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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F02B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02B
管理番号 1320577
審判番号 不服2015-14257  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-29 
確定日 2016-10-11 
事件の表示 特願2012-504707「2ストロークエンジンおよびこれに関係した方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月14日国際公開、WO2010/117779、平成24年10月 4日国内公表、特表2012-523523〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2010(平成22)年3月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009(平成21)年4月9日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成23年10月7日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成23年11月21日に特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲、図面及び要約書の日本語による翻訳文が提出され、平成23年12月8日に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成26年2月12日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成26年5月19日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年6月13日付けで最後の拒絶理由が通知されたのに対し、平成26年9月10日に意見書が提出されたが、平成27年3月23日付けで拒絶査定がされ、平成27年7月29日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成27年8月11日に審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書(方式)が提出されたものである。

第2.平成27年7月29日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年7月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
(1)本件補正の内容
平成27年7月29日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項15に関しては、本件補正前の(すなわち、平成26年5月19日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項15の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項15の下記(イ)の記載へと補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項15
「 【請求項15】
2ストロークエンジン内において動力を発生させる方法であって、該方法は、
個々の前記エンジンの燃焼シリンダおよび圧縮シリンダ内において第1ピストンおよび第2ピストンを往復させるステップと、
クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させるステップと、
前記圧縮シリンダから前記燃焼シリンダへと空気を導くステップと、
前記燃焼シリンダ内に燃料を導入するステップと、
前記燃焼シリンダ内において空気と燃料との混合気を燃焼させるステップと、
消費したガスと所定の体積の清浄な空気とを前記燃焼シリンダから排気するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項15
「 【請求項15】
2ストロークエンジン内において動力を発生させる方法であって、該方法は、
個々の前記エンジンの燃焼シリンダおよび圧縮シリンダ内において第1ピストンおよび第2ピストンを往復させるステップであって、前記第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させるために、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップと、
前記圧縮シリンダから前記燃焼シリンダへと空気を導くステップと、
前記燃焼シリンダ内に燃料を導入するステップと、
前記燃焼シリンダ内において空気と燃料との混合気を燃焼させるステップと、
消費したガスと所定の体積の清浄な空気とを、前記燃焼シリンダから排気するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。」
(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「個々の前記エンジンの燃焼シリンダおよび圧縮シリンダ内において第1ピストンおよび第2ピストンを往復させるステップ」を、本件補正後に「個々の前記エンジンの燃焼シリンダおよび圧縮シリンダ内において第1ピストンおよび第2ピストンを往復させるステップであって、前記第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させるために、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」と限定するものであって、本件補正前の請求項15に記載された発明と本件補正後の請求項15に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項15に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.独立特許要件についての判断
本件補正における特許請求の範囲の請求項15に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項15に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2.-1 引用文献
(1)引用文献の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表2006-517638号公報(以下、「引用文献」という。)には、「空気噴射エンジン」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「【要約】
本発明の内燃機関は、別個の圧縮サイクルと膨張サイクルとを特徴とする。エンジンは、15:1より大きい比率で空気を圧縮する別個の圧縮機装置と、少なくとも1つの2ストローク燃焼シリンダと、圧縮した空気を圧縮機から少なくとも1つの燃焼シリンダへと移送する圧縮空気導管とを含む。空気噴射弁が、燃焼シリンダの戻り行程の後半部分で、圧縮空気を燃焼シリンダ内に噴射する。圧縮した空気は、動力行程中に燃料と混合し、膨張するために燃焼する。このエンジンでは、圧縮は燃焼シリンダ内で小さい程度までしか生じない。したがって、本発明のエンジンの圧縮比は、燃焼シリンダの容積膨張比より非常に高いか、低くてよく、その結果、それぞれ動力密度または熱力学的効率が対応して増加する。」(【要約】)

(イ)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関であって、
(a)シリンダおよび往復運動ピストンを含む燃焼シリンダを備え、前記往復運動ピストンは、前記ピストンが上死点位置から下死点位置へと移動する動力行程と、前記ピストンが前記下死点位置から前記上死点位置へと移動する戻り行程とを含むサイクルにて前記シリンダ内で往復し、前記動力行程がさらに、前半部分と後半部分に分割され、前記戻り行程がさらに、前半部分と後半部分とに分割され、さらに、
(b)圧縮空気を生成する圧縮機と、
(c)圧縮機と前記燃焼シリンダとの間を連絡する圧縮空気導管と、
(d)前記圧縮空気導管と前記燃焼シリンダとの間の連絡を開閉し、それによってある体積の圧縮空気が前記燃焼シリンダへと断続的に通過できるようにする圧縮空気弁と、
(e)燃料を前記体積の圧縮空気内へ噴射する燃料噴射器と、
(f)前記燃焼シリンダから排気を解放する排気手段と、
(g)(i)前記燃焼シリンダの前記ピストンが、概ね前記戻り行程の前記後半部分にあるときに、前記体積の圧縮空気を前記燃焼シリンダ内へと移送するために、前記圧縮空気弁を開放し、
(ii)前記圧縮空気弁が開放して、燃料を前記体積の圧縮空気に噴射した後、前記動力行程にてその後の燃焼および膨張のために燃焼可能な混合気を生成するために、前記燃料噴射器を起動し、
(iii)前記ピストンが前記動力行程の前記後半部分に入った後に、排気ガスが逃げられるように前記排気手段を開放するタイミングシステムと
を備える内燃機関。
(中略)
【請求項7】
前記圧縮空気弁が、前記タイミングシステムによって前記燃焼シリンダの前記燃焼の前記ピストンと連動されており、前記戻り行程の前記後半部分の前記シリンダサイクルの部分に、前記圧縮空気導管と前記燃焼シリンダの間の連絡を開放する、請求項1に記載の内燃機関。
(中略)
【請求項13】
前記燃焼シリンダが、前記燃焼シリンダのピストンと共通クランクシャフトを機械的に連結する連接棒を含む複数の燃焼シリンダのうちの1つである、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項14】
前記圧縮機が圧縮シリンダを含む、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項15】
前記燃焼シリンダが、クランクシャフトと、ピストンとクランクシャフトとを連結する連接棒とを含み、
前記圧縮機が、前記クランクシャフトに機械的に連結されているピストンを含む圧縮シリンダを含む、請求項1に記載の内燃機関。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項15】)

(ウ)「【0002】
本発明は内燃機関に関する。
【背景技術】
【0003】
当技術分野では多くのタイプの内燃機関が知られている。内燃機関の圧縮比を増加させると、その結果として熱力学的効率が上昇することがよく知られている。多くの先行技術のエンジンでは、エンジンの圧縮比がエンジンのシリンダの膨張比によって制限される。先行技術のエンジンには、サイクル中に圧縮空気が燃料の自動点火温度より上まで到達して、混合気の自動点火が生じるのが早すぎるので、エンジンの圧縮比が比較的低い値に制限されるものもある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態では、エンジンのサイクルの圧縮および膨張部分と、圧縮比および膨張比とが独立している内燃機関を提供することにより、上述の問題に対処する。本発明のエンジンは、ほぼ15:1より大きいような比率だけ空気を圧縮する圧縮機と、動力行程中に上死点位置と下死点位置の間で、および戻り行程中に下死点位置と上死点位置の間で往復動する往復運動ピストンを含む燃焼シリンダと、圧縮した空気を圧縮機から燃焼シリンダへと移送する圧縮空気導管とを含む。圧縮空気導管と燃焼シリンダとの間の空気連絡は、ピストンが戻り行程の後半部分にある場合に断続的に開放して、加圧空気を燃焼シリンダへと解放するようにタイミングをとった弁によって支配される。燃料噴射器を使用して、燃料を加圧空気と混合し、混合気を作成し、これが燃焼して、高温高圧の気体状燃焼生成物を生成し、動力行程中に膨張する。この本発明のエンジンでは、サイクルの燃焼部分で使用する空気の圧縮が別個に実行され、次に必要なときに燃焼シリンダに噴射または解放され、圧縮比を膨張比より有意に高く、または低くすることができる。膨張比の方を高くすると、熱力学的効率が大幅に増加し、圧縮比の方を高くすると、出力密度が大幅に増加する。さらに、本発明のエンジンは圧縮と膨張とを別個に実行するので、燃焼シリンダで使用する圧縮空気は、混合気の早期の点火を防止するために冷却し、圧縮比を上げることができる。
【0005】
圧縮空気導管から燃焼シリンダへの圧縮空気の噴射は、燃焼シリンダサイクルの比較的小さい部分で実行することが好ましく、ピストンが戻り行程の後半にある場合が好ましい。したがって、比較的大きい流れ領域を呈する間欠割出回転弁のようなタイミングをとった弁を使用して、圧縮空気導管と燃焼シリンダとの間に断続的でタイミングをとった空気連絡を提供することができる。したがって、このような弁構成は、燃焼シリンダのピストンが戻り行程の後半にある場合に、燃焼シリンダサイクルの比較的小さい部分で圧縮空気導管と燃焼室との空気圧をほぼ等しくできるように、圧縮空気導管と燃焼シリンダとの間に断続的でタイミングをとった空気連絡を提供しなければならない。」(段落【0002】ないし【0005】)

(エ)「【0006】
図面を参照すると、図1は本発明の実施形態による内燃機関10を示す。図1では、内燃機関10は、圧縮機12、圧縮空気導管50および燃焼シリンダ70を含む状態で図示されている。燃焼シリンダ70はシリンダ74および往復運動ピストン76を含み、これは最小容積と最大容積の間で循環する燃焼室を特徴とする内燃機関を画定する機械的構成の1つである。燃焼シリンダ70は、共通クランクシャフト76D上で相互に結合した2つ以上の燃焼シリンダの1つでよい。同様に、圧縮機12は図1で示すような圧縮シリンダ13を含む。圧縮機12は圧縮空気を圧縮空気導管50に提供する。圧縮機12と圧縮空気導管50とは一緒になって、燃焼シリンダ70が使用する圧縮空気の供給源を提供する。
(中略)
【0008】
圧縮機12は外部環境から空気を取り入れて、圧縮した空気を圧縮空気導管50に送出する。図1で示す実施形態では、圧縮機12は、圧縮シリンダヘッド14、圧縮シリンダ本体16および圧縮ピストン18を含んでいる圧縮シリンダ13である。
(中略)
【0009】
圧縮空気導管50は、圧縮機12によって生成された圧縮空気を保持し、圧縮空気を燃焼シリンダ70に搬送する。
(中略)
【0010】
燃焼シリンダ70は、圧縮空気導管50からの圧縮空気、さらに燃料を受け取り、これは動力行程における燃焼および膨張のために圧縮空気と混合される。図1で示す実施形態では、燃焼シリンダ70は、ピストンが上死点位置から下死点位置へと移動する動力行程と、ピストンが下死点位置から上死点位置へと移動する戻りストロークとを含むサイクルで往復するピストンを有する2ストロークシリンダである。一般的に、圧縮空気導管50から燃焼シリンダ70への圧縮空気の噴射は、ピストンが戻り行程の後半にあるサイクルの比較的小さい部分で行われるようにタイミングがとられている。また一般的に、燃焼シリンダ70への燃料の噴射は、圧縮空気の噴射が開始した後に生じるようにタイミングをとることが好ましい。混合気の燃焼は、圧縮空気および燃料の噴射の後に生じることが好ましく、ピストンが上死点に到達するよりはるかに前ではないことが好ましい。図1で示す実施形態では、燃焼シリンダ70はさらに燃焼シリンダヘッド72、燃焼シリンダ本体74、およびピストン上面76Aを有する燃焼ピストン76を含む。連接棒76Cは、ピストンの往復運動をクランクシャフト76Dでの回転動力に変換するために、燃焼ピストン76を関連するクランクシャフト76Dに連結する。燃焼シリンダ本体74は円筒形内壁74Aを含み、これは任意選択の排気ポート74Cが貫通してよい。排気ポート74Cおよび排気弁72Bは、燃焼室から排気を解放するために使用する典型的な装置または手段の例である。燃焼シリンダヘッド72はさらに、加圧空気弁72A、排気弁72B、燃料噴射器72Cを含み、図1では点火プラグとして図示された点火イニシエータ72Dも含んでよい。燃焼シリンダ70は任意選択で、混合気を十分な圧力まで圧縮して、混合物の自動点火を引き起こすディーゼルシリンダとして配置構成してもよい。ディーゼルシリンダでは、燃焼シリンダ70は点火イニシエータ72Dを必要としない。燃焼シリンダヘッド72、シリンダ本体74の内壁74A、およびピストン上面76Aは燃焼室74Bを画定し、これはピストン76が図3Hまたは図4Hで示すような下死点位置と、図3Eおよび図3Fまたは図4Eおよび図4Fで示した位置との間の中間であるように見える上死点との間で移動するにつれて、容積を絶えず変化させる。
(中略)
【0014】
図1は、吸気行程のほぼ半分までいった圧縮シリンダ13、および戻り行程の後半開始時の燃焼シリンダ70を示す。しかし、これらの相対的位置は、2つのシリンダの関係を暗示するものではない。図1では、圧縮シリンダ13と燃焼シリンダ70との間に直接的な機械的接続が図示されていない。圧縮シリンダ13および燃焼シリンダ70は、共通クランクシャフトで結合するか、非常に異なる速度で作動するように結合することができる。しかし、出願人は、燃焼シリンダ70の作動から得られる動力の一部を使用して、圧縮機12に動力を付与するために使用するように意図している。」(段落【0006】ないし【0014】)

(オ)「【0016】
図2Aから図2Cは、圧縮シリンダ13の作動を示す。
(中略)
【0017】
圧縮空気導管50は、圧縮空気を受け取って保存し、次に所望の温度および圧力範囲内で燃焼シリンダ70にこれを送出するように意図されている。
(中略)
【0018】
図3Aから図3Hは、燃焼シリンダ70の動作図である。図4Aから図4Hは、ステムタイプの噴射弁72Aの代わりに図3Iから図3Nで示した回転弁82を有する燃焼シリンダ70の動作図である。図3は対応するタイミング図を提供し、これは図3Aから図3Hおよび図4Aから図4Hで示した位置の相対的タイミングを示す。図3のタイミング図は、重複する区画に分割するものとして見ることができる。これらの区画はさらに、図3Aから図3Pおよび図4Aから図4Hを含む他の図で図示した様々な形状に対応する。区画Aは、図3Aおよび図4Aの弁72Bが区画A中に開放するが、区画Aは、クランクシャフトサイクルの比較的大きい部分にも対応するという範囲で、図3Aおよび図4Aに対応するが、図3Aおよび図4Aは、ある範囲の位置ではなく、1つの位置でピストン76および連接棒76Cを図示しているだけである。この区画の間、ピストン76がその戻り行程の一部を実行するにつれて、燃焼シリンダ70から排気ガスが排出される。図3の区画B1は、間欠割出回転弁82の弁体88の断続的回転に対応し、図3Iから図3Nおよび図4Aから図4Hで図示した回転弁形状にしか当てはまらない。区画B2は、区画B1の中心に配置することが好ましい。区画B2は、弁体88の通路88Aの1つが弁ハウジング86の噴射ポート86Dと連絡し、したがって弁ハウジング86(したがって延長圧縮空気導管50)と燃焼室74Bとの間に開放連絡を提供するサイクルの部分に対応する。回転弁の場合は、区画B2の中心が、図3Jで図示したような1つの通路88Aと噴射ポート86Dとの位置合わせに対応する。それでも、ステムバルブの場合、区画B2は、噴射弁72Aが開放しているサイクルの部分にも対応する。区画Aおよび区画B2はわずかに重複し、燃焼室74Bからの排気ガスの掃気を示すことに留意されたい。このような掃気を図3Bおよび図4Bで示す。噴射弁に単純なステムバルブを使用する場合は、区画B1が削除され、区画Aおよび区画B2の重複部分が図3Bと対応する。この場合も、ステムタイプの噴射弁を使用すると、区画Aと重複していない区画B2の部分が、燃焼シリンダ70内に加圧空気が噴射される図3Cに対応する。区画Cは、図3Dおよび図4Dで示す燃料の噴射に対応する。位置Dは、図3Eおよび図4Eで示すような点火イニシエータまたは点火プラグの起動に対応する。上述したように、位置D、さらに点火イニシエータ72Dは任意選択であり、ディーゼルタイプのエンジンが望ましい場合は削除してよい。図3の区画Cの燃料噴射は、エンジン設計者の所望に従い、空気噴射部分B2と重複するか、完全にその中に入ってもよい。エンジン設計の当業者は、空気噴射部分B2と燃料噴射部分Cとの両方を、点火イニシエータ72Dの動作の前に完了するか、ディーゼルの場合は、自動点火をもたらす燃料噴射の前に、空気の噴射が完了しなければならないことを理解するはずである。燃焼ピストン76は、サイクルのこれらの区画の間に上死点位置に向かって上方向に進行しているので、噴射した混合気のわずかな再圧縮が生じる。この再圧縮効果は、エンジンサイクルの適切な設計によって最小限に抑えるか補償することができる。区画Eは、図3Fおよび図4Fで示した燃焼段階に対応する。区画Fは、図3Gおよび図4Gで示したサイクルの膨張部分に対応する。任意選択で、区画Gは、図3Aから図3Hでは図示されるが図4Aから図4Hでは削除されている、任意選択の排気ポート74Cの露出を示す。」(段落【0016】ないし【0018】)

(カ)「【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の内燃機関の線図である。
【図1A】3つの燃焼シリンダと2つの圧縮シリンダを備える圧縮機とを有する本発明のエンジンの例示的実施形態の概略図を示す。
【図2A】吸気行程中の圧縮シリンダを示す。
【図2B】下死点における圧縮シリンダを示す。
【図2C】圧縮行程中の圧縮シリンダを示す。
【図3】図3Aから図3Hで示した燃焼シリンダサイクルおよび図4Aから図4Hで示した燃焼シリンダサイクルの区画A?Gのタイミングを示すタイミング図である。
【図3A】先行サイクルから残った気体状燃焼生成物が排気弁を通して排出されるサイクル区画Aの間の燃焼シリンダを示す。
【図3B】先行サイクルからの最後に残った気体状燃焼生成物を掃気するために、加圧空気噴射弁と排気弁との両方が開放しているAとB2とが重なったサイクル区画中の燃焼シリンダを示す。
【図3C】加圧空気を燃焼シリンダ内に噴射するサイクル区画B2中の燃焼シリンダを示す。
【図3D】燃料を燃焼シリンダ内に噴射するサイクル区画C中の燃焼シリンダを示す。
【図3E】燃焼ピストンが上死点に近く、混合気が点火プラグによって点火されているサイクル点D中の燃焼シリンダを示す。
【図3F】混合気が燃焼プロセス中に燃焼ピストンが上死点にあるサイクル区画E中の燃焼シリンダを示す。
【図3G】燃焼生成物の気体が膨張する動力行程中のサイクル区画F中の燃焼シリンダを示す。
【図3H】気体状燃焼生成物が露出した排気ポートを通して逃げるにつれ、燃焼ピストンが下死点にある任意選択のサイクル区画G中の燃焼シリンダを示す。
【図3I】間欠割出回転弁を有する燃焼シリンダの等角図である。
【図3J】図3Lで示した位置の弁体を除き、ほぼ図3Iの面A-Aから得た弁ハウジング、弁体および燃焼シリンダの断面を示す断面図である。
【図3K】弁体が90°回転の終了時に休止した時に、明快さを期して弁ハウジングが除去されている間欠割出回転弁の等角図である。
【図3L】弁体が次の90°回転を開始した時に、明快さを期して弁ハウジングが除去されている間欠割出回転弁の等角図である。
【図3M】弁体が高速で回転している時に、明快さを期して弁ハウジングが除去されている間欠割出回転弁の等角図である。
【図3N】弁体が90°回転の終了時に休止した時に、明快さを期して弁体が除去されている間欠割出回転弁の等角図である。
【図3P】図3Iから図3Nで示した間欠割出回転弁構成のクランクシャフト位置の関数として弁体の回転速度を示すプロット図である。
【図4A】先行サイクルから残った気体状燃焼生成物が排気弁を通して排出されるサイクル区画Aの間の回転噴射弁を含む燃焼シリンダを示す。
【図4B】先行サイクルからの最後に残った気体状燃焼生成物を掃気するために、加圧空気噴射弁と排気弁との両方が開放しているAとB2とが重なったサイクル区画中の回転噴射弁を含む燃焼シリンダを示す。
【図4C】加圧空気を燃焼シリンダ内に噴射するサイクル区画B2中の回転噴射弁を含む燃焼シリンダを示す。
【図4D】燃料を燃焼シリンダ内に噴射するサイクル区画C中の回転噴射弁を含む燃焼シリンダを示す。
【図4E】燃焼ピストンが上死点に近く、混合気が点火プラグによって点火されているサイクル点D中の回転噴射弁を含む燃焼シリンダを示す。
【図4F】混合気が燃焼プロセス中に燃焼ピストンが上死点にあるサイクル区画E中の回転噴射弁を含む燃焼シリンダを示す。
【図4G】燃焼生成物の気体が膨張する動力行程中のサイクル区画F中の燃焼シリンダを示す。
【図4H】気体状燃焼生成物が露出した排気ポートを通して逃げるにつれ、燃焼ピストンが下死点にある任意選択のサイクル区画G中の燃焼シリンダを示す。
【図5】加圧空気を冷却する中間冷却器を有する本発明の内燃機関の実施形態の熱力学的サイクルを示す圧力と比容積のグラフである。
【図6】加圧空気を冷却する中間冷却器を有する本発明の内燃機関の実施形態の熱力学的サイクルを示す温度とエントロピのグラフである。
【図7】膨張比の設定値の曲線を示す動力と圧縮比の例示的プロットである。
【図8】膨張比の設定値の曲線を示す熱力学的効率と圧縮比の例示的プロットである。」(【図面の簡単な説明】)

(2)引用文献の記載から分かること
上記(1)(ア)ないし(カ)並びに図1ないし図8の記載から、引用文献には、次の事項が記載されていることが分かる。

(サ)上記(1)(ア)(イ)及び(エ)(特に段落【0010】)並びに図1ないし図8の記載から、引用文献には、2ストロークシリンダを有する内燃機関10において動力を発生させる方法が記載されていることが分かる。

(シ)上記(1)(ア)ないし(エ)並びに図1ないし図8の記載から、引用文献に記載された内燃機関10は、燃焼シリンダ70及び圧縮シリンダ13を含むことが分かる。

(ス)上記(1)(エ)(特に段落【0006】及び【0010】)及び図1ないし図8の記載から、引用文献に記載された内燃機関10は、燃焼シリンダ70内において往復運動ピストン76を往復させ、連接棒76Cによって往復運動ピストン76の往復運動をクランクシャフトでの回転運動に変換するサイクルを含むことが分かる。

(セ)上記(1)(エ)(特に段落【0008】)及び(オ)並びに図1ないし図8の記載から、引用文献に記載された内燃機関10は、圧縮シリンダ13内において圧縮ピストン18を往復運動させ、圧縮ピストン18は、連接棒18Cによってクランクシャフトに接続されることが分かる。

(ソ)上記(1)(イ)(特に【特許請求の範囲】の【請求項15】)及び(エ)(特に段落【0014】)の記載から、引用文献に記載された内燃機関10において、圧縮シリンダ13(の圧縮ピストン18)及び燃焼シリンダ70(の往復運動ピストン76)は、共通のクランクシャフトに連結することができることが分かる。また、燃焼シリンダ70(の圧縮ピストン18)の作動から得られる動力の一部を使用して、圧縮機12(すなわち圧縮シリンダ13の圧縮ピストン18)に動力を付与するために使用するように意図していることが分かる。

(タ)上記(1)(エ)(特に段落【0009】)及び図面の記載から、引用文献に記載された内燃機関10において、圧縮機12(すなわち圧縮シリンダ13)によって生成された圧縮空気を燃焼シリンダ70に搬送する区画(【図3】の区画B2)を含むことが分かる。

(チ)上記(1)(エ)(特に段落【0007】及び【0010】)及び(オ)(特に段落【0018】)並びに図面の記載から、引用文献に記載された内燃機関10において、燃料噴射器72Cから燃焼シリンダ70内に燃料を噴射する区画(【図3】の区画C)を含むことが分かる。

(ツ)上記(1)(エ)(特に段落【0010】)及び(オ)(特に段落【0018】)並びに図面の記載から、引用文献に記載された内燃機関10において、燃焼シリンダ70内において空気と燃料との混合気を燃焼させる区画(【図3】の区画D及びE)を含むことが分かる。

(テ)上記(1)(エ)(特に段落【0010】)及び(オ)(特に段落【0018】)並びに図面の記載から、引用文献に記載された内燃機関10において、燃焼シリンダ70内に加圧空気を噴射して燃焼シリンダ70の燃焼室74Bから排気ガスを掃気する区画(【図3】の区画A及びB2)を含むことが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図1ないし8の記載から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「2ストロークシリンダを有する内燃機関10内において動力を発生させる方法であって、該方法は、
それぞれの内燃機関10の燃焼シリンダ70及び圧縮シリンダ13内において往復運動ピストン76及び圧縮ピストン18を往復させるサイクルであって、往復運動ピストン76はクランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させ、動力の一部を使用して圧縮シリンダ13の圧縮ピストン18に動力を付与するために、共通のクランクシャフトに連結されているサイクルと、
圧縮シリンダ13から燃焼シリンダ70へと圧縮空気を搬送する区画と、
燃焼シリンダ70内に燃料を噴射する区画と、
燃焼シリンダ70内において空気と燃料との混合気を燃焼させる区画と、
燃焼シリンダ70内に加圧空気を噴射して燃焼シリンダ70から排気ガスを掃気する区画と、
を含む方法。」

2.-2 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「2ストロークシリンダを有する内燃機関10」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「2ストロークエンジン」に相当し、以下同様に、「それぞれの内燃機関10」は「個々のエンジン」に、「燃焼シリンダ70」は「燃焼シリンダ」に、「圧縮シリンダ13」は「圧縮シリンダ」に、「往復運動ピストン76」は「第1ピストン」に、「圧縮ピストン18」は「第2ピストン」に、「サイクル」及び「区画」は「ステップ」に、「圧縮空気を搬送する」は「空気を導く」に、「燃料を噴射する」は「燃料を導入する」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明における「往復運動ピストン76はクランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させ、動力の一部を使用して圧縮シリンダ13の圧縮ピストン18に動力を付与するために、共通のクランクシャフトに連結されているサイクル」は、「第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトの回転と連動し、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」という限りにおいて、本願補正発明における「第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させるために、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」に相当する。
また、引用発明における「燃焼シリンダ70内に加圧空気を噴射して燃焼シリンダ70から排気ガスを掃気する区画」は、「燃焼シリンダに空気を供給して、消費したガスを燃焼シリンダから排気するステップ」という限りにおいて、本願補正発明における「消費したガスと所定の体積の清浄な空気とを、前記燃焼シリンダから排気するステップ」に相当する。

以上から、本願補正発明と引用発明は、
「2ストロークエンジン内において動力を発生させる方法であって、該方法は、
個々のエンジンの燃焼シリンダおよび圧縮シリンダ内において第1ピストンおよび第2ピストンを往復させるステップであって、第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトの回転と連動し、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップと、
圧縮シリンダから燃焼シリンダへと空気を導くステップと、
燃焼シリンダ内に燃料を導入するステップと、
燃焼シリンダ内において空気と燃料との混合気を燃焼させるステップと、
燃焼シリンダに空気を供給して、消費したガスを燃焼シリンダから排気するステップと、
を含む方法。」
である点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。

〈相違点〉
(1)「第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトの回転と連動し、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」に関して、本願補正発明においては「第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させるために、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」であるのに対し、引用発明においては「往復運動ピストン76はクランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させ、動力の一部を使用して圧縮シリンダ13の圧縮ピストン18に動力を付与するために、共通のクランクシャフトに連結されているサイクル」である点(以下、「相違点1」という。)。

(2)「燃焼シリンダに空気を供給して、消費したガスを燃焼シリンダから排気するステップ」に関して、本願補正発明においては「消費したガスと所定の体積の清浄な空気とを、前記燃焼シリンダから排気するステップ」であるのに対して、引用発明においては「燃焼シリンダ70内に加圧空気を噴射して燃焼シリンダ70から排気ガスを掃気する区画」である点(以下、「相違点2」という。)。

2.-3 判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点1に関し、本願の特許請求の範囲の請求項15には「第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させるために、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」と記載されている。
ここで、燃焼シリンダにおいては動力を発生するため、燃焼シリンダのピストンである第1ピストンは「クランクシャフトを回転させる」ものであるが、圧縮シリンダにおいては動力を発生しないから、圧縮シリンダのピストンである第2ピストンは、技術常識からみて、「クランクシャフトを回転させる」ものではなく、「クランクシャフトの回転により駆動される」ものである。
したがって、本願の特許請求の範囲の請求項15における「第1ピストンおよび第2ピストンは、クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させるために、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」は、実質的には「第1ピストンは、クランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させ、第2ピストンは、クランクシャフトの回転により駆動されるために、共通のクランクシャフトに連結されている、ステップ」という意味であると解するのが自然である。
(仮に、「圧縮シリンダのピストンである第2ピストンにより、クランクシャフトを回転させる」という意味だとすれば、技術常識及び自然法則に反することになる。)
そうすると、引用発明には、上記のように「往復運動ピストン76はクランクシャフトを回転させてこれによって動力を発生させ、動力の一部を使用して圧縮シリンダ13の圧縮ピストン18に動力を付与するために、共通のクランクシャフトに連結されているサイクル」が記載されていることから、引用発明は、実質的に、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を具備しているということができる。
してみれば、上記相違点1は実質的な相違点でないといえる。

(2)相違点2に関し、引用発明は「燃焼シリンダ70内に加圧空気を噴射して燃焼シリンダ70から排気ガスを掃気する区画」を含むものである。
ここで、燃焼シリンダ内に加圧空気を供給して燃焼シリンダから排気ガスを掃気するときには、供給された加圧空気の一部が排気ガスとともに燃焼シリンダから排出されることは本願の優先日前の周知技術(以下、「周知技術」という。例えば、以下の参考文献を参照。)である。

(参考文献:さわたり・しょうじ+GP企画センター編、「エンジンはこうなっている」、日本、株式会社グランプリ出版(1994年6月10日初版発行、2001年10月10日第12刷発行)。第19ページの「2サイクルエンジンの作動」の図の説明として「上死点の前後で圧縮、点火、膨張を行い、下死点の前後で排気、吸気を同時に行う。」、「排気と同時に新しい混合気が入るので、いくらかの新気が出ていく。」と記載され、同ページ左下欄第5行ないし右下欄末行には「2サイクルエンジンは行程が2つのエンジンである。・・・つまり,下死点の前後で入ってくる新気で燃え切ったガスを追い出すので,新旧のガスが混ざることは避けられず,燃料の一部は燃えないで出ていってしまう。」と記載されている。)

そうすると、引用発明においても、掃気時には、排気ガスと、供給した空気の一部とを、燃焼シリンダから排出するものであるとみることが自然である。
したがって、引用発明は、本願補正発明における「消費したガスと所定の体積の清浄な空気とを、前記燃焼シリンダから排気するステップ」に相当する事項を実質的に備えているものであり、仮に備えていないとしても、「消費したガスと所定の体積の清浄な空気とを、前記燃焼シリンダから排気するステップ」を備えることは、当業者が周知技術に基づいて容易に想到できることである。
よって、上記相違点2は実質的な相違点でないか、又は、周知技術に基づいて容易に想到できたことであるから、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が容易に想到できたものである。

(3)まとめ
そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明及び周知技術から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明と実質的に同一のものであるか、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)請求人の主張について
なお、請求人は、審判請求書において、「本願請求項1に係る発明においては、第1ピストンおよび第2ピストンは、共通のクランクシャフトに接続されている。・・・このような構成は引用文献1?6には開示されていない。」と主張している。
しかしながら、引用文献には、上記のように、本願補正発明における「第1ピストン」に相当する「往復運動ピストン76」及び本願補正発明における「第2ピストン」に相当する「圧縮ピストン18」が、共通のクランクシャフトに連結されているという事項が記載されている。
また、「(圧縮シリンダの)第1ピストンおよび(燃焼シリンダの)第2ピストンは、共通のクランクシャフトに接続されている」技術は、エンジンの技術分野において、本願の優先日前に周知の技術(例えば、平成26年6月13日付けで通知された最後の拒絶理由において引用された国際公開第2009/020490号(例えばFIG.1及びFIG.2を参照。)及び国際公開第2007/081445号(例えば、FIG.1ないしFIG.3を参照。)並びに国際調査報告において引用された米国特許第2,202,761号明細書(例えばFIG.1及びFIG.6ないしFIG.12を参照。))であるから、請求人の上記主張は採用できない。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明
上記のとおり、平成27年7月29日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成26年5月19日提出の手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲、並びに、平成23年11月21日に翻訳文が提出された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであり、請求項15に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の[理由]1.(1)(ア)【請求項15】のとおりのものである。

2.引用発明
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献(特表2006-517638号公報)及び引用発明は、前記第2.の[理由]2.-1の(3)に記載したとおりである。

3.対比・判断
前記第2.の[理由]1.(2)で検討したとおり、本件補正は、該補正前の特許請求の範囲の請求項15に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2.の[理由]2.-2及び2.-3に記載したとおり、引用発明と実質的に同一のものであるか、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明と実質的に同一のものであるか、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明と実質的に同一のものであるか、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4.むすび
上記第3.のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-10 
結審通知日 2016-05-16 
審決日 2016-05-27 
出願番号 特願2012-504707(P2012-504707)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (F02B)
P 1 8・ 121- Z (F02B)
P 1 8・ 575- Z (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二之湯 正俊  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 槙原 進
金澤 俊郎
発明の名称 2ストロークエンジンおよびこれに関係した方法  
代理人 村山 靖彦  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
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