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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C03C |
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管理番号 | 1319166 |
異議申立番号 | 異議2015-700151 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-11-05 |
確定日 | 2016-06-16 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5714803号発明「ヒ素を含まないガラス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5714803号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?10、17、18〕、〔11?16〕について訂正することを認める。 特許第5714803号の請求項1?4、6、9?16、18に係る特許を維持する。 特許第5714803号の請求項5、7、8、17に係る特許についての申立てを却下する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第5714803号の請求項1?18に係る特許についての出願は、1997年7月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1996年7月19日、米国 1996年10月28日、米国)を国際出願日とする特願平10-506192号の一部を、平成21年2月10日に新たな特許出願(特願2009-28193号)としたものであって、登録後の経緯は以下のとおりである。 平成27年 3月20日 :特許権の設定登録 同年11月 5日 :特許異議申立人 日本電気硝子株式会社による特許異議の申立て 平成28年 1月 8日付け:取消理由の通知 同年 4月 7日 :訂正の請求、意見書の提出 同年 5月19日 :特許異議申立人による意見書の提出 2.訂正の適否についての判断 (1)一群の請求項1?10、17、18に係る訂正 ア 訂正の内容 平成28年4月7日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による、一群の請求項1?10、17、18に係る訂正の内容は以下の(ア)?(カ)のとおりである。 (ア)訂正事項1 請求項1に、訂正前の請求項5の記載内容から「ハロゲン化物含有化合物」なる選択肢を除いたものである、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、」なる記載を追記する。 (イ)訂正事項2 請求項5を削除する。 (ウ)訂正事項3 請求項6の従属先を、請求項5の削除に伴って、請求項1とする。 (エ)訂正事項4 請求項7を削除する。 (オ)訂正事項5 請求項8を削除する。 (カ)訂正事項6 請求項17を削除する。 イ 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (ア)訂正事項1について (a)訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1に、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、」なる発明特定事項を直列的に付加するものであって、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (b)新規事項の有無について 訂正事項1は、訂正前の請求項1を引用する請求項5に記載された事項であると共に、本件特許明細書【0012】に記載された事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明の対象や目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (イ)訂正事項2、4?6について (a)訂正の目的について 訂正事項2、4?6は、それぞれ訂正前の請求項5、7、8、17を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (b)新規事項の有無について 訂正事項2、4?6は、それぞれ訂正前の請求項5、7、8、17を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2、4?6は、それぞれ訂正前の請求項5、7、8、17を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)訂正事項3について (a)訂正の目的について 訂正事項3は、請求項6の従属先を、請求項5の削除に伴って、訂正後の請求項1とする訂正であり、しかも、訂正前の請求項5に記載されていた清澄剤の特定は、「ハロゲン化物含有化合物」なる選択肢を除いて、訂正後の請求項1に追記されているため、事実上、訂正前の請求項6の発明特定事項から、清澄剤について「ハロゲン化物含有化合物」なる選択肢を削除しようとするものである。 したがって、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (b)新規事項の有無について 訂正事項3は、訂正前の請求項6の発明特定事項から、清澄剤について「ハロゲン化物含有化合物」なる選択肢を削除したほかは、訂正前の請求項6と変わるところはないので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3は、発明特定事項を減縮するものであり、発明の対象や目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (エ)一群の請求項について 訂正事項1?6に係る訂正前の請求項1?10、17、18について、請求項2?10、17、18は直接又は間接的に請求項1を引用しているから、訂正前の請求項1?10、17、18に対応する訂正後の請求項1?10、17、18は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)一群の請求項11?16に係る訂正 ア 訂正の内容 本件訂正請求による、一群の請求項11?16に係る訂正の内容は以下のとおりである。 (ア) 訂正事項7 請求項11に、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、」なる記載を追記する。 イ 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (ア)訂正事項7について (a)訂正の目的について 訂正事項7は、請求項11に、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、」なる発明特定事項を直列的に付加するものであって、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (b)新規事項の有無について 訂正事項7は、本件特許明細書【0012】に記載された事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項7は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明の対象や目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (エ)一群の請求項について 訂正事項7に係る訂正前の請求項11?16について、請求項12?16は直接又は間接的に請求項11を引用しているから、訂正前の請求項11?16に対応する訂正後の請求項11?16は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (3)訂正の適否についてのむすび 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?10、17、18〕、〔11?16〕について訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件特許発明 上記のとおり訂正が認められるので、本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?18に係る発明(以下「本件特許発明1?18」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?18に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。 【請求項1】 アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、As_(2)O_(3)で表されるヒ素を0.02モルパーセント未満しか含有しないケイ酸塩ガラスが得られるバッチ成分から、シート形成ダウンドローガラス製造法を用いて、ケイ酸塩ガラスシートを溶融および形成するケイ酸塩ガラスシートの製造方法において、 Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスのβ-OH値が0.41/mm以下となるようにすることを特徴とするケイ酸塩ガラスシートの製造方法。 【請求項2】 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスのβ-OH値が0.35/mm未満となるようにすることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項3】 溶融または形成工程中にガラスを白金または白金合金と接触させることを含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項4】 前記ダウンドローガラス製造法がフュージョン法であることを特徴とする請求の範囲第3項記載の方法。 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 得られるガラスが0.02から1モルパーセントのSb_(2)O_(3)を有するような量でアンチモン含有材料を用いることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 前記得られるガラスが、酸化物基準のモルパーセントで表して、60-73%のSiO_(2)、8-14%のAl_(2)O_(3)、5-17%のB_(2)O_(3)、0-5%のTiO_(2)、0-5%のTa_(2)O_(5)、0-5%のMgO、1-13%のCaO、0-8%のSrO、および0-14%のBaOを有し、β-OH値が0.41/mm以下であるアルミノホウケイ酸塩ガラスからなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項10】 前記得られるガラスが、630℃よりも高い歪み点、および0℃-300℃の温度範囲に亘り32-46×10^(-7)/℃の線熱膨張係数を有することを特徴とする請求の範囲第9項記載の方法。 【請求項11】 白金または白金合金の存在下で、1500℃より高い融点を有するケイ酸塩ガラス混合物を溶融し、溶融スズバッチ上にガラスシートを浮かべない方法を用いて前記混合物からガラスシートを形成する、ケイ酸塩ガラスシートの製造方法であって、 前記ケイ酸塩ガラス混合物を得るに当たり、アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、As_(2)O_(3)で表されるヒ素を0.02モルパーセント未満しか含有しないケイ酸塩ガラスシートが得られるバッチ成分を選択し、 Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスシートのβ-OH値が0.41/mm以下となるようにすることを特徴とするケイ酸塩ガラスシートの製造方法。 【請求項12】 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスシートのβ-OH値が0.35/mm未満となるようにすることを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。 【請求項13】 前記溶融または形成工程中にガラスを白金または白金合金と接触させるダウンドロー法を用いて前記シートを形成することを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。 【請求項14】 前記ダウンドロー法がフュージョンシート形成法であることを特徴とする請求の範囲第13項記載の方法。 【請求項15】 得られるガラスシートが、酸化物基準のモルパーセントで表して、60-73%のSiO_(2)、8-14%のAl_(2)O_(3)、5-17%のB_(2)O_(3)、0-5%のTiO_(2)、0-5%のTa_(2)O_(5)、0-5%のMgO、1-13%のCaO、0-8%のSrO、および0-14%のBaOを有するアルミノホウケイ酸ガラスからなることを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。 【請求項16】 前記得られるガラスシートが、630℃よりも高い歪み点、および0℃-300℃の温度範囲に亘る32-46×10^(-7)/℃の線熱膨張係数を有することを特徴とする請求の範囲第15項記載の方法。 【請求項17】 (削除) 【請求項18】 得られるガラスが、酸化物基準のモルパーセントで表して、60-77%のSiO_(2)、8-14%のAl_(2)O_(3)、および5-17%のB_(2)O_(3)を有するケイ酸塩ガラスであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 (2)取消理由の概要 請求項1?18に係る特許に対して平成28年1月8日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件特許発明は、「溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスのβ-OH値が0.41/mm以下となるようにする」ことにより、清澄剤としてヒ素を使用する必要なく、ガラス中の気泡(気体状混在物)を許容できる量以下に低減するという課題を解決しようとするものである。 一方、本件特許明細書の表1(【0032】)に開示された実施例1?3において用いられている清澄剤は、SnO_(2)とSb_(2)O_(3)とを併用したもののみである。 そして、SnO_(2)とSb_(2)O_(3)とを併用した清澄剤以外に、ガラスのβ-OH値を0.41/mm以下とすることにより、ガラス中の気泡を許容できる量以下に低減するという、上記本件特許発明の課題を解決し得る清澄剤を選択するためには、当業者に過度の試行錯誤を要求するものである。 更に、本件特許発明には、清澄剤を含まない場合も包含され、清澄剤を含まない場合であっても、ガラス中の気泡を許容できる量以下に低減できるとする技術的根拠は見出せない。 したがって、請求項1?18に係る特許は、発明の詳細な説明が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。 (3)判断 ア 当審の判断 本件特許明細書【0009】には、「ヒ素が知られている最高温度の清澄剤の中の一つである」旨、「他の清澄剤は・・・溶融温度の高いガラスに清澄剤として加えられたときに・・・清澄能力を果たすことができない」旨記載され、同【0012】には、「通常、高溶融温度(・・・)でそれほど効率的ではない他の清澄成分、例えば、Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物を、As_(2)O_(3)の代わりに必要であれば使用して、そのガラスをうまく清澄することができることが分かった」旨記載されている。 そして、平成28年4月7日に特許権者から提出された意見書に添付された乙1号証の第207頁右欄下から2行目?第208頁左欄第3行目には、清澄剤としてのアンチモンが、低い溶融温度を要する溶融物に用いられる一方で、ヒ素は、1450℃を超える溶融温度を要する溶融物と共に使用されることが好都合である旨記載されている。 また、乙1号証及び特許権者から提出された意見書の第5頁に示された特開平6-157068号公報などの記載から、Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)はいずれも同様の作用機序をもつ清澄剤であることが、本件特許の出願当時の当業者の技術常識であったといえる。 上記本件特許明細書の記載及び上記技術常識に照らせば、本件特許発明は、水分量(β-OH値)を低く維持することで、溶融温度の高いガラスの清澄剤として、As_(2)O_(3)以外の「他の清澄成分」を用いることができるようになった点に特徴を有するものであるということができ、本件特許明細書に開示された実施例1?3において用いられている「SnO_(2)及びSb_(2)O_(3)」を、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤」とした場合、その実施が当業者に過度の試行錯誤を要求するものとはいえない。 乙1号証:James E. SHELBY, "Handbook of Gas Diffusion Solid and Melts", 1996, pp.201-216(Chapter 9) の写し イ 特許異議申立人の意見について 特許異議申立人 日本電気硝子株式会社は、「清澄剤として、As_(2)O_(3)以外にも、Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)といった酸化物系の清澄剤は知られていたが、O_(2)を放出・吸収する温度域は清澄剤(の種類)によって異なり、従って、清澄剤が有効に作用する温度域も清澄剤によって異なる」こと、及び「β-OH値と各清澄剤の関係性は、実施例で示されている以外に記載がなく、全く不明である」こと、「CeO_(2)やFe_(2)O_(3)は、ガラスの着色剤としても知られている」こと、「本件特許明細書に開示された実施例2における気体状混在物の水準は、液晶ディスプレイ基板用ガラスに適したものではない」ことなどを主張する。 しかしながら、上記「ア」に説示するとおり、本件特許発明1ないし11の、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤」は、As_(2)O_(3)以外の清澄剤として本件特許の出願当時の当業者の技術常識であったといえるから、当該技術常識に照らし、「SnO_(2)及びSb_(2)O_(3)」以外の本件特許発明1ないし11の清澄剤について、実施可能要件を満たさないとはいえない。 また、本件特許発明は、液晶ディスプレイ基板用ガラスに限定されたものではないから、その実施に際し、気体状混在物の水準が限定されるものと解することはできない。 ウ むすび 以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件請求項1?4、6、9?16、18に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1?4、6、9?16、18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項5、7、8、17に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項5、7、8、17に対して、特許異議申立人 日本電気硝子株式会社がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、As_(2)O_(3)で表されるヒ素を0.02モルパーセント未満しか含有しないケイ酸塩ガラスが得られるバッチ成分から、シート形成ダウンドローガラス製造法を用いて、ケイ酸塩ガラスシートを溶融および形成するケイ酸塩ガラスシートの製造方法において、 Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスのβ-OH値が0.41/mm以下となるようにすることを特徴とするケイ酸塩ガラスシートの製造方法。 【請求項2】 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスのβ-OH値が0.35/mm未満となるようにすることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項3】 溶融または形成工程中にガラスを白金または白金合金と接触させることを含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項4】 前記ダウンドローガラス製造法がフュージョン法であることを特徴とする請求の範囲第3項記載の方法。 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 得られるガラスが0.02から1モルパーセントのSb_(2)O_(3)を有するような量でアンチモン含有材料を用いることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 前記得られるガラスが、酸化物基準のモルパーセントで表して、60-73%のSiO_(2)、8-14%のAl_(2)O_(3)、5-17%のB_(2)O_(3)、0-5%のTiO_(2)、0-5%のTa_(2)O_(5)、0-5%のMgO、1-13%のCaO、0-8%のSrO、および0-14%のBaOを有し、β-OH値が0.41/mm以下であるアルミノホウケイ酸塩ガラスからなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 【請求項10】 前記得られるガラスが、630℃よりも高い歪み点、および0℃-300℃の温度範囲に亘り32-46×10^(-7)/℃の線熱膨張係数を有することを特徴とする請求の範囲第9項記載の方法。 【請求項11】 白金または白金合金の存在下で、1500℃より高い融点を有するケイ酸塩ガラス混合物を溶融し、溶融スズバッチ上にガラスシートを浮かべない方法を用いて前記混合物からガラスシートを形成する、ケイ酸塩ガラスシートの製造方法であって、 前記ケイ酸塩ガラス混合物を得るに当たり、アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、As_(2)O_(3)で表されるヒ素を0.02モルパーセント未満しか含有しないケイ酸塩ガラスシートが得られるバッチ成分を選択し、 Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される清澄剤を用い、 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスシートのβ-OH値が0.41/mm以下となるようにすることを特徴とするケイ酸塩ガラスシートの製造方法。 【請求項12】 溶融ガラス中の水分量を、得られるケイ酸塩ガラスシートのβ-OH値が0.35/mm未満となるようにすることを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。 【請求項13】 前記溶融または形成工程中にガラスを白金または白金合金と接触させるダウンドロー法を用いて前記シートを形成することを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。 【請求項14】 前記ダウンドロー法がフュージョンシート形成法であることを特徴とする請求の範囲第13項記載の方法。 【請求項15】 得られるガラスシートが、酸化物基準のモルパーセントで表して、60-73%のSiO_(2)、8-14%のAl_(2)O_(3)、5-17%のB_(2)O_(3)、0-5%のTiO_(2)、0-5%のTa_(2)O_(5)、0-5%のMgO、1-13%のCaO、0-8%のSrO、および0-14%のBaOを有するアルミノホウケイ酸ガラスからなることを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。 【請求項16】 前記得られるガラスシートが、630℃よりも高い歪み点、および0℃-300℃の温度範囲に亘る32-46×10^(-7)/℃の線熱膨張係数を有することを特徴とする請求の範囲第15項記載の方法。 【請求項17】 (削除) 【請求項18】 得られるガラスが、酸化物基準のモルパーセントで表して、60-77%のSiO_(2)、8-14%のAl_(2)O_(3)、および5-17%のB_(2)O_(3)を有するケイ酸塩ガラスであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2016-06-07 |
出願番号 | 特願2009-28193(P2009-28193) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(C03C)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 國方 恭子、増山 淳子、相田 悟 |
特許庁審判長 |
大橋 賢一 |
特許庁審判官 |
永田 史泰 新居田 知生 |
登録日 | 2015-03-20 |
登録番号 | 特許第5714803号(P5714803) |
権利者 | コーニング インコーポレイテッド |
発明の名称 | ヒ素を含まないガラス |
代理人 | 柳田 征史 |
代理人 | 熊野 剛 |
代理人 | 城村 邦彦 |
代理人 | 柳田 征史 |
代理人 | 佐久間 剛 |
代理人 | 佐久間 剛 |