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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1318012 |
審判番号 | 不服2015-12282 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-29 |
確定日 | 2016-08-30 |
事件の表示 | 特願2014-242420「ゲームプログラム、ゲーム処理方法、および、情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 5日出願公開、特開2015-173978、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年3月12日に出願した特願2014-48465号(以下、「原出願」という。)の一部を平成26年11月28日に新たな特許出願としたものであって、平成27年3月3日付けで拒絶理由が通知され、同年4月21日付けで意見書および手続補正書が提出され、同年5月11日付けで拒絶査定(謄本送達日同年5月19日)がなされ、同年6月29日付けで拒絶査定不服審判の請求がされ、その後、当審において平成28年4月18日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月6日付けで手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成28年6月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 ゲーム媒体を用いたゲームの進行を処理するゲームプログラムであって、 コンピュータに、 (i)前記ゲームに参加する権利を有するユーザである対象ユーザが用いる対象ユーザ端末から、前記ゲーム媒体の動作に関する動作指示、および(ii)当該ゲームに参加する権利を有さないユーザである非対象ユーザが用いる非対象ユーザ端末から、当該非対象ユーザが所属するグループに所属するよう前記対象ユーザに促す勧誘情報を受け付ける受付機能と、 前記受付機能が前記勧誘情報を受け付けた場合前記対象ユーザに前記勧誘情報を送信する送信機能と、 前記ゲームの進行を把握可能なゲーム画面に関する画面情報を、前記受付機能によって受け付けられた動作指示に応じて生成する生成機能と、 前記勧誘情報の対象となる前記対象ユーザからの承認情報が前記受付機能によってさらに受け付けられた場合、当該勧誘情報に基づいて当該対象ユーザが所属するグループを変更する変更機能と、 前記受付機能が受け付けた前記非対象ユーザ端末からの前記画面情報の出力要求に応じて、前記画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力する出力機能と、 前記画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に生成された前記画面情報を記憶部に記憶する記憶機能と、を実現させることを特徴とするゲームプログラム。 【請求項2】 前記生成機能はさらに、前記ゲーム媒体と関連づけられているアイテムに関する情報を生成し、 前記出力機能はさらに、前記生成機能が生成したアイテムに関する情報と前記アイテムの使用を示す画面情報とを前記非対象ユーザ端末に出力し、 前記受付機能は、前記非対象ユーザから当該アイテムに関連する画像を選択する選択指示をさらに受け付け、 前記生成機能は、前記受付機能によって受け付けられた選択指示に応じて、前記非対象ユーザが前記アイテムを入手可能なゲーム画面に関する入手画面情報をさらに生成し、 前記出力機能は、前記非対象ユーザ端末に前記入手画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力することを特徴とする請求項1記載のゲームプログラム。 【請求項3】 前記受付機能は、さらに、前記対象ユーザ端末または前記非対象ユーザ端末から、前記対象ユーザまたは前記非対象ユーザが入力したメッセージを受け付け、 前記生成機能は、さらに、前記メッセージを含む前記画面情報を生成し、 前記記憶機能は、さらに、メッセージを所定数以上受け付けた時間帯の画面情報を記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1又は2記載のゲームプログラム。 【請求項4】 前記受付機能は、さらに、前記非対象ユーザ端末から、前記対象ユーザに関する評価を受け付け、 前記記憶機能は、さらに、 前記対象ユーザに関する評価が所定の条件を満たしている時間帯の画面情報を記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のゲームプログラム。 【請求項5】 ゲーム媒体を用いたゲームの進行を処理するゲーム処理方法であって、 (i)前記ゲームに参加する権利を有するユーザである対象ユーザが用いる対象ユーザ端末から、前記ゲーム媒体の動作に関する動作指示、および(ii)当該ゲームに参加する権利を有さないユーザである非対象ユーザが用いる非対象ユーザ端末から、当該非対象ユーザが所属するグループに所属するよう前記対象ユーザに促す勧誘情報を受け付ける受付ステップと、 前記受付ステップが前記勧誘情報を受け付けた場合前記対象ユーザに前記勧誘情報を送信する送信ステップと、 前記ゲームの進行を把握可能なゲーム画面に関する画面情報を、前記受付ステップにおいて受け付けられた動作指示に応じて生成する生成ステップと、 前記勧誘情報の対象となる前記対象ユーザからの承認情報が前記受付ステップにおいてさらに受け付けられた場合、当該勧誘情報に基づいて当該対象ユーザが所属するグループを変更する変更ステップと、 前記受付ステップにおいて受け付けられた前記非対象ユーザ端末からの前記画面情報の出力要求に応じて、前記画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力する出力ステップと、 前記画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に生成された前記画面情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、を含むことを特徴とするゲーム処理方法。 【請求項6】 ゲーム媒体を用いたゲームの進行を処理するゲーム処理装置であって、 (i)前記ゲームに参加する権利を有するユーザである対象ユーザが用いる対象ユーザ端末から、前記ゲーム媒体の動作に関する動作指示、および(ii)当該ゲームに参加する権利を有さないユーザである非対象ユーザが用いる非対象ユーザ端末から、当該非対象ユーザが所属するグループに所属するよう前記対象ユーザに促す勧誘情報を受け付ける受付部と、 前記受付部が前記勧誘情報を受け付けた場合前記対象ユーザに前記勧誘情報を送信する送信部と、 前記ゲームの進行を把握可能なゲーム画面に関する画面情報を、前記受付部により受け付けられた動作指示に応じて生成する生成部と、 前記勧誘情報の対象となる前記対象ユーザからの承認情報が前記受付部によりさらに受け付けられた場合、当該勧誘情報に基づいて当該対象ユーザが所属するグループを変更する変更部と、 前記受付部により受け付けられた前記非対象ユーザ端末からの前記画面情報の出力要求に応じて、前記画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力する出力部と、 前記画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に生成された前記画面情報を記憶する記憶部と、を含むことを特徴とするゲーム処理装置。」 第3 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 (1)理由1(特許法第29条第2項) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又 は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項1、3ないし6 ・特開2008-113782号公報(以下、「引用例1」という。) ・特許第5413934号公報(以下、「引用例2」という。) ・特開2011-72735号公報(以下、「引用例3」という。) ・特開2001-310083号公報(以下、「引用例4」という。) ア 請求項1、5、6について (ア)対比 請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と、引用例1に記載の発明(以下、「引用発明1」という。)とを対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。 <相違点a> 前者では、勧誘情報を発信するユーザが、対象ユーザが参加可能なゲームに参加不可能な非対象ユーザであるのに対して、後者が、非対象ユーザであるのか否か不明である点。 <相違点b> 前者が、勧誘情報の対象となる前記対象ユーザからの承認情報が前記受付機能によってさらに受け付けられた場合、当該勧誘情報に基づいて当該対象ユーザが所属するグループを変更するのに対して、後者が、リーダにより許可された場合に、該プレーヤに勧誘通知が送信され、この勧誘通知に対して加入を希望する旨が応答された場合に、該プレーヤが自プレーヤの所属チームに加入するようにしている点。 <相違点c> 前者が、非対象ユーザが前記ゲームの進行を把握可能となるように、前記生成機能によって生成された画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力するのに対して、後者が、そのような構成を具備しない点。 <相違点d> 前者が、画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に生成された前記画面情報を記憶部に記憶するのに対して、後者が、そのような構成を具備しない点。 (イ)判断 a <相違点a>について 引用発明1と引用例2に記載の発明(以下、「引用発明2」という。)の構成を組み合わせて相違点1に係る本願発明の如く構成することは当業者にとって容易である。 b <相違点b>について 請求項1には、「前記勧誘情報の対象となる前記対象ユーザからの承認情報が前記受付機能によってさらに受け付けられた場合」と記載されるのみで、対象ユーザが、どのようにして勧誘情報を得るのかについては、何ら記載されていないため、対象ユーザが勧誘情報を得るまでに、何らかの処理、例えば、リーダーによる承認処理が介在する態様が排除されるものではない。してみれば、<相違点b>については、実質的な相違点とはならない。 c <相違点c>について 引用例2には、非対象ユーザが観戦する点、すなわち、ゲームの進行を把握可能である点について記載されており、この点を、引用文献1に記載の発明に追加することは容易である。 d <相違点d>について 引用例3には、観客ユーザによって入力されたメッセージの数が基準数よりも大きい場合に、ゲームプレイを再現するための対象として保存する点が記載されている。 引用例3に記載の点を、引用発明1に適用することは容易であり、その際、条件を観戦者が基準数を超えた場合と単純化することは、設計的事項の範疇である。 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1ないし3に記載の発明から当業者が容易に想到し得たものである。ゲーム処理方法、ゲーム処理装置として発明を特定した請求項5-6に係る発明についても同様である。 イ 請求項3について 引用例2には、ゲーム観戦者の端末からのチャットメッセージをゲーム観戦者の端末に表示させ、画面ポップボタンをユーザがタップすることで画面がポップアップ、もしくは、ポップダウンする点について記載されている(【0075】、【0088】、【図7】、【図8】)。引用例3には、観客ユーザによって入力されたメッセージの数が基準数よりも大きい場合に、ゲームプレイを再現するための対象として保存する点が記載されている。 これらの点を組み合わせて、本願の請求項3に係る発明とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 請求項4について 引用例4の【0037】に示されるような観戦者による評価システムを導入し、これにより、ゲームプレイを再現するための対象として保存記憶するための条件とすることは当業者であれば容易になし得ることである。 (2)理由2(特許法第36条第6項第2号) 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 ア 請求項2には、「前記出力機能はさらに、前記生成機能が生成したアイテムに関する情報と前記アイテムの使用を示す画面情報とを前記非対象ユーザ端末に出力し」と記載されているが、本願明細書段落82の「ゲーム媒体がアイテムを使用したことを示す戦況が表示された場合に、非対象ユーザが当該アイテムの名称を選択したとき、情報処理装置100は、当該アイテムを入手可能な画面(例えば、ショップやアイテム入手が可能なクエスト画面)を表示できる。」と説明される事項と対応せず、不明である。 イ 請求項2の、出力機能が出力する「アイテムに関する情報」と、非対象ユーザが選択する「アイテムに関連する画像」との異同が不明である。 2 原査定の理由の判断 (1)理由1(特許法第29条第2項)について ア 刊行物の記載事項 (ア)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用され、原出願の出願日前に頒布された引用例1には、以下の記載がある。 a 「【0044】 [システム構成] 図1は、本実施形態におけるゲームシステム1の構成を示す図である。同図によれば、ゲームシステム1は、ゲームサーバ10と、複数のゲーム端末30と、ゲーム連動サービスサーバ50と、プレーヤ端末70とを備えて構成される。ゲームサーバ10とゲーム端末30それぞれは、通信回線N1を介して通信可能に接続され、ゲーム連動サービスサーバ50とプレーヤ端末70それぞれとは、通信回線N2を介して通信可能に接続されている。更に、ゲームサーバ10とゲーム連動サービスサーバ50とは、通信回線N3を介して通信可能に接続されている。ここで、通信回線N1?N3とは、データ授受が可能な通信路を意味する。即ち、通信回線N1?N3とは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLANの他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。 【0045】 ゲームサーバ10は、公知のサーバコンピュータにより構成されるサーバシステムであり、例えばゲームメーカ側に設置され、ゲームシステム1におけるネットワークゲームを管理する。具体的には、(1)ゲームサーバ10に接続されているゲーム端末30の中から対戦させるゲーム端末30を組み合わせるマッチング処理、(2)マッチングさせたゲーム端末30間の通信制御、(3)各プレーヤのプレイ結果の管理、を行う。尚、ゲームサーバ10は、複数台のサーバコンピュータによる構成としても良い。 【0046】 ゲーム端末30は、プレーヤがゲームをプレイするための端末装置であり、具体的には、例えばゲームセンタ等の店舗に設置された業務用のゲーム装置である。このゲーム端末30は、筐体に挿入されたゲームカード32に記録されたカードIDを読み取り、読み取ったカードIDを送信してゲームサーバ10にアクセスしてゲームシステム1にログインする。そして、ゲームサーバ10によるマッチング処理の結果に基づいて他のゲーム端末30と通信接続し、当該ゲーム端末30間のネットワークゲームを実行する。ゲームサーバ10では、カードIDによりプレーヤが特定される。ここで、ゲームカード32は、販売等によってプレーヤに事前に提供されるものであって、例えば磁気テープ部分にそれぞれ固有のカードID等のデータが記録された磁気カードにより実現される。 【0047】 ゲーム連動サービスサーバ50は、公知のサーバコンピュータにより構成されるサーバシステムであり、例えばゲームメーカ側に設置される。また、ゲーム連動サービスサーバ50は、Webサーバとしての機能を有しており、ゲームサーバ10により管理されるネットワークゲームに連動したサービスをプレーヤに提供するためのホームページ(HP)をインターネット上に公開する。具体的には、ネットワークゲームで用いられるゲームカード32を登録したプレーヤに対して、(1)自分のプレイ結果の閲覧、(2)チームへの加入、(3)自分の所属チームへの他プレーヤの勧誘、のサービスを提供する。ここで、「チーム」とは、1又は複数のプレーヤにより形成されるグループであり、ゲーム端末30におけるゲームプレイのためにゲームサーバ10によりマッチングされたプレーヤ同士の組合せとは異なるものである。また、各チームには、必ず一人のリーダのプレーヤが含まれている。 【0048】 プレーヤ端末70は、プレーヤがゲーム連動サービスサーバ50から提供されるサービスを受けるための端末装置であり、具体的には、プレーヤが所有する携帯電話機やパソコンである。具体的には、プレーヤ端末70は、ブラウザプログラムを起動してゲーム連動サービスサーバ50により開設されているホームページ(ゲーム連動サービスサイト)にアクセスすることで、ゲーム連動サービスサーバ50により提供されるゲーム連動サービスを受けることができる。」 b 「【0079】 記憶部200は、処理部120にゲームサーバ10を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、本実施形態における各種機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶するとともに、処理部120の作業領域として用いられ、処理部120が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作部110から入力された入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えば各種ICメモリやハードディスク、CD-ROM、DVD、MO、RAM、VRAM等によって実現される。本実施形態では、記憶部200は、プログラムとして、処理部120をマッチング制御部121として機能させるためのマッチング制御プログラム211と、連動サービス応答部122として機能させるための連動サービス応答プログラム212を記憶しているとともに、データとして、カード管理DB221と、プレーヤ管理DB223とを記憶している。 【0080】 [ゲーム連動サービスサーバの構成] 図15は、ゲーム連動サービスサーバ50の機能構成を示すブロック図である。同図によれば、ゲーム連動サービスサーバ50は、機能的には、操作部510と、処理部520と、表示部530と、通信部540と、記憶部600とを備えて構成される。」 c 「【0082】 処理部520は、記憶部600に記憶されているプログラムやデータ、操作部510から入力された操作信号、通信部540を介して外部装置(主に、プレーヤ端末70及びゲームサーバ10)から受信したデータ等に基づいて、ゲーム連動サービスサーバ50の全体制御を行う。この機能は、例えばCPU(CISC型、RISC型)、ASIC(ゲートアレイ等)等の演算装置やその制御プログラムにより実現される。本実施形態では、処理部520は、登録プレーヤ管理部521と、チーム管理部522と、HP管理部523とを含む。」 d 「【0086】 また、チーム管理部522は、プレーヤからの勧誘要求に応じて、該プレーヤの所属チームに他プレーヤを勧誘する勧誘処理を行う。即ち、プレーヤ端末70から、勧誘したいプレーヤ(勧誘対象プレーヤ)を指定した勧誘要求を受信すると、該要求とともに受信した端末IDからプレーヤ端末70及びプレーヤ(勧誘プレーヤ)を特定し、該特定した勧誘プレーヤの所属チームのリーダのプレーヤ端末70に、勧誘の許可を求める勧誘許否判断要求を送信する。次いで、該勧誘許否判断要求に応答した勧誘許否判断結果を受信すると、受信した勧誘許否判断結果が「勧誘許可」ならば、勧誘対象プレーヤのプレーヤ端末70に勧誘通知を送信する。そして、勧誘通知に応答した勧誘応答を受信すると、受信した勧誘応答が「加入希望」ならば、勧誘対象プレーヤを勧誘プレーヤの所属チームに加入させる。」 上記bの【0079】には、「ゲームサーバ10を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラム」、「本実施形態における各種機能を実現するためのプログラム」の記載があり、また、上記cの【0082】には、「プログラム」に基づいて「ゲーム連動サービスサーバの全体制御を行う」ことが記載されている。すなわち、「ゲームサーバ」及び「ゲーム連動サービスサーバ」の各機能は「プログラム」にて実現されていることが記載されている。 そして、上記aないしdを総合すると、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「ゲームサーバと、複数のゲーム端末と、ゲーム連動サービスサーバと、プレーヤ端末とを備えて構成され、 ゲームサーバとゲーム端末とは通信回線を介して接続され、ゲーム連動サービスサーバとプレーヤ端末とは通信回線を介して接続され、ゲームサーバとゲーム連動サービスサーバとは通信回線を介して接続され、 ゲームサーバは、(1)ゲームサーバに接続されているゲーム端末の中から対戦させるゲーム端末を組み合わせるマッチング処理、(2)マッチングさせたゲーム端末間の通信制御、(3)各プレーヤのプレイ結果の管理を行い、 ゲーム端末は、プレーヤがゲームをプレイするための端末装置であり、例えばゲームセンタ等の店舗に設置された業務用のゲーム装置であり、ゲームカードに記録されたカードIDをゲームサーバに送信して、ゲームサーバのマッチング処理に基づいて、他のゲーム端末とネットワークゲームを実行し、 ゲーム連動サービスサーバは、プレーヤに対して(1)自分のプレイ結果の閲覧、(2)チームへの加入、(3)自分の所属チームへの他プレーヤの勧誘、のサービスを提供し、 プレーヤ端末は、ゲーム連動サービスサーバにより提供されるサービスを受けるための端末装置であり、具体的には、プレーヤが所有する携帯電話機やパソコンである、 ゲームシステムのプログラムであって、 ゲームサーバの各種機能を実現するとともに、 プレーヤ端末から、プレーヤの所属チームに勧誘したいプレーヤ(勧誘対象プレーヤ)を指定した勧誘要求を受信すると、勧誘対象プレーヤのプレーヤ端末に勧誘通知を送信し、勧誘通知に応答した勧誘応答が「加入希望」ならば、勧誘対象プレーヤを勧誘プレーヤの所属チームに加入させる処理を行うプログラム。」 (イ)引用例2 原査定の拒絶の理由に引用され、原出願の出願日前に頒布された引用例2には、以下の記載がある。 a 「【請求項1】 通信回線を介して、所定のチャットへの参加をユーザの端末から受け付ける参加受付ステップと、 チャットへの参加を受け付けたチャット参加ユーザの端末から、チャットメッセージ及び表示切り替え指示を受け付けるユーザ指示受付ステップと、 受け付けたチャットメッセージをチャット参加ユーザの端末のチャット画面上に表示させる画面表示制御ステップと、 チャット参加ユーザの端末から、当該チャット上にて実行可能な複数のチャット内ゲームのうちの1のチャット内ゲームの選択、および、当該チャット内ゲームの開始要求を受け付けて、当該チャットに参加している他のチャット参加ユーザに対して、開始要求にかかるゲームへの参加希望を問い合わせて、チャット内ゲームを開始させるゲーム制御ステップと、 ゲーム開始後において、チャット内ゲームの進行を管理するゲーム管理ステップと、 をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、 前記参加受付ステップは、前記ゲーム制御ステップにおける参加希望の問い合わせに対して参加する旨の応答をしたチャット参加ユーザをゲーム参加ユーザとして参加を受け付け、 前記ユーザ指示受付ステップは、ゲーム参加ユーザの端末からのチャット内ゲームの進行に関する指示を受け付け、 前記画面表示制御ステップは、前記チャット画面の一部に前記チャット内ゲームの状況を示すゲーム状況表示領域を表示させ、前記ユーザ指示受付ステップにより前記表示切り替え指示を受け付けると、当該ゲーム状況表示領域の表示と非表示とを切り替え、 前記画面表示制御ステップは、前記ユーザ指示受付ステップによりゲーム参加ユーザから受け付けた前記チャット内ゲームの進行に関する指示に対応する画像を前記チャット参加ユーザの端末の前記チャット画面に表示させる ことを特徴とするプログラム。」 b 「【0038】 サーバ装置10は、チャットサービスならびにチャット内ゲームを実施、提供するための装置である。サーバ装置10は、ネットワーク30と基地局40とを介して、モバイル端末50やPC端末70との間で、チャットサービスないしゲームサービスを提供するために必要な通信処理を実行する。 【0039】 なお、以下においては、説明を簡易にするため、単に、「サーバ装置10とモバイル端末50ないしPC端末70との間で通信処理を実行する」などと表現し、ネットワーク30および基地局40を介する点については記載を省略する。また、以下においては、モバイル端末50やPC端末70を総称して、ユーザ端末と表現することもある。また、サーバ装置10とは、ネットワークゲームにかかるサービスを提供するプラットフォームであってもよいし、あるいは、ネットワークゲームのアプリケ?ションを提供するサーバであってもよい。」 c 「【0043】 チャット機能は、チャットシステムを利用するためのアプリを実行したユーザに対して、所定のチャットルームを選択させ、入室を促す。入室後は、そのチャットルーム内でのチャット参加ユーザとの間でチャットメッセージのやりとりをできる。具体的には、チャットルーム内でのチャット参加ユーザのユーザ端末により通知されたチャットメッセージが、他のチャット参加ユーザのユーザ端末のチャット画面に表示されることとなる。」 d 「【0050】 ユーザ端末の使用者は、チャット実施中に、チャットルーム内のメンバとの間でゲームを開始したい場合、実施するゲームを選択する。その後、チャットメンバ内の他のユーザ端末に参加希望の問い合わせにかかる通知が送信される。この通知に対し、所定期間内に、参加する旨の返答をした場合、ゲームに参加できる。所定時間前であっても、選択されたゲームの最大参加人数を超えた場合は、ゲームに参加できない。ゲームに参加しなかったユーザは、ゲーム観戦者として、ゲームの進行状況をチャット画面で確認できる。また、ゲームに参加しなかったユーザは、ゲームの進行状況に応じてチャットメッセージをゲーム参加者へ通知することもできるので、チャットルーム内のメンバが一体となって、ゲームおよびチャットを楽しむことができる。」 上記aないしdを総合すると、引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「ネットワークと基地局とを介して、ユーザ端末間で、チャットサービスないしゲームサービスを提供するために必要な通信処理を実行するサーバ装置が、チャット上にて実行可能なチャット内ゲームの進行を管理し、ゲーム参加ユーザの端末からのチャット内ゲームの進行に関する指示を受け付け、ゲームに参加しなかったユーザは、ゲーム観戦者として、ゲームの進行状況をユーザ端末のチャット画面で確認でき、ゲームに参加しなかったユーザは、ゲームの進行状況に応じてチャットメッセージをゲーム参加者へ通知することもできるプログラム。」 (ウ)引用例3 原査定の拒絶の理由に引用され、原出願の出願日前に頒布された引用例3には、以下の記載がある。 a 「【請求項8】 ゲームにおいて行われたゲームプレイを再現するための再現データを記憶してなる再現データ記憶手段に記憶される前記再現データを取得する手段、 再現対象期間内に行われたゲームプレイを再現してなる再現映像を前記再現データに基づいて出力手段に出力させる出力制御手段、及び、 他のユーザによってプレイされる前記ゲームを見ているユーザ又は/及び前記ゲームをプレイしているユーザによって所与の期間内に入力されたメッセージの数に基づいて、前記所与の期間に基づく期間を前記再現対象期間として決定する再現対象期間決定手段、 としてコンピュータを機能させるためのプログラム。」 b 「【0019】 [構成] 図1は、本発明の実施形態に係るゲームシステムの全体構成を示す。図1に示すように、本実施形態に係るゲームシステム10は、複数のゲーム装置20と、配信装置30と、複数の出力装置40と、を含む。複数のゲーム装置20と配信装置30と複数の出力装置40とは、例えばLAN(Local Area Network)又は/及びインターネットなどを含んで構成される通信ネットワーク12に接続される。ゲーム装置20と他のゲーム装置20との間で相互にデータ通信が可能であり、ゲーム装置20と配信装置30との間でも相互にデータ通信が可能である。また、配信装置30と出力装置40との間でも相互にデータ通信が可能であり、ゲーム装置20と出力装置40との間でも相互にデータ通信が可能である。 【0020】 ゲーム装置20は、例えば家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、又はパーソナルコンピュータによって実現される。図2はゲーム装置20のハードウェア構成を示す。図2に示すように、ゲーム装置20は、制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、光ディスク読み取り部24、通信インタフェース25、操作部26、表示部27、及び音声出力部28を含む。」 c 「【0023】 配信装置30は、ゲームシステム10(一又は複数のゲーム装置20)で現在実行されているゲームの映像データや、ゲームシステム10(一又は複数のゲーム装置20)で過去に実行されたゲームの映像データを配信する。配信装置30は例えばサーバコンピュータによって実現される。図3は配信装置30のハードウェア構成を示す。図3に示すように、配信装置30は、制御部31、主記憶部32、補助記憶部33、光ディスク読み取り部34、及び通信インタフェース35を含む。」 d 「【0025】 出力装置40は、配信装置30から配信された映像データを出力する。出力装置40は、例えばパーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯用ゲーム機、携帯電話機、又は携帯情報端末(PDA)によって実現される。図4は出力装置40のハードウェア構成を示す。図4に示すように、出力装置40は、制御部41、主記憶部42、補助記憶部43、光ディスク読み取り部44、通信インタフェース45、操作部46、表示部47、及び音声出力部48を含む。これらは、ゲーム装置20の制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、光ディスク読み取り部24、通信インタフェース25、操作部26、表示部27、及び音声出力部28と同様であるため、説明を省略する。 【0026】 プログラムやデータは光ディスクを介してゲーム装置20、配信装置30、又は出力装置40に供給される。すなわち、光ディスクに記憶されたプログラムやデータがゲーム装置20、配信装置30、又は出力装置40で読み出されて、ゲーム装置20、配信装置30、又は出力装置40に記憶される。なお、プログラムやデータは通信ネットワーク12を介して遠隔地からゲーム装置20、配信装置30、又は出力装置40に供給されるようにしてもよい。 【0027】 [ゲーム] ゲームシステム10では、複数のゲーム装置20のユーザが参加するネットワークゲームが実行される。例えば、複数のユーザが対戦するゲーム、又は複数のユーザが協力して遊ぶゲームがゲームシステム10で実行される。以下では、一のゲーム装置20のユーザAが操作するAチームと、他のゲーム装置20のユーザBが操作するBチームと、の間の対戦サッカーゲームがゲームシステム10で実行される場合を例として説明する。なお、以下では、ユーザAのゲーム装置20を「ゲーム装置A」と記載し、ユーザBのゲーム装置20を「ゲーム装置B」と記載する。」 e 「【0038】 [観戦機能] ゲームシステム10は観戦機能を備えている。すなわち、ゲームシステム10では、現在のゲーム状況を表す映像が配信装置30から出力装置40にリアルタイムに配信されるようになっている。このため、出力装置40のユーザはAチームとBチームとの試合の映像を見ることができ、観客の気分を味わうことができるようになっている。なお、以下では、出力装置40のユーザのことを「観客ユーザ」と呼ぶ。」 f 「【0096】 そして、制御部31は、ステップS510及びS511で読み出されたデータに基づいて、再現対象期間Yの再現映像データ(すなわち、ハイライトシーンの映像データ)を取得する(S512)。ここで、再現対象期間Yの再現映像データは、再現対象期間Y内における選手キャラクタ54及びボール55の動きを再現してなる再現映像を出力するとともに、再現対象期間Y内に入力されたメッセージを時系列順で出力するためのデータである。ステップS512において取得された再現対象期間Yの再現映像データ(ハイライトシーンの映像データ)は補助記憶部33に保存される。」 g 「【0099】 ハイライトシーンの映像データの取得が完了した場合、制御部31は、ハイライトシーンの映像データの配信要求をゲーム装置20又は出力装置40から受信したか否かを監視する(S403)。配信要求が受信された場合、制御部31は、ステップS401及びS402で取得されたハイライトシーンの映像データを、配信要求を送信したゲーム装置20又は出力装置40に配信する(S404)。」 上記aないしgを総合すると、引用例3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 「家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、又はパーソナルコンピュータによって実現される複数のゲーム装置と、 現在実行されているゲームの映像データや、過去に実行されたゲームの映像データを配信する配信装置と、 パーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯用ゲーム機、携帯電話機、又は携帯情報端末(PDA)によって実現される、配信装置から配信された映像データを出力する複数の出力装置とが 通信ネットワークに接続され、複数のゲーム装置のユーザが参加するネットワークゲームが実行されるゲームシステムにおいて、 他のユーザによってプレイされるゲームを見ている出力装置のユーザ又はゲームをプレイしているユーザによって所与の期間内に入力されたメッセージの数に基づいて、前記所与の期間に基づく期間を再現対象期間として決定し、 再現対象期間の再現映像データを保存して、配信要求を送信したゲーム装置又は出力装置に配信するプログラム。」 (エ)引用例4 原査定の拒絶の理由に引用され、原出願の出願日前に頒布された引用例4には、以下の記載がある。 a 「【0017】 以上の問題点から、コンピューターシステム上で開催される、多人数参加者によって1チームを構成し対戦競技を行うゲームにおいて、遊戯者個人個人の1つ1つのプレーに対して、評価がなされるシステムの提供が望まれる。」 b 「【0037】 このときコンピューターが加算するポイントだけでなく、行われている対戦を見ている観戦者が対戦に参加している遊戯者の操作プレーに対し、観戦者が評価を該プレイを行った遊戯者に対して評価を行い、観戦者の評価を受けた遊戯者の評価を行うシステムを導入してもよい。」 上記a、bより、引用例4には以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。 「コンピューターシステム上で開催される、多人数参加者によって1チームを構成し対戦競技を行うゲームの、遊戯者個人個人の1つ1つのプレーに対して評価がなされるシステムにおいて、行われている対戦を見ている観戦者が対戦に参加している遊戯者の操作プレーに対し評価を行うシステム。」 イ 対比 本願発明と引用発明1を対比する。 引用発明1の「(1)ゲームサーバに接続されているゲーム端末の中から対戦させるゲーム端末を組み合わせるマッチング処理、(2)マッチングさせたゲーム端末間の通信制御、(3)各プレーヤのプレイ結果の管理」を行うことは、本願発明の「ゲーム媒体を用いたゲームの進行を処理」することに相当する。 引用発明1の「プログラム」は、ネットワームゲームを行うものであるから、本願発明の「ゲームプログラム」に相当する。 引用例1に係る発明の「ゲームサーバ」と「ゲーム連動サービスサーバ」は、本願発明の「コンピュータ」に相当する。 引用発明1の「ゲーム端末」は、ゲームを行うプレーヤが用いるものであるから、本願発明の「ゲームに参加する権利を有するユーザである対象ユーザが用いる対象ユーザ端末」に相当する。 引用発明1の「ゲームサーバ」は、「ゲームサーバに接続されているゲーム端末の中から対戦させるゲーム端末を組み合わせるマッチング処理」により「マッチングされたゲーム端末間の通信制御」を行うものである。ゲームサーバに接続されたゲーム端末間で行う対戦ゲームは、ゲーム端末にてゲーム媒体の動作に関する動作指示がされ、ゲームサーバが、ゲーム媒体の動作に関する動作指示を受け付け、他のゲーム端末に当該ゲーム媒体の動作に関する動作指示を送信する通信制御を行い、他のゲーム端末に当該動作指示が反映されることを相互に繰り返し実行することで進行するものであるから、引用発明1の「ゲームサーバ」は、本願発明1の「ゲーム媒体の動作に関する動作指示」を「受け付ける受付機能」を備えている。 引用発明1の「所属チーム」は、本願発明の「所属するグループ」に相当する。 引用発明1の「プレーヤ端末から、プレーヤの所属チームに勧誘したいプレーヤ(勧誘対象プレーヤ)を指定した勧誘要求を受信する」機能と、本願発明の「非対象ユーザが用いる非対象ユーザ端末から、当該非対象ユーザが所属するグループに所属するよう前記対象ユーザに促す勧誘情報を受け付ける受付機能」とは、「ユーザが用いるユーザ端末から、ユーザが所属するグループに所属するよう他のユーザに促す勧誘情報を受け付ける受付機能」である点で共通する。 引用発明1の「勧誘要求を受信すると、勧誘対象プレーヤのプレーヤ端末に勧誘通知を送信」する機能と、本願発明の「受付機能が勧誘情報を受け付けた場合対象ユーザに前記勧誘情報を送信する送信機能」とは、「受付機能が勧誘情報を受け付けた場合他のユーザに前記勧誘情報を送信する送信機能」である点で共通する。 引用発明1の「勧誘通知に応答した勧誘応答が「加入希望」」である場合と、本願発明の「勧誘情報の対象となる対象ユーザからの承認情報が受付機能によってさらに受け付けられた場合」とは、「勧誘情報の対象となる他のユーザからの承認情報が受付機能によってさらに受け付けられた場合」である点で共通する。 引用発明1の「勧誘対象プレーヤを勧誘プレーヤの所属チームに加入させる」機能と、本願発明の「勧誘情報に基づいて対象ユーザが所属するグループを変更する変更機能」とは、「勧誘情報に基づいて勧誘情報の対象となる他のユーザが所属するグループを変更する変更機能」である点で共通する。 したがって、本願発明と引用発明1とは 「ゲーム媒体を用いたゲームの進行を処理するゲームプログラムであって、 コンピュータに、 (i)前記ゲームに参加する権利を有するユーザである対象ユーザが用いる対象ユーザ端末から、前記ゲーム媒体の動作に関する動作指示、および(ii)ユーザが用いるユーザ端末から、ユーザが所属するグループに所属するよう他のユーザに促す勧誘情報を受け付ける受付機能と、 前記受付機能が勧誘情報を受け付けた場合他のユーザに前記勧誘情報を送信する送信機能と、 勧誘情報の対象となる他のユーザからの承認情報が受付機能によってさらに受け付けられた場合、当該勧誘情報に基づいて勧誘情報の対象となる他のユーザが所属するグループを変更する変更機能と、を実現させるゲームプログラム。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願発明では、「ゲームに参加する権利を有さないユーザである非対象ユーザが用いる非対象ユーザ端末」から勧誘情報を受け付けるのに対し、引用発明1では、勧誘情報を受け付けるユーザ端末が、ゲームに参加する権利を有さないユーザが用いる非対象ユーザ端末であることが明らかでない点。 [相違点2] 本願発明では、「(ゲームに参加する権利を有する)対象ユーザに勧誘情報を送信」し、「前記対象ユーザからの承認情報が受付機能によってさらに受け付けられた場合、勧誘情報に基づいて前記対象ユーザが所属するグループを変更する」のに対し、引用発明1では、勧誘情報が送信される他のユーザ、承認情報を送信する他のユーザ、所属するグループが変更される他のユーザが、ゲームに参加する権利を有する対象ユーザであることが明らかでない点。 [相違点3] 本願発明は、「ゲームの進行を把握可能なゲーム画面に関する画面情報を、受付機能によって受け付けられた動作指示に応じて生成する生成機能」と、「受付機能が受け付けた非対象ユーザ端末からの画面情報の出力要求に応じて、前記画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力する出力機能」と、「画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に生成された前記画面情報を記憶部に記憶する記憶機能」を備えているのに対し、引用発明1は、これらを備えていない点。 ウ 判断 上記相違点1、2に先立ち、上記相違点3について検討する。 引用発明2及び4は、相違点3に係る本願発明の「画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に生成された前記画面情報を記憶部に記憶することを実現する」という発明特定事項を備えていない。また、当該発明特定事項が設計的事項であるといえる根拠もない。 引用発明3は、「所与の期間内に入力されたメッセージの数」に基づいて、「再現映像データを保存」するものであるが、本願発明は「画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上」であるときに「画面情報を記憶部に記憶する」ものであり、本願発明の画面情報を記憶する条件は、画面情報を出力された非対象ユーザ端末数であって、メッセージの数ではない。また、「所与の期間内に入力されたメッセージの数」を「非対象ユーザ端末数が所定数以上」に変えることが設計的事項であるといえる根拠もない。 したがって、相違点3に係る発明特定事項について、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に想到できたとはいえない。 よって、相違点1、2について検討するまでもなく、本願発明は引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に想到できたとはいえない。 エ 本願請求項2ないし6に係る発明について 本願請求項2ないし4に係る発明は、請求項1をさらに限定するものであるから、本願発明と同様に、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に想到できたとはいえない。 本願請求項5、6に係る発明は、本願発明と実質的には同じであるので、本願発明と同様に、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に想到できたとはいえない。 オ 小括 上記のとおり、本願請求項1ないし6に係る発明は、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に想到できたとはいえない。 (2)理由2(特許法第36条第6項第2号)について ア 本願請求項2の「前記出力機能はさらに、前記生成機能が生成したアイテムに関する情報と前記アイテムの使用を示す画面情報とを前記非対象ユーザ端末に出力し」の記載について、その技術的定義が不明瞭であるとはいえない。 なお、当該記載は、本願明細書の【0082】の「ゲーム媒体がアイテムを使用したことを示す戦況が表示された場合に、非対象ユーザが当該アイテムの名称を選択したとき、情報処理装置100は、当該アイテムを入手可能な画面(例えば、ショップやアイテム入手が可能なクエスト画面)を表示できる。」という記載を包含したものであり、【0082】の記載と対応していないとはいえない。 イ 請求項2において、「非対象ユーザ端末に出力」された「アイテムに関する情報」と「アイテムの使用を示す画面情報」は、双方とも「アイテムに関連する画像」に含まれるといえるから、出力機能が出力する「アイテムに関する情報」と、非対象ユーザが選択する「アイテムに関連する画像」との異同は明確である。 よって、請求項2に係る発明が明確でないとはいえない。請求項2を引用する請求項3、4に係る発明についても同様である。 (3)まとめ 上記のとおり、本願請求項1ないし6に係る発明は、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえず、また、請求項2ないし4に係る発明が明確でないともいえない。 よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1、5、6には「ゲームに参加可能な対象ユーザ」、「ゲームに参加不可能な非対象ユーザ」とあるが、この記載から、「対象ユーザ」が常にゲームに参加可能であり、「非対象ユーザ」が常にゲームに参加不可能と取ることもできるので、この記載の意味が明確でない。 請求項1には、「非対象ユーザが用いる非対象ユーザ端末」から「ゲームの進行を把握可能なゲーム画面に関する画面情報」を要求し、その要求を「受付機能」が受け付けることが記載されていないから、「画像情報を出力された非対象ユーザ端末数」が時間とともに変動することが不明であり、したがって、「画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定以上である時間帯」の意味を明確に理解できない。 請求項3には、「メッセージを所定数以上受け付けた時間帯の画面情報を記憶部に記憶させる記憶機能」とあるが、請求項3が引用する請求項1の「前記画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に生成された前記画面情報を記憶部に記憶する記憶機能」の記載との関係が明確でない。請求項4についても同様である。 よって、請求項1ないし6に係る発明は明確でない。 2 当審拒絶理由の判断 平成28年6月6日付け手続補正書により、本願請求項1の「ゲームに参加可能な対象ユーザ」、「ゲームに参加不可能な非対象ユーザ」の記載は、「ゲームに参加する権利を有するユーザである対象ユーザ」、「ゲームに参加する権利を有さないユーザである非対象ユーザ」と補正された。これにより、対象ユーザ、非対象ユーザがそれぞれゲームに参加する権利を有するユーザ、ゲームに参加する権利を有さないユーザであることが特定され、意味が明確となった。 また、「非対象ユーザが前記ゲームの進行を把握可能となるように、前記生成機能によって生成された画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力する出力機能」が、「受付機能が受け付けた前記非対象ユーザ端末からの前記画面情報の出力要求に応じて、前記画面情報を前記非対象ユーザ端末に出力する出力機能」と補正された。これによって、画面情報は、出力要求した非対象ユーザ端末に出力されるため、画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が、出力要求した非対象ユーザの数に応じて時間とともに変動することが明確となった。 したがって、請求項1に係る発明は明確となった。請求項5、6に係る発明ついても同様である。 また、本願請求項3については、「前記メッセージを所定数以上受け付けた時間帯の画面情報を記憶部に記憶させる記憶機能」の記載、請求項の「対象ユーザに関する評価が所定の条件を満たしている時間帯の画面情報を記憶部に記憶させる記憶機能」の記載が、それぞれ「前記記憶機能は、さらに、メッセージを所定数以上受け付けた時間帯の画面情報を記憶部に記憶させる」、「前記記憶機能は、さらに、前記対象ユーザに関する評価が所定の条件を満たしている時間帯の画面情報を記憶部に記憶させる」と補正された。これにより、請求項3に係る発明においては、画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に加えて、メッセージを所定数以上受け付けた時間帯に画面情報を記憶部に記憶させることが明確となった。また、請求項4に係る発明においては、画面情報を出力された非対象ユーザ端末数が所定数以上である時間帯に加えて、対象ユーザに関する評価が所定の条件を満たしている時間帯に画面情報を記憶部に記憶させることが明確となった。 よって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-08-16 |
出願番号 | 特願2014-242420(P2014-242420) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 柴田 和雄 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
植田 高盛 吉村 尚 |
発明の名称 | ゲームプログラム、ゲーム処理方法、および、情報処理装置 |
代理人 | 白坂 一 |