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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08G
管理番号 1319185
異議申立番号 異議2015-700273  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-04 
確定日 2016-07-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5732529号発明「共重合ポリカーボネートおよびそれらからなる透明成形品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5732529号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1ないし14]について、訂正することを認める。 特許第5732529号の請求項1、3ないし14に係る特許を維持する。 特許第5732529号の請求項2に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5732529号の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、平成24年4月13日(優先権主張 平成23年4月19日)に特許され、平成27年4月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、同年12月4日付けで特許異議申立人 澤山 政子により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年2月18日付けで取消理由(以下、単に「取消理由」という。)が通知され、同年4月19日付けで意見書が提出されるとともに訂正の請求がされ、同年5月26日付けで特許異議申立人により意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
平成28年4月19日付けでされた訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)による訂正の内容は、次のとおりである(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の第1行に「エーテルジオール」とあるのを、「イソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)」と訂正し、[]中の「エーテルジオール」を「イソソルビド」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、「これらの末端基は、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から求める。」と明記する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に、「またイソソルビドの水酸基は、3.54?3.62ppmのピークの積分値から求める。」と明記する。

(4)訂正事項4
請求項2を削除する。

(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0008】に記載された「エーテルジオール」を、「イソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)」と訂正し、[]の中の「エーテルジオール」を「イソソルビド」と訂正する。

(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0008】に「これらの末端基は、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から求める。」と明記する。

(7)訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0008】に「またイソソルビドの水酸基は、3.54?3.62ppmのピークの積分値から求める。」と明記する。

(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0013】?【0014】を削除し、段落【0015】の「である前項1記載の共重合ポリカーボネート。」を削除する。

(9)訂正事項9
願書に添付した明細書の段落【0026】の「で表されるエーテルジオール残基である。かかる構造のエーテルジオール残基としてより具体的には、それぞれ立体異性体の関係にある下記式(6)、(7)及び(8)」を「で表されるイソソルビド残基である。」に訂正する。

(10)訂正事項10
願書に添付した明細書の段落【0027】を削除する。

(11)訂正事項11
願書に添付した明細書の段落【0028】の「で表されるイソソルビド残基、イソマンニド残基、イソイディッド残基などが挙げられる。
これらのカーボネート構成単位を形成する糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
特に、上記式(6)で表される単位(A)は、(6)で表される、イソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)由来の単位を含んでなるポリカーボネート樹脂であることが好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。」とあるのを、
「イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。
上記式(5)で表される単位(A)は、イソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)由来の単位である。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項毎か否か、願書に添付した明細書の訂正をする場合であって、請求項毎に訂正をするときに、請求項の全てについて行っているか否か、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1の第1行の「エーテルジオール」を「イソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)」と訂正し、[]中の「エーテルジオール」を「イソソルビド」と訂正することにより、訂正前の請求項1に係る発明特定事項である「エーテルジオール残基」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1は、訂正前の明細書の段落【0024】?【0028】等に、エーテルジオール残基としてイソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)残基が記載されていたことに基づくものであるので、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1に「これらの末端基は、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から求める。」と明記することで、末端基の測定方法を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2は、訂正前の明細書の段落【0080】、【0087】、【0094】等に、末端基をプロトンNMR測定におけるピークの積分値から求めることが記載されていたことに基づくものであるので、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項1に「またイソソルビドの水酸基は、3.54?3.62ppmのピークの積分値から求める。」と明記することで、イソソルビドの水酸基を求める方法を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3は、訂正前の明細書の段落【0080】、【0087】、【0094】等に、イソソルビドの水酸基を3.54?3.62ppmのピークの積分値から求めることが記載されていたことに基づくものであるので、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、訂正事項1?4は、特許請求の範囲についての訂正であるが、訂正後の請求項3?14は、訂正後の請求項1を引用するものであり、訂正後の請求項1、3?14は一群の請求項であるから、これらの訂正は一群の請求項毎にされている。

(5)訂正事項5?11
訂正事項5?11は、訂正事項1?4に伴い、訂正後の請求項1及び2の記載と明細書の記載を整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項5?11は、願書に添付した明細書についての訂正であり、訂正事項5?11の訂正に係る一群の請求項1?14の全てについて行われていると認められる。
さらに、訂正事項5?11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正の請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において読み替えて準用する同法第126条第4ないし6項の規定に適合するので、本件訂正の請求による訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件訂正の請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「下記式(1)で表されるイソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)残基で構成される単位(A)、下記式(2)で表されるビスフェノール残基で構成される単位(B)、および、その他のジオール残基で構成される単位(C)を含み、
(I)単位(C)が、脂肪族ジオール残基、脂環式ジオール残基、オキシレングリコール残基および環状エーテル構造を有するジオール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基であり、
(II)単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)の含有量が40?92モル%、単位(B)の含有量が5?57モル%、単位(C)の含有量が3?55モル%であり、
(III)末端基の割合が下記式(i)および(ii)の範囲にあることを特徴とする共重合ポリカーボネート。
(i)0.001 < 単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基 < 0.2
(ii)0.02 < 単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基 < 0.6
[式中、全末端基は,イソソルビドの水酸基、フェノール性水酸基、脂肪族ジオールの水酸基、脂環式ジオールの水酸基、オキシレングリコールの水酸基、環状エーテルジオールの水酸基、全フェニルカーボネート末端の合計である。これらの末端基は、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から求める。またイソソルビドの水酸基は、3.54?3.62ppmのピークの積分値から求める。]
【化1】

(上記式(2)において、R^(1)およびR^(2)はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数1?10のアルコキシ基、炭素原子数6?20のシクロアルキル基、炭素原子数6?20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2?10のアルケニル基、炭素原子数6?10のアリール基、炭素原子数6?10のアリールオキシ基、炭素原子数7?20のアラルキル基、炭素原子数7?20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、aおよびbはそれぞれ1?4の整数であり、Wは単結合および下記式(3)で表される結合基からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合基である。
【化2】

(上記式(3)においてR^(3),R^(4),R^(5),R^(6),R^(7),R^(8),R^(9)およびR^(10)はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数6?10のアリール基および炭素原子数7?20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1?10の整数、dは4?7の整数である。)」

2 取消理由の概要
取消理由の概要は次のとおりである。

「本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、取り消すべきものである。

・請求項1?14
・・・
そうしてみると、請求項1に係る発明の「末端基」が、異性体を有する環状エーテルジオールや脂環式ジオールのすべての末端基(シス位及びトランス位にある末端基)を包含するものであるのか否かが不明といえる。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
また、該請求項1を引用する請求項2?14に係る発明も明確でない。

・請求項1?14
・・・
そうしてみると、請求項1に係る発明の「脂環式ジオールの水酸基」が、イソソルビドのアルケン末端を包含するものであるのか否かが不明といえる。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
また、該請求項1を引用する請求項2?14に係る発明も明確でない。」

3 取消理由についての判断
(1) 訂正後の請求項1に係る発明の「末端基」が、異性体を有する環状エーテルジオールや脂環式ジオールのすべての末端基(シス位及びトランス位にある末端基)を包含するものであるのか否かが不明であるか検討する。
ア 異議申立書の11?12頁にあるように、本件特許発明の実施例1?8のすべてにおいて、イソソルビド単位に由来する水酸基について、水酸基が結合している炭素の隣接炭素に結合している水素とトランス位にある水酸基に起因する3.54?3.62ppmのピークは観察しているものの、前記水素とシス位にある水酸基に起因する4.4ppmのピークを観察していない。
しかしながら、平成28年4月19日付けで特許権者が提出した意見書の4頁にあるように、当該4.4ppmのピークを観察していないのは、当該4.4ppmのピークは他の主鎖骨格由来の大きなピークに挟まれており、プロトンNMR測定においては実質的に測定できないからである。
そうしてみると、当業者にとってみれば、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から末端基を求める訂正後の請求項1に係る発明の「末端基」が、このようなプロトンNMR測定で測定できないピークから検出する末端基を除くものであることは明らかであるといえる。
加えて、訂正後の請求項1に係る発明では、イソソルビドの水酸基を4.4ppmを含まない3.54?3.62ppmのピークの積分値から求めることが特定されているのであるから、当該4.4ppmのピークから検出する末端基を含まないことは明らかである。
イ また、異議申立書の11?12頁にあるように、本件特許発明の実施例6では、1,4-シクロヘキサンジメタノール単位に由来する水酸基について、水酸基が結合しているシクロヘキサンのパラ位にあるメチレン基とトランス位にある水酸基に起因する3.29?3.63ppmのピークは観察しているものの、前記メチレン基とシス位にある水酸基に起因する1.76?2.1ppmのピークを観察していない。
しかしながら、これは、平成28年4月19日付けで特許権者が提出した意見書の5頁にあるように、当該1.76?2.1ppmのピークは小さく定量限界以下であり観測されないからである。
そうしてみると、当業者にとってみれば、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から末端基を求める訂正後の請求項1に係る発明の「末端基」が、このようなプロトンNMR測定で観測されないピークから検出する末端基を除くものであることは明らかであるといえる。
ウ 以上を踏まえると、訂正後の請求項1に係る発明の「末端基」とは、プロトンNMR測定によりそのピークが測定できないものを除いた、異性体を有する環状エーテルジオールや脂環式ジオールのすべての末端基(シス位及びトランス位にある末端基)を包含するものであることは明らかであるといえる。

(2) 訂正後の請求項1に係る発明の「脂環式ジオールの水酸基」が、イソソルビドのアルケン末端を包含するものであるのか否かが不明であるか検討する。
異議申立書の11?12頁にあるように、本件特許発明の実施例6では、1,4-シクロヘキサンジメタノール単位に由来する水酸基について、水酸基が結合しているシクロヘキサンのパラ位にあるメチレン基とトランス位にある水酸基に起因する3.29?3.63ppmのピークを観察しているものの、イソソルビドのアルケン末端に起因する3.45ppmのピークを考慮していない。
しかしながら、平成28年4月19日付けで特許権者が提出した意見書の5頁にあるように、図面の図1で示される実施例1の結果と同様に実施例6においても当該3.45ppmのピークは観察されないものである。
そうしてみると、当業者にとってみれば、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から末端基を求める訂正後の請求項1に係る発明の「脂環式ジオールの水酸基」が、このようなプロトンNMR測定で観察されないピークから検出する末端基を除くものであることは明らかであるといえる。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明の「脂環式ジオールの水酸基」とは、プロトンNMR測定によりそのピークが観察できないイソソルビドのアルケン末端を包含しないものであることは明らかであるといえる。

(3) まとめ
以上のとおりであるから、訂正後の請求項1に係る発明及び訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項3ないし14に係る発明は明確であり、訂正後の請求項1、3ないし14に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであるとはいえない。

第4 結語
上記第3のとおりであるから、取消理由によっては、訂正後の請求項1、3ないし14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1、3ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項2に係る特許は、訂正により削除されたため、請求項2に対してする特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
共重合ポリカーボネートおよびそれらからなる透明成形品
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能資源から誘導される共重合ポリカーボネートおよびそれらからなる透明成形品に関する。さらに詳しくは、耐熱性、流動性、透明性に優れ、吸水による寸法変化および成形時の着色が抑えられた、共重合ポリカーボネートおよびその透明成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートは一般に石油資源に由来する原料を用いて製造される。しかしながら近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネートの提供が求められている。
これまでに、植物由来モノマーとしてイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換により、ポリカーボネートを得ることが検討されてきた(たとえば非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。しかし、イソソルビドを使用したホモポリカーボネートはその剛直な構造のため、ガラス転移温度や溶融粘度が非常に高くなり、成形加工が困難であるという問題を抱えていた。また、イソソルビド骨格の熱分解温度が低いことから、250℃以上の高温下で押出・成形を行うと、着色やシルバーストリークの発生が問題となっていた。さらに、イソソルビドの吸湿性が高いために、イソソルビドから重合されるポリカーボネートも吸水率が高いという特性があり、成形品用途として使用するには、吸水による寸法変化が問題となっていた。
成形加工性を改善する検討としては、イソソルビドと脂肪族ジオールを共重合させる試みがなされている(特許文献1)。特許文献1の実施例では、共重合成分の脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが挙げられている。脂肪族ジオールという柔軟な構造を導入し流動性を付与することで、成形加工性が大きく改善されている。しかし、脂肪族ジオールの導入量が多いと耐熱性が低下し、逆に、脂肪族ジオールの導入量が少ないと、イソソルビド骨格の影響が大きくあらわれ、吸水率が高くなるというトレードオフの関係があった。
【0003】
一方で、イソソルビドにビスフェノール類を共重合させることで、剛性と靭性がバランスよく発現するポリカーボネートを提供するという報告がなされている(特許文献2)。特許文献2の実施例では、共重合成分のビスフェノール類としてビスフェノールAが検討されている。このようなイソソルビドとビスフェノールからなる2成分系のポリカーボネートは、イソソルビドのホモポリカーボネートと同様に溶融粘度が高く、250℃以上の高温下での押出・成形工程が必要とされる。そのため、着色やシルバーストリークの発生により、透明成形品用途での使用が難しいという問題があった。
それ以外の共重合成分としては、イソソルビドに脂環式ジオールを共重合させる検討がなされており、実施例には、脂環式ジオールとして、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられている。これら脂環式ジオールを共重合した場合においても、脂肪族ジオールを共重合させたポリカーボネートと同様に、高耐熱性と低吸水性を両立するという点で未だ十分ではなかった(特許文献3)。
【0004】
一方、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン、BCF)、イソソルビドおよび脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールを共重合させた3元共重合ポリカーボネートが、フィルム用途として検討されている(特許文献4)。しかし、成形品用途に適した組成比や共重合成分については開示されておらず、さらに、末端比を制御することによる効果についても全く記載されていない。また、フィルム用途では問題とならないが、特許文献4で得られる共重合ポリカーボネートはBCFに起因して着色する。そのため、厚肉の透明成形品用途に適した共重合成分を選定することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 WO2004/111106号公報
【特許文献2】 特開2010-37551号公報
【特許文献3】 特開2008-24919号公報
【特許文献4】 WO2006/041190号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】 “Journal fuer praktischeChemie”,1992年,第334巻,p.298?3101
【非特許文献2】 “Macromolecules”,1996年,第29巻,p.8077?8082
【非特許文献3】 “Journal of Applied Polymer Science”,2002年,第86巻,p.872?880
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、再生可能資源から誘導される共重合ポリカーボネートおよびそれらからなる透明成形品を提供することにある。さらに本発明の目的は、耐熱性、流動性、透明性に優れ、吸水による寸法変化および成形時の着色やシルバーストリークの発生が抑えられた、共重合ポリカーボネートおよびその透明成形品を提供することにある。
本発明者らは、この目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、エーテルジオール残基で構成される繰り返し単位と、ビスフェノール残基で構成される繰り返し単位およびその他のジオール残基で構成される繰り返し単位とを特定の組成比となるように共重合させ、且つ特定の末端構造を持たせることで、上記目的を達成できることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1. 下記式(1)で表されるイソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)残基で構成される単位(A)、下記式(2)で表されるビスフェノール残基で構成される単位(B)、および、その他のジオール残基で構成される単位(C)を含み、
(I)単位(C)が、脂肪族ジオール残基、脂環式ジオール残基、オキシレングリコール残基および環状エーテル構造を有するジオール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基であり、
(II)単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)の含有量が40?92モル%、単位(B)の含有量が5?57モル%、単位(C)の含有量が3?55モル%であり、
(III)末端基の割合が下記式(i)および(ii)の範囲にあることを特徴とする共重合ポリカーボネート。
(i)0.001 < 単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基 < 0.2
(ii)0.02 < 単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基 < 0.6
[式中、全末端基は,イソソルビドの水酸基、フェノール性水酸基、脂肪族ジオールの水酸基、脂環式ジオールの水酸基、オキシレングリコールの水酸基、環状エーテルジオールの水酸基、全フェニルカーボネート末端の合計である。これらの末端基は、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から求める。またイソソルビドの水酸基は、3.54?3.62ppmのピークの積分値から求める。]
【0009】
【化1】

【0010】
(上記式(2)において、R^(1)およびR^(2)はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数1?10のアルコキシ基、炭素原子数6?20のシクロアルキル基、炭素原子数6?20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2?10のアルケニル基、炭素原子数6?10のアリール基、炭素原子数6?10のアリールオキシ基、炭素原子数7?20のアラルキル基、炭素原子数7?20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表し、それぞれ複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良く、aおよびbはそれぞれ1?4の整数であり、Wは単結合および下記式(3)で表される結合基からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合基である。
【0011】
【化2】

【0012】
(上記式(3)においてR^(3),R^(4),R^(5),R^(6),R^(7),R^(8),R^(9)およびR^(10)はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数6?10のアリール基および炭素原子数7?20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1?10の整数、dは4?7の整数である。)
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
3. 単位(B)を構成するビスフェノール類の炭素原子数が24個以下である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
4. 単位(C)が、炭素原子数2?44の脂肪族ジオール残基で構成される前項1記載の共重合ポリカーボネート。
【0016】
5. 単位(C)が、エチレンジオール残基、1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基、1,8-オクタンジオール残基および1,10-デカンジオール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
6. 単位(C)が、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、ペンタシクロペンタデカンジメタノール残基およびアダマンタンジメタノール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
【0017】
7. 上記式(2)で表される単位(B)が、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン残基、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン残基、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン残基、3,3’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド残基、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン残基、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン残基、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン残基および1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
8. ガラス転移温度(Tg)が、90?160℃である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
【0018】
9. 240℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート608sec^(-1)の条件下で1.10×10^(3)Pa・s以下である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
10. 飽和吸水率が3.5%以下である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
11. 屈折率が1.50?1.58の範囲であり、且つアッベ数が36?64の範囲である前項1記載の共重合ポリカーボネート。
12. 単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)が40?85モル%、単位(B)が10?55モル%、単位(C)が5?50モル%を占める前項1記載の共重合ポリカーボネート。
【0019】
13. 単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)が45?80モル%、単位(B)が15?50モル%、単位(C)が5?40モル%を占める前項1記載の共重合ポリカーボネート。
14. 前項1に記載の共重合ポリカーボネートまたはその組成物からなる透明成形品。
【0020】
なお、本発明の共重合ポリカーボネートおよびその透明成形品は、単位(A)、単位(B)および単位(C)の3元共重合によってのみ達成されるものである。単位(A)、単位(B)、単位(C)のホモポリカーボネートどうしのブレンドまたは単位(A)と単位(B)、単位(B)と単位(C)のような2元共重合ポリカーボネートどうしのブレンドによる方法では、ヘイズが高くなり、透明成形品用途には使用できない。これは、単位(A)、単位(B)、単位(C)の溶解度パラメータ(SP値)が大きく異なり、混ざり合いにくいためであると推察される。
【0021】
本発明においては、単位(A)、単位(B)および単位(C)を構成するモノマーは、沸点が異なるだけでなく、さらに、それぞれのモノマーが芳香族ジオール、脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールであったり、第1級ヒドロキシ基、第2級ヒドロキシ基または第3級ヒドロキシ基のような異なる反応基を有したりしているため、反応性も異なる。そのため、通常の溶融重合法でこのような3成分系の共重合を行うと、未反応のジオールが、反応後期に系外へと留去してしまい、その結果、所定の組成比の共重合体を得られないだけでなく、末端基のモルバランスが大きく崩れると十分に重合度が上がらないことがある。したがって、このような沸点、反応性の異なる3成分のモノマーを用いて、組成比を精密にコントロールして重合を行うためには、適正な反応条件によって重合を行う必要がある。
本発明によって見出した反応条件で重合することによって、所定の組成比と特定の末端構造を達成する3元共重合ポリカーボネートを得ることができ、植物度が高く、耐熱性、流動性、透明性に優れ、吸水による寸法変化および成形時の着色やシルバーストリークの発生が抑えられた、共重合ポリカーボネートおよびその透明成形品を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の共重合ポリカーボネートおよびそれらからなる透明成形品は、再生可能資源から誘導されるという利点を有する。さらに本発明の共重合ポリカーボネートおよびその透明成形品は、耐熱性、流動性、透明性に優れ、吸水による寸法変化および成形時の着色やシルバーストリークの発生が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 実施例1で製造された共重合ポリカーボネートのNMRチャートである。
【図2】 比較例2で製造された共重合ポリカーボネートの滞留安定性の評価結果を示す図である(左:3段型プレート全体の面積、右:シルバーストリーク発生部位の面積)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〈共重合ポリカーボネート〉
(単位(A))
本発明の共重合ポリカーボネートの単位(A)は下記式(5)
【0025】
【化4】

【0026】
で表されるイソソルビド残基である。
【0027】
(削除)
【0028】
イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。
上記式(5)で表される単位(A)は、イソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)由来の単位である。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
【0029】
(単位(B))
単位(B)はビスフェノール残基より構成されるカーボネート単位であり、下記式(9)で表される。
【0030】
【化6】

【0031】
上記式(9)において、R^(1)およびR^(2)はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数1?10のアルコキシ基、炭素原子数6?20のシクロアルキル基、炭素原子数6?20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2?10のアルケニル基、炭素原子数6?10のアリール基、炭素原子数6?10のアリールオキシ基、炭素原子数7?20のアラルキル基、炭素原子数7?20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表す。それぞれ複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良い。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素原子数1?10のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。炭素原子数1?10のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブチトキシ基、ペントキシ基、ヘキトキシ基、オクトキシ基等が挙げられる。炭素原子数6?20のシクロアルキル基として、シクロヘキシル基、シクロオキシル基、シクロデシル基等が挙げられる。炭素原子数6?20のシクロアルコキシ基として、シクロヘキシルオキシ基、シクロオキシルオキシ基、シクロデシルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数2?10のアルケニル基として、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。炭素原子数6?10のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素原子数6?10のアリールオキシ基として、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数7?20のアラルキル基として、ベンジル基等が挙げられる。炭素原子数7?20のアラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
aおよびbはそれぞれ1?4の整数である。
Wは単結合および下記式(10)で表される結合基からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合基である。
【0032】
【化7】

【0033】
上記式(10)においてR^(3),R^(4),R^(5),R^(6),R^(7),R^(8),R^(9)およびR^(10)はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数6?10のアリール基および炭素原子数7?20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表す。複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良い。
炭素原子数1?10のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。炭素原子数6?10のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素原子数7?20のアラルキル基として、ベンジル基等が挙げられる。
cは1?10の整数、dは4?7の整数である。
単位(B)を構成するビスフェノールの炭素原子数は24個以下であることが好ましい。ビスフェノールの炭素原子数が24個より多いと、共重合ポリカーボネートの流動性が低下し、高温下での押出・成形工程が必要とされる。そのため、着色やシルバーストリークの発生により、透明成形品用途での使用を考えると好ましくない。
【0034】
ビスフェノール類として、具体的には4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラフルオロ-4,4’-ビフェノール、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-o-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(通常“ビスフェノールM”と称される)、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルスルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールA”と称される)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールC”と称される)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(2,3-ジメチルー4-ヒドロキシフェニル)デカン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(通常“ビスフェノールAF”と称される)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、および2,2-ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、および2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
【0035】
上記の中でも、ビスフェノールM、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールAF、および1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカンが好ましい。
さらには、安価に入手可能であるビスフェノールAが特に好ましい。これらのビスフェノール類は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0036】
(単位(C))
単位(C)は、脂肪族ジオール残基、脂環式ジオール残基、オキシレングリコール残基および環状エーテル構造を有するジオール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基より構成される単位である。
また、単位(C)を構成する脂肪族ジオール、脂環式ジオール、オキシレングリコールおよび環状エーテル構造を有するジオールよりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオールは、常圧(100kPa)下での沸点が190℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、210℃以上であることがさらに好ましい。沸点が190℃より低いと、重合反応後期に、未反応ジオールが系外へと留去されやすく、共重合ポリカーボネートの組成比を精密に制御できない。
【0037】
さらに、上記の単位(C)は、少量で流動性を付与できることから、炭素原子数2?44の脂肪族ジオール残基より構成される単位であることが好ましい。
単位(C)を構成する脂肪族ジオール残基は、エチレンジオール残基、1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基、1,8-オクタンジオール残基および1,10-デカンジオール残基なる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ジオール残基であることがさらに好ましい。
脂肪族ジオールの沸点が低すぎると、重合時に留去し易く、ポリカーボネート樹脂共重合体のモル比の制御が難しい。また、脂肪族ジオールが長鎖になると、原料の入手が困難で高価なものとなる。そのため、単位(C)は、1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基であることが特に好ましい。
これらの脂肪族ジオールは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
単位(C)を構成する脂環式ジオールとしては、特に限定はされないが、通常、5員環構造または6員環構造を含む化合物を用いる。また、6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。
上記のような単位(C)を構成する脂環式ジオール残基としては、具体的には、下記式(11)または(12)で表される脂環式ジオール残基が挙げられる。
【0038】
【化8】

【0039】
式(11),(12)中、R^(1),R^(2)は、炭素数4?20のシクロアルキル基、または炭素数6?20のシクロアルコキシル基を表す。炭素数4?20のシクロアルキル基として、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。炭素数6?20のシクロアルコキシル基として、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロデシルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
上記式(11)で表される単位(C)として、1,2-シクロヘキサンジメタノール残基、1,3-シクロヘキサンジメタノール残基、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、ペンタシクロデカンペンタジメタノール残基、2,6-デカリンジメタノール残基、1,5-デカリンジメタノール残基、2,3-デカリンジメタノール残基、2,3-ノルボルナンジメタノール残基、2,5-ノルボルナンジメタノール残基、1,3-アダマンタンジメタノール残基が挙げられる。
また、上記式(12)で表される単位(C)として、1,2-シクロヘキサンジオール残基、1,3-シクロヘキサンジオール残基、1,4-シクロヘキサンジオール残基、トリシクロデカンジオール残基、ペンタシクロデカンジオール残基、2,6-デカリンジオール残基、1,5-デカリンジオール残基、2,3-デカリンジオール残基、2,3-ノルボルナンジオール残基、2,5-ノルボルナンジオール残基、1,3-アダマンタンジオール残基が挙げられる。
単位(C)がシクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、ペンタシクロペンタデカンジメタノール残基およびアダマンタンジメタノール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基であることが好ましい。
さらに、上記の単位(C)は、少量で流動性を付与できることから、上記式(11)で表される脂環式ジオール残基であることが好ましい。これらの脂環族ジオールは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
単位(C)を構成するオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
単位(C)を構成する環状エーテル構造を有するジオールとしては、例えば、スピログリコール、ジオキサングリコールなどが挙げられる。
【0041】
(組成比)
本発明の共重合ポリカーボネート中の、単位(A)、(B)および(C)のモル比は、単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)が40?92モル%、単位(B)が5?57モル%、単位(C)が3?55モル%である。なお、単位(A)、単位(B)、および単位(C)のモル%の合計は100モル%である。このようなモル比とすることで、植物度が高く、耐熱性、流動性、透明性に優れ、吸水による寸法変化および成形時の着色やシルバーストリークの発生が抑えられた、共重合ポリカーボネートおよびその透明成形品を得ることができる。
本発明の共重合ポリカーボネートの上記単位(A)のモル比は、より好ましくは40?85モル%、さらに好ましくは45?80モル%である。本発明の共重合ポリカーボネートの単位(B)のモル比は、より好ましくは10?55モル%、さらに好ましくは15?50モル%である。本発明の共重合ポリカーボネートの単位(C)のモル比は、より好ましくは5?50モル%、さらに好ましくは5?40モル%である。
上記単位(A)のモル比が40モル%より低いと、植物度が低くなるため、好ましくない。逆に、単位(A)のモル比が92モル%より高いと、得られる共重合ポリカーボネートの吸水率が高くなり、吸水による成形品の寸法変化が大きくなるため好ましくない。
【0042】
上記単位(A)のモル比が最少量の40モル%の場合、単位(B)と単位(C)の合計が60モル%を占めるが、単位(C)のモル比が3モル%より低いとガラス転移温度や溶融粘度が非常に高くなり、250℃以上の高温下での押出・成形が必要となるため、着色やシルバーストリークの発生が懸念される。一方、単位(C)のモル比が55モル%より高いと、十分な耐熱性が得られない。
上記単位(A)のモル比が最大量の92モル%の場合で、単位(B)のモル比が5モル%より低くなると、共重合ポリカーボネート中において単位(A)が占める重量比が極めて高くなるため、共重合ポリカーボネートの吸水率が高くなったり、熱分解温度が低下したりするため、好ましくない。
すなわち、単位(A)は高植物度、高耐熱性(高Tg)、単位(B)は高耐熱性(高熱分解温度)、低吸水性、単位(C)は流動性を付与する役割があるが、上記のように共重合比を制御することで、植物度、耐熱性、流動性、低吸水性をバランスよく発現させることができ、透明性に優れ、成形時の着色やシルバーストリークの発生が抑えられた、共重合ポリカーボネートおよびその透明成形品を得ることができる。
モル比は、日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
【0043】
(末端OH比)
本発明の共重合ポリカーボネートの単位(A)および単位(C)に由来するOH末端基量は、0.001<単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基<0.2である。全末端基は(エーテルジオールの水酸基+フェノール性水酸基+脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールの水酸基+全フェニルカーボネート末端)の合計である。単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基が0.2以上の範囲では、熱安定性の低い単位(A)および単位(C)に由来する水酸基が多く残存するため、共重合ポリカーボネートの熱安定性が低下し、成型滞留時に分解が起こるため、好ましくない。また、吸水率が高くなるため、寸法変化が大きくなり、好ましくない。
本発明の共重合ポリカーボネートの単位(B)に由来するフェノール性のOH末端基量は、0.02<単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基<0.6であり。より好ましくは、0.04<単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基<0.55である。さらに好ましくは、0.06<単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基<0.50である。0.02<単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基<0.6の範囲では、吸水率が低減されるため、成形品用途として使用した場合に、寸法変化が小さく好ましい。単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基が0.02未満の場合は、重合性が著しく悪化し、目的の分子量が得られないことがあり、また、反応時間が非常に長くなり、得られる樹脂が着色してしまうため好ましくない。
【0044】
(ガラス転移温度:Tg)
本発明の共重合ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは90?160℃、より好ましくは100?150℃の範囲である。ガラス転移温度(Tg)が90℃より低いと、耐熱性に劣る。またガラス転移温度(Tg)が160℃より高いと溶融重合する際に、粘度が高すぎて攪拌や吐出が困難となる。また、イソソルビド残基を骨格に持つポリカーボネートは高温で成形すると、分解によりシルバーが発生する。そのため、低温での成形が可能となるように、ガラス転移温度は160℃以下とすることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
【0045】
(5%重量減温度:Td)
窒素雰囲気下で測定した本発明の共重合ポリカーボネートの5%重量減温度(Td)は、好ましくは340℃以上、より好ましくは345℃以上、さらに好ましくは350℃以上である。窒素雰囲気下での5%重量減温度(Td)が上記のような範囲であると、成形時の着色やシルバーストリークが抑えられるため好ましい。窒素雰囲気下での5%重量減温度(Td)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2950型TGAを使用し、昇温速度20℃/min(スタート温度40℃)にて、窒素雰囲気下で測定する。
空気雰囲気下で測定した場合の共重合ポリカーボネートの5%重量減温度(Td)は、好ましくは335℃以上、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは355℃以上である。空気雰囲気下での5%重量減温度(Td)が上記のような範囲であると、イソソルビド骨格の熱分解による成形時の着色やシルバーストリークが抑えられるため好ましい。空気雰囲気下での5%重量減温度(Td)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2950型TGAを使用し、昇温速度20℃/min(スタート温度40℃)にて、空気雰囲気下で測定する。
【0046】
(成形板の色相(b値))
本発明の共重合ポリカーボネートを成形して得た3段型プレート(算術平均表面粗さRa;0.03μm)の厚み2.0mm部のb値は、好ましくは15以下であり、より好ましくは11以下、さらに好ましくは7以下である。
【0047】
(滞留安定性)
本発明の共重合ポリカーボネートを10分滞留後させた後、成形して得た3段型プレートのシルバーストリーク発生率は、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。上記の範囲内であれば、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生が抑えられ、安定して透明成形品を得ることができる。
【0048】
(溶融粘度)
本発明の共重合ポリカーボネートは、240℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート608sec^(ー1)の条件下で1.10×10^(3)Pa・s以下であり、より好ましくは1.05×10^(3)Pa・s以下であり、さらに好ましくは1.00×10^(3)Pa・s以下である。溶融粘度が1.10×10^(3)Pa・sより大きいと、流動性が低く精密成形が困難であるため、成形温度を上げる必要が生じる。単位(A)を骨格に含む共重合ポリカーボネートは、高温で成形すると、着色やシルバーの発生が問題となり好ましくない。
【0049】
(飽和吸水率)
本発明の共重合ポリカーボネートは、厚さ1mmの成型板における23℃水中での飽和吸水率が、3.5%以下が好ましく、3.0%以下がより好ましく、2.0%以下がさらに好ましい。吸水率が上記範囲であると、耐湿熱性、低寸法変化率という点で好ましい。吸水率が上記範囲外であると、吸水時の膨張でクラックが発生する可能性があるため、成形材料として好ましくない。
【0050】
(屈折率)
本発明の共重合ポリカーボネートは、屈折率が1.50?1.58の範囲であることが好ましく、より好ましくは屈折率が1.51?1.57の範囲であり、さらに好ましくは屈折率が1.52?1.56の範囲である。屈折率が1.50より低いと、レンズとして使用する際に、レンズの薄型化が達成できないため好ましくない。また、屈折率とアッベ数は一般的にトレードオフの関係にあるため、屈折率を1.58より高くするとアッベ数の低下を招き、レンズとして使用した時に色ムラの原因となるため好ましくない。
【0051】
(アッベ数)
本発明の共重合ポリカーボネートは、アッベ数が36?64の範囲であることが好ましく、より好ましくはアッベ数が37?63の範囲であり、さらに好ましくはアッベ数が38?62の範囲である。アッベ数が36より低いと、色収差が大きくなるためレンズとして使用した時に好ましくない。また、屈折率とアッベ数は一般的にトレードオフの関係にあるため、アッベ数を64より高くすると屈折率の低下を招き、レンズとして使用した時に薄型化が困難となるため好ましくない。
【0052】
(製造方法)
共重合ポリカーボネートは、下記式(13)で表されるエーテルジオール、ビスフェノール類、脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールおよび炭酸ジエステルを溶融重合して製造することができる。
【0053】
【化9】

【0054】
炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6?12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびビス(m-クレジル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。
ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97?1.10モル、より好ましくは0.99?1.05モルである。
【0055】
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が挙げられる。
【0056】
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が挙げられる。金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
【0057】
アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を重合触媒として用いる場合には、これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し、好ましくは1×10^(-9)?1×10^(-3)当量、好ましくは1×10^(-8)?1×10^(-4)当量、より好ましくは1×10^(-7)?1×10^(-5)当量の範囲で選ばれる。
含窒素化合物を重合触媒として用いる場合には、これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し、好ましくは1×10^(-7)?1×10^(-1)当量、好ましくは1×10^(-6)?1×10^(-2)当量、より好ましくは1×10^(-5)?1×10^(-3)当量の範囲で選ばれる。
溶融重縮合反応は、従来知られているように、不活性ガス雰囲気下および減圧下で加熱しながら攪拌して生成するモノヒドロキシ化合物を留出させることで行われ、溶融重縮合反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいは、バッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。また、2段階以上の多段工程で溶融重合を実施してもよい。ただし、本反応のように、3成分のモノマーを用いて、所定の組成比となるように共重合を行うには、反応温度・圧力の精密な制御が必要となる。下記に溶融重縮合反応の一例を説明する。なお、製造方法はこの方法に限定されるものではない。
【0058】
すなわち、本反応は、エステル交換反応が行われるEI反応工程と、重合反応が行われるPA反応工程から構成される。EI反応工程は、3成分のジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させてオリゴマーを生成させる工程であり、PA反応工程は、EI反応工程で生成したオリゴマーどうしを重縮合させて高分子量体を得る反応工程である。
EI反応工程は、最終真空度が40kPa以下8kPa以上の範囲で、最終樹脂温度が160℃以上220℃以下の範囲であり、副反応物として生じるモノヒドロキシ化合物を理論量の70%以上85%以下留去させる工程である。
モノヒドロキシ化合物の理論量は、仕込んだ炭酸ジエステルのモル数の2倍当量である。
最終真空度は、35kPa以下10kPa以上の範囲がより好ましい。また、減圧速度は、20kPa/min以下0.5kPa/min以上が好ましく、15kPa/min以下1kPa/min以上がさらに好ましい。
【0059】
最終樹脂温度は、180℃以上210℃以下の範囲がより好ましい。160℃以上では、反応活性が高く反応時間が短縮されるため生産性が良好である。また、220℃以下では未反応のエーテルジオールが劣化されにくく、得られるポリマーの色相が良好である。
EI反応工程での最終真空度が低すぎると、式(ii)で表される単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基が低くなる。
EI反応工程での最終樹脂温度および最終真空度が高すぎると、式(i)で表される単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基が高くなり、また式(ii)で表されるフェノール性水酸基/全末端基が高くなる。
EI反応工程からPA反応工程へと移行する時には、モノヒドロキシ化合物の留去量が、理論量の75%以上85%以下の範囲であることがより好ましい。モノヒドロキシ化合物の留去量が上記の範囲であると、単位(C)を構成するジオールの反応率が50%以上80%以下となっており、PA反応工程で沸点の低い未反応の単位(C)を構成するジオールが系外に留去されにくい。モノヒドロキシ化合物の留去量が理論量の70%より少ないと、脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールの反応率が不十分であり、未反応の単位(C)を構成するジオールが系外に留去されてしまう。その結果、得られるポリマーの組成比がずれるだけでなく、ポリマー末端のヒドロキシ基とカーボネート基のモルバランスが崩れて、PA反応後期に十分に重合度が上がらないことがある。一方、モノヒドロキシ化合物の留去量が85%を超える範囲でPA反応工程に移行すると、重合度が上がりすぎて、溶融粘度が急激に高くなり、収率低下や吐出できないといった問題が起こりやすい。
【0060】
単位(A)を構成するエーテルジオールは、単位(C)を構成するジオールに比べて反応性が高く、脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールのヒドロキシ基の反応率が上記の範囲であれば、PA反応移行時に、上記のような問題となる量の未反応エーテルジオールが残存することは考えにくい。
また、単位(B)を構成するビスフェノール類は、エーテルジオールや単位(C)を構成するジオールに比べて反応性が低く、PA反応移行時に残存する未反応ビスフェノールの量は比較的多い。しかし、ビスフェノール類は、沸点が高く、PA反応移行時に系外へと留去される可能性が低いため、単位(C)を構成するジオールのヒドロキシ基の反応率が上記の範囲であれば、組成比が大きくずれるような問題は起こらない。
【0061】
PA反応工程は、前期工程と後期工程から構成される。すなわち、PA反応の前期工程は、最終真空度が8kPa以下1kPa以上の範囲で、最終樹脂温度が210℃以上240℃以下の範囲であり、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.03以上0.2未満にエステル交換させる工程である。前期工程では、EI反応工程でエステル交換反応させた共重合ポリカーボネートのオリゴマーをさらに重合せしめる。
最終真空度は、5kPa以下1kPa以上の範囲がより好ましい。減圧速度は、5kPa/min以下0.1kPa/min以上が好ましい。ポリカーボネート樹脂の比粘度は、0.05以上0.2未満にエステル交換させることがより好ましい。最終樹脂温度は、220℃以上235℃以下の範囲がより好ましい。温度は、EI反応工程の温度から徐々に加熱していき、最終温度を途中越えないようにすることが好ましい。最終温度が240℃以下では、残存しているエーテルジオールが劣化しづらく、得られるポリマーの色相が良好である。また、210℃以上では、反応が進行しやすく、熱履歴によりエーテルジオールが劣化しづらいため、ポリマー色相が良好である。最終真空度が8kPa以下では、フェノールの留出が起こりやすく、反応が進行しやすいため、熱履歴によりエーテルジオールが劣化しづらく、ポリマー色相が良好である。最終真空度が1kPa以上では、モルバランスが崩れ難く分子量が伸びやすい。
【0062】
PA反応の後期工程は、最終真空度が1kPa未満で、最終樹脂温度225℃以上255℃以下の範囲で、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.2以上0.5以下にエステル交換させる工程である。後期工程では、前期工程で重合せしめたポリカーボネート樹脂をさらに重合せしめる。最終真空度が1kPa未満では、生成するフェノール類が系内に残存しづらく、樹脂の色相に優れ、分解反応が抑制されるため好ましい。最終真空度は0.5kPa以下がより好ましい。225℃以上では、溶融粘度が高くなりすぎず、収率低下や吐出できないといった問題が起こりにくい。また、255℃以下では、エーテルジオール残基が分解しづらく、ポリマー色相が良好である。最終樹脂温度は230℃以上250℃以下の範囲であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂の比粘度は、0.25以上0.45以下に重合反応させることがより好ましい。温度は、前期工程の温度から徐々に加熱していき、最終温度を途中越えないようにすることが好ましい。
【0063】
本反応では、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。その中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.1?10モルの割合で、より好ましくは0.3?5モルの割合で、更に好ましくは0.5?3モルの割合で使用することができる。
【0064】
また、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
本発明の共重合ポリカーボネートにおいては、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有する事が好ましい。単位(A)のエーテルジオール残基が熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としてはリン系安定剤を含有することが好ましい。さらにリン系安定剤として、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物を配合することがより好ましい。
【0065】
上記のペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
【0066】
上記の二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6-tert-ブチル-4-[3-[(2,4,8,10)-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]プロピル]-2-メチルフェノールなどを挙げることができる。
他のリン系安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
【0067】
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができる。好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
【0068】
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等が挙げられる。テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
【0069】
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、環状構造を有するホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。リン系安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001?1重量部、より好ましくは0.01?0.5重量部、さらに好ましくは0.01?0.3重量部配合される。
【0070】
本発明の共重合ポリカーボネートにおいては、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤を、リン系熱安定剤と組み合わせて添加することもできる。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されない。例えば、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール-ビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6-ヘキサンジオール-ビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、2,4-ビス{(オクチルチオ)メチル}-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8-テトラメチル-2(4’,8’,12’-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール等が挙げられる。
【0071】
これらの中で、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
【0072】
ヒンダードフェノール系安定剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001?1重量部、より好ましくは0.01?0.5重量部、さらに好ましくは0.01?0.3重量部配合される。
本発明の共重合ポリカーボネートには、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0073】
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1?20の一価または多価アルコールと炭素原子数10?30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
【0074】
高級脂肪酸としては、炭素原子数10?30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.01?5重量部が好ましい。
また、本発明の共重合ポリカーボネートには、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤を配合することができる。かかる光安定剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)等が挙げられる。
これらの光安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる光安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.01?2重量部が好ましい。
【0075】
また、本発明の共重合ポリカーボネートには、重合体や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、ポリカーボネート樹脂組成物に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらブルーイング剤は、通常、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.1×10^(-4)?2×10^(-4)重量部の割合で配合される。
【0076】
また、本発明の共重合ポリカーボネートには、透明性を損なわない範囲で蛍光染料や染料を配合し、透明カラー成形品用途に用いることができる。
かかる蛍光染料としては、熱可塑性樹脂に使用できるものであれば特に制限はないが、例えば、キサンテン系、チアゾール系、チアジン系、ペリレン系、クマリン系、ジアミノスチルベン系等が挙げられる。特に、ペリレン系、クマリン系が好ましく、例えば、BASF製のルモゲンカラー、有本化学工業製のFluoresent、Baycr製のマクロレックスが市販品として容易に入手でき好ましく使用できる。
かかる蛍光染料の割合は共重合ポリカーボネートとの合計100重量部に対し、0.001?5重量部であり、好ましくは0.01?2重量部である。0.001重量部未満では蛍光性が得られ難くなり、5重量%を超えると透明性が低下したり、変色が激しくなったりして、目的とする蛍光性を発揮できなくなる。
本発明の共重合ポリカーボネートと上述のような各種の添加剤との配合は、例えば、タンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、あるいは上記各成分を、例えば塩化メチレンなどの共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などがあるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるポリマーブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
【0077】
本発明の共重合ポリカーボネートは、優れた耐熱性を有することから、光学用シート、光学用ディスク、情報ディスク、光学レンズ、プリズム等の光学用部品、各種機械部品、建築材料、自動車部品、各種の樹脂トレー、食器類をはじめとする様々な用途に幅広く用いることができる。なかでも透明性が必要とされる用途に好適に用いられる。
また、本発明の共重合ポリカーボネートは、例えばポリ乳酸、脂肪族ポリエステルのほか、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル、ABS、ポリウレタンなど、各種のバイオベースポリマーならび合成樹脂、ゴムなどと混合しアロイ化して用いることもできる。
【0078】
本発明は、式(1)で表されるエーテルジオール残基で構成される単位(A)、式(2)で表されるビスフェノール残基で構成される単位(B)を含有する共重合ポリカーボネートの共重合成分として、脂肪族ジオール残基、脂環式ジオール残基、オキシレングリコール残基および環状エーテル構造を有するジオール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基で構成される単位(C)を用いることにより、該共重合ポリカーボネートの飽和吸水率を低下させる方法を包含する。
共重合比は、単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)の含有量が40?92モル%、単位(B)の含有量が5?57モル%、単位(C)の含有量が3?55モル%であることが好ましい。
該共重合ポリカーボネート末端基の割合は、下記式(i)および(ii)の範囲にあることが好ましい。
(i)0.001 < 単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基 < 0.3
(ii)0.02 < 単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基 < 0.6
[式中、全末端基は,エーテルジオールの水酸基、フェノール性水酸基、脂肪族ジオールの水酸基、脂環式ジオールの水酸基、オキシレングリコールの水酸基、環状エーテルジオールの水酸基、全フェニルカーボネート末端の合計である。]
【実施例】
【0079】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂および評価方法は以下のとおりである。
【0080】
1.比粘度(η_(sp))
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE
VMR-0525・PC)を使用して測定した。なお、比粘度η_(sp)は下記式から求められる。
η_(sp)=t/t_(o)-1
t :試料溶液のフロータイム
t_(o) :溶媒のみのフロータイム
2.共重合比
共重合ポリカーボネートの重クロロホルム溶液を調製し、日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRを用いて測定した。
3.Tg(ガラス転移温度)測定
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minにて測定した。
【0081】
4.Td(5%重量減温度)測定
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2950型TGAを使用し、窒素雰囲気下および空気雰囲気下にて、昇温速度20℃/min(スタート温度40℃)で測定した。
5.屈折率
作成したフィルムを用いて(株)アタゴ製多波長アッベ屈折計DR-M2により25℃波長589nmで測定して屈折率を求めた。
6.アッベ数
作成したフィルムを用いて(株)アタゴ製多波長アッベ屈折計DR-M2により25℃波長589nm、486nm、656nmでの屈折率を測定し、下記式にてアッベ数(ν_(d))を算出した。
ν_(d)=(n_(d)-1)/(n_(f)-n_(c))
ν_(d):アッベ数
n_(d):D線(λ=589nm)に対する屈折率
n_(f):F線(λ=486nm)に対する屈折率
n_(c):F線(λ=656nm)に対する屈折率
【0082】
7.溶融粘度
(株)東洋精機製キャピラリーレオメータ(キャピログラフ 型式1D)を用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、測定温度240℃にて測定速度を任意に変更し測定した結果得られたShear Rate/Viscosityカーブより600sec^(-1)での溶融粘度を読み取った。
8.飽和吸水率
予め100℃で24時間乾燥した3段型プレートの成形板を23℃の水中に浸し、定期的に取り出してその重量を測定し、吸水率を下記式から計算した。なお、飽和吸水率は上記成形板の吸水による重量増加が無くなった時点での吸水率とした。
吸水率(%)=(吸水後の成形板の質量-吸水前の成形板の質量)/吸水前の成形板の質量×100
9.生物起源物質含有率(植物度)
ASTM D6866 05に準拠し、放射性炭素濃度(percent modern carbon;C14)による生物起源物質含有率試験から、生物起源物質含有率を測定した。
【0083】
10.成形板の色相(b値)および外観評価
実施例に記載の方法で成形した3段型プレート(算術平均表面粗さRa;0.03μm)の厚み2.0mm部のb値を日本電色(株)製分光彩計SEー2000(光源:C/2)を用いて測定した。b値はJIS Z8722に規定する三刺激値X、Y、Zからハンターの色差式から誘導されるもので、数値が低いほど色相が無色に近いことを示す。また、シルバーストリークなど、外観上問題がないかを目視で確認した。
11.滞留安定性評価
ペレットを射出成形機[日本製鋼所(株)製 JSWJー75EIII]を用いてシリンダー温度240℃、金型温度90℃にて3段型プレート(算術平均表面粗さRa;0.03μm)を成形した。連続で10ショット成形した後、該射出成形機のシリンダー中に樹脂を10分間滞留させ、滞留後の3段型プレートを成形した。比較例2のみ、溶融粘度が高いため、シリンダー温度260℃で成形した。10分滞留後2ショット目の3段型プレートの写真画像を撮影し、画像解析ソフト「ImageJ」に該写真画像を取り込み、3段型プレート全体の面積値およびシルバーストリーク発生部位の面積値をそれぞれ測定した。写真画像の一例を図2に示す。シルバーストリーク発生率(%)は下記式で算出した。
シルバーストリーク発生率(%) = シルバーストリーク発生部位の面積値/3段型プレート全体の面積値×100
【0084】
実施例1
(加熱溶融)
イソソルビド(以下ISSと略す)250.66部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPAと略す)274.18部、1,6-ヘキサンジオール(以下HDと略す)60.84部,ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)749.70部および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.0×10^(-2)部と水酸化ナトリウム1.0×10^(-4)部を窒素雰囲気下170℃に加熱し溶融させた。
【0085】
(EI反応工程)
溶融したことを確認した後、EI反応工程を開始した。減圧開始後、70分かけて最終減圧度が13.4kPaになるように調整しながら減圧し、13.4kPa到達後はその減圧度を保持した。減圧開始と同時に、10℃/hrの速度で、最終樹脂温度が190℃になるまで昇温した。190℃到達後は、減圧度13.4kPa、樹脂温度190℃の状態で、フェノールが理論量の80%留去するまで10分間保持した。80%留去したことを確認した。
【0086】
(PA反応工程(前期工程))
その後、PA反応工程(前期工程)を開始した。最終樹脂温度が220℃になるように、0.5℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が3kPaとなるように60分かけて減圧させた。
【0087】
(PA反応工程(後期工程))
引き続いて、PA反応工程(後期工程)を開始した。後期工程では、最終樹脂温度が240℃になるように、1℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が134Paとなるまで20分かけて減圧させた。所定の攪拌電力値に到達したところで反応を終了し、触媒量の2倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比は、図1に示すように、ISSの繰り返し単位に起因する4.80?5.03ppmのピークと、BPAの繰り返し単位に起因する7.19?7.32ppmのピークと、HDの繰り返し単位に起因する1.30?1.55ppmのピークの積分比から求めた。末端比は、ISSのOH末端に起因する3.54?3.62ppmのピークと、BPAのOH末端に起因する6.65?6.75ppmのピークと、HDのOH末端に起因する3.62?3.70ppmのピークと、フェニルカーボネート末端に起因する7.35?7.45ppmのピークの積分比から求めた。
【0088】
(フィルムの成形)
次に、(株)テクノベル製15φ二軸押出混練機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたポリカーボネート樹脂を240℃でフィルム成形することにより透明な押出フィルムを得た。得られたフィルムより50mm×10mmサイズのサンプルを切り出し、そのサンプルを用いて屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。
【0089】
(プレートの成形)
また、ペレット100部に対して、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト((株)アデカ製 アデカスタブPEP-36)0.05部を均一に混合し、かかる混合物を押出機に投入して樹脂組成物の作成を行った。押出機としては径15mmφのベント式二軸押出機((株)テクノベル社製KZW15ー25MG)を使用した。押出条件は吐出量8.4kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで240℃とし、再押ペレットを得た。
得られた再押ペレットを100℃で12時間乾燥した後、算術平均粗さ(Ra)が0.03μmとしたキャビティ面を持つ金型を使用し、射出成形機[日本製鋼所(株)製 JSWJー75EIII]により、シリンダー温度240℃、金型温度90℃で射出成形し、幅55mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3mm(長さ20mm)、2mm(長さ45mm)、1mm(長さ25mm)である3段型プレートを成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定牲について評価した。
【0090】
実施例2
ISS315.83部、BPA242.85部、HD24.34部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比、末端比は実施例1と同様に求めた。実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定牲を評価した。
【0091】
実施例3
ISS330.87部、BPA242.85部、HD12.17部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比、末端比は実施例1と同様に求めた。実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0092】
実施例4
ISS280.74部、BPA266.35部、HD52.73部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比、末端比は実施例1と同様に求めた。実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0093】
実施例5
ISS260.69部、BPA274.18部、HD52.73部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比、末端比は実施例1と同様に求めた。実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0094】
実施例6
ISS260.69部、BPA274.18部、1,4-シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)49.48部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比は、ISSの繰り返し単位に起因する4.80?5.03ppmのピークと、BPAの繰り返し単位に起因する7.19?7.32ppmのピークと、CHDMの繰り返し単位に起因する0.90?1.20ppmのピークの積分比から求めた。末端比は、ISSのOH末端に起因する3.54?3.62ppmのピークと、BPAのOH末端に起因する6.65?6.75ppmのピークと、CHDMのOH末端に起因する3.29?3.63ppmのピークと、フェニルカーボネート末端に起因する7.35?7.45ppmのピークの積分比から求めた。
実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0095】
実施例7
<共重合ポリカーボネート樹脂の製造>
ISS250.66部、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン・(以下BPCと略す)351.78部、HD40.56部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比、末端比は実施例1と同様に求めた。
実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0096】
実施例8
<共重合ポリカーボネート樹脂の製造>
ISS300.79部、BPC263.84部、HD40.56部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比、末端比は実施例1と同様に求めた。
実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0097】
比較例1
ISS375.99部、HD101.40部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比は、ISSの繰り返し単位に起因する4.80?5.03ppmのピークと、HDの繰り返し単位に起因する1.30?1.55ppmのピークの積分比から求めた。末端比は、ISSのOH末端に起因する3.54?3.62ppmのピークと、HDのOH末端に起因する3.62?3.70ppmのピークと、フェニルカーボネート末端に起因する7.35?7.45ppmのピークの積分比から求めた。
実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0098】
比較例2
ISS471.24部、BPA39.17部、HD4.06部、DPC749.70部を用い、最終反応温度を250℃とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。末端比は、ISSのOH末端に起因する3.54?3.62ppmのピークと、BPAのOH末端に起因する6.65?6.75ppmのピークと、HDのOH末端に起因する3.62?3.70ppmのピークと、フェニルカーボネート末端に起因する7.35?7.45ppmのピークの積分比から求めた。
260℃でフィルム成形を実施した以外は、実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、押出温度、成形温度を260℃とした以外は、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0099】
比較例3
ISS340.90部、CHDM158.34部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比は、ISSの繰り返し単位に起因する4.80?5.03ppmのピークと、CHDMの繰り返し単位に起因する0.90?1.20ppmのピークの積分比から求めた。末端比は、ISSのOH末端に起因する3.54?3.62ppmのピークと、CHDMのOH末端に起因する3.29?3.63ppmのピークと、フェニルカーボネート末端に起因する7.35?7.45ppmのピークの積分比から求めた。
実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0100】
比較例4
ISS250.66部、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)454.57部、HD60.84部、DPC749.70部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比は、ISSの繰り返し単位に起因する4.80?5.03ppmのピークと、BCFの繰り返し単位に起因する7.69?7.84ppmのピークと、HDの繰り返し単位に起因する1.30?1.55ppmのピークの積分比から求めた。末端比は、ISSのOH末端に起因する3.54?3.62ppmのピークと、BCFのOH末端に起因する6.57?6.63ppmのピークと、HDのOH末端に起因する3.62?3.70ppmのピークと、フェニルカーボネート末端に起因する7.35?7.45ppmのピークの積分比から求めた。
実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
【0101】
比較例5
ISS330.87部、BPA242.85部、HD12.17部、DPC720.30部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.0×10^(-2)部と水酸化ナトリウム1.0×10^(-4)部を窒素雰囲気下170℃に加熱し溶融させた。溶融したことを確認した後、EI反応工程を開始した。減圧開始後、50分かけて最終減圧度が50kPaになるように調整しながら減圧し、50kPa到達後はその減圧度を保持した。減圧開始と同時に、20℃/hrの速度で、最終樹脂温度が230℃になるまで昇温した。
最終樹脂温度が230℃に到達した後、PA反応工程(前期工程)を開始した。最終減圧度が3kPaとなるように90分かけて減圧させた。引き続いて、PA反応工程(後期工程)を開始した。後期工程では、最終樹脂温度が240℃になるように、1℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が134Paとなるまで20分かけて減圧させた。その後、所定の攪拌電力値に到達したところで反応を終了し、触媒量の2倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度、ガラス転移温度、5%重量減温度、溶融粘度を測定し、表1、2に記載した。組成比、末端比は実施例1と同様に求めた。
【0102】
実施例1と同様にフィルム作成し、屈折率、アッベ数を測定し、表2に記載した。また、実施例1と同様に射出成形し、色相、外観、飽和吸水率、滞留安定性を評価した。
比較例5では、EI反応工程での最終樹脂温度および最終真空度が高いので、式(i)で表される単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基が高くなり、また式(ii)で表されるフェノール性水酸基/全末端基が高くなった。
【0103】
比較例6
ISS250.66部、BPA274.18部、HD60.84部,DPC749.70部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.0×10^(-2)部と水酸化ナトリウム1.0×10^(-4)部を窒素雰囲気下170℃に加熱し溶融させた。溶融したことを確認した後、EI反応工程を開始した。減圧開始後、70分かけて最終減圧度が6kPaになるように調整しながら減圧し、6kPa到達後はその減圧度を保持した。減圧開始と同時に、15℃/hrの速度で、最終樹脂温度が190℃になるまで昇温した。最終樹脂温度が190℃に到達した後、PA反応工程(前期工程)を開始した。最終樹脂温度が220℃になるように、0.5℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が3kPaとなるように60分かけて減圧させた。引き続いて、PA反応工程(後期工程)を開始した。後期工程では、最終樹脂温度が240℃になるように、1℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が134Paとなるまで20分かけて減圧させた。その後、樹脂温度240℃、減圧度134Paの状態を保持しても、攪拌電力値が上がらなかったため、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、樹脂塊を得た。該樹脂塊の比粘度、組成比、末端比を実施例1と同様に求めた。比較例6は、HDが重合中に系外へと留去したため、その分、末端比のモルバランスが崩れて、分子量が伸びなかった。
比較例6ではEI反応工程での最終真空度が低すたので、式(ii)で表される単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基が低くなった。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の共重合ポリカーボネートは、優れた耐熱性を有することから、光学用シート、光学用ディスク、情報ディスク、光学レンズ、プリズム等の光学用部品、各種機械部品、建築材料、自動車部品、各種の樹脂トレー、食器類をはじめとする様々な用途に幅広く用いることができる。なかでも透明性が必要とされる用途に好適に用いられる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるイソソルビド(1,4;3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール)残基で構成される単位(A)、下記式(2)で表されるビスフェノール残基で構成される単位(B)、および、その他のジオール残基で構成される単位(C)を含み、
(I)単位(C)が、脂肪族ジオール残基、脂環式ジオール残基、オキシレングリコール残基および環状エーテル構造を有するジオール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基であり、
(II)単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)の含有量が40?92モル%、単位(B)の含有量が5?57モル%、単位(C)の含有量が3?55モル%であり、
(III)末端基の割合が下記式(i)および(ii)の範囲にあることを特徴とする共重合ポリカーボネート。
(i)0.001 < 単位(A)および単位(C)に由来する水酸基の合計/全末端基 < 0.2
(ii)0.02 < 単位(B)に由来するフェノール性水酸基/全末端基 < 0.6
[式中、全末端基は,イソソルビドの水酸基、フェノール性水酸基、脂肪族ジオールの水酸基、脂環式ジオールの水酸基、オキシレングリコールの水酸基、環状エーテルジオールの水酸基、全フェニルカーボネート末端の合計である。これらの末端基は、プロトンNMR測定におけるピークの積分値から求める。またイソソルビドの水酸基は、3.54?3.62ppmのピークの積分値から求める。]
【化1】

(上記式(2)において、R^(1)およびR^(2)はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数1?10のアルコキシ基、炭素原子数6?20のシクロアルキル基、炭素原子数6?20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2?10のアルケニル基、炭素原子数6?10のアリール基、炭素原子数6?10のアリールオキシ基、炭素原子数7?20のアラルキル基、炭素原子数7?20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、aおよびbはそれぞれ1?4の整数であり、Wは単結合および下記式(3)で表される結合基からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合基である。
【化2】

(上記式(3)においてR^(3),R^(4),R^(5),R^(6),R^(7),R^(8),R^(9)およびR^(10)はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1?10のアルキル基、炭素原子数6?10のアリール基および炭素原子数7?20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1?10の整数、dは4?7の整数である。)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
単位(B)を構成するビスフェノール類の炭素原子数が24個以下である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項4】
単位(C)が、炭素原子数2?44の脂肪族ジオール残基で構成される請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項5】
単位(C)が、エチレンジオール残基、1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基、1,8-オクタンジオール残基および1,10-デカンジオール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項6】
単位(C)が、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、ペンタシクロペンタデカンジメタノール残基およびアダマンタンジメタノール残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項7】
上記式(2)で表される単位(B)が、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン残基、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン残基、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン残基、3,3’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド残基、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン残基、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン残基、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン残基および1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン残基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール残基である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項8】
ガラス転移温度(Tg)が、90?160℃である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項9】
240℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート608sec^(-1)の条件下で1.10×10^(3)Pa・s以下である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項10】
飽和吸水率が3.5%以下である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項11】
屈折率が1.50?1.58の範囲であり、且つアッベ数が36?64の範囲である請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項12】
単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)が40?85モル%、単位(B)が10?55モル%、単位(C)が5?50モル%を占める請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項13】
単位(A)、(B)および(C)のモル数の合計を基準として、単位(A)が45?80モル%、単位(B)が15?50モル%、単位(C)が5?40モル%を占める請求項1記載の共重合ポリカーボネート。
【請求項14】
請求項1に記載の共重合ポリカーボネートまたはその組成物からなる透明成形品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-07-05 
出願番号 特願2013-511041(P2013-511041)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 繁田 えい子  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 前田 寛之
加藤 友也
登録日 2015-04-17 
登録番号 特許第5732529号(P5732529)
権利者 帝人株式会社
発明の名称 共重合ポリカーボネートおよびそれらからなる透明成形品  
代理人 大島 正孝  
代理人 大島 正孝  
代理人 白石 泰三  
代理人 白石 泰三  
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