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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C12M
管理番号 1317858
審判番号 不服2014-12246  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-26 
確定日 2016-08-12 
事件の表示 特願2010-530608「感染症の自動検出」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 5月 7日国際公開、WO2009/057014、平成23年 1月 6日国内公表、特表2011-500079〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成20年10月22日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 平成19年10月29日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって,平成24年12月27日付けで拒絶理由通知書が出され,平成25年6月28日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,平成26年2月24日付けで拒絶査定がなされ,同年6月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
その後,当審において平成27年6月30日付けで拒絶理由が通知され,同年12月29日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?12に係る発明は,平成27年12月29日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定される発明であると認める。
そのうち,請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,当審で(A)?(g)の見出しを付けて分節すると次のとおりのものである。
「【請求項1】
(A) 感染症の自動検出用のシステムであって:
(a) -血液サンプルを受けるための投入ユニット(2);
(b) -受けた血液サンプルからのDNA内容物を分離サンプルに分離する溶解ユニット(3);
(c) -分離サンプルを受け,そして分離サンプル中の遺伝子配列の数を増幅して,標的分子を含む標的サンプルを提供するPCRユニット(6);
(d) -標的サンプルを受け,そして遺伝子配列と,標的分子に特異的に結合するプローブ分子を上に固定化した支持体(20)とを接触させるためのサンプルユニット(8);
(d-1) そしてここで支持体(20)が各スポットまたはスポット群が特定の標的分子に特異的に結合するマイクロアレイの形態であり,
(e) -支持体上に生じた結合複合体の存在を検出して血液サンプル中の標的分子の存在を測定する検出ユニット(9);
(e-1) ここで標的分子の存在を示す出力シグナルが生成され,
(f) -流通路の長さが50cm未満である,投入ユニット(2)と検出ユニット(9)の間の流通路,および,
(g) -システムのユニットを通る流体の流れを確実にするための多数のバルブを含む,ポンピングシステムを含んでなる,
上記システム。」

第3 引用刊行物記載の事項
当審の平成27年6月30日付けで拒絶理由で引用され,本願優先日前に頒布された刊行物である特開2007-101351号公報(以下,「刊行物1」という。)には,次の事項が記載されている。
なお,下線は当審にて付記したものである。
1 刊行物1記載の事項
(刊1-1)【図1】

(刊1-2)「【0197】【図1】全自動DNA検査装置の概念図」
(刊1-3)「【0019】
たとえば,複数種類の菌やウイルスなどの特異的な塩基配列のDNAプローブを用いた場合,被検体にどの菌やウイルスが含まれているかが判定でき,治療に役立てることができる。」
(刊1-4)「【0020】
人からのDNAの抽出工程は,目的とするDNAによって異なるが,例えば検体が血液の場合,溶解処理を行い,必要であれば細胞破砕を行う。」
(刊1-5)「【0065】
ピペットユニット101は,試薬とともに供給されるピペットチップ104を,ピペットチップ105置き場より圧入して装着し使用する構成となっており,ピペットチップ104は検体ごとに新品を使用する。
・・・
【0073】
抽出ユニット108には,DNAの溶解処理を行うためのヒートブロック109や,シリカコート磁性粒子による抽出処理を行うための磁石110が搭載されている。溶解試薬と検体を混合し,ヒートブロック109上にて加熱処理により検体の細胞膜の溶解を行う。
【0074】
ピペットユニット101による混合動作は,まず検体を吸引し,予め試薬の充填されたウェルへ吐出をした後,ピペットシリンジにより吸引動作と吐出動作を繰り返すことで,溶液攪拌を行う。
【0075】
溶解処理後,磁気精製ウェル113のシリカコート磁性粒子と混合してDNAを吸着させ,磁石110をウェル113に近接させる磁石駆動手段を用いて近接させて,磁性粒子を捕集する。
【0076】
残りの液を吸引し廃棄することで,磁性粒子に吸着したDNAのみを抽出することが出来る。
【0077】
その後,洗浄液等を用いて,上記と同様の精製工程を繰り返し,DNA以外の物質を除去する。最後に,磁性粒子からDNAを溶出液で溶出し,磁性粒子を磁石110で捕集した状態で溶液を吸引することで,抽出DNAを得ることが出来,抽出工程が終了する。」
(刊1-6)「【0079】
増幅ユニット114には,PCR処理を行うためのヒートブロック115や,シリカコート磁性粒子による精製処理を行うための磁石116が搭載されている。」
(刊1-7)「【0091】
ハイブリダイゼーションユニット121には,DNAチップ128を組み込んだカセット127とDNAを結合反応させるためのヒートブロック122や,乾燥させるためのポンプ124が搭載されている。」
(刊1-8)「【0029】
ハイブリダイゼーション反応の終わったDNAチップを,蛍光の励起光検出をし,DNAチップ上のアレイ状に配置されたプローブのどのプローブの位置から蛍光が検出されるかで,DNAの存在の有無や,量を判定することが出来る。」
(刊1-9)「【0101】
検出ユニット129には,蛍光検出のためのレーザーやレンズといった光学系や,DNAチップをスキャンするための主走査,副走査ユニットが搭載されている。」

第4 刊行物1記載の発明
1 刊行物1の図1(刊1-1)は,「全自動DNA検査装置の概念図」(刊1-2)であり,「被検体にどの菌やウイルスが含まれているかが判定」(刊1-3)できるとされているから,どの菌やウイルスが含まれているか判定できる自動DNA検査装置が記載されているといえる。

2 (刊1-4)によれば,検体は血液を含むものであり,(刊1-5)によれば,該検査装置には,ピペットチップ104を備えたピペットユニット101が備えられている。(刊1-5)の【0074】によれば,検体は吸引される。そして,図1(刊1-1)からみて,該検査装置の一番最初の工程で行われることは,血液等の検体が,ピペットユニット101により,抽出ユニット108のヒートブロック109上にあるウェルに吐出されることであると理解される。

そうすると,上記事項を加味して,(刊1-2)?(刊1-8)に付した下線の事項を整理すると,刊行物1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「(I)どの菌やウイルスが含まれているか判定できる自動DNA検査装置であって,
(II) 血液等の検体は,ピペットユニット101により,抽出ユニット108のヒートブロック109上にあるウェルに吐出され,
(III) 抽出ユニット108においては,溶解試薬と検体が混合され,ヒートブロック109上にて加熱処理により検体の細胞膜の溶解され,予め試薬の充填されたウェルへ吐出させ,次いで,磁気精製ウェル113に送られ,磁性粒子に吸着したDNAのみが抽出され,
(IV) 該抽出されたDNAは,PCR処理を行う増幅ユニット114に送られ増幅され,
(V) 該増幅されたDNAは,DNAチップ128を組み込んだカセット127を有するハイブリダイゼーションユニット121に送られ,DNAチップ上にアレイ状に配置されたプローブとハイブリダイゼーションされ,
(VI) どのプローブの位置から蛍光が検出されるかで,DNAの存在の有無や,量を判定することができる検出ユニット129,
を有する自動DNA検査装置。」

第5 対比
引用発明と本願発明を対比する。
1 本願発明(A)について
引用発明の「(I)どの菌やウイルスが含まれているか判定できる自動DNA検査装置」は,本願発明の「(A) 感染症の自動検出用のシステム」に相当する。

2 本願発明(a)について
引用発明(II)の「血液等の検体」は,本願発明の「血液サンプル」に相当する。
そうすると,引用発明(II)の「血液等の検体」が「ピペットユニット101により」吐出される「抽出ユニット108のヒートブロック109上にあるウェル」は,本願発明の「(a) -血液サンプルを受けるための投入ユニット(2)」に相当する。

3 本願発明(b)について
引用発明(III)の「抽出ユニット108」は,細胞膜を溶解し,「磁性粒子」により「DNAのみ」を抽出するものであるから,本願発明の「(b) -受けた血液サンプルからのDNA内容物を分離サンプルに分離する溶解ユニット」に相当する。

4 本願発明(c)について
引用発明(IV)の「抽出されたDNA」に対して「PCR処理を行う増幅ユニット114」は,本願発明の「(c) -分離サンプルを受け,そして分離サンプル中の遺伝子配列の数を増幅して,標的分子を含む標的サンプルを提供するPCRユニット」に相当する。

5 本願発明(d)及び(d-1)について
引用発明(V)の「DNAチップ128」は,DNAチップの基板上に,標的となるDNAと「ハイブリダイゼーション」する「アレイ状に配置されたプローブ」を有するものであって,本願発明「(d-1) そしてここで支持体(20)が各スポットまたはスポット群が特定の標的分子に特異的に結合するマイクロアレイの形態」のものに相当する。
また,引用発明(V)の「該増幅されたDNA」サンプルが送られる「DNAチップ128を組み込んだカセット127を有するハイブリダイゼーションユニット121」は,本願発明の「(d) -標的サンプルを受け,そして遺伝子配列と,標的分子に特異的に結合するプローブ分子を上に固定化した支持体(20)とを接触させるためのサンプルユニット(8)」に相当する。

6 本願発明(e)について
引用発明の「血液等の検体」から「(VI) どのプローブの位置から蛍光が検出されるかで,DNAの存在の有無や,量を判定することができる検出ユニット129」は,本願発明の「(e) -支持体上に生じた結合複合体の存在を検出して血液サンプル中の標的分子の存在を測定する検出ユニット(9)」に相当する。

7 本願発明(e-1)について
引用発明(VI)の「検出ユニット129」で「どのプローブの位置から蛍光が検出されるか」を出力することは,本願発明(e-1)の「ここで」,すなわち,「検出ユニット(9)」で「標的分子の存在を示す出力シグナルが生成」することに相当する。

8 本願発明(f)及び(g)について
引用発明は,本願発明(f)及び(g)を具備しない。

9 小括
以上のことを総合すると,両発明の間には次の(一致点)及び(相違点)がある。
(一致点)
「(A) 感染症の自動検出用のシステムであって:
(a) -血液サンプルを受けるための投入ユニット(2);
(b) -受けた血液サンプルからのDNA内容物を分離サンプルに分離する溶解ユニット(3);
(c) -分離サンプルを受け,そして分離サンプル中の遺伝子配列の数を増幅して,標的分子を含む標的サンプルを提供するPCRユニット(6);
(d) -標的サンプルを受け,そして遺伝子配列と,標的分子に特異的に結合するプローブ分子を上に固定化した支持体(20)とを接触させるためのサンプルユニット(8);
(d-1) そしてここで支持体(20)が各スポットまたはスポット群が特定の標的分子に特異的に結合するマイクロアレイの形態であり,
(e) -支持体上に生じた結合複合体の存在を検出して血液サンプル中の標的分子の存在を測定する検出ユニット(9);
(e-1) ここで標的分子の存在を示す出力シグナルが生成される,
上記システム。」

(相違点)
本願発明が「(f) -流通路の長さが50cm未満である,投入ユニット(2)と検出ユニット(9)の間の流通路」及び「(g) -システムのユニットを通る流体の流れを確実にするための多数のバルブを含む,ポンピングシステム」を有するのに対して,引用発明はかかる構成を具備していない点。

第6 判断
1 下記刊行物Aには,「マイクロチャンネルにより接続」された「一以上の種々の部品(ここでは「モジュール」と称する)を含むように構成」され,「これらのモジュールはには,サンプル入口ポート;サンプルの導入または採取モジュール」;「細胞溶解」する等の「細胞取り扱いモジュール」;「分離モジュール」;「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」を行う等の「サンプルの化学的または生物学的改変のための反応モジュール」;「流体ポンプ(電気浸透ポンプ,電気水力学ポンプまたは電気動力学ポンプを含むが,これらに限定されない);流体弁」を備えた「カートリッジ」(刊A-1)であって,「核酸バイオチップ」(刊A-2)に接続してもよいことが,記載されている。

2 下記刊行物Bの(刊B-1)には,「断面の寸法が0.1μmから500μmであるチャンバーやマイクロチャンネル」を有し「試料導入口;試料導入または収集モジュール;細胞処理モジュール(例えば細胞溶解,細胞採取,細胞濃縮,細胞分離または細胞捕獲,細胞増殖などのための)」「標的被検体の増幅[例えば標的被検体が核酸であるときにはこれに限定するものではないがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」「流体ポンプ;流体バルブ」「検出モジュール」を有する,「メソスケール装置」と称される「マイクロ流体装置 」が記載され,(刊B-2)には「ハイブリダイゼーションによる配列決定に使用される」「アレイ配列のプローブ」に接続する実施態様が記載されている。

3 下記刊行物Cの(刊C-1)には,「疾患の診断に用いる臨床検体」として,「血液」が例示され,「検体中の特定微生物の存在を検出」することが記載され,「核酸結合性磁性担体を用いて核酸を含有する材料から該核酸を抽出して単離する一連の操作を核酸単離用流路内で達成する」(刊C-2)実施例として,図3(刊C-4)の装置が示されている。
図3(刊C-4)の装置は,以下の部材を備えている。
(i)「遊離(吸着)反応槽(35)」(刊C-2),
(ii)「核酸結合性磁性担体を用いて核酸を含有する材料から該核酸を抽出して単離する」(刊C-2)作用を有する「トラップ1?3(40,41,42)」(刊C-3),
(iii)「ポリメラーゼ・チェイン反応をPCR反応流路(54)」(刊C-3)
(iv)上記(i)?(iii)の「各部分をつなぐ流路」となる「テフロン(登録商標)チューブ(外径1.7mm,内径0.9mm)」(刊C-3)
(v)「バルブ1?4(36,37,38,39)」(刊C-3)
(vi)「空気ポンプで送液する装置(ファルマシア社,P-6000)(43)」(刊C-3)

4 上記1?3で示したように,DNA分析を目的とし,溶解,分離やPCRといった機能を司るモジュールを並べ,これらをポンプ及び弁を有する流路で連結してDNAの増幅を図る装置は,本願優先日前から周知の事項となっていた。

5 よって,引用発明において,上記周知の装置を採用し,かつ,一般的な課題である小型化を図るため,流路の長さを50cm未満とすることで,相違点に記した本願発明(f)及び(g)のごとくの構成とすることは,当業者にとって困難なことではない。

5 また,本願発明の効果は,刊行物1及び上記周知の事項から当業者が予測し得るものであって,格別顕著なものとはいえない。

刊行物A:特表2004-515231号公報
(刊A-1)「【0117】
カートリッジのキャップがアッセイの一部として使用されるとき,それは,その用途に応じて何れか所定の装置に存在し,且つ必要に応じてマイクロチャンネルにより接続される一以上の種々の部品(ここでは「モジュール」と称する)を含むように構成してもよい。これらのモジュールはには,サンプル入口ポート;サンプルの導入または採取モジュール;細胞取り扱いモジュール(例えば,細胞溶解,細胞除去,細胞濃縮,細胞の分離または捕捉,細胞増殖など);分離モジュール,例えば,電気泳動,誘電泳動(dielectrophoresis),ゲル濾過,イオン交換/親和性クロマトグラフィー(捕捉および解除)等;サンプルの化学的または生物学的改変のための反応モジュール[これには標的アナライトの増幅(例えば,標的アナライトが核酸のとき,有用な増幅技術にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR),オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA);標準置換増幅(SDA),核酸配列ベースの増幅(NASBA),並びに本明細書の一部として援用するWO 99/37819,PCT US00/19889およびUS00/20476に概説された他の技術が含まれるが,これらに限定されない),標的アナライトの化学的,物理的または酵素的開裂,または標的の化学的修飾が含まれる];流体ポンプ(電気浸透ポンプ,電気水力学ポンプまたは電気動力学ポンプを含むが,これらに限定されない);流体弁;加熱および冷却のための温度モジュール;アッセイ試薬のための貯蔵モジュール;混合チャンバ;および検出モジュールが含まれるが,これらに限定されない。」
(刊A-2)「【0119】
当該カートリッジは少なくとも一つのバイオチップを含み,幾つかの実施例は,カートリッジ当り一以上のバイオチップを利用する。ここでの「バイオチップ」またはその均等語は,異なる生体分子,特に核酸およびタンパク質のアレイを含む基板を意味する。広範な種々の適切な核酸バイオチップが存在し,・・・,三次元「ゲルパッド」アレイ,および電子部品を含むもの(例えばNanogen)が含まれる。・・・」

刊行物B:特表2002-542461号公報
(刊B-1)「【0032】
本発明のマイクロ流体装置は一般に「メソスケール装置」と称する。本明細書ではこの装置は典型的にはマイクロ容積のものを分析するのに適した大きさで設計されるが,態様によっては大量の試料(たとえばcc単位の試料)を後続する分析のために装置内で減容させてもよい。すなわち本明細書に言う「メソスケール」は,断面の寸法が0.1μmから500μmであるチャンバーやマイクロチャンネルを指す。このメソスケール流通チャンネルおよびウェルは,好適な深さが0.1μmから100μm,典型的には2?5μmのオーダーである。チャンネルの好適な幅は2.0μmから500μm,さらに好ましくは3?100μmのオーダーである。多くの適用では5?50μmのチャンネルが有用である。しかしながら,多くの適用ではさらに大きな寸法のミリメートルスケールを使用してもよい。同様に基板のチャンバー(本明細書では「ウェル」とも称する)はしばしば数ミリメートルのさらに大きい寸法を有する。流通チャンネルシステムに加えて,本発明の装置は,その使用に応じた任意の装置上に存在する,本明細書で「モジュール」と称する様々な部品を1種またはそれ以上含むように設計される。これらのモジュールは,これらに限定するものではないが,試料導入口;試料導入または収集モジュール;細胞処理モジュール(例えば細胞溶解,細胞採取,細胞濃縮,細胞分離または細胞捕獲,細胞増殖などのための);例えば電気泳動,ジエレクトロフォレーシス,ゲル濾過,イオン交換/親和性クロマトグラフィー(捕獲および放出)などのための分離モジュール;標的被検体の増幅[例えば標的被検体が核酸であるときにはこれに限定するものではないがポリメラーゼ連鎖反応(PCR),リガーゼ連鎖反応(LCR),ストランド置換増幅(SDR),および核酸配列に基づく増幅(NASBA)を含む増幅技術が有用である],標的被検体の化学的,物理的または酵素的切断または変化または標的の化学修飾などを含む試料の化学的または生物学的変化のための反応モジュール;流体ポンプ;流体バルブ;加熱または冷却のための温度モジュール;検定試薬のための貯蔵モジュール;混合チャンバー;および検出モジュールを包含する。」
(刊B-2)「【0502】
さらなる実施態様では,あるアレイ配列のプローブは,ハイブリダイゼーションによる配列決定に使用される。」

刊行物C:特開2003-12689号公報
(刊C-1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,核酸を含有する材料から簡便かつ短時間に核酸を単離する方法に関する。また,前記核酸単離方法を行うための核酸単離用流路,及び核酸単離用チップに関する。詳細には,核酸を含有する材料として,たとえば人の疾患の診断に用いる臨床検体である喀痰,唾液,尿,便,精液,血液,組織,臓器,その他の体液,またはこれらの体液の分画,微生物汚染の検査に用いる食品,飲料水,土壌,排水,河川水,海水,ふき取り液,ふき取り綿などが挙げられる。本発明は,核酸を検出することで,検体中の特定微生物の存在を検出する場合や,人の遺伝子診断を行ったりする場合において利用可能である。」
(刊C-2)「【0018】また,本発明は,(5)該懸濁液を調製する工程を,該核酸単離用流路に連通する流路内で行うことを特徴とする上記(2)?(4)に記載の核酸単離方法に関する。(5)の発明によって,核酸結合性磁性担体を用いて核酸を含有する材料から該核酸を抽出して単離する一連の操作を核酸単離用流路内で達成する場合において,該核酸結合性磁性担体に該核酸が結合した状態の該懸濁液を流路内で効率良く調製することが可能になり,容易に核酸の単離を実施することが可能になる。」
(刊C-3)「【0048】
【実施例2】ポリプロピレン製マイクロテストチューブ(エッペンドルフ社,1.5ml)とシリコンゴム栓でリザーバー1?3(31,32,33)と遊離(吸着)反応槽(35)を,サンプルインジェクター(ファルマシア社,IMV-7,サンプルループ容量50μlを用いてリザーバー4(34)を,電磁バルブ(ファルマシア社,IMV-8)でバルブ1?4(36,37,38,39)を,テフロン(登録商標)チューブ(外径2.5mm,内径1.5mm)でトラップ1?3(40,41,42)を作成した。空気ポンプで送液する装置(ファルマシア社,P-6000)(43),反応槽(35)を加熱する加熱装置1(44),バルブを操作する装置(ファルマシア社,LCC-500)(45),トラップ1?3(40,41,42)の部分に直径8mm,長さ25mmの円筒型磁石1?3(46,47,48)を取り付けた。また,テフロン(登録商標)チューブ(外径1.7mm,内径0.9mm)で各部分をつなぐ流路を作成した。更に,ポリメラーゼ・チェイン反応を行う為の液体ポンプ(ファルマシア社,P-500)(50),トラップ部分を加熱する加熱装置2(51),ポリメラーゼ・チェイン反応を行う部分を2つの異なる温度に加熱する加熱装置3,4(52,53)を作成した。この2つの温度に加熱された部分を40回往復する流路(テフロン(登録商標)チューブ,外径1.7mm,内径0.5mm,1往復が20cmの長さ)(54)を取付け,図3に示した装置を完成した。流路と各部とのつぎ目は,フェラル(ファルマシア社)を用いた。
・・・
【0051】ポリメラーゼ・チェイン反応部分を加熱装置3(52)と加熱装置4(53)でそれぞれ92℃と65℃に加温して,ポリメラーゼ・チェイン反応をPCR反応流路(54)の中で行った。・・・」
(刊C-4)【図3】


第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1に記載された発明及び上記周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-02 
結審通知日 2016-02-03 
審決日 2016-03-29 
出願番号 特願2010-530608(P2010-530608)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C12M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高山 敏充  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 飯室 里美
高堀 栄二
発明の名称 感染症の自動検出  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  

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