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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1320570
審判番号 不服2015-17378  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-24 
確定日 2016-10-14 
事件の表示 特願2012-535957「血圧測定のデジタル式制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月 5日国際公開、WO2011/051819、平成25年 3月14日国内公表、特表2013-509225〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年10月29日(パリ条約による優先権主張日:平成21年10月29日 米国、平成21年10月29日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年7月15日付けで拒絶理由が通知され、同年12月18日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成27年5月20日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年9月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


第2 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年12月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。なお、(A)?(F)の見出し記号は、当審で付記したものである。

「【請求項1】
(A)連続的に血圧を測定する装置において、該血圧測定装置が、
(B)ヒトの指動脈に装着するようにされた圧力カフ、それも、少なくとも1光源と少なくとも1光検出器とを有するPPGシステムを含む圧力カフと、
(C)少なくとも1ポンプ、少なくとも1つの弁または弁システム、少なくとも1圧力センサを含む圧力システムと、
(D)前記弁または弁システムの動作を変更することにより前記圧力カフ内の圧力を制御する制御器とを含み、
(E)前記1つ以上の光検出器が少なくとも1つの光/周波数変換(LFC)装置と関係づけられ、
(F)前記LFC装置が、前記1つ以上の光検出器からの測定光強度に基づき周波数出力を発生させ、かつその周波数出力が、前記圧力カフ内の圧力の変更により一定に維持される、
血圧測定装置。」

2 刊行物
(1) 刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に頒布された実願昭63-92205号(実開平2-13507号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は審決で付与。)

刊1-ア 「この考案は・・・光電容積脈波法による非侵襲的連続血圧測定装置を提供することを目的とする。」(第3頁第7行から第12行)

刊1-イ 「図面に示すように、光電脈波信号検出手段1は、被検部となる手の指2に圧力を加えるカフ3と、指2に光を照射する発光部4と、発光部4から照射されて指2内の血管を透過した光を検出し、この光に基づいて光電脈波信号を出力する受光部5とから構成されている。」(第5頁第4行から第9行)

刊1-ウ 「一方、受光部5は、発光ダイオード6から照射されて指2内の血管を透過した光を受光する受光手段たるフォトトランジスタ10と、フォトトランジスタ10が出力する電流信号を電圧信号に変換して増幅する増幅器11と、増幅器11が出力する電圧信号のうち、発光ダイオード6を駆動するパルス信号の周波数帯域の信号のみを通過させ、フォトトランジスタ10に入光した外乱光によるノイズ成分を除去するバンドパスフィルタ12と、バンドパスフィルタ12が出力する電圧信号を検波して、光電脈波信号を得る検波器13とから構成され・・・」(第5頁第19行から第6頁第10行)

刊1-エ 「圧力供給手段14は、二酸化炭素または空気等の圧縮ボンベ若しくはコンプレッサ等の圧力供給源15と、この圧力供給源15からの圧力を適当な圧力に調整してカフ3に供給する供給圧力制御手段16から構成される。」(第6頁第18行から第7頁第2行)

刊1-オ 「この供給圧力制御手段16は、圧力供給源15とカフ3との間に設けられた減圧弁17と、可変しぼり18および3ポート電磁弁19と、この3ポート電磁弁19を駆動制御する供給圧力制御回路20とから構成される。」(第7頁第3行から第7行)

刊1-カ 「3ポート電磁弁19は、供給圧力制御回路20から出力されるパルス電圧により、このパルス電圧が高レベルにあるときは、第1ポート19aと第2ポート19bとを開成して圧力供給源15とカフ3とを連通させるとともに、第3ポート19cを閉成して大気とカフ3との間を閉成し、また、このパルス電圧が低レベルにあるときは、第1ポート19aを閉成するとともに、第2ポート19bと第3ポート19cとを開成して大気とカフ3とを連通させるように駆動される。この実施例では、周波数50Hzのパルス電圧が使用され、このパルスのデューティファクタを制御することでカフ3に供給される圧力を調整している。」(第7頁第8行から第8頁1行)

刊1-キ 「したがって、供給圧力制御回路20によれば、フォトトランジスタ10の受光量が目標値に対して少なくなった場合には・・・カフ圧を高め、逆に、フォトトランジスタ10の受光量が目標値に対して多くなった場合には・・・カフ圧を低下させることで受光量を常時制御目標値に保持すべくカフ圧を制御することができ、このカフ圧を圧力センサ27により測定することで血圧を連続的に測定することができる。」(第9頁第6行から第19行)

刊1-ク 第1図から、圧力センサ27が供給圧力制御手段16に含まれていることが見てとれる。

刊1-ケ 上記刊1-クを踏まえ、上記刊1-アないし刊1-キの摘記事項の下線部を整理すると、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

なお,刊行物1発明には摘記等の根拠となった箇所を付記してある。

「光電容積脈波法による非侵襲的連続血圧測定装置において、該非侵襲的連続血圧測定装置(刊1-ア)が、
手の指に圧力を加えるカフと、指に光を照射する発光部と、発光部から照射されて指内の血管を透過した光を検出するフォトトランジスタを含む受光部とを有する光電脈波検出手段(刊1-イ、刊1-ウ)と、
圧力供給源と、3ポート電磁弁と、圧力センサを含む供給圧力制御手段(刊1-エ、刊1-オ、刊1-カ、刊1-ク)と、
前記3ポート電磁弁の第1ポートと第2ポートを開成するとともに第3ポートを閉成したり、第1ポートを閉成するとともに第2ポートと第3ポートを開成したりするように駆動制御することでカフに供給する圧力を調整する供給圧力制御回路(刊1-オ、刊1-カ)と、
前記フォトトランジスタを含む受光部の受光量が、カフ圧を制御することで制御目標値に保持される(刊1-キ)、
非侵襲的連続血圧測定装置。」

(2) 刊行物2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に頒布された特表平6-510920号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は審決で付与。)

刊2-ア 「図22及び23に示される認知分光光度計は、側方化準備電位によって活性化する脳の局部限定された領域の血液濃度の増加を光学的に測定することにより、側方化差電位を測定する。分光光度計は、両大脳半球からの光信号を同時に記録して比較する。検出されたデータは実時間で引き算され、その差信号はA/D変換器を経由するアナログ信号として記録され、コンピュータが前記データを処理し、前記データのフーリエ変換を行なう。側方化差電位は800nm光を用いて血液濃度変化として測定される。しかしながら、脳組織の他の構成要素に感応する他の波長の光を用いることもできる。」(第17頁左上欄第4行から第12行)

刊2-イ 「高頻度測定のために、認知分光光度計は図22に示される高速側方化検出器を用いることができる。検出器は、左及び右の頭頂骨上に配置される2個のタングステン光源200と、該光源から4センチメートルの距離の前記頭頂骨上に同様に配置される2個の光-周波数変換器202を備えている。各ランプ200の強度は、2個の光源から同じ光強度出力を得るためにランプ平衡装置206で差動的に調整される。800nm干渉フィルタ208が各シリコン検出器202に設けられる。シリコン光-周波数変換器は、周波数光強度制御により調整され、10^(6)乃至10^(7)Hzの範囲の同一周波数を出力する。」(第17頁左上欄第13行から第22行)

刊2-ウ 上記刊2-ア及び刊2-イの摘記事項の下線部を整理すると、刊行物2には「脳の局部限定された領域の血液濃度の増加を測定するためにタングステン光源と光-周波数変換器を用いること」が記載されている。

(3) 刊行物3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に頒布された特開2007-330431号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は審決で付与。)

刊3-ア 「【0016】脈波検出装置2は、人体の指に装着される脈波センサユニット4と、腕部に装着される送受信ユニット5とをケーブル6で接続した構成を有する。
図2及び図3に示すように、脈波センサユニット4は、人差し指などの特定の指を第二関節まで挿入可能なユニット本体10を有する。指の挿入量は第一関節を越える量であれば良く、指全体を挿入する構成でも良く、ユニット本体10を一体に製造しても良い。
ユニット本体10は、ヒンジ11で連結された一対のカバー10A,10Bを閉じてネジ固定されており、その内部に指を挿入する空間が形成されている。一対のカバー10A,10Bの固定方法は、溶着等の公知の他の方法であっても良い。
ユニット本体10の先端は、閉鎖され、基端には指を内部に挿入するための開口部12が1つ形成されている。開口部12には、外部からの迷光の進入を防止するための遮光部材13,14が取り付けられている。遮光部材13,14は、指の形状に合わせて変形可能で、かつ指に密着する弾性部材から製造されている。遮光部材13は、中央部分がカバー10B側に突出するように延びており、側縁部及び上縁部はカバー10Aに固定されている。」

刊3-イ 「【0017】ユニット本体10のカバー10A,10Bのそれぞれの内面には、弾性部材15,16(押圧部材)が1つずつ、指を挟んで密着するように貼り付けられている。カバー10B側の弾性部材15は、指の腹に密着する。弾性部材15の先端部分は、一部が切り取られており、ここに発光素子20と受光素子21とが配置されている。発光素子20は、赤外光又は赤色光を照射するLED(発光ダイオード)が使用されている。受光素子21は、光周波数変換素子(LFC素子)が用いられている。この受光素子21は、脈圧の大きさに応じて周波数が変化するデジタル信号を出力するので、アナログ信号を出力する受光素子を使用する場合に比べて回路構成が簡単になると共に、耐ノイズ性が向上し、脈波信号の振幅の飽和や、フィルタ時定数による遅延などを考慮する必要がなくなる。カバー10B側の弾性部材16は、指の背に密着するようにカバー10Aに向けて突出して配置され、指をカバー10A側の弾性部材15に押し付ける役割を有する。」

刊3-ウ 「【0021】次に、この実施の形態に作用について説明する。
生体情報を取得するときには、解析装置3を起動させ、腕に送受信ユニット5を装着する。脈波センサユニット4には、指を第二関節まで挿入する。マイコン31の指令に基づいて発光素子20が発光し、指先の血管で反射した光が受光素子21に受光される。受光素子21は、受光した光の光量が多いほど、高い周波数の信号を出力する。マイコン31は、無線通信制御部33をコントロールして受光素子21から出力された時間の経過に従って順次、脈波に起因して変動する信号(脈波信号)を解析装置3に送信する。」

刊3-エ 上記刊3-アないし刊3-ウの摘記事項の下線部を整理すると、刊行物3には「脈波の測定において、脈圧の大きさや受光量に応じて周波数が変化するデジタル信号を出力する光周波数変換素子(LFC素子)からなる受光素子を用いることで耐ノイズ性が向上すること」が記載されている。

3 対比・判断
(1) 対比
本願発明と刊行物1発明を対比する。

ア 刊行物1発明と本願発明の(A)について
刊行物1発明における血圧測定装置は「非侵襲的連続血圧測定装置」(下線追加)であるから、刊行物1における「光電容積脈波法による非侵襲的連続血圧測定装置」及び「該非侵襲的連続血圧測定装置」は、本願発明における「連続的に血圧を測定する装置」及び「該血圧測定装置」に相当する。

イ 刊行物1発明と本願発明の(B)について
刊行物1発明における「圧力を加えるカフ」が、測定部位の周囲から圧力を加えるための血圧測定装置の構成要素であることは技術常識であり、指には動脈が存在することから、刊行物1発明における「手の指に圧力を加えるカフ」は、本願発明における「ヒトの指動脈に装着するようにされた圧力カフ」に相当する。また、刊行物1発明における「指に光を照射する発光部」及び「発光部から照射されて指内の血管を透過した光を検出するフォトトランジスタを含む受光部」は、本願発明における「少なくとも」1つの「光源」及び「少なくとも」1つの「光検出器」にそれぞれ相当する。さらに、刊行物1発明は「光電容積脈波法による」「血圧測定装置」であるから、刊行物1発明の「圧力カフ」を有する「光電脈波検出手段」は、本願発明の「PPGシステムを含む圧力カフ」に相当する。そうすると、刊行物1発明における「手の指に圧力を加えるカフと、指に光を照射する発光部と、発光部から照射されて指内の血管を透過した光を検出するフォトトランジスタを含む受光部とを有する光電脈波検出手段」は、本願発明における「ヒトの指動脈に装着するようにされた圧力カフ、それも、少なくとも1光源と少なくとも1光検出器とを有するPPGシステムを含む圧力カフ」に相当する。

ウ 刊行物1発明と本願発明の(C)について
刊行物1発明の「圧力供給源」、「3ポート電磁弁」及び「圧力センサ」はそれぞれ、本願発明の「少なくとも」1つの「ポンプ」、「少なくとも1つの弁または弁システム」及び「少なくとも」1つの「圧力センサ」に相当するから、刊行物1発明における「圧力供給源と、3ポート電磁弁と、圧力センサを含む供給圧力制御手段」は、本願発明における「少なくとも1ポンプ、少なくとも1つの弁または弁システム、少なくとも1圧力センサを含む圧力システム」に相当する。

エ 刊行物1発明と本願発明の(D)について
刊行物1発明における「第1ポート」、「第2ポート」及び「第3ポート」はいずれも、本願発明の「少なくとも1つの弁または弁システム」に相当する「3ポート電磁弁」を構成する「弁」であり、刊行物1発明における「前記3ポート電磁弁の第1ポートと第2ポートを開成するとともに第3ポートを閉成したり、第1ポートを閉成するとともに第2ポートと第3ポートを開成したりするように駆動制御すること」は、弁や弁システムの動作を変更することに他ならないから、刊行物1発明における「前記3ポート電磁弁の第1ポートと第2ポートを開成するとともに第3ポートを閉成したり、第1ポートを閉成するとともに第2ポートと第3ポートを開成したりするように駆動制御することでカフに供給する圧力を調整する供給圧力制御回路」は、本願発明における「前記弁または弁システムの動作を変更することにより前記圧力カフ内の圧力を制御する制御器」に相当する。

オ 刊行物1発明と本願発明の(F)について
刊行物1発明においては「フォトトランジスタを含む受光部の受光量が、カフ圧を制御することで制御目標値に保持される」から、刊行物1発明は測定光強度に応じた出力を一定に維持する機能を備えている。また、本願発明においては「前記LFC装置が、前記1つ以上の光検出器からの測定光強度に基づき周波数出力を発生させ、かつその周波数出力が、前記圧力カフ内の圧力の変更により一定に維持される」から、本願発明も測定光強度に応じた出力を一定に維持する機能を備えている。そうすると、刊行物1発明と本願発明は、測定光強度に応じた出力を一定に維持する機能を備えている点で共通する。

カ 小括
以上のことから、両発明は、

(一致点)

(A)連続的に血圧を測定する装置において、該血圧測定装置が、
(B)ヒトの指動脈に装着するようにされた圧力カフ、それも、少なくとも1光源と少なくとも1光検出器とを有するPPGシステムを含む圧力カフと、
(C)少なくとも1ポンプ、少なくとも1つの弁または弁システム、少なくとも1圧力センサを含む圧力システムと、
(D)前記弁または弁システムの動作を変更することにより前記圧力カフ内の圧力を制御する制御器とを含み、
測定光強度に応じた出力を一定に維持する機能を備える血圧測定装置。

である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明における1つ以上の光検出器が、少なくとも1つの光/周波数変換(LFC)装置と関係づけられ、前記LFC装置が、前記1つ以上の光検出器からの測定光強度に基づき周波数出力を発生させるものであり、測定光強度に応じた出力を一定に維持する機能を前記周波数出力を一定にすることで実現するものであるのに対し、刊行物1発明は光/周波数変換(LFC)装置を備えておらず、測定光強度に応じた出力を一定に維持する機能を受光量を制御目標値に保持することで実現するものである点。

(2) 判断
ア 相違点について
上記刊2-ウで述べたとおり、刊行物2には「脳の局部限定された領域の血液濃度の増加を測定するためにタングステン光源と光-周波数変換器を用いること」が記載されている。また、上記刊3-エで述べたとおり、刊行物3には「脈波の測定において、脈圧の大きさや受光量に応じて周波数が変化するデジタル信号を出力する光周波数変換素子(LFC素子)からなる受光素子を用いることで耐ノイズ性が向上すること」が記載されている。
血圧測定の精度を高めることは、血圧測定装置の分野において自明の課題であり、耐ノイズ性を向上させることで測定精度が高まることは周知の事項である。刊行物3に記載されているように、光周波数変換素子(LFC素子)を用いることで耐ノイズ性が向上することから、このような特性を知る当業者であれば、刊行物1発明において、耐ノイズ性を高めて測定精度を向上させるために、その受光部を、刊行物2や3に記載されているような、受光機能と周波数変換機能を有する光/周波数変換装置とし、測定光強度に応じた周波数出力が一定になるように構成すること、すなわち、刊行物1発明において、相違点に記載の本願発明の特定事項のごとく構成することは,当業者が容易に想到できたものである。

イ 効果について
本願発明の効果は、当業者が刊行物1ないし3から予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものともいえない。請求人は、請求の理由において、光周波数変換素子を用いることで対雑音性が向上する点を主張しているが、光周波数変換素子(LFC素子)は、脈圧の大きさに応じて周波数が変化するデジタル信号を出力するので、アナログ信号を出力する受光素子を使用する場合に比べて回路構成が簡単になると共に、耐ノイズ性が向上し、脈波信号の振幅の飽和や、フィルタ時定数による遅延などを考慮する必要がなくなることが、上記刊3-イで摘記したとおり、刊行物3に記載されているから、出願人が主張する効果についても、当業者が刊行物1ないし3から予測し得る範囲内のものにすぎず,格別顕著なものともいえない。

(3) まとめ
以上のように、本願発明は,当業者が刊行物1発明、刊行物2及び3に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その他の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-23 
結審通知日 2016-05-24 
審決日 2016-06-06 
出願番号 特願2012-535957(P2012-535957)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 幸仙  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 泉 卓也
信田 昌男
発明の名称 血圧測定のデジタル式制御方法  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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