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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E02D |
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管理番号 | 1319613 |
審判番号 | 不服2015-19562 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-10-30 |
確定日 | 2016-10-04 |
事件の表示 | 特願2011-220853「噴砂防止構造」拒絶査定不服審判事件〔平成25年5月2日出願公開、特開2013-79544、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年10月5日の出願であって、平成27年3月6日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成27年4月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年7月31日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年10月30日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。 第2 平成27年10月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否について 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「地震時に液状化を生じる懸念のある原地盤を対象として、該原地盤が液状化を生じた際に地表への噴砂を防止するための構造であって、 前記原地盤の表面を、表層とその下層の路盤層とによる舗装面によって被覆するとともに、前記路盤層を通水性を有する礫層として形成し、 前記舗装面の要所に、底部が前記原地盤に達する深さに形成されて液状化発生時に該原地盤からの過剰間隙水を前記路盤層としての礫層に導くための通水路となる溝部を所定間隔で設けて、 前記溝部内に、液状化発生時に前記原地盤から前記溝部内への過剰間隙水の流入を許容して前記原地盤での間隙水圧を速やかに低下せしめ、かつ砂の流入を阻止する礫材を少なくとも前記礫層に連なる位置まで充填してなり、 前記溝部の上部において、液状化発生時に前記原地盤から前記溝部内に流入した過剰間隙水を該溝部から地表に溢水させるように構成されていることを特徴とする噴砂防止構造。」 とする補正(下線部は補正箇所を示す。以下「補正事項」という。)を含んでいる。 2 補正の適否 本件補正の補正事項は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「溝部」について、「前記溝部の上部において、液状化発生時に前記原地盤から前記溝部内に流入した過剰間隙水を該溝部から地表に溢水させるように構成されている」との限定を付加するものであって、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、補正事項で付加された事項は、補正前の請求項2に記載されていた事項であるから、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)刊行物の記載 本願の出願前に頒布され、原査定での拒絶の理由に引用された特開2010-112039号公報(以下「刊行物」という。)には、次の記載がある(下線は審決で付した。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、地震による液状化発生時において、地表面の不陸の発生を抑制し、かつ、地表面への噴発を防止することができる液状化に伴う不陸抑制・噴発防止構造に関するものである。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 前述した地盤改良体による液状化対策工の場合、工期及びコストが増大するなどの課題があり、簡易な方法で工期及びコストの低減が図れる液状化対策工が望まれている。 【0007】 本発明は、臨海部や埋立地などの軟弱地盤における路面や地盤面の液状化対策工において、比較的簡易な方法で、地盤の液状化による地表面の沈下や噴発などを防止することができ、工期及びコストの低減が可能となる液状化に伴う不陸抑制・噴発防止構造を提供することにある。」 ウ 「【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の請求項1は、液状化の発生が予想される地盤の表層部に床版またはシートが設置され、床版またはシートによる版状の地表構造物により、液状化発生時において、地表面の不陸の発生を抑制し、かつ、地表面への噴発を防止する蓋材が構成されていることを特徴とする液状化に伴う不陸抑制・噴発防止構造である(図1、2参照)。 【0009】 床版またはシートによる版状の地表構造物による不陸抑制・噴発防止構造である。RC床版などの床版が液状化の発生が予想される地盤の表層部に設置され、複数の支持杭により支持される柱のある地中桟橋または地中高架橋等の橋梁形式の地中構造物の場合(図1参照)、地表の床版が蓋材として機能する。床版またはシートによる版状の地表構造物のみの場合(図2参照)、柱のない地中桟橋等であり、床版またはシートによる版状の地表構造物が蓋材として機能する。緊急車両用道路や緊急避難道路などの道路構造あるいは駐車場や敷地などの地盤面構造などに適用することができる。」 「【0012】 本発明の請求項2は、請求項1に記載の不陸抑制・噴発防止構造において、床版またはシートの下部に、液状化による砂まじりの水を床版の下から側方へ排出するドレーン部材が設けられていることを特徴とする液状化に伴う不陸抑制・噴発防止構造である(図3参照)。 【0013】 蓋材としての床版やシートの下に、砂利や有孔配水管などのドレーン部材を全面あるいは所定のピッチで設ける場合である。床版やシートの蓋材としての連続性が強度・伸縮性等の性能から保持されており、蓋材として密閉性が確保できずに噴出抑制できない場合に有効である。 【0014】 このドレーン部材により液状化発生時の噴出の水みちが形成され、床版やシートの変形(床版等の隆起、持ち上がりを含む)や作用力を制御することができ、また噴出口や水みちをある程度計画的に設定しているため、汚染した土壌・地下水の噴出を制御でき、また拡散を防止することができ、さらに有害物質の回収作業の簡素化を図ることができる。」 エ 「【発明の効果】 【0017】 本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果が得られる。 【0018】 (1)液状化の発生が予想される地盤の表層部に設置される床版またはシートによる版状の地表構造物により液状化を抑制する蓋材を構成しているため、床版またはシートによる版状の地表構造物が地盤表層部を覆う蓋材の役目をし、液状化発生時の地表面の不陸・凹凸を抑制することができ、かつ、液状化発生時の地表への噴発(砂や汚染物など)を防止することができ、歩行者等の直接被災を低減することができると共に、救援・避難路の確保(二次被災の防止)など道路や地盤面としての機能を確保することができ、また汚染物の拡散等を防止することができ、比較的簡易な方法で、液状化に伴う不陸抑制・噴発防止構造を施工することができ、工期及びコストの低減が可能となる。」 オ 「【発明を実施するための最良の形態】」 「【0022】 図1の実施形態は、既設や新設の工場などの敷地Aの周辺道路に、床版11のみから構成される不陸抑制・噴発防止構造10により、緊急車両用道路または緊急避難道路Bを形成した場合である。柱のない地中桟橋等の版状の地表構造物と考えることができる。 【0023】 地震時に液状化が発生しても、この道路Bにより、動線が確保され、緊急車両が敷地A内に入り、建物Cにおける救援活動等を行うことができ、また緊急避難することができる。なお、道路に限らず、二点鎖線で示すように駐車場D等の平面的なものにも適用することができる。 【0024】 床版11はRC床版などであり、この床版11自体が地盤表層部を覆う蓋材の役目をし、液状化発生時の地表面の不陸・凹凸を抑制することができ、かつ、液状化発生時の地表への噴発(砂や汚染物など)を防止することができる。これにより、歩行者等の直接被災を低減することができると共に、救援・避難路の確保(二次被災の防止)など道路や地盤面としての機能を確保することができ、また汚染物の拡散等を防止することができる。 【0025】 また、床版11に代えて、土木シート、あるいはシート状補強材などを使用することもできる。これらシートの上に砕石などを敷き、舗装を施すなどして道路床版を形成する。このシートの場合も、シート床版により地表への噴発を防止することができる。」 「【0028】 床版21は、RC床版などの道路床版であり、液状化の発生が予想される地盤1の表層部に設置され、支持地盤2に下端が貫入する複数の支持杭22により支持される。床版21は地中の主桁・床版に相当し、地中杭として支持杭22は地中の柱や橋脚に相当し、地中に埋設された地中桟橋または地中高架橋等の橋梁形式の地中構造物が形成されることになる。なお、支持杭22は支持層2に到達していない半浮き基礎状態でもよい。」 「【0033】 他の実施形態としては、図1の柱のない版状の地表構造物および図2の柱のある橋梁形式の地中構造物において、蓋材としての床版11、床版21あるいはシートの下に、図3に示すようなドレーン部材40を設ける。このドレーン部材40は、床版11、床版21あるいはシートの蓋材としての連続性が強度・伸縮性等の性能から保持されており、蓋材として密閉性が確保できずに噴出抑制できない場合に有効である。 【0034】 このドレーン部材40は、床版11、床版21あるいはシートの下部に、液状化による砂まじりの水を床版やシートの下から側方へ排出するものであり、例えば、図3(a)に示すように、床版等の下に砂利溜まり溝41を所定のピッチP1で配置し、溝内に砂利42を充填する。あるいは、図3(b)に示すように、床版等の下面全体に砂利収納空間43を設け、その底面に砂利溜まり溝41を所定のピッチP2で配置する。あるいは、図3(c)に示すように、床板等の下に多孔排水管44を所定のピッチP3で配置する。その他、不織布、ファイバー材(やし等の繊維材)などを用いることができる。 【0035】 このようなドレーン部材により液状化発生時の噴出の水みちが形成され、床版等の変形(床版等の隆起、持ち上がりを含む)や作用力を制御することができ、また噴出口や水みちをある程度計画的に設定しているため、汚染した土壌・地下水の噴出を制御でき、また拡散を防止することができ、さらに有害物質の回収作業の簡素化を図ることができる。」 そして、上記オで摘記した段落【0028】、【0034】、【0035】の記載事項、及び、図3(b)の図示内容から、砂利収納空間43は通水性を有していること、砂利溜まり溝41に水が液状化の発生を予想される地盤1から流入していること、砂利溜まり溝41及び砂利収納空間43によって形成されるドレーン部材により水みちが形成されるので、地盤での間隙水圧が低下すること、さらには、そのように間隙水圧を低下することで、床版の隆起や持ち上がりを防止しているので、ある程度速やかに間隙水圧が低下していることが理解できる。 よって、上記アないしオで摘記した事項、及び、図面(特に図3(b))の図示内容からみて、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「地震時に液状化の発生が予想される地盤1において、地表への砂の墳発を防止するための構造であって、 地盤の表層部に、床版11を設置し、床版11の下面全体に砂利収納空間43を設け、砂利収納空間43は、通水性を有しており、 砂利収納空間43の下面全体に設けられ、液状化の発生が予想される地盤に形成され、液状化発生時に地盤からの液状化による砂まじりの水を砂利収納空間43に導くための水みちとなる砂利溜まり溝41を所定間隔で設けて、 砂利溜まり溝内に,地盤から液状化発生時の噴出の水が流入し、地盤の間隙水圧が低下し、 砂利溜まり溝41及び砂利収納空間43に流入した液状化による砂まじりの水を床版の下から側方へ排出するように構成されている液状化に伴う不陸抑制・墳発防止構造。」 (2)対比 本願発明1を引用発明と対比する。 ア 引用発明の「地盤1」は、本願発明1の「原地盤」に相当する。同様に、引用発明の「床版11」、「砂利収納空間43」、「砂利収納溝41」、「砂まじりの水」は,本願発明1の「表層」、「路盤層」、「溝部」、「過剰間隙水」に相当する。 イ 引用発明の「砂利溜まり溝内に,地盤から液状化発生時の噴出の水が流入し、地盤の間隙水圧が速やかに低下」する点と、本願発明1の「溝部内に液状化発生時に原地盤から溝部内への過剰間隙水の流入を許容して原地盤での間隙水圧を速やかに低下せしめ」る点は、「溝部内に液状化発生時に原地盤から溝部内への過剰間隙水の流入を許容して原地盤での間隙水圧を低下せしめ」る点で共通している。 ウ 引用発明の「砂利収納空間43の下面全体に設けられ、液状化の発生が予想される地盤に形成され、液状化発生時に地盤からの液状化による砂まじりの水を砂利収納空間43に導くための水みちとなる砂利溜まり溝41を所定間隔で設け」る点と、本願発明1の「前記舗装面の要所に、底部が前記原地盤に達する深さに形成されて液状化発生時に該原地盤からの過剰間隙水を前記路盤層としての礫層に導くための通水路となる溝部を所定間隔で設け」る点は、「前記舗装面の下面要所に、底部が前記原地盤に達する深さに形成されて液状化発生時に該原地盤からの過剰間隙水を前記路盤層としての礫層に導くための通水路となる溝部を所定間隔で設け」る点で共通している。 エ 引用発明の「砂利溜まり溝41及び砂利収納空間43に流入した液状化による砂まじりの水を床版の下から側方へ排出するように構成されている」点と、本願発明1の「前記溝部の上部において、液状化発生時に前記原地盤から前記溝部内に流入した過剰間隙水を該溝部から地表に溢水させるように構成されている」点は、「液状化発生時に前記原地盤から前記溝部内に流入した過剰間隙水を該溝部から排出するように構成されている」点で共通している。 オ 引用発明の「液状化に伴う不陸抑制・墳発防止構造」と本願発明1の「噴砂防止構造」は、「噴砂防止構造」で共通している。 以上の点からみて、本願発明1と引用発明とは、 (一致点) 「地震時に液状化を生じる懸念のある原地盤を対象として、該原地盤が液状化を生じた際に地表への噴砂を防止するための構造であって、 前記原地盤の表面を、表層とその下層の路盤層とによる舗装面によって被覆するとともに、前記路盤層を通水性を有する礫層として形成し、 前記舗装面の下面要所に、底部が前記原地盤に達する深さに形成されて液状化発生時に該原地盤からの過剰間隙水を前記路盤層としての礫層に導くための通水路となる溝部を所定間隔で設けて、 溝部内に液状化発生時に原地盤から溝部内への過剰間隙水の流入を許容して原地盤での間隙水圧を低下せしめ、 液状化発生時に前記原地盤から前記溝部内に流入した過剰間隙水を該溝部から排出するように構成されている墳砂防止構造。」 である点で一致し、 次の点で相違する。 (相違点1) 礫材について、本願発明1では、砂の流入を阻止する礫材を少なくとも礫層の連なる位置まで充填しているのに対して、引用発明は、砂利として特定されておらず、充填具合についても特定されていない点。 (相違点2) 水の排水方向について、本願発明1では、舗装面の要所に通水路となる溝部を設けるものであって、溝部の上部において、過剰間隙水を溝部から地表に溢水させているのに対して、引用発明では、床版の下部において、過剰間隙水を溝部から側方に排水している点。 (3)判断 先に上記相違点2について検討する。 本願発明1は、「液状化発生時における噴砂を確実かつ簡易に防止し得る有効適切な構造を提供することを目的とする」(段落【0008】)ものであって、「原地盤を舗装面により被覆した上で舗装面の要所に噴砂に対する弱点となる溝部を敢えて設けておき、液状化発生時にはその溝部を通して原地盤から過剰間隙水を積極的に排水することにより、原地盤での間隙水圧を速やかに低下せしめて噴砂が生じることを有効に防止することが可能である。したがって・・・原地盤に液状化が発生しても舗装面に大きな不陸や沈下、浮き上がりが生じて長期にわたって使用不能になるといった最悪の事態を未然に回避し得るものとなり、液状化の発生自体を防止する場合に比べて遙かに簡便かつ低コストで重大な液状化被害を有効に防止することが可能であるし、特に広大な敷地全体を対象とする場合等において現実的かつ合理的な液状化対策として有効である。」(段落【0015】)との作用効果を奏するものである。 これに対して、引用発明は、刊行物の段落【0024】に「床版11はRC床版などであり、この床版11自体が地盤表層部を覆う蓋材の役目をし、液状化発生時の地表面の不陸・凹凸を抑制することができ、かつ、液状化発生時の地表への噴発(砂や汚染物など)を防止することができる。」と記載されているように、床版で地盤表層部を覆うことにより、液状化発生時の地表の墳発を防止する構造となっている。したがって、引用発明において、砂利溜まり溝の上部にある床版から地表に過剰間隙水を溢水させる構成を設けることは、床版の蓋材としての機能を消滅させることとなり、引用発明の課題を解決することができなくなる。すなわち、引用発明において、過剰間隙水の噴出口を溝41の上部に設けることは、阻害要因があるといえる。 なお、原査定で引用文献2として引用された特開2002-81051号公報は、液状化時に排水機能を有するグラベルドレーンにおいて、グラベルドレーンを構成する砕石が、透水性と目詰まり防止特性を備えた砕石(本願の過剰間隙水の流入を許容して前記原地盤での間隙水圧を速やかに低下せしめ、かつ砂の流入を阻止する礫材に相当)であることが、周知技術であることを示すものであって、本願発明1の相違点2に係る構成とすることが当業者にとって容易想到であることの根拠とはならない。また、砂地盤の液状化を防止する、グラベルドレーン工法が周知であるとしても、引用発明において、過剰間隙水の噴出口を溝41の上部に設けることが容易であるとはいえない。 したがって、引用発明において、砂利溜まり溝の上部にある床版から地表に過剰間隙水を溢水させる構成を設けること、すなわち、本願発明1の相違点2に係る構成とすること、当業者が容易に想到し得たということができない。 よって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)請求項2ないし6に係る発明について 補正後の請求項2ないし6に記載した発明(以下「本願発明2」ないし「本願発明6」という。)は、補正後の請求項1に記載した発明(本願発明1)を直接又は間接に引用するものであるから、実質的に特許請求の範囲を減縮する補正がなされたといえる。 そこで、本願発明2ないし6が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討すると、本願発明2ないし6は、本願発明1を引用するものであって、本願発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本願発明1と同様に、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 第3 本願発明について 本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし6に係る発明は本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本件補正後の請求項1ないし6に係る発明(本願発明1ないし6)は、上記第2の2のとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本願は、原査定の理由によって拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-09-20 |
出願番号 | 特願2011-220853(P2011-220853) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(E02D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 苗村 康造 |
特許庁審判長 |
赤木 啓二 |
特許庁審判官 |
住田 秀弘 小野 忠悦 |
発明の名称 | 噴砂防止構造 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 高橋 詔男 |
代理人 | 佐伯 義文 |
代理人 | 川渕 健一 |