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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B32B
管理番号 1319167
異議申立番号 異議2015-700079  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-08 
確定日 2016-06-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5698585号「金属張積層板」の請求項1?6に係る特許に対する特許異議の申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5698585号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕について訂正することを認める。 特許第5698585号の請求項1?6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5698585号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成23年3月31日に特許出願され、平成27年2月20日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人須藤晃伸(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成27年11月19日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である平成28年1月26日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、申立人より、平成28年3月10日付けで本件訂正請求について意見書が提出され、平成28年3月23日付けで特許権者に審尋したところ、平成28年4月27日付けで回答書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のア及びイのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1について
「ポリイミド層の片面又は両面に金属箔を有する金属張積層板において、前記金属箔と接するポリイミド層(i)のガラス転移温度が300℃以上であり、前記金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面が下記(a)?(c)の要件を満たしていることを特徴とする金属張積層板。
(a)粗化処理面の表面粗さ(Rz)が0.5?4μmの範囲にあること
(b)粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であること
(c)互いに隣接する突起物間に形成されている隙間の深さが0.5μm以上であり、かつ、当該隙間の深さ方向にわたって、隣接する突起物間の距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の数が、全突起形状数の50%以下であること」とあるのを、
「ポリイミド層が複数層からなり、前記ポリイミド層の片面又は両面に金属箔を有する金属張積層板において、前記金属箔と接するポリイミド層(i)のガラス転移温度が300℃以上、350℃未満であり、前記金属箔が銅箔又は合金銅箔であり、金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面が下記(a)?(c)の要件を満たし、前記ポリイミド樹脂層と前記金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上であることを特徴とする金属張積層板。
(a)粗化処理面の表面粗さ(Rz)が0.5?4μmの範囲にあること
(b)粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であること
(c)互いに隣接する突起物間に形成されている隙間の深さが0.5μm以上であり、かつ、当該隙間の深さ方向にわたって、隣接する突起物間の距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の数が、全突起形状数の50%以下であること」に訂正する(下線は、訂正箇所)。

イ 訂正事項2
願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の段落【0049】において「合成例2」とあるのを、「合成例1」に訂正し、「合成例1」とあるのを、「合成例2」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1に関連する記載として、特許明細書の段落【0022】に「本発明においては、ポリイミド層は、ポリイミド層(i)を金属箔と接する層として必須とし、好ましくは複数のポリイミドから構成される。」と記載され、同じく段落【0032】に「本発明におけるポリイミド層(i)は、金属箔と接するガラス転移温度が300℃以上のポリイミド層である。ポリイミド層(i)は、金属箔との接着性の観点から、金属箔との加熱圧着時に熱可塑性を示すことが必要であるが、ガラス転移温度が低くなると耐熱性の低下に繋がる。そのような観点から、ポリイミド層(i)の好ましいガラス転移温度は、350℃未満であることが好ましい。」と記載され、同じく段落【0012】に「本発明の金属張積層板は、ポリイミド層の片面又は両面に金属箔を有する。・・・・金属箔としては、後記表面粗化形状を示すものであれば特にその種類は限定されるものではないが、銅箔又は合金銅箔が好ましい。」と記載され、訂正前の特許請求の範囲の請求項6に「ポリイミド樹脂層と金属箔との1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり」と記載され、特許明細書の段落【0055】に「実施例1、2、3で得られた銅張積層板では塩酸処理後における回路端部の変色は200μm以下、ピール強度保持率は70%以上であることが確認された。」と記載され、同じく段落【0050】に「このようにして得られたフレキシブル片面銅張積層板に対し、そのポリイミド層面に更に、上記と同様の銅箔を加熱・加圧下、金属ロール間を通過させることで加熱圧着した。ピール強度及び耐酸性の特性評価は、フレキシブル両面銅張積層板の加熱圧着面側について行ったところ、銅箔とポリイミド層間の1mmピールは初期接着力が1.95kN/mであった。また、この回路の耐酸性試験による染込み幅は69μmであり、ピール強度保持率は89%であった。」と記載されており、訂正事項1の訂正は、いずれも特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものである。

訂正前の請求項1は、ポリイミド層について単層か複数層か特定されていなかったものを、訂正事項1は、複数層からなることを明らかにし、また、訂正前の請求項1は、金属箔と接するポリイミド層(i)のガラス転移温度が300℃以上と、上限が特定されていなかったものを、訂正事項1は、上限が350℃未満とするものであるから、訂正事項1のうち、これらの訂正事項は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
また、訂正前の請求項1は、金属箔について、いずれの金属であるか特定されていなかったものを、訂正事項1は、銅箔又は合金銅箔であるとするものであるから、訂正事項1のうち、この訂正事項は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
さらに、訂正前の請求項1は、ポリイミド樹脂層と金属箔との加熱圧着面側の接着力について特定されていなかったものを、訂正事項1は、ポリイミド樹脂層と金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上であるとするものであるから、訂正事項1のうち、この訂正事項は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮を目的とするものに該当する。

そして、これらの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

イ 訂正事項2について
訂正事項2に関連する記載として、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)の段落【0047】には、
「合成例1
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N-ジメチルアセトアミドを入れた。この反応容器に2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を加え、モノマーの投入総量が12wt%となるようにした。その後、3時間撹拌を続け、ポリアミド酸の樹脂溶液bを得た。ポリアミド酸の樹脂溶液bの溶液粘度は3,000cpsであった。このポリアミド酸から得られるポリイミドは30×10^(-6)(1/K)を超える線膨張係数を示し、315℃のガラス転移点温度を有していた。」と記載され、
同じく段落【0048】には、
「合成例2
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N-ジメチルアセトアミドを入れた。この反応容器に2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えた。モノマーの投入総量が15wt%で、各酸無水物のモル比率(BPDA:PMDA)が20:80となるように投入した。その後、3時間撹拌を続け、ポリアミド酸の樹脂溶液aを得た。ポリアミド酸の樹脂溶液aの溶液粘度は20,000cpsであった。このポリアミド酸から得られたポリイミドは20×10^(-6)(1/K)以下の低線膨張係数を示し、非熱可塑性の性質を有していた。」と記載されており、それぞれ、合成例1により樹脂溶液bが得られ、合成例2により樹脂溶液aが得られることが記載されている。
一方、特許明細書の段落【0049】には、「合成例1で調整したポリアミド酸の樹脂溶液a、及び合成例2で調製したポリアミド酸の樹脂溶液b」と記載され、上記の当初明細書における記載と矛盾している。
また、同じく特許明細書の段落【0049】には、「なお、ポリイミド層は、ポリアミド酸の樹脂溶液aから得られた21μmの層と、その両側にポリアミド酸の樹脂溶液bから得られた各2μmの層を有するものである。」と記載されており、特許明細書の「合成例1で調整したポリアミド酸の樹脂溶液a、及び合成例2で調製したポリアミド酸の樹脂溶液b」の記載に誤りがないとすると、ポリイミド層は、合成例1で得られた315℃のガラス転移点温度を有する層を挟んで、合成例2で得られた非熱可塑性の性質を有する層を両側に有することとなり、この非熱可塑性の性質を有する層に金属箔を加熱圧着することとなって相互の接着力が低下し、特許明細書にいう効果を奏することにならなくなることは明らかである。
そうすると、訂正事項2に係る特許明細書の段落【0049】の訂正は、明らかな誤記を正しい記載に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものであって、当初明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

そして、上記訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)請求項1?6に係る発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?6に係る発明(以下、「本件訂正発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ポリイミド層が複数層からなり、前記ポリイミド層の片面又は両面に金属箔を有する金属張積層板において、前記金属箔と接するポリイミド層(i)のガラス転移温度が300℃以上、350℃未満であり、前記金属箔が銅箔又は合金銅箔であり、金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面が下記(a)?(c)の要件を満たし、前記ポリイミド樹脂層と前記金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上であることを特徴とする金属張積層板。
(a)粗化処理面の表面粗さ(Rz)が0.5?4μmの範囲にあること
(b)粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であること
(c)互いに隣接する突起物間に形成されている隙間の深さが0.5μm以上であり、かつ、当該隙間の深さ方向にわたって、隣接する突起物間の距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の数が、全突起形状数の50%以下であること
【請求項2】
請求項1(b)で規定する突起形状において、頂点方向に向けて根本部分の幅Lより大きな幅が存在する突起形状の割合が全突起形状の数に対して20%以下である請求項1記載の金属張積層板。
【請求項3】
全突起形状に占める高さ1μm以上の突起形状の平均幅が1μm以上であるものの割合が10%以上である請求項1又は2記載の金属張積層板。
【請求項4】
粗化処理面がNi、Zn及びCrでめっき処理されており、Ni含有量が0.1mg/dm^(2)以上であり、かつ明度計により測定したY値(明度)が25以上である請求項1?3いずれか記載の金属張積層板。
【請求項5】
ポリイミド層が複数層からなり、金属箔と接しないポリイミド層(ii)のガラス転移温度がポリイミド層(i)のガラス転移温度よりも50℃以上高い請求項1?4いずれか記載の金属張積層板。
【請求項6】
ポリイミド樹脂層と金属箔との1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が80%以上である請求項1?5いずれか記載の金属張積層板。」

(2)取消理由の概要
本件訂正請求により訂正される前の請求項1?6に係る特許に対して、特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
[理由1、理由2]
本件特許の請求項1、4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
本件特許の請求項1?6に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
甲第1号証:特開2005-248323号公報
甲第2号証:国際公開2011/010540号
甲第3号証:国際公開2010/010892号
甲第4号証:特開2007-281361号公報
甲第5号証:特開2010-157571号公報
甲第6号証:国際公開2010/110092号
甲第7号証:特開2007-223205号公報
甲第8号証:特開2005-119184号公報
甲第9号証:国際公開2010/041510号
・請求項1、4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、又は甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づき容易。
・請求項2、3、5、6に係る発明は、甲第1?9号証に基づき容易。
・請求項1?6に係る発明は、市販された公知の銅箔と周知技術に基づき容易。

[理由3]
本件特許は、明細書、特許請求の範囲又は図面の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号又は同条同項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項6に係る発明の実施可能性について
・銅箔の入手可能性について
・銅箔の粗化面の特定について
・本件発明の課題を達成する構成について

(3)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、以下の発明が記載されている。
「ポリイミド樹脂の表面に表面処理銅箔を有する銅張積層板において、
表面処理銅箔が、粗化処理された粗化面を有し、
粗化面の表面粗さはRzが2.5又は3.65μmであり、
粗化面に、粗化粒子を付着させて突起物が形成されており、観察断面25μm幅における1?5μmの高さの突起物個数が0個であり、各突起物の中で最大幅が0.1以下もしくは0.3以下であり、
突起物間の平均溝深さが0.3μm未満であり、
粗化面に、Niめっき(0.3mg/dm^(2))、亜鉛めっき(0.1mg/dm^(2))を施し、その上にクロメート処理が施され、
粗化面の明度が34又は38である
銅張積層板。」 (以下、「甲1発明」という。)

(4)判断
まず、理由3(記載要件)の取消理由について検討する。
ア 理由3(記載要件)について
(ア)請求項6に係る発明の実施可能性について
特許明細書の段落【0042】?【0056】には、具体的な実施例として実施例1?3が示され、そのうち実施例1、2の金属張積層板は、評価において、請求項6で特定される「ポリイミド樹脂層と金属箔との1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が80%以上」を満たす結果が示されている。
そうすると、発明の詳細な説明が、請求項6に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとまではいえない。

(イ)銅箔の入手可能性について
特許明細書の段落【0020】には、「なお、このように粗化処理された銅箔は市販されており、本発明で言う粗化処理面の要件を満たすものは市販品から入手可能である。」と記載されている。
そして、特許権者が提出した回答書によれば、本件発明において使用することができる銅箔としては、例えば、日本電解株式会社製のHLB箔や古河電気工業株式会社製のF1-WS箔等が挙げられ(回答書15頁17?19行)、これら市販の銅箔が、本件発明の粗化処理面の要件を満たさないものであるとする理由も見当たらない。
そうすると、本件発明の粗化処理面の要件を満たす銅箔を入手することができないとすることはできず、発明の詳細な説明が、本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとまではいえない。

(ウ)銅箔の粗化面の特定について
本件訂正発明1は、金属箔について、金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面が(a)?(c)の要件を満たすとともに、ポリイミド樹脂層と金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上であることが特定されている。
仮に、要件(b)や要件(c)の特定において、それぞれ個々の要件の記載の上で、本来、意図しない例外的な突起形状が含まれ得る記載であったとしても、そのような例外的な突起形状のため、「ポリイミド樹脂層と金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上であること」の要件を満たさないものは、本件訂正発明1?6の「金属箔」に該当しないことは明らかであるから、本件訂正発明1?6が、如何なる粗化粒子が形成された粗化処理面を特定しているのか不明であるとまではいえない。
そして、本件訂正発明1?6の「金属箔」は、(a)?(c)の要件、及び接着力等に係る要件をいずれも満たすものであって、これらの要件をいずれも満たす金属箔であれば、特許明細書にいう発明の効果を奏することも明らかである。
したがって、本件訂正発明1?6が明確でないとまではいえず、また、発明の詳細な説明に記載したものではないとまでもいえない。さらに、発明の詳細な説明が、本件訂正発明1?6を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではないともいえない。

(エ)本件発明の課題を達成する構成について
特許明細書には、実施例1?3とともに比較例1、2が示されており、当業者であれば、これらの実施例、比較例の記載を含む発明の詳細な説明において、本件訂正発明1?6により、発明の課題を解決できることを認識し得るものと認められる。
そうすると、本件訂正発明1?6が、発明の詳細な説明に記載したものではないとまではいえない。

イ 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
(ア)本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも、以下の点で相違する。
《相違点》
金属箔と接するポリイミド層のガラス転移温度について、本件訂正発明1が「300℃以上、350℃未満」であるのに対し、甲1発明では特定されておらず、
金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面について、本件訂正発明1は、「(a)粗化処理面の表面粗さ(Rz)が0.5?4μmの範囲にあること(b)粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であること(c)互いに隣接する突起物間に形成されている隙間の深さが0.5μm以上であり、かつ、当該隙間の深さ方向にわたって、隣接する突起物間の距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の数が、全突起形状数の50%以下であること」の要件を満たすのに対し、甲1発明は、粗化処理された粗化面を有し、粗化面の表面粗さはRzが2.5又は3.65μmであり、粗化面に、粗化粒子を付着させて突起物が形成されており、観察断面25μm幅における1?5μmの高さの突起物個数が0個であり、各突起物の中で最大幅が0.1以下もしくは0.3以下であり、突起物間の平均溝深さが0.3μm未満であり、粗化面に、Niめっき(0.3mg/dm^(2))、亜鉛めっき(0.1mg/dm^(2))を施し、その上にクロメート処理が施され、粗化面の明度が34又は38であり、
ポリイミド樹脂層と金属箔の接着力について、本件訂正発明1が「ポリイミド樹脂層と金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上である」のに対し、甲1発明では不明である点。

(イ)理由1について検討する。
金属箔と接するポリイミド層について、甲第1号証には、「厚さ50μmのポリイミドシート(宇部興産製UPILEX-VT)」(段落【0053】)を用いることが記載されている。この「厚さ50μmのポリイミドシート(宇部興産製UPILEX-VT)」は、特許権者が提出した乙第1号証(段落【0054】)の記載によれば、ガラス転移温度は240℃であり、本件訂正発明1で特定される「300℃以上、350℃未満」の要件を満たさない。
また、金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面についても、甲1発明は、「ピール強度が得られにくい液晶ポリマー樹脂に対し、ピール強度が大きく、ファインパターン化を可能とした表面処理銅箔であり該表面処理銅箔を使用して、高周波特性が良好な回路基板を提供すること」(甲第1号証段落【0013】)を解決しようとする課題としていることからみて、甲1発明の粗化面が、ポリイミド層との接着性(ピール強度)を大きくするために採用した本件訂正発明1の(a)?(c)の要件を満たすものとは直ちにはいえない。
そして、上記のように、甲1発明の銅張積層板は、本件訂正発明1で特定される金属箔と接するポリイミド層のガラス転移温度に係る要件を満たさず、金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面に係る要件についても満たすものとは直ちにはいえないものであり、このような甲1発明の銅張積層板のポリイミド樹脂層と金属箔との接着面について、本件訂正発明1で特定する「ポリイミド樹脂層と金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上」の接着力を有するものとも直ちにはいえるものではない。
よって、上記相違点は実質的なものであり、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

(ウ)理由2について検討する。
「ガラス転移温度が300℃以上、350℃未満」であるポリイミドが周知の樹脂材料であり、甲1発明の金属箔と接するポリイミド層の材料として採用することが、当業者にとって容易に想到し得るものであったとしても、「金属箔とポリイミド層との間に生じるマイクロボイドを抑制し、かつ、金属層とポリイミド層との接着信頼性を向上させることで酸洗浄液の染込みによる回路剥がれを抑制」(特許明細書段落【0007】)するために、本件訂正発明1の要件(a)?(c)で特定される金属箔表面の粗化性状を有することについては、甲第1?9号証のいずれにも記載されておらず、示唆もされていない。
そして、本件訂正発明1の要件(a)?(c)で特定される金属箔表面の粗化性状を有することにより、本件訂正発明1は、「金属箔とそれと接するポリイミド層間のマイクロボイドの発生を抑制することができ、フレキシブル配線板の回路加工時等の耐薬品性にも優れることから高精細の加工が求められる回路基板に好適に用いられ」(特許明細書段落【0010】)るという効果を奏するものである。
よって、本件訂正発明1は、甲1発明、甲第2?9号証、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

なお、特許明細書の段落【0020】に、「このように粗化処理された銅箔は市販されており、本発明で言う粗化処理面の要件を満たすものは市販品から入手可能である。」との記載のとおり、本件訂正発明1の(a)?(c)の要件を満たす市販品の銅箔が存在するとしても、この本件訂正発明1の(a)?(c)の要件を満たす銅箔に、「ガラス転移温度が300℃以上、350℃未満」のポリイミド層を積層することにより、ポリイミド樹脂層と金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上の金属張積層板を構成することについては、甲第1?9号証のいずれにも記載も示唆もされておらず、本件訂正発明1は、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。

(エ)本件訂正発明2?6について検討する。
本件訂正発明2?6は、本件訂正発明1の全ての発明特定事項を有しているから、本件訂正発明4は甲第1号証に記載された発明ではなく、また、本件訂正発明2、3、5、6に係る発明は、甲1発明及び甲第2?9号証に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、上記取消理由によっては、本件訂正請求により訂正された請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正請求により訂正された請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
金属張積層板
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路基板に好適に使用される金属張積層板に関し、特には、絶縁層がポリイミド樹脂からなる可撓性を有するフレキシブル金属張積層板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルカメラ、デジタルビデオ、PDA、カーナビゲータ、ハードディスクその他の各種電子機器の高機能化、小型化、そして軽量化に伴い、これらの電気配線用基板材料として従来用いられてきたリジット基板に変わって配線の自由度が高く、薄型化が容易なフレキシブルプリント基板が採用される例が増加している。そして、より高度化していくこれらの機器に用いられているフレキシブルプリント基板に関しては、更なる小型高密度化、多層化、ファイン化、高耐熱化等の要求が高まっている。
【0003】
このような要求に応えるため、導体上に直接ポリイミド樹脂層を塗工形成し、かつ熱膨張係数の異なる複数のポリイミド樹脂層を多層化して形成することにより、温度変化に対する寸法安定性、接着力、更にはエッチング後の平面性等で信頼性に優れたフレキシブルプリント基板を提供する方法が特許文献1などに開示されている。
【0004】
このようなフレキシブルプリント基板に用いられる接着剤層を有さない銅張積層板においては、例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4等のように、樹脂層との接着力を高めるために銅箔表面が粗化処理された銅箔が用いられている。
【0005】
ところで、近年では、鉛フリー化に伴うはんだ接合温度の上昇に対応すべく、特許文献5のように銅箔に接するポリイミド樹脂層が高耐熱化していることにより、熱圧着時に銅箔とポリイミド層の間にマイクロボイドが生成し易くなり、回路加工時の酸洗浄液の染込みによる配線剥れが発生するなど接着信頼性が低下するという問題があった。この問題に対して、特許文献6のように、粗化処理高さを抑制し銅箔粗化処理面のめっき層を制御する方法はあるが、この方法によると初期ピール強度が低下してしまうという懸念があり、課題を残していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6-93537号公報
【特許文献2】特開平2-292894号公報
【特許文献3】特開平6-169168号公報
【特許文献4】特開平8-335775号公報
【特許文献5】WO2002/085616
【特許文献6】WO2010/010892
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、粗化処理された金属箔と接するポリイミド層が高い耐熱性を有するにもかかわらず、金属箔とポリイミド層との間に生じるマイクロボイドを抑制し、かつ、金属層とポリイミド層との接着信頼性を向上させることで酸洗浄液の染込みによる回路剥がれを抑制した金属張積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、金属箔表面の粗化性状が特有なものを用い、この金属箔と接するポリイミド樹脂に特定の特性の樹脂を適用することで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリイミド層の片面又は両面に金属箔を有する金属張積層板において、前記金属箔と接するポリイミド層(i)のガラス転移温度が300℃以上であり、前記金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面が下記(a)?(c)の要件を満たしていることを特徴とする金属張積層板である。
(a)粗化処理面の表面粗さ(Rz)が0.5?4μmの範囲にあること
(b)粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であること
(c)互いに隣接する突起物間に形成されている隙間の深さが0.5μm以上であり、かつ、当該隙間の深さ方向にわたって、隣接する突起物間の距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の数が、全突起形状数の50%以下であること
【発明の効果】
【0010】
本発明の金属張積層板は、絶縁層を構成するポリイミドが高い耐熱性を有し、優れた寸法安定性を示すだけでなく、金属箔とそれと接するポリイミド層間のマイクロボイドの発生を抑制することができ、フレキシブル配線板の回路加工時等の耐薬品性にも優れることから高精細の加工が求められる回路基板に好適に用いられ、その有用性は非常に高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 銅箔の銅箔断面にける粗化形状を説明するための模式図である。
【図2】 実施例1で用いられた銅箔の銅箔断面写真である。
【図3】 比較例2で用いられた銅箔の銅箔断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の金属張積層板は、ポリイミド層の片面又は両面に金属箔を有する。ポリイミド層は、金属箔と接するポリイミド層のガラス転移温度が300℃以上であれば、単層であっても複数層から形成されるものであってもよいが、好ましくは、ガラス転移温度が300℃以上であるポリイミド層(i)と他のポリイミド層からなり、他のポリイミド層はポリイミド層(i)のガラス転移温度より50℃以上高いガラス転移温度を有するポリイミド樹脂層(ii)からなるものである。金属箔としては、後記表面粗化形状を示すものであれば特にその種類は限定されるものではないが、銅箔又は合金銅箔が好ましい。
【0013】
金属箔として銅箔、合金銅箔を用いる場合、これらの厚さは5?50μmの範囲が好ましく、フレキシブル配線基板への適用性を考慮すると9?30μmの範囲がより好ましい。
【0014】
本発明で用いられる金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面は、下記(a)?(c)の要件を満たしている必要がある。
(a)粗化処理面の表面粗さ(Rz)が0.5?4μmの範囲にあること
(b)粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であること
(c)隣接する突起物間に深さ0.5μm以上、隣接突起物間距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の存在割合が、全突起形状数の50%以下であること
【0015】
まず、粗化処理面の表面粗さ(Rz)は0.5?4μmの範囲である必要がある。Rzの値が0.5μmに満たないと、金属箔とポリイミド層との接着力が低下し、4μmを超えると回路をファインパターンに加工する場合にエッチング残渣が増え、その結果、電気信頼性が低下する。ここで、粗化処理面の表面粗さ(Rz)はJISB 0601-1994「表面粗さの定義と表示」の「5.1 十点平均粗さ」の定義に規定されたRzを言う。
【0016】
次に、粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であることが必要である。上記アスペクト比と突起高さの要件が50%を超えると、表面粗化形状が粗くなるため耐熱性(ガラス転移温度)の高いポリイミド層を加熱圧着した場合、フロー性が不足し、マイクロボイドが生じやすくなる。
【0017】
更に、金属箔表面の粗化処理面においては、隣接する突起物間に深さ0.5μm以上、隣接突起物間距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の存在割合が、全突起形状数の50%以下であることが必要である。この割合が50%を超えると、隙間への樹脂の充填が十分に行なわれず、マイクロボイドが生じやすくなる。
【0018】
ここで、本発明に用いる金属箔の粗化処理面について、図1を用いて説明する。図1は金属箔断面の表面部分を拡大し模式的に表したものである。本発明において、粗化処理面の微細突起形状のアスペクト比は、例えば図1に示した通り、微細突起形状の1の突起物の高さHを突起物の根本部分の幅Lで除した値である。突起高さは、隣接する谷の底部を結んだ中心から最長の長さを示す値をいう。
また、本発明の上記(c)の要件について言えば、隣接する突起物間に深さ0.5μm以上の間隙があり、その間隙における隣接突起物間距離が0.001?1μmの隙間が存在するものの存在割合で判断される。図1において、突起物pと突起物qは隣接した突起物で、突起物pとq間には、0.5μm以上の深さの間隙を有している。そして、その隣接間距離は0.001?1μmの範囲である。本発明ではこのような間隙は少ない方がよく、(c)の要件を換言すれば、突起物間の深さは0.5μm以上の深さの間隙を有し、その深さまでの隣接間距離が0.001?1μmの範囲にあるものが全突起形状数に対して50%以下の数であることである。
【0019】
本発明で用いる金属箔表面に形成されている粗化形状は、頂点方向に向けて根本部分の幅Lより大きな幅が存在する突起形状の割合が全突起形状の数に対して20%以下であることが好ましく、10%以下であることが更に好ましい。この割合が20%を超えると、突起形状の根本部分にマイクロボイドが発生しやすく傾向にある。
【0020】
本発明の金属箔の粗化面においては、粗化処理による突起物の形状が細長いものであるとマイクロボイドが発生しやすい傾向にあることから、全突起形状に占める高さ1μm以上の突起形状の平均幅が1μm以上であるものの割合が10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。ここで、突起形状の平均幅は、突起形状の1/2高さでの幅を平均幅とみなしてもよい。なお、このように粗化処理された銅箔は市販されており、本発明で言う粗化処理面の要件を満たすものは市販品から入手可能である。
【0021】
金属箔の粗化処理面は、粗化処理面がNi、Zn及びCrでめっき処理されており、Ni含有量が0.1mg/dm^(2)以上であり、かつ明度計により測定したY値(明度)が25以上であることが好ましい。この明度はサンプル表面に光をあて光の反射量を明度としたもので、表面の粗さを見る指標となる。明度が低いということは反射率が低い、つまり隣接する突起物間に狭く深い隙間が多いことを示し、熱圧着時のマイクロボイドが生じやすくなる。Ni含有量が0.1mg/dm^(2)未満の場合、耐蝕性が不足するためポリイミドの充填性にかかわらず酸により腐食されてしまう。
【0022】
次に、本発明の金属張積層板で絶縁層となるポリイミド層について説明する。
上記で説明したように、本発明においては、ポリイミド層は、ポリイミド層(i)を金属箔と接する層として必須とし、好ましくは複数のポリイミドから構成される。好ましい具体的なポリイミド層の構成例を示すと下記構成例が例示できる。なお、下記構成例において、Mは金属箔の略で、PIはポリイミドの略であり、更に、PI層(i)は、ガラス転移温度が300℃以上のポリイミド層、PI層(ii)は、ポリイミド層(i)よりガラス転移温度が50℃以上高いポリイミド層である。
1)M/PI層(i)/PI層(ii)/PI層(i)
2)M/PI層(i)/PI層(ii)/PI層(i)/M
3)M/PI層(ii)/PI層(i)/M
【0023】
ポリイミド層を構成するポリイミドは、一般的に下記式(1)で表され、ジアミン成分と酸二無水物成分とを実質的に等モル使用し、有機極性溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。
【0024】
【化1】

【0025】
ここで、Ar_(1)は芳香族環を1個以上有する4価の有機基であり、Ar_(2)は芳香族環を1個以上有する2価の有機基であり、nは繰り返し数を表す。即ち、Ar_(1)は酸二無水物の残基であり、Ar_(2)はジアミンの残基である。
【0026】
ポリイミドの重合に用いる溶媒は、例えばジメチルアセトアミド、n-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等を挙げることができ、これらを1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。また、重合して得られたポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の樹脂粘度については、500cps?35000cpsの範囲とするのが好ましい。
【0027】
原料として用いるジアミン成分及び酸二無水物成分は、絶縁層を構成するポリイミド層(i)、ポリイミド層(ii)に求められる諸特性を考慮の上、下記に例示された各原料成分の中から適宜最適なものが選択される。
【0028】
酸二無水物としては、例えば、O(CO)_(2)-Ar_(1)-(CO)_(2)Oによって表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、下記式(2)で表される芳香族酸無水物残基をAr_(1)として与えるものが例示される。
【0029】
【化2】

【0030】
また、ジアミンとしては、例えば、H_(2)N-Ar_(2)-NH_(2)によって表される芳香族ジアミンが好ましく、下記式(3)で表される芳香族ジアミン残基をAr_(2)として与える芳香族ジアミンが例示される。
【0031】
【化3】

【0032】
本発明におけるポリイミド層(i)は、金属箔と接するガラス転移温度が300℃以上のポリイミド層である。ポリイミド層(i)は、金属箔との接着性の観点から、金属箔との加熱圧着時に熱可塑性を示すことが必要であるが、ガラス転移温度が低くなると耐熱性の低下に繋がる。そのような観点から、ポリイミド層(i)の好ましいガラス転移温度は、350℃未満であることが好ましい。
【0033】
このようなポリイミド層(i)を構成する酸二無水物成分としては、上記、式(2)で例示したものを挙げることができるが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を必須成分とし、これを主成分として、特に好ましくは80モル%以上用いることが好ましい。また、ポリイミド層(i)を構成するジアミン成分としては、上記、式(3)で例示したものを挙げることができるが、特に、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を必須成分とし、これを主成分として、特に好ましくは80モル%以上用いることが好ましい。ここで他の酸二無水物及びジアミン成分は2種以上併用することも可能である。
【0034】
本発明におけるポリイミド層(ii)は、ポリイミド層(i)よりもガラス転移温度が50℃以上高いポリイミド層である。ポリイミド層(ii)は、金属箔との接着性の観点から直接は金属箔と接さず、ポリイミド層(i)を介して金属箔と一体化されることが好ましい。
【0035】
このようなポリイミド層(ii)を構成する酸二無水物成分には、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3′,4,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、及び4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)から選ばれるものを使用することが好ましく、これらを単独又は2種以上混合して用いることもできる。
【0036】
また、ポリイミド層(ii)を構成するジアミン成分には、ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド(MABA)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、パラフェニレンジアミン(P-PDA)、1、3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)が好適なものとして例示され、これらを単独又は2種以上混合して用いることもできる。
【0037】
本発明におけるポリイミド層の厚みは、8?40μmの範囲が好ましく、9?30μmの範囲がさらに好ましい。また、ポリイミド層(i)は、金属層との接着性保持、絶縁層全体の線膨張係数制御によるバランス維持に役立ち、その厚さは1?3μmの範囲にあることが好ましい。ポリイミド層(i)はポリイミド層(ii)の一方側又は両側に設けてもよい。
【0038】
上記の通り、本発明で絶縁層は単層又は複数のポリイミド層から構成されるわけであるが、本発明では、絶縁層全体(ポリイミド層全体)で線膨張係数(CTE)を10×10^(-6)?25×10^(-6)[1/K]の範囲とすることが好ましい。ポリイミド層を複数層とする場合、上記ポリイミド層(ii)の線膨張係数(CTE)は30×10^(-6)[1/K]以下であることが好ましく、1×10^(-6)?20×10^(-6)[1/K]の範囲が特に好ましくい。またこの場合、ポリイミド層(i)は、20×10^(-6)?60×10^(-6)[1/K]の範囲が好ましく、30×10^(-6)?50×10^(-6)[1/K]の範囲が特に好ましい。
【0039】
以下、本発明の金属張積層板の製造方法について、積層体の上記構成例2)のもの[ M/PI層(i)/PI層(ii)/PI層(i)/M ]に基づいて説明する。なお、下記例において、Mは銅箔を適用したものである。
本例においては、まず、粗化処理された銅箔の表面にポリイミド層(i)とするためのポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を、直接塗布し、樹脂溶液に含まれる溶剤を150℃以下の温度である程度除去する。
次に、ポリイミド層(ii)とするためのポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を、直接塗布し、樹脂溶液に含まれる溶剤を150℃以下の温度である程度除去する。
そして更に、ポリイミド層(i)とするためのポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を、直接塗布し、樹脂溶液に含まれる溶剤を150℃以下の温度である程度除去する。このようにし銅箔上に、溶剤をある程度除去した複数層のポリイミド前駆体層形成した後、更に、100?450℃、好ましくは300?450℃の温度範囲で5?40分間程度の熱処理を行って、更なる溶媒の除去及びイミド化を行う。
【0040】
この状態で、銅箔上に3層のポリイミド層からなる片面銅張積層板が形成されたこととなるが、この片面銅張積層板のポリイミド層(i)面側に、粗化処理された銅箔を加熱圧着する。加熱圧着は、ポリイミド層(i)のガラス転移温度よりやや高い温度で加熱圧着され、本発明では、上記特定の粗化処理面の銅箔を用いることでマイクロボイドの発生を抑えることが可能となる。本例では、ポリイミド層の両側に粗化処理された銅箔を適用したが、本発明では、その一方、好適には加熱圧着側の銅箔にのみ上記で規定した特定の銅箔を適用してもよい。
【0041】
このように、本発明では耐熱性が求められる金属箔と接する層が高いガラス転移温度のポリイミド層を用いた場合においても、特定の表面性状を有する粗化処理された銅箔を用いることで寸法安定性、接着性など他の金属張積層板の諸特性を維持したまま、マイクロボイドの発生を抑制することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り各種評価については下記によるものである。
【0043】
[ガラス転移温度の測定]
基材銅箔をエッチングしフィルム状態となったポリイミドをSIIナノテクノロジー社製動的粘弾性測定装置(RSA-III)を用い、引張りモードにて1.0Hzの温度分散測定したtanδのピークトップをガラス転移点温度とした。
【0044】
[粗化処理面の評価]
粗化処理面の形状評価は、クロスセクションポリッシャ(日本電子社製SM-09010)にて作製した銅箔断面をFE-SEM(日立ハイテク社製S-4700型)により観察し、幅25μmの範囲内における粗化部の形状を評価した。
また、粗化処理面のNi量は、ポリイミドに接する面のみを1N-硝酸に定溶させICP-AES(パーキンエルマー社製Optima 4300)にて測定した。更に、明度Yはスガ試験機社製SM-4を用い測定した。
【0045】
[耐酸性の測定]
耐酸性の測定は、フレキシブル片面銅張積層板について、線幅1mmに回路加工を行い、塩酸18wt%の水溶液中に50℃、60分間浸漬したのちに絶縁層(ポリイミド層)側から回路端部を200倍の光学顕微鏡を用いて塩酸の染込みによる変色幅を測定した。ここで、塩酸染込み幅が200μm以下のものは良と評価できる。
【0046】
[接着力(ピール強度)の測定]
銅箔とポリイミド樹脂層との間の接着力は、銅箔上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を形成して得られたフレキシブル片面銅張積層板について、線幅1mmに回路加工を行い、東洋精機株式会社製引張試験機(ストログラフ-M1)を用いて、銅箔を180°方向に引き剥がし、初期ピール強度を測定した。また前記耐酸性測定後のピール強度を測定し、耐酸後ピール強度/初期ピール強度×100を保持率とした。
【0047】
合成例1
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N-ジメチルアセトアミドを入れた。この反応容器に2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を容器中で撹絆しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を加え、モノマーの投入総量が12wt%となるようにした。その後、3時間撹拌を続け、ポリアミド酸の樹脂溶液bを得た。ポリアミド酸の樹脂溶液bの溶液粘度は3,000cpsであった。このポリアミド酸から得られるポリイミドは30×10^(-6)(1/K)を超える線膨張係数を示し、315℃のガラス転移点温度を有していた。
【0048】
合成例2
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N-ジメチルアセトアミドを入れた。この反応容器に2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えた。モノマーの投入総量が15wt%で、各酸無水物のモル比率(BPDA:PMDA)が20:80となるように投入した。その後、3時間撹枠を続け、ポリアミド酸の樹脂溶液aを得た。ポリアミド酸の樹脂溶液aの溶液粘度は20,000cpsであった。このポリアミド酸から得られたポリイミドは20×10^(-6)(1/K)以下の低線膨張係数を示し、非熱可塑性の性質を有していた。
【0049】
実施例1
銅箔として、表面処理層としてアミノ基を有するシランカップリング剤でシランカップリング処理され表1に示す粗化処理面を有する電解銅箔を準備した。この銅箔は、厚さ12μmで、表面粗さ(Rz)は1.2μmであった。この銅箔上に、合成例1で調製したポリアミド酸の樹脂溶液b、合成例2で調整したポリアミド酸の樹脂溶液a、及び合成例1で調製したポリアミド酸の樹脂溶液bを順次塗布し、乾燥後、最終的に300℃以上約10分で熱処理を行い、ポリイミド層の厚みが25μmのフレキシブル片面銅張積層板を得た。なお、ポリイミド層は、ポリアミド酸の樹脂溶液aから得られた21μmの層と、その両側にポリアミド酸の樹脂溶液bから得られた各2μmの層を有するものである。
【0050】
このようにして得られたフレキシブル片面銅張積層板に対し、そのポリイミド層面に更に、上記と同様の銅箔を加熱・加圧下、金属ロール間を通過させることで加熱圧着した。ピール強度及び耐酸性の特性評価は、フレキシブル両面銅張積層板の加熱圧着面側について行ったところ、銅箔とポリイミド層間の1mmピールは初期接着力が1.95kN/mであった。また、この回路の耐酸性試験による染込み幅は69μmであり、ピール強度保持率は89%であった。結果を表2に示す。
【0051】
実施例2、3、比較例1、2
表面金属量が異なる表1に示す電解銅箔を用いた以外は実施例1と同様に行い、ピール強度、塩酸染込み性、ピール保持率を評価した。結果を表2に示す。
【0052】
表1には、示していないが、実施例、比較例で用いたすべての銅箔の粗化処理面はNi,Zr及びCrでめっき処理されていた。
表1において、
(b)高アスペクト比数/全突起数は、測定した全突起数に対し、アスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲にあり、突起高さが1?3μmの範囲にあるものの数の割合を表し、(c)突起間の狭隙間数/全突起数は、測定した全突起数に対し、隣接する突起物間に深さ0.5μm以上、隣接突起物間距離が0.001?1μmの範囲にある隙間を有するものの数の割合を表す。
また、(d)膨らみ突起数/全突起数は、測定した全突起数に対し、根元の幅Lよりも広い幅を有する突起形状の数の割合である。
更に、(e)突起平均幅1μm以上/全突起数は、測定した全突起数に対し、突起の平均幅が1μm以上あるものの数の割合である。
なお、実施例1で用いた銅箔断面の写真を図2に、比較例2で用いた銅箔断面の写真を図3に参考に示した。ここで、実施例2及び3で用いた銅箔は、Rzは異なるものの表面の微細粗化形状は図2と類似し、比較例1で用いた銅箔は、Rzは異なるものの表面の微細粗化形状は図3と類似している。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
実施例1、2、3で得られた銅張積層板では塩酸処理後における回路端部の変色は200μm以下、ピール強度保持率は70%以上であることが確認された。一方、比較例1、2では回路端部全体に回路剥がれによる変色が確認され、ピール強度保持率は70%未満となった。
【0056】
このように本発明で得られたフレキシブル銅張積層板は塩酸処理後の染込みが抑制され、回路剥がれが生じないことから信頼性が高い材料であることが確認された。
【符号の説明】
【0057】
L 微細突起形状の根本部分の幅
H 微細突起形状の高さ
p qに隣接する1の突起物
q pに隣接する1の突起物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド層が複数層からなり、前記ポリイミド層の片面又は両面に金属箔を有する金属張積層板において、前記金属箔と接するポリイミド層(i)のガラス転移温度が300℃以上、350℃未満であり、前記金属箔が銅箔又は合金銅箔であり、金属箔のポリイミド層と接する粗化処理面が下記(a)?(c)の要件を満たし、前記ポリイミド層と前記金属箔との加熱圧着面側の1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が70%以上であることを特徴とする金属張積層板。
(a)粗化処理面の表面粗さ(Rz)が0.5?4μmの範囲にあること
(b)粗化処理面の表層部は多数の粗化粒子により形成された微細突起形状になっており、前記微細突起形状の1の突起物における根本部分の幅Lに対する突起高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が1.5?5の範囲であり、突起高さが1?3μmの範囲である突起形状の割合が全突起形状の数に対して50%以下であること
(c)互いに隣接する突起物間に形成されている隙間の深さが0.5μm以上であり、かつ、当該隙間の深さ方向にわたって、隣接する突起物間の距離が0.001?1μmの範囲にある隙間の数が、全突起形状数の50%以下であること
【請求項2】
請求項1(b)で規定する突起形状において、頂点方向に向けて根本部分の幅Lより大きな幅が存在する突起形状の割合が全突起形状の数に対して20%以下である請求項1記載の金属張積層板。
【請求項3】
全突起形状に占める高さ1μm以上の突起形状の平均幅が1μm以上であるものの割合が10%以上である請求項1又は2記載の金属張積層板。
【請求項4】
粗化処理面がNi、Zn及びCrでめっき処理されており、Ni含有量が0.1mg/dm^(2)以上であり、かつ明度計により測定したY値(明度)が25以上である請求項1?3いずれか記載の金属張積層板。
【請求項5】
ポリイミド層が複数層からなり、金属箔と接しないポリイミド層(ii)のガラス転移温度がポリイミド層(i)のガラス転移温度よりも50℃以上高い請求項1?4いずれか記載の金属張積層板。
【請求項6】
ポリイミド樹脂層と金属箔との1mm幅での初期接着力が1.0kN/m以上であり、塩酸に1時間浸漬後のピール強度保持率が80%以上である請求項1?5いずれか記載の金属張積層板。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-06-02 
出願番号 特願2011-80333(P2011-80333)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B32B)
P 1 651・ 113- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
P 1 651・ 536- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松岡 美和  
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 久保 克彦
井上 茂夫
登録日 2015-02-20 
登録番号 特許第5698585号(P5698585)
権利者 新日鉄住金化学株式会社
発明の名称 金属張積層板  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 佐々木 一也  
代理人 佐々木 一也  
代理人 中村 智廣  
代理人 久本 秀治  
代理人 中村 智廣  
代理人 原 克己  
代理人 原 克己  
代理人 久本 秀治  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 佐野 英一  
代理人 佐野 英一  
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