• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1317894
審判番号 不服2015-19428  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-29 
確定日 2016-08-31 
事件の表示 特願2013-244664「半持続的スケジューリングの非活性化を指示する方法及びこれを用いた装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月15日出願公開、特開2014- 90432、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年9月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2008年11月13日 米国、2008年12月3日 米国,2009年7月24日 韓国)を国際出願日とする特願2011-503918号の一部を、平成24年11月19日に新たな特許出願である特願2012-253127号とし、当該新たな特許出願の一部を、平成25年11月27日にさらに新たな特許出願としたものであって、平成27年6月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月29日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年2月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。
「 無線移動通信システムで半持続的スケジューリング(SPS)送信を非活性化する方法であって、
前記方法は、
ユーザ機器(UE)により、無線資源制御(RRC)信号により構成されたサブフレーム期間の間隔でSPS送信を実行することと、
前記UEにより、RNTI(Radio Network Temporary Identifier)とともにPDCCH(Physical Downlink Control Channel)信号を受信することであって、前記PDCCH信号は、資源割り当てに関する第1のフィールドを含む、ことと、
前記PDCCH信号がSPS非活性化の条件を満たした場合に、前記SPS送信を非活性化するための手順を実行することと
を含み、
前記SPS非活性化の条件は、
前記RNTIがSPS C-RNTI(SPS Cell RNTI)であること、および、
前記第1のフィールドが全て「1」で満たされること
を含む、方法。」


第3 原査定の理由の概要
原査定の理由となった平成26年7月30日付け拒絶理由の概要は、
「 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
というものであり、以下の文献が引用された。

1.Nokia, et.al., Missing details of semi-persistent scheduling,
3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #54bis, R1-083718, 2008年9月24日
2.国際公開第2008/023649号
3.Panasonic, SPS activation and release,
3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #55, R1-084233, 2008年11月4日
4.Qualcomm Europe, Clarification of type-2 PDSCH resource
allocation for format 1C,
3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #54bis, R1-083953, 2008年10月6日


第4 当審の判断
1.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、以下の事項が記載されている。

(1)「3 Details of UL persistent scheduling
As agreed, the persistent scheduling is configured by RRC signalling, i.e., the feature is turned on/off by RRC signalling and the periodicity of the persistent scheduling is given by RRC signalling. The exact timing as well as resources and transport format parameters are sent on L1/L2 control channel (PDCCH) as normal UL grant (with SPS C-RNTI).」
(当審訳: 3 UL半持続的スケジューリングの詳細
合意したように、半持続的スケジューリングはRRC信号により構成される。すなわちRRC信号により機能がオンオフされ、RRC信号により半持続的スケジューリングの周期性が与えられる。正確なタイミング、ならびにリソース及びトランスポートフォーマットパラメータは、ULグラント(SPS C-RNTIを有する)として通常のL1/L2制御チャネル(PDCCH)で送信される。)

(2)「We propose that SPS release is sent on PDCCH using SPS C-RNTI and by setting the content of PDCCH into a known code word, e.g. all bits set to zero.」
(当審訳: SPSリリースが、SPS C-RNTIを用いて、かつ既知のコード語(例えば全てのビットが0)内にPDCCHのコンテンツを設定することによって、PDCCH上で送信される。)

(3)「Proposal 4: SPS release is sent on PDCCH using SPS C-RNTI and by setting the content of PDCCH (except the CRC) into a known code word which does not give a valid allocation. For Format 0 the following fields are set to zero: Hopping flag, Resource block assignment, MCS & RV, NDI, Cyclic shift for DM RS, UL index (for TDD), CQI reqUEst.」
(当審訳: 提案4: SPSリリースは、SPS C-RNTIを用いて、かつ有効な割当てを与えない既知のコード語内に(CRCを除く)PDCCHのコンテンツを設定することによって、PDCCH上で送信される。フォーマット0の場合は、以下のフィールドはゼロに設定されている: ホッピングフラグ、リソースブロック割当て、MCS & RV、NDI、DM RSの巡回シフト、(TDD用)ULインデックス、CQIリクエスト。)

上記摘記事項の記載及びこの分野における技術常識を考慮すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(引用発明)
「 半持続的スケジューリング(SPS)のリリースを行う方法であって、
RRC信号により半持続的スケジューリングの周期性が与えられ、
SPSリリースは、SPS C-RNTIを用いて、PDCCH上で送信され、当該PDCCHにはリソースブロック割当てのフィールドが含まれ、
SPSリリースでは、上記リソースブロック割当てのフィールドは、有効な割り当てを与えないゼロに設定される、
方法。」


2.対比
本願発明を引用発明と対比すると、
a.引用発明も無線移動通信システムに係るものであることは明らかであり、この点では本願発明と相違しない。
b.引用発明の「半持続的スケジューリング(SPS)のリリース」は、本願発明の「半持続的スケジューリング(SPS)送信の非活性化」に相当する。
c.本願発明では「ユーザ機器(UE)により、無線資源制御(RRC)信号により構成されたサブフレーム期間の間隔でSPS送信を実行する」のに対して、引用発明においてはユーザ機器(UE)の動作としてSPS送信を実行することについては記載がないものの、RRC信号によりSPSの周期が規定される点では両者は共通する。
d.引用発明の「リソースブロック割当てのフィールド」は資源割当てに関するものであるから、本願発明の「資源割り当てに関する第1のフィールド」に対応する。
e.本願発明では「UEにより、RNTI(Radio Network Temporary Identifier)とともにPDCCH(Physical Downlink Control Channel)信号を受信する」のに対して、引用発明ではUEにより受信することについては明示されていない。
f.本願発明では、SPS非活性化の条件を満たした場合に、UEがSPS送信を非活性化するための手順を実行することが示され、SPS非活性化の条件として、RNTIがSPS C-RNTI(SPS Cell RNTI)であること、および、第1のフィールドが全て「1」で満たされることが規定されている。これに対して、引用発明では、UEがSPS送信を非活性化するための手順を実行することは明示されておらず、また、引用発明は非活性化の条件をリソースブロック割当てがゼロであることとしているから、資源割当てに関する情報が特定の値に設定されるという点においては、本願発明と共通しているが、引用発明1ではSPS非活性化の条件として、RNTIがSPS C-RNTIであることを条件としているかは明確に記載されていない。

したがって、本願発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「 無線移動通信システムで半持続的スケジューリング(SPS)送信を非活性化する方法であって、
前記方法は、
無線資源制御(RRC)信号によりSPSの周期が規定されることと、
RNTI(Radio Network Temporary Identifier)とともにPDCCH(Physical Downlink Control Channel)信号が伝送され、前記PDCCH信号は、資源割り当てに関する第1のフィールドを含む、ことと、
SPS非活性化の条件は、前記資源割り当てに関する情報が特定の値で満たされること
を含む、方法。」

(相違点1)
本願発明は「ユーザ機器(UE)」が、SPS送信を行うこと、RNTIとPDCCH信号を受信すること、及びSPS送信を非活性化するための手順を実行することという動作を行うことを直接特定しているのに対して、引用発明ではeNBからUEに伝送する情報であるSPSリリースの内容を規定するものであって、直接UEの動作を規定していない点。

(相違点2)
本願発明では、無線資源制御(RRC)信号により構成される間隔は、サブフレーム期間の間隔であるのに対して、引用発明では明示されていない点。

(相違点3)
本願発明では「SPS非活性化の条件」には、「前記RNTIがSPS C-RNTI(SPS Cell RNTI)であること」が含まれるのに対して、引用発明においては記載されていない点。

(相違点4)
本願発明では、SPS非活性化の条件は「資源割り当てに関する第1のフィールド」が全て「1」となることであるのに対して、引用発明ではSPS非活性化の条件は「リソースブロック割当てのフィールド」がゼロとなることである点。


3.判断
事案に鑑み、上記相違点4について先に検討する。
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、以下の事項が記載されている。

「【0143】 また、移動局10の開放・割当要求信号生成部13は、図18Bに示すようにリソース開放要求を示す特定のビット列(例えば、11111111)を含むバッファステータスレポートによって、上述のリソース開放要求を生成するように構成されていてもよい。
・・・・・・
【0150】 一方、無線基地局20は、リソース解放要求を意味すると判定した場合、ステップS1003において、当該移動局 10に対するパーシステントに割り当てられている無線リソース開放処理を行う。」

上記摘記事項によれば、バッファステータスレポートのような特定のフィールドを「1」で満たすことにより、リソース開放要求のような特定の要求を表す技術(以下、「技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
そこで、上記技術事項を引用発明に適用して本願発明を容易になし得るか検討する。
引用発明では、資源割当てに関する値である「リソースブロック割当てのフィールド」をゼロとすることがSRS非活性化の条件となっている。上記「1.(3)」の摘記箇所に「有効な割当てを与えない既知のコード語内にPDCCHのコンテンツを設定する・・・・以下のフィールドはゼロに設定されている:・・・・、リソースブロック割当て、・・・・。」と記載されていることからみて、引用文献1において「リソースブロック割当てのフィールド」がゼロとされているのは、それが有効な割当てを与えないコードであるからである。一方、引用発明の「リソースブロック割当てのフィールド」を全て「1」とすることが有効な割当てを与えないことに関しては、引用文献1に何の示唆もなく、また技術常識ということもできない。そうしてみると、上記技術事項とした特定のフィールドを「1」で満たす技術が知られていたとしても、引用発明の「リソースブロック割当てのフィールド」がゼロであることを、SPS非活性化の条件としていたものを、「1」を条件とするように変更することは、当業者が容易になし得る事項とはいえない。また、上記引用文献3、4を参照しても引用発明から本願発明を容易に発明することができたとすることはできない。

したがって、本願発明は、当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたと言うことはできない。

請求項6、11、16に係る発明は、ユーザ機器(UE)からみた方法の発明として記載された請求項1に係る発明を、基地局(BS)からみた方法に変更したり、カテゴリーの異なる物の発明として記載したものにすぎないから、既に検討した本願発明と同様の理由により当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたと言うことはできない。
請求項2?5、7?10、12?15、17?20に係る発明についても、それぞれ請求項1、6、11、16に係る発明の構成をさらに限定したものであるから、既に検討した本願発明と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたと言うことはできない。


第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1?20に係る発明は、引用文献1?4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-08-15 
出願番号 特願2013-244664(P2013-244664)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三浦 みちる▲高▼橋 真之  
特許庁審判長 近藤 聡
特許庁審判官 山本 章裕
加藤 恵一
発明の名称 半持続的スケジューリングの非活性化を指示する方法及びこれを用いた装置  
代理人 倉持 誠  
代理人 吹田 礼子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ