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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K
管理番号 1320916
審判番号 不服2015-23024  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-30 
確定日 2016-11-17 
事件の表示 特願2014-173511「ユーザが活性化できるスイッチを具備する銀行カード」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月22日出願公開、特開2015- 15036、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年3月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年4月9日、欧州)を国際出願日とする出願の一部を平成26年8月28日に新たな出願としたものであって、平成27年4月24日付けで拒絶理由通知が通知され、平成27年7月15日付けで意見書、補正書が提出されたが、平成27年8月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成27年12月30日に拒絶査定不服審判が請求され、手続補正書が提出されたものである。

第2 平成27年12月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否

1.補正の内容
本件補正は、平成27年7月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の、
「 【請求項1】
デジタル表示装置(4)と、電子ユニット(6)と、電源(10)と、銀行カードのユーザがプッシュボタン(14)に圧力をかけることにより活性化されるスイッチ(12)と、前記電子ユニット(6)内に組み込まれているアプリケーションと、前記スイッチ(12)の活性化を検出する検出手段とを有する銀行カード(2)において、
前記プッシュボタン(14)とスイッチ(12)は前記銀行カード(2)に埋設されており、
前記アプリケーションは、前記デジタル表示装置(4)に表示されるワンタイム・パスワードを用いた個人IDプログラムであり、前記検出手段が、前記スイッチ(12)が活性化している時間が、最小期間(T1)より長くかつ最大期間(T3)より短いことを検出すると、前記アプリケーションは活性化される或いはその活性化が有効にされる
ことを特徴とする銀行カード。」
とあるのを
「 【請求項1】
デジタル表示装置(4)と、電子ユニット(6)と、電源(10)と、プッシュボタン(14)に圧力がかけられることにより活性化されるスイッチ(12)と、前記電子ユニット(6)内に組み込まれているアプリケーションと、前記スイッチ(12)の活性化を検出する検出手段とを有する銀行カード(2)において、
前記プッシュボタン(14)とスイッチ(12)は前記銀行カード(2)に埋設されており、前記アプリケーションは、前記デジタル表示装置(4)に表示されるワンタイム・パスワードを用いた個人IDプログラムであり、前記検出手段が、前記スイッチ(12)が活性化されている時間が最小期間(T1)より長くかつ最大期間(T2)より短いことを検出すると、前記アプリケーションは活性化される或いはその活性化が有効にされることを特徴とする銀行カード。」
と補正するものである。

2.補正の適否
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「スイッチ(12)」について、「銀行カードのユーザがプッシュボタン(14)に圧力をかける」とあったものを、「プッシュボタン(14)に圧力がかけられる」とするものであって、実質的に内容を補正するものではなく、誤記の訂正と認められる。
また、「最大期間(T3)」を「最大期間(T2)」とする補正、「前記スイッチ(12)が活性化している時間」を「前記スイッチ(12)が活性化されている時間」とする補正もいずれも誤記の訂正を目的とするものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そうすると、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)が、原査定の拒絶の理由に引用された引用例から当業者が容易になしえたか否かについて検討する。

(1)引用例1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2007/0277044号明細書には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア.「[0059]FIG. 2 shows a schematic representation of a data carrier according to the invention designed as Eurocheque card with cash card function having a device for generating one-time passwords and having a display for displaying a generated one-time password.」
(当審訳:[0059]図2は、キャッシュカード機能を備えたユーロチェックカード200として発明されたデータ担体の図式であり、ワンタイムパスワードを生成する素子と生成したワンタイムパスワードを表示するディスプレイ203を備えている。)
イ.「[0061]In addition to the functionalities usual for electronic purses (cash cards), in the smart card controller 208 is implemented a TAN generator 201 , with which one-time passwords in the form of transaction numbers (TANs) can be generated for secure electronic payment transactions.」
(当審訳:[0061]普通の電子財布(キャッシュカード)の機能性に加えて、スマートカードコントローラ208には、TAN発生器201が実装されている。トランザクション番号(TANs)の形をしたワンタイムパスワードが、安全な電子支払取引のために生成されることが可能である。)
ウ.「[0063]The Eurocheque card 200 of FIG. 2 further has: volatile display memory 209 for storing a generated transaction number (TAN), display 203 for displaying the transaction numbers (TANs) generated by the TAN generator 201 and stored in the display memory 209 , display control logic 204 (display driver) for actuating display 203 , an energy operating element in the form of touch contact switch 205 , an energy source in the form of two batteries 206 connected in series, and a switching device in the form of system controller module 207 for switching energy flow and data flow between the individual elements within the Eurocheque card 200 . The two batteries 206 jointly supply the voltage required for driving the smart card. This voltage at present normally amounts to 5V+/-10%, so that for example two batteries each of 2.7 V are used. Optionally, more or less than two batteries are provided, by which altogether the required voltage can be provided.」
(当審訳:[0063]図2のユーロチェックカードはさらに備えている:生成されたトランザクション番号(TAN)を保持する揮発性ディスプレイメモリ209は、TAN発生器201によって発生されたトランザクション番号(TANs)を保持する。ディスプレイ203は、トランザクション発生器201によって生成され、表示メモリ209によって保持されたトランザクション番号を表示する。ディスプレイ203を作動させるためのディスプレイ制御ロジック204(ディスプレイドライバ)、接触スイッチ205の形をしたエネルギー操作要素、直列に接続された2つの電池206の形をしたエネルギー源、ユーロチケットカード200内の要素間におけるエネルギーの流れ、データの流れを制御するシステムコントロールモジュール207の形をしたスイッチングデバイス。2つの電池206は一緒に、スマートカードを駆動するために必要な電圧を供給する。現在のこの電圧は通常5V+/-10%になり、それで、たとえば、それぞれ2.7Vの電池が使用される。必要に応じて、多かれ少なかれ2つの電池が用意され、全体として、必要な電圧を提供することができる。)
エ.「[0067]With the Eurocheque card 200 a TAN can be generated and displayed on display 203 , for example as follows:
[0068] A user actuates the touch contact switch (function key) 205 , i.e. he presses and releases it and in this way triggers the generation of a TAN.
[0069] Upon the actuation of the touch contact switch (function key) 205 the switching device (system controller module 207 ) supplies a timing signal CLK and an operating voltage Vcc to smart card controller 208 . For the following operation of the TAN generator 201 the operating voltage Vcc is supplied by the batteries 206 . As soon as the timing signal CLK and the operating voltage Vcc are available at the smart card controller 208 , the switching device (system controller module 207 ) transmits via a first data line 1 /O 1 a TAN generation command to smart card controller 208 , more specific to TAN generator 201 , with which TAN generator 201 is prompted to generate a (new) TAN. (Alternatively, the TAN generation command is sent via the second data line I/O 2 or via the third data line 1 /O 3 ). The TAN is generated e.g. as a cryptogram according to a per se known method, with a parameterized encryption function, a key and a plaintext to be encrypted. The generated TAN is transmitted by the TAN generator 201 via a second and third data line 1 /O 2 , 1 /O 3 (or a data line the TAN generation command was not transmitted with) to the switching device (to system controller module 207 ) and stored in the display memory 209 . Now the timing signal CLK and the operating voltage Vcc (or only the operating voltage Vcc) supplied to the smart card controller 208 are interrupted. Instead a timing signal CLK’ suitable for the display control logic 204 (display driver) and the operating voltage Vcc are presented to the display control logic 204 (display driver). The timing signal CLK# for display control logic 204 (display driver) normally has, in order to save energy, a lower frequency than the timing signal CLK for smart card controller 208 . With alternative displays, which do not need a timing signal, now the supply voltage is presented to the display. Batteries 206 now have to supply energy only to the economical switching device (system controller module 207 ) and the economical display control logic 204 . As soon as the timing signal CLK# (optionally for displays not needing clock pulse) and the operating voltage Vcc are available at display control logic 204 , the switching device (system controller module 207 ) transmits via a fourth data line I/O DATA the transaction number TAN stored in display memory 209 to display 203 . The TAN is displayed on the display 203 and remains displayed for three seconds. After three seconds the connections of the timing signal CLK and operating voltage Vcc (or only the operating voltage Vcc) to the display control logic 204 are interrupted. The representation on display 203 then fades away.」
(当審訳:[0067]ユーロチェックカード200を用いて、TANが生成され、ディスプレイに表示されることが可能となる。例えば、以下のように:
[0068]使用者が接触スイッチ205(ファンクションキー)を駆動する。すなわち、彼は、スイッチを押し、放す。これによって、TANの発生を引き起こす。
[0069]接触スイッチ(ファンクションキー)205の作動によって、スイッチング素子(システムコントローラモジュール207)は、タイミング信号CLKと操作電圧Vccをスマートカードコントローラ208に供給する。続くTAN発生器201の操作のために、操作電圧Vccが電池から供給される。タイミング信号CLKと操作電圧Vccがスマートカードコントローラ208において利用可能になるとすぐに、スイッチング素子(システムコントローラモジュール207)は最初のデータI/O1を介してTAN発生コマンドをスマートカードコントローラ208に伝達する。TAN発生器201にとっていっそう特異的なこと、このコマンドによって、TAN発生器201が(新たな)TANを発生するように駆動される。(代わりに、TAN発生コマンドは、データ線I/O2またはデータ線I/O3を介して送信される。)TANは、例えば、それ自体よく知られた方法による暗号化として生成され、その方法は、パラメータ化された暗号化機能、暗号化された鍵と平文を備える。発生されたTANは、TAN発生器201によって第2、第3のデータ線I/O2、I/O3(または、TAN発生コマンドが送信されなかったデータ線)を介してスイッチング素子に(システムコントローラモジュール207に)送信され、表示メモリ209に保持される。直ちに、タイミング信号CLKと操作電圧Vcc(または、操作電圧Vccのみ)が供給されたスマートカードコントローラ208は、処理が中断される。代わりに、表示制御ロジック204(ディスプレイドライバ)に適したCLK’と操作電圧Vccが表示制御ロジック204(ディスプレイドライバ)に与えられる。表示制御ロジック204のためのタイミング信号CLK’は通常エネルギーを省くためにスマートカードコントローラ208用のタイミング信号CLKよりも低周波数を有する。タイミング信号を必要としない、代替のディスプレイを備えると、直ちに、供給電圧がディスプレイに与えられる。電池206は、直ちに、経済的なスイッチング素子(システムコントローラモジュール207)と経済的表示制御ロジック204に対してのみエネルギーを供給しなければならない。タイミング信号CLK’(任意にディスプレイにとって不要なクロックパルス)が表示制御ロジック204において有効になる。スイッチング素子(システムコントローラモジュール207)は、第4のデータ線I/Oデータを介して表示メモリ209に保持されたトランザクション番号TANをディスプレイ203へ送信する。TANは、ディスプレイ203に表示され、3秒間表示される。3秒後、タイミング信号CLKと操作電圧Vcc(または、操作電圧Vccのみ)の表示制御ロジック204に対する接続は中断される。ディスプレイ203上の表示は次第に消えていく。)
と記載されている。
そうすると、引用例1には、
「キャッシュカード機能を備えたユーロチェックカード200は、トランザクション番号(TANs)の形をしたワンタイムパスワードを生成する素子と生成したワンタイムパスワードを表示するディスプレイ203を備え、
スマートカードコントローラ208には、TAN発生器201が実装され、接触スイッチ206が押下、解放されると、タイミング信号CLKと操作電圧Vccがスマートカードコントローラ208に供給され、スマートコントローラ208は、TAN発生コマンドをTAN発生器201に送信し、Vccは電池から供給され、
TAN発生器201によって発生されたトランザクション番号TANは、システムコントローラモジュール207に送信され、表示メモリ209に保持され、システムコントローラモジュール207は、トランザクション番号TANを3秒間ディスプレイ203に表示するユーロチェックカード。」
の発明が記載されている。(以下、「引用例1発明」という。)
(2)引用例2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-73223号公報には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア.「【0016】図1において、この電子機器(デスクトップタイプのパソコン)は、PC制御部4および各装置5?8を内蔵した本体3に電力を供給するための電源1と、この電源1と本体3との間に介挿され、本体3内の各回路部への電源供給をオン、オフするための電源スイッチ2と、本体3内の各回路部の動作をオン、オフ操作するためのペダル13と、このペダル13が押下されてから放されるまでの時間を計測するタイマ11と、ペダル13の押下状況により電源スイッチ2のオン、オフを制御する電源コントローラ9と、規定時間の範囲であるしきい値を記憶するメモリ12とを備えている。
【0017】ペダル13は、本実施形態では足で操作するので、ユーザの足元に置かれて使用される(図2参照)。」
イ.「【0024】すなわち、ペダル13が押下された時点をゼロとして、a時間以上押下状態を保持し、かつb時間以内に放した場合にのみ、電源スイッチ2がオン制御されている。a時間以内のペダル押下で電源スイッチ2をオン制御しない理由は、ユーザが誤ってペダル13に一瞬触れてしまったような場合の電源誤投入を防止するためである。また、b時間以上の押下でも電源スイッチ2をオン制御しない理由は、書籍等、足元周辺の荷物がペダル13に引っ掛かかり、長時間押下状態になった場合の電源誤投入を防止するためである。」
以上のことから、引用例2には、
「足で操作するペダルによる電源誤投入を防止するために、ペダルをa時間以上、b時間以内で押下したことをタイマにより計測し、電源コントローラによって電源をオンにすること。」が記載されている。(以下、「引用例2の記載事項」という。)
(3)引用例3の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-239741号公報には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア.「【0018】RAM14の一部記憶エリアから形成された第1メモリ14M1には図4に示す設定時間長Ts1が設定記憶され、かつ第2メモリ14M2には第2の設定時間長Ts2が設定記憶されている。」
イ.「【0023】また、第2の入力信号出力手段は、カウントされた連続時間長Tiが図4に示す設定時間長Ts1以上(図3のST15のYES)となり、かつキーがOFFされたこと(ST17のNO)を条件に図4(E)に示す第2の入力信号を出力する手段で、CPU12とROM13とから形成され図3のST18で実行される。この第2の入力信号が、用紙排出機能の実行指令信号である。」
図4の記載から第2の入力信号は、設定時間長Ts1以上で設定時間長Ts2以内に出力されているから、引用例3には、
「キーを設定時間Ts1以上で設定時間長Ts2以内押下することで用紙排出機能を実行すること。」が記載されている。
が記載されている。(以下、「引用例3の記載事項」という。)
(2)対比
引用例1発明の「ユーロチェックカード200」は、キャッシュカード機能を備えたものであることから、本願発明の「銀行カード(2)」に相当する。
引用例1発明の「スマートカードコントローラ208には、TAN発生器201が実装され、接触スイッチ206が押下、解放されると、タイミング信号CLKと操作電圧Vccがスマートカードコントローラ208に供給され、スマートコントローラ208は、TAN発生コマンドをTAN発生器201に送信し、Vccは電池206から供給され、」で、「接触スイッチ206」は、押下、解放によって電池から操作電圧が供給されるから、本願発明の「プッシュボタン(14)に圧力がかけられることにより活性化されるスイッチ(12)」に相当する。さらに、引用例1発明は、Vccを供給する「電池206」を備えているから、これは、本願発明の「電源(10)」に相当する。および「TAN発生器201」は、スマートコントローラからのコマンドに対応してTANを発生しているから、本願発明の「電子ユニット(6)」および「電子ユニット(6)内に組み込まれているアプリケーション」に相当する。
引用例1発明の「接触スイッチ」は、ユーロチェックカード200に備えられているから、本願発明の「前記プッシュボタン(14)とスイッチ(12)は前記銀行カード(2)に埋設されており」という構成と同等である。
引用例1発明の「TAN発生器201によって発生されたトランザクション番号TANは、システムコントローラモジュール207に送信され、表示メモリ209に保持され、システムコントローラモジュール207は、トランザクション番号TANを3秒間ディスプレイに表示する」は、ディスプレイ203は、ワンタイムパスワードであるTANを表示する機能を有していることを表しているから、引用例1発明の「ディスプレイ203」は、本願発明の「デジタル表示装置(4)」に相当し、引用例1発明の「TAN発生器201」は、ディスプレイ203に表示するためのワンタイムパスワードであるTANを発生しているから、本願発明の「前記アプリケーションは、前記デジタル表示装置(4)に表示されるワンタイム・パスワードを用いた個人IDプログラム」であることと同等の機能を有している。

本件補正発明と引用例1発明の一致点と相違点は以下の通りである。
[一致点]
「デジタル表示装置(4)と、電子ユニット(6)と、電源(10)と、プッシュボタン(14)に圧力がかけられることにより活性化されるスイッチ(12)と、前記電子ユニット(6)内に組み込まれているアプリケーションとを有する銀行カード(2)において、
前記プッシュボタン(14)とスイッチ(12)は前記銀行カード(2)に埋設されており、前記アプリケーションは、前記デジタル表示装置(4)に表示されるワンタイム・パスワードを用いた個人IDプログラムであることを特徴とする銀行カード。」

[相違点]
(ア)本願発明が「スイッチ(12)の活性化を検出する検出手段」を有していて、スイッチ(12)が活性化されている時間が最小期間(T1)より長くかつ最大期間(T2)より短いことを検出すると、アプリケーションは活性化される或いはその活性化が有効にされると判断しているのに対して、引用例1発明には、「検出手段」に相当する構成を有していない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
相違点(ア)
引用例2には、スイッチ(12)が活性化されている時間が最小期間(T1)より長くかつ最大期間(T2)より短いことを検出する点において、本願発明の検出手段と同等の構成が記載されている。
しかしながら、引用例2は、ペダルによる電源誤投入の防止を目的としたものであり、足で操作することによる誤操作を解消するためのもので、足で操作するペダルではない引用例1発明の接触スイッチ(プッシュボタン)とスイッチの機械的な構成が異なることから、引用例2のペダルによるスイッチ操作の技術を引用例1発明の「プッシュボタン」に適用することはできない。
引用例3に記載されたキー操作は、用紙排出の機能の実行に関するもので、電源誤投入に関するものではないから、引用例1発明に適用して、電源誤投入防止の効果を得ることは、容易に想到し得たことといえない。
したがって、本願発明は、引用例1発明、引用例2,3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)むすび
本願については、原査定の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-07 
出願番号 特願2014-173511(P2014-173511)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 甲斐 哲雄  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 野崎 大進
石川 正二
発明の名称 ユーザが活性化できるスイッチを具備する銀行カード  
代理人 三俣 弘文  

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