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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05H
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05H
管理番号 1318371
審判番号 不服2015-11422  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-17 
確定日 2016-09-06 
事件の表示 特願2011-205102「プラズマ制御装置及びプラズマ制御装置に用いられる流量制御装置、流量制御用プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月18日出願公開、特開2013- 69419、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月20日の出願であって、平成26年12月22日付けで拒絶理由が通知され、平成27年2月23日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされ、同年3月16日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ、これに対して、同年6月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成28年5月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という)が通知され、同年7月6日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成28年7月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
プラズマが生成される真空チャンバ内の基材の表面に成膜するものであって、
前記真空チャンバに接続されており、前記真空チャンバ内に導入される反応性ガスが流れる第1流路上に設けられた第1バルブと、
前記第1バルブを経由して前記真空チャンバ内に導入される前記反応性ガスの流量が第1流量となるように当該第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、
前記真空チャンバ内で発生しているプラズマのプラズマ強度を測定するプラズマモニタと、
一端が前記第1流路の前記第1バルブよりも上流側にあり、他端が前記第1流路の前記第1バルブよりも下流で合流するか、又は、他端が前記真空チャンバに接続されており、前記反応性ガスが流れる第2流路上に設けられた第2バルブと、
前記プラズマモニタで測定される測定プラズマ強度と、予め設定された設定プラズマ強度との偏差に基づいて前記第2バルブの開度を制御する第2バルブ制御部と、を備え、
前記第2バルブが、前記第1バルブよりも高応答性を有するように構成され、
前記設定プラズマ強度が、前記反応性ガスの流量を増加させていき、成膜の形態がメタルモードから反応性モードへ至る途中の遷移領域に前記メタルモードから移行した時のプラズマ強度であり、
前記第1流量が、前記遷移領域となる時の前記反応性ガスの流量よりも小さい値であり、前記成膜の形態がメタルモードとなる流量に設定されていることを特徴とするプラズマ制御装置。」

第3 原査定の拒絶理由について
1 原査定の拒絶理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:特開平11-144337号公報
2:特開2010-90458号公報
3:特開2004-237548号公報

刊行物1(特に【0010】-【0012】,第1図)には,スパッタ装置において,放電ガスを供給する主供給装置と,放電ガスの流量を微調整するための副供給装置とを備え,主供給装置はマスフローコントローラにより放電ガスを供給し(所定の流量を供給しているものと認める),副供給装置はDC電源からのモニタ信号に基づき放電ガスの導入量を調整するものが,記載されている。
刊行物1に記載された発明は,副供給装置がDC電源からのモニタ信号に基づいて放電ガスの導入量を調整しており,測定プラズマ強度に基づいていない点で,本願請求項1に係る発明と相違する。
しかし,刊行物2(特に【0037】)には,スパッタリング装置において,プラズマ発光強度が一定の値となるように反応性ガス量を制御することが,刊行物3(特に【0017】)には,プラズマ発光検出器により検出される発光量を一定に保つように反応性ガスの供給量を制御することが,それぞれ記載されるように,プラズマを安定して発生させるためにプラズマ強度を測定し,それに基づいて反応性ガスの供給量を制御することは,従来行われている。
してみれば,刊行物1に記載された発明において,安定してプラズマを発生させるために,DC電源からのモニタ信号に基づくことに代えて,プラズマ強度を測定し,それに基づいて放電ガスの導入量を調整することは,当業者であれば容易に為し得たことである。

2 原査定の拒絶理由の判断
(1)刊行物の記載事項
ア 刊行物1(特開平11-144337号公報)
(ア)刊行物1には次の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
a「【請求項1】 光記録媒体基板とターゲットとを相対向させて配置し、ターゲットに放電電圧を印加しつつ、前記光記録媒体基板と前記ターゲットとの間の放電空間に導入した放電ガスのイオンをターゲット表面に衝突させ、その衝撃ではじき出されたターゲット粒子を光記録媒体基板表面に付着させることにより反射膜を成膜する光記録媒体の製造装置において、
前記ターゲットに電圧を印加する電源と、
前記電源から出力される放電時の出力電圧、出力電流および出力電力をモニタして放電電圧値を演算し、当該放電電圧が経時的に一定もしくはその変動量が所定の範囲内になるように前記放電空間のインピーダンスを変化させる制御装置と、
を備えたことを特徴とする光記録媒体の製造装置。
【請求項2】 前記制御装置は、前記放電電圧が経時的に一定もしくはその変動量が所定の範囲内になるように、前記放電空間内への前記放電ガスの導入量を制御することを特徴とする請求項2記載の光記録媒体の製造装置。
【請求項3】 前記制御装置は、前記放電空間内に前記放電ガスを供給する主供給装置と、前記放電空間内に導入される前記放電ガスの流量を微調整するための副供給装置と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の光記録媒体の製造装置。」
b「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る光記録媒体の製造装置としてのスパッタ装置の概略構成図であり、図中、20は装置本体を構成する真空チャンバ、1はマスフローコントローラ(主供給装置)、2は反応室(放電空間)、3は被成膜処理体である色素膜塗布済みの光記録媒体基板、4aは外周マスク、4bは内周マスク、5はDC電源、6はターゲット、7は磁石、8は放電電圧制御回路、9は磁石回転機構、10はDC電源5からの電流、電圧および電力のモニタ信号、11はスパッタ装置の制御部、12はマスフローメータ(副供給装置)、13は流量制御信号である。このスパッタ装置は、成膜処理の際、まず真空チャンバ20内を真空排気した後に、図示しない放電ガス源からマスフローコントローラ1を介してArを反応室2を含めた真空チャンバ20内全体に導入する。次に、色素塗布済みの光記録媒体基板3を図示されていないロードロック室から供給し、反応室2の下方に待機する昇降ステージ14上に載置し、昇降ステージ14を上昇させて外周マスク4a及び内周マスク4bに密着させる。次に、DC電源5によりターゲットホルダ15を介してターゲット6に電圧(負電位)を印加し、反応室2にプラズマを発生させると、プラズマ中のイオンによりターゲット6の表面から粒子がはじき出されるいわゆるスパッタリング現象によりターゲット6の構成元素が飛散し光記録媒体基板3上に付着する。これにより外周マスク4a及び内周マスク4bでマスクされた部分を残して光記録媒体基板3上に反射膜が形成される。磁石7は、ターゲット6の利用効率を上げるために、磁石回転機構9によってターゲット6に対して偏芯して回転され、プラズマがより均一にターゲット6上を掃引するよう機能する。
【0011】そして、反射膜形成後、昇降ステージ14が下降し、反射膜形成済みの光記録媒体基板3がロードロック室に搬出されるとともに、次の色素膜塗布済みの光記録媒体基板3が搬入される。従来この種の装置では、ターゲット6のエロージョンが進むにつれ、前述した理由によりDC電源5から供給される放電電圧に変動が生じていた。そこで、本発明では、放電電圧が経時的に一定もしくはその変動量が所定の範囲内になるように放電空間である反応室2内のインピーダンスを変化させる。そのための手段として、本実施の形態のスパッタ装置は、反応室2内への放電ガス(この例ではAr)の導入量を制御するマスフローメータ12と、DC電源5からの電流、電圧および電力のモニタ信号10を受け取り、マスフローメータ12に適切な制御信号13を出力する放電電圧制御回路8とを備える。すなわち特許請求の範囲に記載の制御装置はこの例では放電電圧制御回路8とマスフローメータ12とを有している。なお、放電電圧を制御する手段として、放電ガス導入用のマスフローコントローラ1を使うことも可能である。また、本実施の形態のように流量制御用のマスフローメータ12を備えた場合は、マスフローコントローラ1の代わりにヴァリアブルニードルを用いることもできる。」
c「【0012】以下、放電電圧制御回路8の機能について詳述する。図1に示すように、DC電源5からは、放電時の出力電圧、出力電流および出力電力等のモニタ信号10がアナログ出力されている。放電電圧制御回路8は、これらの信号を受け取り放電電圧をモニタする機能を備えている。図2はモニタ信号の出力波形の一例を示したものであり、51は電圧モニタ信号である。T1は、光記録媒体1枚あたりの反射膜形成に対応するスパッタ電力出力時間、T2はサイクルタイムである。放電開始初期には、放電空間のインピーダンスが高いため、電圧モニタ信号51にヒゲ信号52のようなピーク波形が現れる。一度、放電が開始されると、ターゲット6から十分な2次電子が供給されるとともに、プラズマ中でもγ電子が生成されるため、放電空間のインピーダンスは減少し放電中はほぼ一定に推移するようになる。そこで、放電電圧制御回路8は、電圧モニタ信号51の立ち上がり(ピーク波形)をトリガ信号として、所定のディレイ時間T3後に電圧モニタ信号51を所定時間T4だけ積算し平均的な放電電圧値を演算する。なお、時間T3およびT4は任意の値を設定できる。放電電圧制御回路8は、予め設定されたデータ数分の放電電圧値の平均値をとり、その結果に基づいてマスフローメータ12への制御信号13を生成する。このように、複数の放電電圧値の平均値に基づいて制御信号13を生成することで、単発的な異常放電などによる制御の暴走を防ぐことができる。例えば、直前のデータのみによって、次の放電の電圧制御用出力を出すような回路では、何らかの原因で放電が起こらなかったりした場合、放電電圧が0となって過大な制御量をマスフローメータ12に要求してしまい、以後の放電電圧の変動値が振動的に増大してしまう危険がある。このような異常放電に対して、複数の放電電圧値の平均をとることで制御系の安定性を確保できる。また、放電電圧制御回路8は、放電電圧値及び積算電力値とその時のマスフローメータ12への制御信号とを記憶する図示しないメモリを有している。このメモリに記憶されたデータは、任意のタイミングで外部の情報端末機器にダウンロードすることができるようになっている。上記メモリ内のデータをダウンロードして確認することで、モニタ信号10をモニタする際のディレイ時間T3や積算時間T4などの時間設定パラメータや、放電電圧の平均をとる際に使用するデータ数、制御流量算出のための基準データ数などの各種設定パラメータの設定値が最適かどうかを調べることができ、その結果を参照して各種設定パラメータを最適な値に設定することができる。
【0013】次に、放電電圧制御回路8の別の放電電圧モニタ動作を図3及び図4を参照して説明する。図3は電力のモニタ信号61とその微分波形62、及びこれに対応した電圧モニタ信号63を示したものである。この実施の形態では、図2に示した放電電圧のピーク出力を避けるために、電力を徐々に投入するランプ入力を用いている。この実施の形態の放電電圧制御回路8では、電力モニタ信号61の微分波形62が所定の時間T5だけHighとなり、その後にLowとなった時点をトリガとして、所定のディレイ時間T6後の電圧モニタ信号63を所定時間T7だけ積算し、平均的な放電電圧値を演算する。このようにして例えば時間T5を100ms程度に設定すれば、数msの微少時間に突発的に発生する微小アーク放電に対しても誤動作なく機能することが可能である。なお、この実施の形態では、放電電圧モニタ信号のトリガ信号として電力モニタ信号を用いたが、電圧および電流のモニタ信号を使うことも可能である。また、放電電圧制御回路8は、図3で説明したモニタ動作を行う機能と図2で説明したモニタ動作を行う機能の両方を兼ね備えても差し支えない。
【0014】次に、放電電圧制御回路8によるマスフローメータ12への制御信号の出力方法について説明する。図4は、導入ガス流量Aと放電電圧Vとの関係および導入ガス流量Aと制御係数dV/dAとの関係を示したものである。なお、制御係数dV/dAは、導入ガス流量Aに対する放電電圧Vの特性曲線を微分したものである。また、図5は、図4の関係を放電電圧Vと制御係数dV/dAとの関係に処理し直したものである。放電電圧制御回路8は、内部のメモリに格納された図5に示す放電電圧Vと制御係数dV/dAとの関係から、図2または図3で説明した方法によって測定した放電電圧の平均値V1 に対する制御係数dV/dAを求め、設定された放電電圧値V0 との差△V=V0 -V1 をdV/dAで割った値を制御流量としてマスフローコントローラ12に出力する。制御流量は、所定成膜枚数ごとに出力し放電電圧を一定に保つこともできるし、あるいは△Vが所定の値以上になった時のみに出力することも可能である。また、放電電圧制御回路8は、スパッタ装置の制御部11と信号をやりとりし、マスフローメータ12の流量とDC電源5のオン/オフをコントロールして、図4に示すような導入ガス流量Aと放電電圧Vとの関係を自動測定し、図5に示すような放電電圧Vと制御係数dV/dAとの関係を演算する機能も有している。演算された図5の関係は、測定時の積算投入電力値とともに、制御流量算出のための基準データとして放電電圧制御回路8の内部メモリに保存される。また、エロージョンの進行によって、基準データである導入ガス流量の変化に対する放電電圧の変化の関係が微妙に変化するため、積算電力が異なる何種類かの基準データを用意しておき、積算電力によって順次参照する基準データを変えていくことが望ましい。その際、放電電圧制御回路8は、これらの基準データを複数内部メモリに格納し、積算投入電力の推移にしたがい参照すべき基準データを順次自動選択する。」
d「【図1】


e「【図2】 【図3】


f「【図5】



(イ)そうすると、刊行物1には、
「光記録媒体基板3とターゲット6とを相対向させて配置し、ターゲット6に放電電圧を印加しつつ、前記光記録媒体基板3と前記ターゲット6との間の放電空間に導入した放電ガスのイオンをターゲット表面に衝突させ、その衝撃ではじき出されたターゲット粒子を光記録媒体基板表面に付着させることにより反射膜を成膜するスパッタ装置において、
成膜処理の際、まず真空チャンバ20内を真空排気した後に、放電ガス源からマスフローコントローラ1(主供給装置)を介して放電ガスを反応室2を含めた真空チャンバ20内全体に導入し、
DC電源5によりターゲットホルダ15を介してターゲット6に電圧(負電位)を印加し、反応室2にプラズマを発生させると、プラズマ中のイオンによりターゲット6の表面から粒子がはじき出されるいわゆるスパッタリング現象によりターゲット6の構成元素が飛散し光記録媒体基板3上に付着することにより成膜するものであり、
放電電圧が経時的に一定もしくはその変動量が所定の範囲内になるように放電空間である反応室2内のインピーダンスを変化させるための手段として、反応室2内への放電ガスの導入量を制御するマスフローメータ12(副供給装置)と、DC電源5からの電流、電圧および電力のモニタ信号10を受け取り、マスフローメータ12(副供給装置)に適切な制御信号13を出力する放電電圧制御回路8とを備え、
放電電圧制御回路8は、内部のメモリに格納された放電電圧Vと制御係数dV/dAとの関係から、放電電圧の平均値V1 に対する制御係数dV/dAを求め、設定された放電電圧値V0 との差△V=V0 -V1 をdV/dAで割った値を制御流量としてマスフローラ12(副供給装置)に出力するスパッタ装置。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

イ 刊行物2(特開2010-90458号公報)
刊行物2には次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。)
a「【0001】
本発明は、基体表面に化合物膜を形成するスパッタリング装置に関するものである。」
b「【0031】
図1の実施形態において、拡散板9は、横断面視でガス供給孔5の吹き出し部11の前方に設けられている。また、遮断板12は、拡散板9に隣接し、横断面視で拡散板9の板面方向に直交する方向に設けられている。これにより、ガス供給孔5から吹き出された反応性ガスは、遮断板12が存在することでターゲット3側に流れず、基体6近傍方向のみに流れる。また、ターゲット3から弾き出されるスパッタ粒子は、拡散板9及び遮断板12により、ガス供給孔5に到達し難い。また、図1に示すとおり拡散板9の板面とターゲット3表面とが略直交する位置関係であるため、拡散板9表面(ターゲット3に面した側)にスパッタ粒子が付着し難く、拡散板9表面からの膜物質の剥離による化合物膜の形成時の不具合を未然に防ぐことができる。
【0032】
本発明のスパッタリング装置1は、化合物膜として酸化物光学膜の形成に好適に用いられる。この場合、反応性ガスとして酸素ガスを用い、前記の適宜のターゲット材料を用いる。このような酸化物光学膜としては、例えば、ビデオカメラ等の固体撮像素子の光学系に用いられる、反射防止膜や、近赤外線カットフィルタなどがある。反射防止膜は、成膜基体表面の光の反射率を低減し、光の透過率を増加するものであり、MgF2の単層膜やAl_(2)O3/Ta_(2)O_(5)/MgF_(2)の多層膜などで構成される。また、近赤外線カットフィルタは、近赤外域の波長の光のみを選択的にカットするものであり、低屈折率膜と高屈折率膜との交互多層膜で構成され、例えば、TiO_(2)/SiO_(2)の多層膜やAl_(2)O_(3)/TiO_(2)/SiO_(2)の多層膜などで構成される。これら複数の化合物膜を多層構造で基体6表面に形成する場合は、チャンバ2内に複数のターゲット3を配置して、順番に化合物膜を形成する。その他、化合物膜としては、フォトマスクブランクスのガラス基板表面に形成される遮光膜や、切削工具や摺動部材の表面に形成される酸化物膜などがある。
【0033】
本発明のスパッタリング装置1は、更にプラズマ・エミッション・モニタリングを備え、プラズマ・エミッション・モニタリングによってチャンバ2内に導入する反応性ガス供給量を制御し、反応性スパッタリングにおける遷移状態にて基体表面に化合物膜を形成してもよい。
【0034】
反応性スパッタリングにおいては、成膜速度や膜質の異なる、いくつかの状態が存在する。一般的には、金属状態、遷移状態、化合物状態と呼ばれる三態であり、反応性ガス導入量と成膜速度との関係を模式的に図示すると、図3のようになる。金属状態は、反応性ガスが比較的少ない場合に存在し、状態としては非常に安定である。成膜速度が非常に高いため、金属ターゲット表面が反応性ガスに汚染されず、形成される膜は不完全な化合物膜となり、金属的な性質を示す。化合物状態は、反応性ガスが比較的多い場合に存在し、状態としては非常に安定である。この状態においては反応性ガスが多いため、金属ターゲット表面が反応性ガスによって酸化された化合物膜で被覆された状態、すなわち金属化合物ターゲットを用いた場合と同様になる。そのため、成膜速度は非常に小さいが、形成される膜は完全に化合物化された状態である。遷移状態は、反応性ガスが金属状態と化合物状態との中間程度であり、状態としては非常に不安定である。成膜速度は比較的早く、十分に化合された膜から、不十分に化合された膜まで、条件により得られる膜質は異なる。なお、これらの現象に関しては、Berg等によるモデル的な考察(S.Berg,H-O.Blom,T.Larsson,C.Nender:J.Vac,Sci.Technol.A,5,(1987),202)や小林春洋著「スパッタ薄膜」(日刊工業新聞
社)などで説明されている。」
「【0035】
反応性スパッタリングにおける遷移状態について、より詳細に説明する。
反応性ガスとして酸素ガスを用いた場合、図3に示すように、金属状態から酸素導入量を段階的に増加していくと、屈曲点付近において、急激に成膜速度が低下し(下向き矢印に示すように)、酸化のヒステリシス(履歴現象)が生じてしまう。これは、酸化物状態から酸素導入量を段階的に減少させた場合でも、同様に屈曲点付近において、上向き矢印の方向に急激に成膜速度が増加する。しかし、酸素導入量を精密に制御することで、上記のような急激な状態変化を起こさずに特性曲線に示すような遷移状態を得ることが可能である。遷移状態について特性曲線を用いて説明すると、酸素導入量に対して、状態が大きく変化する領域である。具体的には、成膜速度-酸素導入量やプラズマ発光強度-酸素導入量の特性曲線における酸化物状態側の屈曲点(酸化物状態と遷移状態との境界)と金属状態側の屈曲点(金属状態と遷移状態との境界)との間の領域をいう。
【0036】
前記遷移状態は、状態として非常に不安定であり、図3においては、逆S字カーブの屈曲点部分から遷移状態に移行できずに、矢印で示す方向、化合物状態から金属状態、もしくは金属状態から化合物状態へ瞬時に推移し、結果として、反応性スパッタリングおいては、ヒステリシスが構成される。
【0037】
このように不安定な遷移状態を安定的に制御するため、反応性スパッタリングのプラズマにおける特定波長のプラズマ発光強度をモニタリングし、そのプラズマ発光強度が一定の値となるよう導入する反応性ガス量を制御する、いわゆるプラズマ・エミッション・モニタリングが用いられる。
スパッタリング装置1において、プラズマ・エミッション・モニタリングを用いた場合の装置の概要を図4に示す。このプラズマ・エミッション・モニタリング装置20は、プラズマの発光を光ファイバで受光してチャンバ外に導き、特定波長を選択するためのバンドパスフィルタ(BPF)を経由して最終的にフォトマルで受光される。フォトマルで受光した光強度は、電気信号に変換され、そのデータは光量積分器にて積分され、適正な形で平均化される。そして、このデータがパソコンなどの演算処理装置に送られ、反応性ガス供給量が決定される。そして、決定された反応性ガス導入量データに基づき、マスフローコントローラを駆動し、チャンバ内に導入される反応性ガス供給量が制御される。これらの装置を用いることで、状態として非常に不安定な遷移状態を、安定的に制御することが可能である。
【0038】
プラズマ・エミッション・モニタリング装置20を用いて成膜状態を反応性スパッタリングにおける遷移状態に制御しながら基体上に薄膜を形成すると、比較的早い成膜速度で化合物膜を得ること可能である。その際、遷移状態を安定させるため、反応性ガス供給量は激しく増減を繰り返すように制御される。そのため、ガス供給孔5からチャンバ2内に吹き出される反応性ガス供給量も一定でなく、常に変動する状態となる。ガス供給孔5の孔径は、薄膜の形成を開始する前段階で膜厚分布が均一となるよう調整されるため、実際の基体6表面への薄膜の形成の際に、これらプラズマ・エミッション・モニタリング装置20による反応性ガス供給量の変動は膜厚分布に影響を及ぼすことはないが、拡散板9を用いることでガス供給孔5から吹き出される反応性ガスを拡散し、基体6表面の反応性ガスの分布を平均化されるため、安定した遷移状態の制御が可能となる。」
c「【図1】


「【図3】



ウ 刊行物3(特開2004-237548号公報)
刊行物3には次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。)
a「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材とゴムとが接合されてなるゴム系複合材料の製造方法に関し、特に、ゴムと複合される基材上に接着膜を形成し、次いでこの接着膜上にゴム組成物を積層して加硫することによりゴム系複合材料を製造する方法に関する。」
b「【0012】
本発明のゴム系複合材料の製造方法において、接着膜は、連通口により互いに連通する第1室及び第2室を有するチャンバーの第1室及び第2室内に、互いに異なる金属成分からなる第1のターゲット及び第2のターゲットを各々設け、第1室及び第2室に各々互いに異なる組成の反応性ガスを供給し、第1のターゲット及び第2のターゲットに電力を同時に印加することにより形成されたスパッタリング雰囲気中、基材を第1のターゲット側から連通口を経由して第2のターゲット側へ移動させながらスパッタリングすることより形成する。これにより、厚さ方向に金属成分及び反応性ガス由来の成分の組成の勾配を有する接着膜を形成することができる。
【0013】
このような方法としては、例えば、図1に示されるように、連通口33により互いに連通する第1室31及び第2室32を有するチャンバー3の第1室31及び第2室32内に、互いに異なる金属成分をからなる第1ターゲット1及び第2ターゲット2をこれらのスパッタリング面が同一面上に位置するように配設し、第1ターゲット及び第2ターゲット1,2が各々配設された第1室31及び第2室32に互いに異なる組成の反応性ガスをガス導入口71,72から各々供給し、これら第1ターゲット及び第2のターゲット1,2に電力を同時に印加することによって生じるスパッタリング雰囲気(主に、第1ターゲット及び第2ターゲット1,2のスパッタリング面から基材4側へ向かう空間に形成される)中、接着膜を形成する基材4を、第1ターゲット1の近傍から第2ターゲット2の近傍へ、その接着膜を形成する面と第1ターゲット及び第2ターゲット1,2のスパッタリング面とが平行になるように対向させて移動させながらスパッタリングすることにより形成することができる。なお、図1中、5は磁石、6はターゲット電極、81,82はガス排気口(減圧口)、9は基材冶具、10は電源、11はガス流量コントローラー、12はプラズマ発光検出器、13は電圧計を示す。」
c「【0017】
また、本発明の方法においては、図1に示されるように、第1室31及び第2室32に各々プラズマ発光検出器12,12を設けると共に、このプラズマ発光検出器により検出される発光量を一定に保つように第1室31及び第2室32に供給する反応性ガスの供給量をガス流量コントローラー11,11で制御するプラズマ発光モニター制御、第1ターゲット1又は第2ターゲット2とアース(接地)との間の電圧を電圧計13,13で測定してそれらの電圧に応じて第1室31及び第2室32に供給する反応性ガスの供給量ガスをガス流量コントローラー11,11で制御するインピーダンス制御、又はその両方により、第1室31及び第2室32に供給する反応性ガスの量が最適になるように精密に制御しながらスパッタリングすることが好ましい。このようにしてスパッタリングすることにより、スパッタリング雰囲気が安定し、得られる接着膜の組成の勾配、特に、反応性ガス由来の成分の組成の勾配が安定した均一な接着膜を得ることができる。このようなプラズマ発光モニター制御を実施するためシステムとしては、例えば、ドイツ アルデンヌ社のプラズマエミッションコントロールシステムなど、インピーダンス制御を実施するためシステムとしては、例えば、同社のインピーダンスコントロールシステムなどが挙げられる。」
c「【図1】



(2)本願発明についての対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「マスフローコントローラ1(主供給装置)」が、真空チャンバ内に流路を通じて放電ガスを一定量導入する制御部を備えるものと認められることを勘案すれば、両者は、
「プラズマが生成される真空チャンバ内の基材の表面に成膜するものであって、
前記真空チャンバに接続されており、前記真空チャンバ内に導入されるガスが流れる第1流路と、
前記真空チャンバ内に導入される前記ガスの流量が第1流量となるように制御する制御部と、
前記真空チャンバ内で発生しているプラズマのプラズマ強度に関連する物理量を測定するモニタと、
前記モニタで測定されるプラズマ強度に関連する測定物理量と、予め設定されたプラズマ強度に関連する設定物量との偏差に基づいて前記ガスの導入量を制御する第2制御部と、を備えるプラズマ制御装置。」
の点で一致している。
他方、本願発明と引用発明とは、次の各点で相違する。
・相違点1:
真空チャンバへ導入する流量を制御するガスが、本願発明においては「反応性ガス」であるのに対して、引用発明では「放電ガス」である点。
・相違点2:
真空チャンバへガスを導入し、また、導入する流量を制御するための構成が、本願発明においては、
「第1流路上に設けられた第1バルブと、
前記第1バルブを経由して前記真空チャンバ内に導入される前記反応性ガスの流量が第1流量となるように当該第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、
一端が前記第1流路の前記第1バルブよりも上流側にあり、他端が前記第1流路の前記第1バルブよりも下流で合流するか、又は、他端が前記真空チャンバに接続されており、前記反応性ガスが流れる第2流路上に設けられた第2バルブと、
前記第2バルブの開度を制御する第2バルブ制御部と、を備え
前記第2バルブが、前記第1バルブよりも高応答性を有する」
ように構成されるのに対して、引用発明においては、そのような特定がない点。
・相違点3:
「モニタで測定されるプラズマ強度に関連する測定物理量」が、本願発明においては「プラズマ強度」であるのに対して、引用発明においては「放電電圧」である点。
・相違点4:
本願発明においては、
「設定プラズマ強度が、前記反応性ガスの流量を増加させていき、成膜の形態がメタルモードから反応性モードへ至る途中の遷移領域に前記メタルモードから移行した時のプラズマ強度であり」、また、「記第1流量が、前記遷移領域となる時の前記反応性ガスの流量よりも小さい値であり、前記成膜の形態がメタルモードとなる流量に設定されている」
のに対して、引用発明においては、そのような特定がない点。

イ 判断
(ア)上記各相違点について検討するにあたり、事案に鑑み、相違点2について検討する。
相違点2に係る本願発明の構成において、特に、「一端が前記第1流路の前記第1バルブよりも上流側にあり、他端が前記第1流路の前記第1バルブよりも下流で合流するか、又は、他端が前記真空チャンバに接続されており、前記反応性ガスが流れる第2流路上に設けられた第2バルブ」の構成、さらには、「前記第2バルブが、前記第1バルブよりも高応答性を有する」構成については、刊行物2及び3のいずれにも記載されていない。
(イ)補足すると、本願発明の構成に関連する事項として、
a 刊行物2には、「不安定な遷移状態を安定的に制御するため、反応性スパッタリングのプラズマにおける特定波長のプラズマ発光強度をモニタリングし、そのプラズマ発光強度が一定の値となるよう導入する反応性ガス量を制御する、いわゆるプラズマ・エミッション・モニタリングが用いられる。」ことが開示されているのみであり、上記(ア)に示した、相違点2に関連する本願発明の構成については、記載も示唆もない。
b 刊行物3には、「第1室31及び第2室32に各々プラズマ発光検出器12,12を設けると共に、このプラズマ発光検出器により検出される発光量を一定に保つように第1室31及び第2室32に供給する反応性ガスの供給量をガス流量コントローラー11,11で制御するプラズマ発光モニター制御」が開示されているのみであり、上記(ア)に示した、相違点2に関連する本願発明の構成については、記載も示唆もない。
(ウ)そして、本願発明は、上記(ア)に示した、上記の相違点2に係る構成を備えることによって、本願明細書の【0023】に記載された「真空チャンバ内に流入させるべき導入ガスの流量が大流量でかつ、許容できる流量誤差が小さい場合でも、導入ガスの流量制御を高速で行うことができ、例えば、従来は維持する事が難しかった反応性スパッタ法における遷移領域を維持し続けることが可能となる。」という顕著な効果を奏するのであるから、本願発明は、引用発明に刊行物2及び3に記載された事項を適用して、当業者が容易に想到し得るものということはできない。

ウ 小活
したがって、上記の相違点2についての検討により、相違点1,3及び4についての検討をするまでもなく、本願発明は、引用発明並びに刊行物2及び3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(3)本願の請求項2ないし6に係る発明について
また、本願の請求項2ないし6に係る発明についても、上記(2)のイの(ア)に示した、上記の相違点2に係る「一端が前記第1流路の前記第1バルブよりも上流側にあり、他端が前記第1流路の前記第1バルブよりも下流で合流するか、又は、他端が前記真空チャンバに接続されており、前記反応性ガスが流れる第2流路上に設けられた第2バルブ」の構成、さらには、「前記第2バルブが、前記第1バルブよりも高応答性を有する」構成を備えるものであるから、本願発明と同様に、請求項2ないし6に係る発明は、引用発明並びに刊行物2及び3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(4)まとめ
したがって、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(1)特許法第36条第6項第1号違反の拒絶理由
明細書の発明の詳細な説明における
【0009】「遷移領域となる反応性ガスの流量の区間は非常に狭い上に、流量値としても比較的大きい値であるため、プラズマの状態が変動した場合でも反応性ガスの流量を最適な値に保ち続けて遷移領域の状態に保ち続けることは難しく、実際には成膜速度を高速に保ちつづけることはできていない。より具体的には、流すべき反応性ガスの流量が大きいため、制御可能レンジの大きいマスフローコントローラを選定せざるを得ず、このようなマスフローコントローラでは、実際に流す流量を遷移領域となる狭い流量区間に保ち続けられる高応答性を実現することは難しい。」
【0010】「反応性ガスの流量と成膜の形態との間の関係にはヒステリシスがあるので、マスフローコントローラの応答性が足りず、追従に失敗して一度でも過剰な反応性ガスが真空チャンバ内に導入されてしまうと、元の状態に復旧するのには反応経路を一周する必要があるため非常に長い時間がかかってしまう。」
【0012】「本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、真空チャンバ内に導入するべき導入ガスの流量値が大きくても、その流量値の近傍の狭い区間で流量を高速制御でき、例えば、真空チャンバ内のプラズマを所望の状態で保ち続けて、成膜等に最適な状態を維持することが可能なプラズマ制御装置及び流量制御装置、流量制御用プログラムを提供することを目的とする。」
の記載(下線は当審において付したものである。)から、本願発明が解決しようとする技術課題は「反応性ガスの流量の高応答性の実現」にあるといえる。
そして、その解決の手段は、「高応答性を有する第2バルブ」を設けたことにあるのであるから、第2バルブが、従来より用いられてきたマスフローコントローラに使われている第1バルブより高応答性を有すること(請求項3の内容)は、上記の課題の解決のために欠かせない構成と認められる。
ところが、請求項1,2,4-7に係る発明は、上記の「第2バルブが(従来より用いられてきたマスフローコントローラに使われている)第1バルブより高応答性を有する」という構成が特定されていないものであり、上記の課題を解決することができないものまで含むものである。
すなわち、請求項1,2,4-7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された事項を超える範囲まで特定するものであるといえるから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反する。
(2)特許法第36条第6項第2号違反の拒絶理由
ア 請求項1,6,7の「前記第1流路の前記第1バルブよりも下流、又は、前記真空チャンバに接続されており、前記反応性ガスが流れる第2流路上に設けられた第2バルブ」の記載における、「第1バルブよりも下流」に「接続されて」いる「第2流路」という記載では、第1バルブよりも下流で、第1流路から分岐されている第2流路をも含むことになり、その場合、第2流路を設けることは技術的に意味が不明である。すなわち、請求項1,6,7の上記記載は、技術的に意味が不明なものまで含むものであり、その点で意味が明確でない。
よって、請求項1,6,7に係る発明、並びに、請求項1を引用する請求項2-5に係る発明(すなわち、請求項1-7に係る発明)は明確でない。
イ 請求項7の「流量制御用プログラム」は、プラズマ制御装置に用いられていることが特定されているのみのものであり、そのプログラムの具体内容が不明であるから発明の具体的構成が不明である。
よって、請求項7に係る発明は明確でない。

2 当審拒絶理由の判断
(1)の当審拒絶理由について
平成28年7月6日付けの手続補正により、本願の請求項1,2,4-6は、「前記第2バルブが、前記第1バルブよりも高応答性を有するように構成され」ることが特定された。このことにより、「反応性ガスの流量の高応答性の実現」という本願発明が解決しようとする技術課題の解決のために欠かせない構成が特定されたと認められる。よって、(1)の当審拒絶理由は解消した。
(2)の当審拒絶理由について
ア 平成28年7月6日付けの手続補正により、本願の請求項1,2,4-6は、「第2流路」について「一端が前記第1流路の前記第1バルブよりも上流側にあり、他端が前記第1流路の前記第1バルブよりも下流で合流するか、又は、他端が前記真空チャンバに接続されて」いることが特定された。このことにより、「第2流路」が「第1バルブ」よりも上流で「第1流路」から分岐されていることが明確になった。よって、(2)の「ア」の当審拒絶理由は解消した。
イ 平成28年7月6日付けの手続補正により、本願の請求項7は削除された。よって、(2)の「イ」の当審拒絶理由は解消した。

第5 むすび
以上のとおりであり、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。
また、他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-08-23 
出願番号 特願2011-205102(P2011-205102)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05H)
P 1 8・ 537- WY (H05H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田邉 英治  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 井口 猶二
森林 克郎
発明の名称 プラズマ制御装置及びプラズマ制御装置に用いられる流量制御装置、流量制御用プログラム  
代理人 西村 竜平  

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