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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C08J
管理番号 1317775
審判番号 不服2014-24880  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-05 
確定日 2016-08-04 
事件の表示 特願2012-164242「積層ポリエステルフィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 6日出願公開、特開2014- 24896〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月25日の出願であって、平成26年4月28日付けで拒絶理由が通知され、同年5月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月19日付けで拒絶査定がされ、同年12月5日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年12月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年12月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成26年12月5日付けの手続補正の内容
平成26年12月5日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成26年5月9日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載へ補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、および2-エチルヘプタノイル酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種を活性メチレンブロック剤として反応させて合成された活性メチレンブロックイソシアネート化合物および金属酸化物を含有する塗布液から形成された塗布層を有ることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、および2-エチルヘプタノイル酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種を活性メチレンブロック剤として反応させて合成された活性メチレンブロックイソシアネート化合物を、塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として8?40重量%の範囲、および金属酸化物を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。」
(なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。)

2 本件補正の適否
2-1 本件補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項である「活性メチレンブロックイソシアネート化合物および金属酸化物を含有する塗布液」をさらに限定するものであり、しかも、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2-2 独立特許要件の検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、さらに検討する。

(1)引用文献の記載等
ア 引用文献1の記載等
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2011-245809号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「積層ポリエステルフィルム」に関して、おおむね次の記載(以下、順に「記載1a」ないし「記載1g」という。)がある。

1a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフタレン骨格を含有するポリエステル樹脂、金属酸化物、および2種類以上の架橋剤を含有する塗布層をポリエステルフィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
金属酸化物が酸化ジルコニウムである請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【請求項2】)

1b 「【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、外光反射による干渉ムラが軽減され、ハードコート等の各種の表面機能層との密着性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、ナフタレン骨格を含有するポリエステル樹脂、金属酸化物、および2種類以上の架橋剤を含有する塗布層をポリエステルフィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層ポリエステルフィルムによれば、ハードコート等の種々の表面機能層を積層した際に外光反射による干渉ムラが少なく、種々の表面機能層との密着性に優れたフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。」(段落【0007】ないし【0010】)

1c 「【0029】
本発明においては、塗布層に2種類以上の架橋剤を使用するものであるが、これは、塗布層上に表面機能層形成後の密着性、耐湿熱性を向上させるためである。1種類でも架橋剤を含有させることにより、その種類によっては、密着性、耐湿熱性が向上することが分かったが、さらなる特性の向上を狙い、各種の検討を行った。その結果、2種類以上の架橋剤を組み合わせることによって、1種類の架橋剤では達成できない密着性、耐湿熱性を出すことができることを見出した。
【0030】
塗布層中に含有する架橋剤とは、種々公知の架橋剤を使用することができるが、例えば、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物等やそれらの反応物が挙げられる。
【0031】
イソシアネート化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体由来の化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示され、その中でも特に密着性の観点からトリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
【0032】
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノールなどのフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノールなどのアルコール系化合物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。」(段落【0029】ないし【0032】)

1d 「【0058】
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層に用いられる架橋剤の割合は、通常1?50重量%の範囲、より好ましくは5?40重量%、さらに好ましくは8?30重量%の範囲である。1重量%未満の場合、塗布層がもろく耐湿熱性が低下する可能性があり、50重量%を超える場合、塗布層が硬くなりすぎ、密着性が低下する場合がある。」(段落【0058】)

1e 「【0062】
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1?50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。」(段落【0062】)

1f 「【0082】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
【0083】
<ポリエステル(B)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加後、平均粒径1.6μmのエチレングリコールに分散させたシリカ粒子を0.2重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.65であった。
【0084】
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・ナフタレン骨格を含有するポリエステル樹脂:(IA)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6-ナフタレンジカルボン酸/5-ナトリウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(mol%)
・ナフタレン骨格を含有するポリエステル樹脂:(IB)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6-ナフタレンジカルボン酸/テレフタル酸/5-ナトリウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=78/15/7//90/10(mol%)
【0085】
・金属酸化物:(IIA)平均粒径70nmの酸化ジルコニウム粒子
・金属酸化物:(IIB)平均粒径15nmの酸化ジルコニウム粒子
・金属酸化物:(IIC)平均粒径15nmの酸化チタン粒子
【0086】
・イソシアネート化合物:(IIIA)
メチルエチルケトン溶媒中で、アジピン酸/イソフタル酸//1,6-ヘキサンジオール=50/50//100(mol%)のポリエステルポリオール(平均分子量1700)100重量部、1,4-ブタンジオール9重量部、トリメチロールプロパン8重量部に、トリレンジイソシアネート80重量部を添加して、反応を行った後、ジメチロールプロピオン酸12重量部、ポリエチレングリコール(平均分子量600)16重量部、アミン触媒を添加し、75℃で反応を行った。次に55℃にてメチルエチルケトンオキシム16重量部を添加し、ブロック化イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとした。さらに、トリエチルアミン7.2重量部、水450重量部を混合し、トリエチレンテトラミン2.9重量部を添加し、反応させ、メチルエチルケトン溶媒を除去し得られたブロック化イソシアネート化合物。
・イソシアネート化合物:(IIIB)
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸とのポリエステル(分子量2000)200重量部に、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6重量部を添加し、100℃で2時間反応を行った。次いで系の温度を一旦50℃まで下げ、30%重亜硫酸ナトリウム水溶液73重量部を添加し、45℃で60分間攪拌を行った後、水718重量部で希釈したブロック化イソシアネート系化合物。
・オキサゾリン化合物:(IIIC)
オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー エポクロスWS-500(日本触媒製)
・ヘキサメトキシメチルメラミン(IIID)
・エポキシ化合物:(IIIE)ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX-521(ナガセケムテックス製)。
【0087】
・ポリエステル樹脂:(IV)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ナトリウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
【0088】
・粒子:(VA)平均粒径0.45μmのシリカ粒子
・粒子:(VB)平均粒径0.30μmのシリカ粒子
・粒子:(VC)平均粒径0.16μmのシリカ粒子
【0089】
実施例1:
ポリエステル(A)を押出機に各々供給し、285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.09μmの塗布層を有する厚さ125μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの絶対反射率を測定したところ、極小値は580nmで、その反射率は4.8%であった。ハードコート層を積層後のフィルムには明瞭な干渉ムラはなく、また密着性も良好であった。このフィルムの特性を下記表3に示す。
【0090】
実施例2?26:
実施例1において、塗布剤組成を下記表1または表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表3に示すとおり、高い反射率を有し、干渉ムラレベルも良好で、密着性も良好なものであった。
【0091】
実施例27:
ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:18:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.09μmの塗布層を有する厚さ125μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの絶対反射率を測定したところ、極小値は580nmで、その反射率は4.8%であった。ハードコート層を積層後のフィルムには明瞭な干渉ムラはなく、また密着性も良好であった。このフィルムの特性を表3に示す。
【0092】
実施例28:
実施例27において、塗布剤組成を表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例27と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表3に示すとおり、高い反射率を有し、干渉ムラレベルも良好で、密着性も良好なものであった。
【0093】
比較例1?8:
実施例1において、塗布剤組成を表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すとおり、明瞭な干渉ムラが観察できる場合、密着性が劣る場合が見られた。」(段落【0082】ないし【0093】)

1g 「【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

」(段落【0094】ないし【0096】)

(イ)引用文献1の記載事項
記載1aないし1gから、引用文献1には、次の事項(以下、順に「記載事項2a」ないし「記載事項2d」という。)が記載されていると認める。

2a 記載1aの「ナフタレン骨格を含有するポリエステル樹脂、金属酸化物、および2種類以上の架橋剤を含有する塗布層をポリエステルフィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)及び記載1bの「すなわち、本発明の要旨は、ナフタレン骨格を含有するポリエステル樹脂、金属酸化物、および2種類以上の架橋剤を含有する塗布層をポリエステルフィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。」(段落【0008】)によると、引用文献1には、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、2種類以上の架橋剤および金属酸化物を含有する塗布層を有するポリエステルフィルムが記載されている。

2b 記載1fの「この縦延伸フィルムの両面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.09μmの塗布層を有する厚さ125μmのポリエステルフィルムを得た。」(段落【0089】)及び「実施例1において、塗布剤組成を下記表1または表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。」(段落【0090】)を記載事項2aとあわせてみると、引用文献1には、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、2種類以上の架橋剤および金属酸化物を含有する塗布液から形成された塗布層を有するポリエステルフィルムが記載されている。

2c 記載1c及び記載1fの「・イソシアネート化合物:(IIIA)
メチルエチルケトン溶媒中で、アジピン酸/イソフタル酸//1,6-ヘキサンジオール=50/50//100(mol%)のポリエステルポリオール(平均分子量1700)100重量部、1,4-ブタンジオール9重量部、トリメチロールプロパン8重量部に、トリレンジイソシアネート80重量部を添加して、反応を行った後、ジメチロールプロピオン酸12重量部、ポリエチレングリコール(平均分子量600)16重量部、アミン触媒を添加し、75℃で反応を行った。次に55℃にてメチルエチルケトンオキシム16重量部を添加し、ブロック化イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとした。さらに、トリエチルアミン7.2重量部、水450重量部を混合し、トリエチレンテトラミン2.9重量部を添加し、反応させ、メチルエチルケトン溶媒を除去し得られたブロック化イソシアネート化合物。
・イソシアネート化合物:(IIIB)
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸とのポリエステル(分子量2000)200重量部に、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6重量部を添加し、100℃で2時間反応を行った。次いで系の温度を一旦50℃まで下げ、30%重亜硫酸ナトリウム水溶液73重量部を添加し、45℃で60分間攪拌を行った後、水718重量部で希釈したブロック化イソシアネート系化合物。」(段落【0086】)を記載事項2a及び2bとあわせてみると、引用文献1には、2種類以上の架橋剤は、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物をブロック剤として反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物を含むことが記載されている。

2d 記載1d及び1gを記載事項2aないし2cとあわせてみると、引用文献1には、2種類以上の架橋剤は、塗布液中の全成分に対する割合として8?30重量%の範囲であることが記載されている。

(ウ)引用発明
記載1aないし1g及び記載事項2aないし2dを整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物をブロック剤として反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物を含む2種類以上の架橋剤を、塗布液中の全成分に対する割合として8?30重量%の範囲、および金属酸化物を含有する塗布液から形成された塗布層を有するポリエステルフィルム。」

イ 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2009-155409号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「ブロックポリイソシアネート組成物」に関して、おおむね次の記載(以下、まとめて「引用文献2の記載」という。なお、下線は当審で付したものである。他の文献についても同様。)がある。

・「【0007】
本発明は、100℃以下でも架橋塗膜を形成可能で、水存在下の貯蔵安定性が良好であるブロックポリイソシアネート組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の構造を有する活性メチレン系化合物をブロック剤とするブロックポリイソシアネート組成物は、驚くべきことに、100℃以下でも架橋塗膜を形成可能で、かつ水存在下の貯蔵安定性に優れるという知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
1.(a)脂肪族系ポリイソシアネート組成物、脂環族系ポリイソシアネート組成物、芳香族系ポリイソシアネート組成物から選ばれる1種又は2種以上のポリイソシアネート組成物、
(b)式(I)で示される活性メチレン化合物、及び
(c)活性水素を有する親水性化合物の反応により得られることを特徴とするブロックポリイソシアネート組成物。
【0009】
【化1】

(式中R_(1)は水素または炭素数1?8個のアルキル基、R_(2)は炭素数1?8個のアルキル基、フェニル基またはベンジル基、R_(3)は炭素数1?8個のアルキル基、フェニル基またはベンジル基)」(段落【0007】ないし【0009】)

・「【0023】
本発明に用いるブロック剤は、式Iに示される活性メチレン化合物である。・・・(略)・・・
【0024】
本発明に用いるブロック剤の具体例としては、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、2-エチルヘプタノイル酢酸エステル等が挙げられる。・・・(略)・・・
本発明においては、上記に示したブロック剤を単独で用いることもできるし、2種以上も使用することができる。」(段落【0023】及び【0024】)

ウ 引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2009-155408号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「ブロックポリイソシアネート組成物」に関して、おおむね次の記載(以下、まとめて「引用文献3の記載」という。)がある。

・「【0004】
本発明は、100℃以下の低い焼付け温度でも架橋塗膜を形成可能であるブロックポリイソシアネート組成物、及びそれを用いた塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究した結果、驚くべきことに、ブロック剤として式(I)に示される活性メチレン化合物のR_(1)、R_(2)に特定の置換基を有することで、低温硬化性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
1.脂肪族系ポリイソシアネート組成物、脂環族系ポリイソシアネート組成物、芳香族系ポリイソシアネート組成物から選ばれる1種又は2種以上のポリイソシアネート組成物と以下の式(I)で示される活性メチレン化合物との反応により得られるブロックポリイソシアネート組成物。
【0006】
【化1】
・・・(略)・・・
(式中R_(1)は水素または炭素数1?8個のアルキル基、R_(2)は炭素数1?8個のアルキル基、フェニル基またはベンジル基、R_(3)は炭素数1?8個のアルキル基、フェニル基またはベンジル基)」(段落【0004】ないし【0006】)

・「【0017】
本発明のブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基とブロック剤を反応させることにより得られる。
本発明に用いるブロック剤は、式Iに示される活性メチレン化合物である。
・・・(略)・・・
【0018】
本発明に用いる式Iで示されるブロック剤の具体例としては、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、2-エチルヘプタノイル酢酸エステル、等が挙げられる。その中でも、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステルが入手の面から好ましく、より好ましくは、イソブタノイル酢酸エステルである。」(段落【0017】及び【0018】)

エ 引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2009-191127号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「ブロックポリイソシアネート組成物」に関して、おおむね次の記載(以下、まとめて「引用文献4の記載」という。)がある。

・「【0006】
本発明は、90℃以下でも架橋塗膜を形成可能で、水存在下の貯蔵安定性が良好であるブロックポリイソシアネート組成物、及びそれを用いた水系塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の構造を有する2種の活性メチレン系化合物をブロック剤とするブロックポリイソシアネート組成物は、驚くべきことに、90℃以下でも架橋塗膜を形成可能で、かつ水存在下の貯蔵安定性に優れるという知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
1.(a)脂肪族系ポリイソシアネート組成物、脂環族系ポリイソシアネート組成物、芳香族系ポリイソシアネート組成物から選ばれるポリイソシアネート組成物から誘導されるブロックポリイソシアネート組成物であって、(b)式(I)で示される活性メチレン化合物、(c)式(II)で示される活性メチレン化合物及び(d)活性水素を有する親水性化合物を構成成分として有し、かつ以下の項目に該当することを特徴とするブロックポリイソシアネート組成物。
1)ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル当量に対し、(b)成分と(c)成分の合計:(d)成分のモル比率が50:50?98:2
2)(b)成分:(c)成分のモル比率が30:70?90:10
【0009】
【化1】
・・・(略)・・・
(式中R_(1)は炭素数1?4個のアルキル基)」(段落【0006】ないし【0009】)

・「【0027】
本発明に用いる式(I)に示されるブロック剤の具体例としては、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチル、イソブタノイル酢酸n-プロピル、イソブタノイル酢酸イソプロピル、イソブタノイル酢酸n-ブチル、イソブタノイル酢酸イソブチル、イソブタノイル酢酸t-ブチルが挙げられる。その中でも、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチル、イソブタノイル酢酸イソプロピルが好ましく、より好ましくは、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチルである。
本発明においては、上記に示したブロック剤を単独で用いることもできるし、2種以上を使用することもできる。」(段落【0027】)

(2)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

引用発明における「マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願補正発明における「イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、および2-エチルヘプタノイル酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種」と、「活性メチレン系化合物」という限りにおいて一致する。
また、引用発明における「ブロック剤」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願補正発明における「活性メチレンブロック剤」に相当し、以下、同様に、「反応させて得られた」ことは「反応させて合成された」ことに、「ブロック化イソシアネート化合物」は「活性メチレンブロックイソシアネート化合物」に、それぞれ、相当する。
さらにまた、引用発明における「ブロック化イソシアネート化合物を含む2種類以上の架橋剤を、塗布液中の全成分に対する割合として8?30重量%の範囲」「含有する」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願補正発明における「活性メチレンブロックイソシアネート化合物を、塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として8?40重量%の範囲」「含有する」と、「活性メチレンブロックイソシアネート化合物を、塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として所定の範囲」「含有する」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、活性メチレン系化合物を活性メチレンブロック剤として反応させて合成された活性メチレンブロックイソシアネート化合物を、塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として所定の範囲、および金属酸化物を含有する塗布液から形成された塗布層を有する積層ポリエステルフィルム。」
である点で一致し、以下の点で相違または一応相違する。

<相違点1>
「活性メチレン系化合物」に関して、本願補正発明においては、「イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、および2-エチルヘプタノイル酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種」であるのに対して、引用発明においては、「マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物」である点(以下、「相違点1」という。)。

<相違点2>
「活性メチレンブロックイソシアネート化合物を、塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として所定の範囲」「含有する」に関して、本願補正発明においては、「活性メチレンブロックイソシアネート化合物を、塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として8?40重量%の範囲」「含有する」であるのに対して、引用発明においては、「ブロック化イソシアネート化合物を含む2種類以上の架橋剤を、塗布液中の全成分に対する割合として8?30重量%の範囲」「含有する」である点(以下、「相違点2」という。)。

(3)相違点についての判断
そこで、相違点1及び2について、以下に検討する。

ア 相違点1について
ブロックイソシアネート化合物を合成するための活性メチレン系化合物からなるブロック剤として、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、および2-エチルヘプタノイル酢酸エステルを使用することは、本願の出願前に周知(必要であれば、引用文献2ないし4の記載を参照。以下、「周知技術」という。)である。
また、引用発明における「ブロック剤」に関して、記載1cの「ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば・・・(略)・・・、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物・・・が挙げられ」(段落【0032】)(下線は当審で付したものである。)という記載は、「例えば」及び「などの活性メチレン系化合物」とあるように、「マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン」を単なる例示として示すものであって、「ブロック剤」を限定する趣旨と解すべきでない。
したがって、引用発明において、周知技術を適用し、「マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物」に代えて、「イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、および2-エチルヘプタノイル酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種」を「活性メチレン系化合物」として使用して、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

また、引用文献2ないし4の記載に示されるように、周知技術は、低温硬化性及び水存在下の貯蔵安定性に優れたブロックイソシアネートを提供することを課題とするものである。
他方、低温硬化性に優れていることは、引用発明において、当然求められる普遍的な課題であり、また、記載1eによると、引用発明は、水の存在下で使用することを想定するものであるから、水存在下の貯蔵安定性に優れていることも、引用発明において、当然求められる課題である。
したがって、低温硬化性及び水存在下の貯蔵安定性に優れたブロックイソシアネートを提供するという課題の点からも、引用発明において、周知技術を適用して、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
記載1g(特に、【表1】及び【表2】のIIIA及びIIIBの欄を参照。)によると、引用文献1において、ブロック化イソシアネート化合物の塗布液中の全成分に対する具体的な割合は、15重量%、10重量%、5重量%及び20重量%である。
してみると、引用発明における「ブロック化イソシアネート化合物を含む2種類以上の架橋剤を、塗布液中の全成分に対する割合として8?30重量%の範囲」において、「ブロック化イソシアネート化合物」単独でみた場合の塗布液中の全成分に対する割合は、本願補正発明における「活性メチレンブロックイソシアネート化合物」の「塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合」である「8?40重量%の範囲」と重複するものである。
したがって、相違点2は実質的な相違点とはいえない。
仮に、相違点2が実質的な相違点であるとしても、記載1gを考慮すれば、引用発明において、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

ウ 効果について
そして、本願補正発明において、「イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、および2-エチルヘプタノイル酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種」を「活性メチレンブロック剤」として使用したことによる「低温硬化性および水存在下の貯蔵安定性に優れる」(本願明細書の段落【0036】を参照。)という本願補正発明の効果(以下、「効果1」という。)は、引用文献2ないし4の記載に示されるように、周知技術も奏する効果であるから、引用発明において、周知技術を適用した際に、効果1が奏されることは当然予測されるものであって、効果1は、引用発明及び周知技術からみて格別顕著な効果とはいえない。

また、「種々の表面機能層との密着性に優れた」(本願明細書の段落【0010】を参照。)という本願補正発明の効果(以下、「効果2」という。)は、記載1bに示されるように、引用発明も奏する効果であるし、本願補正発明の上記効果は、本願明細書の「塗布層の形成に使用する活性メチレンブロックイソシアネート化合物とは、前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基を活性メチレン化合物で保護した構造を有する化合物ことであり、塗布層上に形成され得るハードコート層等の表面機能層との密着性や、塗布層の耐湿熱性を向上させる機能を有する。」(段落【0029】)等の記載によると、一般的な「活性メチレンブロックイソシアネート化合物」を使用したことによる効果であり、特定の「活性メチレンブロックイソシアネート化合物」を選択して使用したことによる格別顕著な効果であるとはいえないから、引用発明において、周知技術を適用した際に、効果2が奏されることは当然予測されるものであって、効果2は、引用発明及び周知技術からみて格別顕著な効果とはいえない。

したがって、本願補正発明を全体としてみても、本願補正発明は、引用発明及び周知技術からみて格別顕著な効果を奏するとはいえない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2-3 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないので、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたため、本願の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、平成26年5月9日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)のとおりである。

2 引用文献の記載等
引用文献1の記載、引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2 2-2(1)ア(ア)、(イ)及び(ウ)のとおりである。
また、引用文献2ないし4の記載は、上記第2[理由]2 2-2(1)イないしエのとおりである。

3 対比・判断
上記第2[理由]2 2-1で検討したように、本願補正発明は本願発明の発明特定事項に限定を加えたものである。そして、本願発明の発明特定事項に限定を加えた本願補正発明が、上記第2[理由]2 2-2(2)ないし(4)のとおり、引用発明及び周知技術(周知技術については、上記第2[理由]2 2-2(3)アのとおりである。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、本願補正発明と同様に、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 結語
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-01 
結審通知日 2016-06-07 
審決日 2016-06-21 
出願番号 特願2012-164242(P2012-164242)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C08J)
P 1 8・ 121- Z (C08J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深谷 陽子  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 大島 祥吾
加藤 友也
発明の名称 積層ポリエステルフィルム  
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