• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1319936
審判番号 不服2015-11761  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-23 
確定日 2016-10-18 
事件の表示 特願2008-174870「情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月21日出願公開、特開2010- 12041、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年7月3日を出願日とする出願であって、平成25年8月19日、平成26年5月14日に手続補正がなされたが、平成27年3月27日付けで前記平成26年5月14日付けの手続補正は却下されると同時に拒絶の査定がなされ、これに対し、同年6月23日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、当審において、平成28年3月22日付けで拒絶理由を通知したところ、同年5月10日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月30日付けで拒絶理由を通知したところ、同年6月3日に手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願発明は、平成28年6月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、本願の請求項1ないし12に係る発明を、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明12」といい、まとめて「本願発明」という。)。

「 【請求項1】
入力装置に備えられたジャイロセンサから出力されるジャイロ信号に基づいて、仮想空間内のオブジェクトの動作を制御する情報処理装置のコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記ジャイロセンサから出力されるジャイロ信号を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されるジャイロ信号に基づいて、前記仮想空間内で前記オブジェクトが第1の動作を行うように制御する第1動作制御手段と、
前記第1動作制御手段によって前記オブジェクトが前記第1の動作を行うように制御されている間に、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段によって、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記仮想空間内で前記オブジェクトが前記第1の動作とは異なる第2の動作を行うように制御する第2動作制御手段として機能させる、情報処理プログラム。
【請求項2】
前記第2動作制御手段は、前記条件判定手段によって、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記オブジェクトの移動速度および移動方向を制御する移動制御手段を含む、請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記入力装置は、加速度センサをさらに備え、
前記情報処理プログラムは、前記コンピュータを、
前記加速度センサの出力に基づいて前記入力装置に生じる加速度に対応する加速度信号を算出する加速度算出手段としてさらに機能させ、
前記第2動作制御手段は、
前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに前記加速度算出手段によって算出された加速度信号を使用して、前記オブジェクトの移動速度を制御する移動速度制御手段と、
前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記オブジェクトの移動方向を制御する移動方向制御手段を含む、請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記仮想空間内の前記オブジェクトの動作を制御するゲーム装置である、請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記第2動作制御手段は、前記条件判定手段によって、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記オブジェクトの移動速度および移動方向を制御する移動制御手段を含む、請求項4記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記入力装置は、加速度センサをさらに備え、
前記情報処理プログラムは、前記コンピュータを、
前記加速度センサの出力に基づいて前記入力装置に生じる加速度に対応する加速度信号を算出する加速度算出手段としてさらに機能させ、
前記第2動作制御手段は、
前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに前記加速度算出手段によって算出された加速度信号を使用して、前記オブジェクトの移動速度を制御する移動速度制御手段と、
前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記オブジェクトの移動方向を制御する移動方向制御手段を含む、請求項4記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記第1動作制御手段は、前記取得手段によって取得されたジャイロ信号に基づいて前記オブジェクトを前記仮想空間内に配置する配置制御手段を含む、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記オブジェクトの基準位置および基準姿勢を決定する決定手段として前記コンピュータをさらに機能させ、
前記第1動作制御手段は、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号に基づいて、前記決定手段によって決定された基準位置および基準姿勢から前記オブジェクトの位置および姿勢の少なくとも一方の変化を制御する、請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記第2動作制御手段は、前記条件判定手段によって前記所定の条件を満たしたと判定されたときに前記取得手段によって取得されたジャイロ信号を使用して決定される前記オブジェクトの移動方向への初速度を用いて、当該オブジェクトの位置の変化を制御する、請求項8記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
入力装置に備えられたジャイロセンサから出力されるジャイロ信号に基づいて、仮想空間内のオブジェクトの動作を制御する情報処理装置であって、
前記ジャイロセンサから出力されるジャイロ信号を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されるジャイロ信号に基づいて、前記仮想空間内で前記オブジェクトが第1の動作を行うように制御する第1動作制御手段と、
前記第1動作制御手段によって前記オブジェクトが前記第1の動作を行うように制御されている間に、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段によって、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記仮想空間内で前記オブジェクトが前記第1の動作とは異なる第2の動作を行うように制御する第2動作制御手段を備える、情報処理装置。
【請求項11】
入力装置に備えられたジャイロセンサから出力されるジャイロ信号に基づいて、仮想空間内のオブジェクトの動作を制御する情報処理システムであって、
前記ジャイロセンサから出力されるジャイロ信号を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されるジャイロ信号に基づいて、前記仮想空間内で前記オブジェクトが第1の動作を行うように制御する第1動作制御手段と、
前記第1動作制御手段によって前記オブジェクトが前記第1の動作を行うように制御されている間に、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段によって、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記仮想空間内で前記オブジェクトが前記第1の動作とは異なる第2の動作を行うように制御する第2動作制御手段を備える、情報処理システム。
【請求項12】
入力装置に備えられたジャイロセンサから出力されるジャイロ信号を取得する取得手段を備え、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号に基づいて、仮想空間内のオブジェクトの動作を制御するコンピュータの情報処理方法であって、
前記コンピュータは、
(a)前記取得手段によって取得されるジャイロ信号に基づいて、前記仮想空間内で前記オブジェクトが第1の動作を行うように制御し、
(b)前記ステップ(a)において前記オブジェクトが前記第1の動作を行うように制御している間に、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたか否かを判定し、そして
(c)前記ステップ(b)において、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定した場合に、当該所定の条件を満たしたと判定したときに取得された当該ジャイロ信号を使用して、前記仮想空間内で前記オブジェクトが前記第1の動作とは異なる第2の動作を行うように制御する、情報処理方法。」

第3 原査定の拒絶理由の概要
本願の請求項1ないし10、13ないし15に係る各発明は、特開2007-282787号公報(以下「引用例1」という。)、特開2000-308756号公報(以下「引用例2」という。)に記載された発明に基いて、本願の請求項11、及び12に係る各発明は、前記引用例1、2及び特開2006-175158号公報(以下「引用例3」という。)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 当審の判断

1.各引用例

(1)引用例1
引用例1には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同じ。)

ア.「【0006】
第1の発明は、入力装置(コントローラ7)に搭載された加速度センサ(37)から逐次出力される加速度データ(621)に基づくゲーム処理を実行するゲーム装置(3)である。ゲーム装置は、取得手段(ステップS2を実行するCPU10等。以下、ステップ番号のみを記載する。)と、平滑化手段(S3)と、ゲーム処理手段(S4)とを備えている。取得手段は、加速度データを逐次取得する。平滑化手段は、加速度データにより示される加速度を平滑化した値を示す平滑化データ(631)を逐次算出する。ゲーム処理手段は、加速度データと平滑化データとに基づいてゲーム処理を実行する。」

イ.「【0019】
第1の発明によれば、平滑化手段は、取得された加速度データから平滑化データを算出する。ここで、加速度データおよび平滑化データは、入力装置の位置や姿勢や移動等に関する状態を表すものであるが、両者は互いに異なる状態を表すものである。したがって、第1の発明によれば、平滑化データを算出することによって、入力装置の2種類の状態を示す情報を1つの加速度センサの出力から得ることができる。そして、加速度データおよび平滑化データという2種類のデータに基づいてゲーム処理が実行されるので、入力装置の複数の状態をゲーム処理に反映させることができる。さらに、本発明で用いられるセンサは加速度センサ1種類のみであるので、従来技術に比べて入力装置の構成を簡易にすることができる。つまり、第1の発明によれば、簡易な構成によって入力装置の複数の状態をゲーム処理に反映させることができる。」

ウ.「【0033】
また、ゲーム装置3には、セーブデータ等を固定的に記憶するバックアップメモリ等を搭載する外部メモリカード5が必要に応じて着脱自在に装着される。ゲーム装置3は、光ディスク4に記憶されたゲームプログラムなどを実行することによって、その結果をゲーム画像としてモニタ2に表示する。さらに、ゲーム装置3は、外部メモリカード5に記憶されたセーブデータを用いて、過去に実行されたゲーム状態を再現して、ゲーム画像をモニタ2に表示することもできる。そして、ゲーム装置3のプレイヤは、モニタ2に表示されたゲーム画像を見ながら、コントローラ7を操作することによって、ゲーム進行を楽しむことができる。」

エ.「【0038】
メインメモリ13は、CPU10で使用される記憶領域であって、CPU10の処理に必要なゲームプログラム等を適宜記憶する。例えば、メインメモリ13は、CPU10によって光ディスク4から読み出されたゲームプログラムや各種データ等を記憶する。このメインメモリ13に記憶されたゲームプログラムや各種データ等がCPU10によって実行される。」

オ.「【0051】
本実施形態では、加速度センサ37は、コントローラ7を基準とした上下方向(図3Aおよび図3Bに示すy軸方向)、左右方向(図3Aおよび図3Bに示すx軸方向)および前後方向(図3Aおよび図3Bに示すz軸方向)の3軸方向に関してそれぞれ直線加速度を検出する。加速度センサ37は、各軸に沿った直線方向に関する加速度を検出するものであるため、加速度センサ37からの出力は3軸それぞれの直線加速度の値を表すものとなる。すなわち、検出された加速度は、コントローラ7を基準に設定されるxyz座標系における3次元のベクトルとして表される。以下では、加速度センサ37によって検出される各軸の加速度値を各成分とするベクトルを加速度ベクトルと呼ぶ。」

カ.「【0111】
例えば、競馬ゲームに本発明を適用することが考えられる。この競馬ゲームにおいて、プレイヤは、馬に乗った騎手を模したオブジェクトをコントローラ7を用いて操作する。ゲーム装置3は、例えば、加速度データに基づいて馬の速度を決定するとともに、平滑化データに基づいて馬の進行方向を決定する。具体的には、ゲーム装置3は、コントローラ7のz軸周りの回転に関する傾きを平滑化データに基づいて算出する。そして、コントローラ7の傾きに応じて馬の移動方向を決定する。一方、ゲーム装置3は、検出された加速度データを用いてコントローラ7の上下方向の動きを算出することによって、コントローラ7が下向きに動かされたか否かを判断し、オブジェクトの速度を算出する。具体的には、コントローラ7が下向きに動かされたと判断される場合、ゲーム装置3は、騎手に鞭を振る動作を行わせる。さらに、所定の単位時間当たりに騎手が鞭を振る回数に応じて馬の速度を算出する。これによって、プレイヤは、コントローラ7を傾ける操作によって馬の移動方向を操作するとともに、コントローラ7を鞭のようにして用いて馬の速度を操作することができるので、今までにはない新規なゲーム操作を味わうことができる。
【0112】
なお、コントローラ7が下向きに動かされたか否かの判断は、例えば、加速度ベクトルのy成分が所定値よりも大きい状態が所定期間だけ継続されたか否かによって行うことができる。より具体的には、加速度ベクトルのy成分が正の値となる状態が所定のフレーム数だけ継続された場合、ゲーム装置3は、コントローラ7が下向きに動かされたと判断する。そして、ゲーム装置3は、コントローラ7が下向きに動かされたと判断された場合、オブジェクトの速度を増加する。」

これらの記載を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「ゲームプログラムや各種データ等がCPU10によって実行され、入力装置(コントローラ7)に搭載された加速度センサ(37)から逐次出力される加速度データ(621)に基づくゲーム処理を実行するゲーム装置(3)であり、ゲーム装置は、取得手段と、平滑化手段(S3)と、ゲーム処理手段(S4)とを備え、取得手段は、加速度データを逐次取得し、平滑化手段は、加速度データにより示される加速度を平滑化した値を示す平滑化データ(631)を逐次算出し、用いられるセンサは加速度センサ1種類のみであり、ゲーム装置3のプレイヤは、モニタ2に表示されたゲーム画像を見ながら、コントローラ7を操作し、加速度センサ37によって検出される各軸の加速度値を各成分とするベクトルを加速度ベクトルと呼び、競馬ゲームにおいて、ゲーム装置3は、コントローラ7のz軸周りの回転に関する傾きを平滑化データに基づいて算出し、コントローラ7の傾きに応じて馬の移動方向を決定し、コントローラ7が下向きに動かされたと判断される場合、ゲーム装置3は、騎手に鞭を振る動作を行わせ、所定の単位時間当たりに騎手が鞭を振る回数に応じて馬の速度を算出し、コントローラ7が下向きに動かされたか否かの判断は、例えば、加速度ベクトルのy成分が所定値よりも大きい状態が所定期間だけ継続されたか否かによって行うゲーム装置3。」

(2)引用例2

引用例2には、次の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剣劇などを体感させるゲームに好適に使用され、刀剣などの棒状物を振る動作を入力するゲーム装置の入力制御装置に関するものである。」

イ.「【0011】コントローラー(A1)は、プレイヤーが操作する入力制御装置であって、多軸加速度センサー(A2),多軸ジャイロセンサー(A3),補助入力装置(A4),バイブレーション装置(A5),入出力処理部(A6)などを備えており、図3に示すように、棒状の本体(A7)に収容されている。」

ウ.「【0020】例えば、図4の(4-a)に示すように、多軸加速度センサー(A1)の出力に基づいて、○1 刀を振る動作、例えば、強弱、前後左右上下の移動のデータを作成する。また、多軸ジャイロセンサー(A2)の出力に基づいて、○2 刀を回す(ひねる)姿勢、○3 前後左右に傾ける姿勢のデータを作成する。さらに、補助入力装置(A3)の出力に基づいて、○4 方向指示操作、例えば、キャラクターの移動のデータを作成する。
【0021】S3において、S2で処理されたデータに基づいて、ゲーム内のオブジェクト(この場合には、刀)の移動した様子を、モニター(A20)のゲーム画面に出力する。例えば、図4(4-b)に示すように、モニター(A20)のゲーム画面において、作成したデータに基づいて、 刀を振る動作、 刀を回す(ひねる)動作、 前後左右に傾ける動作、 キャラクターの移動を表示する。
【0022】S4において、S3で処理した結果、CPU(A11)は、何かイベントが起きたか否かを、ゲームプログラムに従って判定する。イベントがなにも起こらない場合には、S5へ進み、イベントが起きた場合(例えば、刀と刀がぶつかり合った場合)には、S6へ処理が進む。S5に進んだ場合には、このルーチン実行前に実行していたルーチンに実行を戻す(リターンする)。
【0023】S6において、CPU(A11)は、イベントの処理(例えば、刀を弾く)を実行し、モニター(A20)のゲーム画面,スピーカー(A30)からゲームサウンド、バイブレーション装置(A4)から振動を出力する。」(審判注:公報記載の丸数字は、表示できないので、○1等で表した。)

エ.「【0025】以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)コントローラーは、刀剣の例で説明したが、「釣り竿」や、「魔法使いの杖」を想定したようなものであってもよい。魔法使いの杖の場合には、画面上でのコントローラーの表示の他に、空中での軌跡を検出して、その軌跡に応じた機能を働かせることができる。例えば、空中で杖を所定の姿勢(例えば、真上又は真横に向けて)で、所定の軌跡を描く(例えば、「Z字」,「N字」,「円形」、「三角」などを描く)と、画面上の杖の通常の表示に加えて、所定の機能(魔法や技をかけるなど)を働かせるようにすることができる。
【0026】(2) 多軸加速度センサーと多軸振動ジャイロセンサーを用いた例で説明したが、ゲームによっては、1軸や2軸のセンサであってもよい。また、加速度の代わりに、角加速度を検出してもよい。また、振動ジャイロの他に、重りを用いた姿勢センサなどを用いてもよい。」

これらの記載を総合すると、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「コントローラー(A1)は、プレイヤーが操作する入力制御装置であって、多軸加速度センサー(A2),多軸ジャイロセンサー(A3),補助入力装置(A4),バイブレーション装置(A5),入出力処理部(A6)などを備え、棒状の本体(A7)に収容され、多軸加速度センサー(A1)の出力に基づいて、 刀を振る動作、例えば、強弱、前後左右上下の移動のデータを作成し、多軸ジャイロセンサー(A2)の出力に基づいて、刀を回す(ひねる)姿勢、前後左右に傾ける姿勢のデータを作成し、データに基づいて、ゲーム内のオブジェクト(この場合には、刀)の移動した様子を、ゲーム画面に出力し、イベントが起きた場合(刀と刀がぶつかり合った場合)には、イベントの処理(刀を弾く)を実行し、コントローラーは、『釣り竿』や、『魔法使いの杖』を想定したようなものであってもよく、魔法使いの杖の場合には、画面上でのコントローラーの表示の他に、空中での軌跡を検出して、その軌跡に応じた機能を働かせることができ、空中で杖を所定の姿勢(例えば、真上又は真横に向けて)で、所定の軌跡を描く(例えば、「Z字」,「N字」,「円形」、「三角」などを描く)と、画面上の杖の通常の表示に加えて、所定の機能(魔法や技をかけるなど)を働かせるようにすることができ、ゲームによっては、1軸や2軸のセンサであってもよく、また、加速度の代わりに、角加速度を検出してもよく、また、振動ジャイロの他に、重りを用いた姿勢センサなどを用いてもよいゲーム装置の入力制御装置。」

(3)引用例3

ア.「【0008】
より詳細には、本発明は、位置センサと加速度センサを内蔵した入力装置を遊戯者が腕の振りや足の蹴りを使って大幅に動かした時、その手や足の運動位置の軌跡を表示させ、それに対応して動く被投擲物体のディスプレイ上の位置が踏み切りライン(エンドライン)を横切った瞬間の速度、方向を検知し、その結果に応じて、被投擲物体の飛行条件を決めることにより、物体を投げたり、打ったり、蹴ったりするスピード感、リズム感などの動作爽快感や練習上達感を達成可能なコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置とそのコンピュータプログラムを提供するものである。」

イ.「【0020】
入力装置30は、実際の腕の振りと同様の動きをさせる必要があるので、その外形としては、遊戯者の腕や指に装着できるように腕輪状又は指輪状の形態が使われるが、実際のダーツの矢と同じ大きさや重さを持った形態であっても構わないし、手で掴みやすい球形でも棒形でも構わない。図2に白の星形で示すポインター図形103は、入力装置30である腕輪の動きに連動して移動する。
【0021】
ここに、遊戯者が腕、つまり入力装置30を動かして、ポインター図形103を矢図形102の上に移動させると、ポインター図形103は変色ポインター図形104に変わり、以後、矢図形102と変色ポインター図形104とは入力装置30の動作と共に一緒に動くように制御される。遊戯者は、矢図形102が標的図形101に向かって飛ぶように、上下に矢印のある点線の練習軌跡ライン105上を何度か腕、つまり入力装置30の移動動作を繰り返して練習する。この腕の動作は、入力装置30に内蔵されている位置センサ9によって位置計測される。こうして、矢を投げるときの腕のスイング軌跡を表示することが出来る。ボウリングの場合は、腕のフォームの軌跡を見ることが出来るし、ゴルフの場合は、ヘッドの軌跡(実際のヘッドに入力装置を装着してもよい)を表示することができる。
【0022】
その後、遊戯者は、矢図形102を、投擲設定ラインであるスタートライン106、中間ライン107、及びエンドライン108(被投擲物体が擬似的に遊戯者の手から離れる踏み切りラインに相当)を横切るように、スピードを上げて移動させる。矢図形102のスイング移動ライン116の各ラインを横切った交叉点は、それぞれa,b,cである。各交叉点での時刻はTa,Tb,Tc、交叉角度はα、β、γである。矢図形102がエンドライン108を横切った以降は、矢の投擲状態の模擬が始まる。実際のダーツ競技では、矢は手から離れて、空中を飛行し、その飛行状態を模擬して楽しむことができるようにする。飛行状態は、矢が手を離れた瞬間の時刻Tcで、その投擲方向角度γと投擲スピードVcが初期条件として与えられると、通常の物体の重さを考慮した周知の放物線弾道方程式に従って算出され、模擬が可能である。これら投擲方向γと投擲スピードVcは、位置センサ9と加速度センサ11の出力情報により簡単に導出できるが、腕、つまり入力装置30が高速に動くので、計測は簡単ではない。なお、各投擲設定ラインは、被投擲物体図形の投擲方向に略直交する方向に設定される。」

これらの記載を総合すると、引用例3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。

「ポインター図形103は、入力装置30である腕輪の動きに連動して移動するものであり、遊戯者が入力装置30を動かして、ポインター図形103を矢図形102の上に移動させると、ポインター図形103は変色ポインター図形104に変わり、矢図形102と変色ポインター図形104とは入力装置30の動作と共に一緒に動くように制御され、遊戯者は、矢図形102を、投擲設定ラインであるスタートライン106、中間ライン107、及びエンドライン108(被投擲物体が擬似的に遊戯者の手から離れる踏み切りラインに相当)を横切るように、スピードを上げて移動させ矢図形102がエンドライン108を横切った以降は、矢の投擲状態の模擬が始まり、矢が手を離れた瞬間の時刻Tcで、その投擲方向角度γと投擲スピードVcが初期条件として与えられると、通常の物体の重さを考慮した周知の放物線弾道方程式に従って算出され、模擬が可能であり、これら投擲方向γと投擲スピードVcは、位置センサ9と加速度センサ11の出力情報により簡単に導出できるコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置。」

2.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを対比すると、
後者における「CPU」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「コンピュータ」に相当し、以下同様に、「入力装置(コントローラ)」は、「入力装置」に、「ゲーム装置」は「情報処理装置」に、「取得手段」は「取得手段」に、それぞれ相当する。
後者の「加速度センサ」と、前者の「ジャイロセンサ」とは、「センサ」という点で共通する。
後者の「加速度データ」と、前者の「ジャイロ信号」とは、「信号」(データ)という点で共通する。
後者は、「各種データ等がCPU10によって実行される」から、情報処理プログラムを備えているといえる。
後者の「モニタ2に表示されたゲーム画像」は、前者の「仮想空間」であるといえる。
後者の「競馬ゲーム」は、「騎手」が「馬」に乗った状態で操作されるものと解され、前記「騎手」が「馬」に乗った状態は、後者の「オブジェクト」に相当する。
後者の「競馬ゲーム」は、上記のとおり、前記「騎手」が「馬」に乗った状態で走るものと解され、前記「騎手」が「馬」に乗った状態で走る動作と、騎手が鞭を振る動作は、異なる動作であり、それぞれ、前者の「第1の動作」と、「第2の動作」に相当する。
後者は、前記「騎手」が「馬」に乗った状態で走る動作と、前者の騎手が鞭を振る動作をするから、それぞれの動作を制御する動作制御手段を有すると解され、それぞれ前者の「第1動作制御手段」と「第2動作制御手段」に相当する事項を有するといえる。
後者は、「加速度データにより示される加速度を平滑化した値を示す平滑化データ」に基づいて、「コントローラ7のz軸周りの回転に関する傾きを」算出して、「コントローラ7の傾きに応じて馬の移動方向を決定し」、「コントローラ7が下向きに動かされたか否かの判断は、加速度ベクトルのy成分が所定値よりも大きい状態が所定期間だけ継続されたか否かによって行」い、「コントローラ7が下向きに動かされたと判断される場合、ゲーム装置3は、騎手に鞭を振る動作を行わせ、所定の単位時間当たりに騎手が鞭を振る回数に応じて馬の速度を算出し」ているから、馬が走る動作(第1の動作)は、取得手段によって取得される加速度データ(信号)に基づいて制御されているといえる。
後者の「コントローラ7が下向きに動かされたと判断される場合、ゲーム装置3は、騎手に鞭を振る動作を行わせ(第2動作)、・・・コントローラ7が下向きに動かされたか否かの判断は、信号が所定値よりも大きい状態が所定期間だけ継続されたか否かによって行う」ことは、前者の「信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、・・・前記オブジェクトが・・・第2の動作を行う」ことに相当する。
後者は、「コントローラ7が下向きに動かされたと判断される場合、ゲーム装置3は、騎手に鞭を振る動作を行わせ(第2動作)、・・・コントローラ7が下向きに動かされたか否かの判断は、加速度ベクトルのy成分(信号)が所定値よりも大きい状態が所定期間だけ継続されたか否かによって行う」から、前者の「信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定」する「条件判定手段」を有するといえる。

したがって、両者は、
「入力装置に備えられたセンサから出力される信号に基づいて、仮想空間内のオブジェクトの動作を制御する情報処理装置のコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記センサから出力される信号を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得される信号に基づいて、前記仮想空間内で前記オブジェクトが第1の動作を行うように制御する第1動作制御手段と、
前記取得手段によって取得される信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段によって、前記取得手段によって取得される信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたと判定された場合に、前記仮想空間内で前記オブジェクトが前記第1の動作とは異なる第2の動作を行うように制御する第2動作制御手段として機能させる、情報処理プログラム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
信号が、本願発明1は、「ジャイロセンサから出力されるジャイロ信号」であるのに対して、引用発明1は、「加速度センサ(37)から逐次出力される加速度データ(621)」である点。

[相違点2]
本願発明1において、「前記第1動作制御手段によって前記オブジェクトが前記第1の動作を行うように制御されている間に、前記取得手段によって取得されるジャイロ信号の大きさに関する情報が所定の条件を満たしたか否かを判定する」のに対して、引用発明1において、「加速度ベクトルのy成分が所定値よりも大きい状態が所定期間だけ継続されたか否かによって行」われる「コントローラ7が下向きに動かされたか否かの判断」はいつ行われるのか明らかではない点。

[相違点3]
本願発明1は、「当該所定の条件を満たしたと判定されたときに取得された当該ジャイロ信号(信号)を使用して、前記仮想空間内で前記オブジェクトが・・・第2の動作を行うように制御する」のに対して、引用発明1は、「騎手が鞭を振る動作」(第2の動作)が、「コントローラ7が下向きに動かされたと判断され」たときの、加速度データ(信号)を使用しているのか否か明らかでない点。

(2)判断

前記相違点1について以下検討する。

引用発明2は、前記1(2)のとおり、「多軸加速度センサー(A2)」及び「多軸ジャイロセンサー(A3)」を有するものであって、「ゲームによっては、・・・加速度の代わりに、角加速度を検出してもよ」いものである。
しかしながら、引用例2には、前記「加速度の代わりに、角加速度を検出してもよ」いことについて、一箇所に記載(段落【0026】)があるのみであり、どのような情況なら、「加速度の代わりに、角加速度を検出してもよ」いのか、具体的に説明がされていない。
また、加速度センサーが検出する加速度と、ジャイロセンサーが検出する角加速度は、異なる物理量であり、通常は代替が可能なものとは解されない。
してみると、「用いられるセンサは加速度センサ1種類のみであ」る引用発明1に、引用発明2の前記「多軸ジャイロセンサー(A3)」を適用することは、当業者にとって容易であるとはいえない。

また、引用発明3についても検討したが、引用発明3は、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を有するものではない。

そして、前記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。
したがって、本願発明1は、引用発明1、及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3.本願発明2ないし7について
本願発明2ないし7は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明2ないし7は、前記2と同様の理由により、引用発明1、及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4.本願発明8、及び9について
本願発明8、及び9は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明8、及び9は、前記2と同様の理由により、引用発明1、2、及び3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

5.本願発明10ないし12について
本願発明1が「情報処理プログラム」の発明であるのに対して、本願発明10ないし12は、それぞれ「情報処理装置」、「情報処理システム」、「情報処理方法」の発明であること以外は、実質的に同じ事項からなる発明であるので、前記2と同様の理由により、引用発明1、及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第5 当審拒絶理由について

1.当審拒絶理由の概要
平成27年6月23日付け手続補正によって補正された請求項1ないし15の記載に不備があり、特許法第36条第2項に違反する。

2.当審拒絶理由についての判断
平成28年5月10日付け及び平成28年6月3日付け手続補正により、請求項2、5及び9が削除と各請求項が補正されるとともに、平成28年5月10日付意見書の釈明によって、当審拒絶理由は解消した。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-10-03 
出願番号 特願2008-174870(P2008-174870)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宇佐田 健二  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
畑井 順一
発明の名称 情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法  
代理人 山田 義人  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ