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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L
管理番号 1319690
審判番号 不服2016-1250  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-28 
確定日 2016-10-04 
事件の表示 特願2012-546166「プリエンプティブ(preemptive)なDNS解決のためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月14日国際公開、WO2011/084820、平成25年 5月 2日国内公表、特表2013-515451、請求項の数(32)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年12月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年12月21日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年9月30日付けで拒絶理由が通知され、平成26年3月7日付けで手続補正がされ、同年7月1日付けで拒絶理由が通知され、同年12月16日付けで手続補正がされ、平成27年4月22日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月27日付けで手続補正がされたが、同年9月15日付けで補正の却下の決定がされるとともに、同日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年1月28日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年1月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、平成26年12月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲を次のように補正するものである。

(補正前)
「【請求項1】
通信のための方法であって、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、ドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備することと、
前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査することと、
前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別することと、
前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決することと、
前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信することと、
前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信することと、
を備える方法。
【請求項2】?【請求項8】(略)
【請求項9】
通信システムであって、
プロセッサと、前記プロセッサに接続された通信構成要素とを備え、
前記プロセッサは、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、ドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備し、
前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査し、
前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別し、
前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決し、
前記通信構成要素を使用して、前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信し、
前記通信構成要素を使用して、前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信する
ように構成された、通信システム。
【請求項10】?【請求項16】(略)
【請求項17】
コンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、ドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備させるための第1のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査させるための第2のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別させるための第3のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決させるための第4のコードのセットと、
前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記プロキシ・デバイスに対して、前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信させるための第5のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・
デバイスへ送信させるための第6のコードのセットと、
を記憶した、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項18】?【請求項24】(略)
【請求項25】
パケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイであって、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続する前記PDSNゲートウェイ上に、ドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備する手段と、
前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査する手段と、
前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別する手段と、
前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決する手段と、
前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信する手段と、
前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信する手段と、
を備えるPDSNゲートウェイ。
【請求項26】?【請求項32】(略)」

(補正後)
「【請求項1】
通信のための方法であって、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備することと、
前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査することと、
前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別することと、
前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決することと、
前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信することと、
前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信することと、
を備える方法。
【請求項2】?【請求項8】(略)
【請求項9】
通信システムであって、
プロセッサと、前記プロセッサに接続された通信構成要素とを備え、
前記プロセッサは、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備し、
前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査し、
前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別し、
前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決し、
前記通信構成要素を使用して、前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記検査されたデータ・パケッ
トを、前記クライアント・デバイスへ送信し、
前記通信構成要素を使用して、前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信する
ように構成された、通信システム。
【請求項10】?【請求項16】(略)
【請求項17】
コンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備させるための第1のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査させるための第2のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別させるための第3のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決させるための第4のコードのセットと、
前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記プロキシ・デバイスに対して、前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信させるための第5のコードのセットと、
前記プロキシ・デバイスに対して、前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信させるための第6のコードのセットと、
を記憶した、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項18】?【請求項24】(略)
【請求項25】
パケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイであって、
ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続する前記PDSNゲートウェイ上に、前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備する手段と、
前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査する手段と、
前記検査されたデータ・パケットに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別する手段と、
前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決する手段と、
前記PDSNゲートウェイと前記クライアント・デバイスとの間の前記複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信する手段と、
前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信する手段と、
を備えるPDSNゲートウェイ。
【請求項26】?【請求項32】(略)」

そして、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「ドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイス」について、「前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイス」
とする補正(以下、「補正事項1」という。)、
また、特許請求の範囲の請求項9、17、25の補正事項は、補正事項1と同様である。

2.補正の適否
本件補正の補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイス」について、「前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイス」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
また、特許請求の範囲の請求項9、17、25の補正事項は、補正事項1と同様である。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項
A 原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第7082476号明細書(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「FIELD OF THE INVENTION

The present invention generally relates to data processing. The invention relates more specifically to methods and apparatus for optimizing retrieval of network resources.」(1欄)

訳文(イ.)「発明の分野
本発明は概して、データ処理に関係する。より具体的には、本発明は、ネットワーク資源の検索を最適化するための方法および装置に関係する。」

ロ.「SUMMARY OF THE INVENTION

The foregoing needs, and other needs that will become apparent from the following description, are addressed by the present invention, which comprises, in one embodiment, a method and apparatus for optimizing retrieval of network resources. In one embodiment, a method of optimizing access to a network resource is implemented in a computer program executed by a router, cache server, or proxy server. A network resource that contains one or more embedded symbolic host name references is received. A network address corresponding to each of the embedded symbolic host name references is determined. A modified copy of the network resource is created and stored; in the modified copy, a network address is substituted for each corresponding embedded symbolic host name reference. Thereafter, the modified copy of the network resource is used in responding to all subsequent client requests for the network resource, thereby greatly reducing the required number of network address lookup operations.
In one specific embodiment, IP addresses are determined using DNS queries for the hostname portion of all URLs that are embedded in a Web page using image, applet, object, or embed tags. The IP addresses are stored in place of the hostname portions in a modified copy of the Web page, typically in a cache. As a result, when the modified page is subsequently served to clients, the clients need not carry out DNS resolution of all the embedded URLs, resulting in reduced network message traffic and more rapid page display. The technique may be applied to all or some URLs of a Web page. In this way, DNS resolution is carried out once, when a page is initially accessed or retrieved, and not by all browsers each time that the page is requested.」(2?3欄)

訳文(ロ.)「発明の要約
上記の必要性、および以下の記述から明らかになる他の必要性は、ネットワーク資源の検索を最適化する方法および装置を、1つの実施形態において含む本発明によって対処される。1つの実施形態において、ネットワーク資源へのアクセスを最適化する方法は、ルーター、キャッシュ・サーバ、プロキシ・サーバによって実行されるコンピュータ・プログラムにおいて実施される。1つ以上の埋め込まれたシンボリック・ホスト・ネーム・リファレンスの各々に対応するネットワーク・アドレスが決定される。ネットワーク資源の修正されたコピーが、作られ保存される。修正されたコピーにおいて、ネットワーク・アドレスは、個々の対応する埋め込まれたシンボリック・ホスト・ネーム・リファレンスに置き代わる。その後、ネットワーク資源の修正されたコピーは、ネットワーク資源についての全てのその後のクライアントのリクエストに応答する際に使用され、それによってリクエストされるネットワーク・アドレス検索動作の数を大いに減らす。
1つの特定の実施形態では、IPアドレスは、画像、アプレット、オブジェクト、または埋め込まれたタグを使用してウェブ・ページに埋め込まれる全てのURLのホストネーム部分についてDNSクエリを使用して決定される。IPアドレスは、ウェブ・ページの修正されたコピーにおけるホストネーム部分の場所に、典型的にはキャッシュ内に保存される。結果として、修正されたページが、順にクライアントに供給される場合、クライアントは、全ての埋め込まれたURLのDNS解決を実行する必要は無く、ネットワーク・メッセージ通信の減少およびより素早いページ表示をもたらす。当該技術は、ウェブ・ページの全ての、またはいくつかのURLに適用されうる。このように、ページが最初にアクセスまたは検索され、ページがリクエストされるといつも全てのブラウザによるのではない場合、DNS解決は、1回実行される。」

ハ.「FIG. 1A is a block diagram of a network system in which an embodiment may be practiced.
Client 100 executes a browser 102 and is coupled to router 104. Client 100 is any network end station device, such as a personal computer, workstation, personal digital assistant, cellular telephone, etc. Browser 102 comprises one or more software elements that can request, receive, interpret and display network resources, such as Web documents and data streams. Examples of browser 102 include Microsoft Internet Explorer(R), Netscape Communicator(R), a microbrowser, etc.
Router 104 couples client 100 to local area network 106, and comprises a computer-based data routing device of the type commercially available from Cisco Systems, Inc., San Jose, Calif. Network 106 comprises one or more end stations and network devices, such as routers and switches, which form a network local to an enterprise or campus. Additionally or alternatively, a load balancing router 108 couples local area network 106 to one or more servers 110A, 1110B, etc. One of the servers may locally cache network resources, as indicated by cache server 112.
Internetwork 120 comprises one or more network elements that couple local area network 106 to external resources, and may comprise a second local area network, a wide area network, the internetworks known as the Internet, etc. A cache server 122 and content server 124 may be coupled to internetwork 120 for delivering content across the internetwork and local area network 106 to client 100 or servers 110A, 110B, 112. In this context, "content" refers broadly to refer to any electronic document or data stream including, but not limited to HTML documents, a stream of HTML data representing output from a Web application, DTHML documents, XML documents or streams, etc.
At least one DNS server 126 is coupled to internetwork 120 and is accessible to client 100, router 104, servers 110A, 110B, 112, 122, 124 through the network. DNS server 126 is an element of the Domain Name Service of the Internet, and can receive requests to determine ("resolve") a symbolic or textual host name into an IP address of a computer associated with the host name. Numerous DNS servers may be distributed throughout the internetwork 120 and other elements of FIG. 1A. Each DNS server has a database that associates host names to IP addresses and other information, and periodically receives updates from a master DNS database located elsewhere in the network. Operation of the DNS system is described further in numerous publications, including, for example, D. Corner, "Computer Networks and Internets" (Prentice Hall, 1997), Chap. 24, "Naming With the Domain Name System."
The configuration of elements in FIG. 1A is provided as one example of a hypothetical network with which embodiments may be practiced. In a practical system, any number of clients, servers, routers, and other network elements may be interconnected in any conventional manner to form a network of any topology.
In this configuration, client 100 may request one or more resources that are served by content server 124 by sending an appropriate request through the network. In one embodiment, the request is an HTTP request that includes a URL of the requested resource. An application program of the client or an associated server creates and sends a DNS query to resolve the hostname portion of the URL into an IP address. The program or server then connects to the server and requests the resource. In some embodiments, if either cache server 112 or cache server 122 has the requested resource, one of them responds by delivering the resource.」(3?4欄)

訳文(ハ.)「図1Aは、実施形態が実行されうるネットワーク・システムのブロック・ダイヤグラムである。
クライアント100は、ブラウザ102を実行し、ルーター104に結合する。クライアント100は、パーソナル・コンピュータ、ワークステーション、パーソナル・デジタル・アシスタント、携帯電話等の任意のネットワーク・エンド・ステーション装置である。ブラウザ102は、ウェブ書類やデータ・ストリーム等の、ネットワーク資源をリクエスト、受領、解釈および表示できる1つ以上のソフトウェア要素を含む。ブラウザ102の例は、マイクロソフト・インターネット・エクスプローラー、ネットスケープ・コミュニケーター、マイクロブラウザ等を含む。
ルーター104は、ローカル・エリア・ネットワーク106にクライアント100を結合し、カリフォルニア州サンホセのシスコ・システムズから商業的に利用可能なタイプのコンピュータ・ベースのデータ・ルーティング装置を含む。ネットワーク106は、企業又はキャンパスに対してローカルなネットワークを形成するルーターおよびスイッチ等の、1つ以上のエンド・ステーションおよびネットワーク装置を含む。付加的に、または代替的に、負荷分散ルーター108は、サーバ110A、1110B等の1つ以上にローカル・エリア・ネットワーク106を結合する。サーバの1つは、キャッシュ・サーバ112によって示されるように、ネットワーク資源をローカルにキャッシュする。
インターネットワーク120は、外部資源にローカル・エリア・ネットワーク106を結合する1つ以上のネットワークを含み、第2ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、インターネットとして知られるインターネットワーク等を含みうる。キャッシュ・サーバ122およびコンテンツ・サーバ124は、クライアント100またはサーバ110A、110B、112にインターネットワークおよびローカル・エリア・ネットワーク106にわたってコンテンツを送達するためにインターネットワーク120に結合されうる。この文脈において、「コンテンツ」は、HTML文書、ウェブ・アプリケーションからのアウトプットを示すHTMLデータのストリーム、DTHML文書、XML文書またはストリーム等を含むがそれらに限定されない任意の電子文書またはデータ・ストリームを指すことを広く指す。
少なくとも1つのDNSサーバ126は、インターネットワーク120に結合され、ネットワークを通してクライアント100、ルーター104、サーバ110A、110B、112、122、124にアクセス可能である。DNSサーバ126は、インターネットのドメイン・ネーム・サービスの要素であり、ホスト・ネームに関連するコンピュータのIPアドレスへとシンボリックまたはテキストのホスト・ネームを決定するリクエストを受領できる。多くのDNSサーバは、インターネット120および図1Aの他の要素全体に分配されうる。個々のDNSサーバは、IPアドレスおよび他の情報にホスト・ネームを関連付け、ネットワークの至る所に位置するマスターDNSデータベースからのアップデートを周期的に受信するデータベースを有する。DNSシステムの操作は、例えば、D.Corner「コンピューター・ネットワークとインターネット」(Prentice Hall, 1997)、チャプター24、「ドメイン・ネーム・システムで名付ける」を含む多くの出版物においてさらに記載される。
図1Aにおける要素のコンフィギュレーションは、実施形態が実施されうる仮定的なネットワークの1つの例として提供される。実用的なシステムにおいて、任意の数のクライアント、サーバ、ルーター、および他のネットワークの要素は、任意のトポロジーのネットワークを形成するために任意の従来の態様で相互接続されうる。
このコンフィギュレーションにおいて、クライアント100は、ネットワークを通して適切なリクエストを送ることによってコンテンツ・サーバ124によって供給される1つ以上の資源をリクエストする。1つの実施形態において、リクエストは、リクエストされる資源のURLを含むHTTPリクエストである。関連するサーバまたはクライアントの適用プログラムは、IPアドレスへとURLのホストネーム部分を決定するためにDNSクエリを作り送る。その後、プログラムまたはサーバは、サーバに接続し、資源をリクエストする。いくつかの実施形態において、キャッシュ・サーバ112またはキャッシュ・サーバ122のいずれかが、リクエストされる資源を有する場合、それらの1つが、資源を送達することにより応答する。」

ニ.「FIG. 2A is a flow diagram illustrating an exemplary method of retrieving a network resource.
In block 202, a client requests a page from a content server. For example, client 100 sends an HTTP request for a particular Web page to content server 124. In this context, "page" is used broadly to refer to any electronic document or data stream. Examples include an HTML document, a stream of HTML data representing output from a Web application, DTHML documents, XML documents or streams, etc. In block 204, the requested page is retrieved from the content server and stored in a cache. For example, content server 124 passes the requested page to cache server 122, which stores the page in its cache.
In block 206, the cache server delivers the requested page to the client. Concurrently with block 206 or serially after block 206, in block 208, the cache server parses the page to identify one or more embedded hostnames. In one embodiment, block 208 involves parsing source code of the page to identify embedded URLs. The embedded URLs may comprise HTML image tags and associated URLs, applet tags that identify a codebase, object tags that identify a codebase, data, and class id, embed tags and URLs, etc. Additionally or alternatively, the cache server may parse the page to identify all URLs that are present in the page.
In block 210, the cache server issues a DNS request to determine the network address of each embedded hostname that was identified in block 208. Block 210 may involve issuing conventional DNS queries to the network in order to receive an IP address associated with each of the hostnames.
In block 212, the cache server substitutes a network address for each embedded hostname that was identified in block 208. Block 212 may involve creating and storing an HTML file comprising a copy of the page from the content server, in which one of the resolved IP addresses is written in the file in place of each hostname of an embedded URL.
In block 214, the cache server stores the modified page in the cache for use in response to future requests, without the need for hostname resolution. For example, the complete page is stored, e.g., in storage 134, after IP addresses are substituted for all hostnames of embedded URLs. Thereafter, when the cache server delivers the modified page to a client, the client does not need to resolve the IP address of the hostname of any embedded URL. Accordingly, page display time and the number of network messages are reduced.」(5欄)

訳文(ニ.)「図2Aは、ネットワーク資源の検索の例示的な方法を説明するフロー・ダイヤグラムである。
ブロック202において、クライアントは、コンテンツ・サーバからページをリクエストする。例えば、クライアント100は、コンテンツ・サーバ124に特定のウェブ・ページについてのHTTPリクエストを送る。このコンテキストにおいて、任意の電子文書またはデータ・ストリームを参照するために「ページ」は広く使用される。例えば、HTML文書、ウェブ・アプリケーションからの出力を表すHTMLデータのストリーム、DTHML文書、XML文書またはストリーム等を含む。ブロック204において、リクエストされたページは、コンテンツ・サーバから検索され、キャッシュに保存される。例えば、コンテンツ・サーバ124は、キャッシュにおいて、ページを保存するキャッシュ・サーバ122にリクエストされたページをパスする。
ブロック206において、キャッシュ・サーバは、リクエストされたページを、クライアントに送る。ブロック206と同時に、またはブロック206の後に順次に、ブロック208において、キャッシュ・サーバは、1つ以上の埋め込まれたホストネームを識別するために、ページを解析する。1つの実施形態では、ブロック208は、埋め込まれたURLを識別するためのページのソース・コードの解析を伴う。埋め込まれたURLは、HTMLイメージ・タグおよび関連するURL、コードベースを識別するアプレット・タグ、コードベースを識別するオブジェクト・タグ、クラスid、埋め込まれたタグおよびURL等を含みうる。付加的に、または代替的に、キャッシュ・サーバは、ページに存在する全てのURLを識別するためにページを解析しうる。
ブロック210において、キャッシュ・サーバは、ブロック208において識別された個々の埋め込まれたホスト・ネームのネットワーク・アドレスを決定するためにDNSリクエストを発行する。ブロック210は、個々のホストネームに関連するIPアドレスを受信するためにネットワークに従来のDNSクエリを発行することを伴いうる。
ブロック212において、キャッシュ・サーバは、ブロック208において識別された個々の埋め込まれたホストネームについてのネットワーク・アドレスを置き換える。ブロック212は、コンテンツ・サーバからのページのコピーを含むHTMLファイルの作成および保存を伴いうる。そこで決定されたIPアドレスの1つが、埋め込まれたURLの個々のホストネームの代わりにファイルに書き込まれる。
ブロック214において、キャッシュ・サーバは、ホストネーム決定の必要なく、将来のリクエストに応答した使用のためにキャッシュにおいて修正されたページを保存する。例えば、完全なページは、IPアドレスが、埋め込まれたURLの全てのホストネームについて置き換えられた後に、例えば、ストレージ134において、保存される。その後、キャッシュ・サーバが、クライアントに修正されたページを送る場合、クライアントは、いかなる埋め込まれたURLのホストネームのIPアドレスも決定する必要が無い。したがって、ページ表示時間およびネットワーク・メッセージの数は、減少する。」

上記刊行物1の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記イ.における「本発明は、ネットワーク資源の検索を最適化するための方法および装置に関係する。」との記載、上記ハ.における「インターネットワーク120は、外部資源にローカル・エリア・ネットワーク106を結合する1つ以上のネットワークを含み、第2ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、インターネットとして知られるインターネットワーク等を含みうる。キャッシュ・サーバ122およびコンテンツ・サーバ124は、クライアント100またはサーバ110A、110B、112にインターネットワークおよびローカル・エリア・ネットワーク106にわたってコンテンツを送達するためにインターネットワーク120に結合されうる。・・・少なくとも1つのDNSサーバ126は、インターネットワーク120に結合され、ネットワークを通してクライアント100、ルーター104、サーバ110A、110B、112、122、124にアクセス可能である。」との記載、及び図1Aによれば、刊行物1のネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、インターネットワーク(120)に結合されるキャッシュ・サーバ(122)を配備している。
また、上記ニ.における「ブロック206において、キャッシュ・サーバは、リクエストされたページを、クライアントに送る。」との記載、及び図2Aによれば、刊行物1のネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、キャッシュ・サーバが、リクエストされたページをクライアントに送っている。
また、上記ニ.における「ブロック208において、キャッシュ・サーバは、1つ以上の埋め込まれたホストネームを識別するために、ページを解析する。1つの実施形態では、ブロック208は、埋め込まれたURLを識別するためのページのソース・コードの解析を伴う。」との記載、及び図1A、2Aによれば、刊行物1のネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、キャッシュ・サーバが、1つ以上の埋め込まれたホストネームを識別するために、LANからルータを通して接続されている、ページをリクエストしたクライアントに送られたページを解析し、埋め込まれたURLを識別している。
そうすると、ネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、キャッシュ・サーバ(122)によって、LANからルータを通して接続されている、ページをリクエストしたクライアントに送られたページを解析することと、識別されたページに埋め込まれた各URLを識別することと、を備えているということができる。
また、上記ニ.における「ブロック210において、キャッシュ・サーバは、ブロック208において識別された個々の埋め込まれたホスト・ネームのネットワーク・アドレスを決定するためにDNSリクエストを発行する。ブロック210は、個々のホストネームに関連するIPアドレスを受信するためにネットワークに従来のDNSクエリを発行することを伴いうる。」との記載、及び図2Aによれば、刊行物1のネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、埋め込まれた各URLに関連付けられたIPアドレスを決定することを備えているということができる。
上記ニ.における「ブロック212において、キャッシュ・サーバは、ブロック208において識別された個々の埋め込まれたホストネームについてのネットワーク・アドレスを置き換える。ブロック212は、コンテンツ・サーバからのページのコピーを含むHTMLファイルの作成および保存を伴いうる。そこで決定されたIPアドレスの1つが、埋め込まれたURLの個々のホストネームの代わりにファイルに書き込まれる。ブロック214において、キャッシュ・サーバは、ホストネーム決定の必要なく、将来のリクエストに応答した使用のためにキャッシュにおいて修正されたページを保存する。例えば、完全なページは、IPアドレスが、埋め込まれたURLの全てのホストネームについて置き換えられた後に、例えば、ストレージ134において、保存される。」との記載、及び図2Aによれば、刊行物1のネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、キャッシュ・サーバが、ブロック208において識別された個々の埋め込まれたURLをIPアドレスに置き換え、将来のリクエストに応答した使用のためにキャッシュにおいて修正されたページを保存している。ここで、上記ニ.における「その後、キャッシュ・サーバが、クライアントに修正されたページを送る場合、クライアントは、いかなる埋め込まれたURLのホストネームのIPアドレスも決定する必要が無い。」との記載によれば、ネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、埋め込まれたURLを決定されたIPアドレスに置き換えているから、キャッシュ・サーバが、ホストへの接続を確立するために、埋め込まれた各URLを決定されたIPアドレスに置き換えて修正されたページを、将来のリクエストに応答して将来のリクエストをしたクライアントへ送っていることが読み取れる。
そうすると、ネットワーク資源の検索を最適化するための方法は、ホストへの接続を確立するために、クライアントによって使用されるための、埋め込まれた各URLを決定されたIPアドレスに置き換えて修正されたページを、将来のリクエストに応答して将来のリクエストをしたクライアントへ送ることを備えているということができる。

したがって、上記刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「ネットワーク資源の検索を最適化するための方法であって、
インターネットワーク(120)に結合されるキャッシュ・サーバ(122)を配備することと、
前記キャッシュ・サーバ(122)によって、LANからルータを通して接続されている、ページをリクエストしたクライアントに送られたページを解析することと、
前記解析されたページに埋め込まれた各URLを識別することと、
前記埋め込まれた各URLに関連付けられたIPアドレスを決定することと、
リクエストされたページを、前記ページをリクエストしたクライアントに送ることと、
ホストへの接続を確立するために、将来のリクエストをしたクライアントによって使用されるための、前記埋め込まれた各URLを決定されたIPアドレスに置き換えて修正されたページを、将来のリクエストに応答して前記将来のリクエストをしたクライアントへ送ることと、
を備える方法。」

B 原査定の拒絶の理由に引用されたSiva Veerepalli,他,PDSN as a proxy DNS Server,X31-20040209-019 QCOM DNS_discovery_recommendation.doc,2004年 2月 9日,URL,ftp://ftp.3gpp2.org/TSGX/Working/2004/2004-02/TSG-X-2004-02-Seoul/WG3-PSN/SWG31-PDS/X31-20040209-019%20QCOM%20DNS_discovery_recommendation.doc(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「Proposals

This contribution proposes a method for configuring a default DNS server address, which could be overridden when a DNS server address is obtained through a standardized means in the future.

Once PPP link is established with IPv6CP, the MS shall configure the link-local address of the PDSN as the DNS server address. When the MS uses a standardized means of obtaining the DNS server address, the MS shall over-ride the currently configured DNS server address (link local address of the PDSN) with the newly obtained DNS server address.

The PDSN shall provide proxy DNS server function. The PDSN shall forward the DNS queries to a DNS server whose address is configured locally on the PDSN. The PDSN shall be configured with at least one DNS server address.」

訳文(イ.)「提案
この寄稿はデフォルトDNSサーバアドレスを設定するための方法を提案し、DNSサーバアドレスが将来標準化された手段を通じて取得される場合無視されうるであろう。

いったんPPPリンクがIPv6CPにより構築されると、MSはDNSサーバアドレスとしてPDSNのリンクローカルアドレスを設定すべきである。MSがDNSサーバアドレスを取得する標準化された手段を使うとき、MSは現在設定されたDNSサーバアドレス(PDSNのリンクローカルアドレス)を新しく取得されたDNSサーバアドレスにともなって無視すべきである。

PDSNはプロキシDNSサーバ機能を提供すべきである。PDSNはPDSNにローカルに設定されたアドレスのDNSサーバへDNSクエリを転送すべきである。PDSNは少なくとも一つのDNSサーバアドレスに設定されるべきである。」

上記刊行物2の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記イ.の記載によれば、刊行物2のPDSNは、プロキシDNSサーバ機能を提供することが読み取れる。

したがって、上記刊行物2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「PDSNは、プロキシDNSサーバ機能を提供すること。」

(2)対比
補正発明と引用発明1とを対比する。
a.引用発明1の「インターネットワーク(120)に結合されるキャッシュ・サーバ(122)を配備すること」と、補正発明の「ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイスを配備すること」とは、後述する相違点を除いて、「特定のネットワーク上に、特定のネットワーク装置を配備すること」という点で一致する。
b.引用発明1の「前記キャッシュ・サーバ(122)によって、LANからルータを通して接続されている、ページをリクエストしたクライアントに送られたページを解析すること」と、補正発明の「前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイスに送信された1または複数のデータ・パケットを検査すること」とは、後述する相違点を除いて、「前記特定のネットワーク装置によって、クライアント・デバイスに送信されたデータを検査すること」という点で一致する。
c.引用発明1の「前記解析されたページ」と、補正発明の「前記検査されたデータ・パケット」とは、後述する相違点を除いて、「前記検査されたデータ」という点で一致する。
d.引用発明1の「前記埋め込まれたURLに関連付けられたIPアドレスを決定すること」は、補正発明の「前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決すること」ということができる。
e.引用発明1の「リクエストされたページを、前記ページをリクエストしたクライアントに送ること」と、補正発明の「前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信すること」とは、後述する相違点を除いて、「前記検査されたデータを、前記クライアント・デバイスへ送信すること」という点で一致する。
f.引用発明1の「ホストへの接続を確立するために、将来のリクエストをしたクライアントによって使用されるための、前記埋め込まれた各URLを決定されたIPアドレスに置き換えて修正されたページを、将来のリクエストに応答して前記将来のリクエストをしたクライアントへ送ること」と、補正発明の「前記検査されたデータ・パケットで識別されたホスト・デバイスへの接続を確立するために、前記クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して、前記クライアント・デバイスへ送信すること」とは、後述する相違点を除いて、「ホスト・デバイスへの接続を確立するために、クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスを、クライアント・デバイスへ送信すること」という点で一致する。
g.引用発明1の「ネットワーク資源の検索を最適化するための方法」は、「通信のための方法」ということができる。

したがって、補正発明と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違している。

<一致点>
「通信のための方法であって、
特定のネットワーク上に、特定のネットワーク装置を配備することと、
前記特定のネットワーク装置によって、クライアント・デバイスに送信されたデータを検査することと、
前記検査されたデータに埋め込まれた1または複数のホスト・デバイス・ネームを識別することと、
前記1または複数の埋め込まれたホスト・デバイス・ネームに関連付けられたIPアドレスを解決することと、
前記検査されたデータを、前記クライアント・デバイスへ送信することと、
ホスト・デバイスへの接続を確立するために、クライアント・デバイスによって使用されるための、前記解決された関連付けられたIPアドレスを、クライアント・デバイスへ送信することと、
を備える方法。」

<相違点1>
一致点の「特定のネットワーク上に、特定のネットワーク装置」に関し、
補正発明は、「ラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)とコアIPネットワークとを接続するパケット・データ・サービス提供ノード(PDSN)ゲートウェイ上に、前記RANと前記コアIPネットワークとの間に接続されるドメイン・ネーム・システム(DNS)プロキシ・デバイス」であるのに対し、引用発明1は、「インターネットワーク(120)に結合されるキャッシュ・サーバ(122)」である点。

<相違点2>
一致点の「前記特定のネットワーク装置によって、クライアント・デバイス」に関し、
補正発明は、「前記プロキシ・デバイスによって、前記コアIPネットワークから、複数のラジオ・リンク・フローを通して、前記RANに接続されているモバイル・クライアント・デバイス」であるのに対し、引用発明1は、「前記キャッシュ・サーバ(122)によって、LANからルータを通して接続されている、ページをリクエストしたクライアント」である点。

<相違点3>
一致点の「前記検査されたデータを、前記クライアント・デバイスへ送信する」ことに関し、
補正発明は、「前記検査されたデータ・パケットを、前記クライアント・デバイスへ送信する」のに対し、引用発明1は、「リクエストされたページを、前記ページをリクエストしたクライアント」に送り、「修正されたページ」を、「将来のリクエストをしたクライアント」へ送る点。

<相違点4>
一致点の「前記解決された関連付けられたIPアドレス」を、「送信する」ことに関し、
補正発明は、「前記解決された関連付けられたIPアドレスと前記1または複数のホスト・デバイス・ネームとを、前記検査されたデータ・パケットと独立して」、「送信する」のに対し、引用発明1は、「前記埋め込まれた各URLを決定されたIPアドレスに置き換えて修正されたページを」、「送る」点。

(3)判断
そこで、まず、上記相違点3及び4についてまとめて検討する。
補正発明は、「モバイル・デバイス・クライアント」が「複数のラジオ・リンク・フロー」を通して「RAN」に接続された構成を前提として、本願明細書【0003】の「しかしながら、ラジオ・アクセス・ネットワークによってIPネットワークへ接続されたモバイル・デバイスの場合、ホスト・ネーム解決は、狭い帯域幅、高いラジオ・リンク伝搬レイテンシ、高いパケット誤り率によるデータ再送信、および、無線通信環境に起因するその他の要因によって、顕著な通信遅れを加える。したがって、無線通信システムにおけるDNS解決手順を改善する必要がある。」という課題を解決するために、検査されたデータ・パケットとその差分であるIPアドレスとホスト・デバイス・ネームを独立して送信し、「モバイル・クライアント・デバイス」が「ラジオ・リンク・フロー」を通してDNS解決処理を繰り返す必要がないように構成している。一方、引用発明1は、「クライアント」が「ルータ」を介して有線で「LAN」に接続されることを前提とし、刊行物1の上記ロ.における「ネットワーク資源の修正されたコピーは、ネットワーク資源についての全てのその後のクライアントのリクエストに応答する際に使用され、それによってリクエストされるネットワーク・アドレス検索動作の数を大いに減らす。」ことを課題として、初回のリクエストで各URLをIPアドレスに置き換えた修正ページを生成しておき、将来のリクエストをしたクライアントに対して当該修正ページを送り、コンテンツである同一ページのDSN解決の回数を低減する構成としている。よって、両者はDNS解決の回数を低減する点で類似性はあるものの、「クライアント・デバイス」が「DNS」にアクセスするための前提となる構成が相違し、そのため発明の課題も異なっており、引用発明1を補正発明の相違点3及び4のように構成する動機付けがそもそも存在しない。したがって、引用発明1から、補正発明の相違点3及び4に係る発明特定事項を導き出すことはできない。

次に、上記相違点1について検討する。
上記「(1)刊行物の記載事項」の項Bのとおり、「PDSNは、プロキシDNSサーバ機能を提供すること。」との引用発明2が記載されている。しかしながら、引用発明1の「キャッシュ・サーバ(122)」は、刊行物1の図1Aの記載に見られるようにコンテンツ・サーバ(124)に関連してインターネットワーク(120)に結合して配備され、クライアントのリクエストに応答する際に使用されることに技術上の意義があるものである。よって、「キャッシュ・サーバ(122)」を、引用発明2のように、PDSN上に配備することには阻害要因があるから、補正発明の相違点1に係る発明特定事項は、引用発明1及び2に基づいて、当業者が容易に発明することができたとはいえない。

したがって、補正発明は、上記相違点2について検討するまでもなく、引用発明1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

また、請求項2?7は、請求項1を引用する従属項であり、補正発明の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記補正発明に対する理由と同じ理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項9は、請求項1の「方法」のカテゴリーを「通信システム」としたものであり、補正発明の発明特定事項を含むから、上記補正発明に対する理由と同じ理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項10?16は、請求項9を引用する従属項であり、請求項9の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記補正発明に対する理由と同じ理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項17は、請求項1の「方法」のカテゴリーを「コンピュータ読取可能な記憶媒体」としたものであり、補正発明の発明特定事項を含むから、上記補正発明に対する理由と同じ理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項18?24は、請求項17を引用する従属項であり、請求項17の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記補正発明に対する理由と同じ理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項25は、請求項1の「方法」のカテゴリーを「PDSNゲートウェイ」としたものであり、補正発明の発明特定事項を含むから、上記補正発明に対する理由と同じ理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項26?32は、請求項25を引用する従属項であり、請求項25の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記補正発明に対する理由と同じ理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3.むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?32に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲1?32に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-09-21 
出願番号 特願2012-546166(P2012-546166)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 速水 雄太上田 翔太森田 充功  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 中野 浩昌
萩原 義則
発明の名称 プリエンプティブ(preemptive)なDNS解決のためのシステムおよび方法  
代理人 奥村 元宏  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 井関 守三  

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