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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02P
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02P
管理番号 1317990
審判番号 不服2014-16827  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-25 
確定日 2016-08-09 
事件の表示 特願2012-502525「非常時運転特性を備えた電子的に整流される電気モータ」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月 7日国際公開、WO2010/112262、平成24年 9月20日国内公表、特表2012-522487〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2010年2月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年4月1日、独国)を国際出願日とする出願であって、平成26年5月9日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成26年5月19日)、これに対し、平成26年8月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成27年6月12日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成27年6月15日)、これに対し、平成27年11月27日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.特許請求の範囲
平成27年11月27日付手続補正で、特許請求の範囲は以下のように補正された。
「【請求項1】
ステータ(3,162)と、永久磁石から形成されているロータ(10,163)とを備えた、電子的に整流される電気モータ(1,160)であって、
前記電気モータ(1,160)は、ステータ(3,162)と接続されている制御ユニット(14,16,168)を有し、該制御ユニットは、前記ステータ(3,162)が前記ロータ(10,163)を回動させる回転磁場を形成するよう前記ステータ(3,162)を駆動制御するものである、電子的に整流される電気モータ(1,160)において、
前記電気モータ(1,160)は、複数の半導体スイッチ(40,42,44,46,48,49)を備えた電力出力段(12,164)を有し、前記制御ユニット(14,16,168)は、前記複数の半導体スイッチ(40,42,44,46,48,49)に欠陥が生じていない場合には、通常動作のための駆動制御パターン(70)で前記電気モータ(1,160)を駆動制御しており、
前記制御ユニット(14,16,168)は、前記半導体スイッチ(49)のスイッチング区間における低抵抗の接続(38)または短絡(38)に依存して、欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に対応するための、前記通常動作のための駆動制御パターン(70)とは異なる駆動制御パターン(71)を選択し、
前記制御ユニット(14,16,168)は、前記電力出力段(12)の欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に依存して、前記回転磁界を形成するために前記ステータ(3)を、前記選択した駆動制御パターン(71)を用いて下記のように駆動制御する、すなわち、
前記ロータが1回転(150,152,154,156)する間に該ロータから機械的な出力(31)が供給されるか、または、前記欠陥に起因する前記電気モータ(1,160)の制動トルクは、半導体スイッチが欠陥のある動作状態において、低減されているか、完全に補償されるように、駆動制御し、
前記制御ユニット(14,16,168)は、蓄積された回転エネルギを用いて前記ロータ(10)が、欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に対応する、前記ロータの回転の欠陥角度領域(95,154)を通過することができるように前記ステータ(3)を駆動制御するよう構成されており、
前記制御ユニット(14,16,168)は、相互に異なる駆動制御パターンのためのメモリと接続されており、且つ、欠陥のある前記半導体スイッチに依存して、前記メモリに記憶されている前記通常動作のための駆動制御パターン(70)とは異なる前記駆動制御パターン(71)を、前記欠陥のある半導体スイッチ(49)に対応するための前記駆動制御パターン(71)として選択し、該選択された駆動制御パターン(71)を用いて前記ステータを駆動制御するよう構成されており、
前記制御ユニット(14,16)は、ロータの回転方向において欠陥角度領域(95)に続く角度領域(96)において、前記ロータ(10)が前記欠陥角度領域(95)を通過することができるように、欠陥のない半導体スイッチ(40,42,44,46,48)を用いて前記ステータ(3)を駆動制御するよう構成されている、
ことを特徴とする、電気モータ(1,160)。
【請求項2】
前記駆動制御パターンは、時間的に連続するスイッチングパターン(202)によってそれぞれ形成されており、該スイッチングパターン(202)は前記ステータ(162)のステータコイル(170,172,174,176,178)の電圧状態および/または通電状態をそれぞれ表し、
各スイッチングパターン(202)は符号語によって形成されており、該符号語は各ステータコイル(170,172,174,176,178)に対して1ビットを有し、該ビットは、前記ステータコイル(170,172,174,176,178)の前記電圧状態および/または前記通電状態を表す、請求項1記載の電子的に整流される電気モータ(1,160)。
【請求項3】
前記電気モータは中間回路コンデンサ(184)を有し、該中間回路コンデンサ(184)は前記電力出力段(164)の半導体スイッチと少なくとも間接的に接続されており、
前記電気モータ(160)は制御可能に構成されている分離スイッチ(182)を有し、該分離スイッチ(182)のスイッチング区間は前記中間回路コンデンサ(184)を前記電力出力段(164)と接続し、
前記分離スイッチ(182)の制御端子(187)は前記制御ユニット(168)と接続されており、該制御ユニット(168)は、前記中間回路コンデンサ(184)の欠陥に依存して、前記中間回路コンデンサ(184)の前記欠陥によって低抵抗で相互に接続されているか短絡している電極に依存して、前記分離スイッチ(182)のスイッチング区間を分離するための制御信号を形成し、該制御信号を前記分離スイッチ(182)に送信するよう構成されている、請求項1または2記載の電子的に整流される電気モータ(160)。
【請求項4】
ステータ(3)とロータ(10)とを備えた電子的に整流される電気モータ(1)を用いて回転運動を生じさせる方法であって、
前記ステータ(3,5,7,9)と接続されている複数の半導体スイッチ(40,42,44,46,48,49)の駆動制御により、前記電気モータ(1)の前記ロータ(10)を回動させる回転磁場が形成される、方法において、
前記電気モータ(1)は、前記複数の半導体スイッチ(40,42,44,46,48,49)に欠陥が生じていない場合には、通常動作のための駆動制御パターン(70)で駆動制御されており、
前記半導体スイッチ(49)のスイッチング区間における低抵抗の接続(38)または短絡(38)に依存して、欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に対応するための、前記通常動作のための駆動制御パターン(70)とは異なる駆動制御パターン(71)を選択し、前記欠陥のある半導体スイッチ(49)に依存して、前記選択した駆動制御パターン(71)を用いて、
前記ロータ(10)が回転全体にわたって機械的な出力(31)を供給することができるように、もしくは、
前記欠陥に起因する前記電気モータ(1,160)の制動トルクが、半導体スイッチが欠陥を有している動作状態において低減されているか、または完全に補償されているように、
回転磁界を形成すること、
前記ロータ(10)が蓄積された回転エネルギを用いて、欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に対応する、前記ロータの回転の欠陥角度領域(95)を通過することができるように前記ステータ(3,5,7,9)を駆動制御すること、
相互に異なる駆動制御パターン(70,71)をメモリに蓄積し、且つ、欠陥のある前記半導体スイッチに依存して、前記メモリに蓄積されている、前記通常動作のための駆動制御パターン(70)とは異なる前記駆動制御パターン(71)を、前記欠陥のある半導体スイッチ(49)に対応するための前記駆動制御パターン(71)として選択し、前記選択された駆動制御パターン(71)を用いて前記ステータを駆動制御すること、および、
前記ロータ(10)の回転方向において前記欠陥角度領域(95)に続く角度領域(96)において、前記ロータ(10)が前記欠陥角度領域(95)を通過することができるように、欠陥のない半導体スイッチ(40,42,44,46,48)を用いて前記ステータ(3)を駆動制御することを特徴とする、方法。
【請求項5】
欠陥の無い半導体スイッチ(40,42,44,46,48)を用いる動作用の駆動制御パターン(70)と、欠陥のある少なくとも1つの半導体スイッチ(49)のための少なくとも1つの駆動制御パターン(71)を蓄積し、駆動制御パターンの前記選択を行う、請求項4記載の方法。
【請求項6】
各半導体スイッチ(40,42,44,46,48,49)に対して、欠陥のある半導体スイッチ(40,42,44,46,48,49)用の駆動制御パターン(71)を蓄積する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記欠陥のある半導体スイッチ(49)に依存して、前記欠陥のある半導体スイッチ(49)に対応する駆動制御パターン(71)を形成し、前記欠陥のある半導体スイッチ(49)に関して形成した前記駆動制御パターン(71)を用いて前記ステータ(3,5,7,9)を駆動制御する、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。」


3.拒絶の理由
平成27年6月12日付の当審の拒絶の理由で以下の事項を通知した。
「この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1に「前記半導体スイッチ(49)のスイッチング区間における低抵抗の接続(38)または短絡(38)に依存して、欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に対応する駆動制御パターンを選択」との訳語があるが、駆動制御パターンはどの様なパターンとなるのか具体的に明細書に開示が無く全く不明[明細書には「駆動制御パターン70をメモリ15から読み出すことができる。駆動制御パターン70は例えば、電気モータ1の通常動作のための駆動制御パターンを表す。」(【0040】)、「さらにはこの欠陥に依存して、相応の駆動制御パターン71をメモリ15から読み出し」(【0046】)とあるから、欠陥が生じた場合に通常動作のための駆動制御パターンを用いるとも解釈できる。しかし、図1において、トランジスタ48、49を三相(UVW相)のW相アームであるとすると、トランジスタ48は、W相が正の180°の期間オンし続けるから、この期間は電源がトランジスタ48、49で短絡され、電源回路が危険な状態となる。トランジスタ40、42、44、46、48、49に対してどの様な信号を与えることにより、欠陥時もモータを駆動できるのか、具体的に電気角360°に渡って波系図・駆動信号パターンを用いて説明されたい。]である。
更に、【0042】に「例えばトランジスタ49に欠陥がある場合、このトランジスタ49のソース端子をトランジスタ49のドレイン端子と低抵抗で接続することができる。」との訳語があるが、トランジスタに欠陥がある場合、トランジスタを交換するのではなく、ソースドレイン間にわざわざ低抵抗を接続する意味とも解釈できるが、この点不明である。
更に、図2が物理的に何を表現しようとしているのか全く不明である。回転数曲線86とあるが、何故ロータ回転数がロータ回転角に比例せずに途中で減少するのか不明である。図1のトランジスタ49に欠陥があるとして、何故領域95でトルクがゼロになるのか不明であり、トルク87、88は何故図2に示されるような形状の曲線となるのか不明であり、【0056】の意味が全く不明である。トルクを表す縦軸85はどの様なことを意味するのか不明であり、領域95でトルクが発生しており、トルク87、88と矛盾している。
更に、図4の回路の説明が【0072】に「すなわち、電気モータ160が動作している間に中間回路コンデンサ184に欠陥が生じた場合、殊に中間回路コンデンサ184の電極が低抵抗で相互に接続されるか、相互に短絡すると、ステータ162には電力出力段164からさらに電流が流れ、殊に、欠陥のない場合に中間回路コンデンサ184に流れる電流よりも小さい電流が流れる。」との訳語があるが、中間回路コンデンサが短絡すれば電圧源を短絡して、電力出力段、電気モータには電流が流れないが、何故電流センサ180としてシャント抵抗を設けて電力出力段からさらに流れる電流を検出できるのか不明である。」


4.拒絶の理由に対する当審の判断
(1)請求項1に「前記制御ユニット(14,16,168)は、前記半導体スイッチ(49)のスイッチング区間における低抵抗の接続(38)または短絡(38)に依存して、欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に対応するための、前記通常動作のための駆動制御パターン(70)とは異なる駆動制御パターン(71)を選択」とあるが、通常動作のための駆動制御パターンとは異なる駆動制御パターンとは、どの様なパターであるのか何ら開示が無く不明である。
請求項1には「電子的に整流される電気モータ」とあるから、電子的に整流されれば如何なる種類のモータであっても発明の保護の対象となり、明細書に記載されたパワーステアリング用モータに限られず、連続回転するモータも含まれる。図1に示されるような三相モータにおいて、トランジスタ40、42をU相、トランジスタ44、46をV相、トランジスタ48、49をW相とすれば、W相が正(+)の180°の期間は、トランジスタ48をオンすればトランジスタ49が短絡しているから短絡電流がトランジスタ48、49を流れることになり、トランジスタ48をオンすることはできない。この様な制約がありながら、どの様な駆動制御パターンとするのか何ら開示が無く全く不明である。
駆動制御に関し、請求項1に「前記ロータが1回転(150,152,154,156)する間に該ロータから機械的な出力(31)が供給されるか、または、前記欠陥に起因する前記電気モータ(1,160)の制動トルクは、半導体スイッチが欠陥のある動作状態において、低減されているか、完全に補償されるように、駆動制御し、前記制御ユニット(14,16,168)は、蓄積された回転エネルギを用いて前記ロータ(10)が、欠陥のある前記半導体スイッチ(49)に対応する、前記ロータの回転の欠陥角度領域(95,154)を通過することができるように前記ステータ(3)を駆動制御するよう構成されており」と記載はあるものの、欠陥に起因する電気モータの制動トルクは、半導体スイッチが欠陥のある動作状態において、低減されているか、完全に補償されるように、駆動制御するとは、単なる希望であって具体的にどの様な駆動方法なのか何ら開示が無く不明であり、又、蓄積された回転エネルギを用いてロータが、欠陥のある半導体スイッチに対応する、前記ロータの回転の欠陥角度領域を通過することができるようにステータを駆動制御するとは、単なる希望であって具体的にどの様な駆動方法なのか何ら開示が無く不明である。
更に、請求項1には、「欠陥のある前記半導体スイッチ(49)」と記載はあるものの、括弧書きの図面の符号では発明の構成を特定できないから、欠陥のある半導体スイッチが1つに限られるものではないことになる。そうすると、例えば欠陥がある半導体スイッチが2つの場合、通常動作のための駆動制御パターンとは異なる駆動制御パターンとは、どの様なパターンであるのか何ら開示が無く不明である。
なお、請求人は、平成27年11月27日付意見書において、
「本願発明では、電気モータ内の複数の半導体スイッチに欠陥がない場合に、この電気モータを駆動制御する(通常動作する)ためのパターンを、「通常動作のための駆動制御パターン(70)」とし、上記の複数の半導体スイッチのいずれかに欠陥が生じたときに、当該欠陥を回避するための駆動制御パターンを「駆動制御パターン(71)」として、区別しているに過ぎず、具体的な駆動制御パターンについて特定することを意図したものではありません。
したがって、明細書中に駆動制御パターンの具体的な開示がないとご指摘ですが、上述のとおり、本願発明は具体的な制御パターンについて言及するものではなく、欠陥が発生していない通常動作時と、欠陥が発生時とでは、駆動制御パターンが異なることが特定されていれば、発明を理解するためには十分であると思料いたします。
したがって、旧請求項1の記載において、通常動作を行う際に使用される駆動制御パターンと、半導体スイッチのいずれかに欠陥が生じたときに使用される駆動制御パターンとの区別が明確ではない箇所を、補正により、それらの駆動制御パターン(70)と駆動制御パターン(71)とが相異なるものであることを明確にするようにしました。」
と、欠陥が発生していない通常動作時と、欠陥発生時とでは、駆動制御パターンが異なることしか主張しておらず、欠陥発生時の通常動作のための駆動制御パターンとは異なる駆動制御パターンとは具体的にどの様なパターンであるのか何ら開示が無く、発明の構成が特定できないから、請求人の上記主張は採用できない。
なお、請求項4も同様である。

(2)【0042】に「例えばトランジスタ49に欠陥がある場合、このトランジスタ49のソース端子をトランジスタ49のドレイン端子と低抵抗で接続することができる。」とあり、文字どおり解釈すれば、トランジスタに欠陥がある場合、トランジスタを交換するのではなく、既にトランジスタが低抵抗状態であるにもかかわらずソースドレイン間を低抵抗で接続することとなり、何故ソースドレイン間にわざわざ低抵抗を接続するのか不明であり、この接続によって通常動作のための駆動制御パターンとは異なる駆動制御パターンを作成するために、どの様な影響を及ぼすのか不明である。
なお、請求人は、平成27年11月27日付意見書において、
「上記段落0042の記載は、欠陥が生じた際に、新たに、低抵抗の接続部38を接続することを意味しているのではなく、欠陥(例えば、短絡)が生じることによって、トランジスタのソース-ドレイン接続部の間に、低(低オーム数の)抵抗が生じてしまうことを表しております。すなわち、段落0042の記載は、単に、欠陥が生じている際の例を説明しているに過ぎません。そして、このような状況(すなわち欠陥が生じたことに起因して低抵抗が生じてしまう状況)においては、この低抵抗の箇所を回避しなければ、過度に大きい電流が流れて構成要素に損傷が生じてしまいます。」
と主張するが、【0042】には「低抵抗で接続することができる。」と明示されており、低抵抗が生じてしまうことを表す記載、例えば「低抵抗で接続されることになる。」とは記載されていないから、請求人の上記主張は採用できない。

(3)図2が物理的に何を表現しようとしているのか全く不明である。更に、回転数曲線86とあるが、何故ロータ回転数がロータ回転角に比例せずに途中で減少するのか物理的理由が不明である。更に、図1のトランジスタ49に欠陥があるとして、何故領域95でトルクがゼロになるのか不明であり、トルク87、88は何故図2に示されるような形状の曲線となるのか不明であり、又、トルクを表す縦軸85はどの様なことを意味するのか不明であり、しかも領域95でトルクが発生しており、トルク87、88と矛盾しているため、物理的意義が不明である。更に、【0056】の記載が、どの様なことを表しているのか意味が全く不明である。

(4)請求項3に関し、図4の回路の説明【0072】において「すなわち、電気モータ160が動作している間に中間回路コンデンサ184に欠陥が生じた場合、殊に中間回路コンデンサ184の電極が低抵抗で相互に接続されるか、相互に短絡すると、ステータ162には電力出力段164からさらに電流が流れ、殊に、欠陥のない場合に中間回路コンデンサ184に流れる電流よりも小さい電流が流れる。」と記載されているが、中間回路コンデンサが短絡すれば電圧源を短絡して、電力出力段、電気モータには電流が流れないが、何故電流センサ180としてシャント抵抗を設けて電力出力段からさらに流れる電流を検出できるのか不明である。
なお、請求人は、平成27年11月27日付意見書において、
「理想的な短絡(故障した中間回路コンデンサの残留抵抗が「何らかのかたちで」生じる短絡)は存在しませんので、場合によっては、制御不能ではあるが、補償電流を駆動するのに充分な残留電圧が得られることがあります。その場合には、段落0072のように電圧源が短絡していても電流を検出できます。」
と主張するが、【0072】には「中間回路コンデンサ184の電極が低抵抗で相互に接続されるか、相互に短絡する」と記載されており、低抵抗と短絡は区別されているが、当該意見書の上記記載に基づけば、理想的な短絡は存在しないのであるから、低抵抗と短絡の区別が無くなることとなって、【0072】の記載と矛盾することとなり、しかも、回路素子の状態は、特に断りのない限り理想状態であるとしなければ、回路動作がどの様に行われるか理解できないから、請求人の上記主張は採用できない。

(5)したがって、この出願の発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1-7に記載された発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、又、請求項1-7の記載は、発明の詳細な説明を参照しても明確ではないから、請求項1-7の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


5.むすび
したがって、請求項1-7の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-01 
結審通知日 2016-03-07 
審決日 2016-03-30 
出願番号 特願2012-502525(P2012-502525)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H02P)
P 1 8・ 537- WZ (H02P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 耕作  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 堀川 一郎
矢島 伸一
発明の名称 非常時運転特性を備えた電子的に整流される電気モータ  
代理人 高橋 佳大  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
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