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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65H
管理番号 1319884
審判番号 不服2015-19419  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-28 
確定日 2016-09-29 
事件の表示 特願2011-215447「シートの製造方法及び光学シートの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月25日出願公開、特開2013- 75734〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、本願は、平成23年9月29日の出願であって、平成27年7月6日付けで手続補正書が提出され、同年7月21日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年10月28日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲及び明細書を補正する手続補正がなされたものである。


第2 平成27年10月28日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成27年7月6日付けで提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1を、下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1へと補正することを含むものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「帯状のシートがコイル状に巻回されたシートコイルから該帯状のシートを巻き出し、該帯状のシートから矩形のシートを切り出す工程を含むシートの製造方法であって、
前記矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、前記帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないとともに、前記線の1つは前記長手方向に対して0.2度以上7.5度以下の範囲で傾いているように、前記帯状のシートから前記矩形のシートを切り出すことを特徴とする、シートの製造方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「帯状のシートがコイル状に巻回されたシートコイルから該帯状のシートを巻き出し、該帯状のシートから矩形のシートを切り出す工程を含むシートの製造方法であって、
前記矩形のシートは、基材層と該基材層に積層される光学機能層とを有する積層シートであり、前記光学機能層が、前記基材層の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されるとともに光を透過可能に形成された光透過部、及び前記光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部、を備えており、
前記矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、前記帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないとともに、前記線の1つは前記長手方向に対して0.2度以上7.5度以下の範囲で傾いているように、前記帯状のシートから前記矩形のシートを切り出すことを特徴とする、シートの製造方法。」(下線は審決で付した。以下同じ。)

2 補正目的について
本件補正により、本件補正前の請求項1の「矩形のシート」に関して、「前記矩形のシートは、基材層と該基材層に積層される光学機能層とを有する積層シートであり、前記光学機能層が、前記基材層の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されるとともに光を透過可能に形成された光透過部、及び前記光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部、を備えており」と補正する事項(以下「補正事項」という。)が追加されたものである。
上記補正事項は、本件補正前の請求項1の「シートの製造方法」における「矩形のシート」に関して、「前記矩形のシートは、基材層と該基材層に積層される光学機能層とを有する積層シートであり、前記光学機能層が、前記基材層の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されるとともに光を透過可能に形成された光透過部、及び前記光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部、を備えており」と具体的に特定したものであるから、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

3 独立特許要件について
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成27年10月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1」に記載したとおりのものと認める。

(2)引用刊行物
本願の出願前の2011年6月9日に頒布された国際公開第2011/068212号(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「[0005] 上記特許文献1に開示されているように、従来の光学機能層(光拡散シート)では、円周方向に平行または垂直な型が外周面に形成された型ロール(特許文献1の図12参照)を用いて、該型の形状に対応した形の光透過部(単位レンズ)を形成していた。従来の光学機能層の製造方法、すなわち、円周方向に平行な方向の型が外周面に形成された型ロールを用いて光透過部を形成する方法を、図7を用いて説明する。図7は、従来の光学機能層に備えられる光透過部の形成方法を説明する図である。
[0006] 図7に示すように、凹部221、221、…、及び凹部221、221、…の間に形成される凸部222、222、…が円周方向に沿って外周面に形成された型ロール220を用いて光透過部211、211、…を形成する方法は以下の通りである。まず、型ロール220と矢印Yの方向に供給される基材230との間に、光透過部211、211、…を構成する樹脂を供給しつつ、型ロール220を基材230上で回転させる。そして、型ロール220と基材230との間に光透過部211、211、…を構成する樹脂を充填しながら、該樹脂を硬化させる。そうすることによって、凹部221、221、…の形状に対応した形の光透過部211、211、…、及び凸部222、222、…の形状に対応した形の溝212、212、…が形成され、帯状の光学シート240’を得ることができる。このとき、凹部221、221、…及び凸部222、222、…は、型ロール220の円周方向に沿って形成されているため、光透過部211、211、…、及び溝212、212、…の長手方向は、帯状の光学シート240’の長手方向(図中に矢印Yで示した方向)に対して平行な方向に並列して形成される。このようにして帯状の光学シート240’を得た後、図8(帯状の光学シート240の一部から光学シート250、250、…を切り出す様子を概略的に示す平面図)に示すように、溝212、212、…に光吸収部213、213、…を形成された帯状の光学シート240から、適当な大きさの光学シート250、250、…を切り出して用いることができる。
[0007] 光学シートを映像源に取り付ける際は、後に説明するように、光吸収部の長手方向を水平面に対して傾けて配置することがある。上記のようにして製造された帯状の光学シート240から、映像源に取り付けた際に水平面に対して長手方向が傾いた光吸収部213、213、…を備えた光学シート250、250、…を切り出すには、図8に示すように、帯状の光学シート240の長手方向に対して傾いた向きに光学シート250、250、…を切り出す必要があった。そのため、帯状の光学シート240のうち、光学シート250、250、…として利用できない部分が多く存在していた。このような部分の存在は材料歩留まりを低下させ、コストアップにつながる。また、本光学シートと他の機能性シートを貼合加工する場合において、本光学シートを切り出す前にロール-to-ロール(ロール状に巻回されたシートを複数用意し、それぞれのロールからシートを引き出しつつ貼合することを「ロール-to-ロール」という。以下同じ。)で連続貼合し、その後に切り出し加工をすると、他の機能性シートの材料歩留まりも低下してしまい、コストアップになる。一方、本光学シートを切り出した後、同様の大きさに切り出した他の機能性シートを1枚ずつ貼合する場合には、生産性が低下する。」
(イ)「[0057] なお、帯状の光学シート40の長手方向に対する光吸収部13、13、…の長手方向の傾斜角は、0.5度以上10度以下であることが好ましい。0.5度以上にすることによって、一辺が帯状の光学シート40の長手方向に平行になるように、光学シートロール1から切り出した長方形の光学シート50を映像源に貼合した際に、モアレを低減させる効果が大きくなる。また、10度以下とすることによって、帯状の光学シート40の生産性の低下を抑制することができる。」
(ウ)「[0083] (実施例1)
銅メッキされたシリンダーを用いて、以下の手順で型ロールを得た。まず、旋盤加工にて、円周方向に対して長手方向が4.5°傾斜した螺旋状多条溝がシリンダーの外周面側に形成されるように、ダイヤモンドバイトで切削した。その後、表面にクロムメッキを施工して、型ロール(バイアス付き型ロール)を得た。次に、硬化後の屈折率が1.55のウレタン系紫外線硬化型樹脂を用いて、上述した方法で、基材層(東洋紡績株式会社製、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、A4300、膜厚100μm)上に上記型ロールで連続賦型加工を行い、光透過部と該光透過部間に並列される溝を形成し、帯状の光学シートを得た。該溝の長手方向は、該帯状の光学シートの長手方向に対して4.5°傾斜していた。その後、賦型面(光透過部が形成された側の面)に黒樹脂インキ(紫外線硬化型バインダー100質量部に対し、平均粒径4μmの黒色ビーズ20質量部を分散させたもの。含まれるバインダーの硬化後の屈折率は1.547。)を垂らして溝に該黒樹脂インキを充填し、金属製のドクターブレードで余分な黒樹脂インキを掻き落とし、溝内に残ったバインダーを硬化させた。これらの過程を経て、光吸収部の長手方向が帯状の光学シートの長手方向に対して4.5°傾斜している帯状の光学シートを得て、該帯状の光学シートをロール状に巻き取り、光学シートロールを得た。さらに、当該光学シートロールから46インチサイズの映像源に貼合できる大きさに切り抜き加工をし、光学シートを得た。このとき、長方形である光学シートの長辺が帯状の光学シートの長手方向に平行になるように切り出した。
[0084] (実施例2)
バイアス付き型ロールが有する溝の長手方向の円周方向に対する傾斜角を3°にしたこと、基材層の一方の面側に反射防止(AR)処理して反射防止層を形成するとともに、他方の面側に易接着処理を施したこと、該基材層の易接着処理が施された側の面に光透過部及び光吸収部(光学機能層)を形成したこと、以外は実施例1と同様にして、帯状の光学シートを製造し、該光学シートをロール状に巻き取り、光学シートロールを得た。その後、光学機能層が形成された側の面に、粘着剤を介して他の機能を有する層をロール-to-ロールで連続貼合して再度巻回し、光学シートロールを得た。さらに、当該光学シートロールから46インチサイズの映像源に貼合できる大きさに切り抜き加工をし、光学シートを得た。このとき、長方形である光学シートの長辺が帯状の光学シートの長手方向に平行になるように切り出した。
[0085] (実施例3)
バイアス付き型ロールが有する溝の長手方向の円周方向に対する傾斜角を6°にしたこと、基材層の一方の面側に反射防止(AR)処理して反射防止層を形成するとともに、他方の面側に易接着処理を施したこと、該基材層の易接着処理が施された側の面に光透過部及び光吸収部(光学機能層)を形成したこと、以外は実施例1と同様にして、帯状の光学シートを製造し、該帯状の光学シートをロール状に巻き取り、光学シートロールを得た。また、基材層(東洋紡績株式会社製、PETシート、A4300、膜厚100μm)の一方の面側にリワーク粘着加工(剥離性のある粘着剤層を付与)し、他方の面側に金属メッシュ層を付与した電磁波遮蔽層と、該電磁波遮蔽層の金属メッシュ層側に間欠パターン状に形成された、波長フィルタ機能を持った粘着剤層(以下、「波長フィルタ粘着層」という。)と、該波長フィルタ粘着層に積層された、離型フィルムとを有する帯状の機能性電磁波シールドシートを得て、これをロール状に巻回してシートロールを得た。次に、上記機能性電磁波シールドシートのシートロールから離型フィルムを剥離しながら、上記帯状の光学シートの光学機能層側の面と機能性電磁波シールドシートの波長フィルタ粘着層とが向き合うようにロール-to-ロールにて連続貼合を行って、光学シートロールを得た。さらに、当該光学シートロールから46インチサイズの映像源に貼合できる大きさに切り抜き加工をし、光学シートを得た。このとき、長方形である光学シートの長辺が帯状の光学シートの長手方向に平行になるように切り出した。実施例3にかかる光学シートの層構成は、図11に示した通りである。図11において、これまでに示した図と同じ構成のものには同じ符号を付している。また、図11において、31’は波長フィルタ粘着層であり、35は剥離性のある粘着剤層である。
[0086] (実施例4)
まず、実施例1と同様にして作製した光学シートロールと、基材層(東洋紡績株式会社製、PETシート、A4300、膜厚100μm)の一方の面側に反射防止(AR)処理して反射防止層を形成するとともに、他方の面側に易接着処理を施したARシートをロール状に巻回したARロールと、粘着剤層の一臂の面側に重剥離セパレーターを備えるとともに、他方の面側に軽剥離セパレーターを備えた粘着シートをロール状に巻回した粘着ロールと、を用意した。…
[0087] (実施例5)
実施例3と同様にして帯状の機能性電磁波シールドシートを得て、これをロール状に巻回してシートロールを得た。その後、実施例4で得た巻取ロールの光学機能層と当該機能性電磁波シールドシートの波長フィルタ粘着層が向き合うようにロール-to-ロールにて連続貼合を行って帯状の光学シートを得た。…」
(エ)上記(ア)並びに図7及び図8より、光学シート250は、基材230と、該基材230に積層される溝212が形成された樹脂からなる光を透過可能に形成された光透過部211と溝212に形成された光を吸収可能に形成された光吸収部213とが前記基材230の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されていることが看取できる。

そうすると、上記(ア)乃至(エ)の記載事項から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「帯状の光学シート240の一部から光学シート250を切り出す光学シート製造方法であって、
光学シート250は、基材230と、該基材230に積層される溝212が形成された樹脂からなる光を透過可能に形成された光透過部211と溝212に形成された光を吸収可能に形成された光吸収部213とが前記基材230の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されており、
帯状の光学シート240から、映像源に取り付けた際に水平面に対して長手方向が傾いた光吸収部213を備えた光学シート250を切り出すために、帯状の光学シート240の長手方向に対して傾いた向きに光学シート250を切り出す方法。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比すると、
ア 後者の「帯状の光学シート240」、「光学シート250」、「帯状の光学シート240の一部から光学シート250を切り出す光学シート製造方法」、「基材230」、「光透過部211」及び「光吸収部213」は、それぞれ前者の「帯状のシート」、「矩形のシート」、「帯状のシートから矩形のシートを切り出す工程を含むシートの製造方法」、「基材層」、「光透過部」及び「光吸収部」に相当する。
イ 後者の基材230に積層される「溝212が形成された樹脂からなる光を透過可能に形成された光透過部211と溝212に形成された光を吸収可能に形成された光吸収部213」は、その機能から光学機能層といえる。
ウ.後者の「光透過部211と光吸収部213」とは「基材230の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されて」いるものであるから、基材層の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されるといえる。
エ.後者の「光学シート250を切り出」しは、「映像源に取り付けた際に水平面に対して長手方向が傾」き、「帯状の光学シート240の長手方向に対して傾いた向き」に光学シート250を切り出すものであるから、矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないとともに、前記線の1つは前記長手方向に対して傾いているように、前記帯状のシートから矩形のシートを切り出すといえる。

したがって、両者は、
「帯状のシートから矩形のシートを切り出す工程を含むシートの製造方法であって、
前記矩形のシートは、基材層と該基材層に積層される光学機能層とを有する積層シートであり、前記光学機能層が、前記基材層の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されるとともに光を透過可能に形成された光透過部、及び前記光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部、を備えており、
前記矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、前記帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないとともに、前記線の1つは前記長手方向に対して傾いているように、前記帯状のシートから前記矩形のシートを切り出す、シートの製造方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明は、「帯状のシートがコイル状に巻回されたシートコイルから該帯状のシートを巻き出し」、該帯状のシートから矩形のシートを切り出す工程を含むシートの製造方法であるのに対し、引用発明1では、その点が明らかでない点。

[相違点2]
本願補正発明は、矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないとともに、線の1つは長手方向に対して「0.2度以上7.5度以下の範囲で」傾いているように、前記帯状のシートから前記矩形のシートを切り出すものであるのに対し、引用発明1では、その点が明らかでない点。

(4)判断
上記相違点1及び相違点2について以下検討する。
ア [相違点1]について
上記「(2)引用刊行物 (ウ)」の記載を見ると、いずれの実施例にも、帯状のシートから所望の大きさの光学シートを切り出す工程を含むシートの製造方法において、光学シートを切り出す前の帯状のシートは、ロール状のものを用いていることが記載されており(以下「引用刊行物記載事項1」という。)、また、前記いずれの実施例においても、ロール状の帯状のシートから切り出すことによる格別な作用効果が記載されていたり、示唆されているものではない。
そうすると、上記「(2)引用刊行物 (ア)」に記載された、従来の技術方法、つまり、引用発明1も、同じ、ロール状の帯状のシートから光学シートを切り出す工程を含む製造方法であると解するのが、自然である。
してみると、上記引用刊行物記載事項1を踏まえれば、引用発明1は、「帯状のシートがコイル状に巻回されたシートコイルから該帯状のシートを巻き出し」、該帯状のシートから矩形のシートを切り出す工程を含むシートの製造方法であると解されるから、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、実質的に引用発明1に記載されているか、少なくとも、引用発明1から、当業者が容易に発明できたものである。

イ [相違点2]について
上記「(2)引用刊行物 (イ)」より、矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないとともに、線の1つは長手方向に対して0.5度以上傾いているように、前記帯状のシートから前記矩形のシートを切り出すことにより、モアレ低減効果が大きくなること、及び10度以下傾いているように、前記帯状のシートから前記矩形のシートを切り出すことにより、生産性の低下を抑制すること、が示されている(以下「引用刊行物記載事項2」という。)。
そうすると、上記「(2)引用刊行物 (ア)」に記載された従来の製造方法、つまり、引用発明1においても、矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないように配置されており、上記光吸収部の機能、及び生産性の低下を勘案すれば、矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線の1つは長手方向に対して0.5度以上10度以下傾いているように、帯状のシートから矩形のシートを切り出しているものと解するのが、技術的に自然である。
してみると、上記引用刊行物記載事項2を踏まえれば、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、実質的に引用発明1に記載されているか、少なくとも、引用発明1から、当業者が容易に発明できたものである。

そして、本願補正発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1から、当業者が予測しうる範囲内のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明1に実質的に記載されているか、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号、もしくは、第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ない。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年7月6日付けの特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「帯状のシートがコイル状に巻回されたシートコイルから該帯状のシートを巻き出し、該帯状のシートから矩形のシートを切り出す工程を含むシートの製造方法であって、
前記矩形を構成する辺のうち向かい合う一対の辺の中点同士を結ぶ線と、前記帯状のシートの長手方向とが、直交又は平行とならないとともに、前記線の1つは前記長手方向に対して0.2度以上7.5度以下の範囲で傾いているように、前記帯状のシートから前記矩形のシートを切り出すことを特徴とする、シートの製造方法。」(以下「本願発明」という。)

2 引用刊行物
平成27年4月24日付けの拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用刊行物」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、実質的に、上記「第2 3 (1)本願補正発明」で検討した本願補正発明の「前記矩形のシートは、基材層と該基材層に積層される光学機能層とを有する積層シートであり、前記光学機能層が、前記基材層の面に沿った方向に所定の間隔を有して複数並列されるとともに光を透過可能に形成された光透過部、及び前記光透過部間に光を吸収可能に形成された光吸収部、を備えており」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明と引用発明1とを対比した場合の相違点は、実質的に、上記「第2 3 (3)対比」で挙げた相違点1及び相違点2となる。
そして、上記「第2 3 (4)判断」における検討内容を踏まえれば、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-07-22 
結審通知日 2016-07-26 
審決日 2016-08-12 
出願番号 特願2011-215447(P2011-215447)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B65H)
P 1 8・ 121- Z (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤井 眞吾  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
吉村 尚
発明の名称 シートの製造方法及び光学シートの製造方法  
代理人 山本 典輝  
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