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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01M
管理番号 1318522
審判番号 不服2014-26611  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-26 
確定日 2016-08-24 
事件の表示 特願2012- 72732「燃料電池用燃料サプライの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月30日出願公開,特開2012-164665〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判に係る出願(以下,「本願」と言う。)は,平成17年7月27日(パリ条約による優先権主張 2004年(平成16年)8月6日 米国)の特許出願である特願2012-48926号の一部を平成24年3月28日に特許出願したものであって,平成26年8月29日付けで拒絶査定がされたものであって(この謄本の送達日は平成26年9月2日),これに対して,平成26年12月26日に本件審判が請求されるとともに同日付けの手続補正書が提出された。
その後,当審より平成27年10月30日付けで拒絶の理由(以下,「当審拒絶の理由」と言う。)を通知したところ,平成28年3月8日付けで意見書及び補正書が提出された。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は,平成28年3月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める(以下,この発明を「本願発明」と言う。)。
「燃料電池用の燃料サプライを製造する方法であって,
上記燃料サプライは,
外側ケーシングと,
燃料を含有する内側ライナーと,
燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有し,
上記内側ライナーは当該内側ライナーの形状を崩すことができる程度に充分に柔軟性がある材料から形成され,
気体バリアコーティング,または,気体バリアフィルムが,上記形成された上記内側ライナーの表面の少なくとも一部に被着されることを特徴とする,燃料電池用の燃料サプライを製造する方法。」

3.引用発明
(1)当審拒絶の理由に引用文献1として示した特開2003-142135号公報(以下,「引用例」と言う。)には,「燃料電池用燃料供給源」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0008】図2?図4は,燃料供給源20をさらに詳細に示す。燃料供給源20は,燃料溶液を貯蔵する燃料貯蔵領域24及び,廃液を貯蔵する廃棄物貯蔵領域26を収容する外側容器22を含む。燃料溶液は,燃料貯蔵領域24から燃料溶液送出口28を介して燃料電池に送り出され,廃棄物は,廃棄物受入口30を介して廃棄物貯蔵領域26に受け入れられる。
【0009】燃料供給源20は,燃料電池12と相互接続するように,電子装置上に配置されているソケット内に嵌合するように構成されている。このソケットは,概して図2の参照番号32で示され,以下により詳細に記載される。図示される実施形態の燃料供給源20は,装置に搭載されている燃料電池に燃料を供給するために,電子装置に直接載置されるように構成されるが,燃料供給源は同じく,装置外の燃料電池に燃料を供給するように構成される場合もあることが理解されなければならない。
【0010】最初に,燃料溶液が燃料供給源20から移される前には,燃料貯蔵領域24は,図3に示すように,外側容器22の内部容積のほぼ全部を占める。しかしながら燃料電池を使用することにより,燃料供給源20内に収容される燃料の容積が減少し,また廃棄物が生成される。例えば水素化ホウ素ナトリウム溶液(又は他の水素化ホウ素溶液)が,水素燃料電池用の水素源として利用可能である。水素化ホウ素溶液は爆発することもなく,製造又は貯蔵のためのコストも低くいので,液体水素又は水素ガスと比較して有利である。以下の式によって表されるように,触媒及び/又は加熱によって,水と水素化ホウ素ナトリウム溶液を反応させることに
より水素が生成される。
(1) NaBH_(4)(aq)+2H_(2)O→NaBO_(2)(aq)+4H_(2)
【0011】一般的にはるかに過剰の水を用いて,この反応が進み,廃棄物としてNaBO_(2)の水溶液が生成される。さらに水素燃料電池の動作によって,陰極において廃棄物として水が生成される。これらの廃棄物のうちの一方又は両方が,廃棄物貯蔵領域26に給送される。この場合,燃料電池の連続動作中に,燃料貯蔵領域24内の燃料の容積は減少し続け,一方廃棄物貯蔵領域26内の廃棄物の容積は増加し続ける。燃料貯蔵領域24及び廃棄物貯蔵領域26の相対的な容積が燃料供給源の寿命にわたって逆に変化する(すなわち燃料貯蔵領域24の容積が減少するにつれて,廃棄物貯蔵領域26の容積が増加する)ということを利用するために,外側容器20は,燃料溶液又は廃液のいずれかの全容積を保持するのに十分な大きさであるが,燃料溶液及び廃液の全容積を同時には保持しない大きさに構成される。これにより,燃料及び廃棄物の全容積を同時に保持することができる燃料供給源に対して,すなわち燃料及び廃液用の個別の容器を利用する場合に比べて,燃料供給源20の寸法を低減することができる。最も効率的な場合には,これにより,燃料カートリッジに必要とされる内部容積が50%だけ低減されるか,又は所与の容積の場合の全エネルギー容量が100%だけ増加される。しかしながら全エネルギー内容量の実際の増加量は,実際の燃料電池タイプ及び動作上の要因に応じて変動する。
【0012】本明細書では,水素燃料電池に関連して典型的な実施形態が記載されるが,直接メタノール燃料電池又は固体酸化物燃料電池のような,任意の他の所望の形式の燃料電池とともに使用可能であることが理解されよう。さらに本明細書では,燃料供給源が水素化ホウ素燃料溶液を保持することに関連して記載するが,本発明による燃料供給源は,メタノール溶液,エタノール溶液,これらのアルコール又は他のアルコールの混合物,あるいはガソリン,ペンタン,燈油又はディーゼルのような液体炭化水素のような任意の他の適切な燃料溶液とともに使用される場合があることが理解されよう。
【0013】可動障壁又は仕切が,図2?図4において概して40で示されており,燃料貯蔵領域24と廃棄物貯蔵領域26を分離する。可動障壁40は,燃料が燃料溶液送出口28から移される際に移動し,燃料貯蔵領域24の容積を減少させるのと同時に,廃棄物貯蔵領域26の容積を増加させる。これにより,外側容器22の内部容積は,燃料貯蔵領域24及び廃棄物貯蔵領域26が固定された容積からなる場合よりも効率的に利用されるようになる。可動障壁40が移動することにより,燃料貯蔵領域の相対的な容積は逆に変化,減少し,これらの流体容積の変化に対応可能である。こうして,当初,廃棄物貯蔵領域26はわずかな容積しか占めないが,一旦,燃料供給源20が本質的に燃料を空にされたならば,廃棄物貯蔵領域26は,理想的には,図4に示すように,外側容器22の内部容積の本質的に全体を占有する。しかしながら,いくつかの応用形態では,燃料貯蔵領域24の容積及び廃棄物貯蔵領域26の容積は異なる容積で変化する場合があり,結果として廃棄物の容積が,消費された燃料の容積より大きくなる場合があるか,又は消費される燃料の容積が廃棄物の容積より大きくなる場合がある。このような差を補償するために,燃料貯蔵領域24及び廃棄物貯蔵領域26の最大容積はそれに応じて変えることができる。
【0014】適切であれば,障壁40のためにどのような設計をも利用することができる。適切な障壁設計は,燃料溶液と廃棄物が混合するのを防ぎ,かつ依然として燃料貯蔵領域24の容積と廃棄物貯蔵領域26の容積が互いに逆に変化することができる設計を含む。図2?図4に示す実施形態では,障壁40は,燃料貯蔵領域24を取り囲む第1の可撓性内側容器,バッグ42と,廃棄物貯蔵領域26を取り囲む第2の可撓性内側容器,バッグ44を含む。第1の可撓性内側容器42は燃料溶液送出口28と液体連通し,第2の可撓性内側容器44は廃棄物受入口30と液体連通する。第1の可撓性内側容器42及び第2の可撓性内側容器44はそれぞれ,外側容器22の内部容積の本質的に全体を満たすのに十分な大きさの最大容積を有するが,その上これらをそれぞれ外側容器の内でほとんど容積を占有しないように潰すことができる。これにより,第1の可撓性内側容器42と第2の可撓性内側容器44を組み合わせた容積が,燃料供給源20の寿命全体にわたって,外側容器22の内部容積の本質的に全てを占有可能となる。
【0015】第1の可撓性内側容器42及び第2の可撓性内側容器44を任意の適切な材料から形成することができる。適切な材料は,非脆性で,不浸透性で,かつ燃料及び廃液に対して化学的に安定な材料を含む。また適切な材料は,高い気密性をもたらし,酸素又は他の大気中の気体で燃料溶液が汚染される(水素化ホウ素が早期酸化を起こす場合がある)ことを防ぐ材料を含む。第1の可撓性内側容器42及び第2の可撓性内側容器44用の適切な材料の例として,ポリプロピレン,ポリエチレン(典型的には高密度ポリエチレン)のようなポリオレフィン,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリスチレン混合物又は共重合体,ポリスルフォン,並びにこれらの材料のポリマーブレンド及び共重合体を挙げることができる。これらの材料を,燃料及び廃液それぞれに対して可撓性内側容器42及び44の化学的耐性を増すために,架橋することができる。
【0016】また第1の可撓性内側容器42及び第2の可撓性内側容器44を,単層構造ではなく,複合又は多層構造から形成することができる。図5及び図6は,第1の可撓性内側容器42及び第2の可撓性内側容器44に対して適切な2つの多層構造の概略を示す図である。最初に,図5は,2つの化学的に不活性の外側層54a及び54bと,これらの間に挟まれている中間の高い気密性の層52とからなる3層構造を概して50で示す。これらの各層は,任意の適切な材料から形成されている。例えば,中間層52を,気体に対して非常に低い通気性を有する液晶ポリマー又はポリアミドから構成することができ,外側層54a及び54bを,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン混合物又は共重合体,PEEK,ポリスルフォン,並びにこれらの材料のポリマーブレンド及び共重合体のような適切なポリマーから構成することができる。
【0017】図6は,第1の可撓性内側容器42及び/又は第2の可撓性内側容器44を構成することができる第2の適切な多層構造を概して150で示す。層状構造50と同様に,層状構造150は,2つの不活性層154a及び154b(例えばポリマー層)によって挟まれている液晶ポリマーのような低い通気性の内側層152を含む。しかしながら構造150は,金属製の外側層156を含む。金属製の外側層156は,付加的な気密性の層をもたらし,廃棄物貯蔵領域26と燃料貯蔵領域24との間の熱伝達の改善にも役立つ。
【0018】さらに,第3の適切な多層構造(図示せず)を,2つの金属層の間に挟まれている内側ポリマー層を含む5層構造から形成することができる。その各金属層は,容器を形成するように,材料が粘着性を有する結合層によって覆われている。ポリマー層を,先に記載された材料50又は150とともに利用されるのに適する上記のポリマー化合物のうちの任意の化合物から形成することができる。同様に,結合層を,粘着性を有する任意の適切な材料から形成することができる。適切な材料の一例はポリエチレンである。」
・「【0021】外側容器22を任意の適切な材料から構成することができる。外側容器22用として使用される材料の選択は,ある程度,通常の使用時に外側容器22を取り囲むことになる環境に依存する。例えば図2?図4に示す実施形態では,燃料溶液及び廃液はいずれも内側容器内に収容される。したがって外側容器22は,燃料及び廃液に対して任意の特定の耐性を有する材料から構成される必要は全くない(しかし,例えばより効果的に漏れを抑制するために,化学的に耐性のある材料を利用することが望ましいことがある)。また外側容器22を比較的軽量で,低コストの材料から構成し,燃料供給源22の重量及びコストを削減することが望ましい場合もある。外側容器22を構成することができる適切な材料の例としては,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン混合物又は共重合体,PEEK,ポリスルフォン,並びにこれらの材料のポリマーブレンド及び共重合体を挙げることができる。さらに外側容器22は,1つの容器である必要はなく,代わりに燃料及び廃棄物貯蔵領域用の空間を画定するだけの開放構造とすることができることも理解されよう。」
・「【0023】燃料溶液送出口28及び廃棄物受入口30は,ソケット32内の相補的なコネクタ34及び36に結合され,燃料貯蔵領域24及び廃棄物貯蔵領域26を燃料電池12に接続するように構成されている。燃料溶液送出口28及び廃棄物受入口30に対して,任意の適切なコネクタ及びバルブを使用することができる。典型的には,自動封止コネクタ,すなわち燃料供給源20がソケット内に存在しない場合にはいつでも自動的に封止されるコネクタが使用される。図2?図4に示す実施形態では,燃料溶液送出口28及び廃棄物受入口30はそれぞれ,余剰隔膜/ボールスプリングバルブシステムを含む。隔膜及びボールスプリングバルブはそれぞれ自動封止式である。余剰封止機構を利用することにより,単一の自動封止システムを利用する場合よりも,漏れに対する安全性をより高くすることができる。
【0024】余剰隔膜/ボールスプリングバルブシステムの隔膜を66で示す。隔膜66は,中空の刃先を有するニードル68を収容し,かつニードル68が取り除かれたときに封止するように構成されている小さな開口部を含む。各ニードル68は,燃料供給源20がソケットに挿入される際に,隔膜66を自動的に貫通するように,ソケット32内に配置されている。
【0025】ボール70は,隔膜66の後に直接配置されている。ボール70は,スプリング72を介して隔膜66の内側に対して付勢され,燃料供給源20が使用されないときに,燃料又は廃液が隔膜に達するのを防ぐ。しかしながら燃料供給源20をソケット32に挿入することにより,ニードル68は,隔膜66を貫通し,ボール70を隔膜66の内側表面から燃料溶液送出口28のわずかに広い部分に押し込む。これにより,燃料が,ボール70を通過して,ニードル68の中空の先端部に流れ込み,さらに燃料電池に流れ込むことが可能となる。接触部のソケット側に配置されている封止板74は,ソケット32内に収容されているスプリング76によって隔膜66の上側に対して押し付けられ,燃料供給源20とソケットの間の封止をさらに強化する。本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく,余剰隔膜/ボールスプリングバルブシステムを,燃料供給源20ではなく,ソケット32内に配置することができ,またニードルを,ソケット32内ではなく,燃料供給源20上に配置することができることが理解されよう。」
(2)上記記載事項全体からして,燃料電池用の燃料供給源として,外側容器,可撓性内側容器を備えたものが把握できる。
また,段落【0023】?【0025】の記載事項及び図3,4の記載内容からすれば,燃料供給源には,燃料溶液送出口にボールスプリングバルブシステムが設けられており,このボールスプリングバルブシステムは,燃料を燃料供給源から燃料電池へ搬送するように設けられたものと理解できる。
また,段落【0016】?【0018】の記載事項及び図5,6の記載内容からすれば,可撓性内側容器を高い気密性の層を含む多層構造にすることが把握できるのであって,特に段落【0017】,【0018】の記載事項及び図5,6の記載内容からは,可撓性内側容器のポリマー層の表面に気密性をもたらす金属製の層を設けることも把握できる。
(3)以上を踏まえて,製造方法の観点から本願発明の表現にならって整理すると,引用例には次の発明が開示されていると認めることができる(以下,この発明を「引用発明」と言う。)。
「燃料電池用の燃料供給源を製造する方法であって,
上記燃料供給源は,
外側容器と,
燃料を含有する可撓性内側容器と,
燃料を上記燃料供給源から燃料電池へ搬送するように設けられたボールスプリングバルブシステムとを有し,
上記可撓性内側容器のポリマー層の表面に気密性をもたらす金属製の層が形成されている,燃料電池用の燃料供給源を製造する方法。」

4.対比・判断
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「燃料供給源」,「外側容器」,「ボールスプリングバルブシステム」は,それぞれ,本願発明の「燃料サプライ」,「外側ケーシング」,「バルブ要素」に相当する。
イ.引用発明の「可撓性内側容器」は,本願発明の「内側ライナー」に相当するものであるが,これは,図3や図5を見ても明らかなように,内部の燃料の量や外側容器の形状に応じて形状が変わるものである。したがって,引用発明の「可撓性内側容器」が「形状を崩すことができる程度に充分に柔軟性がある材料から形成され」てなるものであることは,当業者にとって自明である。
ウ.引用発明の「金属製の層」が本願発明で言う「気体バリア」の機能を備えることは,当業者にとって自明である。そして,本願発明の「気体バリアコーティング,または,気体バリアフィルム」は,「層」と観念することもできる。
したがって,引用発明の「上記可撓性内側容器のポリマー層の表面に気密性をもたらす金属製の層が形成されている」ことと本願発明の「気体バリアコーティング,または,気体バリアフィルムが,上記形成された上記内側ライナーの表面の少なくとも一部に被着される」こととは,「気体バリアの層が,内側ライナーの表面の少なくとも一部に形成されている」限りで一致する。
エ.以上を踏まえると,本願発明と引用発明の一致点及び相違点は,次のとおりである。
[一致点]

「燃料電池用の燃料サプライを製造する方法であって,
上記燃料サプライは,
外側ケーシングと,
燃料を含有する内側ライナーと,
燃料を上記燃料サプライから燃料電池へ搬送するように設けられたバルブ要素とを有し,
上記内側ライナーは当該内側ライナーの形状を崩すことができる程度に充分に柔軟性がある材料から形成され,
気体バリアの層が,内側ライナーの表面の少なくとも一部に形成されている,燃料電池用の燃料サプライを製造する方法。」
[相違点]
気体バリアの層が,内側ライナーの表面の少なくとも一部に形成されていることについて,本願発明では,気体バリアコーティング,または,気体バリアフィルムが,上記形成された上記内側ライナーの表面の少なくとも一部に被着されるものであるのに対して,引用発明では,内側ライナー(可撓性内側容器)のポリマー層の表面に気密性をもたらす金属製の層が形成されている点。
(2)上記相違点について検討する。
引用発明は,ポリマー層の表面に気密性をもたらす金属製の層が形成されているのであるから,このような層構造を製造するとなれば,例えばポリマー層に金属材料を蒸着させる等して金属製の層を形成することは,当業者にとって通常の創作能力を発揮してなし得た事項である。
すなわち,引用発明において気体バリアの層たる金属製の層をポリマー層の表面にコーティングとして被着することは,当業者にとって通常の創作能力を発揮してなし得た事項と言える。
そうすると,引用発明において,上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは,当業者が格別の創作能力を伴わずしてなし得た範囲内のことである。
そしてまた,本願の明細書又は図面の記載の限りでは,本願発明の発明特定事項によって,引用発明から見て格別顕著な技術的意義がもたらされると言うこともできない。
したがって,本願発明は,引用例が開示する引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例が開示する引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-23 
結審通知日 2016-03-29 
審決日 2016-04-12 
出願番号 特願2012-72732(P2012-72732)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永石 哲也貞光 大樹久保田 創  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 新海 岳
前田 浩
発明の名称 燃料電池用燃料サプライの製造方法  
代理人 澤田 俊夫  
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