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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1319877
審判番号 不服2015-9819  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-27 
確定日 2016-09-29 
事件の表示 特願2012- 29387「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月29日出願公開、特開2013-165762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年2月14日の出願であって、平成26年5月1日付けで拒絶の理由が通知され、平成26年7月9日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成27年3月31日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成27年5月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成27年5月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年5月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
所定の操作手段と、
遊技の進行を遅延させる遅延期間を制御する遅延期間制御手段と、
前記遅延期間の制御に関する条件が充足されたか否かを判定する判定手段と、
演出手段と、
前記演出手段を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遅延期間制御手段は、
第一の条件が充足されたことに基づいて前記遅延期間を設定し、
前記判定手段は、
前記遅延期間に含まれる判定期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて、第二の条件が充足されたか否かを判定するものであり、
前記遅延期間制御手段は、
前記判定期間において前記第二の条件が充足された場合には、前記判定期間において前記第二の条件が充足されなかった場合よりも前記遅延期間が長くなるように前記遅延期間を制御するものであり、
前記演出制御手段は、
前記判定期間において、前記第二の条件を充足させるための操作を促す第一の演出を少なくとも行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定された場合には、前記第一の演出とは異なる第二の演出を行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定されなかった場合には、前記第二の演出を行わせないものであり、
前記判定期間は、
前記遅延期間が設定されてから第一の期間が経過した後の期間であることを特徴とする遊技台。」
から、
「【請求項1】
所定の操作手段と、
遊技の進行を遅延させる遅延期間を制御する遅延期間制御手段と、
前記遅延期間の制御に関する条件が充足されたか否かを判定する判定手段と、
演出手段と、
前記演出手段を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遅延期間制御手段は、
第一の条件が充足されたことに基づいて前記遅延期間を設定し、
前記判定手段は、
前記遅延期間に含まれる判定期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて、第二の条件が充足されたか否かを判定するものであり、
前記遅延期間制御手段は、
前記判定期間において前記第二の条件が充足された場合には、前記判定期間において前記第二の条件が充足されなかった場合よりも前記遅延期間が長くなるように前記遅延期間を制御するものであり、
前記演出制御手段は、
前記判定期間において、前記第二の条件を充足させるための操作を促す第一の演出を少なくとも行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定された場合には、前記第一の演出とは異なる第二の演出を行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定されなかった場合には、前記第二の演出を行わせないものであり、
前記判定期間は、
前記遅延期間が設定されてから第一の期間が経過した後の期間であり、
前記遅延期間制御手段は、
前記第一の期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて前記遅延期間を変化させることがないものであることを特徴とする遊技台。」

に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「遅延期間制御手段」に関して「前記第一の期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて前記遅延期間を変化させることがないものであ」る点を限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2010-233666号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(1-a)「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のようなスロットマシンでは、フリーズ状態の時間延長が遊技者の意思とは関係なく行われるうえ、フリーズ状態で遊技者が何の操作も行えず、待っているだけでは遊技者の遊技時間を無駄にしてしまうので、フリーズ状態の時間延長の是非について遊技者の意思が反映されるとともに、フリーズ状態が遊技者にさらに有意義なものとなるようにしたい、という要望がある。
【0009】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した背景技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フリーズ状態の時間延長の是非について遊技者の意思が反映されるとともに、フリーズ状態が遊技者にとってさらに有意義なものとなるスロットマシンを提供することである。」

(1-b)「【0041】
また、演出制御手段22は、フリーズ制御手段100 によってスタートスイッチ30等のスイッチ類の操作が無効にされ、スロットマシン1がフリーズ状態になった際に、演出手段である液晶表示装置66A に所定の演出動作を実行させるものである。
すなわち、演出制御手段22には、開始から終了までに所定の演出時間を要する演出動作を液晶表示装置66A に行わせるために必要な演出動作実行データである動画データが記憶されている。
そして、演出制御手段22は、記憶している動画データに基づいて液晶表示装置66A の動作を制御する、換言すると、記憶している動画データが形成する動画を液晶表示装置66A の画面に表示させることにより、液晶表示装置66A に所定の演出動作である演出動画表示を行わせるものである。
【0042】
ここで、フリーズ制御手段100 は、スロットマシン1にフリーズ状態を開始させた場合、フリーズ状態の開始から予め定められた所定のフリーズ時間Tが経過すると、スロットマシン1をフリーズ状態から解除して遊技を再開させるようになっている。
また、フリーズ制御手段100 は、スロットマシン1のフリーズ状態を延長する機能をも有している。ここで、スロットマシン1のフリーズ状態は、フリーズ制御手段100 によって延長されると、開始からフリーズ時間Tが経過した後、さらに延長時間eが経過すると解除されるようになっている。
一方、液晶表示装置66A に表示される演出動画表示を一回行うのに要する時間、換言すると、一回分の演出動画表示の開始から終了までに要する演出時間の値は、フリーズ時間Tよりも大きく、且つ、フリーズ時間Tに延長時間eを加えた値に等しくなるように設定されている。これにより、液晶表示装置66A は、フリーズ状態が延長されない場合は、一回分の演出動画表示を途中まで実行し、フリーズ状態が延長された場合には、一回分の演出動画表示を最後まで実行するように形成されている。」

(1-c)「【0043】
(フリーズ制御手段100)
フリーズ制御手段100 は、フリーズ状態で演出を行うフリーズ演出機能と、フリーズ状態でATゲームの遊技回数nを変更する遊技を行うフリーズ遊技機能とを備えものとなっている。
すなわち、フリーズ制御手段100 には、図3に示すように、スタートスイッチ30等のスイッチ類の操作を無効にして、スロットマシン1をフリーズ状態にするとともに、このフリーズ状態で液晶表示装置66A を作動させて演出を行うフリーズ演出制御部110 と、所定の条件でATゲームの遊技回数nを変更する一種の遊技を行うフリーズ遊技制御部120 とが設けられている。
【0044】
フリーズ演出制御部110 は、当否抽選手段による当否抽選で所定の当選役に当選した際に成立した当選フラグが、その後の遊技に持ち越された状態において、遊技者が予め定められた所定の操作を行うと、これを検出し、スロットマシン1をフリーズ状態にするとともに、演出制御手段22を通じて液晶表示装置66A に所定の演出動画表示を表示させるものである。
ここで、予め定められた所定の操作の操作対象としては、少なくともベットスイッチ16、スタートスイッチ30、及び、ストップスイッチ50のいずれか一つが採用される。本実施形態では、このうち、スタートスイッチ30及びベットスイッチ16が採用され、さらに、これらに加えて、メダル投入口18にメダルを投入するメダル投入操作が採用されている。なお、ベットスイッチ16の操作及びメダル投入口18へのメダルの投入操作を、まとめて「メダルのベット操作」という。
【0045】
このようなフリーズ演出制御部110 には、遊技者による所定の操作によって、計時動作を開始するとともに、計時している計時値が予め定められた上限値に達すると計時動作を終了する計時手段111 と、この計時手段111 が計時動作を行っている間、予め無効にするものとして設定された操作によって出力される信号を遮断する操作凍結手段としての操作無効手段112 とが設けられている。
【0046】
このうち、計時手段111 は、スタートスイッチ30の操作の際にスタートスイッチ30から送信されるるスタート信号と、メダルのベットがなされた際に、通常遊技制御手段70から送信されるメダルベット信号と、当否抽選において遊技回数nが2回のATゲームに当選することで成立する当選フラグであるATフラグの状態を示す信号であって、通常遊技制御手段70から送信されるフラグ状態信号とを受信するように形成されている。
そして、計時手段111 は、ATフラグが持ち越された状態、すなわち、以前の遊技における当否抽選で当選したATゲームのATフラグが成立している状態で、メダルの投入、ベットスイッチ16の操作、及び、スタートスイッチ30の操作のいずれか一つがなされたことを契機として計時動作を開始するものである。そして、計時手段111 は、計時動作を終了すべき計時値の上限値として、前述のフリーズ時間Tが設定されたものであり、換言すると、計時値がフリーズ時間Tに達すると計時動作を終了するように形成されている。」

(1-d)「【0050】
延長抽選手段121 は、スタートスイッチ30が操作されると発信するスタート信号と、計時中に計時手段111 が発信する計時中信号とを受信するように形成され、これにより、スタートスイッチ30が操作されたこと、及び、計時手段111 が計時動作中であることの両方を検知できるようになっている。
そして、延長抽選手段121 は、計時手段111 が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30が操作されたことを契機として、計時手段111 の計時動作時間を延長するか否かの延長抽選を行い、この延長抽選で計時動作時間を延長する旨の抽選結果を引き当てた場合、計時手段111 へ延長信号を出力するように形成されている。
なお、本実施形態では、延長抽選手段121 の延長抽選を実行する契機として、スタートスイッチ30の操作を採用したが、これに限らす、必要に応じて、ベットスイッチ16の操作及びストップスイッチ50の操作を延長抽選を実行する契機として採用してもよい。
ここで、計時手段111 は、計時動作を行っている間に延長抽選手段121 から延長信号を受信すると、計時動作の動作時間が延長され、計時している計時値が上限値であるフリーズ時間Tを超過しても、フリーズ時間Tに所定の延長値である延長時間eを加えた値に達するまで、計時動作を継続して行うように形成されている。
【0051】
計時開始手段122 は、当否抽選手段90による当否抽選で所定の当選役、具体的には、遊技回数nが2回のATゲームに当選すると、計時開始指令信号を計時手段111 へ送信するものとなっている。計時手段111 は、計時開始手段122 から計時開始指令信号を受信すると、計時動作を開始させ、操作無効手段112 にベットスイッチ16、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作を無効にさせるようになっている。
換言すると、計時開始手段122 は、遊技回数nが2回のATゲームに当選したことを契機に、操作無効手段112 にベットスイッチ16、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作を無効にさせるため、すなわち、スロットマシン1をフリーズ状態にするために、計時手段111 に計時動作を開始させるものである。」

(1-e)「【0061】
続いて、前述の遊技制御処理におけるステップS1000の開始時フリーズ演出処理について、図5を参照しながら、さらに詳しく説明する。
まず、図5に示すように、ステップS1100において、メダルのベット操作がなされたか否かが判定される。そして、このステップS1100で、メダルのベット操作がなされたと判定された場合、次のステップS1150へ進む。
一方、ステップS1100で、メダルのベット操作がなされたと判定されなかった場合、メダルのベット操作がなされるまで、ステップS1100を繰り返し行う。
【0062】
ステップS1150では、当否抽選において遊技回数nが2回のATゲームに当選することで成立したATフラグが持ち越された状態にあるか否か、要するに、ATフラグが成立状態であるか否か判定される。
ステップS1150でATフラグが成立状態であると判定されなかった場合、開始時フリーズ演出は行われず、そのまま、本開始時フリーズ演出処理は、終了する。
一方、ステップS1150でATフラグが成立状態であると判定された場合、次のステップS1200へ進む。
ステップS1200では、計時手段111 に計時を開始させる計時開始処理を行う。これにより、操作無効手段112 によってベットスイッチ16、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作を無効する操作無効処理が開始され、スロットマシン1がフリーズ状態になったら、次のステップS1300に進む。
【0063】
ステップS1300では、スタートスイッチ30の操作がなされたか否かが判定される。そして、このステップS1300で、スタートスイッチ30の操作がなされたと判定された場合、次のステップS1400へ進む。
一方、ステップS1300で、スタートスイッチ30の操作がなされたと判定されなかった場合、ステップS1700へジャンプする。
【0064】
ステップS1400では、延長抽選手段121 に延長抽選を行わせる延長抽選処理を行う。この延長抽選処理が終了したら、次のステップS1500に進む。
ステップS1500では、ステップS1400の延長抽選で延長する旨の抽選結果が得られた否かが判定される。そして、このステップS1500で、延長する旨の抽選結果が得られたと判定された場合、次のステップS1600へ進む。
一方、ステップS1500で、延長する旨の抽選結果が得られたと判定されなかった場合、ステップS1700へジャンプする。
【0065】
ステップS1600では、操作無効手段112 による操作無効処理の継続時間を延長する操作無効延長処理を行う。具体的に説明すると、ステップS1600では、計時手段111 の計時動作の上限値であるフリーズ時間Tに延長時間eを加え、計時手段111 の計時動作時間を延長し、これにより、操作無効処理の継続時間、すなわち、フリーズ状態の継続時間を延長する。この操作無効延長によって操作無効処理の継続時間が延長されたら、次のステップS1700に進む。
【0066】
ステップS1700では、計時手段111 の計時値tがフリーズ時間Tに達したか否かが判定される。そして、このステップS1700で、計時値tがフリーズ時間Tに達したと判定された場合には、次のステップS1800へ進む。
一方、ステップS1700で、計時値tがフリーズ時間Tに達していないと判定された場合、ステップS1300へ戻る。
ステップS1800では、計時手段111 に計時を終了させる計時終了処理を行い、操作無効手段112 による操作無効処理を終了させる。これにより、ベットスイッチ16、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作が有効となり、スロットマシン1のフリーズ状態が解除され、以上により、開始時フリーズ演出処理が終了する。」

(1-f)段落【0042】、【0043】から、スロットマシン1は、スイッチ類の操作を無効にして、スロットマシン1をフリーズ状態にするとともに、フリーズ状態を開始させた場合、所定のフリーズ時間Tが経過すると、フリーズ状態から解除して遊技を再開させるとともに、フリーズ状態を延長する機能を有するフリーズ制御手段100を備えているといえる。

(1-g)段落【0043】からフリーズ制御手段100には、フリーズ演出制御部110とフリーズ遊技制御部120とが設けられ、段落【0045】から、フリーズ演出制御部110には計時手段111が設けられているから、フリーズ制御手段110には、計時手段111が設けられているといえる。

(1-h)段落【0043】、【0046】、【0061】、【0062】、図5から、フリーズ制御手段100は、メダルのベット操作がなされ(S1100)、当否抽選において遊技回数nが2回のATゲームに当選することで成立したATフラグが持ち越された状態にあると判定された場合に(S1150)、フリーズ状態にするとともに、計時手段111にはフリーズ時間Tが設定されて、計時手段111が計時動作を開始し(S1200)ているといえる。

(1-i)段落【0050】、【0063】?【0066】、図5から、フリーズ制御手段100は、計時手段111が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30の操作がなされたと判定されると(S1300)、延長抽選処理を行い(S1400)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定された場合に(S1500)、フリーズ時間Tに延長時間eを加え、計時時間111の計時動作時間を延長し(S1600)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定されなかった場合には、延長しない(S1500)ものであるといえる。

(1-j)段落【0041】、【0042】から、演出制御手段22は、フリーズ状態になった際に演出動画表示を実行させ、フリーズ状態が延長されない場合は、液晶表示装置66Aに一回分の演出動画表示を途中まで実行させ、フリーズ状態が延長された場合は、一回分の演出動画表示を最後まで実行させ、演出動画表示を一回行うのに要する時間は、フリーズ時間Tよりも大きく、且つ、フリーズ時間Tに延長時間eを加えた値に等しくなるように設定されているといえる。

上記の(1-a)?(1-e)の記載事項、(1-f)?(1-j)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。

「スタートスイッチ30と、
スイッチ類の操作を無効にして、スロットマシン1をフリーズ状態にするとともに、フリーズ状態を開始させた場合、所定のフリーズ時間Tが経過すると、フリーズ状態から解除して遊技を再開させるとともに、フリーズ状態を延長する機能を有するフリーズ制御手段100と、
液晶表示装置66Aと、
前記液晶表示装置66Aの動作を制御する演出制御手段22と、を備え、
前記フリーズ制御手段110には、計時手段111が設けられており、
前記フリーズ制御手段100は、
メダルのベット操作がなされ(S1100)、当否抽選において遊技回数nが2回のATゲームに当選することで成立したATフラグが持ち越された状態にあると判定された場合に(S1150)、フリーズ状態にするとともに、計時手段111にはフリーズ時間Tが設定されて、計時手段111が計時動作を開始し(S1200)、
計時手段111が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30の操作がなされたと判定されると(S1300)、延長抽選処理を行い(S1400)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定された場合に(S1500)、フリーズ時間Tに延長時間eを加え、計時時間111の計時動作時間を延長し(S1600)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定されなかった場合には、延長しない(S1500)ものであり、
前記演出制御手段22は、
フリーズ状態になった際に演出動画表示を実行させ、
フリーズ状態が延長されない場合は、液晶表示装置66Aに一回分の演出動画表示を途中まで実行させ、フリーズ状態が延長された場合は、一回分の演出動画表示を最後まで実行させ、
演出動画表示を一回行うのに要する時間は、フリーズ時間Tよりも大きく、且つ、フリーズ時間Tに延長時間eを加えた値に等しくなるように設定されたスロットマシン1。」

(2)刊行物2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2009-285173号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-a)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフリーズ演出は、単に回胴装置の各回胴を一定時間だけ連続して不回転状態にしこの間、液晶表示装置等に所定の演出を表示させるだけであり、そのフリーズ演出が発生している間、遊技者はなにもせずに比較的長いフリーズ時間、例えば数十秒が経過するのを待つだけで、面白みに欠けるという問題があった。また、このフリーズ時間が長いと感ずる遊技者であっても、フリーズ時間を短縮しあるいはキャンセルすることはできなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、遊技者参加型のフリーズ演出を取り入れ、遊技者の遊技意欲を向上させ、さらに遊技者の操作に基づき所定の解除条件が満たされたときには、フリーズ演出を解除してフリーズ時間を短縮しあるいはキャンセルすることができる回胴式遊技機を提供することにある。」

(2-b)「(a)フリーズ演出抽選テーブル(図8)
図8は主回胴の回転開始時と回転停止時のフリーズ演出抽選テーブルを例示したものである。ここに「主回胴」とは、機械式に回転する上述の回胴5a、5b、5cのことであり、液晶表示装置6に表示される演出回胴とを区別するために用いられる概念である。本明細書においては、必要に応じ、上記回胴5a、5b、5cを「主回胴」と称し、液晶表示装置6に表示される演出回胴を「副回胴」と称する。
【0096】
図8(a)は主回胴開始時(回転開始時)のフリーズ演出抽選テーブル、図8(b)は主回胴停止時(回転停止時)のフリーズ演出抽選テーブルであり、それぞれリプレイ役、特殊リプレイ役、チェリー役、特殊チェリー役、ベル役、スイカ役、BB役、ハズレ役などについて、その当選領域と、当選確率を定めてある。本実施形態におけるフリーズ演出抽選テーブルの抽選領域の大きさは256となっており、この範囲でフリーズ演出契機への当選領域が定められている(図8の「当選確率」の欄は、「当選領域/抽選領域」により算出した概算値を示している)。」

(2-c)「【0145】
(d)停止時のフリーズ演出
上記ステップS107のフリーズ演出抽選処理において、停止時フリーズ演出の「演出番号5」?「演出番号8」に当選していた場合、図4Bの上記ステップS113の判断がYESとなり、フリーズ演出中処理(ステップS114:図5)に進む。ここでは「演出番号5」に当選していたものとして、説明を続ける。
【0146】
まず、主制御基板400は、フリーズタイマに30秒のフリーズ時間をセットし(ステップS201)、演出制御基板420側にフリーズコマンドを送信する(ステップS202)。
【0147】
主制御基板400の側から上記フリーズコマンドが送信された場合、演出部側の演出制御基板420がこのフリーズコマンドを受信して、これに基づく液晶コマンドを液晶制御基板460に送信し、液晶表示装置6の表示画面6aに、剣豪演出の「ボタン連打で敵をやっつけろ」の対戦遊技画像を表示させる。そして、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cまたはMAXBETボタン8による連続的な操作(連打)を可能にする。これにより、遊技者は、剣豪演出の画像を見ながら停止ボタンを連打して、対戦相手に勝利するという対戦遊技を楽しむことが可能となる。この詳細は、図17のコマンド受信処理および図18の操作コマンド演出中処理において後述する。
【0148】
次に、フリーズ演出管理処理を行う(ステップS203)。これは上記対戦遊技画像による遊技を管理する処理である。詳細は後述する。
【0149】
次に、フリーズ演出解除条件が達成されたか否かを判断する(ステップS204)。
【0150】
ここでの停止時の「フリーズ演出解除条件」は、「演出番号5」に当選していた場合であるので、フリーズ時間(30秒)内に回胴回転停止ボタン12a、12b、12cまたはMAXBETボタン8による操作が5回行われることである。
【0151】
この停止時のフリーズ演出解除条件が達成されなかった場合(ステップS204:NO)、フリーズ時間(30秒)に残り時間が存在している間(ステップS205:NO)、再びステップS203のフリーズ演出管理処理に戻り、上記ステップS203?S205を繰り返す。」

(2-d)「【0152】
(e)停止時のフリーズ中演出(図12)
停止時のフリーズ中演出は「演出番号5」に当選したことを前提としているので「剣豪バトル1」である。この「剣豪バトル1」の内容は「ボタン連打で敵をやっつけろ」というバトル演出を液晶画面6aに表示するものであり、フリーズ演出解除条件である「ボタンを5回操作すること」により、対戦相手に勝負するバトル遊技になっている。
【0153】
このバトル遊技におけるボタン操作の例を図12に示す。図示するように、フリーズ時間(30秒)内における時刻t1、t2、t3、t4、t5で、それぞれまたはMAXBETボタン8を操作している。ここでも、MAXBETボタン8を1回操作した場合、操作後演出待機時間Yが経過するまでは、次のMAXBETボタン8を操作することができないという時間管理(図6のステップS304)がなされている。これは、ボタン操作後の演出を有効に現出させる表示用の余裕時間を確保するためである。このため、図12において、2回目以降のMAXBETボタン8の操作は、この操作後演出待機時間Yが経過した後の時刻t2、t3、t4、t5において行われている。
【0154】
そして、結果的にMAXBETボタン8が計5回連打されたことにより、第5回目のMAXBETボタン8の操作後、操作後演出待機時間Yが経過した時点(時刻t6)で、フリーズ演出解除条件が達成されている。したがって、この時点(時刻t6)にて直ちにフリーズ演出が解除され、主回胴装置の回転が再開されて、この時刻t6以降のフリーズ時間(30秒)が到来する時刻t7までの時間間隔がキャンセルされる。よって、遊技者は、フリーズ時間(30秒)が到来するのを待つことなく、遊技の進行を進めることができる。」

上記の事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されている(以下「刊行物2記載の事項」という。)。

「フリーズ演出中処理として、「ボタン連打で敵をやっつけろ」というバトル演出を液晶画面6aに表示してMAXBETボタン8による連続的な操作(連打)を可能にし、MAXBETボタン8が計5回連打されたことにより、フリーズ演出解除条件が達成される回胴式遊技機。」

(3)刊行物3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された特開2010-279479号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(3-a)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機では、フリーズはもっぱら、内部報知や、内部状態について遊技者に期待感を抱かせる演出として存在していた。しかし、所定の操作でフリーズ状態を解除するようにしただけでは、遊技として面白味に欠ける。
そこで本願発明は、遊技の進行が一時停止(フリーズ)した場合の解除態様を用いて新たな遊技性を作り出すことができる遊技機を提供することを目的とする。」

(3-b)「【0035】
まず、図5の例1では、フリーズの最長継続可能時間はT(例えば45秒間)に設定されており、フリーズ期間の全体は、選択操作期間、演出期間に区分されている。ここで、選択操作期間は、フリーズの解除条件又は継続条件となる停止ボタンを遊技者に操作させる期間であり、告知期間、第一の選択操作演出期間、第二の選択操作演出期間とから成る。告知期間は、フリーズに伴う演出が行われることを遊技者に告知するとともに演出の実行の有無を遊技者に選択させるための期間であり、その最大設定時間はt1(例えば5秒間)に設定されている。また、選択操作演出期間は、いずれの停止ボタンを操作するか遊技者に選択させる選択操作演出が行われる期間であり、第一の選択操作演出期間の最大設定時間はt2(例えば10秒間)、第二の選択操作演出期間の最大設定時間はt4(例えば15秒間)に設定されている。演出期間は、遊技者に対して強制的に演出表示、主として液晶表示装置67の画像表示を見せるための期間であり、設定時間はt3(例えば15秒間)に設定されている。
【0036】
そして、告知期間においてフリーズの解除条件となる停止ボタンが操作された場合にはt1経過前であってもフリーズ期間が終了(中止)する。一方、告知期間においてフリーズの解除条件となる停止ボタンが操作されなかった場合には第一の選択操作演出期間に移行し、t2の経過前にフリーズの継続条件となる停止ボタンが操作された場合には、次の演出期間に移行する。演出期間は固定期間なので途中解除はできない。なお、t2の経過前にフリーズの継続条件となる停止ボタンが操作されなかった場合、又はフリーズの解除条件となる停止ボタンが操作された場合には、フリーズ期間が終了する(以下t4において同じ)。そして、演出期間の終了後、第二の選択操作演出期間において、t4の経過前にフリーズの継続条件となる停止ボタンが操作された場合には、フリーズ期間は終了し、有利遊技への移行が決定されるようになっている。本実施の形態においては、有利遊技として、演出制御装置22の制御に基づき行われる当選報知遊技(AT)が設けられている。このように、図5の例においては、有利遊技の開始が決定される場合であっても、実際に遊技が一時停止している時間は、フリーズの最長継続可能時間Tよりも短い時間となる。」

(3-c)「【0041】
(操作部決定手段124)
操作部決定手段124は、フリーズ期間のうち、選択操作期間として設定されている期間中に操作されることによってフリーズが解除されるための条件又はフリーズが継続されるための条件となる所定の操作部を、各選択操作期間ごとに決定するためのものである。
本実施の形態においては、所定の操作部としてストップスイッチ50を用い、操作部決定手段124は、3個の停止ボタンのうちいずれかの中から、フリーズの解除条件となる停止ボタン又はフリーズの継続条件となる停止ボタンを、操作部抽選により決定する。」

(3-d)「【0070】
また、本発明では、選択操作期間として、少なくとも1回の選択操作演出期間が設けられていればよく、告知期間においてキャンセル操作ができない(強制的に選択操作演出に突入する)ようになっていてもよい。そして、例えば継続操作手段を複数設け、1回の選択操作演出期間において、正解操作が行われた場合には何らかの有利遊技移行の権利が与えられ、全問正解ならば付与利益が最も大きい有利遊技に移行可能とし、途中で解除操作部を操作してしまった場合にはその時点でフリーズが終了するものの、正解数に応じた有利遊技移行の権利が付与されるような構成とすることができる。」

上記の事項を総合すると、刊行物3には、次の事項が記載されている(以下「刊行物3記載の事項」という。)。

「フリーズ演出に伴う演出が行われることを遊技者に告知する告知期間の後に、第一の選択操作期間に移行し、t2の経過前にフリーズの継続条件となる停止ボタンが操作された場合には、次の演出期間に移行し、t2の経過前にフリーズの継続条件となる停止ボタンが操作されなかった場合、又はフリーズの解除条件となる停止ボタンが操作された場合には、フリーズ期間が終了する遊技機において、上記告知期間において、キャンセル操作ができないようになってもよい遊技機。」

(4)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。

ア 刊行物1発明の「スタートスイッチ30」、「液晶表示装置66A」、「液晶表示装置66Aの動作を制御する演出制御手段22」、「スロットマシン1」は、それぞれ、本願補正発明の「所定の操作手段」、「演出手段」、「演出手段を制御する演出制御手段」、「遊技台」に、それぞれ、相当する。

イ 本願明細書の段落【0211】には、「特定役に内部当選すると、遅延処理が実行される。この遅延処理では、・・・遊技の進行を遅延させる処理(フリーズ)が実行される。」と記載されているから、本願補正発明における「遅延処理」とはフリーズを意味するものであり、「遅延時間」とはフリーズ時間を意味するものである。
これを踏まえれば、刊行物1発明の「フリーズ制御手段100」は、フリーズ時間Tが経過するとフリーズ状態を解除するとともに、フリーズ状態を延長する機能を有しているから、本願補正発明における遅延期間を制御しているといえる。また、「フリーズ制御手段100」は、フリーズ状態を延長する際には、スタートスイッチ30の操作がなされたとの判定、延長する旨の抽選結果が得られたとの判定を行っているから、延長期間の制御に関する判定手段を有しているといえる。
よって、刊行物1発明の「フリーズ状態を開始させた場合、所定のフリーズ時間Tが経過すると、フリーズ状態から解除して遊技を再開させるとともに、フリーズ状態を延長する機能を有するフリーズ制御手段100」は、本願補正発明の「遊技の進行を遅延させる遅延期間を制御する遅延期間制御手段」及び「前記遅延期間の制御に関する条件が充足されたか否かを判定する判定手段」に相当する。

ウ 刊行物1発明の「メダルのベット操作がなされ(S1100)、当否抽選において遊技回数nが2回のATゲームに当選することで成立したATフラグが持ち越された状態にあると判定された場合」とは、フリーズ状態にするとともに、フリーズ時間Tを設定するための条件であるから、本願補正発明の「第一の条件が充足されたこと」に相当する。
よって、刊行物1発明の「メダルのベット操作がなされ(S1100)、当否抽選において遊技回数nが2回のATゲームに当選することで成立したATフラグが持ち越された状態にあると判定された場合に(S1150)、フリーズ状態にするとともに、計時手段111にはフリーズ時間Tが設定されて、計時手段111が計時動作を開始」する点は、本願補正発明の「遅延期間制御手段は、第一の条件が充足されたことに基づいて前記遅延期間を設定」する点に相当する。

エ 刊行物1発明において「計時手段111が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30の操作がなされたと判定される」点に関して、「計時手段111が計時動作を行っている間」とは、遅延期間(フリーズ状態)を意味しており、また、スタートスイッチ30の操作の判定を行うためには、操作を有効にする判定期間があることは明らかであるから、上記のスタートスイッチ30の操作は、遅延期間に含まれる判定期間における操作であるといえる。
また、刊行物1発明の「計時手段111が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30の操作がなされたと判定されると(S1300)、延長抽選処理を行い(S1400)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定された場合」とは、フリーズ時間Tに延長時間eを加えるための条件であるから、本願補正発明の「第二の条件が充足された場合」に相当する。
そして、刊行物1発明の「フリーズ時間Tに延長時間eを加え、計時時間111の計時動作時間を延長」する点は、本願補正発明の「判定期間において第二の条件が充足されなかった場合よりも遅延期間が長くなるように遅延期間を制御する」点に相当する。
よって、刊行物1発明の「(フリーズ制御手段100は、)計時手段111が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30の操作がなされたと判定されると(S1300)、延長抽選処理を行い(S1400)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定された場合に(S1500)、フリーズ時間Tに延長時間eを加え、計時時間111の計時動作時間を延長し(S1600)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定されなかった場合には、延長しない(S1500)もの」である点は、本願補正発明の「判定手段は、遅延期間に含まれる判定期間における所定の操作手段の操作に基づいて、第二の条件が充足されたか否かを判定するものであり、遅延期間制御手段は、判定期間において第二の条件が充足された場合には、判定期間において第二の条件が充足されなかった場合よりも遅延期間が長くなるように遅延期間を制御するもの」である点に相当する。

オ 刊行物1発明において、演出制御手段22は、フリーズ状態になった際に演出動画表示を実行させ、演出動画表示を一回行うのに要する時間は、フリーズ時間Tよりも大きいものであるから、スタートスイッチ30の操作を判定する期間(判定期間)において「一回分の演出動画表示を途中まで」実行するといえる。
また、フリーズ状態が延長されるのは、「スタートスイッチ30の操作がなされたと判定されると延長抽選処理を行い、延長する旨の抽選結果が得られたと判定された場合」であるから、第二の条件が充足されたと判定された場合であり、その場合には、「一回分の演出動画表示を最後まで」実行するといえる。
以上のことから、刊行物1発明の「一回分の演出動画表示を途中まで」実行する演出は、判定期間において行うという点において「第一の演出」に相当し、刊行物1発明の「一回分の演出動画表示を最後まで」実行する演出は、第二の条件が充足された場合に行う点において「第二の演出」に相当する。
よって、刊行物1発明の「フリーズ状態が延長されない場合は、液晶表示装置66Aに一回分の演出動画表示を途中まで実行させ、フリーズ状態が延長された場合は、一回分の演出動画表示を最後まで実行させるもの」と、本願補正発明の「判定期間において、第二の条件を充足させるための操作を促す第一の演出を少なくとも行わせ、第二の条件が充足されたと判定された場合には、第一の演出とは異なる第二の演出を行わせ、第二の条件が充足されたと判定されなかった場合には、第二の演出を行わせないもの」とは、「判定期間において、第一の演出を少なくとも行わせ、第二の条件が充足されたと判定された場合には、第二の演出を行わせ、第二の条件が充足されたと判定されなかった場合には、第二の演出を行わせないもの」である点で共通する。

カ したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「所定の操作手段と、
遊技の進行を遅延させる遅延期間を制御する遅延期間制御手段と、
前記遅延期間の制御に関する条件が充足されたか否かを判定する判定手段と、
演出手段と、
前記演出手段を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遅延期間制御手段は、
第一の条件が充足されたことに基づいて前記遅延期間を設定し、
前記判定手段は、
前記遅延期間に含まれる判定期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて、第二の条件が充足されたか否かを判定するものであり、
前記遅延期間制御手段は、
前記判定期間において前記第二の条件が充足された場合には、前記判定期間において前記第二の条件が充足されなかった場合よりも前記遅延期間が長くなるように前記遅延期間を制御するものであり、
前記演出制御手段は、
前記判定期間において、第一の演出を少なくとも行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定された場合には、第二の演出を行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定されなかった場合には、前記第二の演出を行わせないものである遊技台。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
第一の演出に関して、本願補正発明は、「第二の条件を充足させるための操作を促す」のに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。

[相違点2]
第二の演出に関して、本願補正発明は、「第一の演出とは異なる」のに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。

[相違点3]
本願補正発明は、「判定期間は、遅延期間が設定されてから第一の期間が経過した後の期間であり、遅延期間制御手段は、第一の期間における所定の操作手段の操作に基づいて前記遅延期間を変化させることがないものである」のに対して、刊行物1発明は、フリーズ制御手段100は、スタートスイッチ30の操作の判定を計時手段111が計時動作を行っている間に行っているものの、判定期間について明示されていない点。

(5)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1、2について
相違点1、2は関連するのでまとめて検討する。
上記(4)エで検討したとおり、刊行物1発明の「スタートスイッチ30の操作がなされたと判定されると(S1300)、延長抽選処理を行い(S1400)、延長する旨の抽選結果が得られたと判定された場合」は、本願補正発明の「第二の条件が充足された場合」に相当するから、刊行物1発明の「スタートスイッチ30の操作」は、本願補正発明における「第二の条件を充足させるための操作」であるといえる。
そして、刊行物1発明においては、フリーズ状態である計時手段111が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30の操作がなされたことを判定するものであるから、刊行物1発明は、遊技者に対して、スイッチ類の操作が無効となるフリーズ状態で、スタートスイッチ30の操作を促すこと、すなわち、「判定期間において、第二の条件を充足させるための操作を促す」必要性を有するものである。
また、通常、演出動画表示の途中と最後の内容は異ならせることが普通であり、途中までの演出動画表示と、途中から最後までの演出動画表示とは、別の演出といえるから、刊行物1発明において、フリーズ時間Tに延長時間eを加えるための条件である「第二の条件が充足されたと判定された場合」に、一回分の演出動画表示を最後まで実行させる「第二の演出」を、一回分の演出動画表示を途中まで実行させる「第一の演出」と異なるように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。
一方、刊行物2記載の事項において、フリーズ演出中処理として、「ボタン連打で敵をやっつけろ」というバトル演出を液晶画面6aに表示し、MAXBETボタン8が計5回連打されたことにより、フリーズ演出解除条件が達成されるすることは、フリーズ演出中にフリーズ演出を延長するか否かの操作を促すもの、すなわち、「第二の条件を充足させるための操作を促す第一の演出」といえる。
刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、いずれも、スロットマシンにおいてフリーズ演出中にフリーズ演出の延長に関する操作を行う点で共通するものである。
よって、刊行物1発明に刊行物2記載の事項を適用し、判定期間において、第二の条件を充足させるための操作を促す第一の演出を行うとともに、第二の条件が充足されたと判定された場合には、第一の演出とは異なる第二の演出を行うように構成し、上記相違点1、2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点3について
刊行物1発明においては、フリーズ状態である計時手段111が計時動作を行っている間に、スタートスイッチ30の操作がなされたことを判定するものであるから、判定するための判定期間を有することは明らかである。
刊行物3記載の事項において、「告知期間」はフリーズのキャンセル操作ができないため、所定の操作手段に基づいて遅延期間を変化させることがない期間(第一の期間)であり、「第1の選択操作期間」は、告知期間が経過した後の期間であり、フリーズの継続条件となる停止ボタン、又はフリーズの解除条件となる停止ボタンを操作したかどうかを判定する期間(判定期間)であるといえる。
そして、上記刊行物3記載の事項における、フリーズの継続とは、フリーズの延長とも解せるものである。
刊行物1発明と刊行物3記載の事項とは、遊技機においてフリーズ期間中にフリーズ演出の延長に関する操作を行う点で共通するものである。
よって、刊行物1発明に刊行物3記載の事項を適用し、所定の操作手段の操作に基づいて遅延期間を変化させることがない第一の期間の経過した後に判定期間を設け、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

請求人は、審判請求書において、「引用文献3には、フリーズ期間が開始してから、時間t1が経過した後に、フリーズ継続条件となっている停止ボタンが操作されたか否かを判定する選択操作演出期間を開始する点が記載されております。ここで、上記時間t1においては、遊技者の操作に応じてフリーズ期間が変更されますので、上記時間t1は、本願請求項1に規定されている「第一の期間」とは異なります。引用文献3に開示された構成では、フリーズ期間の最初からフリーズ期間変更のための操作が受け付けられるため、遊技者が意図しないうちにフリーズ期間が変更されてしまうことを防止することができません。」(第6頁第22行?第7頁第2行)と主張する。
しかしながら、刊行物3(引用文献3)の段落【0070】には、告知期間(時間t1)においてキャンセル操作ができないようになってもよい旨の記載があるから、この場合においては、遊技者が操作してもフリーズ期間は変更されないため、「告知期間」は本願の請求項1に係る発明の「第一期間」に相当するものといえる。
よって、請求人の主張は採用できない。

ウ 本願補正発明が奏する効果について
上記各相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び刊行物3記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び刊行物3記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成26年7月9日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
所定の操作手段と、
遊技の進行を遅延させる遅延期間を制御する遅延期間制御手段と、
前記遅延期間の制御に関する条件が充足されたか否かを判定する判定手段と、
演出手段と、
前記演出手段を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遅延期間制御手段は、
第一の条件が充足されたことに基づいて前記遅延期間を設定し、
前記判定手段は、
前記遅延期間に含まれる判定期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて、第二の条件が充足されたか否かを判定するものであり、
前記遅延期間制御手段は、
前記判定期間において前記第二の条件が充足された場合には、前記判定期間において前記第二の条件が充足されなかった場合よりも前記遅延期間が長くなるように前記遅延期間を制御するものであり、
前記演出制御手段は、
前記判定期間において、前記第二の条件を充足させるための操作を促す第一の演出を少なくとも行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定された場合には、前記第一の演出とは異なる第二の演出を行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定されなかった場合には、前記第二の演出を行わせないものであり、
前記判定期間は、
前記遅延期間が設定されてから第一の期間が経過した後の期間であることを特徴とする遊技台。」

2 刊行物
刊行物1?3及びその記載事項、並びに刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び刊行物3記載の事項は、上記「第2 3(1)」?「第2 3(3)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
(1)対比
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から「遅延期間制御手段」に関して「前記第一の期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて前記遅延期間を変化させることがないものであ」る点を省いたものである。
本願発明と刊行物1発明とを対比する。
上記「第2 3(4)」を踏まえると、本願発明と刊行物1発明とは、
「所定の操作手段と、
遊技の進行を遅延させる遅延期間を制御する遅延期間制御手段と、
前記遅延期間の制御に関する条件が充足されたか否かを判定する判定手段と、
演出手段と、
前記演出手段を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遅延期間制御手段は、
第一の条件が充足されたことに基づいて前記遅延期間を設定し、
前記判定手段は、
前記遅延期間に含まれる判定期間における前記所定の操作手段の操作に基づいて、第二の条件が充足されたか否かを判定するものであり、
前記遅延期間制御手段は、
前記判定期間において前記第二の条件が充足された場合には、前記判定期間において前記第二の条件が充足されなかった場合よりも前記遅延期間が長くなるように前記遅延期間を制御するものであり、
前記演出制御手段は、
前記判定期間において、第一の演出を少なくとも行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定された場合には、第二の演出を行わせ、
前記第二の条件が充足されたと判定されなかった場合には、前記第二の演出を行わせないものである遊技台。」
である点で一致し、
上記「第2 3(4)」で述べた相違点1、2に加えて、以下の点で相違する。
[相違点3’]
本願補正発明は、「判定期間は、遅延期間が設定されてから第一の期間が経過した後の期間である」のに対して、刊行物1発明は、スタートスイッチ30の操作の判定を計時手段111が計時動作を行っている間に行っているものの、判定期間について明示されていない点。

(2)判断
上記相違点1、2については、上記「第2 3(5)」で検討したとおりである。
そして、上記相違点3’は上記相違点3に含まれるものであるから、上記「第2 3(5)」で検討したとおり、刊行物1発明に刊行物3記載の事項を適用し、第一の期間の経過した後に判定期間を設け、上記相違点3’に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び刊行物3記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-01 
結審通知日 2016-08-02 
審決日 2016-08-15 
出願番号 特願2012-29387(P2012-29387)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高木 亨右田 純生  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 平城 俊雅
川崎 優
発明の名称 遊技台  
代理人 吉延 彰広  

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