• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04N
管理番号 1318315
審判番号 訂正2016-390057  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-04-20 
確定日 2016-06-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4418754号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 特許第4418754号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 経緯

本件特許第4418754号に係る出願は,2003年(平成15年)10月2日(パリ条約による優先権主張,2002年(平成14年)10月7日 フランス)を国際出願日とする出願であって,平成21年12月4日に特許権の設定登録がなされた。その後,平成28年4月20日付けで本件審判が請求されたものである。

第2 請求

1 請求の趣旨

本件審判の請求の趣旨は,特許第4418754号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおりに訂正することを認める,との審決を求めるものである。

2 訂正事項

特許請求の範囲の請求項1に

「d)該追加データ・ファイルが該メモリに存在する場合に,改良アプリケーション(A4)を起動させる工程であって,該改良アプリケーションが該追加データ・ファイルを用いる工程;」

とあるのを,

「d)該追加データ・ファイルが該メモリに存在する場合に,該追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーション(A4)を起動させる工程;」

に訂正する。

第3 当審の判断

1 訂正の目的

請求人は,上記訂正事項に係る,特許請求の範囲の訂正の理由を,「明瞭でない記載の釈明」としている。そこで,本件訂正が,明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるか否かを検討する。

上記訂正事項に関し,訂正前の記載は,「d)該追加データ・ファイルが該メモリに存在する場合に,改良アプリケーション(A4)を起動させる工程であって,該改良アプリケーションが該追加データ・ファイルを用いる工程;」というものであり,このうち「改良アプリケーション(A4)を起動させる工程であって,該改良アプリケーションが該追加データ・ファイルを用いる工程」という記載箇所についてみると,以下の(a),(b)のいずれであるのか,必ずしも明瞭ではない,ということができる。
(a) まず,改良アプリケーションを起動し,次いで,起動された当該改良アプリケーションで追加データ・ファイルを用いる旨を示したもの
(b) 上記改良アプリケーションを起動させるときに,追加データファイルを用いる旨を示したもの

これに対して,上記訂正事項に関し,訂正後の記載は,「d)該追加データ・ファイルが該メモリに存在する場合に,該追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーション(A4)を起動させる工程;」というものであり,このうち,「該追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーション(A4)を起動させる工程;」との記載箇所は,上記(a)とは解されず,上記(b)と解されるものである。

そうすると,本件訂正は,上記(a),(b)のいずれが本来の意であるか不明瞭である記載について,上記(b)であることを明瞭にするものであるから,請求項1の記載を明瞭にするものであるということができる。

よって,本件訂正は,明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり,特許法第126条第1項ただし書第3号の規定に適合する。

2 訂正の範囲

上記訂正事項に関し,願書に添付した明細書には,以下の記載がなされている(下線は,説明のために当審で付したものである。)。

「【0047】
本発明によれば,これらのアプリケーションは起動アプリケーション及び通常アプリケーションを備え,起動アプリケーションは受信器のうちの少なくとも1つのメモリにおける少なくとも1つの追加データ・ファイルの存否を検査させることとともに,これらの追加データ・ファイルが存在しない場合に通常アプリケーションを起動させ,これらのファイルが存在する場合にこれらの追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーションを起動させることが意図されている。」

「【0055】
図1に表すように,この方法は:
工程1:そのアプリケーションによって追加データ・ファイルのロードと記憶とを検証することが可能になるその第1のいわゆる検証アプリケーションを,ブロードキャスト局によって伝送して端末によって実行する工程;
工程2:これらの伝送ファイルの記録又は戻りパスを用いたサーバからのダウンロードによって,追加データ・ファイルを端末に伝送して該ファイルを端末によって獲得する工程;
工程3:第2のいわゆる起動アプリケーションA2のブロードキャストと実行とを行い,追加データ・ファイルの存否を検査する工程:
追加データ・ファイルが存在しない場合,通常アプリケーションA3を起動させる工程;
追加データ・ファイルが存在する場合,アプリケーションの改良バージョンA4を,追加データ・ファイルを用いて起動させる工程;及び
工程4:アプリケーション(通常バージョンA3又は改良バージョンA4)を実行する工程;及び
工程5:追加データ・ファイルを,失効日付後に削除するか,ユーザ又はブロードキャスト局からの特定コマンドによって削除する工程;
を行えるようにするものである。」

「【0080】
図7及び図8に表すように,通常アプリケーションA3と起動アプリケーションA2がブロードキャストする対象とユーザ端末にロードする対象とを構成する。前述のように,追加データ・ファイルのメモリにおける存否の検査が行われる。これらのファイルがメモリになければ,通常アプリケーションA3が開始される。これらのファイルがメモリにあれば,追加データ・ファイルに含まれている改良アプリケーションA4が実行メモリにロードされ(「A4のロード」),次に開始される(「A4の開始」),すなわち,このことはユーザが通常のアプリケーションA3を選択することを決定する場合でない限り行われる。」

上記段落【0047】,【0055】の下線部には,それぞれ,「追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーションを起動させる」,「アプリケーションの改良バージョンA4を,追加データ・ファイルを用いて起動させる」といった,上記訂正事項に係る「該追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーション(A4)を起動させる」と同様の表現による記載がなされている。
また,上記段落【0080】の下線部には,「追加データ・ファイルに含まれている改良アプリケーションA4」との記載があり,当該記載によれば,改良アプリケーションを起動することは,追加データ・ファイルを用いることにほかならないことになる。そうすると,訂正事項に係る「該追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーション(A4)を起動させる」ことは,同段落において,実質的に記載されている。
以上によれば,上記訂正事項は,願書に添付した明細書に記載されているものといえる。

よって,本件訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり,特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。

3 特許請求の範囲の拡張又は変更

上記1において検討したように,本件訂正は,訂正前の特許請求の範囲の記載について,本来の意を明らかにするものであり,訂正の前後で特許請求の範囲は変わらないといえる。よって,本件訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。

第4 むすび

以上のとおり,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり,また,同条第5項及び第6項に規定する要件に適合する。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向テレビジョン方法であって、受信器において、
a)該受信器において起動アプリケーション(A2)を受信し、通常アプリケーション(A3)を受信し、該起動アプリケーション(A2)を起動させて工程b)乃至d)を実行させる工程;
b)該受信器のメモリにおける少なくとも1つの追加データ・ファイルの存否を検査する工程;
c)該メモリにおいて該追加データ・ファイルが存在しない場合に、該通常アプリケーション(A3)を起動させる工程;及び
d)該追加データ・ファイルが該メモリに存在する場合に、該追加データ・ファイルを用いて改良アプリケーション(A4)を起動させる工程;
を備えることを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項2】
請求項1記載の双方向テレビジョン方法であって:
送信側の局との双方向伝送用に少なくとも1つのリンクが備えられ、該受信器において;
更に、e)該追加データ・ファイルを該受信器の1つにロードすることを提案するメッセージを受信する事前工程;
f)該提案ロードをユーザ承諾又はユーザ拒否する事前工程;
g)拒否する場合、該方法を出る事前工程;
h)承諾する場合、該起動アプリケーション(A2)によって後に利用可能な該追加データ・ファイルを該受信器に自動的に、該双方向伝送リンクを介してダウンロードする事前工程;及び
i)該受信器の該メモリに該追加データ・ファイルを記録させる事前工程;
を備えることを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項3】
請求項2記載の双方向テレビジョン方法であって:
該工程f)前に、該受信器によって、該追加データ・ファイルのコンテンツに関する少なくとも1つのキューを受信する工程:
を備え;
該キューが好ましくは、容量、後の利用日付、該追加データの失効日付又は有効期限日付、該追加データが利用されることになる日付、該追加データが利用されることになるブロードキャスト・チャネル、及びダウンロード・アドレスから選択されることを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項4】
請求項2又は3記載の双方向テレビジョン方法であって:
該工程h)前に、該ユーザが該追加データ・ファイルを、直ちにダウンロードする選択又は遅らせてダウンロードする選択を示す工程;
を備えることを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1つ記載の双方向テレビジョン方法であって:
該工程e)中に、該提案メッセージの該受信が該改良アプリケーション(A4)と同様な種類のアプリケーションの受信によって行われることを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちの何れか1つ記載の双方向テレビジョン方法であって:
該追加データ・ファイルが追加アプリケーションを含むことを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のうちの何れか1つ記載の双方向テレビジョン方法であって:
該工程a)中に、該受信器が該改良アプリケーションも受信することを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちの何れか1つ記載の双方向テレビジョン方法であって:
該メモリのコンテンツを自動的に消去する工程;
を備えることを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項9】
請求項8記載の双方向テレビジョン方法であって:
消去日付が該追加データ・ファイルと関連付けられ;かつ
該消去する工程が該日付を読み取る周期的動作と該日付に到達した時点での消去動作とを備えることを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1つ記載の双方向テレビジョン方法であって:
該追加データ・ファイルが少なくとも1つのソフトウェア、ビデオ・データ、ピクチャ、音、及びこれらのデータ種類の組み合わせから選択されるデータを含むことを特徴とする双方向テレビジョン方法。
【請求項11】
双方向テレビジョン受信機であって:
該受信機のメモリにおいて少なくとも1つの追加データ・ファイルの存否を検査する手段;
を備え;
起動アプリケーション(A2)を受信し、通常アプリケーション(A3)を受信する手段;及び
該追加データ・ファイルが該メモリに存在しない場合に該通常アプリケーション(A3)を起動させ、該追加データ・ファイルが該メモリに存在する場合に改良アプリケーション(A4)を起動させる手段;
を備え;
該改良アプリケーションは該追加データ・ファイルを用い;
請求項1乃至10の何れか1つ記載の双方向テレビジョン方法を実施するよう企図されていることを特徴とする双方向テレビジョン受信機。
【請求項12】
ディジタル・テレビジョン端末であって:
請求項11記載の双方向テレビジョン受信機;
を備えることを特徴とするディジタル・テレビジョン端末。
【請求項13】
コンピュータ・プログラムであって:
プログラムのコード命令;
を備え;
該プログラムのコード命令は、該プログラムがコンピュータ上で実行されると、請求項1乃至10の何れか1つ記載の方法のうちの工程を実行することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-05-19 
結審通知日 2016-05-23 
審決日 2016-06-06 
出願番号 特願2004-540816(P2004-540816)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 脇岡 剛  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
戸次 一夫
登録日 2009-12-04 
登録番号 特許第4418754号(P4418754)
発明の名称 双方向テレビジョンの受信方法並びに伝送方法及び関連する装置  
代理人 倉持 誠  
代理人 倉持 誠  
代理人 吹田 礼子  
代理人 吹田 礼子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ