• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1320716
審判番号 不服2016-9420  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-24 
確定日 2016-11-09 
事件の表示 特願2015-521521「プッシュ管理スキーム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月16日国際公開、WO2014/010761、平成27年10月 8日国内公表、特表2015-529999、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年(2012年)7月10日を国際出願日とする出願であって、平成27年6月2日付けで拒絶理由が通知され、平成27年12月9日付けで手続補正がされ、平成28年2月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年6月24日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1-14に係る発明は、平成27年12月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定されるとおりのもので、その請求項1の記載は以下のとおりである。

「宛先プッシュサーバに関する情報を含む、1つまたは複数のキープアライブメッセージを生成するための要求をモバイル装置からモバイルオペレー
ティングサーバによって受信することと、
前記キープアライブメッセージを前記モバイルオペレーティングサーバによって生成することと、
前記キープアライブメッセージを前記モバイルオペレーティングサーバによって前記宛先プッシュサーバへ送信することと、
を含み、
前記送信は前記キープアライブメッセージを定期的に前記宛先プッシュ
サーバに送信し、
前記モバイルオペレーティングサーバは、前記要求に含まれている、前記モバイル装置の識別子に、少なくとも一部は基づいて、前記キープアライブメッセージの発信元を前記モバイル装置に設定し、
さらに、前記宛先プッシュサーバは、前記設定に基づいて、プッシュデータの宛先を、前記モバイル装置から前記モバイルオペレーティングサーバに変更する必要がない
方法。」
(以下、上記事項により特定される発明を「本願発明」という。)

第3.原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、本願の請求項1-14に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというもので、具体的には、本願の請求項1-5、7-10、12、及び13に係る発明は、下記引用文献1及び3に基づいて、本願の請求項6、11、及び14に係る発明は、下記引用文献1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたというものである。

1.米国特許出願公開第2007/0088790号明細書
2.欧州特許出願公開第2254309号明細書
3.特表2008-536369号公報

第4.当審の判断
1.引用発明
上記引用文献1には、図面とともに、以下の記載がなされている。(以
下、「引用例」という。)

(1)「[0046] Referring to FIG. 3 , the adapted wireless communication network 100 is shown in greater detail 300 . As mentioned earlier, the Web service proxy (or mobile enabler) 112 is modified to include the task scheduler 118 for synchronously polling the Web service 124 via the Web service client 116 , and the notification module 130 for storing subscriber information and corresponding subscription filters. The notification module 130 accepts an initial subscription request message 138 carrying a subscription filter from the mobile device. The notification module adds this to a table indexed against the appropriate device identification (such as a device PIN). The task scheduler uses the time interval or frequency specified in the subscription filter (or a pre-specified interval or frequency) to generate a timer event. On a timer event the service proxy 112 issues a synchronous SOAP request 140 to the Web service 124 and includes the subscription filter in the body of the request message. The business rules module 132 receives the request 140 and validates the received subscription filter against the available content and generates a response message 142 carrying notification data to be sent to the device 102 . If no new information is required to be passed to the user the response message data 142 is empty. For example the Web service 124 can use the XML Schema definition language (XSD) schema element or to send back this information.

[0047] The user is able to create the subscription filter, which defines the notification rules, at the time of initiating the subscription. The filter may include fields such as "polling frequency", percentage change in data etc. The polling frequency may also be coded into the Web service by the application developer. An example of a subscription filter may look like Filter:

[0048] The task scheduler 118 in the Web service proxy 112 triggers timer events at the predetermined polling frequency and the Web service client module 116 polls the Web service 124 , by sending a Request message 140 , along with the corresponding subscription filter obtained from a specified requesting device 102 at subscription time. The Web service client 116 then receives the Response data 142 from the Web service 124 at the polling frequency and sends a Response 134 to the device if the Response data 142 received from the Web service 124 is not "empty". 」

(当審訳
[0046] 図3には、適応型無線通信ネットワーク100の、さらなる詳細300が示されている。上記のように、ウェブ・サービス・プロキシ
(またはモバイル・イネーブラ)112は、ウェブ・サービス・クライアント116によるウェブ・サービス124の同時ポーリングのため、タスク・スケジューラ118、及び加入者情報と通信予約フィルタを記憶する通知モジュール130を含むように変更される。通知モジュール130は、モバイル装置からの予約フィルタを含む、初期予約要求メッセージ138を受信する。通知モジュールは、これを、適切な装置識別子(デバイスPINのような)に対して索引をつけた表に追加する。タスク・スケジューラは、タイ
マ・イベントの発生に、予約フィルタにより特定される時間間隔または周波数(もしくは、あらかじめ決められた時間間隔または周波数)を使用する。タイマ・イベントにより、サービス・プロキシ112は、ウェブ・サービス124に、同時SOAP要求140を送り、要求メッセージ本体に予約フィルタを含める。ビジネス・ルール・モジュール132は、要求140を受信し、受信した予約フィルタを、入手可能なコンテンツに対して確認し、装置102に送る通知データを含む、応答メッセージ142を生成する。ユーザに渡す新しい情報がないときは、応答メッセージ・データ142は空であ
る。例えば、ウェブ・サービス124は、この情報の返信のために、XLMスキーマ定義言語(XSD)のスキーマ・エレメント <xsd:choice>または<xsd:option>を使用できる。

[0047] ユーザは予約の初期段階で予約フィルタを作ることができ、それは、通知ルールを定義する。フィルタは、「ポーリング周波数」、データのパーセントでの変化等のような領域を含む。ポーリング周波数は、アプリケーション開発者により、ウェブ・サービスの中にコード化することもできる。予約フィルタの例は、Filter:<ticker=MSFT, IBM, RIM; daily change=10%>のようにでき
る。

[0048] ウェブ・サービス・プロキシ112のタスク・スケジューラ118は、あらかじめ決められたポーリング周波数でタイマ・イベントをトリガし、そして、予約時に予約を行う装置102から得た通信予約フィルタのほかに、要求メッセージ140を送ることで、ウェブ・サービス・クライアント・モジュール116はウェブ・サービス124にポーリングする。それによって、ウェブ・サービス・クライアント116は、ウェブ・サービス124からポーリング周波数で応答データ142を受信して、ウェブ・サービス124から受信した応答データ142が「空」でなければ、応答134を装置に送る。)

(2)「[0049] Referring to FIG. 4 there is shown a flowchart of operations in accordance with an embodiment. At step 402 a user defines a subscription filter including notification rules; submits the request (step 404 ) to the web service proxy. At step 406 the proxy stores the subscription filter and device address or identification, at step 408 the proxy initializes the task scheduler for polling the web service and at step 410 the task scheduler issues timer events in accordance with the polling frequency set in step 408 . At step 412 the proxy sends requests on the time events to the web service. At step 414 the proxy receives notification data from the Web service and at step 416 it pushes notification results if not empty to the client. At step 418 the proxy waits for a next timer event at which point it resumes at step 410 to issue a new timer event. 」

(当審訳
[0049] 図4には、実施例の処理のフローチャートが示されている。ステップ402で、ユーザは通知規則を含む予約フィルタを定義し、ウェ
ブ・サービス・プロキシに要求を送る(ステップ404)。ステップ406で、プロキシは予約フィルタと装置アドレスまたは識別子を記憶し、ステップ408で、プロキシは、ウェブ・サービスにポーリングするために、タスク・スケジューラを初期化し、ステップ410で、タスク・スケジューラ
は、ステップ408でセットされたポーリング周波数で、タイマ・イベントを送る。ステップ412で、プロキシは、ウェブ・サービスに、タイマ・イベントで要求を送る。ステップ414で、プロキシは、ウェブ・サービスから通知データを受信し、ステップ416で、空でなければ、通知結果をクライアントにプッシュする。ステップ418で、プロキシは、次のタイマイベントを待って、新しいタイマイベントを送るために、再度ステップ410から始める。)

したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」とい
う。)が記載されているといえる。

ウェブサーバプロキシが、ブッシュ配信するウェブサーバに関する情報を含む、ポーリングメッセージを生成するための要求をモバイル装置から受信すること、該ポーリングメッセージを生成して該ウェブサーバに定期的に送信すること、並びに、該要求に該モバイル装置の識別情報、ポーリング間隔が含まれていること、を特徴とする方法。

2.対比
引用発明の「ウェブサーバプロキシ」、「ブッシュ配信するウェブサー
バ」、及び「ポーリングメッセージ」は、それぞれ本願発明の「モバイルオペーティングサーバ」、「宛先プッシュサーバ」、及び「キープアライブ
メッセージ」に対応する。
引用発明は、「ウェブサーバプロキシ」が「ポーリングメッセージ」を
「ウェブサーバに定期的に送信する」ので、本願発明が「前記送信は前記
キープアライブメッセージを定期的に前記宛先プッシュサーバに送信し」とすることと変わりはない。

したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、以下の点で一致し、また相違する。

一致点
宛先プッシュサーバに関する情報を含む、1つまたは複数のキープアライブメッセージを生成するための要求をモバイル装置からモバイルオペレー
ティングサーバによって受信することと、
前記キープアライブメッセージを前記モバイルオペレーティングサーバによって生成することと、
前記キープアライブメッセージを前記モバイルオペレーティングサーバによって前記宛先プッシュサーバへ送信することと、
を含み、
前記送信は前記キープアライブメッセージを定期的に前記宛先プッシュ
サーバに送信する、
方法。

相違点
本願発明は、「前記モバイルオペレーティングサーバは、前記要求に含まれている、前記モバイル装置の識別子に、少なくとも一部は基づいて、前記キープアライブメッセージの発信元を前記モバイル装置に設定し」とし、それにより「前記宛先プッシュサーバは、前記設定に基づいて、プッシュデータの宛先を、前記モバイル装置から前記モバイルオペレーティングサーバに変更する必要がない」とするものである。
それに対して、引用発明は、本願発明の「キープアライブメッセージ」に対応する「ポーリングメッセージ」の発信元については、何らの特定もされていない点。

なお、上記「1.」の引用発明の認定、及び上記一致点と相違点は、平成27年12月9日付けの意見書に、
「3 補正後の発明が特許を受けるべきものであることの理由
(1)拒絶理由1及び2について
イ 補正後の本願発明は、宛先プッシュサーバ……
……
ロ 本願発明と引用文献記載の発明との対比
引用文献1(米国特許出願公開第2007/0088790号明細書)には、「ウェブサーバプロキシ(本願の「モバイルオペーティングサーバ」に相当)が、ブッシュ配信するウェブサーバ(本願の「宛先プッシュサーバ」に相当)に関する情報を含む、ポーリングメッセージ(本願の「キープアライブメッセージ」に相当)を生成するための要求をモバイル装置から受信すること、該ポーリングメッセージを生成して該ウェブサーバに定期的に送信すること、並びに、該要求に該モバイル装置の識別情報、ポーリング間隔が含まれていること、が記載されています(引用文献1の主に〔0047〕段落?〔0049〕段落、FIG.1?FIG.3参照)。
しかしながら、引用文献1には、補正後の本願発明の技術的特徴である、“前記送信は前記キープアライブメッセージを定期的に前記宛先プッシュ
サーバに送信し、前記モバイルオペレーティングサーバは、前記要求に含まれている、前記モバイル装置の識別子に、少なくとも一部は基づいて、前記キープアライブメッセージの発信元を前記モバイル装置に設定し、さらに、前記宛先プッシュサーバは、前記設定に基づいて、プッシュデータの宛先
を、前記モバイル装置から前記モバイルオペレーティングサーバに変更する必要がない”が記載されていません。」
と記載されていることに、対立するものではない。

3.判断
上記相違点について検討する。
原査定で引用された引用文献3(特表2008-536369号公報)には、サーバとクライアント間の通信について、プロキシが、サーバからクライアントにアドレス指定されたメッセージを受信することが記載されているが、クライアントからの要求により、プロキシが発信元をクライアントにしたメッセージを生成して、それをサーバに送信することは、記載も示唆もされていない。
また、メッセージの発信元を上記のようにすることが、周知技術とはいえないから、引用発明において、相違点を本願発明のようにすることは、当業者が容易にできることとはいえない。
請求項7に係る発明は、本願発明に対応するシステムに関する発明であ
り、請求項12に係る発明は、本願発明に対応する記憶媒体に関する発明であり、請求項2-6及び14は請求項1を引用するものであり、請求項8-11は請求項7を引用するものであり、請求項13は請求項1を引用するものであるから、本願の請求項1-14に係る発明は、前記引用文献1及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
さらに、原査定で引用された前記引用文献2にも、クライアントからの要求により、プロキシが発信元をクライアントにしたメッセージを生成して、それをサーバに送信することは、記載も示唆もされていないから、本願の請求項6、11、及び14に係る発明は、前記引用文献1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、前記引用文献1-3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないか
ら、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-10-28 
出願番号 特願2015-521521(P2015-521521)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 浩兵  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 近藤 聡
加藤 恵一
発明の名称 プッシュ管理スキーム  
代理人 土屋 徹雄  
代理人 江口 昭彦  
代理人 内藤 和彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ