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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1320199
異議申立番号 異議2015-700229  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-27 
確定日 2016-08-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5725325号発明「重合性液晶組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5725325号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7、9ないし19〕について訂正することを認める。 特許第5725325号の請求項1ないし7、9ないし19に係る特許を維持する。 特許第5725325号の請求項8に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5725325号の請求項1?19に係る特許についての出願は、国際出願日である平成22年2月18日(優先権主張 平成21年2月20日、同年3月13日)にされたとみなされる特許出願(特願2010-516711号)の一部を新たに特許出願したものであって、平成27年4月10日にその特許権の設定登録がされ、同年11月27日付けで特許異議申立人 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング(以下、単に「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年2月17日付けの取消理由(以下、単に「取消理由」という。)が通知され、同年4月18日付けで意見書が提出されるとともに訂正の請求がされ、同年6月27日付け(受理日:同年6月29日)で特許異議申立人により意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成28年4月18日付けでされた訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)による訂正の内容は、次のとおりである(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「重合性液晶化合物及び光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤がアシルフォスフィンオキシド系化合物であり、該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)
【化1】


(式中、Spは炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基、あるいは式(I-b-1)、式(I-b-2)又は式(I-b-3)
【化2】


を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立的に、-COO-、-OCO-、-CH_(2) CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表すが、Z0、Z1及びZ2のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、
mは0又は1を表し、nは0、1、2又は3を表し、
Pは一般式(I-c)又は、一般式(I-d)
【化3】


(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(1)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(1)は一般式(I-a)
【化4】


(式中、P、Sp及びmは一般式(I)と同じ意味を表すが、二つのP、Sp及びmは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表され、光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする重合性液晶組成物。」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を、
「重合性液晶化合物及び光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤として、光吸収帯ピークが波長320?360nmにある光重合開始剤、及び光吸収帯ピークが波長280?320nmにある光重合開始剤を含有し、該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)
【化1】


(式中、Spは炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基、あるいは式(I-b-1)、式(I-b-2)又は式(I-b-3)
【化3】


を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立的に、-COO-、-OCO-、-CH_(2) CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表すが、Z0、Z1及びZ2のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、
mは0又は1を表し、nは0、1、2又は3を表し、
Pは一般式(I-c)又は、一般式(I-d)
【化3】


(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(1)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(1)は一般式(I-a)
【化4】


(式中、P、Sp及びmは一般式(I)と同じ意味を表すが、二つのP、Sp及びmは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表される光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする重合性液晶組成物。」と訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を、
「光吸収帯ピークが波長320?400nmにある該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つと光重合開始剤の光吸収帯のピーク波長の差が30nm以内である請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。」と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を、
「光吸収帯ピークが波長320?400nmにある該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つの骨格中に二重結合を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。」と訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9を、
「一般式(I)で表される化合物が一般式(II)
【化4】

(式中、Z^(3)は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?20の炭化水素基を表し、Z^(4)は水素原子又はメチル基を表し、W^(3)は単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、vは0?18の整数を表し、uは0又は1を表し、D、E及びFはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH_(2)基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y^(6)及びY^(7)はそれぞれ独立的に単結合、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-(CH_(2))_(4)-、-CH_(2)CH_(2)CH_(2)O-、-OCH_(2)CH_(2)CH_(2)-、-CH=CHCH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-又は-CH=N-N=CH-を表し、Y^(6)及びY^(7)の少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、
Y^(8)は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表すが、W^(3)が単結合を表す場合vは2?18の整数を表す。)で表される化合物である請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。」と訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10を、
「一般式(I)で表される化合物が一般式(III)
【化5】

(式中、Z^(5)、Z^(6)はそれぞれ独立的に水素原子、又はメチル基を表し、G、H及びIはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH_(2)基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、mは0から3の整数を表し、W^(1)及びW^(2)はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、Y^(1)及びY^(2)はそれぞれ独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表し、Y^(1)及びY^(2)のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、r及びsはそれぞれ独立的に2?18の整数を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。」と訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11を、
「一般式(I)で表される化合物の濃度が0.1?4%である請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。」と訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項12を、
「一般式(I)で表される化合物以外の重合性液晶化合物として、一般式(IV)
【化6】

(式中、Sp1は炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A4、A5及びA6はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z4、Z5、Z6及びZ7はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH_(2) CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、
oは0又は1を表し、
qは0、1、2又は3を表し、
P1は一般式(IV-c)又は、一般式(IV-d)
【化7】

(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(2)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(2)は一般式(IV-a)
【化8】

(式中、P^(1)、Sp^(1)及びoは一般式(IV)と同じ意味を表すが、二つのP^(1)、Sp^(1)及びoは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表される化合物を含有する請求項1、2、9から11のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。」と訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項15を、
「重合性液晶組成物がベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体又はシクロヘキサン誘導体を分子の中心の母核とし、直鎖のアルキル基、直鎖のアルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基がその側鎖として放射状に置換した構造である円盤状液晶化合物を含有することを特徴とする請求項1から7、9から14のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
」と訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項17を、
「重合性液晶組成物が、0.5?5%の非液晶性重合性化合物を含有する請求項1から7、9から16のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。」と訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項19を、
「請求項1から7、9から18のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物を硬化させた光学異方体。」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項毎か否か、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1に「光吸収帯が波長280?400nmの光重合開始剤」とあるのを「光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤」に訂正(以下、「訂正事項1-1」という。)するものであり、また、訂正前の請求項1に「該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つの光吸収帯が波長320?400nmであることを特徴とする」とあるのを「該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)・・・で表され、光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする」に訂正(以下、「訂正事項1-2」という。)するものである。
訂正事項1-1は、光重合開始剤の光吸収帯ピークが位置する波長を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
訂正事項1-2は、重合性液晶化合物の構造式を一般式(I)で限定し、且つ、重合性液晶化合物の光吸収帯ピークが位置する波長を明確にするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1-1は、明細書の段落【0020】、【0115】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当しない。
訂正事項1-2は、訂正前の請求項8並びに明細書の段落【0050】、【0122】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項1-1及び1-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2に「光吸収帯が波長280?400nmの光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤として、光吸収帯が波長320?360nmの光重合開始剤、及び光吸収帯が波長280?320nmの光重合開始剤を含有し」とあるのを「光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤として、光吸収帯ピークが波長320?360nmにある光重合開始剤、及び光吸収帯ピークが波長280?320nmにある光重合開始剤を含有し」に訂正(以下、「訂正事項2-1」という。)するものであり、また、訂正前の請求項2に「該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つの光吸収帯が波長320?400nmであることを特徴とする」とあるのを「該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)・・・で表される光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする」に訂正(以下、「訂正事項2-2」という。)するものである。
訂正事項2-1は、光重合開始剤の光吸収帯ピークが位置する波長を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
訂正事項2-2は、重合性液晶化合物の構造式を一般式(I)で限定し、且つ、重合性液晶化合物の光吸収帯ピークが位置する波長を明確にするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2-1は、明細書の段落【0020】、【0115】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当しない。
訂正事項2-2は、訂正前の請求項8並びに明細書の段落【0050】、【0122】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項2-1及び2-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項3に「光吸収帯が波長320?400nmである該重合性液晶化合物」とあるのを「光吸収帯ピークが波長320?400nmにある該重合性液晶化合物」に訂正するものであり、重合性液晶化合物の光吸収帯ピークが位置する波長を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3は、訂正前の明細書の段落【0050】、【0122】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項4に「光吸収帯が波長320?400nmである該重合性液晶化合物」とあるのを「光吸収帯ピークが波長320?400nmにある該重合性液晶化合物」に訂正するものであり、重合性液晶化合物の光吸収帯ピークが位置する波長を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項4は、訂正前の明細書の段落【0050】、【0122】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項5は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項9に記載される一般式(II)中のY^(6)及びY^(7)が採用し得る基の中から、「-CH=CH-」及び「-CF=CF-」を削除する訂正(以下、「訂正事項6-1」という。)を含み、また、訂正前の請求項9が従属する請求項を「請求項8」から「請求項1又は請求項2」に変更する訂正(以下、「訂正事項6-2」という。)を含むものである。
訂正事項6-1は、請求項の一部を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記2(1)及び2(2)を踏まえると、訂正後の請求項1又は請求項2は、訂正前の請求項8の内容を取り込んだ上で、選択可能な基の一部を削除するものであるから、訂正事項6-2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
よって、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項6は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)訂正事項7
訂正事項7は、訂正前の請求項10に記載される一般式(III)中のY^(1)及びY^(2)が採用し得る基の中から、「-CH=CH-」を削除する訂正(以下、「訂正事項7-1」という。)を含み、また、訂正前の請求項10が従属する請求項を「請求項8」から「請求項1又は請求項2」に変更する訂正(以下、「訂正事項7-2」という。)を含むものである。
訂正事項7-1は、請求項の一部を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記2(1)及び2(2)を踏まえると、訂正後の請求項1又は請求項2は、訂正前の請求項8の内容を取り込んだ上で、選択可能な基の一部を削除するものであるから、訂正事項7-2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
よって、訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項7は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)訂正事項8
訂正事項8は、訂正前の請求項11が従属する請求項を「請求項8」から「請求項1又は請求項2」に変更する訂正である。
上記2(1)及び2(2)を踏まえると、訂正後の請求項1又は請求項2は、訂正前の請求項8の内容を取り込んだ上で、選択可能な基の一部を削除するものであるから、訂正事項8は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項8は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(9)訂正事項9
訂正事項9は、訂正前の請求項12が従属する請求項を「請求項8から11」から「請求項1、2、9から11」に変更する訂正である。
上記2(1)及び2(2)を踏まえると、訂正後の請求項1又は請求項2は、訂正前の請求項8の内容を取り込んだ上で、選択可能な基の一部を削除するものであるから、訂正事項9は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項9は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(10)訂正事項10
訂正事項10は、訂正前の請求項15が従属する請求項を「請求項1から14」から「請求項1から7、9から14」に減らす訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項10は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(11)訂正事項11
訂正事項11は、訂正前の請求項17が従属する請求項を「請求項1から16」から「請求項1から7、9から16」に減らす訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項11は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(12)訂正事項12
訂正事項12は、訂正前の請求項19が従属する請求項を「請求項1から18」から「請求項1から7、9から18」に減らす訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項12は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、訂正事項1?12は、特許請求の範囲についての訂正であるが、訂正後の請求項2?7、9?19は、訂正後の請求項1を引用するものであり、訂正後の請求項1?7、9?19は一群の請求項であるから、これらの訂正は一群の請求項毎にされている。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正の請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において読み替えて準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するので、本件訂正の請求による訂正後の請求項1?7、9?19について、訂正を認める。

第3 本件特許発明について
本件訂正の請求により訂正された請求項1?7、9?19に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1?7、9?19」という。)のうち、本件特許発明1及び2は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
重合性液晶化合物及び光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤がアシルフォスフィンオキシド系化合物であり、該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)
【化1】

(式中、Spは炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基、あるいは式(I-b-1)、式(I-b-2)又は式(I-b-3)
【化2】

を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立的に、-COO-、-OCO-、-CH_(2) CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表すが、Z0、Z1及びZ2のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、
mは0又は1を表し、nは0、1、2又は3を表し、
Pは一般式(I-c)又は、一般式(I-d)
【化3】

(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(1)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(1)は一般式(I-a)
【化4】

(式中、P、Sp及びmは一般式(I)と同じ意味を表すが、二つのP、Sp及びmは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表され、光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする重合性液晶組成物。
【請求項2】
重合性液晶化合物及び光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤として、光吸収帯ピークが波長320?360nmにある光重合開始剤、及び光吸収帯ピークが波長280?320nmにある光重合開始剤を含有し、該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)
【化1】

(式中、Spは炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基、あるいは式(I-b-1)、式(I-b-2)又は式(I-b-3)
【化3】

を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立的に、-COO-、-OCO-、-CH_(2) CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表すが、Z0、Z1及びZ2のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、
mは0又は1を表し、nは0、1、2又は3を表し、
Pは一般式(I-c)又は、一般式(I-d)
【化3】

(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(1)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(1)は一般式(I-a)
【化4】

(式中、P、Sp及びmは一般式(I)と同じ意味を表すが、二つのP、Sp及びmは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表される光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする重合性液晶組成物。」

第4 取消理由の概要
取消理由の概要は以下のとおりである。
本件発明1?5及び19は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、本件発明1?5及び19に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。以下、「取消理由1」という。
また、本件発明2?4、6?9、12、14及び19は、その出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、本件発明2?4、6?9、12、14及び19に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。以下、「取消理由2」という。
さらに、本件発明1、3?4、6?10、12?14、17及び19は、その出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1、3?4、6?10、12?14、17及び19に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。以下、「取消理由3」という。

第5 取消理由についての判断
1 刊行物及び刊行物の記載事項
Lub et al., Advanced Functional Materials, 2005, 15, 1961-1972(特許異議申立書の証拠方法である甲第1号証。以下、単に「甲1」という。)
英国特許出願公開第2425774号明細書(特許異議申立書の証拠方法である甲第3号証。以下、単に「甲3」という。)
(1)甲1の記載事項
甲1には、以下の記載がある。なお、訳文は特許異議申立書に添付された甲1の抄訳文及び当審による。
ア「The helical structure of cholesteric materials is induced by the presence of chiral components in nematic liquid crystals.
訳文:コレステリック材料の螺旋構造はネマチック液晶中のキラル化合物の存在によって誘導される。」(1961頁左欄4?6行)
イ「

訳文:図1既知のキラル化合物1、2、3、4および5ならびに本稿に記載の新規化合物6、7および8の構造」(1962頁)
ウ「Figure 3 shows the UV spectra of compound 5 in acetonitrile before and after irradiation with light from the PL-10 source until the photostationary state was obtained. These spectra are identical to those obtained for isomeric compound 6; both exhibit an extinction maximum (λmax) at 339 nm and an isosbestic point (λiso) at 290 nm for the photoisomerization.
訳文:図3は光安定性状態が得られるまでPL-10からの光による照射した後および照射する前のアセトニトリル中のスチルベン誘導体5のUV吸収スペクトルを示す。これらのスペクトルは異性体化合物6について得られたものと同一である:両者は光異性化について339nmに吸収極大(λ_(max))および229nmに等吸収点(λ_(iso))を示す。」(1964頁右欄最下行?1966頁左欄6行)
エ「

訳文:図3.365nmでの照射前(a)および後(b)のアセトニトリル中のスチルベン誘導体5のUV吸収スペクトル。ε:吸光係数」(1966頁)
オ「4.2. Cholesteric Film Formation
Cholesteric layers with a thickness of about 3.5μm were made by spin-coating at 800 rpm a solution containing 43 wt.-% of solid material in xylene on a glass plate with a rubbed planar alignment layer. The solid material consisted of 5.8 wt.-% of stilbene derivatives 5 or 6, 1 wt.-% of the photoinitiator Darocur 4265, and 93.2 wt.-% of a 1:4 mixture of RM82 and RM257. In the case of the cinnamate derivatives 7 and 8, 8.0 wt.-% was used at the expense of the nematic compounds.
The color change of the films before polymerization was performed with a Philips HPA 400S lamp in air. This lamp has a broad intensity distribution in the near-UV region of the electromagnetic spectrum. After irradiation and heating at 70℃ for one minute, the film was polymerized using the same lamp in a nitrogen atmosphere. The polymerization process was finished by post-curing for 90 min at 150℃ in a nitrogen atmosphere.
訳文:4.2.コレステリックフィルムの形成
キシレン中に4.3重量%の固体材料を含有する溶液を、プラナー配向層でラビングされたラスプレート上に、800rpmでスピンコーティングすることによって、3.5μmの厚みを有するコレステリック層を作成した。該固体材料は、5.8重量%のスチルベン誘導体5または6、1重量%の光開始剤Darocur 4265および93.2重量%のRM82とRM257の1:4混合物からなった。ケイ皮酸エステル誘導体7および8を用いる場合には、ネマチック化合物であるRM82とRM257を減らして8.0重量%のケイ皮酸エステル誘導体7および8を用いた。
重合前のフィルムの色変化は、大気中にてフィリップス社製のHPA400Sランプを用いて行われた。このランプは、電磁スペクトルの近紫外線領域において、広範囲の強度分布を有する。照射及び70℃での加熱を1分間行った後、窒素雰囲気下にて同じランプを用いてフィルムを重合した。重合工程は、窒素雰囲気下にて150℃で90分間後硬化して終了した。」(1969頁左欄1?15行)

(2)甲3の記載事項
甲3には、以下の記載がある。なお、訳文は特許異議申立書に添付された甲3の抄訳文及び当審による。
ア「Field of the Invention
The invention relates to a polymerized liquid crystal (LC) film comprising a photosensitive compound and having a low optical retardation.
訳文:発明の分野
本発明は、感光性化合物からなり光学位相差の小さい重合液晶フィルムに関する。」(1頁4?8行)
イ「Especially preferably the LC material comprises one or more cinnamates, in particular cinnamate reactive mesogens as described for example in US 5,770,107 and EP 02008230.1.
訳文:特に好ましくは、LC材料は、1種または2種以上のケイ皮酸エステル類、特に例えばUS5,770,107およびEP02008230.1に記載されているケイ皮酸エステル反応性メソゲンを含む。」(10頁17?19行)
ウ「The radiation used to cause photoreaction in the LC material depends on the type of photosensitive compounds. Generally, compounds that show photoisomerization induced by UV-radiation are preferred. For example, for cinnamate compounds like those of formula III, IV and V, typically UV-radiation with a wavelength in the UV-A range (320-400 nm) or with a wavelength of 365 nm is used.
訳文:LC材料において光反応を生じるために用いられる放射線は、感光性化合物のタイプに依存する。一般的に、UV放射線により誘発された光異性化を示す化合物が、好ましい。例えば、ケイ皮酸エステル化合物、例えば式III、IVおよびVで表されるものについて、典型的に、UV-A範囲内の波長(320?400nm)または365nmの波長を有するUV放射線を用いる。」(11頁10?15行)
エ「Polymerization is preferably carried out in the presence of an initiator absorbing at the wavelength of the actinic radiation. For example, when polymerizing by means of UV light, a photoinitiator can be used that decomposes under UV irradiation to produce free radicals that start the polymerization reaction. For polymerizing acrylate or methacrylate groups preferably a radical photoinitiator is used. Typical radicalic photoinitiators are for example Irgacure 907, Irgacure 651, Irgacure 184, Darocure 1173 or Darocure 4205 (Ciba Geigy AG).
訳文:重合を、好ましくは、化学線の波長において吸収を示す開始剤の存在下で行う。例えば、UV光により重合する際には、UV照射の下で分解されて、重合反応を開始する遊離基を生成する光開始剤を用いることができる。アクリレートまたはメタクリレート基を重合させるために、好ましくはラジカル光開始剤を用いる。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア651、イルガキュア184、ダロキュア(Darocure)1173またはダロキュア4205(Ciba Geigy AG)である。」(15頁21?28行)
オ「In another preferred embodiment the polymerizable material comprises one or more monoreactive polymerizable non-mesogenic compounds, preferably in an amount of 0 to 50 %, very preferably 0 to 20 %. Typical examples are alkylacrylates or alkylmethacrylates.
訳文:別の好ましい態様において、重合性材料は1または2以上の単反応性重合性非メソゲン化合物を、好ましくは0?50%の量、特に好ましくは0?20重量%の量で含む。」(16頁6?9行)
カ「Example 1
Mixture Formulation
Polymerizable LC mixture 1 according to this invention, containing isomerizable compounds (3) and (4), is formulated as shown in Table 1. For comparison purpose, polymerizable mixture 2 without isomerizable compounds is formulated as also shown in Table 1.
Table 1. Composition of Mixtures 1 and 2 (concentrations in wt.-%)


Compounds (1) to (6) are known from prior art. Irg651 = Irgacure(R) 651 and Irg907 = Irgacure(R) 907 are commercially available photoinitiators (from Ciba AG). FC171 = Fluorad(R) FC 171 is a commercially available non-ionic fluorocarbon surfactant (from 3M).
Mixture 1 is dissolved to produce a solution. Depending on the coating technique two solutions are made. One solution is 50% solids in PGMEA. The other solution is 38% solids in xylene.
Mixture 2 is dissolved in PGMEA to produce a 33% solution. Mixture 2 is used as control experiment because it contains acrylate groups for polymerization but no other photosensitive groups, such as isomerizable groups.
Each solution is filtered to 0.2μm through a PTFE membrane filter prior to use. Films are made on either glass/rubbed polyimide (JSR AL 1054) or on rubbed triacetyl cellulose (TAC) film.
Film Preparation
Films of Mixture 1 on glass/polyimide are prepared by spin coating the 50% PGMEA solution at 5000rpm for 30 seconds and subsequently polymerized by exposing to UV-A radiation at different powers and for different lengths of time.
Films of Mixture 2 on glass/polyimide are prepared by spincoating a 33% solution in PGMEA at 1500 RPM for 30s. This produces films of similar retardation to allow easy comparison.
Films of Mixture 1 on TAC are prepared by bar coating the 38% solids/xylene solution with a wire wound bar designed to apply a 4μm wet film. The films are subsequently polymerized by exposure to UV-A radiation at different powers and for different lengths of time.
Influence of Polymerization Environment
Spincoated films of Mixtures 1 and 2 are polymerized (20mWcm^(-2) UV-A radiation) in air and in nitrogen atmospheres. The retardation of each film is measured and shown in Table 2. The % retardation values are calculated for each mixture relative to the value for the film polymerized under nitrogen.
Table 2. Data on films polymerized in air and nitrogen atmospheres

訳文:例1混合物配合
異性化可能な化合物(3)及び(4)を含む、本発明の重合可能なLC混合物1を、表1に示すように配合する。比較の目的のために、異性化可能な化合物を含まない重合可能な混合物2を、また表1に示すように配合する。
表1 混合物1および2の比較(重量%における濃度)
化合物(1)?(6)は、従来技術から知られている。Irg651=イルガキュア(登録商標)651およびIrg907=イルガキュア(登録商標)907は、商業的に入手できる光開始剤である(Ciba AG から)。FC171=フルオラッド(登録商標)FC171は、商業的に入手できる非イオン性フルオロカーボン界面活性剤である(3Mから)。
混合物1を溶解して、溶液を生成する。コーティング手法に依存して、2種の溶液を作成する。一方の溶液は、PGMEA中の50%固体である。他方の溶液は、キシレン中の38%固体である。
混合物2を、PGMEAに溶解して、33%溶液を生成する。混交物2を、対照実験として用いる。その理由は、これが、重合のためのアクリレート基を含むが、他の感光性基、例えば異性化可能な基を含まないからである。各々の溶液を、使用前にPTFE膜フィルターを通して0.2μmに濾過する。フィルムを、ガラス/ラビングしたポリイミド(JSR AL 1054)またはラビングしたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムのいずれかの上に作成する。
フィルムの製造
ガラス/ポリイミド上の混合物1のフィルムを、50%PGMEA溶液を5000rpmで30秒間スピンコーティングすることにより製造し、その後種々の出力において、および種々の時間の長さにわたりUV-A放射線に露光することにより重合させる。ガラス/ポリイミド上の混合物2のフィルムを、PGMEAに溶解した33%溶液を1500RPMで30秒間スピンコーティングすることにより、製造する。これにより、同様のリタデーションを有するフィルムが得られて、容易な比較が可能になる。
TAC上の混合物1のフィルムを、38%固体/キシレン溶液を、4μmの湿潤フィルムを適用するように設計された線巻棒で棒コーティングすることにより、製造する。その後、フィルムを、種々の出力において、および種々の時間の長さにわたりUV-A放射線に露光することにより重合させる。
重合環境の影響
混合物1および2のスピンコーティングしたフィルムを、空気中および窒素雰囲気中で重合させる(20mWcm^(-2) UV-A放射線)。各々のフィルムのリタデーションを測定し、表2に示す。%リタデーションの値を、各々の混合物について、窒素の下で重合させたフィルムについての値に対して計算する。
表2.空気および窒素雰囲気中で重合したフィルムについてのデータ」(17頁22行?20頁15行)
キ「To achieve a more significant reduction in birefringence, different UV doses can be utilized, as shown in Example 2.
Example 2
Films of Mixture 1 of example 1 are polymerized in air, using different intensities of UV-A radiation. In each case the exposure time is 60s. The results are shown in Table 3 below.
Table 3. Retardation values and extent of cure values for films of Mixture 1, polymerized using different powers of UV-A radiation.


訳文:複屈折の一層顕著な低下を達成するために、例2に示すように、種々のUV線量を用いることができる。
例2
例1の混合物1のフィルムを、空気中で、種々の強度のUV-A放射線を用いて重合させる。各々の場合において、露光時間は、60秒である。結果を、以下の表3に示す。
表3.種々の出力のUV-A放射線を用いて重合させた、混合物1のフィルムについてのリタデーション値および硬化の値の程度」(20頁35行?21頁17行)

2 刊行物に記載された発明
(1)甲1に記載された発明
甲1には、1(1)イ?オより、「吸収極大(λmax)が339nmであるスチルベン誘導体5及び光開始剤ダロキュア4265を含む溶液」(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(2)甲3に記載された発明
甲3には、1(2)カより、「化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、イルガキュア651、イルガキュア907及びFC171を含む重合性液晶混合物1」(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。

3 取消理由1について
(1)本件特許発明1について
甲1発明の「スチルベン誘導体5」は、その構造式からみて、本件特許発明1の一般式(I)で表されるものではない。
そうしてみると、本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違する。
(相違点)本件特許発明1では、重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)で表されるのに対して、甲1発明では、そのような特定がなされていない点。
よって、本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。

(2)本件特許発明2について
甲1発明の「スチルベン誘導体5」は、その構造式からみて、本件特許発明2の一般式(I)で表されるものではない。
そうしてみると、本件特許発明2と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違する。
(相違点)本件特許発明2では、重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)で表されるのに対して、甲1発明では、そのような特定がなされていない点。
よって、本件特許発明2は、甲1に記載された発明であるとはいえない。

(3)本件特許発明3?5及び19について
本件特許の訂正後の請求項3?5及び19は、訂正後の請求項1又は2を引用するものであるから、本件特許発明3?5及び19は、本件特許発明1又は2と同様に、甲1に記載された発明であるとはいえない。

4 取消理由2について
(1)本件特許発明2について
特許異議申立書の証拠方法である甲第7号証(以下、単に「甲7」という。)によれば、甲3発明の「化合物(3)」は波長320?400nmと重複する光吸収帯ピークを有していないので、甲3発明の「化合物(3)」は、本件特許発明2の「光吸収帯ピークが波長320?400nmにある重合性液晶化合物」に相当するとは認められない。
そうしてみると、本件特許発明2と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違する。
(相違点)本件特許発明2では、重合性液晶化合物のうちの少なくとも一つの光吸収帯ピークが波長320?400nmにあるのに対して、甲3発明では、そのような特定がなされていない点。
よって、本件特許発明2は、甲3に記載された発明であるとはいえない。

(2)本件特許発明3?4、6?7、9、12、14及び19について
本件特許の訂正後の請求項2を引用する訂正後の請求項3?4、6?7、9、12、14及び19に係る本件特許発明3?4、6?7、9、12、14及び19は、本件特許発明2と同様に、甲3に記載された発明であるとはいえない。

(3)異議申立人の主張について
異議申立人は、平成28年6月27日付け(受理日:同年6月29日)の意見書(以下、単に「意見書」という。)において、甲7及び当該意見書に添付した甲第12号証(以下、単に「甲12」という。)のUV吸収スペクトルデータに基づいて、甲3発明の化合物(3)が波長325nmにショルダーピークを有している旨主張しているが、当該甲7のUV吸収スペクトルデータを見ても、波長325nm付近において極大値を示すようなピークがあることは読み取れないし、また、甲7の「生データである数値データ」の甲12でも、少なくとも316nm?360nmの間ではその吸光度が減少し続けていることしか読み取れないので、前記主張は採用しない。

5 取消理由3について
(1)本件特許発明1について
上記4(1)のように、甲3発明の「化合物(3)」は、本件特許発明1の「光吸収帯ピークが波長320?400nmにある重合性液晶化合物」に相当するとは認められない。
そうしてみると、本件特許発明1と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違する。
(相違点)本件特許発明1では、重合性液晶化合物のうちの少なくとも一つの光吸収帯ピークが波長320?400nmにあるのに対して、甲3発明では、そのような特定がなされていない点。
上記相違点について検討すると、甲3には、光吸収帯ピークが波長320?400nmにある重合性液晶化合物を用いることは記載されていないし、その動機付けとなるような記載もない。
よって、甲3発明において、重合性液晶化合物のうちの少なくとも一つとして、光吸収帯ピークが波長320?400nmにある重合性液晶化合物を用いることは、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
したがって、本件特許発明1は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件特許発明3?4、6?7、9?10、12?14、17及び19について
本件特許の訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項3?4、6?7、9?10、12?14、17及び19に係る本件特許発明3?4、6?7、9?10、12?14、17及び19は、本件特許発明1と同様に、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)異議申立人の主張について
異議申立人は、意見書において、甲7及び甲12のUV吸収スペクトルデータに基づいて、甲3発明の化合物(3)が波長325nmにショルダーピークを有している旨主張しているが、上記4(3)と同様の理由により、前記主張は採用しない。

6 まとめ
以上のとおりであるから、訂正後の請求項1?7、9?19に係る特許は、特許法第29条第1項第3号及び同法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当するものではない。

第6 結語
上記第5のとおりであるから、取消理由1?3によっては、訂正後の請求項1?7、9?19に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?7、9?19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項8に係る特許は訂正により削除されたため、本件特許の請求項8に対して異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性液晶化合物及び光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤がアシルフォスフィンオキシド系化合物であり、該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)
【化1】

(式中、Spは炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン 2,7-ジイル基又はフルオレン 2,7-ジイル基、あるいは式(I-b-1)、式(I-b-2)又は式(I-b-3)
【化2】

を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立的に、-COO-、-OCO-、-CH_(2) CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表すが、Z0、Z1及びZ2のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、
mは0又は1を表し、nは0、1、2又は3を表し、
Pは一般式(I-c)又は、一般式(I-d)
【化3】

(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(1)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(1)は一般式(I-a)
【化4】

(式中、P、Sp及びmは一般式(I)と同じ意味を表すが、二つのP、Sp及びmは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表され、光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする重合性液晶組成物。
【請求項2】
重合性液晶化合物及び光吸収帯ピークが波長280?400nmにある光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤として、光吸収帯ピークが波長320?360nmにある光重合開始剤、及び光吸収帯ピークが波長280?320nmにある光重合開始剤を含有し、該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つが一般式(I)
【化1】

(式中、Spは炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン 2,7-ジイル基又はフルオレン 2,7-ジイル基、あるいは式(I-b-1)、式(I-b-2)又は式(I-b-3)
【化3】

を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立的に、-COO-、-OCO-、-CH_(2) CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表すが、Z0、Z1及びZ2のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、
mは0又は1を表し、nは0、1、2又は3を表し、
Pは一般式(I-c)又は、一般式(I-d)
【化3】

(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(1)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(1)は一般式(I-a)
【化4】

(式中、P、Sp及びmは一般式(I)と同じ意味を表すが、二つのP、Sp及びmは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表される光吸収帯ピークが波長320?400nmにあることを特徴とする重合性液晶組成物。
【請求項3】
光吸収帯ピークが波長320?400nmにある該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つと光重合開始剤の光吸収帯のピーク波長の差が30nm以内である請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
光吸収帯ピークが波長320?400nmにある該重合性液晶化合物のうち少なくとも一つの骨格中に二重結合を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項5】
キラルな化合物を含有しキラルネマチック相を呈する請求項1から4のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項6】
空気中において波長280?400nmの紫外線により硬化する請求項1から5のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項7】
4000mJ/cm^(2)以下の紫外線照射量で硬化する請求項6記載の重合性液晶組成物。
【請求項8】(削除)
【請求項9】
一般式(I)で表される化合物が一般式(II)
【化4】

(式中、Z^(3)は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?20の炭化水素基を表し、Z^(4)は水素原子又はメチル基を表し、W^(3)は単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、vは0?18の整数を表し、uは0又は1を表し、D、E及びFはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH_(2)基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y^(6)及びY^(7)はそれぞれ独立的に単結合、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-(CH_(2))_(4)-、-CH_(2)CH_(2)CH_(2)O-、-OCH_(2)CH_(2)CH_(2)-、-CH=CHCH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-又は-CH=N-N=CH-を表し、Y^(6)及びY^(7)の少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、Y^(8)は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表すが、W^(3)が単結合を表す場合vは2?18の整数を表す。)で表される化合物である請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。
【請求項10】
一般式(I)で表される化合物が一般式(III)
【化5】

(式中、Z^(5)、Z^(6)はそれぞれ独立的に水素原子、又はメチル基を表し、G、H及びIはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH_(2)基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、mは0から3の整数を表し、W^(1)及びW^(2)はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、Y^(1)及びY^(2)はそれぞれ独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-又は単結合を表し、Y^(1)及びY^(2)のうち少なくとも一つは-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-を表し、r及びsはそれぞれ独立的に2?18の整数を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。
【請求項11】
一般式(I)で表される化合物の濃度が0.1?4%である請求項1又は請求項2に記載の重合性液晶組成物。
【請求項12】
一般式(I)で表される化合物以外の重合性液晶化合物として、一般式(IV)
【化6】

(式中、Sp^(1)は炭素原子数1?20のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)、
A4、A5及びA6はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン 2,7-ジイル基又はフルオレン 2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF_(3)、OCF_(3)、シアノ基、炭素原子数1?8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2?8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z4、Z5、Z6及びZ7はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH_(2)CH_(2)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-C≡C-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、
oは0又は1を表し、
qは0、1、2又は3を表し、
P^(1)は一般式(IV-c)又は、一般式(IV-d)
【化7】

(式中、R^(21)、R^(22)、R^(23)、R^(31)、R^(32)、R^(33)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、lは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表し、
R^(2)は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH_(2)基又は隣接していない2つ以上のCH_(2)基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH_(3))-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR^(2)は一般式(IV-a)
【化8】

(式中、P^(1)、Sp^(1)及びoは一般式(IV)と同じ意味を表すが、二つのP^(1)、Sp^(1)及びoは同じであっても異なっていても良い。)で表される構造を表す。)で表される化合物を含有する請求項1、2、9から11のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項13】
一般式(IV)で表される化合物が、一般式(V)
【化9】

(式中、Z^(3)は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1?20の炭化水素基を表し、Z^(4)は水素原子又はメチル基を表し、W^(3)は単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、vは0?18の整数を表し、uは0又は1を表し、D、E及びFはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH_(2)基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y^(6)及びY^(7)はそれぞれ独立的に単結合、-CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-(CH_(2))_(4)-、-CH_(2)CH_(2)CH_(2)O-、-OCH_(2)CH_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-又は-OCOCH_(2)CH_(2)-を表し、Y^(8)は単結合、-O-、-COO-、又は-OCO-を表すが、W^(3)が単結合を表す場合vは2?18の整数を表す。)で表される化合物である請求項12記載の重合性液晶組成物。
【請求項14】
一般式(IV)で表される化合物が一般式(VI)
【化10】

(式中、Z^(5)、及びZ^(6)はそれぞれ独立的に水素原子、又はメチル基を表し、G、H及びIはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH_(2)基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、mは0から3の整数を表し、W^(1)及びW^(2)はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、Y^(1)及びY^(2)はそれぞれ独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CH_(2)CH_(2)COO-、-CH_(2)CH_(2)OCO-、-COO CH_(2)CH_(2)-、-OCOCH_(2)CH_(2)-を表し、r及びsはそれぞれ独立的に2?18の整数を表すが、式中に存在する1,4-フェニレン基は炭素原子数1?7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物である請求項12記載の重合性液晶組成物。
【請求項15】
重合性液晶組成物がベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体又はシクロヘキサン誘導体を分子の中心の母核とし、直鎖のアルキル基、直鎖のアルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基がその側鎖として放射状に置換した構造である円盤状液晶化合物を含有することを特徴とする請求項1から7、9から14のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項16】
円盤状化合物が一般式(VII)で表される化合物である請求項15記載の重合性液晶組成物。
【化11】

(式中、R^(5)はそれぞれ独立して一般式(VII-a)で表される置換基を表す。)
【化12】

(式中、R^(6)及びR^(7)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、R^(8)は炭素原子数1?20アルコキシ基を表すが、該アルコキシ基中の水素原子は一般式(VII-b)、一般式(V-c)で表される置換基によって置換されていても良い。)
【化13】

(式中、R^(81)、R^(82)、R^(83)、R^(84)、R^(85)、R^(86)はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)
【請求項17】
重合性液晶組成物が、0.5?5%の非液晶性重合性化合物を含有する請求項1から7、9から16のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項18】
非液晶性重合性化合物が、ベンゼン環を有する請求項17に記載の重合性液晶組成物。
【請求項19】
請求項1から7、9から18のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物を硬化させた光学異方体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-07-27 
出願番号 特願2010-127795(P2010-127795)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G02B)
P 1 651・ 121- YAA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松元 洋  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 守安 智
前田 寛之
登録日 2015-04-10 
登録番号 特許第5725325号(P5725325)
権利者 DIC株式会社
発明の名称 重合性液晶組成物  
代理人 河野 通洋  
代理人 松浦 綾子  
代理人 葛和 清司  
代理人 河野 通洋  

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