正化ボリューム2である。

c.まとめ
以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。

(引用発明)
(a)磁気共鳴(MR)画像化器及びX線コンピュータトモグラフィ(CT)画像化器から、人体を走査して得られる立体画像ボリューム1及び立体画像ボリューム2を取得し、
(b)画像位置合わせプロセッサにより、2つの立体画像ボリュームを位置合わせして、立体画像ボリューム1へ弾性的に歪曲させて補正された立体画像補正化ボリューム2を生成し、
(c)画像統合表示プロセッサにより、立体画像ボリューム1と立体画像補正化ボリューム2からの画像データを統合した統合画像(例えば、内側の領域がMRデータで外側の領域がCTデータ)を生成して表示する
(d)画像化装置であって、
(b-1)画像位置合わせプロセッサは、立体画像ボリューム1及び2に対して、夫々の輪郭抽出処理ブロック30及び32により、多数の輪郭を抽出して表面を特定し、夫々の多角形パッチ処理ブロック34及び36により、表面上のサンプル点を相互接続して3角形パッチ表面を生成し、
(b-2)各表面の表面パッチ間の類似度を利用して、立体画像ボリューム2の表面の三角形パッチに対応する立体画像ボリューム1の表面の最近傍の三角形パッチを求め、立体画像ボリューム2の表面を立体画像ボリューム1の表面へ変形する力の場を求め、立体画像ボリューム2の表面を立体画像ボリューム1の表面へ反復的に変形して表面のマッチングを行い、立体画像補正化ボリューム2を生成する
(d)画像化装置。

(4)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

a.本願発明1の構成(A)、(E)について
引用発明の構成(d)の「画像化装置」は、構成(a)ないし(c)のように、人体を走査して得られる2つの立体画像ボリュームを領域の内外で統合した統合画像を生成する。ここで、領域は人体の特定の構造を表すものであり、領域の内外を特定する境界は、構成(b-1)、(b-2)のように2つの立体画像ボリュームのマッチングされた領域の輪郭からなる表面である。
すなわち、引用発明の「画像化装置」は、2つの立体画像ボリュームから、人体の特定の構造の輪郭を決定するものであり、本願発明1の構成(A)、(E)の「構造の輪郭を決定するシステム」と一致するものである。

b.本願発明1の構成(B)について
引用発明は、構成(b-1)のように立体画像ボリューム1及び2に対して、夫々の3角形パッチ表面を生成するものであり、この3角形パッチ表面は、人体の特定の領域の表面であってメッシュで表現されるものであるから、本願発明1の「第一の画像により少なくとも部分的に表される構造と第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す」ものであり、その表面に適応させた「適応メッシュ」といえる。
また、構成(a)にあるように、立体画像ボリューム1及び2は、磁気共鳴(MR)画像化器及びX線コンピュータトモグラフィ(CT)画像化器から取得される画像であり、本願発明1の「異なる医用画像形成モダリティを使用して取得される」ものである。
以上のことから、引用発明は、本願発明1の構成(B)と「第一の画像により少なくとも部分的に表される構造と第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す適応メッシュを生成するサブシステムであって、前記第一の画像及び前記第二の画像は異なる医用画像形成モダリティを使用して取得される、サブシステム」というものである点で一致するといえる。
ただし、「適応メッシュ」に関して、本願発明1は、第一の画像の構造と第二の画像の構造の近似的な輪郭に対応する、それらの輪郭とは別の1つの「共通の」適応メッシュであるのに対し、引用発明は、立体画像ボリューム1及び2の人体の特定の領域の夫々の表面に対応する、2つの三角形パッチ表面である点、及び、『適応メッシュを生成するサブシステム』に関して、本願発明1は、適応メッシュを「初期化」する「初期化サブシステム」であるのに対し、引用発明は、3角形パッチ表面を生成するものである点で、両者は相違する。

c.本願発明1の構成(C)について
引用発明は、構成(b-2)のように、「各表面の表面パッチ間の類似度を利用して、立体画像ボリューム2の表面の三角形パッチに対応する立体画像ボリューム1の表面の最近傍の三角形パッチを求め」て、「立体画像ボリューム2の表面を立体画像ボリューム1の表面へ反復的に変形して表面のマッチングを行い、立体画像補正化ボリューム2を生成」しており、立体画像ボリューム1及び2の表面の特徴の類似する三角形パッチを用いて、立体画像ボリューム2の三角形パッチ表面を反復的に変形させるものである。
したがって、引用発明の構成(b-2)は、本願発明1の構成(C)の「前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに基づいて前記適応メッシュを変形させる変形サブシステム」である点で一致する。
ただし、「前記適用メッシュ」が、本願発明1は、第一の画像の構造と第二の画像の構造に対して、近似的な輪郭を表す「共通の」適応メッシュであるのに対し、引用発明は、立体画像ボリューム1及び2の夫々に対応する三角形パッチ表面のうちの立体画像ボリューム2に対応する三角形パッチ表面である点において、両者は相違する。

d.本願発明1の構成(D)について
引用発明は、構成(b-2)のように、「各表面の表面パッチ間の類似度を利用して、立体画像ボリューム2の表面の三角形パッチに対応する立体画像ボリューム1の表面の最近傍の三角形パッチを求め」て、「立体画像ボリューム2の表面を立体画像ボリューム1の表面へ変形する力の場を求め」るものであり、立体画像ボリューム1及び2の表面の特徴の類似する三角形パッチを用いて、立体画像ボリューム2の三角形パッチ表面に作用する力を求めているものである。
したがって、引用発明の構成(b-2)は、本願発明1の構成(D)の「前記変形サブシステムは、前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する力決定サブシステムを有する」ものである点で一致する。
ただし、「前記適用メッシュ」が、上記cにおいて検討したのと同様に、本願発明1は、第一の画像の構造と第二の画像の構造に対して、近似的な輪郭を表す「共通の」適応メッシュであるのに対し、引用発明は、立体画像ボリューム1及び2の夫々に対応する三角形パッチ表面のうちの立体画像ボリューム2に対応する三角形パッチ表面である点において、両者は相違する。

e.まとめ
上記aないしdの対比結果をまとめると、本願発明1と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
構造の輪郭を決定するシステムであって、
第一の画像により少なくとも部分的に表される構造と第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す適応メッシュを生成するサブシステムであって、前記第一の画像及び前記第二の画像は異なる医用画像形成モダリティを使用して取得される、サブシステムと、
前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに基づいて前記適応メッシュを変形させる変形サブシステムとを備え、
前記変形サブシステムは、前記第一の画像の特徴情報と前記第二の画像の特徴情報とに依存して前記適応メッシュの少なくとも1部に作用する力を決定する力決定サブシステムを有する、
ことを特徴とするシステム。

[相違点1]
「適応メッシュ」に関して、本願発明1は、第一の画像の構造と第二の画像の構造の近似的な輪郭に対応する、それらの輪郭とは別の1つの「共通の」適応メッシュであるのに対し、引用発明は、立体画像ボリューム1及び2の人体の特定の領域の夫々の表面に対応する、2つの三角形パッチ表面である点。

[相違点2]
『適応メッシュを生成するサブシステム』に関して、本願発明1は、適応メッシュを「初期化」する「初期化サブシステム」であるのに対し、引用発明は、3角形パッチ表面を生成するものである点。

[相違点3]
変形サブシステムが変形させる「前記適用メッシュ」、及び、力決定サブシステムが作用する力を決定する対象である「前記適用メッシュ」が、本願発明1は、第一の画像の構造と第二の画像の構造に対して、近似的な輪郭を表す「共通の」適応メッシュであるのに対し、引用発明は、立体画像ボリューム1及び2の夫々に対応する三角形パッチ表面のうちの立体画像ボリューム2に対応する三角形パッチ表面である点。

(5)判断
a.相違点1について
引用文献1には、引用発明として認定した部分以外の記載をみても、立体画像ボリューム1及び2の人体の特定の領域の夫々の表面に対応する2つの三角形パッチ表面を生成する以外に、2つの三角形パッチ表面とは別の1つの共通の適応メッシュを設定する技術思想は開示されておらず、相違点1は、引用文献1の記載から当業者が容易に想到し得るものではない。

また、原査定において、請求項7に係る発明に対して提示した引用文献2には、上記(2)bに示すように、医療診断適用の3次元データセットから選択領域を切り出すセグメンテーションにおいて、選択領域の全体的な外形を表す形状モデルを設定し、その後、選択領域の近似輪郭を表す適応メッシュを設定して、適応メッシュを形状モデルに基づいて初期化した後に変形させ、選択領域の境界に近似させる技術が記載されている。

ここで、引用文献1の段落【0001】?【0002】の記載によれば、引用文献1には、引用発明のような、人体を走査して得られる立体画像ボリューム1及び立体画像ボリューム2の位置合わせを行う技術の他に、人体を走査して得られる人体の画像と、コンピュータ化された解剖学図表による比較の目的に利用し得る標準画像との位置合わせを行う技術について示唆されている。

これらの事項を踏まえると、引用発明に引用文献2記載の技術を適用したとしても、引用発明の人体を走査して得られる立体画像ボリューム1及び立体画像ボリューム2の位置合わせを行うことに代えて、医療診断適用の3次元データセット(立体画像ボリューム)と、選択領域の全体的な外形を表す形状モデルで初期化された適応メッシュとの位置合わせを行うことに到達するのみであり、立体画像ボリューム1及び2の人体の特定の領域の夫々の表面に対応する2つの三角形パッチ表面とは別の1つの共通の適応メッシュを設定する構成に想到し得るものではない。

b.相違点2について
上記aにおいて検討したように、引用文献2に適応メッシュを初期化する技術が開示されており、引用発明において、適応メッシュを最初に初期化して用いることとし、相違点2に係る「初期化サブシステム」の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。

c.相違点3について
上記aにおいて検討したように、「共通の適用メッシュ」は当業者が容易に想到し得る構成ではないから、相違点3に係る構成も、相違点1と同様、当業者が容易に想到し得るものではない。

(6)小括
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願の請求項2ないし12に係る発明は請求項1を引用する発明であり、請求項13に係る発明は、請求項1のシステムの発明と同様の構成を有する方法の発明である。また、請求項14に係る発明は請求項13を引用する発明である。
したがって、本願の請求項2ないし14に係る発明は、本願発明1と同様に、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第4.当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要
(1)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記(a)の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記(b)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



(a)請求項1及び13の「第一の画像により少なくとも部分的に表される構造であって、第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュ」という記載は、「共通のメッシュ」の定義が二通りの意味に捉えられるため、発明の構成が明確でない。
(b)請求項1及び13の「第一の画像により少なくとも部分的に表される構造であって、第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュ」という記載は、「第一の画像」と「第二の画像」が、それぞれどのような画像であるのかを特定されていないため、発明の詳細な説明に記載された事項以外の技術事項を含むものである。

2.当審拒絶理由の判断
(1)平成28年6月22日付けの手続補正書によって、請求項1及び13は「第一の画像により少なくとも部分的に表される構造と第二の画像により少なくとも部分的に表される構造の近似的な輪郭を表す共通の適応メッシュ」と補正され、請求項1及び13は明確となった。
よって、当審拒絶理由(a)は解消した。

(2)平成28年6月22日付けの手続補正書によって、請求項1及び13に「前記第一の画像及び前記第二の画像は異なる医用画像形成モダリティを使用して取得される」という技術事項を追加する補正がなされ、請求項1及び13は発明の詳細な説明に記載された技術事項となった。
よって、当審拒絶理由(b)は解消した。

第5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1ないし14に係る発明は、原査定の拒絶理由によっては拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-08-02 
出願番号 特願2012-516919(P2012-516919)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06T)
P 1 8・ 537- WY (G06T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 実  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 戸次 一夫
清水 正一
発明の名称 画像情報に基づいた構造の輪郭の決定  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  

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