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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
管理番号 1319170
異議申立番号 異議2015-700147  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-05 
確定日 2016-06-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5714035号発明「積層ポリエステルフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5714035号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第5714035号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5714035号の請求項1に係る特許についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成25年1月23日(優先権主張 平成24年12月10日)に特許出願され、平成27年3月20日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、同年11月5日付け(受理日:同年11月6日)で特許異議申立人 伊達 俊二により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年1月6日付けで取消理由(以下、単に「取消理由」という。)が通知され、同年2月29日付け(受理日:同年3月1日)で特許異議意見書が提出されるとともに訂正の請求がされ、同年4月4日付け(受理日:同年4月5日)で特許異議申立人により意見書が提出され、同年5月19日付けで審尋がされ、同年5月30日付け(受理日:同年5月31日)で回答書が提出されたものである。

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
平成28年2月29日付け(受理日:同年3月1日)でされた訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)による訂正の内容は、次のとおりである。

(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載を次のとおり訂正する(なお、下線を付した箇所が訂正箇所である。)。

「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液(但し、溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く)から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。」

(2)訂正事項b
明細書の段落【0010】の記載を次のとおり訂正する(なお、下線を付した箇所が訂正箇所である。)。

「すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液(但し、溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く)から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。」

(3)訂正事項c
明細書の段落【0106】の記載を次のとおり訂正する(なお、下線を付した箇所が訂正箇所である。)。

「実施例2?11、参考例1及び2:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、密着性は良好であった。」

(4)訂正事項d
明細書の段落【0109】の【表2】を次のとおり訂正する(塗布液8を使用した実施例10を参考例1、塗布液9を使用した実施例11を参考例2と訂正するものである。)。



2 訂正の目的の適否、願書に添付した明細書の訂正をする場合であって、請求項毎に訂正の請求をするときに、請求項の全てについて行っているか否か、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項aについて
訂正事項aは、訂正前の請求項1に「(但し、溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く)」という記載を付加することにより、請求項1に係る発明の発明特定事項である「塗布液」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項aは、取消理由で通知した甲第1ないし3号証に記載された発明との重なりのみを除くものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項bないしdについて
訂正事項bないしdは、訂正事項aに伴い、訂正後の請求項1の記載と明細書の記載を整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項bないしdは、願書に添付した明細書についての訂正であり、請求項1、すなわち請求項毎の訂正であるが、特許第5714035号の請求項の数は1つであるから、請求項の全てについて訂正の請求を行っている。
さらに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正の請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第4ないし6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件訂正の請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液(但し、溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く)から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。」

なお、当審の審尋に対して特許権者が平成28年5月30日付け(受理日:同年5月31日)で提出した回答書及び本件出願の明細書の段落【0030】によると、「炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物」に記載の「化合物」は「単量体」のみを意味し、「ポリマー」は含まないものである。

2 取消理由の概要
取消理由の概要は次のとおりである。

「1)本件特許の請求項1に係る発明は,その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
2)本件特許の請求項1に係る発明は,その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第1 本件発明
・・・(略)・・・

第2 取消理由
1.引用発明
(1)甲第1号証
特許異議申立人 伊達俊二(以下,「申立人」という。)が提示した甲第1号証(特開平10-307201号公報,特に【請求項1】,段落【0009】,【0011】,【0012】,【0026】を参照。)には,次の発明が記載されている。
・・・(略)・・・
(2)甲第2号証
申立人が提示した甲第2号証(特開平9-176518号公報,特に【請求項1】,【請求項5】,【請求項8】,段落【0015】?【0017】,【0022】,【0030】?【0032】,【0037】,【0038】を参照。)には,次の発明が記載されている。
・・・(略)・・・
(3)甲第3号証
申立人が提示した甲第3号証(国際公開第2012/004962号,特に請求項1,4,5,段落[0035],[0039]?[0044],[0059],[0061],[0093]?[0097],表2を参照。)には,次の発明が記載されている。
・・・(略)・・・
2.対比・判断
(1)甲1発明との対比・判断
・・・(略)・・・
(2)甲2発明との対比・判断
・・・(略)・・・
(3)甲3発明との対比・判断
・・・(略)・・・
(4)小括
したがって,本件発明は,その優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
あるいは,本件発明は,前記甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3.まとめ
以上のとおり,本件特許の請求項1に係る発明は,特許法第29条第1項,同法第2項の規定に違反して特許されたものであるから,同法第113条第2号に該当し,取り消すべきものである。
・・・(略)・・・」

3 取消理由についての判断
3-1 甲第1ないし3号証の記載等
(1)甲第1号証の記載等
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証(取消理由で引用され、本件出願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開平10-307201号公報である。)には、「易接着層を表面に有するプラスチック層を支持体とした光学部材」に関して、おおむね次の記載(以下、まとめて「甲第1号証の記載」という。)がある。

・「【請求項1】溶媒可溶性のポリエステル樹脂を主成分として、第2成分としてポリイソシアネート、第3成分として単官能(メタ)アクリレートからなる組成物により易接着層を表面に形成した電離放射線透過性を有するプラスチック層を支持体とし、その上に光学的機能を有する形状を形成した光学部材。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

・「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の支持体に使用できるプラスチックフィルム、またはシートとしては、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリレチレンブチレート樹脂(PBT)、ポリビニルクロライド樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリオレフィン樹脂あるいはアモルファスポリオレフィン樹脂(POあるいはAPO)などや、これらの共重合体なども使用できる。また、電離放射線透過性を有するプラスチックフィルム、またシートとしてもこれらのものは使用できる。
【0010】本発明で使用できる溶媒可溶性ポリエステル樹脂は、特公昭51-10273に記載されているように公知であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造原料(テレフタル酸とエチレングリコール)に他の酸成分、例えば、アジピン酸などの脂肪族二塩基酸やイソフタル酸などの芳香族二塩基酸又は、他のアルコール成分、例えば、プロピレングリコールなどのグリコールなどを第三成分として配合してポリエステル樹脂の結晶性を減少させて、ポリエステル樹脂の溶媒への溶解性を高めたものなどがある。
【0011】本発明に使用できるポリイソシアネートとしては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などのジイソシアネート及びその誘導体やトリイソシアネート及びその誘導体が使用できる。
【0012】本発明に使用できる単官能アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3- フェノキシプロピルアクリレートなどが使用できるが、これに限られるわけではない。」(段落【0009】ないし【0012】)

・「【0026】
【実施例】本発明を、ここでは支持体としてプラスチックフィルムを使用した場合の実施例を用いて説明する。まず、125ミクロンのポリエステルフィルム(商品名ルミラーT60 :東レ社製)上に以下に示す配合比の易接着組成物をワイヤーバー(RDS10 )により塗布した後120 ℃で1hr 乾燥後、60℃で3dayエージングし、片面に易接着層を形成したポリエステルフィルムを作成した。
1)飽和ポリエステル(商品名バイロン200S:東洋紡績社製)80重量部
2)ポリイソシアネート、HMDI(商品名KP90:東洋紡績社製)10重量部
3)単官能アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート(商品名ビスコート#150:大阪有機化学工業社製)10重量部」(段落【0026】)

イ 甲1発明
甲第1号証の記載を整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

「溶媒可溶性のポリエステル樹脂を主成分として、第2成分としてポリイソシアネート,第3成分として単官能(メタ)アクリレートからなる組成物により易接着層を表面に形成した電離放射線透過性を有するプラスチック層としてのポリエステルを支持体とし、その上に光学的機能を有する形状を形成した光学部材。」

(2)甲第2号証の記載等
ア 甲第2号証の記載
甲第2号証(取消理由で引用され、本件出願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開平9-176518号公報である。)には、「易接着化用塗料および易接着機能膜」に関して、おおむね次の記載(以下、まとめて「甲第2号証の記載」という。)がある。

・「【請求項1】 少なくとも反応性モノマーを重合成分とするポリマーと、少なくとも1個以上の官能基を含有するモノマーまたはプレポリマーとを主成分とすることを特徴とする易接着化用塗料。
【請求項2】 少なくとも反応性モノマーを重合成分とするポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系共重合体である請求項1記載の易接着化用塗料。
【請求項3】 前記反応性モノマーが少なくとも水酸基、カルボキシル基のいずれか1つを含む請求項1に記載の易接着化用塗料。
【請求項4】 該官能基がアクリロイル基である請求項1または2に記載の易接着化用塗料。
【請求項5】 前記塗料中にイソシアネート化合物を含有する請求項1?3のいずれかに記載の易接着用塗料。
【請求項6】 前記塗料中に0.01?10重量%の硬化エネルギー線によりラジカルを発生する物質を含有する請求項1?5のいずれかに記載の易接着用塗料。
【請求項7】 プラスチックフィルムと各種塗料を易接着化する機能を有する膜であって、該膜中に官能基を含有するモノマーおよび/またはプレポリマーを含有することを特徴とする易接着機能膜。
【請求項8】 請求項1?6のいずれかに記載の易接着化用塗料をプラスチックフィルム上に塗布または積層し、熱処理することにより形成される易接着機能膜。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項8】)

・「【0015】本発明の易接着化用塗料のもう一つの主たる樹脂成分である、少なくとも1個以上の官能基を有するモノマーまたはプレポリマーとは、ビニル基、カルボキシル基、水酸基などの反応性の原因となる原子団または結合様式を有するものをいう。具体的にいうと、熱、光(硬化エネルギー線)などにより重合を開始しうる原子団または結合様式を有するものをいい、使用するモノマーまたはプレポリマーは用途、すなわち塗布する塗料によって適宜選択されるが、紫外線硬化型樹脂を含有する塗料を塗布するのに使用する場合にはビニル基を有するもの、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂を含有する塗料を塗布する場合にはカルボキシル基、水酸基を有するものが好ましく使用され、さらに本発明は紫外線硬化型樹脂を含有する塗料の易接着化用として最も有効であることから、該官能基としてはアクリロイル基などのビニル基を有するものが好ましく使用される。
【0016】本発明で使用するモノマーは特に限定されるものではないが、代表例を挙げるなら2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフリールおよびその誘導体のアクリレートなどのような単官能のもの、ジシクロペンテニルアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールおよびその誘導体のジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートなどの2官能のもの、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレートなどの3官能以上のものなどが挙げられる。
【0017】本発明では前記モノマーの他に、基材との密着性、膜強度などの理由からプレポリマーを併用してもよい。本発明で使用するプレポリマーはモノマー同様特に限定されるものではないが、代表例を挙げるなら、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレートなどがある。」(段落【0015】ないし【0017】)

・「【0022】さらに本発明の易接着化用塗料には、該塗料により形成される被膜の耐溶剤性をさらに良好化せしめる目的で、少なくとも反応性モノマーを重合成分とするポリマー中の反応性モノマーを架橋せしめる物質、すなわち架橋剤を添加することが好ましい。ここで使用する架橋剤とは、反応性モノマーの種類によってことなるが、例えば該モノマーがカルボキシル基、水酸基の場合はイソシアネート化合物がある。本発明で使用されるイソシアネート化合物は特に限定されるものではないが、代表例を挙げるならヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4-4’-ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどがある。」(段落【0022】)

・「【0030】本発明でいうプラスチックフィルムとは、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリ-P-フェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。さらにこれらの共重合体やブレンド物やさらに架橋したものを用いることもできる。さらにこれらの中でも、ポリエステルフィルムに対して本発明は最も優れた効果を発揮する。
【0031】本発明でいうポリエステルフィルムとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などで代表されるものであり、またジオールとしてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールで代表されるものである。具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリポリエチレン-P-オキシベンゾエート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートなどを挙げることができる。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは耐水性、耐久性、耐薬品性に優れているものである。
【0032】もちろん、これらのポリエステルはホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても構わない。共重合成分としては、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分およびアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分を挙げることができる。」(段落【0030】ないし【0032】)

・「【0037】(1)易接着化溶塗料の調合と易接着機能膜の形成
実施例1
[易接着化用塗料の調合]少なくとも反応性モノマーを重合成分とするポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、水酸基を有するモノマーと他のアクリルモノマーとの共重合体“コータックス”LH-613(東レ(株)製)15重量部、モノマー成分としてヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールのジアクリレート“KAYARAD”HXー220(日本化薬(株)製)3重量部、オリゴマーとしてウレタンアクリレート系オリゴマー“KAYARAD”UX-4101(日本化薬(株)製)3重量部、光重合開始剤として“イルガキュアー”184(チバガイギー社製)0.3重量部、イソシアネート化合物として“スミジュール”N-75(住友バイエルウレタン(株)製)1.5重量部、希釈溶剤としてシクロヘキサノン10重量部からなる易接着化用塗料を得た。
【0038】[易接着機能膜の形成]前記塗料をポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”(東レ(株)製)に乾燥後の膜厚が2μmとなるようにメタリングバーにて塗布し、パーフェクトオーブンで120度、10分間熱処理をし易接着機能膜を得た。」(段落【0037】及び【0038】)

イ 甲2発明
甲第2号証の記載を整理すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。

「少なくとも反応性モノマーを重合成分とするポリマーと、少なくとも1個以上の官能基としてアクリロイル基を含有するモノマーまたはプレポリマーとを主成分とし、イソシアネート化合物を含有する、易接着化用塗料をプラスチックフィルムとしてのポリエステルフィルム上に塗布または積層し、熱処理することにより形成される易接着機能膜。」

(2)甲第3号証の記載等
ア 甲第3号証の記載
甲第3号証(取消理由で引用され、本件出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である国際公開第2012/004962号である。)には、「太陽電池裏面保護シート用易接着剤、及び太陽電池裏面保護シート、ならびに太陽電池モジュール」に関して、図面とともにおおむね次の記載(以下、まとめて「甲第3号証の記載」という。)がある。

・「[請求項1] ガラス転移温度が10?60℃、数平均分子量が25,000?250,000、水酸基価が2?100(mgKOH/g)であり、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系共重合体(A)と、
(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)と、
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1?5個の範囲であるポリイソシアネート化合物(C)とを含有する太陽電池裏面保護シート用易接着剤。
[請求項2] 前記(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系共重合体(A)100重量部に対して、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)を0.1?20重量部含有する、請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート用易接着剤。
[請求項3] 前記ポリイソシアネート化合物(C)がブロック化ポリイソシアネート(C1)である、請求項1又は2に記載の太陽電池裏面保護シート用易接着剤。
[請求項4] 前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)は、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することを特徴とする請求項1?3いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート用易接着剤。
[請求項5] 請求項1?4いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート用易接着剤によって形成される硬化処理前の易接着剤層と、プラスチックフィルムとを具備する太陽電池裏面保護シート。」(請求の範囲の[請求項1]ないし[請求項5])

・「[0035] 次に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)について説明する。
本発明で使用される(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)は、分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を有していればどのようなものでも良く、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)は分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、さらには分子中に3個以上有することが好ましい。
また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)としては、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系共重合体(A)とポリイソシアネート化合物(C)との架橋を阻害しない程度にヒドロキシル基や他の官能基を含んでいても良い。」(段落[0035])

・「[0039] 次に、ポリイソシアネート化合物(C)について説明する。
ポリイソシアネート化合物(C)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基と反応し、共重合体同士を架橋させることで、塗膜に耐湿熱性を付与すると共に、裏面保護シートを構成するプラスチックフィルム(E)や非受光面側の封止剤(IV)であるEVA等の封止剤との密着性を向上させることができる。そのため、ポリイソシアネート化合物(C)は、一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有することが重要であり、例えば、芳香族ポリイソシアネート、鎖式脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物(C)は、1種類でも2種類以上の化合物を併用してもよい。
[0040] 芳香族ポリイソシアネートとしては、・・・(略)・・・
[0041] 鎖式脂肪族ポリイソシアネートとしては、・・・(略)・・・
[0042] 脂肪族ポリイソシアネートとしては、・・・(略)・・・
[0043] また、上記ポリイソシアネートに加え、・・・(略)・・・
[0044] これらポリイソシアネート化合物(C)の中でも、意匠性の観点から、低黄変型の脂肪族または脂環族のポリイソシアネートが好ましく、耐湿熱性の観点からは、イソシアヌレート体が好ましい。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましい。」(段落[0039]ないし[0044])

・「[0059] 本発明の易接着剤は、プラスチックフィルム(E)に塗工して易接着剤層(D’)を形成することで、封止剤(IV)との接着性が良好な太陽電池裏面保護シート(V’)を作製することができる。」(段落[0059])

・「[0061] プラスチックフィルム(E)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタジエンなどのオレフィンフィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体フィルムなどのフッ素系フィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、を用いることができる。フィルム剛性、コストの観点からポリエステル系樹脂フィルムであることが好ましく、この中でもポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルム(E)は、1層または2層以上の複層構造でも構わない。さらには、プラスチックフィルム(E)には、金属酸化物や非金属無機酸化物を蒸着した蒸着フィルム等が積層されていても良い。」(段落[0061])

・「[0093]<ポリイソシアネート化合物(C)溶液>
3,5-ジメチルピラゾールでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を、酢酸エチルで75%に希釈し、ポリイソシアネート化合物(C)溶液を得た。
[0094]<易接着剤溶液の調整>
(メタ)アクリル系共重合体(A)溶液、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)、アリル基含有化合物(H)、ポリイソシアネート化合物(C)溶液を表2に示す組成にて混合し、さらに(メタ)アクリル系共重合体(A)溶液の固形分100重量部に対して、いずれも触媒としてジオクチル錫ラウレートを0.01重量部配合し、易接着剤溶液1?31を得た。
[0095]<太陽電池裏面保護シートの作製>
ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テトロン(登録商標)S、厚み188μm、)の両面にコロナ処理し、一方の面にポリエステル接着剤「ダイナレオVA-3020/HD-701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、下記の蒸着PET(三菱樹脂(株)製、テックバリアLX、厚み12μm)の蒸着面を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム-蒸着PET積層体を作製した。
[0096] さらに、ポリエステルフィルム-蒸着PET積層体の蒸着PET側の表面に、ポリエステル接着剤「ダイナレオVA-3020/HD-701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同様)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm)を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム-蒸着PET-ポリフッ化ビニルフィルム積層体を作製した。
[0097] さらに、ポリエステルフィルム-蒸着PET-ポリフッ化ビニルフィルム積層体のポリエステルフィルム面に、易接着剤溶液1をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:1g/平方メートルの易接着剤層を設け、太陽電池裏面保護シート1を作製した。」(段落[0093]ないし[0097])

・「[0110]
[表2]

」(段落[0110]の[表2])

イ 甲3発明
甲第3号証の記載を整理すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認める。

「ガラス転移温度が10?60℃、数平均分子量が25,000?250,000,水酸基価が2?100(mgKOH/g)であり,(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系共重合体(A)と、
(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)と、
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1?5個の範囲であるポリイソシアネート化合物(C)とを含有する、太陽電池裏面保護シート用易接着剤によって形成される硬化処理前の易接着剤層と、プラスチックフィルムとしてのポリエステル樹脂フィルムとを具備する太陽電池裏面保護シート。」

3-2 対比・判断
(1)甲1発明との対比・判断
本件特許発明と甲1発明を対比する。
甲1発明における「第2成分」、「第3成分」及び「組成物」は、それぞれ、本件特許発明における「イソシアネート系化合物」、「(メタ)アクリレート化合物」及び「塗布液」に相当するから、甲1発明における「易接着層」は本件特許発明における「塗布層」に相当する。そして、甲1発明における「支持体」は、素材がポリエステルであるから、本件特許発明における「ポリエステルフィルム」に相当する。
また、甲1発明における第3成分(単官能(メタ)アクリレート)として、甲第1号証の段落【0012】及び【0026】に記載されるものは、いずれも、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有するものである(平成27年11月5日付け(受理日:同年11月6日)で提出された特許異議申立書(以下、単に「特許異議申立書」という。)の第5ページ第13ないし15行を参照。)。

よって、両者は、
「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有する積層ポリエステルフィルム。」である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
「塗布液」に関して、本件特許発明においては、「溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く」のに対し、甲1発明においては、これらを除いていない点(以下、「相違点1」という。)。

そこで、相違点1について検討する。
甲1発明においては、「溶媒可溶性のポリエステル樹脂」は主成分であるから、甲1発明において、「塗布液」として「溶媒可溶性のポリエステル樹脂」を除くことは不合理であって、これを除く動機付けはなく、甲1発明において、相違点1に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到しえたこととはいえない。

したがって、本件特許発明は、甲1発明ではないし、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)甲2発明との対比・判断
本件特許発明と甲2発明を対比する。
甲2発明における「少なくとも1個以上の官能基としてアクリロイル基を含有するモノマーまたはプレポリマー」、「イソシアネート化合物」及び「易接着化用塗料」は、それぞれ、本件特許発明における「(メタ)アクリレート化合物」、「イソシアネート系化合物」及び「塗布液」に相当する。そして、甲2発明における易接着化用塗料は,ポリエステルフィルム上に塗布または積層することにより「易接着機能膜」を形成するものであって、これは、本件特許発明における「塗布層」に相当する。
また、甲2発明におけるモノマーまたはプレポリマー成分として、甲第2号証の段落【0016】及び【0037】に記載されるものは、いずれも、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有するものである(特許異議申立書の第7ページ第10ないし13行を参照。)。

よって、両者は、
「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有する積層ポリエステルフィルム。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点2>
「塗布液」に関して、本件特許発明においては、「溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く」のに対し、甲2発明においては、これらを除いていない点(以下、「相違点2」という。)。

そこで、相違点2について検討する。
甲2発明においては、「少なくとも反応性モノマーを重合成分とするポリマー」は主成分であるから、甲2発明において、「塗布液」として「少なくとも反応性モノマーを重合成分とするポリマー」を除くことは不合理であって、これを除く動機付けはなく、甲2発明において、相違点2に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到しえたこととはいえない。

したがって、本件特許発明は、甲2発明ではないし、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)甲3発明との対比・判断
本件特許発明と甲3発明を対比する。
甲3発明における「(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)」、「ポリイソシアネート化合物(C)」及び「太陽電池裏面保護シート用易接着剤」は、それぞれ、本件特許発明における「(メタ)アクリレート化合物」、「イソシアネート系化合物」及び「塗布液」に相当するから、甲3発明における「易接着剤層」は、本件特許発明における「塗布層」に相当する。
また、甲3発明におけるモノマーまたはプレポリマー成分として、甲第3号証の段落[0035]及び[表2]に記載されるものは、いずれも、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有するものである(特許異議申立書の第9ページ第14ないし23行及び第10ページの表を参照。)。

よって、両者は、
「ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有する積層ポリエステルフィルム。」である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点3>
「塗布液」に関して、本件特許発明においては、「溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く」のに対し、甲3発明においては、これらを除いていない点(以下、「相違点3」という。)。

そこで、相違点3について検討する。
甲3発明においては、「(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体」は主成分であるから、甲3発明において、「塗布液」として「(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体」を除くことは不合理であって、これを除く動機付けはなく、甲3発明において、相違点3に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到しえたこととはいえない。

したがって、本件特許発明は、甲3発明ではないし、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3-3 まとめ
したがって、本件特許発明は甲1発明、甲2発明または甲3発明であるとはいえないし、甲1発明、甲2発明または甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

4 むすび
以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当するものではない。

第4 結語
上記第3のとおりであるから、取消理由によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
積層ポリエステルフィルム
【0001】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ポリエステルフィルムに関するものであり、特に、液晶ディスプレイのバックライトユニット等に用いられるプリズムシートやマイクロレンズ用部材として好適であり、各種の機能層との密着性が良好な積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイが、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の表示装置として広く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、液晶表示ユニット単独では発光機能を有していないので、裏側からバックライトを使用して光を照射することにより表示させる方式が普及している。
【0003】
バックライト方式には、エッジライト型あるいは直下型と呼ばれる構造がある。最近は液晶ディスプレイを薄型化する傾向があり、エッジライト型を採用する場合が多くなってきている。エッジライト型は、一般的には、反射シート、導光板、光拡散シート、プリズムシートの順で構成されている。光線の流れとしては、バックライトから導光板に入射した光線が反射シートで反射され、導光板の表面から出射される。導光板から出射された光線は光拡散シートに入射し、光拡散シートで拡散・出射され、次に存在するプリズムシートに入射する。プリズムシートで光線は法線方向に集光させられ、液晶層に向けて出射される。
【0004】
本構成で使用されるプリズムシートは、バックライトの光学的な効率を改善して輝度を向上させるためのものである。透明基材フィルムとしては、透明性、機械特性を考慮してポリエステルフィルムが一般的に使用され、基材のポリエステルフィルムとプリズム層との密着性を向上させるために、これらの中間層として易接着性の塗布層が設けられる場合が一般的である。易接着性の塗布層としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が知られている(特許文献1?3)。
【0005】
プリズム層の形成方法としては、例えば、活性エネルギー線硬化性塗料をプリズム型に導入し、ポリエステルフィルムと挟み込んだ状態で活性エネルギー線を照射し、樹脂を硬化させ、プリズム型を取り除くことにより、ポリエステルフィルム上に形成する方法が挙げられる。このような手法の場合、プリズム型が精巧に形成されるためには、無溶剤系の活性エネルギー線硬化性樹脂を使用する必要がある。しかし、無溶剤系の樹脂は、溶剤系に比べて、ポリエステルフィルム上に積層された易接着層への浸透、膨潤効果が低く、密着性が不十分となりやすい。特定のウレタン樹脂からなる塗布層が提案されており、密着性の向上が図られているが、無溶剤系の樹脂に対しては、このような塗布層でも密着性が必ずしも十分ではなくなってきている(特許文献4)。
【0006】
無溶剤系の樹脂に対する、密着性を改善させるために、ウレタン樹脂とオキサゾリン化合物を主成分とする塗布層が提案されている(特許文献5)。しかしながら、現在のバックライトの本数の低下、消費電力の低下要望等から派生するプリズムの高輝度化に対応するプリズム樹脂、すなわち高屈折率化したプリズム樹脂への密着性が十分でない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-281890号公報
【特許文献2】特開平11-286092号公報
【特許文献3】特開2000-229395号公報
【特許文献4】特開平2-158633号公報
【特許文献5】特開2010-13550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、各種の無溶剤系の樹脂に良好な密着性を有し、例えば、液晶ディスプレイのバックライトユニット等に用いられるプリズムシートやマイクロレンズ用部材として好適に利用することができる積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液(但し、溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く)から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の積層ポリエステルフィルムによれば、各種のプリズムやマイクロレンズ樹脂に対して、密着性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
【0013】
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p-オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
【0014】
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。その中でも、チタン化合物やゲルマニウム化合物は触媒活性が高く、少量で重合を行うことが可能であり、フィルム中に残留する金属量が少ないことから、フィルムの輝度が高くなるので好ましい。さらに、ゲルマニウム化合物は高価であることから、チタン化合物を用いることがより好ましい。
【0015】
本発明のポリエステルフィルム中にはフィルムの耐候性の向上、液晶等の劣化防止のために、紫外線吸収剤を含有させることも可能である。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する化合物で、ポリエステルフィルムの製造工程で付加される熱に耐えうるものであれば特に限定されない。
【0016】
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤があるが、透明性の観点からは有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などが挙げられる。耐久性の観点からは環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系がより好ましい。また、紫外線吸収剤を2種類以上併用して用いることも可能である。
【0017】
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0018】
使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。
これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0019】
また、粒子の平均粒径は、通常5μm以下、好ましくは0.01?3μmの範囲である。平均粒径が5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層等を設ける場合等に不具合が生じる場合がある。
【0020】
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常5重量%以下、好ましくは0.0003?3重量%の範囲である。粒子が無い場合、あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり、良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるため、塗布層中に粒子を入れることにより、滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。また、粒子含有量が5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0021】
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
【0022】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子や紫外線吸収剤以外に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0023】
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10?350μm、好ましくは25?300μmの範囲である。
【0024】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を乾燥したペレットを、単軸押出機を用いてダイから押し出し、溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が挙げられる。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法や液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。
その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70?120℃、好ましくは80?110℃であり、延伸倍率は通常2.5?7倍、好ましくは3.0?6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70?170℃であり、延伸倍率は通常3.0?7倍、好ましくは3.5?6倍である。そして、引き続き180?270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0025】
また、本発明においては積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70?120℃、好ましくは80?110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4?50倍、好ましくは7?35倍、さらに好ましくは10?25倍である。そして、引き続き、170?250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
【0026】
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であることから、インラインコーティングが好ましく用いられる。
【0027】
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に、延伸後のポリエステルフィルムの熱処理工程で、塗布層を高温で処理することができるため、塗布層上に形成され得る各種の表面機能層との密着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。また、延伸前にコーティングを行う場合は、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。すなわち、インラインコーティング、特に延伸前のコーティングにより、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
【0028】
本発明においては、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを必須の要件とするものである。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート化合物」の表記は「アクリレート化合物およびメタクリレート化合物」を表す。
【0029】
本発明における塗布層は、特に無溶剤系の活性エネルギー線硬化性層との密着性を向上させることができるものであり、例えば、プリズム層やマイクロレンズ層を形成することができる。特に、高輝度なプリズムを目指した、塗布層との密着性が低下する傾向がある、高屈折率化したプリズム層やマイクロレンズ層への密着性にも対応ができるものである。
【0030】
密着性向上の推測メカニズムは、プリズム層やマイクロレンズ層を形成する際に照射する紫外線により、本発明のフィルムの塗布層に含有される(メタ)アクリレート化合物(CH_(2)=CH-COO-R又CH_(2)=C(CH_(3))-COO-R)中の炭素-炭素二重結合と、プリズム層やマイクロレンズ層の形成に用いられる化合物の炭素-炭素二重結合とを反応させ、共有結合を形成させるというものである。
【0031】
(メタ)アクリレート化合物の炭素-炭素二重結合は、プリズム層やマイクロレンズ層を形成する化合物中に含有する炭素-炭素二重結合と反応しうるものであれば従来公知の材料を使用することができ、特に限定されないが、例えば、単官能(メタ)アクリレート、二官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリール(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0033】
二官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0035】
これらの化合物は1種類でも良いし、多種類混合して使用しても良い。また密着性向上の観点から、好ましくは二官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレート、より好ましくは多官能(メタ)アクリレートが良い。
【0036】
また、炭素-炭素二重結合部の(メタ)アクリレート化合物に対する割合は、プリズム層やマイクロレンズ層への密着性、特に屈折率が高い樹脂への密着性を考慮すると、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上の範囲である。その上限は通常40重量%である。
【0037】
本発明で塗布層の形成に使用されるイソシアネート系化合物は、密着性向上や、塗膜強度向上のために用いられる。
【0038】
イソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
【0039】
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノールなどのフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノールなどのアルコール系化合物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
【0040】
本発明のフィルムにおける塗布層形成には、塗布外観、透明性や密着性の向上等のために各種のポリマーを併用することも可能である。
【0041】
ポリマーの具体例としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。その中でも、密着性向上の観点からポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が良い。特に好ましくはポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂である。
【0042】
ポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことであり、通常ポリオールとイソシアネートの反応により作成される。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
【0043】
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニットを有するもの等が挙げられる。
【0044】
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
【0045】
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0046】
各種の上塗り層との密着性を向上させるために、上記ポリオール類の中でもポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類がより好ましい。
【0047】
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。また、これらのポリイソシアネート化合物は2量体やイソシアヌル環に代表されるような3量体、あるいはそれ以上の重合体であっても良い。
【0048】
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
【0049】
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロピリデンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
【0050】
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
【0051】
アクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
【0052】
上記炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有ビニル系モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
【0053】
また、本発明のフィルムにおける塗布層形成には、塗布外観、透明性や密着性の向上等のために、イソシアネート系化合物以外の架橋剤を併用することも可能である。
【0054】
架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。
【0055】
エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0056】
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン、等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
【0057】
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物等を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
【0058】
カルボジイミド系化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物であるが、より良好な密着性等のために、分子内に2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物がより好ましい。
【0059】
カルボジイミド系化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的にはジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0060】
さらに本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド系化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
【0061】
なお、これら架橋剤は、乾燥過程や、製膜過程において、反応させて塗布層の性能を向上させる設計で用いている。できあがった塗布層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
【0062】
また、滑り性やブロッキングを改良するために、塗布層の形成に粒子を併用することが好ましい。
【0063】
粒子の平均粒径はフィルムの透明性の観点から好ましくは1.0μm以下の範囲であり、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下の範囲である。また、滑り性やブロッキング改良効果をより上げる必要がある場合は、塗布層の膜厚よりも大きい平均粒径の粒子を併用することが好ましい。
【0064】
使用する粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を挙げることができる。特に、塗布層への分散性や得られる塗膜の透明性の観点からは、シリカ粒子が好適である。
【0065】
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層の形成には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用してもよい。
【0066】
本発明のフィルムにおける塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、(メタ)アクリレート化合物は、通常5?95重量%、好ましくは10?80重量%、より好ましくは20?65重量%の範囲である。上記の範囲を外れる場合は、プリズム層やマイクロレンズ層との密着性が十分でない場合がある。
【0067】
本発明のフィルムにおける塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、(メタ)アクリレート化合物の炭素-炭素二重結合部は、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.6重量%以上、さらに好ましくは1.0重量%以上である。上記の範囲を外れる場合は、プリズム層やマイクロレンズ層との密着性が十分でない場合がある。上限は通常26重量%である。
【0068】
本発明のフィルムにおける塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、イソシアネート系化合物は、通常5?95重量%、好ましくは10?80重量%、より好ましくは10?60重量%の範囲である。上記の範囲を外れる場合は、プリズム層やマイクロレンズ層との密着性が十分でない場合がある。
【0069】
本発明のフィルムにおける塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、粒子は、粒径やポリエステルフィルムの特性によっても滑り性やブロッキング特性は変化するので一概には言えないが、好ましくは25重量%以下、より好ましくは3?15重量%、さらに好ましくは、3?10重量%の範囲であることがさらに好ましい。25重量%を超える場合は塗布層の透明性が低下する場合や密着性が低下する場合がある。
【0070】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、上述した塗布層を設けた面と反対側の面にも塗布層を設けることも可能である。例えば、プリズム層やマイクロレンズ層を形成した反対側にスティッキング防止層、光拡散層、ハードコート層等の機能層を形成する場合に、当該機能層との密着性を向上させることが可能である。反対側の面に形成する塗布層の成分としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のポリマー、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物等の架橋剤等が挙げられ、これらの材料を単独で用いてもよいし、複数種を併用して用いてもよい。また、上述してきたような(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層(ポリエステルフィルムに両面同一の塗布層)であってもよい。
【0071】
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF-SIMS、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
【0072】
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1?50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
【0073】
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.002?1.0μm、好ましくは0.005?0.5μm、より好ましくは0.03?0.2μmの範囲である。膜厚が上記範囲より外れる場合は、密着性、塗布外観、ブロッキング特性が悪化する場合がある。
【0074】
本発明のフィルムにおいて、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
【0075】
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80?200℃で3?40秒間、好ましくは100?180℃で3?40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
【0076】
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70?280℃で3?200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
【0077】
また、本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0078】
本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層上には、輝度を向上させるため、プリズム層やマイクロレンズ層等を設けるものが一般的であり、特に密着性を確保することが難しい、高輝度化のために必要な屈折率の高い樹脂層を設けることができる。プリズム層は、近年、輝度を効率的に向上させるため、各種の形状が提案されているが、一般的には、断面三角形状のプリズム列を並列させたものである。また、マイクロレンズ層も同様に各種の形状が提案されているが、一般的には、多数の半球状凸レンズをフィルム上に設けたものである。いずれの層も従来公知の形状のものを設けることができる。
【0079】
プリズム層の形状としては、例えば、厚さ10?500μm、プリズム列のピッチ10?500μm、頂角40°?100°の断面三角形状のものが挙げられる。
【0080】
マイクロレンズ層の形状としては、例えば、厚さ10?500μm、直径10?500μmの半球状のものが挙げられるが、円錐、多角錘のような形状をしていても良い。
【0081】
プリズム層、マイクロレンズ層に使用される材料としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂からなるものが挙げられ、(メタ)アクリレート系樹脂が代表例である。樹脂の構成化合物としては、一般的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の多価アルコール成分、ビスフェノールA構造、ウレタン構造、ポリエステル構造、エポキシ構造等を有する(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。
【0082】
活性エネルギー線硬化性樹脂層の屈折率は、高い方が輝度が向上する傾向にあるため好ましく、通常1.56?1.65、好ましくは1.57?1.64、さらに好ましくは1.58?1.63の範囲である。上記範囲を外れる場合は、十分に輝度を高くすることができない場合がある。
【0083】
高輝度化のための高屈折率化の処方としては、上記の一般的な化合物に加え、芳香族構造を多く有する化合物、硫黄原子、ハロゲン原子、金属化合物を使用する方法が挙げられる。その中でも特に、プリズム層やマイクロレンズ層の屈折率が均一化でき、環境上の観点から、芳香族構造を多く有する化合物や硫黄原子を用いる方法が好ましい。
【0084】
芳香族構造を多く有する化合物としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[a]フェナントレン、ピレン、ベンゾ[c]フェナントレン、ペリレン等の縮合多環式芳香族構造を有する化合物、ビフェニル構造を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物等が挙げられる。
【0085】
ビフェニル構造、フルオレン構造、縮合多環式芳香族構造には、各種の置換基が導入されていてもよく、特にフェニル基等、ベンゼン環を含有する置換基が導入されているものは屈折率をより高くすることができるため好ましい。また、硫黄原子やハロゲン原子等、屈折率を高くする原子を導入することも可能である。さらに、塗布層との密着性を向上させるために、エステル基、アミド基、水酸基、アミノ基、エーテル基等、各種の官能基を導入することも可能である。
【実施例】
【0086】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
【0087】
(1)ポリエステルの極限粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0088】
(2)平均粒径の測定方法
TEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H-7650、加速電圧100V)を使用して塗布層を観察し、粒子10個の粒径の平均値を平均粒径とした。
【0089】
(3)(メタ)アクリレート化合物中の炭素-炭素二重結合部の重量
分子量と炭素-炭素二重結合数からの計算、または1HNMRと13CNMRの各ピークを帰属し、計算により求めた。NMR測定は化合物を減圧乾燥後、NMR(Bruker Biospin社製 AVANCEIII600)を用いて行った。
【0090】
(4)塗布層の膜厚測定方法
塗布層の表面をRuO4で染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuO4で染色し、塗布層断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H-7650、加速電圧100V)を用いて測定し、10箇所の平均値を塗布層の膜厚とした。
【0091】
(5)密着性の評価方法
プリズム層形成のために、ピッチ50μm、頂角65°のプリズム列が多数並列している型部材に、2-ビフェノキシエチルアクリレート40重量部、4,4’-(9-フルオレニリデン)ビス(2-フェノキシエチルアクリレート)10重量部、エチレングリコール変性ビスフェノールAアクリレート(エチレングリコール鎖=8)37重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10重量部、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド3重量部からなる組成物を配置し、その上から塗布層が樹脂と接触する向きに積層ポリエステルフィルムを重ね、ローラーにより組成物を均一に引き伸ばし、紫外線照射装置から紫外線を照射し、樹脂を硬化させた。次いで、フィルムを型部材から剥がし、プリズム層(屈折率=1.58)が形成されたフィルムを得た。得られたフィルムのプリズム層にカッターナイフで5mm間隔にキズをつけ、24mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT-24)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした。剥離面を観察し、剥離面積が5%以下ならば◎、5%を超え20%以下ならば○、20%を超え40%以下ならば△、40を超えるものは×とした。
【0092】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、エチルアシッドフォスフェートを生成ポリエステルに対して30ppm、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して100ppmを窒素雰囲気下、260℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、テトラブチルチタネートを生成ポリエステルに対して50ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.3kPaまで減圧し、さらに80分、溶融重縮合させ、極限粘度0.63のポリエステル(A)を得た。
【0093】
<ポリエステル(B)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して900ppmを窒素雰囲気下、225℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、正リン酸を生成ポリエステルに対して3500ppm、二酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対して70ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.4kPaまで減圧し、さらに85分、溶融重縮合させ、極限粘度0.64のポリエステル(B)を得た。
【0094】
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に平均粒径2μmのシリカ粒子を0.3重量部添加する以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。
【0095】
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・(メタ)アクリレート化合物:(IA)
テトラメチロールメタンエチレンオキサイド変性テトラアクリレート(全エチレングリコール鎖=35)。全体に対する炭素-炭素二重結合部の割合が5重量%の4官能アクリレート。
【0096】
・(メタ)アクリレート化合物:(IB)
ジペンタエリスリトールをコアとしたハイパーブランチポリマーである、全体に対する炭素-炭素二重結合部の割合が5重量%以上の多官能アクリレートであるビスコート♯1000(大阪有機化学工業株式会社製)
【0097】
・イソシアネート系化合物:(IIA)
・イソシアネート系化合物:(IIA)
ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーユニット:数平均分子量が1400のメトキシポリエチレングリコールユニット:メチルエチルケトンオキシムユニット=30:2:68(mol%)から形成されるブロックイソシアネートと、1,6-ヘキサンジオールとジエチルカーボネートからなる数平均分子量が2000のポリカーボネートポリオールユニット:イソホロンジイソシアネートユニット:トリメチロールプロパンユニット:ジメチロールプロピオン酸ユニット=24:55:3:18から(mol%)から形成されるプレポリマーをトリエチルアミンで中和し、ジエチレントリアミンで鎖延長して得られるウレタン樹脂を含有する、水性ブロックイソシアネート系化合物。
【0098】
・イソシアネート系化合物:(IIB)
トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体ユニット(トリレンジイソシアネート:トリメチロールプロパン=3:1(mol%)):数平均分子量が2000のメトキシポリエチレングリコールユニット:N,N,N´,N´-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンユニット:メチルエチルケトンオキシムユニット=33:2:55:10(mol%)から形成される水性ブロックポリイソシアネート化合物。
【0099】
・エポキシ化合物:(IIC)
ポリグリセロールポリグリシジルエーテルであるデナコールEX-521(ナガセケムテックス株式会社製)
【0100】
・メラミン化合物:(IID)ヘキサメトキシメチロールメラミン。
【0101】
・ポリウレタン樹脂:(IIIA)
トリレンジイソシアネートユニット:テレフタル酸ユニット:イソフタル酸ユニット:エチレングリコールユニット:ネオペンチルグリコールユニット:ジメチロールプロパン酸ユニット=14:17:17:23:24:5(mol%)から形成されるポリエステル系ポリウレタン樹脂の水分散体。
【0102】
・アクリル樹脂:(IIIB)
エチルアクリレートユニット:n-ブチルアクリレートユニット:メチルメタクリレートユニット:N-メチロールアクリルアミドユニット:アクリル酸ユニット=67:17:10:2:4(mol%)から形成されるアクリル樹脂の水分散体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
【0103】
・ポリエステル樹脂:(IIIC)
テレフタル酸:イソフタル酸:5-ソジウムスルホイソフタル酸:エチレングリコール:1,4-ブタンジオール:ジエチレングリコール=56:40:4:70:20:10(mol%)から形成されるポリエステル樹脂の水分散体。
【0104】
・粒子:(IV)平均粒径0.07μmのシリカゾル
【0105】
実施例1:
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ89%、5%、6%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ95%、5%の割合で混合した混合原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:18:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布層の膜厚(乾燥後)が0.11μmの塗布層を有する厚さ125μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを評価したところ、プリズム層との密着性は良好であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
【0106】
実施例2?9、参考例1及び2:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、密着性は良好であった。
【0107】
比較例1?7:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、密着性が弱いものであった。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のフィルムは、例えば、液晶ディスプレイのバックライトユニット等、プリズム層やマイクロレンズ層等の表面機能層等と良好な密着性が必要な用途に好適に利用することができる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、炭素-炭素二重結合部を3重量%?40重量%含有する(メタ)アクリレート化合物およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液(但し、溶媒可溶性のポリエステル樹脂、反応性モノマーを重合成分とするポリマー、(メタ)アクリロイル基を有しないアクリル系重合体を含有する塗布液を除く)から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-06-17 
出願番号 特願2013-9806(P2013-9806)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 家城 雅美  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 加藤 友也
大島 祥吾
登録日 2015-03-20 
登録番号 特許第5714035号(P5714035)
権利者 三菱樹脂株式会社
発明の名称 積層ポリエステルフィルム  
代理人 岡田 数彦  
代理人 岡田 数彦  
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