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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06T
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06T
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06T
管理番号 1318098
異議申立番号 異議2015-700159  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-09 
確定日 2016-08-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第5715316号発明「血流の患者に特異的なモデルからの情報を提供するための方法およびシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5715316号の請求項1?20に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5715316号の請求項1ないし20に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)5月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年5月14日、米国)を国際出願日として特許出願され、平成27年3月20日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人伊丹勝により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年3月1日付けで取消理由を通知し、平成28年5月31日付けで意見書が提出されたものである。

2.本件発明
本件特許の請求項1ないし20に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」などという。)。

(本件発明1)
【請求項1】
少なくとも1つのコンピューターシステムを用いて患者に特異的な血流情報を提供する方法であって、該少なくとも1つのコンピューターシステムは、タッチスクリーンを含み、該方法は、
該タッチスクリーン上に、該患者に特異的なデータに基づいて生成された三次元モデルを表示することであって、該三次元モデルは、該患者の解剖学的構造の少なくとも一部を表す、ことと、
ユーザーによって示された該タッチスクリーン上の第一の位置に関連する第一の入力を受信することであって、該タッチスクリーン上の該第一の位置は、表示された該三次元モデル内の第一の位置を示す、ことと、
該第一の入力によって示された該三次元モデル内の該第一の位置における少なくとも1つの血流特徴の数値を、該タッチスクリーン上に表示することと、
ユーザーが該タッチスクリーンを横切って指またはポインティング物体をドラッグするにつれて該少なくとも1つの血流特徴の数値の表示を決定し、ダイナミックにアップデートすることと
を含む、方法。

(本件発明2)
【請求項2】
前記少なくとも1つの血流特徴の数値の前記表示は、表示された前記患者の前記解剖学的構造の三次元モデルに対する前記指または前記ポインティング物体の位置に基づいて生成される、請求項1の方法。

(本件発明3)
【請求項3】
前記第一の位置でピンを形成することであって、該ピンは、前記ユーザーによって前記三次元モデル内で移動可能である、ことと、
該ユーザーによって該ピンが移動されるにつれて前記解剖学的構造内の前記少なくとも1つの血流特徴の数値を、前記タッチスクリーン上でアップデートすることと
をさらに含む、請求項1の方法。

(本件発明4)
【請求項4】
前記三次元モデル内の複数の位置で前記解剖学的構造内の前記少なくとも1つの血流特徴の数値をアップデートすることと、
シェード、パターンまたは色のうちの少なくとも1つを用いて、表示された該三次元モデル上で該少なくとも1つの血流特徴の数値を示すことと
をさらに含む、請求項1の方法。

(本件発明5)
【請求項5】
ユーザーが前記タッチスクリーンの表面をスワイプすることに応答して、表示された前記三次元モデルを回転させることをさらに含み、該回転の量および方向は、該スワイプの特性に依存する、請求項1の方法。

(本件発明6)
【請求項6】
ユーザーが、前記タッチスクリーンに対して、離れた位置に位置する複数のポインティング物体のうちの2つをピンチすることに応答して、表示された前記三次元モデルに対するズームを調節することをさらに含み、該ズームの量は、該ピンチの特性に依存する、請求項1の方法。

(本件発明7)
【請求項7】
前記第一の入力と、前記少なくとも1つの血流特徴の数値を要求する少なくとも1つの後続の入力とを受信する第一のモードで操作することと、前記タッチスクリーン上で受信された介入入力に基づいて冠状動脈インターベンションをモデル化する要求を受信する第二のモードで操作することとの間で切り替えることをさらに含む、請求項1の方法。

(本件発明8)
【請求項8】
治療をモデル化するモードで操作している間に、前記タッチスクリーン上で介入位置に関連する介入入力を受信することをさらに含み、該介入入力は、前記三次元モデルの修正を示し、前記コンピューターシステムに、該タッチスクリーン上の該介入位置に対応する該三次元モデルの位置で冠状動脈インターベンションの表示を生成させる、請求項1の方法。

(本件発明9)
【請求項9】
前記介入入力は、ステントまたはバイパスの選択、および該選択されたステントまたはバイパスの位置またはサイズの変更を含む、請求項8の方法。

(本件発明10)
【請求項10】
前記冠状動脈インターベンションの前記表示は、ステントの長さ、近位径、および遠位径から選択された少なくとも1つの選択されたステントの特性を示す、請求項9の方法。

(本件発明11)
【請求項11】
第一の部分と第二の部分とを含む分割スクリーンを提供することをさらに含み、該二つの部分は、それぞれの表示された三次元モデルの異なる変更を示す異なる介入入力を受信するように構成されている、請求項8の方法。

(本件発明12)
【請求項12】
前記ユーザーによって制御される少なくとも1つのポインティング物体から、前記第一の入力および少なくとも1つの後続の入力とを受信することをさらに含み、該少なくとも1つのポインティング物体は、前記ユーザーの少なくとも1つの指、またはスタイラスを含む、請求項1の方法。

(本件発明13)
【請求項13】
前記少なくとも1つの血流特徴の数値は、圧力勾配の数値、冠血流予備量比の数値、圧力の数値、流速の数値および速度の数値のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1の方法。

(本件発明14)
【請求項14】
前記患者の前記解剖学的構造は、大動脈の少なくとも一部と、該大動脈の該一部から発している複数の冠動脈の少なくとも一部とを含む、請求項1の方法。

(本件発明15)
【請求項15】
前記少なくとも1つの血流特徴の数値は、前記複数の冠動脈内の位置での圧力と、該複数の冠動脈内の該位置から上流の位置での圧力との間の比を示す冠血流予備量比の数値を含む、請求項14の方法。

(本件発明16)
【請求項16】
前記少なくとも1つの血流特徴の数値の前記表示は、計算冠血流予備量比モデルおよび計算圧力勾配モデルのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1の方法。

(本件発明17)
【請求項17】
前記少なくとも1つの血流特徴の数値の前記表示は、血管の内径および厚みのうちの少なくとも1つから選択された幾何形状の情報をさらに含む、請求項1の方法。

(本件発明18)
【請求項18】
前記患者の前記解剖学的構造は、患者の心臓、首、頭部、胸部、腹部、腕、または脚内の複数の動脈の一部のうちの少なくとも1つを含む、請求項1の方法。

(本件発明19)
【請求項19】
患者に対して患者に特異的な血流情報を提供するシステムであって、
該システムは、
タッチスクリーンを含む表示装置と、
プロセッサと
を少なくとも含み、
該表示装置は、
(i)患者に特異的なデータに基づいて生成された三次元モデルを表示することであって、該三次元モデルは、該患者の解剖学的構造の少なくとも一部を表す、ことと、
(ii)ユーザー入力によって示された該三次元モデル内の位置で少なくとも1つの血流特徴の数値を表示することと
を行うように構成され、
該プロセッサは、
(i) ユーザーによって示された該タッチスクリーン上の第一の位置に関連するユーザー入力を受信することであって、該タッチスクリーン上の該第一の位置は、表示された該三次元モデル内の第一の位置を示す、ことと、
(ii)ユーザーが該タッチスクリーンを横切って指またはポインティング物体をドラッグするにつれて該少なくとも1つの血流特徴の数値の表示を決定し、該タッチスクリーン上でダイナミックにアップデートすることと
を行うように構成される、システム。

(本件発明20)
【請求項20】
少なくとも1つのタッチスクリーンコンピュータシステム上での使用のための持続性コンピューター読み取り可能媒体であって、該持続性コンピューター読み取り可能媒体は、患者に特異的な血流情報を提供するコンピューターが実行可能なプログラミング命令を含み、
該命令は、
該タッチスクリーン上に、該患者に特異的なデータに基づいて生成された三次元モデルを表示することであって、該三次元モデルは、該患者の解剖学的構造の少なくとも一部を表す、ことと、
ユーザーによって示された該タッチスクリーン上の第一の位置に関連する第一の入力を受信することであって、該タッチスクリーン上の該第一の位置は、表示された該三次元モデル内の第一の位置を示す、ことと、
該第一の入力によって示された該三次元モデル内の該第一の位置における少なくとも1つの血流特徴の数値を、該タッチスクリーン上に表示することと、
ユーザーが該タッチスクリーンを横切って指またはポインティング物体をドラッグするにつれて該少なくとも1つの血流特徴の数値の表示を決定し、ダイナミックにアップデートすることと
を行うための前記少なくとも1つのタッチスクリーンコンピュータシステムによって実行可能である、持続性コンピューター読み取り可能媒体。

3.取消理由の概要
当審において、本件特許に対して通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(1)請求項1ないし20に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記アの点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。

ア.請求項1ないし4,7,13,15ないし17,19,20に記載される「血流特徴の数値」は、その用語により表されるものが具体的にどのようなものであるのかが明確ではない。
また、そのために「血流特徴の数値」が発明の詳細な説明に記載されるものであるのかも確認できない。
それらの請求項を引用する請求項5,6,8ないし12,14,18も、同様である。

(2)請求項1,2,9,10,14,17ないし20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(3)請求項1ないし20に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、および甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
各請求項に提示した引用文献は以下のとおりである。

・請求項1?3,7?12,14,17?20について
甲第1号証

・請求項4について
甲第1,2号証

・請求項5,6について
甲第1,5号証

・請求項13,15,16について
甲第1,4号証

(4)引用文献
甲第1号証:特表2009-515602号公報
甲第2号証:James E. Moore Jr. et al., “Coronary artery bifurcation biomechanics and implications for interventional strategies”, Catheterization and Cardiovascular Interventions, 2010-11-15, Volume 76, Issue 6, p.836-843
甲第4号証:特表2013-505782号公報
甲第5号証:特開2011-205345号公報

4.甲各号証の記載
(1)甲第1号証(特表2009-515602号公報)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0007】
本発明の実施形態は、シミュレーション用の物理システムのモデルを編集するためのシステムおよび方法を提供する。
【0008】
(例示的血管内シミュレーションエディタ)
本発明の一実施形態では、シミュレーションプログラムで使用するための血管内システムの1つ以上の特性を編集するために、ユーザはエディタを使用する。ユーザが特性の1つまたはそれ以上を変更した後、ユーザは、模擬環境内でモデル全体を使用する完全シミュレーションを実行することなく、モデルの変更部分のシミュレーションを実行することができる。例えばユーザは、ヒトの心臓の心腔の壁に関連する厚さ特性を変更することができる。ユーザは次いで、変更された壁だけのシミュレーションを実行し、入力装置を介して表示または相互作用して、心臓の変更された部分を分離し、試験することができる。これにより、変更された特性について、シミュレーションの文脈内でモデル全体のシミュレーションで現実的であるより高速で、より焦点を絞った試験をユーザに提供することができる。

【0010】
(シミュレーションプログラムの例示的システム)
本発明の一実施形態では、物理システムのモデルは、物理システムの様々な特性を記述する構成体を含む。例えばヒトの心臓のモデルは、心臓の大きさおよび形状、心腔の大きさおよび形状、心臓の様々な箇所の壁の厚さ、または他の特性をはじめ、心臓の特性を包含するデータファイルを含むことができる。モデルの構成体の特性は、構造特性、電気特性、振動特性、および他の特性をはじめ、モデル化された物理システムの多くの異なる様相を含むことができる。例えば心臓のモデルは、構造特性のみならず、心臓に関連する血管、神経、組織、および他の生体システムに関連する情報をも含むことができる。
【0011】
そのようなモデルはシミュレーションプログラム内で使用され、ユーザが物理システムの使用または操作を訓練するために、シミュレーションプログラムのユーザがモデルと相互作用することを可能にする。例えばヒトの心臓のモデルを使用するシミュレーションプログラムは、医学生が心臓について学び、あるいは、実際の心臓手術を実行する必要無く、モデル化された心臓に模擬外科処置を実行することを可能にする。
【0012】
そのようなモデルはまた、低侵襲手術(MIS)のシミュレーションにも使用することができる。MISは、全ての医学分野にまたがる外科手術の分野である。MISでは、手術は、1つ以上の大きい切開を通してではなく、小さい穿刺を通して身体内に収まるように設計された特殊器具を使用して実行される。今日の全外科手術の半分近くが外来であり、あるいは外来患者ベースで実行されるという事実は、大部分がMIS技術のおかげであると考えられている。MISは通常、結果的に患者の痛み、瘢痕、および回復時間が少ないだけでなく、(より短期の入院のため)医療コストも低減する。
【0013】
これまで10年以上にわたって、経皮的(皮膚を介して行なわれる血管へのアクセス)冠動脈形成術(PCI)は開心術に取って代わるようになってきた。バルーンおよびステント(小金網管)が粥状動脈硬化症の治療におけるPCIに組み込まれるようになり、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)として知られる。ここで、経管とは血管内で行われる処置を指す。細い可撓管であるカテーテルは、患者の解剖学的組織の様々な部分に到達するために、ガイドワイヤと共に使用される。バルーンおよびステントは次いで、閉塞部を開通し、標的器官または身体システムの再灌流をもたらすために使用される。バルーンおよびステントは心臓、脳、腎臓、腹部、脚、および頸部に配置することができる。
【0014】
多種多様な訓練シナリオを提供するために、物理システムの複数の異なるモデルを提供することが有利であり得る。例えば、医学生に幅広い訓練シミュレーションを提供するために、様々な大きさ、形状、年齢、および様々な病理の心臓をモデル化することができる。ヒトの心臓の多種多様なモデルを提供するために、所望の各異形に対し新しいモデルを再び最初から始めるのではなく、後で変更またはカスタマイズすることのできる、ヒトの心臓の基本モデルを形成することが有利である可能性がある。
【0015】
本発明の一実施形態では、シミュレーション用の物理システムのモデルのエディタは、コンピュータソフトウェアを実行するコンピュータシステムを含む。コンピュータソフトウェアは、グラフィカルユーザインタフェースを含む。グラフィカルユーザインタフェースは、ユーザがヒトの心臓の医学的モデルのような物理システムのモデルのグラフィック表現を観察し、かつ操作することを可能にする。モデル化することのできる物理システムの実施例としてヒトの心臓を使用するが、物理システムの医学的モデルは、人体の他の器官もしくは部分、他の植物もしくは動物の器官もしくは部分、または細菌、ウィルス、および胚のような他の生体組織を含むことができる。医学的モデルに加えて、機械システムもしくは電気システムもしくはサブシステム、または機械、電気、もしくは他の型の物理システムの部分のモデルのような、他の物理システムをモデル化することができる。一実施形態では、エディタのユーザは、モデルの一部分を回転、ズーム、選択し、モデルの特定の層もしくはサブシステムを選択し、あるいはモデルに関連する所望の属性またはパラメータをユーザが正確に編集することを可能にする同様の操作を実行することができる。加えて、ユーザが模擬環境でモデルの完全シミュレーションを実行することなく、変更を分離して試験することができることが有利であり得る。さらに、モデルに行われた変更をより綿密に精査するために、ユーザが修正されたモデルもしくはモデルの一部分と相互作用することを可能にすることが有利であり得る。
【0016】
ユーザはまた、例示的実施形態を使用してモデルの1つ以上の特性またはパラメータを変更することもできる可能性がある。例えばユーザは、大きさまたは形状のようなモデルの構造特性を変更することができる可能性がある。ユーザは、モデル内の電気サブシステム、油圧サブシステム、筋肉サブシステム、または他のサブシステムもしくはサブセクションのような、モデルのサブシステムまたはサブセクションを変更することができる可能性がある。
【0017】
例えばモデルはヒトの心臓を表わし得る。本発明の一実施形態は、ユーザがメニュー、ウィンドウ、スライダバー、ダイヤル、または他の道具のような1つ以上のインタフェース要素を使用して、心臓の大きさ、心臓の壁の厚さ、心臓内の1つ以上の心腔の配置もしくは形状、または心臓の形状を調整することを可能にすることができる。例えばユーザは、心臓の形状に関連するウィンドウを開くことができ、ウィンドウは1つ以上のパラメータおよび対応する値を含む。ユーザは1つ以上のパラメータの値を変化させることができ、それは次いでヒトの心臓のモデルの対応する変化を生じさせ得る。パラメータの変化はまたモデルのグラフィック表現をも変化させ、変更の視覚的フィードバックをユーザに提供し得る。さらに、変更は、モデルに関連する感覚または触覚効果の変化を引き起こし得る。例えば心臓の壁の厚さの変更は、変更された壁と相互作用する入力装置または外科器具に対する抵抗を増大させ得る。一実施形態では、心臓の電気的特性の変化は、心臓の収縮の強度の増大に対応して入力装置の振動を増大させ得る。抵抗触覚効果、能動的触覚効果、および振動触覚効果のような、多種多様な他の触覚効果も提供され得る。
【0018】
物理システムのモデルを編集するための1つの例示的システムは、コンピュータまたは他のプロセッサをベースとする装置と連絡している入力装置をも含む。入力装置は、コンピュータと相互作用するために使用される任意の装置とすることができる。例えば入力装置はキーボード、マウス、ジョイスティック、またはタッチスクリーンとすることができる。入力装置はまた、シミュレーションと相互作用するために使用されるシミュレーション装置とすることもできる。例えばシミュレーション装置は、編集されるモデルに関係するシミュレーションで使用されるツールであるかもしれず、モデルに行なわれた変更を試験するために使用される可能性がある。例えばシミュレーション装置は、ヒトの心臓が関係する模擬処置に関連するカテーテルのような医療器具であるかもしれず、心臓に栄養素を供給する血管の大きさの変化を試験するために使用される可能性がある。本発明の他の実施形態では、シミュレーション装置は、腹腔鏡、シリンジ、静脈注射用の針、外科用メス、または外科処置または他の医療処置に使用される他の器具でもよい。一部の実施形態では、シミュレーション装置はまた、ジョイスティック、ステアリングホイール、ヨーク、スロットル、または同様の道具のような、他の型のシミュレーションに適した装置または道具でもよい。

【0021】
例示的システム
今、図を参照しながら説明するが、幾つかの図を通して、類似の番号は類似の要素を指している。図1は、シミュレーション用の物理システムのモデルを編集するためのシステム100の一実施形態のブロック図を示す。図1に示す実施形態は、コンピュータ102に結合されたディスプレイ101を含む。本明細書では外科用器具とも呼ばれる入力装置104は、コンピュータ102およびアクチュエータ105と連絡している。コンピュータ102は、ディスプレイ101に表示することのできるグラフィカルユーザインタフェースを含む、エディタ103を実行するように構成される。コンピュータはまた、モデルのシミュレーション106を実行するようにも構成される。

【0025】
一実施形態では、コンピュータ102は、エディタ103を実現するためのプログラムコードを格納するように構成されたメモリ、例えばハードドライブを含むことができる。コンピュータ102は、ディスプレイ101と連絡することができる。一実施形態では、コンピュータ102はエディタ103を実行し、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)をディスプレイ101上に表示させることができる。ユーザは、例えばキーボード、マウス、または他の入力装置によりグラフィカルユーザインタフェースと相互作用することができる。例えばユーザは、メモリデバイスから物理システムのモデルをロードし、モデルを変更し、変更されたモデルをメモリデバイスに格納することができる。ユーザはさらに、モデルに行なわれた変更を含め、モデルまたはモデルの一部分のシミュレーションを、コンピュータ102に実行させることができる。
【0026】
ユーザがコンピュータ102にシミュレーション106を実行させる場合、コンピュータは入力装置104から信号を受け取ることができる。これらの信号を本明細書では入力信号と呼ぶことがある。コンピュータ102はさらに、入力装置104および/またはアクチュエータ105に信号を送信し得る。コンピュータ102から入力装置104に送信される信号を本明細書では、出力信号と呼ぶことがある。コンピュータ102からアクチュエータ105に送信される信号を本明細書では、アクチュエータ信号と呼ぶことがある。例えばコンピュータはアクチュエータ105に信号を送信して、入力装置104に対する力を出力させることができる。そのような力は触覚効果を生じるように構成することができ、下でさらに詳しく説明するように、抵抗力、能動的力、振動力、または別の型の力とすることができる。
【0027】
ディスプレイ101は多種多様なディスプレイ装置の1つを含むことができる。例えばディスプレイ101は、コンピュータ102から信号を受信しかつ信号の可視表現を生成することのできる、ブラウン管(CRT)モニタ、液晶ディスプレイ(LCD)、または他のディスプレイ装置を含むことができる。一実施形態では、ディスプレイ101はタッチスクリーンまたは他の接触感知ディスプレイスクリーンを含むことができる。

【0030】
実施形態では、入力装置104はまた、マネキン、血管造影用/ガイディングカテーテル、診断/治療ワイヤ、バルーン/ステントカテーテル、造影剤および薬物のマニホルド/注入、バルーン膨張装置、蛍光透視機器、Cアームコントロール、デュアルスクリーンインタフェース、シネおよび蛍光コントロール用の足踏みペダル、ならびに/または自由流動デブリを捕獲する塞栓防止装置およびバスケットをも含むことができるが、それらに限定されない。入力装置104は、ユーザの動きを追跡して、ステント、ペースメーカリード、またはデブリの下流への流動を阻止するのに使用されるカテーテルおよびバルーン閉塞遠位保護装置のような種々の介入装置の挿入をシミュレートするように構成することができる。

【0035】
アクチュエータ105は、多数の異なる型のアクチュエータの1つまたはそれ以上を含むことができる。例えば一実施形態では、アクチュエータ105は圧電アクチュエータを含むことができる。一実施形態では、アクチュエータ105は電磁アクチュエータを含むことができる。他の実施形態は、モータ、ブレーキ、ソレノイド、偏心回転質量、および/または多機能アクチュエータを含むことができる。例えば一実施形態では、カテーテルを含む入力装置は、入力装置に制動力を提供するように構成された電磁アクチュエータを含むことができる。アクチュエータが付勢されると、アクチュエータはブレーキ表面を入力装置に接触させることができ、それによって入力装置の運動に抵抗を生じさせることができる。別の実施形態では、リニア共鳴アクチュエータを使用して、例えば血流または心拍をシミュレートするような、振動効果を提供することができる。本発明の1つ以上の実施形態で、さらに別の型のアクチュエータを使用することができる。
【0036】
一実施形態では、システム100は、例えば手術が行なわれる患者の体内器官のモデル(本明細書では「仮想器官」と呼ぶ)のような、エディタ103を用いて編集することのできる物理システムのモデルを形成するように構成することができる。一実施形態では、システム100は患者の心臓の磁気共鳴撮像(MRI)データを評価して、心臓の心腔の3次元表現を生成することができる。心静脈解剖学的組織の経路の3次元表現をシステムに構成することもできる。外科医はデータを評価し、かつシステムのシミュレーションで使用するために患者の心臓の適正な近似物を形成するのに、システムを利用することができる。したがって、システム100は、患者の解剖学的組織の検査から取り出したデータをインポートし、患者の器官の形状をディスプレイ上に提供することができる。システムはこうして、外科医が事前に外科手術を練習したり、特定の事例に存在する困難を克服するための様々な方法を検討したりすることができるように、患者の器官の仮想複製を外科医に提供することができる。本明細書で論じるモデルは心臓であるが、本発明の実施形態は、生体システム、機械システム、電気システム、または他のシステムを含め、任意の物理システムのモデルの編集を可能にすることに留意されたい。

【0044】
図5は、本発明の一実施形態に係る、物理システムのモデルを編集するためのGUIコンポーネント500を示す。図5のモデル201のグラフィック表現は、物理システムのモデルの構造の一部分を画定するスプラインのグラフィック表現を含む。例えば図5に示す心臓201のモデルでは、スプラインは心臓201に関連する1つ以上の血管510の形状を表わす。他の実施形態では、スプラインは物理システムのモデルの特徴を表わし得る。例えば一実施形態では、1つ以上のスプラインは、燃料管路、エンジンブロック内の気筒、または車両もしくはエンジンの他の特徴を画定する可能性がある。さらなる実施形態では、1つ以上のスプラインはビデオゲーム環境における地形の形状および/または質感を定義し得る。
【0045】
図5に示す実施形態では、ユーザは、GUIコンポーネント500によって提供されるインタフェース要素を用いて、スプラインを変更し得る。例えばユーザは、1つ以上のスプラインによって表わされる血管の半径を変化させるか、あるいはスプラインの形状に関連する1つ以上の点を動かすことによってスプラインの幾何形状を変化し得る。

【0055】
図16?21は、本発明の一実施形態に係るエディタのGUIコンポーネントを示す。図16?21の各々は、変更ができない可能性がある物理システムのモデルの異なるグラフィック表現を提示する。例えば一実施形態では、エディタは、モデルに関連する1つ以上のパラメータに基づいて動作中のモデルの可視化を可能にする。例えば図18は、ヒトの心臓のモデル201の電気生理学的表現を示す。図18のグラフィック表現は、ヒトの心臓201の電気システムの動作のグラフィック表現を提示する。本発明の一実施形態は、少なくとも部分的にモデルに関連するパラメータに基づいて、物理システムのモデルの様相をユーザが観察することを可能にする、1つ以上のシステムの可視化をもたらすことができる。例えば図16は、ヒトの心臓201の電気システムのグラフィック表現を示す一方、図19は、心臓201に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を示す。ユーザはグラフィック表現と相互作用して、モデルに関するデータおよびパラメータを表示させることができるが、一実施形態では、ユーザは、ヒトの心臓201のモデルに関連するパラメータを変更することができない可能性がある。
【0056】
(モデルを編集するための例示的方法)
図22は、本発明の一実施形態に係る、物理システムのモデルを編集するための方法2200を示すフローチャートを示す。例えばコンピュータ102はエディタ103を実行し、ユーザが物理システムのモデルを編集しながら相互作用するためのGUIをディスプレイ103上に提供することができる。該方法はブロック2201で開始され、一実施形態では、コンピュータ102が物理システムのモデルに関連する少なくとも1つのパラメータを表示する。コンピュータ102はパラメータをテキストとして表示することができる。例えばコンピュータ102は、パラメータ名がスライダ、テキストボックス、またはユーザ入力を受け取るように構成された他の要素と共に表示される、ウィンドウを表示することができる。一実施形態では、モデルの一部分、またはモデルの強調表示部分のような、パラメータのグラフィック表現を表示することができる。
【0057】
ブロック2202で、ユーザは物理システムのモデルに関連するパラメータを変更する。ユーザは、上述した本発明の実施形態に記載したGUIを使用して、あるいは他の実施形態では他の手段を介して、パラメータを変更することができる。例えばユーザは、少なくとも1つのパラメータを表示するウィンドウに、パラメータに関連する値を入力することができる。一実施形態では、ユーザはモデルのグラフィック表現と相互作用し、それによってモデルに関連するパラメータを変更することができる。例えばユーザはモデルと相互作用し、モデルの一部分をドラッグして、走査画像と対応させることができる。ユーザは、点をドラッグすることによって、モデルに関連するパラメータを変化させることができる。一実施形態では、ユーザは、スライダバーを動かし、ダイヤルを回し、あるいはデジタイザ、電圧計、熱電対、または他のセンサのような外部装置から入力を提供することによって、モデルに関連するパラメータを変更することができる。
【0058】
ブロック2203で、変更されたパラメータを組み込んだモデルの少なくも一部分のシミュレーションが実行される。例えば一実施形態では、モデルはヒトの心臓および心臓に栄養素を供給する1つ以上の血管を含む。心臓のモデルを編集する間に、ユーザは血管の1つの直径のようなモデルの一部を変更することができる。次いで血管の分離シミュレーションを実行することができるので、物理モデル全体のシミュレーションは実行されない。例えばシミュレーションは、入力装置と、心臓全体ではなく血管との相互作用を計算するだけである可能性がある。これは、血管と相互作用する追加システム無しに、血管に行なわれた変化にユーザが焦点を絞ることができるという利点をもたらすことができる。例えばユーザは、入力装置104の動きがモデルの別の部分に対し、血管の変更の試験を妨げ得る反応を引き起こすかどうかについて考慮することなく、血管との相互作用をシミュレートすることができる。したがってユーザは、心臓のモデル全体のシミュレーションを実行する必要無く、血管径の変化に関連するカテーテル上の触覚効果をより迅速かつ容易に感じることができる。

(2)甲第2号証(Coronary artery bifurcation biomechanics and implications for interventional strategies(冠動脈分岐の生物力学と介入方法の関係))には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(なお、括弧内に、異議申立人が提示した「甲第2号証抄訳文」を参考にして当審で作成した日本語仮訳を添付する)。

「INTRODUCTION AND BACKGROUND
Coronary atherosclerotic disease (CAD) tends to form near branching points where blood flow patterns show strong spatial dependence [1], and stents are the preferred treatment for CAD.」(836頁左欄1?5行)
(序論と背景
冠動脈アテローム性動脈硬化疾患(CAD)は、血流パターンが強い空間依存性を示す分岐点近傍に形成される傾向がある[1]、そして、ステントがCADのための好ましい治療法です。)

「The goal of this article is to review flow dynamics of bifurcations and their putative link to atherogenesis, followed by a discussion of the insight garnered by more recent in silico techniques, most notably computational fluid dynamics (CFD).」(836頁左欄15行?837頁左欄1行)
(この論文の目的は、分岐点の流れの力学とそれらのアテローム形成への推定される関連を確認し、続いて、より最近のコンピュータシミュレーション技術、特にコンピュータ流体力学(CFD)により獲得された洞察のある議論をすることです。)

「 Hemodynamic alterations colocalize with atherosclerosis.Flow patterns in and around bifurcations have been linked with the development of atherosclerosis. Patterns of early intimal thickening in several arteries coincide with locations of low and oscillating wall shear stresses [WSS; 4?6].(The term ‘‘wall shear stress’’ refers to the stress on the artery wall that is due to the friction associated with the viscous fluid flowing past the artery wall. In this context, its simplest definition is the product of the viscosity of the fluid and the radial gradient of axial velocity).」(837頁左欄9?19行)
( 血行動態の変化は、アテローム性動脈硬化症と共在します。分岐周辺の血流パターンは、アテローム性動脈硬化症の発症と関連しています。いくつかの動脈の早期の内膜肥厚のパターンは、低くて振動する壁せん断応力の位置と一致します [WSS;4-6]。(用語“壁せん断応力”は、動脈壁を通過して流れる粘性流体と関連する摩擦に起因する動脈壁の応力を示します。この文脈では、その最も単純な定義は、流体の粘度と軸方向速度の半径方向の勾配の積です。))

「Computational Biomechanics Studies of Stented Coronary Bifurcations
Computational analysis of blood flow patterns in stented bifurcations.The ability to model the biomechanics of stented arteries has been enhanced in recent years with the emergence of powerful computer hardware and sophisticated modeling software. Investigation of blood flow patterns has benefited from recent advances in CFD software, while the solid mechanical stresses in the artery wall can be modeled with finite element analysis (FEA). Requirements for the study of flow in bifurcations include creating a vessel geometry (typically reconstructed in a subject-specific or idealized manner based on medical imaging data), specifying rheological properties such as blood density and viscosity, prescribing the hemodynamic state at the entrance and exit of vessels (known as boundary conditions) and a powerful computer [29].」(839頁左欄18?35行)
(ステントされた冠動脈分岐のコンピュータ生体力学の研究
ステントされた分岐における血流パターンのコンピュータ解析。ステントされた動脈の生体力学をモデル化する能力は、近年、強力なコンピュータのハードウェアと洗練されたモデリング・ソフトウェアの登場により強化されました。動脈壁中の固体の機械的応力は、有限要素解析(FEA)を用いてモデル化することができるが、血流パターンの調査は、CFDソフトウェアにおける最近の進歩の恩恵を受けています。分岐内における流れの研究のための要件は、(一般的には、医療画像データに基づいて、被検体に特異的で理想化された方法で再構成された)血管の形状を作成すること、血液の粘度と密度のような流動学的特性を指定すること、(境界条件として知られている)血管の入口と出口での血行動態状態を規定することと強力なコンピュータを含んでいます[29]。)

「CFD has been used to characterize flow disturbances from virtual MV stenting, assess the severity of flow alterations caused by a change in carina position or bifurcation morphology after MV stenting and subsequent SB balloon angioplasty in a theoretical model based on intravascular ultrasound (IVUS), and quantify how flow distributions near the bifurcation impact drug transport after DES implantation.
As alluded to above, obtaining an accurate representation of vascular geometry is crucial for identifying regions of flow separation or reversal using CFD. Several studies have been conducted to characterize coronary bifurcation morphology with application to stent design and assessing lesion severity by angiography or FFR.」(839頁右欄4?18行)
(CFDは、仮想のMVステントからの流れの乱れを特徴付けるために使用され、血管内超音波法(IVUS)に基づいた理論モデルにおけるMVステント留置とその後のSBバルーン血管形成後の気管分岐位置や分岐形態の変化による流れの変化の激しさを評価し、そして、DES留置後の分岐の近くの流れの分布がどのように薬物輸送に影響を与えるかを定量化します。
上で言及したように、血管の形状の正確な表現を得ることがCFDを用いた流れの分離または逆転の領域を特定するために重要です。 いくつかの研究は、血管造影法またはFFRによるステント設計への応用と病変の重症度の評価によって、冠状動脈の分岐形態を特徴づけるために行われています。)

「 An example of the utility of CFD for gaining insight into stent performance is provided in Figure 4. Two stent designs (A and B) were virtually implanted into a CFD model created from computed tomography data of a normal coronary artery bifurcation to show how stent design may influence distributions of WSS and intrastrut deformation. The objective of this example is not to show superiority of one design over another, but rather underscore how scaffolding and strut spacing can influence distributions of WSS as well as intrastrut deformation elucidated by CFD which, in this case, includes some of the solid-mechanics functionality discussed in more detail in the following section. Stent A, with greater intrastrut spacing permits more deformation of the vascular wall between struts, but also produces slightly lower distributions of WSS since its struts are less aligned with the primary direction of fluid flow than stent B.」(839頁右欄32?49行)
( ステントの性能への洞察を得るためのCFDの有用性の例が、図4に示されています。二つのステント設計(A及びB)は、ステント設計がWSSの分布とイントラストラットの変形にどのように影響を与えるかを示すために、正常な冠状動脈分岐のコンピュータ断層撮影データから作成されたCFDモデルに仮想的に留置しました。この例の目的は、1つのデザインの別のものに対する優位性を示すのではなく、むしろ、組み方とストラットの間隔が、CFDによって解明されたイントラストラットの変形と同様にどのようにWSSの分布に影響を与えるのかを強調します。このケースでは、次のセクションでより詳細に検討する固体力学の機能の一部を含みます。イントラストラットの間隔が大きいステントAは、ストラット間の血管壁のより多くの変形を可能にするだけでなく、WSSのやや低い分布を生成します。なぜなら、そのストラットは、ステントBよりも流体の流れの主方向により少なく整列されているからです。)

「Fig. 4. Example of how computational methods can be used to gain insight into stent performance. Two stent designs (A and B) were virtually implanted into CFD models created from computed tomography data of a normal coronary artery bifurcation through the use of computer-aided design software in order to show how scaffolding and strut spacing may influence distributions of WSS (top row) and intrastrut deformation (bottom row). Both quantities are revealed in more detail for insets from the epicardial and myocardial luminal surfaces of each stent, and results along the vessel wall were further queried at two circumferential locations (values directly over struts were omitted for clarity). Plots from these circumferential locations (right) indicate that stent A with greater intrastrut spacing permits more deformation of the vascular wall between struts (solid lines), but also produces slightly lower distributions of WSS since its struts are less aligned with the primary direction of fluid flow than stent B (dashed lines). TAWSS: time-averaged wall shear stress. [Color figure can be viewed in the online issue, which is available at wileyonlinelibrary.com.]」(840頁図4の説明)
(図4.コンピュータ計算方法がどのようにステントの性能への洞察を得るために使用することができるかを表す例。二つのステント設計(A及びB)は、組み方とストラットの間隔がWSSの分布(上段)とイントラストラットの変形(下段)にどのように影響を与えるかを示すために、コンピュータ支援設計ソフトウェアを使用することによって正常な冠状動脈分岐のコンピュータ断層撮影データから作成されたCFDモデルに仮想的に留置しました。両方の量は、各ステントの心外膜と心筋腔面からの図より詳細に明らかにされています。そして、血管壁に沿った結果は、さらに2つの周方向の位置(ストラット上の直接の値は、明確にするために省略しました)で照会されました。これらの周方向の位置からのプロット(右)は、イントラストラットの間隔が大きいステントAは、ストラット間(実線)の血管壁のより多くの変形を許可することを示しているだけでなく、WSSのやや低い分布を生成します。なぜなら、そのストラットは、ステントB(破線)よりも流体の流れの主方向により少なく整列されているからです。TAWSS:時間平均壁せん断応力。[カラーの図は、wileyonlinelibrary.comで入手できるオンライン発行物で見ることができます。])

(3)甲第4号証(特表2013-505782号公報)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0004】
血管病変およびその進行の定量的評価には、血管断面積、平均直径、および血流抵抗など異なる定量的尺度の計算を伴い、これらすべては管腔境界の正確な識別に依存する。OCT画像中の管腔境界は、肉眼で明確に識別できるが、管腔境界を手作業で追跡するのは面倒であり、高価であるとともに時間がかかる。従って、管腔境界を自動的に識別する信頼できる技術に対するニーズがある。

【0013】
血管内画像化の利点にもかかわらず、心臓専門医はしばしば、ステント配置のプラン作成および評価にOCTやIVUSの能力を最大限に活用しないことがある。これは、画像に由来する測定値は現在、治療の有効性を予測するのに十分な情報を提供しないためである。例えば、多くの心臓専門医は、ステント配置の判断における重要変数として最小管腔面積(MLA)を頼りにする。MLA測定値が十分低い場合、心臓専門医はステントの移植を決心する可能性がある。次に基準血管セグメントの直径および位置に基づいて、心臓専門医はステントの適切な位置、長さおよび直径を選択する必要がある。ステントのサイズまたは位置の誤った選択は、血流回復の失敗につながり、またステントの移動、ステント血栓症、または血管壁の解離などの重篤な臨床的合併症を起こす可能性さえある。血管内画像化から派生する測定値に基づいたステントのサイズ調整および位置決めの最適化のための新しい方法が必要とされている。最大の臨床的メリットを得るために、これらの新しい方法は、異なる直径と長さのステントを異なる場所に移植することの潜在的な生理学的影響を心臓専門医が予測できるようにしなければならない。

【0027】
概要として、本発明は、(OCT画像または基礎データを使用して)対象血管の血管直径を測定している位置で管腔境界を自動的に見つける方法および装置を提供する。血管の直径および計算血液流速から、多くの臨床的に重要な生理学的パラメータが決定され、さまざまな対象画像が生成される。これらの画像およびパラメータの1つの用途は、ステントの配置において臨床医を支援することである。1つの実施形態では、システムは、これらの測定値を使用して、臨床医がステントの配置をシミュレートし、配置の効果を決定することを可能にする。さらに、これらの患者パラメータから、さまざまな患者治療が実施される。

【0043】
血管に対する縦方向の対象セグメント全体について、図12に示されるように、縦方向位置に対する面積グラフが、個別に計算された断面積から作成される。(輪郭抽出が何らかの理由で失敗した可能性がある場合)不足データについては、適切な補間方法を使用できる。その結果得られるグラフ(図3)は、面積グラフの鋭利な推移を除去するために平滑化される。面積グラフを平滑化する1つの方法は、中央値フィルターを使用することである。本発明はどの特定の平滑化方法にも限定されないことに注意すべきである。
【0044】
血管の断面積が決定されたら、次に狭窄領域の重症度が特性化される。OCTで撮像された狭窄病変の重症度の1つの尺度は、血管抵抗比(VRR)と呼ばれるパラメータで提供される。VRRは、末梢冠血管系の最大血管拡張を仮定して、全血管枝の流動抵抗に対する狭窄血管セグメントの血液流動抵抗を数値化する。VRRは以下のように定義される:

【0087】
数値的プログラムが実行されるにつれ、動脈の長さに沿って圧力および流量が取得される。長さに沿った総圧力の傾きは、抵抗が高いエリアをハイライトするのに使用できる。長さに沿った静圧は、圧力測定値と相関し得る。VRRは対象となる2点間(通常は、遠位基準および近位基準)において計算される。流量が計算されるので、狭窄制限指数(SRI)などの流量および圧力を使う他の指数を計算することができる。ミューイッセン(Meuwissen)らは、狭窄抵抗指数(SRI)を、2つの測定点間のこのラインの傾きとして定義した:
SRI = 測定点間の圧力差(dP)/近位速度

【0092】
この技術で測定できる別のパラメータは、血流予備量比(FFR)である。図13のモデルで定義されるように、血管抵抗比(VRR)は血流予備量比(FFR)と直接的関係を持つ。FFRは、動脈圧に関連して狭窄より遠位の圧力の測定値から決定される:

【0101】
本発明は、血管サイズおよび血流抵抗のパラメータが一度計算されると、ステント選択および配置を対話型コマンドを介して自動的または半自動的に最適化する方法も提供する。これらの流量計算は、一式の先験制約と組み合わせた時、心臓専門医が、移植前にステントの長さ、直径および縦方向の位置の最適化を可能にする。
【0102】
図5を再び参照すると、OCT画像データから派生した冠動脈の管腔の三次元(3D)画像が示されている。この画像を生成するために、上記のコンピュータソフトウェアによって管腔壁の輪郭が自動的にトレースされる。管腔の三次元画像によって示される形態学的データは、ステント最適化手順のさまざまな実施形態の開始点を提供する。第一の画像処理ステップでは、3Dデータセットを、カテーテルの軸に沿った各断面積の平均直径を示す円柱状に対称なデータセットに変換する。各縦方向位置xでの平均直径Dは、断面と同じ面積を持つ円の直径として計算される。

【0105】
対話型ステント最適化では、図20に示されるように、平均直径表示は、再構成可能なステントの位置を血管プロファイルの上に重ね合わせたものを示す。ステントの拡張直径、長さ、および縦方向の位置が、利用可能な血流を心筋に回復することにおける有効性を決定する主要変数である。本発明は、ステント配置の前と後の血管抵抗比(VRR)の差を、重要ステント最適化パラメータとして用いる。別の重要な最適化パラメータは、ステント支柱の表面とステントの全長にわたる血管壁との間の最大間隔として定義される、最大ステント不完全密着距離である。特に薬剤溶出ステントでは、ステントが血管壁にしっかりと密着していること、および血管の崩壊を防ぐためにステントが適切な半径方向の支持を提供することを確実にするために、この距離の最小化が必要である。第三の重要最適化パラメータは、ステントと側枝の入口の重ね合わせの程度である。ステント支柱上の血栓形成または新しい組織の成長の結果としての枝への血流の閉塞を避けるために、重ね合わせを最小にすることが望ましい。
【0106】
本発明のさまざまな実施形態は、上述の最適化パラメータ(VRR、不完全密着距離、枝の重ね合わせ、カルシウムの存在等)に従って、最適なステントの長さ、直径、および縦方向の位置を選択する方法を提供する。図21のフローチャートは、1つの特定実施形態に関する最適化手順を概説している。この実施形態では、使用者が希望するステント長Lfixedを選択すると、最適化が繰り返し進行し、ステントの縦方向の位置Xopt、および最大許容距離Emaxよりも短い不完全密着距離EとDmaxよりも短いステントの直径を維持しながらVRRを最小化するステントの直径Doptを見つける。一般的にEmaxは、0と臨床的に有意でないと見なされる値(例えば0.1mm)の間の小さな値に固定され、Dmaxは、画像化セグメント内で測定された血管の最大直径にステント直径の1増加分(典型的には0.25mm)を加えたものに等しくなるよう設定されている。反復を促進するために、利用可能なステント直径{Dmin≦ D ≦ Dmax}およびステント位置{0 ≦ x≦ (L-Lfixed)}のセットは、臨床的に有意な増加分だけ離れている離散値に限定されている。最適化のさらなる促進は、変数の直線アレイの代わりに、ステント直径とステント位置の多変数参照テーブルを用いることによって達成できる。図21のフローチャートには示されていないが、側枝との重ね合わせの程度および石灰化領域などのさらなる制約が本発明の範囲の中に含まれる。

【0112】
ステント未配置動脈のVRRの初期計算は、有限要素計算流体力学プログラムを使用して行われる。画像化手順の終わりとステント配置の開始との間にはいくらかの時間があるため、この計算にかかる時間は制約とはならない。図23に示されるように、計算流体力学プログラムの重要な出力は総圧力対距離のグラフである。提案されたステントの追加によるVRRの変化を計算する最もシンプルな方法は、示されるように、ステント配置されたエリアの圧力低下を単に差し引くことである。ステントの長さおよび位置が操作者によって変更されると、VRR表示が更新される。

(4)甲第5号証(特開2011-205345号公報)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0025】
操作部6は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、この操作部6には、図示しないが、通話用のオフフックキー、オンフックキーのほか、カメラ機能をオン/オフさせるオン/オフキー、シャッタキーなどが設けられている。中央制御部1は、操作部6からの操作信号に応じた処理として、例えば、発信処理、電子メール受信処理、カメラ処理など、各種の処理を行う。タッチ画面7は、高精細液晶あるいは有機ELを使用した表示パネルの表面に、指の接触を検出する透明な接触センサ(タッチセンサ)を積層配設することによって構成されたタッチスクリーンで、例えば、待受画像、アイコン、日時情報、テキストデータ、メール、Webページなどを表示するほか、カメラ機能の使用時にはスルー画像(ライブビュー画像)を表示するモニタ画面(ファインダ画面)となる。このタッチ画面7上に各種のタッチキーが割り当て表示されている状態において、任意のキーを操作すると、中央制御部1は、その操作キーに応じた処理を行う。

【0030】
このようにユーザ指示の画角に相応する電子ズーム倍率に瞬時に拡大した後は、このユーザ指示の画角に光学ズームを追従させるように光学ズーム機能を制御するようにしている。ここで、ユーザ操作によるズーム指示は、撮像部8からの画像データに対してそのズーム領域とズーム倍率のうち少なくとも一方を含むズーム指示であり、ズーム領域を指示する場合には、タッチ画面7上でのユーザによるピンチアウト(例えば、親指と人差し指とを押し広げる操作)によって行うようにしている。なお、このようなズーム指示は、タッチ画面7上でのズーム指示に限らず、操作部6でのキー操作によって行うこともできる。

【0032】
図2は、撮像部8からのスルー画像がタッチ画面(モニタ画面)7上に表示されている状態において、タッチ画面7上で行われたピンチアウト(ズーム指示)によってユーザ指定されたズーム対象領域ZSと、その領域を拡大したズーム領域ZEを説明するための図である。
ズーム対象領域ZSは、電子ズームの対象となる領域を示し、例えば、タッチ画面7上で親指と人差し指とを押し付けて最初にタッチした際に、その2本指の間隔に基づいて特定された領域であり、2本の指の間隔を対角線とする矩形(四角形)がズーム対象領域ZSとなっている。また、ズーム領域ZEは、ユーザ指示された画角に相応する領域を示し、例えば、タッチ画面7上で親指と人差し指とを図中、破線の矢印方向にスライドさせた後、そのタッチを離した際の2本指の間隔に基づいて特定された領域であり、2本の指の間隔を対角線とする矩形(四角形)がズーム領域ZEとなっている。

5.判断
(1)特許法第36条第6項第1号及び第2号について
当審において通知した上記3(1)アの記載不備について検討する。
特許請求の範囲に記載される「血流特徴の数値」に関して、特許権者の平成28年5月31日付けの意見書における主張を参酌して検討すると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、まず、段落0018,0025に、「血流特徴」として、冠血流予備量比(FFR)、血圧(または圧力勾配)、血流または血流速度が挙げられており、これらは血流自体の特徴を表すものである。

一方、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、モデル上に表示される血流に関連した情報として、血管の「幾何形状の情報」も記載されているが、発明の詳細な説明の段落0042,0069によれば、「血流特徴の数値」と「幾何形状の情報」の関係について、FFR、血圧(または圧力勾配)のような血流特徴の数値をモデル上の示された位置で表示し、また、血管の内径の数値などの幾何情報が追加の情報として表示されるものであることが記載されており、モデル上に「血流特徴の数値」を表示することに加えて、「血流特徴の数値」とは別の「幾何形状の情報」が表示されるものであり、「血流特徴の数値」が「幾何形状の情報」を含むものではなく、両者は別のものである。

以上のことから、特許請求の範囲に記載される「血流特徴の数値」は、冠血流予備量比(FFR)、血圧(または圧力勾配)、血流または血流速度などの血流自体の特徴を表す数値であることが明確であり、また、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(2)特許法第29条第1項第3号について
(2-1)本件発明1について
(2-1-1)本件発明1
本件発明1は、上記2.に示した請求項1に係る発明であるが、ここに再掲する。

(本件発明1)
A.少なくとも1つのコンピューターシステムを用いて患者に特異的な血流情報を提供する方法であって、該少なくとも1つのコンピューターシステムは、タッチスクリーンを含み、該方法は、
B.該タッチスクリーン上に、該患者に特異的なデータに基づいて生成された三次元モデルを表示することであって、該三次元モデルは、該患者の解剖学的構造の少なくとも一部を表す、ことと、
C.ユーザーによって示された該タッチスクリーン上の第一の位置に関連する第一の入力を受信することであって、該タッチスクリーン上の該第一の位置は、表示された該三次元モデル内の第一の位置を示す、ことと、
D.該第一の入力によって示された該三次元モデル内の該第一の位置における少なくとも1つの血流特徴の数値を、該タッチスクリーン上に表示することと、
E.ユーザーが該タッチスクリーンを横切って指またはポインティング物体をドラッグするにつれて該少なくとも1つの血流特徴の数値の表示を決定し、ダイナミックにアップデートすることと
を含む、方法。

なお、A?Eの符号は、説明のために、異議申立人が付したものを援用して、当審にて付したものである。

(2-1-2)甲第1号証に記載された発明
ア.甲第1号証の上記4(1)において摘示した段落0007,0008,0010?0015の記載によれば、甲第1号証には、医学生に経皮的冠動脈形成術(PCI)などの心臓手術の訓練シミュレーションを提供するための技術であって、『コンピュータシステムを用いて、血管を含むヒトの心臓の物理システムをモデル化し、シミュレーションする方法』が記載されている。
そして、その方法は、同段落0015?0017の記載によれば、コンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアで実現され、コンピュータソフトウェアが生成するグラフィカルユーザインターフェイスにより、物理システムのモデルのグラフィック表現を表示し、ユーザが、モデルの構造特性のようなモデルに関する所望の属性またはパラメータを編集することを可能にしている。また、パラメータの変化は、モデルのグラフィック表現を変化させる。

同段落0018,0021,0025,0027の記載によれば、コンピュータシステムはディスプレイ及び入力装置を備え、入力装置は、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどの他に、カテーテルのような医療器具、シリンジ、静脈注射用の針、外科用のメス、ジョイスティックなどのシミュレーション装置とすることができるとされている。
そして、ディスプレイは入力装置のタッチスクリーンを含むことができ、その場合には、ディスプレイ表示される上記グラフィカルユーザインターフェイスはタッチスクリーン上に表示されることとなる。

さらに、同段落0021,0026,0030,0035の記載によれば、シミュレーション装置は、例えば、マネキン、バルーン/ステントカテーテルなどであり、アクチュエータと連動し、アクチュエータにより触覚効果を生じさせることができる。また、アクチュエータは、血流または心拍をシミュレートするような振動効果を提供することができる。

以上のように、甲第1号証には、実体を有するシミュレーション装置による訓練シミュレーションを提供する他に、タッチスクリーン上のグラフィカルユーザインターフェイスによるシミュレーションを提供することが記載されており、甲第1号証に記載される方法は、タッチスクリーン上にグラフィカルユーザインターフェイスによる物理システムのモデルのグラフィック表現が表示され、タッチスクリーン上のグラフィカルユーザインターフェイスにより、ユーザによるモデルの構造特性のようなモデルに関する所望の属性またはパラメータの編集が行われ、パラメータの変化は、モデルのグラフィック表現を変化させるものといえる。

よって、甲第1号証には、『コンピュータシステムを用いて、血管を含むヒトの心臓の物理システムをモデル化し、シミュレーションする方法であって、コンピュータシステムはタッチスクリーンを有し、タッチスクリーン上にグラフィカルユーザインターフェイスによる物理システムのモデルのグラフィック表現を表示し、タッチスクリーン上のグラフィカルユーザインターフェイスにより、ユーザによるモデルの構造特性のようなモデルに関する所望の属性またはパラメータの編集が行われ、パラメータの変化は、モデルのグラフィック表現を変化させる』ことが記載されているといえる。

イ.甲第1号証の同段落0036の記載によれば、物理システムのモデルは、例えば、患者の心臓の磁気共鳴撮像(MRI)データを評価して生成される心臓の心腔の3次元表現であり、患者の解剖学的組織の検査から取り出したデータをインポートして、患者の器官の形状をディスプレイ上に提供するものである。
したがって、上記アにおいて認定した『血管を含むヒトの心臓の物理システムをモデル化』することは、『患者のデータから生成される血管を含む心臓の物理システムを三次元モデル化』することであり、『物理システムのモデルのグラフィック表現を表示』することは、『患者のデータから生成される物理システムの三次元モデルのグラフィック表現を表示』することであって、『三次元モデルのグラフィック表現は、患者の解剖学的組織である器官の形状を表現』するものである。
また、『ユーザによるモデルの構造特性のようなモデルに関する所望の属性またはパラメータの編集』における『モデル』は、『三次元モデル』である。

ウ.甲第1号証の同段落0044,0045,0055?0058には、グラフィカルユーザインターフェイスよる、物理システムの三次元モデルのグラフィック表現、及びパラメータの変更の実施形態が示されている。
図5に示す一実施形態では、心臓に関連する1つ以上の血管の形状を表すスプラインのグラフィック表現を表示し、スプラインによって表わされる血管の半径を変化させるか、あるいはスプラインの形状に関連する1つ以上の点を動かすことによって、スプラインの幾何形状を変化させる。
図19に示す一実施形態では、心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を表示する。ユーザはグラフィック表現と相互作用して、モデルに関するデータおよびパラメータを表示させることができる。ただし、ヒトの心臓のモデルに関連するパラメータを変更できるか否かについては明確な記載がない。
図22に示すモデルを編集するための一実施形態では、物理システムのモデルに関連する少なくとも1つのパラメータをテキストとして表示すること、ユーザは、GUIを使用して、表示された物理システムのモデルに関連するパラメータを変更するが、ユーザは、モデルのグラフィック表現と相互作用し、例えば、モデルの一部分をドラッグして、走査画像と対応させることによって、モデルに関連するパラメータを変更することができること、その後、例えば、ヒトの心臓の血管の1つの直径のような変更されたパラメータを組み込んだモデルのシミュレーションが実行されることが記載されている。ここで、この一実施態様においては、変更されたパラメータについても当然表示されるものといえる。

よって、甲第1号証には、『血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルに関連するパラメータをテキストで表示し、ユーザが、グラフィカルユーザインターフェイスにより、三次元モデルのグラフィック表現と相互作用し、三次元モデルの一部分をドラッグしてパラメータ(血管の直径など)を変更し、変更されたパラメータを組み込んだモデルのシミュレーションを実行し、変更されたパラメータを表示すること、及び、心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を表示すること』が記載されている。

しかしながら、図19に示す一実施形態では、血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルのパラメータ(血管の直径など)を変更することが可能であるかもしれないが、そのパラメータの変更と心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現との関係については記載されていない。

エ.以上のことから、甲第1号証には、次の発明(引用発明1)が記載されていると認定できる。

(引用発明1)
a.コンピュータシステムを用いて、患者のデータから生成される血管を含む心臓の物理システムを三次元モデル化し、シミュレーションする方法であって、コンピュータシステムはタッチスクリーンを有し、
b.タッチスクリーン上にグラフィカルユーザインターフェイスによる患者のデータから生成される物理システムの三次元モデルのグラフィック表現を表示し、三次元モデルのグラフィック表現は、患者の解剖学的組織である器官の形状を表現し、
c.タッチスクリーン上のグラフィカルユーザインターフェイスにより、ユーザによる三次元モデルの構造特性のような三次元モデルに関する所望の属性またはパラメータの編集が行われ、パラメータの変化は、モデルのグラフィック表現を変化させ、
d.血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルに関連するパラメータをテキストで表示し、ユーザが、グラフィカルユーザインターフェイスにより、三次元モデルのグラフィック表現と相互作用し、三次元モデルの一部分をドラッグしてパラメータ(血管の直径など)を変更し、変更されたパラメータを組み込んだモデルのシミュレーションを実行し、変更されたパラメータを表示すること、及び、心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を表示すること
を含む、方法。

(2-1-3)本件発明1と引用発明1との対比

ア.本件発明1の構成Aについて
引用発明1は、「コンピュータシステムを用いて、患者のデータから生成される血管を含む心臓の物理システムを三次元モデル化し、シミュレーションする方法であって、コンピュータシステムはタッチスクリーンを有し」という構成(構成a)を有している。
この構成aの「患者のデータから生成される血管を含む心臓の物理システムを三次元モデル化し、シミュレーションする」ことは、引用発明1の構成dの「血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルに関連するパラメータをテキストで表示し、ユーザが、グラフィカルユーザインターフェイスにより、三次元モデルのグラフィック表現と相互作用し、三次元モデルの一部分をドラッグしてパラメータ(血管の直径など)を変更し、変更されたパラメータを組み込んだモデルのシミュレーションを実行し、変更されたパラメータを表示すること」と「心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を表示すること」を含むものである。
すなわち、引用発明1は、『コンピュータシステムを用いて、患者に特異的なデータから生成される、血管を含む心臓の三次元モデルに関連するパラメータ(血管の直径など)と、三次元モデルにおける血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を提供する方法であって、コンピュータシステムはタッチスクリーンを有し』という構成を有するものである。

ここで、『血管を含む心臓の三次元モデルにおける血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現』は、血流自体の情報といえるから、上記(1)の判断を踏まえると、本件発明1の「血流情報」に相当する。

したがって、引用発明1の『コンピュータシステムを用いて、患者に特異的なデータから生成される、血管を含む心臓の三次元モデルに関連するパラメータ(血管の直径など)と、三次元モデルにおける血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を提供する方法であって、コンピュータシステムはタッチスクリーンを有し』という構成は、本件発明1の構成Aの「少なくとも1つのコンピューターシステムを用いて患者に特異的な血流情報を提供する方法であって、該少なくとも1つのコンピューターシステムは、タッチスクリーンを含み」と相違しない。

イ.本件発明1の構成Bについて
引用発明1は「タッチスクリーン上にグラフィカルユーザインターフェイスによる患者のデータから生成される物理システムの三次元モデルのグラフィック表現を表示し、三次元モデルのグラフィック表現は、患者の解剖学的組織である器官の形状を表現し」という構成(構成b)を有している。
この構成bのタッチスクリーン上にグラフィカルユーザインターフェイスにより表示される「患者のデータから生成される物理システムの三次元モデルのグラフィック表現」は、『患者に特異的なデータに基づいて生成された三次元モデル』といえる。
また、構成bの「患者の解剖学的組織である器官の形状」は、『患者の解剖学的構造の少なくとも一部』といえる。
よって、引用発明1の構成bは、『タッチスクリーン上に、患者に特異的なデータに基づいて生成された三次元モデルを表示し、三次元モデルは、患者の解剖学的構造の少なくとも一部を表す』というものであり、本件発明1の構成Bと相違しない。

ウ.本件発明1の構成Cについて
引用発明1は「タッチスクリーン上のグラフィカルユーザインターフェイスにより、ユーザによる三次元モデルの構造特性のような三次元モデルに関する所望の属性またはパラメータの編集が行われ」という構成(構成c)を有し、「三次元モデルに関する所望の属性またはパラメータの編集」は、「ユーザが、グラフィカルユーザインターフェイスにより、三次元モデルのグラフィック表現と相互作用し、三次元モデルの一部分をドラッグしてパラメータ(血管の直径など)を変更」すること(構成d)である。
そして、タッチスクリーン上のグラフィカルユーザインターフェイスにより、ユーザが三次元モデルの一部分をドラッグすることは、『ユーザがタッチスクリーン上のモデル内の特定の位置を指定して』ドラッグすることであり、タッチスクリーン上の特定の位置を指定する際には、コンピュータシステムが、『その位置に関する特定の入力を受信すること』は当然のことである。
よって、引用発明1は、『ユーザがタッチスクリーン上のモデル内の特定の位置を指定して、その位置に関する特定の入力を受信すること』という構成を有しているものといえ、特定の位置及び特定の入力を第一の位置及び第一の入力と称することは任意のことであるから、この構成は、本件発明1の構成Cの「ユーザーによって示された該タッチスクリーン上の第一の位置に関連する第一の入力を受信することであって、該タッチスクリーン上の該第一の位置は、表示された該三次元モデル内の第一の位置を示す、こと」に相当するものといえる。

エ.本件発明1の構成Dについて
引用発明1は、構成dに「心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を表示する」という構成を有するものであるところ、この構成は血流に関する数値を表示するものではなく、さらに、上記ウにおいて検討した引用発明1における「ユーザーによって示された該タッチスクリーン上の第一の位置」は、構成dの「三次元モデルのグラフィック表現と相互作用し、三次元モデルの一部分をドラッグしてパラメータ(血管の直径など)を変更」するときのドラッグする位置を示すものであり、「心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現」に関する数値を表示する位置を示すものではない。
よって、引用発明1は、本件発明1の構成Dの「該第一の入力によって示された該三次元モデル内の該第一の位置における少なくとも1つの血流特徴の数値を、該タッチスクリーン上に表示すること」という構成を備えていない点で相違する。

オ.本件発明1の構成Eについて
引用発明1は、構成dに「ユーザが、グラフィカルユーザインターフェイスにより、三次元モデルのグラフィック表現と相互作用し、三次元モデルの一部分をドラッグしてパラメータ(血管の直径など)を変更」するという構成を有し、ユーザーがタッチスクリーン上でドラッグ操作を行うものであるところ、上記エにおいて検討したように、引用発明1は、「血流特徴の数値を、該タッチスクリーン上に表示する」ものではなく、このドラッグ操作も「三次元モデル」の「パラメータ(血管の直径など)を変更」するためのドラッグ操作であって、「血流特徴の数値」を表示する位置を指示するドラッグ操作ではない。
よって、引用発明1は、本件発明1の構成Eの「ユーザーが該タッチスクリーンを横切って指またはポインティング物体をドラッグするにつれて該少なくとも1つの血流特徴の数値の表示を決定し、ダイナミックにアップデートすること」という構成を備えていない点で相違する。

カ.まとめ
以上の対比結果をまとめると、本件発明1と引用発明1との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
少なくとも1つのコンピューターシステムを用いて患者に特異的な血流情報を提供する方法であって、該少なくとも1つのコンピューターシステムは、タッチスクリーンを含み、該方法は、
該タッチスクリーン上に、該患者に特異的なデータに基づいて生成された三次元モデルを表示することであって、該三次元モデルは、該患者の解剖学的構造の少なくとも一部を表す、ことと、
ユーザーによって示された該タッチスクリーン上の第一の位置に関連する第一の入力を受信することであって、該タッチスクリーン上の該第一の位置は、表示された該三次元モデル内の第一の位置を示す、ことと、
を含む、方法。

[相違点]
引用発明1は、本件発明1の「該第一の入力によって示された該三次元モデル内の該第一の位置における少なくとも1つの血流特徴の数値を、該タッチスクリーン上に表示すること」、及び「ユーザーが該タッチスクリーンを横切って指またはポインティング物体をドラッグするにつれて該少なくとも1つの血流特徴の数値の表示を決定し、ダイナミックにアップデートすること」という構成を備えていない点。

(2-1-4)小括
以上のとおり、本件発明1は引用発明1との相違点を有しているものであるから、甲第1号証に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号の規定に該当しない。

(2-2)本件発明2,9,10,14,17ないし20について
本件発明2,9,10,14,17,18は、本件発明1を引用する発明であり、本件発明19,20は、本件発明1と同様、上記相違点に係る「血流特徴の数値」を表示する構成を有している発明である。
したがって、本件発明2,9,10,14,17ないし20は、本件発明1と同様、甲第1号証に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号の規定に該当しない。

(3)特許法第29条第2項について
(3-1)本件発明1について
上記(2-1-3)において摘示した[相違点]について、以下に検討する。

(3-1-1)甲第1号証に基づく発明容易性の検討
当審において通知した平成28年3月1日付けの取消理由においては、本件発明1は甲第1号証に基づき容易に発明をすることができたものと認定しているので、まず、甲第1号証に基づく容易性について検討する。

甲第1号証は、上記(2-1-2)ウにおいて検討したように、図19に示す一実施形態に関し、血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルのパラメータ(血管の直径など)を変更することが可能であるかもしれないが、そのパラメータの変更と心臓に関連する複数の血管内の血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現との関係については記載されていないものである。
ただし、血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルのパラメータ(血管の直径など)を変更すると、その変更に応じて血流を示す造影剤流動システムも変化するものと想定される。
この点を考慮すると、当業者が甲第1号証の記載に基づいて、ユーザによるタッチスクリーン上のドラッグ操作などにより、血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルのパラメータ(血管の直径など)を変更し、その変更に応じて血流を示す造影剤流動システムのグラフィック表現を変化させることまで到達することは可能であるといえる。
しかしながら、ユーザによるタッチスクリーン上のドラッグ操作は、血管を含む心臓の物理システムの三次元モデルのパラメータ(血管の直径など)を変更するための操作であるから、引用発明1において、血流を示す造影剤流動システムについての血流に関する数値を表示するものとし、相違点に係る構成を導くことは、当業者が容易に想到し得るものではない。

よって、本件発明1は、甲第1号証に基づき容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3-1-2)その他の引用文献に基づく発明容易性の検討
(3-1-2-1)甲各号証に記載される技術事項
ア.甲第2号証
上記4(2)において摘示した記載によれば、甲第2号証には、冠動脈アテローム性動脈硬化疾患(CAD)の治療法であるステント配置をコンピュータシミュレーションする技術であり、特に冠動脈分岐におけるステント留置による動脈壁の壁せん断応力(WSS)のコンピュータ計算解析を行う技術が記載されており、図4に関連して、冠状動脈分岐のコンピュータ断層撮影データから作成されたコンピュータ流体力学(CFD)モデルにステントを仮想的に留置し、ステントデザインが壁せん断応力(WSS)の分布とイントラストラットの変形にいかに影響するかを検証するコンピュータによるシミュレーション技術が示されている。そして、図4によれば、壁せん断応力(WSS)の分布とイントラストラットの変形は、三次元モデル内でその値に応じた色により表現されている。
また、壁せん断応力とは、動脈壁を通過して流れる粘性流体と関連する摩擦に起因する動脈壁の応力を示し、その最も単純な定義は、流体の粘度と軸方向速度の半径方向の勾配の積である。

イ.甲第4号証
上記4(3)において摘示した段落0004,0013,0027,0043,0044,0087,0092,0101,0102,0105,0106および図20の記載によれば、甲第4号証には、ステントの配置について心臓専門医を支援するためのシミュレーション技術が記載されており、対象血管の血管直径を測定して血管の縦方向位置に対する面積グラフを作成し、血管の断面積から対象となる2点間(遠位基準および近位基準)の血管抵抗比(VRR)あるいは血流予備量比(FFR)を求めて表示し、血管抵抗比(VRR)等のパラメータに従ってステントの最適な配置を選択する技術が記載されている。
さらに、段落0112および図23の記載によれば、血管抵抗比に関連して、ステント配置エリアの総圧力対距離のグラフを表示し、ステントの長さ及び位置を変更するとVRR表示を更新する技術が記載されている。

ウ.甲第5号証
甲第5号証には、上記4(4)において摘示した段落0025,0030,0032および図2に示されるように、タッチスクリーン上のピンチアウト操作により表示の拡大を行う技術が示されている。

(3-1-2-2)発明容易性の検討
甲第2号証に記載される壁せん断応力(WSS)の分布とイントラストラットの変形を表示する技術に関し、壁せん断応力(WSS)は、血流の粘度及び速度から計算される物理量であるが、血管壁における応力を示す物理量であり、血流に関連する情報ではあるが血流自体の情報ではない。
すなわち、甲第2号証記載の技術は、相違点に係る「血流特徴の数値」と関連するものではない。

甲第4号証には、ステントの配置についてのシミュレーション技術であって、血管の縦方向位置に対する面積グラフと合わせて、血管抵抗比(VRR)あるいは血流予備量比(FFR)を表示し、さらに、総圧力対距離のグラフ、すなわち血管方向の圧力勾配を表示する技術が記載されている。
この血管抵抗比(VRR)、血流予備量比(FFR)、血管方向の圧力勾配は、血流の特徴に関する情報といえるから、甲第4号証には、ステントの配置についてのシミュレーション技術において、血流の特徴に関する情報を表示する技術が示されているといえるが、三次元モデル内の指示した位置の血流の特徴に関する情報を表示するものではなく、ポインティング物体などのドラッグに応じて、情報の表示がダイナミックにアップデートされるものでもない。
したがって、引用発明1において、甲第4号証記載の技術から、相違点に係る、第一の入力によって示された三次元モデル内の第一の位置における血流特徴の数値を表示する構成、及び、ドラッグするにつれて血流特徴の数値の表示が決定され、ダイナミックにアップデートするという構成を導くことは、当業者が容易に想到し得るものではない。

甲第5号証は、血流に関する技術ではない。

(3-1-3)小括
以上のとおり、本件発明1は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、および甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に該当しない。

(3-2)本件発明2ないし20について
本件発明2ないし18は、本件発明1を引用する発明であり、本件発明19,20は、本件発明1と同様、上記相違点2および3に係る構成を有している発明である。
したがって、本件発明2ないし20は、本件発明1と同様、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、および甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に該当しない。

6.むすび
以上のとおり、上記取消理由によっては、本件請求項1ないし20に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-08-19 
出願番号 特願2015-501959(P2015-501959)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06T)
P 1 651・ 537- Y (G06T)
P 1 651・ 113- Y (G06T)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岡本 俊威  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 清水 正一
渡辺 努
登録日 2015-03-20 
登録番号 特許第5715316号(P5715316)
権利者 ハートフロー, インコーポレイテッド
発明の名称 血流の患者に特異的なモデルからの情報を提供するための方法およびシステム  
代理人 森下 夏樹  
代理人 きさらぎ国際特許業務法人  
代理人 山本 秀策  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 健策  
代理人 飯田 貴敏  
復代理人 難波 早登至  

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