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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 F02M
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F02M
管理番号 1320082
審判番号 不服2015-22646  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-24 
確定日 2016-10-27 
事件の表示 特願2014-100028「ガス燃料用レギュレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月14日出願公開、特開2014-145363、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下、「本願」という。)は、平成22年6月22日に出願した特願2010-141338号の一部を平成26年5月13日に新たな特許出願としたものであって、平成27年3月6日付けで特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由が通知され、平成27年5月1日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年9月14日付けで平成27年5月1日付け手続補正書でした補正が却下されるとともに同日付けで拒絶査定がされ、平成27年12月24日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成28年7月22日付けで当審における拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成28年9月14日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成28年9月14日提出の手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲並びに出願当初の図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
シート部材と弁体からなる調圧弁を有して減圧前のガス燃料の流路を形成することが可能な耐圧性を有する高圧部ボディと、調圧室を有して前記調圧弁を通過した減圧後のガス燃料の流路を形成する低圧部ボディが別体となっており、前記高圧部ボディに導入したガス燃料を所定圧力に減圧・調整して弁軸、ダイヤフラムなどを支持するとともに前記減圧後の低圧のガス燃料の出口等を構成する低圧部を有するガス燃料用レギュレータにおいて、
前記シート部材と弁体からなる調圧弁を有して減圧前のガス燃料の流路を形成することが可能な耐圧性を有する高圧部ボディが前記低圧部と一体に形成される本体ボディに形成した装着孔に装着された減圧前のガス燃料の圧力に対応可能な高圧部であって、前記高圧部に印加される圧力に対し充分な耐圧性能を発揮する円筒状に成形して製作されたカートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に装着されていることを特徴とするガス燃料用レギュレータ。
【請求項2】
前記高圧部ボディが鍛造部材であってステンレス板材のプレス深絞り部材からなる円筒状のカートリッジ容器内に挿入されており、前記低圧部ボディが鋳造部材からなることを特徴とする請求項1記載のガス燃料用レギュレータ。
【請求項3】
前記高圧部が挿入されているカートリッジ容器が、前記本体ボディに形成された装着孔に挿入されて所定の締結手段で締結・固定されており、前記高圧部が前記低圧部に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のガス燃料用レギュレータ。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
(1)平成27年3月6日付け拒絶理由の概要

「<<<< 特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知 >>>>
(中略)
[理由1](新規性)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
[理由2] (進歩性)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[理由3] (明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



引用文献1:特開2008-180312号公報
引用文献2:特開平4-140473号公報

[理由1,2] (新規性進歩性)
・請求項1に係る発明について
・理由1または2
・引用文献1
・備考:
引用文献1(特に、段落【0030】、 【0031】、 【0044】?【0055】、【0104】、図1?12参照。)には、シート部材(引用文献1では弁座58)と弁体(引用文献1では弁体59)からなる調圧弁(引用文献1では弁機構20)を有して減圧前のガス燃料の流路を形成する高圧部(引用文献1では弁ハウジング57と第1ボディ部材18等)と、調圧室(引用文献1では圧力作用室116)を有して調圧弁を通過した減圧後のガス燃料の流路を形成する低圧部(引用文献1では第2ボディ部材19)を備えて高圧部を構成する高圧部ボディ(引用文献1では弁ハウジング57と第1ボディ部材18等)と低圧部を構成する低圧部ボディ(引用文献1では第2ボディ部材19)が別体となっており、導入したガス燃料を所定圧力に減圧・調整して下流側に送出するガス燃料用レギュレータ(引用文献1ではガス用減圧弁)において、高圧部はこれを構成する高圧部ボディとともに所定レベル以上の耐圧性能を備えたカートリッジ容器(引用文献1では第1ボディ部材18等)内に気密的に挿入された状態で着脱可能に本体側に装着されており、その本体側に設けられた低圧部の耐圧性能が高圧部よりも所定レベル以上低く設定される構成が記載されている。

・請求項2に係る発明について
・理由1または2
・引用文献1
・備考:
引用文献1には、高圧部ボディが、減圧前のガス燃料の圧力に対応可能であって、カートリッジ容器とともに高圧部に印加される圧力に対し充分な耐圧性能を発揮する構成が記載されている。

・請求項3に係る発明について
・理由1または2
・引用文献1
・備考:
引用文献1には、高圧部ボディが鍛造(引用文献1では鍛造)により製作され、低圧部ボディが鋳造(引用文献1では鋳造)により製作される構成が記載されている。

・請求項4に係る発明について
・理由1または2
・引用文献1
・備考:
引用文献1には、高圧部を挿入したカートリッジ容器が、本体側に形成された装着孔に挿入されて所定の締結手段(引用文献1ではボルト23等)で締結・固定されることにより高圧部が低圧部に接続される構成が記載されている。

・請求項5に係る発明について
・理由1または2
・引用文献1
・備考:
引用文献1には、カートリッジ容器とこれに挿入された高圧部ボディの締結方式がネジ式であって、減圧前のガス燃料の圧力が作用しない部位にて締結される構成が記載されている。

・請求項6に係る発明について
・理由2
・引用文献1及び2
・備考:
引用文献2(特に、2ページ右上欄14行目?3ページ左上欄7行目、第1図参照。)には、調整弁を構成する前カバー24、弁座取付体10、弁座ハウジング1に遠心方向に延びたフランジが形成されており、弁座取付体10のフランジが前カバー24と弁座ハウジング1にて、弁座取付体10から露出した基端側で遠心方向に突出している部分とで挟みこまれた状態となる構成が記載されている。
引用文献1の高圧部ボディ, カートリッジ容器, 低圧部ボディに、引用文献2のフランジを設けて挟み込む上記構成を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。

[理由3] (明確性)
・請求項1に係る発明について
請求項1に記載の「低圧部の耐圧性能が高圧部よりも所定レベル以上低く設定されている」なる記載において、「所定レベル」とは、どのようなレベルを示すものか不明である。
よって、請求項1に係る発明及び請求項1を引用する請求項2ないし6に係る発明は明確でない。

<特許法第50条の2の通知>
この拒絶理由通知に係る拒絶の理由は、下記の点で、本願と同時に出願されたこととなっている特願2010-141338号の平成26年3月12日付けでされた拒絶理由通知に係る拒絶の理由と同一である。

1.本願の拒絶の理由
・拒絶理由の理由1(新規性)
・請求項1,2,4,5
特願2010-141338号の拒絶の理由
・拒絶理由の理由1(新規性)
・請求項1,2,5,6

2.本願の拒絶の理由
・拒絶理由の理由2(進歩性)
・請求項1ないし5
特願2010-141338号の拒絶の理由
・拒絶理由の理由2(進歩性)
・請求項1,2,4,5,6

したがって、この拒絶理由通知に対して行う特許請求の範囲の補正は、同法第17条の2第5項及び第6項に規定されている要件を満たさなければならない。」

(2)平成27年9月14日付け拒絶査定の内容

「この出願については、平成27年3月6日付け拒絶理由通知書に記載した理由1ないし3によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
平成27年5月1日付け手続補正書で行った明細書、特許請求の範囲または図面についての補正は、補正却下の決定により却下された。」

(補足)平成27年9月14日付け補正却下の決定の内容は、以下のとおりである。

「平成27年 5月 1日付け手続補正書でした明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正は、次の理由によって却下します。

理由

平成27年5月1日付け手続補正書における補正は、補正前の請求項1の「シート部材と弁体からなる調圧弁を有して減圧前のガス燃料の流路を形成する高圧部と、調圧室を有して調圧弁を通過した減圧後のガス燃料の流路を形成する低圧部を備えて高圧部を構成する高圧部ボディと低圧部を構成する低圧部ボディが別体となっており、導入したガス燃料を所定圧力に減圧・調整して下流側に送出するガス燃料用レギュレータにおいて、高圧部はこれを構成する高圧部ボディとともに所定レベル以上の耐圧性能を備えたカートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に本体側に装着されており」なる記載を、「シート部材と弁体からなる調圧弁を有して減圧前のガス燃料の流路を形成する高圧部と、調圧室を有して調圧弁を通過した減圧後のガス燃料の流路を形成する低圧部を備えて高圧部を構成する高圧部ボディがこれを構成する高圧部ボディとともに耐圧性能を備えたカートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に本体側に装着されており」なる記載にする補正を行っている。
そこで当該補正の目的について検討するに、上記補正は、「請求項の削除」、「誤記の訂正」、「明りょうでない記載の釈明」のいずれを目的とするものでもないことは明らかである。
そして、上記補正は、補正前の「高圧部を構成する高圧部ボディと低圧部を構成する低圧部ボディが別体となっており、導入したガス燃料を所定圧力に減圧・調整して下流側に送出するガス燃料用レギュレータにおいて」なる記載を削除したものと認められるから、直列的に記載された発明特定事項の一部削除したものと認められる。してみると、上記補正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められない。
したがって、この補正は、特許法第17条の2第6項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
よって、この補正は同法第17条の2第6項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

また、仮にそうでないとしても、上記補正は、「高圧部を構成する高圧部ボディと低圧部を構成する低圧部ボディが別体となっており」なる記載を削除しているから、特願2010-141338号の補正前の請求項1に係る発明と、実質同一と認められるから、引用文献1に記載されていることは明らかである。したがって、当該補正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号、及び、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の補正された請求項3に係る発明は、特願2010-141338号(特許第5624382号)の査定後の請求項1に係る発明と、実質同一と認められるから、特許法第39条第2項に該当する拒絶理由を有する。」

2 原査定の理由についての判断
2-1 引用文献
(1)引用文献1(特開2008-180312号公報)
(1-1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の記載がある。

(ア)「【要約】
【課題】低圧通路および低圧室に通じる弁孔を中央部に開口させるとともに高圧通路に通じる弁室に臨む弁座に着座可能な弁体を有する弁機構が、前記低圧通路および前記低圧室の圧力に応じて作動する圧力受動部材に前記弁体を連結せしめてボディ内に収容されるガス減圧弁において、コスト低減を可能とする。
【解決手段】ボディ16が、強度の異なる複数のボディ部材18,19の結合により構成され、高圧通路30,64の全部が複数のボディ部材18,19のうち高強度のボディ部材18内に形成され、低圧通路85,86,94,119および低圧室83,84,116の少なくとも一部が複数のボディ部材18,19のうち低強度のボディ部材19内に形成される。」(第1ページ【要約】)

(イ)「【0001】
本発明は、低圧通路および低圧室に通じる弁孔を中央部に開口させるとともに高圧通路に通じる弁室に臨む弁座に着座可能な弁体を有する弁機構が、前記低圧通路および前記低圧室の圧力に応じて作動する圧力受動部材に前記弁体を連結せしめてボディ内に収容されるガス用減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなガス用減圧弁は、たとえば特許文献1によって既に知られている。
【特許文献1】特開2002-180907号公報」(段落【0001】及び【0002】)

(ウ)「【0003】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、ボディが単一部材から成るものであり、減圧前の高圧ガスが流通する部位で必要とされる強度を有する材料でボディ全体を形成する必要があるので、減圧後の比較的低圧のガスが流通する部位ではボディが必要以上の強度を有することになり、コスト低減の余地がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、コスト低減を可能としたガス用減圧弁を提供することを第1の目的とする。
【0005】
また減圧作用に伴ってボディの温度が低下し過ぎないようにするために、上記特許文献1で開示されたものでは、ボディの側面に設けられた凹部と、該凹部を塞ぐようにしてボディに取付けられる蓋板とで温水通路を形成し、温水通路にエンジン冷却水を導くようにしているが、通路容積を確保するためにボディの大型化を招いてしまい、しかも蓋板が必要であるので部品点数が多くなる。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ボディの大型化および部品点数の増加を回避してボディの温度低下を防止し得るようにしたガス用減圧弁を提供することを第2の目的とする。」(段落【0003】ないし【0006】)

(エ)「【0007】
上記第1の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、低圧通路および低圧室に通じる弁孔を中央部に開口させるとともに高圧通路に通じる弁室に臨む弁座に着座可能な弁体を有する弁機構が、前記低圧通路および前記低圧室の圧力に応じて作動する圧力受動部材に前記弁体を連結せしめてボディ内に収容されるガス用減圧弁において、前記ボディが、強度の異なる複数のボディ部材の結合により構成され、前記高圧通路の全部が前記複数のボディ部材のうち高強度のボディ部材内に形成され、前記低圧通路および前記低圧室の少なくとも一部が前記複数のボディ部材のうち低強度のボディ部材内に形成されることを特徴とする。
【0008】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記弁機構を同軸に収容する挿入孔を有する高強度の第1ボディ部材と、低強度の第2ボディ部材とが、前記低圧室である減圧室を相互間に形成しつつ前記弁体の軸線に沿う方向で重なるように結合されて前記ボディが構成され、前記挿入孔と同軸にして第1ボディ部材に一体に突設された横断面円形の嵌合突部が、第2ボディ部材に気密に嵌合されることを特徴とする。」(段落【0007】及び【0008】)

(オ)「【0018】
請求項1?3記載の発明によれば、低圧通路および低圧室の少なくとも一部を低強度のボディ部材で形成するようにして、強度の異なる複数のボディ部材でボディを構成するようにしたので、ボディ全体を必要以上の高強度の材料で形成することを回避して、コストを低減することができる。
【0019】
また請求項2記載の発明によれば、高強度の第1ボディ部材と、低強度の第2ボディ部材とを結合してボディを構成するようにしているので、高圧ガスが作用する部分に過不足なく高強度の材料からなる部分を配置して、ボディ全体で低強度の第2ボディ部材が占める割合を多くして、より一層のコスト低減を図ることができる。しかも弁機構を同軸に収容する挿入孔と同軸にして第1ボディ部材に一体に突設された嵌合突部が、第2ボディ部材に気密に嵌合されるので、第1および第2ボディ部材の同心性を容易に得ることができる。」(段落【0018】及び【0019】)

(カ)「【0030】
先ず図1において、このガス用減圧弁は、燃料ガスである圧縮天然ガスを減圧してエンジン(図示せず)に供給するためのものであり、そのハウジング15は、第1および第2ボディ部材18,19が相互に結合されて成るボディ16と、該ボディ16に結合されるダイヤフラムカバー17とで構成され、前記ボディ16には、弁機構20(図2参照)が収容されるとともに、電磁遮断弁21およびリリーフ弁22が配設される。
【0031】
図2において、ボディ16は、相互に異なる強度を有する複数のボディ部材、この実施例では、高強度の第1ボディ部材18と、低強度の第2ボディ部材19とが上下に重なりつつ複数たとえば4本のボルト23,23…で相互に結合されて成るものであり、第1ボディ部材18は、たとえばアルミニウム合金製の引き抜き材の切削成形またはアルミニウム合金の鍛造成形後の細部切削により形成され、第2ボディ部材19は、たとえばアルミニウム合金の鋳造成形後の細部切削により形成される。」(段落【0030】及び【0031】)

(キ)「【0044】
弁機構20は、ダイヤフラム115によって駆動されるものであり、前記挿入孔25に挿入、固定される弁ハウジング57と、該弁ハウジング57に設けられる弁座58に着座することを可能として弁ハウジング57に摺動可能に支持されるとともに前記ダイヤフラム115に連結される弁体59とを備える。
【0045】
図3に注目して、弁ハウジング57は、第1ボディ部材18の内向き鍔24側である一端側の小径部57aと、該小径部57aよりも大径である他端側の大径部57bとを軸方向両端に有して円筒状に形成されるものであり、小径部57aおよび大径部57b間の中間部で弁ハウジング57の外周には環状凹部60が設けられ、該環状凹部60を囲むようにしてフィルタ61が弁ハウジング57の外周に装着される。
【0046】
而して弁ハウジング57は、小径部57aの一端に装着される環状のシール部材62を前記内向き鍔24に弾発接触させるようにして挿入孔25の小径孔25aに挿入されるものであり、大径部57bの外周には小径孔25aの内周に弾発接触する環状のシール部材63が装着される。而して弁ハウジング57の前記小径孔25aへの挿入状態では、図2で示すように、小径孔25aの内周および弁ハウジング57間に環状の第4高圧通路64が形成されることになり、第3高圧通路30は、第4高圧通路64に通じるようにして小径孔25aの内周面に開口される。
【0047】
ところで、弁体59は弁ハウジング57の他端部を同軸にかつ軸方向移動自在に貫通するものであり、該弁体59の外周には弁ハウジング57の他端部内周に弾発的に摺接する環状のシール部材65が装着される。しかも弁ハウジング57内には、弁体59を囲むようにして弁室66が形成されており、弁ハウジング57には、前記フィルタ61を介して第4高圧通路64を前記弁室66に通じさせる複数の連通孔67…が設けられる。
【0048】
前記弁ハウジング57の一端部には、弁体59と同軸の弁孔68が設けられており、この弁孔68を中央部に開口させたテーパ状の弁座58が、前記弁室66に臨んで弁ハウジング57の先端側内面に形成され、弁体59の一端部には前記弁座58に着座可能な環状のシール部59aが形成される。
【0049】
前記弁体59の一端には、弁孔68および内向き鍔24の中央部を緩く貫通するようにして弁孔68の内径よりも小径に形成される軸69の基端が同軸にかつ一体に連設されており、この軸69の先端には拡径係合部69aが形成される。
【0050】
前記挿入孔25のねじ孔25cには、前記弁ハウジング57の他端に当接して該弁ハウジング57を前記内向き鍔24との間に挟持するリング状の押さえ部材70が螺合されており、該押さえ部材70には、前記弁体59よりも大径であるねじ孔71が、弁体59の他端部を挿入するようにして該弁体59と同軸に設けられる。しかも押さえ部材70の前記弁ハウジング57とは反対側の端面には、前記ねじ孔25cに螺合すべく前記押さえ部材70を回転操作するための工具(図示せず)を係脱可能に係合するための有底の係合孔76が設けられる。
【0051】
前記挿入孔25の開口端は調節部材72で気密に閉じられる。この調節部材72は、前記挿入孔25における大径孔25dの内面に弾発的に接触する環状のシール部材75が外周に装着されて前記大径孔25dに嵌合される大径部72aと、該大径部72aよりも小径に形成されるとともに前記押さえ部材70のねじ孔71に螺合する雄ねじ73が外周に刻設されるようにして前記大径部72aの一端に同軸にかつ一体に連設される小径部72bと、図示しない工具を係合することを可能としてたとえば六角形状に形成されるとともに前記大径部72aの他端から同軸に突設される工具係合部72cとを一体に有する。而して雄ねじ73を押さえ部材70のねじ孔71に螺合した状態で工具係合部72cに工具を係合して回転操作することにより、前記調節部材72は、弁機構20の弁体59と同軸の軸線に沿う方向の進退が可能となる。
【0052】
また前記調節部材72の小径部72bおよび前記弁機構20における弁体59の他端間には背面コイルばね74が縮設されており、前記調節部材72の軸方向に沿う進退位置を該調節部材72の回転操作によって調節することにより、前記背面コイルばね74のばね荷重を調節することができる。
【0053】
図7?図9を併せて参照して、第2ボディ部材19には、前記第1ボディ部材18側に配設される弁機構20の軸線に沿う中間部に位置する隔壁78が設けられ、その隔壁78よりも第1ボディ部材18側で第2ボディ部材19には、隔壁78側から順に減圧室形成孔79と、該減圧室形成孔79よりも大径である嵌合孔80とが、第1ボディ部材18に設けられる挿入孔25と同軸にして相互に連なるように設けられ、前記隔壁78に関して第1ボディ部材18とは反対側で前記第2ボディ部材19には、圧力作用室形成孔81が、前記減圧室形成孔79および前記嵌合孔80と同軸に設けられる。
【0054】
一方、第1ボディ部材18には、前記挿入孔25と同軸である横断面円形の嵌合突部18aが一体に突設されており、この嵌合突部18aは前記嵌合孔80に嵌合される。而して嵌合突部18aの外周には嵌合孔80の内周に弾発的に接触する環状のシール部材82が装着されており、嵌合突部18aは嵌合孔80に気密に嵌合されることになる。
【0055】
前記嵌合突部18aを嵌合孔80に嵌合した状態で、第1および第2ボディ部材18,19は、嵌合突部18aを囲繞して第1ボディ部材18に装着された環状のシール部材90を相互間に介在せしめるようにして前記ボルト23…で結合されるものであり、第1および第2ボディ部材18,19の結合状態では、嵌合突部18aの先端および隔壁78間には、前記減圧室形成孔79で外周が規定される第1の低圧室としての減圧室83が形成されることになり、この減圧室83は前記弁機構20の弁孔68に連通する。
【0056】
ところで調節部材72で開口端が気密に閉じられた前記挿入孔25内には、前記弁機構20における弁体20の他端を臨ませる第2の低圧室としての背圧室84が形成されており、この背圧室84は、弁ハウジング57の外周に装着されるシール部材63が挿入孔25における小径孔25aの内面に弾発的に接触し、また弁体59の外周に装着されるシール部材65が弁ハウジング57の内周に弾発的に接触していることにより、前記小径孔25a内で弁ハウジング57および第1ボディ部材18間に形成されている環状の第4高圧通路64とは気密に隔絶されている。しかも第1ボディ部材18には、前記減圧室83を前記背圧室84に連通せしめる第1の低圧通路としての小径連通路85(図2参照)が設けられており、背圧室84は減圧室83に連通している。
【0057】
第2ボディ部材19には、減圧室形成孔79の内面に内端を開口させる第2の低圧通路である出口通路86が、減圧室形成孔79の半径方向に軸線を沿わせるようにして設けられる。すなわち出口通路86は減圧室83に通じるものであり、出口通路86に同軸に連なって第2ボディ部材19に設けられた出口側接続孔88に、減圧された圧縮天然ガスを導出する出口側接続管89が圧入等によって気密に接続される。」(段落【0044】ないし【0057】)

(ク)「【0077】
一方、弁機構20の弁体59に連結される弁軸105には、前記第1リテーナ120の内周に係合する環状係合部105aと、第1リテーナ120、ダイヤフラム115および第2リテーナ121の中央部に挿通される軸部105bが同軸に設けられており、軸部105bの外周には雄ねじ123が刻設される。而して第1リテーナ120との間にOリング122を介在させて第1リテーナ120、ダイヤフラム115および第2リテーナ121の中央部に挿通される軸部105bの前記雄ねじ123には、第2リテーナ121との間にワッシャ124を挟むようにしてナット125が螺合され、ナット125を締めつけることにより、ダイヤフラム115が弁機構20の弁体59の一端に同軸に連動、連結されることになる。」(段落【0077】)

(ケ)「【0084】
また調節部材72で開口端が気密に閉じられた挿入孔25内に、ボディ16の第1ボディ部材18内に形成されている第1?第4高圧通路27,28,30,64とは気密に隔絶されるとともに減圧室83に連通される背圧室84が、弁体59の他端を臨ませるようにして形成されるので、弁体59を軸方向に駆動する圧力差が生じることがないように弁体59の両端に減圧室83の圧力を作用せしめるようにして弁体59の作動を円滑化することができるとともに、背面コイルばね74に接触する部材からこすれによって切粉が生じたとしても、その切粉が弁体59および弁座58間に噛み込んでしまうことを極力防止することができる。
【0085】
また前記ボディ16は、強度の異なる複数のボディ部材、この実施例では第1および第2ボディ部材18,19の結合により構成されており、高圧ガスを流通させる第1?第4高圧通路27,28,30,64の全部が高強度の第1ボディ部材18内に形成され、第1?第4の低圧路である小径連通路85、出口通路86、弁孔94および連通路119ならびに第1?第3の低圧室である減圧室83、背圧室84および圧力作用室116の少なくとも一部、この実施例では出口通路86、弁孔94および連通路119が低強度の第2ボディ部材19に形成されており、ボディ16全体を必要以上の高強度の材料で形成することを回避して、コストを低減することができる。しかも高圧ガスが作用する部分に過不足なく高強度の材料からなる部分を配置して、ボディ16全体で低強度の第2ボディ部材19が占める割合を多くして、より一層のコスト低減を図ることができる。」(段落【0084】及び【0085】)

(コ)「【0104】
ボディ16′は、相互に異なる強度を有する複数のボディ部材、この実施例では、高強度の第1ボディ部材18′と、低強度の第2ボディ部材19′とが上下に重なりつつ複数たとえば4本のボルト23,23…で相互に結合されて成るものであり、第1ボディ部材18′は、たとえばアルミニウム合金製の引き抜き材の切削成形またはアルミニウム合金の鍛造成形後の細部切削により形成され、第2ボディ部材19′は、たとえばアルミニウム合金の鋳造成形後の細部切削により形成される。」(段落【0104】)

(1-2)引用発明
上記(1-1)及び図1ないし13から、引用文献1には、
「弁座58と弁体59からなる弁機構20を有して高圧の天然ガスの流路を形成することが可能な高強度の第1ボディ部材18と、減圧室83を有して前記弁機構20を通過した減圧された天然ガスの流路を形成する第2ボディ部材が別体となっており、前記第1ボディ部材18に導入した天然ガスを所定圧力に減圧・調整して弁軸105、ダイヤフラム115などを支持するとともに前記減圧後の低圧の天然ガスの出口側接続孔88等を構成する低圧部を有するガス用減圧弁において、
前記弁座58と弁体59からなる弁機構20を有して高圧の天然ガスの流路を形成することが可能な高強度の第1ボディ部材18が前記低圧部と一体に形成される第2ボディ部材に形成した挿入孔25に装着された高圧の天然ガスの圧力に対応可能な高圧部を有する、
ガス用減圧弁。」
という発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2)引用文献2(特開平4-140473号公報)
(2-1)引用文献2の記載事項
引用文献2には、以下の記載がある。

(ア)「第1図は、本発明を適用したアイドル回転数制御弁の断面図を示し、このアイドル回転数制御弁は、吸気管のバイパス通路を弁室内で二系統に分けて各々のポートから送出する構造である。
1は弁本体となる弁ハウジングで、弁ハウジングl内には上下2つの弁室2、3が連通して形成され、下側の弁室3の側部に入口ポート4が形成され、弁室3の下部に出口ポート5が形成される。また、上側の弁室2の側部にも出口ポート6が形成される。
下側の弁室3の下部に形成した出口ポート5の直上に、中央に流通孔を持つ弁座7が取付けられ弁軸8の下端に固定された弁体9が、上下動して弁座7の流通孔を開閉調整するように配設される。
上側の弁室2内に、有底筒状の弁座取付体10が配設される。この有底筒状の弁座取付体10内に、中央に流通孔をもつ弁座13が取付けられ、さらに、その取付体の底部には上下の弁室2、3を連通させるための開口部11が形成される。また、上記の弁軸8が弁座取付体10の底部中央に設けられた軸受部14を上下に貫通し、その弁座取付体10の底部と弁体9間にコイルばね12が介挿される。弁軸8は軸受部14によって摺動自在に支持され、コイルばね12により下方に付勢される。
上側弁室2内における弁軸8の上端には、弁座13の流通孔を開閉制御するリフト式の弁体15が取付けられる。
筒状の弁座取付体10は、第2図に示すように、弁室2内の中間位置に配置され、その側壁部(壁体)における出口ポート6と対向しない位置に連通孔10aを有してるため、その側壁部の内側と外側の空間つまり弁室2内に長く曲折した空気の流通路が形成される。
弁ハウジング1の上部には、ステップモータ20のモータハウジング21が下向きに取付けられ、モータハウジング21は弁座取付体10のフランジ部、前カバー24と共に、弁ハウジング1のフランジ部にねじで締付け固定される。
モータハウジング21内にはボビンに励磁コイル22を巻装したステータが固定され、その内側にロータ23が配設される。ロータ23はその上部を軸受25を介してモータハウジング21に支持され、ローラ23の下部は軸受26を介して前カバー24に支持される。
ロータ23の外周部に永久磁石27が取着され、ロータ23の内周にはめねじが設けられる。このめねじと螺合するおねじを有する出力軸28がロータ23の内側に配設される。この出力軸28は前カバー24に設けた軸受部により上下摺動自在に支持され、出力軸28の先端は、前カバー24から下方の弁室2内に突出し、上述の弁体9と15を取付けた弁軸8の上端に連結される。」(第2ページ右上欄第14行ないし第3ページ左上欄第7行)

(2-2)引用文献2記載の技術
上記(2-1)及び図1ないし6から、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているといえる。

「調整弁を構成する前カバー24、弁座取付体10、弁ハウジング1に遠心方向に延びたフランジが形成されており、弁座取付体10のフランジが前カバー24と弁ハウジング1にて、弁座取付体10から露出した基端側で遠心方向に突出している部分とで挟みこまれた状態となる技術。」

2-2 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「弁座58」は、その技術的意義からみて、本願発明1における「シート部材」に相当し、以下同様に、「弁体59」は「弁体」に、「弁機構20」は「調圧弁」に、「高圧の」は「減圧前の」に、「天然ガス」は「ガス燃料」に、「高強度の」は「耐圧性を有する」に、「第1ボディ部材18」は「高圧部ボディ」に、「減圧室83」は「調圧室」に、「減圧された」は「減圧後の」に、「第2ボディ部材」は「低圧部ボディ」及び「本体ボディ」に、「弁軸105」は「弁軸」に、「ダイヤフラム115」は「ダイヤフラム」に、「出口側接続孔88」は「出口」に、「ガス用減圧弁」は「ガス燃料用レギュレータ」に、「挿入孔25」は「装着孔」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「シート部材と弁体からなる調圧弁を有して減圧前のガス燃料の流路を形成することが可能な耐圧性を有する高圧部ボディと、調圧室を有して前記調圧弁を通過した減圧後のガス燃料の流路を形成する低圧部ボディが別体となっており、前記高圧部ボディに導入したガス燃料を所定圧力に減圧・調整して弁軸、ダイヤフラムなどを支持するとともに前記減圧後の低圧のガス燃料の出口等を構成する低圧部を有するガス燃料用レギュレータにおいて、
前記シート部材と弁体からなる調圧弁を有して減圧前のガス燃料の流路を形成することが可能な耐圧性を有する高圧部ボディが前記低圧部と一体に形成される本体ボディに形成した装着孔に装着された減圧前のガス燃料の圧力に対応可能な高圧部を有する、
ガス燃料用レギュレータ。」
で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
本願発明1においては、高圧部ボディが「前記高圧部に印加される圧力に対し充分な耐圧性能を発揮する円筒状に成形して製作されたカートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に装着されている」のに対し、引用発明においては、第1ボディ部材がそのように装着されているか否か明らかでない点(以下、「相違点」という。)。

2-3 判断
上記相違点について検討する。
本願発明1における「高圧部ボディ」に相当するものは、引用発明における「第1ボディ部材18」であるが、引用文献1の実施例を参照すると、「第1ボディ部材18」は、「第2ボディ部材」に直接結合されており、本願発明1のように「カートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に装着されている」ものではない。
また、引用文献1及び2には、本願発明1における高圧部ボディに相当するものが「カートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に装着されている」ことは、記載も示唆もされていない。
一方、本願発明1は、相違点に係る発明特定事項を有することにより、
「・・・高圧部ボディ3含む高圧部A全体を挿入してなるカートリッジ容器4は、本体ボディ2に形成した装着孔20に挿入して、カートリッジ容器4の外部に露出した高圧部ボディ3基端側のフランジ33に設けたボルト孔を介しボルト60で本体ボディ2に締結・固定されることにより、そのまま高圧部Aが本体ボディ2側の低圧部Bに接続されるようになっており、高圧部Aの本体側への装着作業の容易化が図られている。」(段落【0022】)という、引用発明からは予想し得ない格別な作用効果を奏するものである。
してみれば、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたものとすることはできない。

よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

また、本願発明2及び3は、本願発明1をさらに限定するものであるから、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に想到することができたとはいえない。

よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
「<理由1>
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1において、「カートリッジ容器」がどのようなものであるのか、明確でない。(例えば、「円筒状のカートリッジ容器」とする補正を検討されたい。)
(2)請求項1において、「高圧部ボディが・・・カートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に・・・装着孔に装着されており」と記載されているが、高圧部ボディが、カートリッジ容器を介して装着孔に装着されているのかどうか、明確でない。
(3)請求項1において、「前記本体ボディに設けられた前記低圧部の耐圧性能が前記高圧部よりも所定レベル以上低く設定されている」と記載されているが、「本体ボディ」のうち、低圧部以外の部分(図1において低圧部に含まれない部分)は、どのような耐圧性能を有するのか明確でない。
(4)請求項1において、「前記高圧部はこれを構成する高圧部ボディが所定レベル以上の耐圧性能を備えたカートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に前記低圧部と一体に形成される本体ボディに形成した装着孔に装着されており」という記載からは、「カートリッジ容器」が「所定レベル以上の耐圧性能を備えた」ことが分かるが、「高圧部」及び「高圧部ボディ」の耐圧性能が「所定レベル以上」であるのかどうか明確でない。
また、「前記本体ボディに設けられた前記低圧部の耐圧性能が前記高圧部よりも所定レベル以上低く設定されている」という記載では、低圧部の耐圧性能が明確でない。
(5)請求項3において、「製作」と「制作」の違いが不明である。
(6)請求項3に係る発明は、「ガス燃料用レギュレータ」(物の発明)であるが、「前記高圧部ボディが鍛造により製作されているとともにステンレス板材をプレス深絞りにより円筒状に成形して制作されたカートリッジ容器に挿入され、前記低圧部ボディが鋳造により製作された」との記載は、製造に関して技術的な特徴や条件が付された記載がある場合に該当するため、当該請求項にはその物の製造方法が記載されているといえる。
また、請求項4に係る発明は、「ガス燃料用レギュレータ」(物の発明)であるが、「前記高圧部を挿入したカートリッジ容器が、前記本体側に形成された装着孔に挿入されて所定の締結手段で締結・固定されることにより前記高圧部が前記低圧部に接続される」との記載は、製造に関して技術的な特徴や条件が付された記載がある場合に該当するため、当該請求項にはその物の製造方法が記載されているといえる。
ここで、物の発明に係る特許請求の範囲にその物を製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情(以下「不可能・非実際的事情」という)が存在するときに限られると解するのが相当である(最高裁第二小法廷平成27年6月5日 平成24年(受)第1204号、平成24年(受)第2658号)。
しかしながら、本願明細書等には不可能・非実際的事情について何ら記載がなく、当業者にとって不可能・非実際的事情が明らかであるともいえない。
したがって、請求項3及び請求項3を引用する請求項4ないし6、請求項4並びに請求項4を引用する請求項5及び6に係る発明は明確でない。
(中略)

<理由2>
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1において、「高圧部ボディが・・・カートリッジ容器内に気密的に挿入された状態で着脱可能に・・・装着されており」と記載されているが、この記載では、高圧部ボディがカートリッジ容器を介さずに装着される(高圧部ボディのうちカートリッジ容器以外の部分が本体ボディの装着孔に装着される)ものも含まれると解される。
しかしながら、発明の詳細な説明においては、カートリッジ容器を介して装着されるものしか開示されていない。
したがって、請求項1ないし6に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
(2)請求項1において、「前記低圧部と一体に形成される本体ボディ」と記載されているが、低圧部とは、明細書の記載によれば、「調圧室14を有して調圧弁を通過した減圧後のガス燃料の流路を形成する破線で囲まれた低圧部B」(段落【0018】)であって、図1における「ダイヤフラム13」及び「弁軸10」等も「低圧部B」に含まれるものである。
しかし、図1において、「本体ボディ」は、「ダイヤフラム13」及び「弁軸10」等と一体に形成されていない。
したがって、請求項1ないし6に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

<理由3>
この出願は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1において、「前記本体ボディに設けられた前記低圧部の耐圧性能が前記高圧部よりも所定レベル以上低く設定されている」と記載されていることから、「本体ボディ」のうち、低圧部以外の耐圧性能は、低圧部の耐圧性能よりも高く設定されていると解される。
また、明細書(特に段落【0018】)及び図1の記載によれば、一体に形成される「本体ボディ」は、高圧部Aに含まれる部分と、低圧部Bに含まれる部分と、どちらにも含まれない部分とを有するものである。
したがって、本体ボディは、耐圧性能が高い部分と、耐圧性能が低い部分と、それ以外の部分とを有するものと解される。
しかるに、一体に形成される「本体ボディ」において、耐圧性能の高い部分と、低い部分と、それ以外の部分とを設けるには、どのような製造方法を用いるのか、発明の詳細な説明を参照しても明確でない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1ないし6に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。」

2 当審拒絶理由についての判断

平成28年9月14日付け手続補正書による補正により、補正前の請求項1における「カートリッジ容器」は、「円筒状に成形して製作されたカートリッジ容器」と補正され、カートリッジ容器が円筒状のものであることが明確になった。
また、補正前の請求項1における「高圧部ボディ」が、「減圧前のガス燃料の流路を形成することが可能な耐圧性を有する高圧部ボディ」と補正され、高圧部ボディが減圧前のガス燃料に対応する耐圧性を有することが明らかになった。
また、補正前の請求項1における「低圧部」が、「弁軸、ダイヤフラムなどを支持するとともに前記減圧後の低圧のガス燃料の出口等を構成する低圧部」と補正され、低圧部が弁軸、ダイヤフラムなどとは別体であることが明らかになった。
また、補正前の請求項3における「前記高圧部ボディが鍛造により製作されているとともにステンレス板材をプレス深絞りにより円筒状に成形して制作されたカートリッジ容器に挿入され、前記低圧部ボディが鋳造により製作された」という、製造に関して技術的な特徴や条件が付された記載は、補正後の請求項2における「前記高圧部ボディが鍛造部材であってステンレス板材のプレス深絞り部材からなる円筒状のカートリッジ容器内に挿入されており、前記低圧部ボディが鋳造部材からなる」という、状態を表す記載に補正された。
また、補正前の請求項4における「前記高圧部を挿入したカートリッジ容器が、前記本体側に形成された装着孔に挿入されて所定の締結手段で締結・固定されることにより前記高圧部が前記低圧部に接続される」という、製造に関して技術的な特徴や条件が付された記載は、補正後の請求項3における「前記高圧部が挿入されているカートリッジ容器が、前記本体ボディに形成された装着孔に挿入されて所定の締結手段で締結・固定されており、前記高圧部が前記低圧部に接続されている」という、状態を表す記載に補正された。
これらの補正により、当審拒絶理由通知において指摘した特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに同法同条第4項第1号の拒絶理由は解消された。

すなわち、当審拒絶理由については解消された。

3 小括
当審拒絶理由については、平成28年9月14日提出の手続補正書によって解消された。
そうすると、もはや、当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-10-17 
出願番号 特願2014-100028(P2014-100028)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02M)
P 1 8・ 536- WY (F02M)
P 1 8・ 537- WY (F02M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 赤間 充  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 梶本 直樹
金澤 俊郎
発明の名称 ガス燃料用レギュレータ  
代理人 橋本 克彦  
代理人 橋本 京子  
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