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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1318816
審判番号 不服2016-1546  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-02 
確定日 2016-09-26 
事件の表示 特願2012- 19856「情報処理装置、制御装置、及び情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月19日出願公開、特開2013-161112、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成24年2月1日の出願であって、平成27年11月25日付けで拒絶理由が通知され、同年12月8日付けで手続補正がなされたが、同年12月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年2月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成28年2月2日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否

1.補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、

「書込みデータをキャッシュメモリに一時記憶するライトキャッシュ機能が有効な不揮発性の1以上の第1の記憶装置と、
前記第1の記憶装置より高速に書込可能で不揮発性の第2の記憶装置と、
前記第1の記憶装置にデータを書込む第1の書込手段と、
1以上の前記第1の記憶装置にそれぞれ書込むデータと、当該データを書込む前記第1の記憶装置のセクタ情報とを前記第2の記憶装置に記憶させる第2の書込手段と、
前記キャッシュメモリに一時記憶されたデータを不揮発とするためのキャッシュフラッシュコマンドの発行に応じて、書込んだデータが前記第1の記憶装置上で不揮発となった後、前記第2の記憶装置が記憶する対応するデータを無効化する無効化手段と
を備え、
前記無効化手段は、定期的に前記キャッシュフラッシュコマンドを発行することにより前記第2の記憶手段が記憶する全てのデータを無効化する、
情報処理装置。」

とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。(下線は補正箇所を示している。)


2.補正の適否

本件補正のうち上記補正事項1は、補正前の請求項1記載された「第1の記憶装置」が、「書込みデータをキャッシュメモリに一時記憶するライトキャッシュ機能が有効な」ものであるとし、また、補正前の請求項1記載された「無効化手段」による「無効化」が、「前記キャッシュメモリに一時記憶されたデータを不揮発とするためのキャッシュフラッシュコマンドの発行に応じて」行われるとし、さらに、「無効化手段」が「定期的に前記第2の記憶手段が記憶する全てのデータを無効化する」ことが、「前記キャッシュフラッシュコマンドを発行することにより」行われるとする、限定を付加したものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-277042号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。)

ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトキャッシュメモリを有する複数のディスクドライブから構成される冗長性を持つ少なくとも1つのディスクアレイを制御するのに好適な、アレイコントローラ、ディスクアレイ制御方法及びプログラムに関する。」(3頁31-35行)

イ.「【背景技術】
【0002】
近年のディスクドライブ、例えばハードディスクドライブ(HDD)は、ディスクへのアクセスを制御するコントローラ(ディスクコントローラ)内にキャッシュ(ライトキャッシュメモリ)を有しているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。このキャッシュは、ライトバックモード及びライトスルーモードの中から選択されたモードで用いられる。ライトバックモードとは、ホストシステム(ホストコンピュータ)からHDDのコントローラにデータの書き込みが要求されたときに、当該コントローラが要求されたデータをキャッシュに書き込んだ時点でホストシステムに書き込み完了を通知するモードである。これに対してライトスルーモードとは、要求されたデータをキャッシュに書き込むと共にディスク(ディスク媒体)にも書き込むモードである。ライトスルーモードでは、要求されたデータがディスクに書き込まれた時点で、書き込みが完了する。このため、キャッシュをライトバックモードで使用することにより、ディスクへの書き込みを高速化することができる。キャッシュをライトバックモードで使用することを、ライトバックキャッシュをオンすると呼ぶこともある。」(3頁36-50行)

ウ.「【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係るコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。図1のコンピュータシステムは、ディスクアレイ10と、このディスクアレイ10を制御するアレイコントローラ(ディスクアレイコントローラ)20と、各種アプリケーションを実行するホスト(ホストコンピュータ)30とから構成される。ホスト30は、ディスクアレイ10を外部記憶装置として用いる。
【0022】
ディスクアレイ10は、複数のディスクドライブ、例えば4台のHDD(磁気ディスクドライブ)110(#0),111(#1),112(#3),113(#4)から構成磁気ディスクドライブされるRAIDである。ここでは、ディスクアレイ10は、RAID1レベルのディスクアレイ、いわゆるミラーリングディスクアレイとして用いられる。ディスクアレイ10は、RAID1マスタ11MとRAID1スレーブ11Sとから構成される。RAID1マスタ11Mは、ホスト30から要求されたデータを書き込むのに用いられる。RAID1スレーブ11Sは、ホスト30から要求されたデータと同一のデータを冗長データ(ミラーデータ)として書き込むのに用いられる。つまりRAID1スレーブ11Sは、RAID1マスタ11Mの複製を格納するのに用いられる。図1の例では、RAID1マスタ11MはHDD110(#0),111(#1)から構成され、RAID1スレーブ11SはHDD112(#2),113(#3)から構成される。
【0023】
HDD#0乃至#3は、それぞれ当該HDD#0乃至#3のディスク(ディスク媒体)に書き込むべきデータを一時格納するためのライトキャッシュメモリ(WC)110a乃至113aを有する。
【0024】
アレイコントローラ20は、ライト制御部21とWC制御部(ライトキャッシュ制御部)22とを含む。ライト制御部21は、ホスト30からの書き込み要求を受けて、要求されたデータ(要求データ)をRAID1マスタ11Mに書き込むと共に、当該要求データに対応する冗長データ(ここでは、要求データと同一の冗長データ)をRAID1スレーブ11Sに書き込むための制御を行う。WC制御部22は、HDD#0乃至#3が有するライトキャッシュメモリ110a乃至113aの各々をライトバックモードで使用するか、或いはライトスルーモードで使用するか、つまりライトバックキャッシュON(WBC-ON)の状態またはライトバックキャッシュOFF(WBC-OFF)の状態のいずれで使用するかを制御する。本実施形態において、ライト制御部21及びWC制御部22は、アレイコントローラ20の図示せぬマイクロプロセッサ(コンピュータ)のプログラムメモリにインストールされた制御プログラムを当該マイクロプロセッサが読み取って実行することにより実現される。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布可能である。また、このプログラムが、ネットワークを介してダウンロード(頒布)されても構わない。」(7頁8-46行)

エ.「【0025】
次に、図1のシステムにおけるアレイコントローラ20による制御について図2及び図3を参照して説明する。図2はアレイコントローラ20のWC制御部22によるライトキャッシュメモリの制御の手順を示すフローチャート、図3はアレイコントローラ20のライト制御部21による書き込み制御に応じて実行されるHDD#0乃至#3の動作を従来と対比して説明するためのタイミングチャートである。
【0026】
まず、WC制御部22は、例えばシステムの立ち上げ時に、RAID1マスタ11M側の各HDD、即ちHDD#0及び#1の各々を、ライトスルーモード(WBC-OFF)に設定する(ステップS1)。またWC制御部22は、RAID1スレーブ11S側の各HDD、即ちHDD#2及び#3の各々を、ライトバックモード(WBC-ON)に設定する(ステップS2)。以後、RAID1マスタ11M側のHDD#0及び#1が有するライトキャッシュメモリ110a及び111aはライトスルーモードで使用され、RAID1スレーブ11S側のHDD#2及び#3が有するライトキャッシュメモリ112a及び113aはライトバックモードで使用される。」(7頁47行-8頁11行)

オ.「【0032】
ところが本実施形態では、RAID1スレーブ11Sの各HDD#2及び#3のライトキャッシュメモリ112a及び113aは、RAID1マスタ11Mの各HDD#0及び#1のライトキャッシュメモリ110a及び111aとは異なり、ライトバックモードで使用される。このライトバックモードでは、各HDD#2及び#3に書き込むべきデータ(D1及びD2)がライトキャッシュメモリ112a及び113aに書き込まれた段階で、当該HDD#2及び#3への書き込みが完了したものとして、当該HDD#2及び#3からアレイコントローラ20に書き込み完了が通知される。
【0033】
このため本実施形態では、図3(b)に示すように、図3(a)の場合と同様にHDD#0乃至#3で時刻t1に同時にデータ書き込み処理が開始されたものとすると、RAID1スレーブ11SのHDD#2及び#3では、RAID1マスタ11Mの各HDD#0及び#1と比べて、シーク時間+回転待ち時間の分だけ早い時刻t13に書き込みが完了することになる。図3(b)におけるHDD#2及び#3でのデータ書き込み処理に要する時間は、データ処理時間(ハッチングが施された棒線の部分の期間)と、データ転送時間(黒で塗りつぶされた棒線の部分の期間)とを加算したものとなる。この場合、t12-t13で表される時間が、RAID1スレーブ11Sにおいてライトバックモード(WBC-ON)でデータ書き込みを行ったことによる効果である。但し、RAID1マスタ11Mでは、図3(b)に示すように、時刻t11まではデータ書き込みは完了しないことから、実際に短縮される時間はt12-t11=T1である。つまり、ディスクアレイ10全体では、データ書き込み処理の完了時刻はRAID1マスタ11MのHDD#0のデータ書き込み処理の完了時刻で決まり、t11となる。」(8頁47行-9頁18行)


以上総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

〈引用発明〉

「ディスクアレイ10と、このディスクアレイ10を制御するアレイコントローラ20と、各種アプリケーションを実行するホスト30とから構成されるコンピュータシステムであって、
前記ディスクアレイ10は、4台のHDD(磁気ディスクドライブ)110(#0),111(#1),112(#3),113(#4)から構成されるRAID1レベルのミラーリングディスクアレイであり、
前記HDD110(#0),111(#1)がRAID1マスタ11Mを構成し、前記HDD112(#2),113(#3)がRAID1スレーブ11Sを構成し、前記RAID1スレーブ11Sは、前記RAID1マスタ11Mの複製を格納するのに用いられ、
前記HDD#0乃至#3は、それぞれ当該HDD#0乃至#3のディスクに書き込むべきデータを一時格納するためのライトキャッシュメモリ(WC)110a乃至113aを有し、
前記アレイコントローラ20は、ライト制御部21とWC制御部22とを含み、
前記ライト制御部21は、ホスト30からの書き込み要求を受けて、要求されたデータを前記RAID1マスタ11Mに書き込むと共に、当該要求データに対応する冗長データ(要求データと同一の冗長データ)を前記RAID1スレーブ11Sに書き込むための制御を行い、
前記WC制御部22は、前記RAID1マスタ11M側の前記HDD#0及び#1の各々のライトキャッシュメモリ110a、111aを、ライトスルーモード(WBC-OFF)に設定し、また、前記RAID1スレーブ11S側の前記HDD#2及び#3の各々のライトキャッシュメモリ112a、113aを、ライトバックモード(WBC-ON)に設定することによって、
前記HDD#0乃至#3で時刻t1に同時にデータ書き込み処理が開始されたものとすると、前記RAID1スレーブ11Sの前記HDD#2及び#3では、前記RAID1マスタ11Mの各前記HDD#0及び#1と比べて、シーク時間+回転待ち時間の分だけ早い時刻t13に書き込みが完了する、
コンピュータシステム。」

(2)対比

補正発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「RAID1マスタ11M」は、「HDD110(#0),111(#1)」からなり、該「HDD110(#0),111(#1)」は「ディスクに書き込むべきデータを一時格納するためのライトキャッシュメモリ(WC)110a、111a」を有し、さらに、「ライトキャッシュメモリ110a、111a」は、「ライトスルーモード(WBC-OFF)」に設定されている。
ここで、「ライトスルーモード」とは、要求されたデータをキャッシュに書き込むと共にディスク(ディスク媒体)にも書き込むモードであることは技術常識である。
したがって、引用発明の「RAID1マスタ11M」の「HDD110(#0),111(#1)」の「ライトキャッシュメモリ(WC)110a、111a」は有効になっていると認められ、さらに、「HDD110(#0),111(#1)」の「ディスク」が不揮性であることは明らかであるから、引用発明の「RAID1マスタ11M」は、補正発明の「書込みデータをキャッシュメモリに一時記憶するライトキャッシュ機能が有効な不揮発性の1以上の第1の記憶装置」に相当する。

イ.引用発明の「RAID1スレーブ11S」は、「HDD112(#2),113(#3)」からなり、該「HDD112(#2),113(#3)」の「ライトキャッシュメモリ112a、113aを、ライトバックモード(WBC-ON)に設定する」ことにより、「前記RAID1マスタ11Mの各前記HDD#0及び#1と比べて、シーク時間+回転待ち時間の分だけ早い時刻t13に書き込みが完了する」ものであり、また、「HDD112(#2),113(#3)」の「ディスク」が不揮性であることは明らかでるから、引用発明の「RAID1スレーブ11S」は、補正発明の「前記第1の記憶装置より高速に書込可能で不揮発性の第2の記憶装置」に相当する。

ウ.引用発明の「ライト制御部21」は、「ホスト30からの書き込み要求を受けて、要求されたデータを前記RAID1マスタ11Mに書き込む」ものであるから、引用発明の「ライト制御部21」は、補正発明の「前記第1の記憶装置にデータを書込む第1の書込手段」に相当する。

エ.また、引用発明の「ライト制御部21」は、「ホスト30からの書き込み要求を受けて、要求されたデータを前記RAID1マスタ11Mに書き込むと共に、当該要求データに対応する冗長データ(要求データと同一の冗長データ)を前記RAID1スレーブ11Sに書き込む」ものではあるが、「ライト制御部21」は、書き込む「要求されたデータ」の「RAID1マスタ11M」のセクタ情報は書き込まないことから、引用発明の「ライト制御部21」と、補正発明の「1以上の前記第1の記憶装置にそれぞれ書込むデータと、当該データを書込む前記第1の記憶装置のセクタ情報とを前記第2の記憶装置に記憶させる第2の書込手段」とは、「1以上の前記第1の記憶装置にそれぞれ書込むデータを前記第2の記憶装置に記憶させる第2の書込手段」の点では共通する。

オ.引用発明の「コンピュータシステム」は、情報を処理するディスクアレイを制御するものであるから、補正発明の「情報処理装置」に相当する。


よって、補正発明と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。

(一致点)

「書込みデータをキャッシュメモリに一時記憶するライトキャッシュ機能が有効な不揮発性の1以上の第1の記憶装置と、
前記第1の記憶装置より高速に書込可能で不揮発性の第2の記憶装置と、
前記第1の記憶装置にデータを書込む第1の書込手段と、
1以上の前記第1の記憶装置にそれぞれ書込むデータを前記第2の記憶装置に記憶させる第2の書込手段と、
を備える、
情報処理装置。」

(相違点)
(相違点1)
「第2の書込手段」が、補正発明では、「当該データを書込む前記第1の記憶装置のセクタ情報」も「第2の記憶装置に記憶させる」のに対して、引用発明では、「ライト制御部21」は、そのようなセクタ情報は記憶させない点。

(相違点2)
補正発明では、「前記キャッシュメモリに一時記憶されたデータを不揮発とするためのキャッシュフラッシュコマンドの発行に応じて、書込んだデータが前記第1の記憶装置上で不揮発となった後、前記第2の記憶装置が記憶する対応するデータを無効化する無効化手段」を有し、「前記無効化手段は、定期的に前記キャッシュフラッシュコマンドを発行することにより前記第2の記憶手段が記憶する全てのデータを無効化する」のに対して、引用発明は、そのような手段を有していない点。


(3)判断

当審は次のとおり判断する。

下のア.?ウ.に示す理由で、引用発明において上記相違点2に係る補正発明の構成を採用することは、当業者といえども容易に推考し得たこととはいえない。


ア.引用発明を開示する刊行物1には、引用発明において上記相違点2に係る補正発明の構成を採用することについての記載も、それを示唆する記載もない。

イ.原査定で引用された特開平10-161938号公報(特に、段落【0025】、【0029】等参照。また、以下、「刊行物2」という。)には、SRAMカードとキャッシュメモリを有するハードディスク装置が、キャッシュメモリに書き込まれたデータをディスクに書き込むことで、SRAMカードに書き込まれたデータを無効化する無効化手段が記載されており、該無効化を定期的に行うようにすることは、当業者が設計時に適宜変更し得た事項と認められる。
しかしながら、引用発明のディスクアレイは「RAID1レベルのミラーリングディスクアレイ」であり、「RAID1スレーブ11S」に「RAID1マスタ11M」の冗長データ(コピー)を持たすことによって、「RAID1マスタ11M」側で障害が起きた場合に「RAID1スレーブ11S」側の冗長データ(コピー)を用いてデータを復元するものである。
したがって、引用発明においては、「RAID1マスタ11M」でデータが不揮発となったからといって、「RAID1スレーブ11S」のデータを無効化してはならない。
したがって、引用発明に刊行物2の技術を適用することはできず、上記相違点2に係る補正発明の構成は導出されない。

したがって、引用発明において上記相違点2に係る補正発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったとはいえない。

ウ.ほかに引用発明において上記相違点2に係る補正発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。

したがって、その他の相違点について判断するまでもなく、補正発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。


本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。

3.むすび

本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。


第3 本願発明

本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-7に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は上記第2の2.のとおり、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものではない。

また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2-5に係る発明は、請求項1に係る発明をさらに限定した発明であるから、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものではない。
さらに、本願の請求項6、7に係る発明は、本願発明の「情報処理装置」を、各々「制御装置」、「情報処理方法」の観点から記載したものに過ぎず、本願発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものではない。


したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-09-13 
出願番号 特願2012-19856(P2012-19856)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 啓介  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 山澤 宏
山田 正文
発明の名称 情報処理装置、制御装置、及び情報処理方法  
代理人 大貫 敏史  
代理人 江口 昭彦  
代理人 内藤 和彦  
代理人 土屋 徹雄  
代理人 稲葉 良幸  

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