ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N |
---|---|
管理番号 | 1321007 |
審判番号 | 不服2016-870 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-01-20 |
確定日 | 2016-11-15 |
事件の表示 | 特願2014-149579「移動端末機及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 5日出願公開、特開2015- 27085、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯及び本願発明 1 手続の経緯 本件出願は、平成26年7月23日(パリ条約による優先権主張2013年7月26日、米国、2013年11月15日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成27年 5月14日:拒絶理由の通知 平成27年 8月14日:手続補正 平成27年 9月18日:拒絶査定 平成27年 9月29日:拒絶査定の謄本の送達 平成28年 1月20日:拒絶査定不服審判の請求 平成28年 1月20日:手続補正 平成28年 6月 7日:上申書 平成28年 8月22日:拒絶理由の通知(当審) 平成28年 9月 1日:手続補正 2 本願発明 本願の請求項1?13に係る発明(以下、それぞれの発明を項番を用いて「本願発明1」等という。)は、平成27年8月14日付け、平成28年1月20日付け、平成28年9月1日付け手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?13に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1?13の記載は次のとおりのものである。 「 【請求項1】 カメラと、 前記カメラにより入力される画像及び画像撮影要求を受信するための基本アイコンを出力するディスプレイ部と、 前記基本アイコンへの第1方式のタッチに基づいた画像撮影要求に対応して、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影する制御部とを含み、 前記制御部は、 前記カメラと前記ディスプレイ部と連動し、 前記基本アイコンに前記第1方式のタッチが行われると、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影し、 前記基本アイコンに前記第1方式とは異なる第2方式のタッチが行われると、各画像設定情報とそれぞれリンクした複数のユーザ定義アイコンを前記ディスプレイ部に出力させる段階であって、前記画像設定情報が、前記カメラの駆動に関する設定情報と撮影された画像に対するソフトウェア的な処理に関する設定情報の少なくとも一方であり、前記複数のユーザ定義アイコンが、前記複数のユーザ定義アイコンにそれぞれリンクした画像設定情報を反映したプレビュー画像で表示される段階と、 各画像設定情報をそれぞれ反映したプレビュー画像で表示される前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかのユーザ定義アイコンへのタッチを前記画像撮影要求として処理する段階と、 前記処理された画像撮影要求に応答して、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に基づいて前記カメラの駆動と前記撮影された画像に対するソフトウェア的な処理の少なくとも一方を行い、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に対応する画像をメモリに保存する段階とを実行することを特徴とする移動端末機。 【請求項2】 前記制御部は、 前記基本アイコンがショートタッチされると、前記基本画像設定情報に対応する画像を取得し、 前記基本アイコンがロングタッチされると、前記複数のユーザ定義アイコンを前記ディスプレイ部に出力させることを特徴とする請求項1に記載の移動端末機。 【請求項3】 前記複数のユーザ定義アイコンは、前記基本アイコンに行われたロングタッチに対応して出力され、 前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかへのタッチに基づいて、前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかにリンクした画像設定情報に基づく画像が取得され、その後前記ディスプレイ部から消えることを特徴とする請求項2に記載の移動端末機。 【請求項4】 前記ディスプレイ部は、前記カメラにより入力される画像が出力されるプレビュー領域を含み、 前記制御部は、 前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかに予め設定された方式の第1タッチが行われると、前記第1タッチが行われたユーザ定義アイコンにリンクした画像設定情報に対応するプレビュー画像が出力されるように前記カメラにより入力される画像を制御し、 前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかに前記第1タッチとは異なる方式の第2タッチが行われると、前記第2タッチが行われたユーザ定義アイコンにリンクした画像設定情報に対応する画像をメモリに保存することを特徴とする請求項1に記載の移動端末機。 【請求項5】 前記複数のユーザ定義アイコンのうち少なくとも1つはユーザのタッチに対応して出力位置が変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の移動端末機。 【請求項6】 前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかが前記ユーザのタッチに対応して予め設定された領域に移動するか又は予め設定された距離だけ移動した場合、前記移動したユーザ定義アイコンが前記ディスプレイ部から消えることを特徴とする請求項5に記載の移動端末機。 【請求項7】 前記制御部は、マイクから受信されるユーザの音声を前記画像撮影要求として処理し、 前記複数のユーザ定義アイコンは、それぞれ各音声コマンドを有し、 前記マイクから受信されるユーザの音声が前記各音声コマンドのいずれに対応するかによって、取得される画像に対応する画像設定情報が異なることを特徴とする請求項1に記載の移動端末機。 【請求項8】 前記複数のユーザ定義アイコンの周辺には、各ユーザ定義アイコンに対応する音声コマンドがテキスト形式で表示されることを特徴とする請求項7に記載の移動端末機。 【請求項9】 前記ユーザ定義アイコンにリンクする画像設定情報は、ユーザの選択に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の移動端末機。 【請求項10】 前記ディスプレイ部の一領域には、前記カメラにより撮影される画像に関連する複数の設定値に対応するアイテムが表示され、 前記表示されたアイテムのうち少なくとも1つがユーザにより予め設定された方式で選択された場合、前記少なくとも1つのアイテムに対応する設定値を反映した画像設定情報が生成され、 前記生成された画像設定情報は、前記ユーザ定義アイコンにリンクすることを特徴とする請求項9に記載の移動端末機。 【請求項11】 カメラにより入力される画像及び画像撮影要求を受信するための基本アイコンを出力するディスプレイ部を含む移動端末機の制御方法において、 画像撮影機能のためのプログラムの起動中に、前記基本アイコンに第1方式のタッチが行われると、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影し、前記基本アイコンに前記第1方式とは異なる第2方式のタッチが行われると、各画像設定情報とそれぞれリンクした複数のユーザ定義アイコンを前記ディスプレイ部に出力する段階であって、前記画像設定情報が、前記カメラの駆動に関する設定情報と撮像された画像に対するソフトウェア的な処理に関する設定情報の少なくとも一方であり、前記複数のユーザ定義アイコンが、前記複数のユーザ定義アイコンにそれぞれリンクした画像設定情報を反映したプレビュー画像で表示される段階と、 各画像設定情報をそれぞれ反映したプレビュー画像で表示される前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかのユーザ定義アイコンへのタッチを画像撮影要求として処理する段階と、 前記処理された画像撮影要求に応答して、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に基づいて前記カメラの駆動と前記撮像された画像に対するソフトウェア的な処理の少なくとも一方を行い、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に対応する画像をメモリに保存する段階とを含むことを特徴とする移動端末機の制御方法。 【請求項12】 前記ディスプレイ部は、前記カメラにより入力される画像が出力されるプレビュー領域を含み、 前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかに予め設定された方式の第1タッチが行われると、前記第1タッチが行われたユーザ定義アイコンにリンクした画像設定情報に対応するプレビュー画像が出力されるように前記カメラにより入力される画像を制御し、 前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかに前記第1タッチとは異なる方式の第2タッチが行われると、前記第2タッチが行われたユーザ定義アイコンにリンクした画像設定情報に対応する画像をメモリに保存することを特徴とする請求項11に記載の移動端末機の制御方法。 【請求項13】 前記ユーザ定義アイコンにリンクする画像設定情報は、ユーザの選択に基づいて決定されることを特徴とする請求項11に記載の移動端末機の制御方法。」 3 本願発明1の分説 本願発明1を分説すると次のとおりである。 (本願発明1) (A)カメラと、 (B)前記カメラにより入力される画像及び画像撮影要求を受信するための基本アイコンを出力するディスプレイ部と、 (C)前記基本アイコンへの第1方式のタッチに基づいた画像撮影要求に対応して、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影する制御部とを含み、 前記制御部は、 (C-1)前記カメラと前記ディスプレイ部と連動し、 前記基本アイコンに前記第1方式のタッチが行われると、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影し、 前記基本アイコンに前記第1方式とは異なる第2方式のタッチが行われると、各画像設定情報とそれぞれリンクした複数のユーザ定義アイコンを前記ディスプレイ部に出力させる段階であって、前記画像設定情報が、前記カメラの駆動に関する設定情報と撮影された画像に対するソフトウェア的な処理に関する設定情報の少なくとも一方であり、前記複数のユーザ定義アイコンが、前記複数のユーザ定義アイコンにそれぞれリンクした画像設定情報を反映したプレビュー画像で表示される段階と、 (C-2)各画像設定情報をそれぞれ反映したプレビュー画像で表示される前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかのユーザ定義アイコンへのタッチを前記画像撮影要求として処理する段階と、 (C-3)前記処理された画像撮影要求に応答して、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に基づいて前記カメラの駆動と前記撮影された画像に対するソフトウェア的な処理の少なくとも一方を行い、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に対応する画像をメモリに保存する段階とを実行する (D)ことを特徴とする移動端末機。 ((A)?(D)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。) 第2 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 本願の請求項1?20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特許第5214051号公報 引用文献2:特開2013-90056号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2009-100316号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開2008-5248号公報 引用文献5:特開2013-92952号公報 引用文献6:特表2009-543396号公報 引用文献7:特開2013-54756号公報 請求項1に係る発明に関し、引用文献1に記載された発明は、表示手段にシャッタボタンとして表示された複数のアイコンボタンには、ユーザによる所定の設定を行うことが可能であるといえるところ、表示されたアイコンに、露出補正、ストロボ発光条件、ホワイトバランスなどの特定の撮影条件を設定する技術は、周知であることから、引用文献1に記載された発明に前記周知技術を適用する動機付けは存在するといえ、そのようにすることで、引用文献1に記載された発明のアイコンボタンに対する所定の設定として特定の撮影条件を設定するように構成することは、当業者が容易に想到することである。 2 原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づく容易想到性について (1)引用文献の記載事項 ア 引用文献1に記載された発明 引用文献1の段落[0022]-[0049]、図7などには、 「撮影手段からの撮影信号を背景に複数のアイコンボタンをシャッタボタンとして表示手段に表示し、シャッタボタンへの画像取得指示により撮影された画像ファイルに、操作されたシャッタボタンに対応するタグ情報を付与するものであって、編集モードにて電子アルバムの名称を入力することで、アイコンボタンが追加される、デジタルカメラ機能を有する携帯電話機」 に係る発明が記載されている。この発明を以下「引用発明」という。 イ 周知技術 引用文献2の段落[0031]にも記載されているように、 「露出補正、ストロボ発光条件、ホワイトバランスなどの事前に設定された特定の撮影条件をアイコンとして表示すること」 は、周知技術である。 (2)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「撮影手段」、「携帯電話機」は、それぞれ、本願発明1の「カメラ」、「移動端末機」に相当する。 引用発明の「撮影手段からの撮影信号」、「アイコン」、「表示手段」は、それぞれ、本願発明1の「前記カメラにより入力される画像」、「基本アイコン」、「ディスプレイ部」に相当するから、引用発明は、「前記カメラにより入力される画像及び画像撮影要求を受信するための基本アイコンを出力するディスプレイ部」を含むといえる。 引用発明は、「撮影手段からの撮影信号を背景に複数のアイコンボタンをシャッタボタンとして表示手段に表示し、シャッタボタンへの画像取得指示により撮影」するものであり、この動作は「制御部」によりなされているといえるから、「前記基本アイコンへの第1方式のタッチに基づいた画像撮影要求に対応して、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影する制御部」を含むといえる。さらに、上記動作は、「前記制御部は、前記カメラと前記ディスプレイ部と連動し、前記基本アイコンに前記第1方式のタッチが行われると、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影」するといえる。 しかしながら、引用発明においては、「制御部」が、 「前記基本アイコンに前記第1方式とは異なる第2方式のタッチが行われると、各画像設定情報とそれぞれリンクした複数のユーザ定義アイコンを前記ディスプレイ部に出力させる段階であって、前記画像設定情報が、前記カメラの駆動に関する設定情報と撮影された画像に対するソフトウェア的な処理に関する設定情報の少なくとも一方であり、前記複数のユーザ定義アイコンが、前記複数のユーザ定義アイコンにそれぞれリンクした画像設定情報を反映したプレビュー画像で表示される段階」(構成要件C-1の後半)と、 「各画像設定情報をそれぞれ反映したプレビュー画像で表示される前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかのユーザ定義アイコンへのタッチを前記画像撮影要求として処理する段階」(構成要件C-2)と、 「前記処理された画像撮影要求に応答して、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に基づいて前記カメラの駆動と前記撮影された画像に対するソフトウェア的な処理の少なくとも一方を行い、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に対応する画像をメモリに保存する段階とを実行する」(構成要件C-3) ものでない点で、本願発明1と相違する。 したがって、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) カメラと、 前記カメラにより入力される画像及び画像撮影要求を受信するための基本アイコンを出力するディスプレイ部と、 前記基本アイコンへの第1方式のタッチに基づいた画像撮影要求に対応して、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影する制御部とを含み、 前記制御部は、 前記カメラと前記ディスプレイ部と連動し、 前記基本アイコンに前記第1方式のタッチが行われると、前記ディスプレイ部に出力される画像を撮影する、 ことを特徴とする移動端末機。 (相違点) 「制御部」が、 本願発明1においては、「前記基本アイコンに前記第1方式とは異なる第2方式のタッチが行われると、各画像設定情報とそれぞれリンクした複数のユーザ定義アイコンを前記ディスプレイ部に出力させる段階であって、前記画像設定情報が、前記カメラの駆動に関する設定情報と撮影された画像に対するソフトウェア的な処理に関する設定情報の少なくとも一方であり、前記複数のユーザ定義アイコンが、前記複数のユーザ定義アイコンにそれぞれリンクした画像設定情報を反映したプレビュー画像で表示される段階」(構成要件C-1の後半)と、 「各画像設定情報をそれぞれ反映したプレビュー画像で表示される前記複数のユーザ定義アイコンのいずれかのユーザ定義アイコンへのタッチを前記画像撮影要求として処理する段階」(構成要件C-2)と、 「前記処理された画像撮影要求に応答して、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に基づいて前記カメラの駆動と前記撮影された画像に対するソフトウェア的な処理の少なくとも一方を行い、前記いずれかのユーザ定義アイコンとリンクした画像設定情報に対応する画像をメモリに保存する段階とを実行する」(構成要件C-3) のに対し、 引用発明においては、そうではない点 (3)判断 上記(1)イのとおり、事前に設定された特定の撮影条件をアイコンとして表示することは周知技術であると認められるが、引用発明に上記周知技術を適用しても、相違点に係る構成に到達しない。 また、引用文献3?7をみても、相違点に係る構成を開示する引用文献はなく、引用発明に引用文献3?7に記載された発明を適用しても、相違点に係る構成に到達しない。 したがって、相違点を克服することはできない。 (4)小括 以上のとおり、相違点を克服できないから、本願発明1は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 本願発明2?10は、請求項1を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、本願発明2?10は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 また、本願発明11は、本願発明1とカテゴリーが異なる発明であるから、本願発明1と同様に、本願発明11は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 本願発明12?13は、請求項11を引用しているので、本願発明11と同じ理由で、本願発明12?13は、原査定の理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 第3 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要 (理由A) この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1における 「前記制御部は、 前記カメラと前記ディスプレイ部のうち少なくとも一方と連動し、」 が明確でない。 請求項2?14は、請求項1を引用しているので同様である。 よって、請求項1?14に係る発明は明確でない。 (理由B) この出願の請求項1?18に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特許第5214051号公報 引用文献8:特開2004-363935号公報 引用文献3:特開2009-100316号公報 引用文献4:特開2008-5248号公報 引用文献5:特開2013-92952号公報 引用文献6:特表2009-543396号公報 引用文献7:特開2013-54756号公報 2 当審拒絶理由の理由についての検討 (1)明確性について(理由A) 請求項1は、平成28年9月1日付け手続補正により補正され、「制御部」については、 「前記制御部は、 前記カメラと前記ディスプレイ部と連動し、」 となった。 この記載は、「制御部」が「前記カメラと前記ディスプレイ部と連動」すると理解でき、明確である。 また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2?10に係る発明も明確である。 (2)当審拒絶理由で引用された引用文献に基づく容易想到性について(理由B) ア 引用発明 引用文献1は、原査定の理由で引用された引用文献1と同じであるから、引用発明は、上記第2の2(1)アを援用する。 イ 対比、判断 本願発明1と引用発明とを対比すると、一致点、相違点は、上記第2の2(2)のとおりである。 当審拒絶理由で引用された引用文献3?8をみても、相違点に係る構成を開示する引用文献はなく、引用発明に引用文献3?8に記載された発明を適用しても、相違点に係る構成に到達しない。 したがって、相違点を克服することはできない。 ウ まとめ 以上のとおり、相違点を克服できないから、本願発明1は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 本願発明2?10は、請求項1を直接又は間接的に引用しているので、本願発明1と同じ理由で、本願発明2?10は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 また、本願発明11は、本願発明1とカテゴリーが異なる発明であるから、本願発明1と同様に、本願発明11は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 本願発明12?13は、請求項11を引用しているので、本願発明11と同じ理由で、本願発明12?13は、当審拒絶理由で引用された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとは認められない。 第4 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-11-01 |
出願番号 | 特願2014-149579(P2014-149579) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 直樹 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 渡辺 努 |
発明の名称 | 移動端末機及びその制御方法 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 河合 章 |
代理人 | 中村 健一 |
代理人 | 鶴田 準一 |