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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60Q
管理番号 1319029
審判番号 不服2014-22296  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-04 
確定日 2016-09-08 
事件の表示 特願2012- 23434号「エレクトロルミネセンスパネルを用いた乗物用室内照明システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月10日出願公開、特開2012- 86842号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2001年(平成13年)年2月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2000年2月26日 (US)米国)を国際出願日とする特願2001-562102号の一部を平成24年2月6日に新たな出願としたものであって、平成24年3月7日に手続補正書が提出され、平成25年7月2日付けで拒絶理由が通知され、平成26年1月10日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月27日付けで拒絶査定がされ、同年11月4日に拒絶査定不服審判が請求され、同年12月17日に審判請求書を補正する手続補正書が提出されたものである。そして、当審において平成27年8月11日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 当審の判断
1 本願発明
本願の請求項1-9に係る発明は、平成28年2月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項によって特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「乗物室内照明システムであって、
光源と、全面的に光透過性を有する少なくとも1つの光透過タッチスイッチ及び前記光透過タッチスイッチの後ろに設けられたエレクトロルミネセンスパネルを備えたスイッチ組立体を有し、
オーバーレイを更に有し、前記光透過タッチスイッチは、前記オーバーレイと、前記エレクトロルミネセンスパネルとの間に挟まれており、
前記スイッチ組立体は、前記エレクトロルミネセンスパネルからの光を前記光透過タッチスイッチ越しに差し向け、タッチスイッチの背面照明を行うよう構成されていること、
を特徴とする乗物室内照明システム。」

2 刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明
(1)刊行物1
ア 刊行物1の記載事項
当審の拒絶の理由に「刊行物1」として示され、本願の優先日前に頒布された特開平11-123985号公報には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。以下同様。)
(ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乗用車等の車両の室内に装備される、例えば、ルーフ中央の室内灯、運転席前方のマップランプおよび後部座席の後方における読書灯等の室内灯であって、部品の共通化を図ることによりデザインの変化に容易に対応でき、コストの低減を可能にした車両用室内灯に関する。」

(イ)
「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用室内灯の実施の形態を図面と共に説明する。図1?図4は第1の実施の形態を示し、前記した従来例における図10と同一符号は同一部品を示し説明は省略する。本発明における車両用室内灯は、筐体4と枠体5およびレンズ6とより構成されるものである。
【0011】筐体4には従来と同様に凹部41にランプ42が取付けられ、かつ、この実施の形態にあってはスライド式スイッチ43が設けられている。そして、筐体4における周縁の鍔部44には切り込みによって弾性が付与された係合爪を有する係合用突起45が長手方向の端部に2箇所、1つの短手方向の中央部に1箇所形成されている。」

(ウ)
「【0017】前記した第1の実施の形態におけるスイッチ43はスライド式のものを使用した場合であるが、図5に示す第2の実施の形態のようにプッシュ式スイッチ43を使用してもよい。」

イ 刊行物1に記載された発明
ここで、上記(ウ)に、図5に係る例は、「プッシュ式スイッチ43」を用いることが記載され、図5の記載から、当該「プッシュ式スイッチ43」は2つ設けられていることが看取できる。
以上のことから、刊行物1には、本願請求項1の記載ぶりに倣うと、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。
「車両用室内灯であって、
ランプ42と、2つのプッシュ式スイッチ43を有している車両用室内灯。」

(2)刊行物2
ア 刊行物2の記載事項
当審の拒絶の理由に「刊行物2」として示され、本願の優先日前に頒布された実願昭61-54029号(実開昭62-165615号)のマイクロフィルムには、以下の事項が記載されている。
(ア)
「本考案の発光メンブレンスイッチは、第1図および第2図に示すように、可動接点3aを有する可動接点支持板2aと固定接点3bを有する固定接点支持板2bとをスペーサー4をはさんで対向させ重ねてなるメンブレンスイッチにおいて、可動接点支持板2aと固定接点支持板2bが透明であって、各キーごとに固定接点支持板2bの裏面または可動接点支持板2aの表面にエレクトロルミネッセントパネル5を設け、キーを押すと発光するように構成したことを特徴とする。」(明細書第4ページ第18行-第5ページ第8行)

(イ)
「所望により、接点を透明に形成してもよい。」(明細書第5ページ第17-18行)

(ウ)
「可動接点支持板2aの上に、または可動接点支持板2a上に接着したエレクトロルミネッセントパネル5の上に、保護のための表面シート6を重ねる。」(明細書第7ページ第3-6行)

(エ)
「4.図面の簡単な説明
・・・
1…発光メンブレンスイッチ」(明細書第10ページ第1?5行)

イ 刊行物2に記載の発明
ここで、刊行物2の第1図の記載より、可動接点3a、固定接点3b、スペーサー4は複数設けられていることが看取できる。
また、第1図に係る例のエレクトロルミネッセントパネル5は、その構成からみて、複数の透明な可動接点3aを有する透明な可動接点支持板2aと、複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2b越しに光を差し向け、背面照射を行うものといえる。
以上のことから、刊行物2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。
「複数の透明な可動接点3aを有する透明な可動接点支持板2aと複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2bとを複数のスペーサー4をはさんで対向させ重ねてなる発光メンブレンスイッチ1において、
前記複数の透明な可動接点3aを有する透明な可動接点支持板2aと前記複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2bの後ろに設けられたエレクトロルミネッセントパネル5とを備え、
表面シート6を更に有し、前記複数の透明な可動接点3aを有する透明な可動接点支持板2aと前記複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2bは、前記表面シート6と、前記エレクトロルミネッセントパネル5との間に挟まれており、
前記発光メンブレンスイッチ1は、前記エレクトロルミネッセントパネル5からの光を前記複数の透明な可動接点3aを有する可動接点支持板2aと前記複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2b越しに差し向け、前記複数の透明な可動接点3aを有する透明な可動接点支持板2aと前記複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2bの背面照明を行うよう構成されている発光メンブレンスイッチ1。」

3 対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、引用発明1における「車両用室内灯」は本願発明における「乗物室内照明システム」に相当し、同様に、「ランプ42」は「光源」に相当する。
また、後者の「2つのプッシュ式スイッチ43」が設けられている部分が「スイッチ組立体」に相当するといえる。
加えて、後者の「プッシュ式スイッチ43」と前者の「光透過タッチスイッチ」とは「タッチスイッチ」の限度で一致するといえる。

そうすると、両者は次の点で一致する。
「乗物室内照明システムであって、
光源と、タッチスイッチを備えたスイッチ組立体を有している乗物室内照明システム。」

そして、両者は以下の点で相違ないし一応相違する。
〔相違点1〕
「タッチスイッチ」の数に関し、本願発明では、「少なくとも1つ」であるのに対し、引用発明1では、「2つ」である点。

〔相違点2〕
「タッチスイッチ」の構成に関し、本願発明では、「全面的に光透過性を有する」「光透過タッチスイッチ」であり、「前記光透過タッチスイッチの後ろに設けられたエレクトロルミネセンスパネルを備えたスイッチ組立体」を構成するものであり、さらに、「オーバーレイを更に有し、前記光透過タッチスイッチは、前記オーバーレイと、前記エレクトロルミネセンスパネルとの間に挟まれており、前記スイッチ組立体は、前記エレクトロルミネセンスパネルからの光を前記光透過タッチスイッチ越しに差し向け、タッチスイッチの背面照明を行うよう構成されている」のに対し、引用発明1では、「プッシュ式スイッチ43」に関する具体的構成が明らかでない点。

4 判断
上記相違点について検討する。
〔相違点1〕について
本願発明の「少なくとも1つ」ということは、「2つ」であることも包含するため、結局のところ、上記相違点1は、引用発明との実質的な相違点とはいえないものである。また、「1つ」や「3つ以上」である場合を考慮したとしても、タッチスイッチの数をどのように設定するかは、当業者であれば所望とする機器等に応じて適宜決定し得る設計的事項にすぎない。

したがって、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明1も実質的に有しているか、あるいは、引用発明1において、当該発明特定事項を有するものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

〔相違点2〕について
まず、引用発明2の「複数の透明な可動接点3aを有する透明な可動接点支持板2aと複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2b」という事項について検討するに、「複数のスペーサ-4」の間のスイッチとして機能する箇所は、その構成要素の全てが「透明」であることから、当該箇所については全面的に透明なものといえる。
してみると、引用発明2の「複数の透明な可動接点3aを有する透明な可動接点支持板2aと複数の透明な固定接点3bを有する透明な固定接点支持板2b」における「複数のスペーサ-4」の間の箇所は、本願発明の「全面的に光透過性を有する」「光透過スイッチ」に相当するといえる。

そして、引用発明2の「表面シート6」は本願発明の「オーバーレイ」に、以下同様に、「エレクトロルミネッセントパネル5」は「エレクトロルミネセンスパネル」に、「発光メンブレンスイッチ1」は「スイッチ組立体」に相当する。

ここで、タッチスイッチにおいては、視認性向上等の要求があることは一般的な課題であり、引用発明1においても同様の課題を有することは当業者にとって自明なことである。
そして、このような要求に応じて、引用発明1における2つのプッシュ式スイッチ43が設けられた部分に引用発明2の事項を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

したがって、引用発明1において、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項を有するものととすることは、当業者が容易になし得たことである。

本願発明の奏する作用効果をみても、引用発明1及び2から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。
よって、本願発明は、引用発明1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 意見書における主張の検討
請求人は、平成28年2月12日付け意見書において、以下(1)、(2)の主張をしているので検討する。
(1)
「引用文献1の車両用室内灯は、スイッチ43を押すことによりランプ42に通電しランプ42を点灯させるものである。そして、当たり前のことではあるが、ランプ42が消灯している場合には車室内は暗く、反対にランプ42が点灯している場合にはランプ42から出射した光によって車室内は明るくなる。
そうすると、わざわざスイッチ43を点灯させる構成を採用することで得られるメリットとスイッチ43を点灯させる構成を採用することによるコスト高、煩雑性等のデメリットとを比較すると、デメリットの方が大きいことは明らかである。
そうすると、わざわざ引用文献1の車両用室内灯のスイッチ43を引用文献2の発光メンブレンスイッチに置き換えることは、あまりにも非現実的であり当業者が通常行うことではない。よって、当業者であれば引用文献1と引用文献2とを組み合わせることは行わない。
また、上述したように引用文献1の車両用室内灯は、スイッチ43を押したときにスイッチ43の周辺環境をも明るくするものである。そうすると、スイッチ43を引用文献2の発光メンブレンスイッチのように、押したときに点灯させるようにする必要性及び動機付けは一切存在しない。」と主張する。

まず、本願の請求項1には、エレクトロルミセンスパネルの点灯消灯と、光源の点灯消灯との相関関係の特定はなく、光源を点灯するときにエレクトロルミネセンスを点灯するものと、光源を点灯するときにエレクトロルミネセンスパネルを消灯するものが、従属請求項である請求項4、5にそれぞれ記載されていることから、本願発明は、少なくともその両方を包含しているものであることは明らかである。
ここで、刊行物1には、上記2(1)ア(ア)に示したように、「車両用室内灯」として「マップランプ」や「読書灯」といったスポット的に光を照射し室内全体を明るくするものではないものも記載されており、その場合、車両用室内灯を点灯させたとしてもスイッチの存在する場所は明るくはならないのであるから、車両用室内灯の点灯操作時にどのスイッチを操作したのかの視認性等が向上すればより好ましいことは自明のことであるので、引用発明1に引用発明2の事項を適用する動機付けは十分に存在するといえる。
そして、メリットとデメリットを考慮して製品としてどのような価値をつけるかは当業者であれば適宜設定し得ることである。なお、室内全体が明るくなるものであったとしても、スイッチの照明を点灯させることによる効果は一定程度はあるものであるから、この場合でも同様に動機付けは存在するといえる。
また、上述したとおり、引用発明1に引用発明2の事項を適用する動機付けが存在するといえるものであるが、引用発明1において、車両用室内灯を点灯させる際にスイッチの照明を点灯させる必要性等がなかったと仮定しても、一般に、機器の作動操作時にそのスイッチの照明を点灯させるか消灯させるかは、必要に応じて適宜選択し得るものであることは、本願の優先日前の周知技術(一例として、特開平9-251820号公報;段落【0018】-【0019】参照。)であり、引用発明1において、車両用室内灯の消灯時にスイッチを点灯させるようにすることは、引用発明1に引用発明2の事項を適用するに際し、所望とするスイッチの照明の効果に鑑みて適宜なし得たことである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

(2)
「そして、引用文献2では可動接点3a及び固定接点3bが導電性部材で形成されていることが記載されているに過ぎず、光透過性のものとはされていない。また、引用文献2では可動接点3a及び固定接点3bはエレクトロルミネセンスパネル5の光の出射方向とは反対側に設けられているため、引用文献2において可動接点3a及び固定接点3bを光透過性とする理由もない。
そうすると、仮に、引用文献1と引用文献2とを組み合わせる動機付けが存在して引用文献1と引用文献2とを組み合わせたとしても、全体的に光透過性を有するタッチスイッチを備える本発明を得ることはできない。」とも主張する。

しかしながら、当審において刊行物2に記載の発明に関して指摘するのは、上記2(2)ア(ア)、(ウ)及びイに示したように(平成27年8月11日付け拒絶理由通知の2.(2)においても指摘済み)、その第1図に係る例のものであって、それは可動接点3a及び固定接点3bがエレクトロルミネッセントパネル5の光の射出方向にあるものであり、請求人がいうように「光の射出方向とは反対側」(第2図に係る例)にあるものではない。
そして、刊行物2には、上記2(2)ア(イ)に示したように、接点を透明すなわち光透過性とすることが記載されている。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

6 むすび
以上検討したとおり、本願発明(本願の請求項1に係る発明)は、引用発明1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-04-11 
結審通知日 2016-04-13 
審決日 2016-04-26 
出願番号 特願2012-23434(P2012-23434)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B60Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗山 卓也  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 氏原 康宏
一ノ瀬 覚
発明の名称 エレクトロルミネセンスパネルを用いた乗物用室内照明システム  
代理人 弟子丸 健  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 辻居 幸一  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 井野 砂里  
代理人 松下 満  
代理人 吉野 亮平  
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