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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1321484
審判番号 不服2015-20958  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-25 
確定日 2016-11-29 
事件の表示 特願2014-230147「データエントリーシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月26日出願公開、特開2016- 95592、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年11月12日を出願日とする特許出願であって,平成27年3月23日付けで拒絶の理由が通知され,これに対し,平成27年5月29日付けで意見書及び手続補正書が提出され,平成27年8月20日付けで拒絶査定がされ(謄本送達日同年8月25日),これに対し,平成27年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がされ,同時に手続補正がされたものである。
そして,平成28年2月4日付けで審査官により作成された前置報告書について,審判請求人は平成28年4月18日付けで上申書を提出した。
第2 平成27年11月25日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の適否
1.本件補正について
(1)本件補正により,特許請求の範囲は,次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。
「【請求項1】
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えたクライアントコンピュータと,
前記クライアントコンピュータに通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと,
前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と,から成るデータエントリーシステムであって,
前記クライアントコンピュータは,
前記原本シートを前記スキャンニング手段によって生成した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と,
前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与し,前記暗号化した識別データが付与された分割イメージデータをそれぞれ対応するデータ項目毎に前記クライアントコンピュータの記憶部に保存する暗号化識別データ付与手段と,
前記暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信する分割イメージデータ送信手段と,
前記情報端末を介して入力された前記原本シートに対応するエントリー入力データを前記サーバコンピュータから受信し,該エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と,
を備え,
前記サーバコンピュータは,
前記クライアントコンピュータから送信された前記暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを顧客毎又は書類種別毎にまとめて1つの束(バッチ)としてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加して記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と,
前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から,前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と,
前記複数の情報端末からのアクセスに応答して,前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段と,
前記複数の情報端末から前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データを受信して,該受信したエントリー入力データを前記分割イメージデータに対応付けて前記記憶部に保存するエントリー入力データ受付け手段と,
前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対する前記エントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,前記記憶部に保存した前記バッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に前記クライアントコンピュータに送信するエントリー入力済データ送信手段と,を備え,
前記複数の情報端末のそれぞれは,
前記通信ネットワークに接続された不特定多数のパーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの文字入力が可能な携帯端末であって,
前記携帯端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と,
前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータファイルを受信する分割イメージデータファイル受信手段と,
前記受信したエントリー用分割イメージデータファイルに含まれる個々の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段と,
前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と,
前記入力手段を用いて入力したテキストデータに,前記分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成する手段と,
前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と,
前記サーバコンピュータから受信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と,を備えることを特徴とするデータエントリーシステム。
【請求項2】
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成する手段を備えた原稿読み取り装置と,
前記原稿読み取り装置に通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと,
前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と,から成るデータエントリーシステムであって,
前記原稿読み取り装置は,
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして原本シートに基づく原本イメージデータを生成するスキャンニング手段と,
前記原本シートに基づく原本イメージデータを前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信するイメージデータ送信手段と,を備え,
前記サーバコンピュータは,
前記原稿読み取り装置から送信された前記原本イメージデータを受信して,該受信した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と,
前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与し,前記暗号化した識別データが付与された分割イメージデータをそれぞれ対応するデータ項目毎にサーバコンピュータの記憶部に保存する暗号化識別データ付与手段と,
前記原稿読み取り装置から受信した原本イメージデータに対して,該原本イメージデータのそれぞれに対応する暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを1つの束(バッチ)にまとめてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加し,前記暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と,
前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から,前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と,
前記複数の情報端末からのアクセスに応答して,前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段と,
前記複数の情報端末から前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データを受信して,該受信したエントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,前記バッチファイル毎に対応する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と,を備え,
前記複数の情報端末のそれぞれは,
前記通信ネットワークに接続された不特定多数のパーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの文字入力が可能な携帯端末であって,
前記携帯端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と,
前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータファイルを受信する分割イメージデータファイル受信手段と,
前記受信したエントリー用分割イメージデータファイルに含まれる個々の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段と,
前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と,
前記入力手段を用いて入力したテキストデータに,前記分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成する手段と,
前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と,
前記サーバコンピュータから受信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と,を備えることを特徴とするデータエントリーシステム。
【請求項3】
前記サーバコンピュータのエントリー用データ送信手段は,1つのエントリー用分割イメージデータファイルを複数の情報端末に送信し,
前記サーバコンピュータのエントリー入力データ受付け手段は,
1つのエントリー用分割イメージデータファイルが異なる情報端末でテキスト入力された複数のエントリー入力データの内容が一致しているか否かを判断するエントリー入力データ一致判断手段と,
前記エントリー入力データ一致判断手段が不一致と判断した場合,正しいデータを入力するために管理者の端末に前記エントリー入力データを送信するスーパーバイジング依頼送信手段と,
前記管理者の端末から送信された判定データを受信して正規データとして記憶部に保存する正規データ受信手段と,を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータエントリーシステム。
【請求項4】
前記サーバコンピュータは,
前記複数の情報端末のそれぞれに送信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と,
前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了しない場合,前記情報端末との接続を解除して前記エントリー用分割イメージデータファイルを他の情報端末に自動的に送信するエントリー作業再送信手段と,を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータエントリーシステム。
【請求項5】
前記サーバコンピュータは,前記複数のエントリー者のそれぞれから情報端末を利用して受信したテキストデータ量に応じてエントリー者のそれぞれのアカウントにポイントを付与し,該付与したポイントの情報を提携したポイント交換事業者のデータサーバに送信すると共に,前記複数のエントリー者のそれぞれに対して,前記複数のエントリー者の要求に応じて前記付与したポイントの情報を通知するポイント情報照会手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータエントリーシステム。
【請求項6】
前記情報端末で前記データエントリー入力作業を実行させるアプリケーションプログラムは,前記情報端末からの要請に応じて,前記通信ネットワークに接続されたアプリケーションプログラム配信サーバから提供されることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータエントリーシステム。」
(2)本件補正前の,平成27年5月29日付の手続補正による特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えたクライアントコンピュータと,
前記クライアントコンピュータに通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと,
前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と,から成るデータエントリーシステムであって,
前記クライアントコンピュータは,
前記原本シートを前記スキャンニング手段によって生成した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と,
前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与して,データ項目毎に前記クライアントコンピュータの記憶部に保存する暗号化識別データ付与手段と,
前記暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信する分割イメージデータ送信手段と,
前記情報端末を介して入力された前記原本シートに対応するエントリー入力データを前記サーバコンピュータから受信し,該エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と,
を備え,
前記サーバコンピュータは,
前記クライアントコンピュータから送信された前記暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを顧客毎又は書類種別毎にまとめて1つの束(バッチ)としてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加して記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と,
前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から,前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と,
前記複数の情報端末からのアクセスに応答して,前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段と,
前記複数の情報端末から前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データを受信して,該受信したエントリー入力データを前記分割イメージデータに対応付けて前記記憶部に保存するエントリー入力データ受付け手段と,
前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対する前記エントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,前記記憶部に保存した前記バッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に前記クライアントコンピュータに送信するエントリー入力済データ送信手段と,を備え,
前記複数の情報端末のそれぞれは,
前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続し,受信したエントリー用分割イメージデータファイルを前記情報端末が備える画面に表示する手段と,
前記表示された分割イメージに基づいて生成されたテキストデータに,前記分割イメージデータに付与された暗号化した識別データを添付してエントリー入力データを生成する手段と,
前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と,を備えることを特徴とするデータエントリーシステム。
【請求項2】
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成する手段を備えた原稿読み取り装置と,
前記原稿読み取り装置に通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと,
前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と,から成るデータエントリーシステムであって,
前記原稿読み取り装置は,
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして原本シートに基づく原本イメージデータを生成するスキャンニング手段と,
前記原本シートに基づく原本イメージデータを前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信するイメージデータ送信手段と,を備え,
前記サーバコンピュータは,
前記原稿読み取り装置から送信された前記原本イメージデータを受信して,該受信した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と,
前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与して,データ項目毎にサーバコンピュータの記憶部に保存する暗号化識別データ付与手段と,
前記原稿読み取り装置から受信した原本イメージデータに対して,該原本イメージデータのそれぞれに対応する暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを1つの束(バッチ)にまとめてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加し,前記暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と,
前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から,前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と,
前記複数の情報端末からのアクセスに応答して,前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段と,
前記複数の情報端末から前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データを受信して,該受信したエントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,前記バッチファイル毎に対応する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と,を備え,
前記複数の情報端末のそれぞれは,
前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続し,受信したエントリー用分割イメージデータファイルを前記情報端末が備える画面に表示する手段と,
前記表示された分割イメージに基づいて生成されたテキストデータに,前記分割イメージデータに付与された暗号化した識別データを添付してエントリー入力データを生成する手段と,
前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と,を備えることを特徴とするデータエントリーシステム。
【請求項3】
前記複数の情報端末のそれぞれは,
前記通信ネットワークに接続された不特定多数のパーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの文字入力が可能な携帯端末を含み,
前記携帯端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と,
前記サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータファイルを受信する分割イメージデータファイル受信手段と,
受信したエントリー用分割イメージデータファイルを該エントリー用分割イメージデータファイルに含まれる個々の分割イメージを順次に画面出力する画面出力手段と,
前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と,
前記入力手段を用いて入力したテキストデータを,前記分割イメージに対応付けて前記サーバコンピュータに送信するエントリー入力データ送信手段と,を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータエントリーシステム。
【請求項4】
前記サーバコンピュータのエントリー用データ送信手段は,1つのエントリー用分割イメージデータファイルを複数の情報端末に送信し,
前記サーバコンピュータのエントリー入力データ受付け手段は,
1つのエントリー用分割イメージデータファイルが異なる情報端末でテキスト入力された複数のエントリー入力データの内容が一致しているか否かを判断するエントリー入力データ一致判断手段と,
前記エントリー入力データ一致判断手段が不一致と判断した場合,正しいデータを入力するために管理者の端末に前記エントリー入力データを送信するスーパーバイジング依頼送信手段と,
前記管理者の端末から送信された判定データを受信して正規データとして記憶部に保存する正規データ受信手段と,を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のデータエントリーシステム。
【請求項5】
前記サーバコンピュータは,
前記複数の情報端末のそれぞれに送信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と,
前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了しない場合,前記情報端末との接続を解除して前記エントリー用分割イメージデータファイルを他の情報端末に自動的に送信するエントリー作業再送信手段と,を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のデータエントリーシステム。
【請求項6】
前記複数の情報端末のそれぞれは,前記サーバコンピュータから受信したエントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載のデータエントリーシステム。
【請求項7】
前記サーバコンピュータは,前記複数のエントリー者のそれぞれから情報端末を利用して受信したテキストデータ量に応じてエントリー者のそれぞれのアカウントにポイントを付与し,該ポイント情報を提携したポイント交換事業者のデータサーバに送信すると共に,前記複数のエントリー者のそれぞれに対して,前記複数のエントリー者の要求に応じて前記ポイント情報を通知するポイント情報照会手段を更に有することを特徴とする請求項3に記載のデータエントリーシステム。
【請求項8】
前記情報端末で前記データエントリー入力作業を実行させるアプリケーションプログラムは,前記情報端末からの要請に応じて,前記通信ネットワークに接続されたアプリケーションプログラム配信サーバから提供されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のデータエントリーシステム。」
(3)本件補正の内容
ア 本件補正は,請求項1について以下のように補正している。
請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「暗号化識別データ付与手段」について,「前記暗号化した識別データが付与された分割イメージデータをそれぞれ対応するデータ項目毎に前記クライアントコンピュータの記憶部に保存する」と限定し,さらに,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報端末」について,「前記通信ネットワークに接続された不特定多数のパーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの文字入力が可能な携帯端末であって,前記携帯端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と,前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータファイルを受信する分割イメージデータファイル受信手段と,前記受信したエントリー用分割イメージデータファイルに含まれる個々の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段と,前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と, 前記入力手段を用いて入力したテキストデータに,前記分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成する手段と,前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と,前記サーバコンピュータから受信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と,を備える」と限定するものであって,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 本件補正は,請求項2について以下のように補正している。
請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「暗号化識別データ付与手段」について,「前記暗号化した識別データが付与された分割イメージデータをそれぞれ対応するデータ項目毎にサーバコンピュータの記憶部に保存する」と限定し,さらに,請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報端末」について,「前記通信ネットワークに接続された不特定多数のパーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの文字入力が可能な携帯端末であって,前記携帯端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と,前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータファイルを受信する分割イメージデータファイル受信手段と,前記受信したエントリー用分割イメージデータファイルに含まれる個々の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段と,前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と,前記入力手段を用いて入力したテキストデータに,前記分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成する手段と,前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と,前記サーバコンピュータから受信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と,を備える」と限定するものであって,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ 本件補正は,請求項3について,以下のように補正している。
本件補正前の請求項3の内容を請求項1および2に,それぞれ,統合したのに伴い,本件補正前の請求項3を削除し,本件補正前の請求項4を請求項3とし,それに伴って,引用元の請求項を「請求項1乃至3」から「請求項1又は2」と補正するものであって,同法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
エ 本件補正は,請求項4について,以下のように補正している。
本件補正前の請求項3の内容を請求項1および2に,それぞれ,統合したのに伴い,本件補正前の請求項3を削除し,本件補正前の請求項5を請求項4とし,それに伴って,引用元の請求項を「請求項1乃至3」から「請求項1又は2」と補正するものであって,同法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
オ 本件補正は,請求項5について,以下のように補正している。
本件補正前の請求項3および6の内容を請求項1および2に,それぞれ,統合したのに伴い,本件補正前の請求項3をおよび6削除し,本件補正前の請求項7を請求項5とし,それに伴って,引用元の請求項を「請求項3」から「請求項1又は2」と補正するものであって,同法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
また,「ポイント情報」を「付与したポイントの情報」にと限定するものであって,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
カ 本件補正は,請求項6について,以下のように補正している。
本件補正前の請求項3および6の内容を請求項1および2に,それぞれ,統合したのに伴い,本件補正前の請求項3をおよび6削除し,本件補正前の請求項8を請求項6とし,それに伴って,引用元の請求項を「請求項1乃至3」から「請求項1又は2」と補正するものであって,同法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
また,本件補正は,新規事項を追加するものではないから同法第17条の2第3項の要件を満たしているといえる。
さらに,本件補正は,シフト補正するものではないから同法第17条の2第4項の要件を満たしているといえる。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明1」という。)および本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下,「本件補正発明2」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
2.独立特許要件の検討
(1)刊行物の記載事項
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-67209号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
(ア)
「【技術分野】
【0001】
本発明は,帳票等の所定形式の定型書類に記載された各項目の内容を入力して電子データ化するデータエントリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来,帳票等の所定形式の定型書類に記載された各項目の内容を入力して電子データ化するデータエントリーシステムとしては,定型書類を管理するクライアントが,電子データ化サービスを提供するサービス提供機関が運営するサーバに,個人情報等の保護情報を含む定型書類のイメージデータを送信(アップロード)すると,サービス提供機関がこれらのイメージを複数のイメージに分割してデータ入力を行うオペレータに送信して,個々のオペレータに入力させて電子データ化することにより,オペレータに個人情報等の保護情報が知得されてしまうことにより,該保護情報が漏洩してしまうことを防止できるようにしたものがある(例えば,特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-107863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,特許文献1にあっては,オペレータに個人情報等の保護情報が知得されてしまうことによる漏洩は防止できるものの,定型書類のイメージデータは,オペレータに分割して配信するために,サービス提供機関が運営するサーバに送信して記憶する必要があるので,サービス提供機関に個人情報等の保護情報が知得されてしまうことによる漏洩は防止できないともに,サービス提供機関が運営するサーバに不正に侵入がなされた場合には,該イメージデータが不正に取得されて個人情報等の保護情報が漏洩してしまう可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明は,このような問題点に着目してなされたもので,保護情報が漏洩してしまうことを防止することのできるデータエントリーシステムを提供することを目的とする。」
(イ)
「【0012】
図1は,本発明のデータエントリーシステムのシステム構成の一実施例を示す図であり,本実施例のデータエントリーシステムは,所定形式の定型書類に記入された記載内容を情報処理に使用可能な電子データ化するデータエントリーサービスを提供するサービス提供機関が運営するセンターサーバ100と,サービス提供機関にデータエントリーサービスを依頼する各クライアントA,B…の,例えばオフィス等に設置されることで当該クライアントA,B…の社員等が利用可能なコンピュータ端末であるクライアント端末1a,1b,…と,サービス提供機関に入力作業(エントリー)を行う会員として事前に登録したエントリー会員が操作可能なインターネット端末であるエントリー会員端末2a,2b…と,から主に構成されている。
【0013】
尚,センターサーバ100は,必ずしも,サービス提供機関に設置されている必要はなく,多数のサーバ等を管理するデータセンタ等に設置されたものであっても良く,たとえば,近年において利用が急増しているクラウドサービスを提供するデータサービス会社に設置されたクラウドサーバコンピュータ等であっても良い。
【0014】
センターサーバ100は,サービス提供機関に設置されているコンピュータ端末である運営機関端末101に,たとえば,秘匿性の高い専用回線やバーチャルプライベートネットワーク(VPN)回線等を介して接続されており,該運営機関端末101から後述する分割テンプレートの登録や更新が可能とされているとともに,各クライアントからの分割画像の登録状況や各クライアントへの電子データの配信状況等のセンターサーバ100の状況把握を逐次実施できるようになっている。
【0015】
また,センターサーバ100は,図1に示すように,クライアント端末1a,1b,…と,エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能とされている。
【0016】
クライアント端末1a,1b,…には,図1に示すように,個々のクライアントにて使用している申込書等の帳票をイメージデータとしてクライアント端末1a,1b,…に入力するためのイメージデータ入力手段であるスキャナー11a,11b,…が接続されているとともに,インターネット網に接続されていれば良く,これらクライアント端末1a,1b,…としては,スキャナー11a,11b,…が接続可能な接続インターフェースと,インターネット網との通信を行う通信インターフェースとを有し,データエントリーサービスを利用するための後述するクライアント用のアプリケーションプログラムが動作可能な処理能力を有する通常のコンピュータ端末を使用することができる。
【0017】
また,エントリー会員端末2a,2b…は,インターネット網を利用する不特定多数のインターネット利用者が使用しているインターネット端末であって,文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置や,モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされているコンピュータ端末であれば良い。」
(ウ)
「【0023】
本実施例において,各分割画像に固有に付与される分割画像IDとしては,分割元の帳票イメージが入力された年月日にその当日にスキャンされた帳票イメージのシリアル番号を加えた分割元の帳票イメージを特定可能に付与される定型書類特定情報となる帳票イメージID(ハイフンの前部分)に,分割テンプレートの各分割領域の項目を特定可能に付与される項目特定情報となる項目番号(ハイフンの後部分)とから構成されており,該分割画像IDから,各分割画像の分割元の帳票イメージと,該分割元の帳票イメージにおいて該当する項目と,が特定できるようになっている(図5(c)参照)。
【0024】
また,「種別コード」の項目には,分割画像が該当する入力カテゴリが,後述するように,カタカナ,ひらがな,数字,漢字,選択肢のいずれのカテゴリに該当するのかを示すデータが格納され,該種別データは,分割テンプレートの各分割領域に対して予め設定されている種別データが格納される。
【0025】
「送信画像ID」の項目には,各分割画像に対してランダムに付与することで,各分割画像が送信される順序をシャッフルするとともに,該データから分割元の帳票イメージが同一であること等を,クライアント以外の他者(他社)に知得されないようにするために付与される送信画像IDのデータが格納され,このように,送信画像IDと分割画像IDとが対応付けて分割画像管理データベース(DB)に記憶されることで,送信画像IDから分割画像IDを特定して,どの分割画像が同一の帳票イメージから分割されたものであるのかや,同一の帳票イメージのどの項目の分割画像であるのかを特定できるようになっている。」
(エ)
「【0044】
次に,このようにして,センターサーバ100に登録された分割テンプレートを使用して,スキャナー11aにてスキャンされた帳票のイメージデータが分割される流れについて,図8を用いて説明する。まず,クライアント端末1aにおいてクライアント用のアプリケーションプログラム(以下,クライアントアプリと略記する)を起動して,クライアントIDとパスワードを入力する。
【0045】
該入力されたクライアントIDとパスワードは,クライアントアプリによりセンターサーバ100に送信されて,クライアントデータベース(DB)に記憶されているデータと照合される。
【0046】
センターサーバ100は,受信したクライアントIDとパスワードが,クライアントデータベース(DB)に記憶されているクライアントIDとパスワードと一致するか否かを判定し,該判定結果を返信する。
【0047】
クライアントアプリは,返信されてきた判定結果が照合OKであることを条件にログインを許諾し,使用する分割テンプレートの選択を受付ける選択画面を表示して,分割テンプレートの選択を受付ける。尚,該選択画面においては,予め記憶されている全ての分割テンプレートIDが選択可能に表示される。返信されてきた判定結果が照合NGであるときには,その後の処理に進むことなく,クライアントIDとパスワードの入力を受付ける処理を繰返し実行する。
【0048】
尚,帳票には,使用する分割テンプレートIDの情報が印刷されていることで,作業者が,該帳票に対して使用する分割テンプレートIDを確実に選択できるようにすることが好ましいが,記憶されている分割テンプレートIDが1つのみの場合には,該選択画面による選択受付けを省略して,記憶されている1の分割テンプレートを一義的に選択するようにしても良い。
【0049】
使用する分割テンプレートの選択を受付けた場合には,受付けた分割テンプレートの分割テンプレートIDをセンターサーバ100に送信して分割テンプレートのデータを取得する。
【0050】
センターサーバ100は,クライアント端末1aから分割テンプレートIDを受信したことに応じて,該受信した分割テンプレートIDに対応して分割テンプレートデータベース(DB)に記憶されている分割テンプレートのデータファイルを特定して,該特定したデータファイルを読み出して,送信元のクライアント端末1aに対して返信する。
【0051】
分割テンプレートのデータファイルを受信したクライアント端末1aは,受信した分割テンプレートのデータファイルを一時記憶する。尚,該一時記憶したデータファイルは,クライアントアプリが終了するときに消去される。
【0052】
そして,操作者の画像取り込み操作の受付けに応じて,スキャナー11aから帳票画像(イメージ)を取り込む画像取り込み処理を実施した後,該取り込んだ帳票画像を,図5に示すように,一時記憶した分割テンプレートを用いて分割する画像分割処理を実行する。
【0053】
該画像分割処理においては,帳票画像に表示されている位置合わせ用のガイドマーカー(GM)に基づいて,各分割領域の範囲を特定し,該特定した範囲の画像に帳票画像を分割する(図5参照)。
【0054】
そして,各分割画像に,上述したように,分割元の帳票画像(イメージ)を特定するための帳票イメージIDと項目番号とか成る分割画像IDを付与して,該付与した分割画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(クライアント端末側)に,各分割領域に設定されている種別コードとともに記憶する。
【0055】
そして,再度,帳票画像を取り込むための画像取り込み操作,または,既に取り込んで分割した分割画像を送信する画像送信操作のいずれかを,作業者から受付ける。
【0056】
画像取り込み操作を再度受付けた場合には,上述した画像取り込み操作の受付けに応じた処理を再実行することにより,次の帳票の帳票画像(イメージ)が取り込まれて分割され,分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶されていく。
【0057】
一方,画像送信操作を受付けた場合には,分割画像管理データベース(クライアント端末側)において,送信画像IDが格納されることなく記憶されている未送信の分割画像数が所定数(例えば,5帳票画像(イメージ)分の分割画像数)以上であるか否かを判定し,所定数以上であれば,図6(a)に示すように,各分割画像に送信画像IDをランダムに付与し,該付与した送信画像IDを分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶する。
【0058】
このように,所定数以上の未送信の分割画像が分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶されているときに,該記憶されている各分割画像にランダムに送信画像IDを付与することにより,図6(b)に示すように,同一の帳票画像(イメージ)から分割された各分割画像の間には,他の帳票画像(イメージ)から分割された分割画像が割り込んで送信されるようになるので,同一の帳票画像(イメージ)に分割画像がまとまって送信されることにより,これらの分割画像のデータが,送信経路上において不正に取得されても,個人情報が特定されてしまうことを回避できるようになることから好ましいが,本発明はこれに限定されるものではなく,これら所定数以上の十分な分割画像が存在するか否かの判定を実施することなく,分割画像をセンターサーバ100に送信するようにしても良い。
【0059】
尚,本実施例では,画像送信操作を受付けたときに,所定数以上の未送信の分割画像が存在するか否かを判断するようにしているが,本発明はこれに限定されるものではなく,これら所定数以上の未送信の分割画像が存在しない段階では,画像送信操作を受付ける操作部を無効状態(非アクティブ状態)として画像送信操作の受付けを不能とし,所定数以上の未送信の分割画像が存在する段階となったときに,画像送信操作を受付ける操作部を有効状態(アクティブ状態)として画像送信操作の受付けを可能とすることで,無駄な画像送信操作の受付けが実施されないようにしても良い。
【0060】
また,本実施例の送信画像IDの下3桁には,アルファベットの組み合わせが使用されていて,図6(b)に示すように,これら組み合わせがアルファベットの上位(aaa,aab,aac,aad…)となる順に再配列されることでシャッフルされて,センターサーバ100に種別コードと送信画像IDとともに分割画像が送信される(図6(b)参照)。
【0061】
尚,本実施例では,アルファベットの組み合わせを使用しているが,本発明はこれに限定されるものではなく,これらに,順序を特定可能な数字や記号等を用いても良い。
【0062】
このようにシャッフルされて送信された分割画像は,該分割画像とともに送信されてきた送信画像IDと種別コードとに対応付けて,受信順に,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶される(図9参照)。
【0063】
よって,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に連続して記憶される分割画像は,異なる帳票画像(イメージ)から分割された画像が含まれるようになるので,これらの画像から個人情報を特定することは非常に困難となるので,個人情報が,センターサーバ100を運営するサービス提供機関において知得され難くなるとともに,仮に,センターサーバ100に不正に侵入がなされて分割画像が不正に入手されたとしても,保護情報である個人情報が流出してしまう可能性を低くできるので,個人情報が漏洩してしまうことを防止することが可能となる。」
(オ)
「【0064】
次に,上記のようにして,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶された分割画像に対応する電子データが入力される流れについて,図10,図11に基づいて説明する。
【0065】
入力作業を行うために会員登録したエントリー会員は,入力作業を行うことのできる空き時間等に,センターサーバ100のサイトにアクセスすることにより配信されるログインページにおいて,会員IDとパスワードを入力してサイトにログインする。
【0066】
センターサーバ100は,ログインページにおいて入力された会員IDとパスワードを,エントリー会員データベース(DB)に記憶されているデータと照合し,照合結果が照合OKであるときに,当該会員の会員ページを生成して配信する。
【0067】
この会員ページには,当該エントリー会員の氏名や,現在所有しているエントリーポイント等の情報や,クライアントからの依頼予定等のエントリー作業が多くなる時期等の最新ニュース等の情報を確認できるようになっているとともに,エントリ(入力作業)を行う場合において,入力の対象とする入力カテゴリを選択する選択ウインドウ(図11参照)が設けられている。
【0068】
エントリー会員は,エントリ(入力作業)を行う専門家ではないので,漢字等の入力が不得手な会員もいれば,漢字等の入力が得意な会員も居るとともに,逆に,数字等の入力が得意であっても,ひらがな等の入力は不得手な会員も居り,各会員の得意な入力対象が異なるので,エントリー会員は,例えば,自分が得意とする入力カテゴリを選択することができる。尚,入力の訓練を実施するために,自分が不得意な入力カテゴリを敢えて選択することもできる。
【0069】
センターサーバ100は,選択された入力カテゴリが,例えば「カタカナ」のカテゴリである場合であれば,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている未配信の送信画像IDの分割画像,具体的には,配信日が記憶されていない送信画像IDの分割画像のうち,種別コードが「カタカナ」に対応するコード番号(例えば,「01」)の分割画像を1つ抽出し,該抽出した分割画像を含む,図11に示す入力ページを生成して配信する。
【0070】
尚,該配信を行うときに,当日の日付が「配信日」の項目に格納されるとともに,「入力会員」の項目に,入力ページを配信するエントリー会員の会員IDが格納される。
【0071】
図11に示すように,本実施例の入力ページには,入力作業領域202と,入力カテゴリを変更するときに使用する,会員ページと同一の入力カテゴリを選択可能な選択ウインドウ201と,が含まれている。
【0072】
入力作業領域202には,抽出された分割画像が入力対象画像として上方位置に表示されるともに,該入力対象画像の下方位置には,テキスト入力を行うためのテキスト入力部が設けられており,エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力する。
【0073】
入力が完了した場合には,入力完了操作(例えば,エンターキーの入力操作)を実行することで,テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信されて,該テキストデータ(電子データ)のデータ名に,送信画像IDによるデータ名が付与されて所定の記憶領域に記憶されるとともに,該データ名が,該分割画像の送信画像IDに対応する電子データ名として分割画像管理データベース(センターサーバ側)に,分割画像の送信画像IDに対応付けて記憶される。
【0074】
尚,1の入力ページ毎にテキストデータ(電子データ)をセンターサーバ100に送信するのではなく,所定数(例えば,10)の入力ページのエントリーが終了した時点で,入力されたテキストデータ(電子データ)をセンターサーバ100に送信することで,センターサーバ100の受信負荷を低減できるようにしても良い。
【0075】
そして,センターサーバ100は,再度,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている未配信の送信画像IDの分割画像のうち,種別コードが「カタカナ」に対応するコード番号(例えば,「01」)の分割画像を1つ抽出し,該抽出した分割画像を含む,入力ページを新たに生成してエントリー会員に配信することで,該分割画像に含まれるカタカナのテキストデータの入力が受付けられて,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶される。
【0076】
このように,入力ページの配信と入力とが繰返し入力されることで,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている未配信の分割画像が,順次,電子データ化されていく。」
(カ)
「【0083】
センターサーバ100は,該電子データ要求の受信に応じて,受信した電子データ要求に含まれる送信画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている電子データ名の電子データを読み出して,送信画像IDに対応付けた態様にて,電子データ要求の送信元のクライアント端末1aに対して返信するとともに,送信した電子データの個数に応じた利用料金を当該クライアントの利用金額に加算する。
【0084】
尚,このとき,電子データを送信した送信画像IDと送信日を,処理完了IDとして記憶しておくことで,分割画像管理データベース(センターサーバ側)においてクライアントに電子データが送信されて処理が完了した分割画像を特定できるようになっている。また,これら送信日から所定期間が経過した送信画像IDの登録データは,分割画像管理データベース(センターサーバ側)から消去される。
【0085】
クライアント端末1aは,分割画像管理データベース(クライアント端末側)において,受信した送信画像IDに対応する電子データ受信状況データを「受信済み」に更新するとともに,該受信した送信画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶されている分割画像IDから,各電子データが対応する分割画像の分割元の帳票画像(イメージ)と,該分割元の帳票画像(イメージ)における該当項目とを特定し,特定した帳票画像(イメージ)毎に,各項目の電子データを統合して,各帳票画像(イメージ)に対応した電子データを生成して記憶する。」
(キ)
「【0094】
また,前記実施例では,分割画像をシャッフルしてセンターサーバ100に送信する形態を例示しているが,本発明はこれに限定されるものではなく,これら分割画像をシャッフルすることなくセンターサーバ100に送信して,センターサーバ100がエントリー会員に各分割画像をランダムに配信するようにしても良い。」
(ク)上記(ア)?(キ)によれば,引用例1には,以下の事項を含む発明(以下,「引用例1発明」が開示されていると認められる。
「所定形式の定型書類に記入された記載内容を情報処理に使用可能な電子データ化するデータエントリーサービスを提供するサービス提供機関が運営するセンターサーバ100と,サービス提供機関にデータエントリーサービスを依頼する各クライアントA,Bの社員等が利用可能なコンピュータ端末であるクライアント端末1a,1b,…と,サービス提供機関に入力作業(エントリー)を行う会員として事前に登録したエントリー会員が操作可能なインターネット端末であるエントリー会員端末2a,2b…と,から構成されているデータエントリーシステムであって,
センターサーバ100は,クライアント端末1a,1b,…と,エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能であり,
クライアント端末1a,1b,…には,個々のクライアントにて使用している申込書等の帳票をイメージデータとしてクライアント端末1a,1b,…に入力するためのイメージデータ入力手段であるスキャナー11a,11b,…が接続されており,
エントリー会員端末2a,2b…は,インターネット網を利用する不特定多数のインターネット利用者が使用しているインターネット端末であって,文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置や,モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされているコンピュータ端末であり,
クライアント端末1aにおいてクライアント用のアプリケーションプログラム(以下,クライアントアプリと略記する)を起動し,
操作者の画像取り込み操作の受付けに応じて,スキャナー11aから帳票画像(イメージ)を取り込む画像取り込み処理を実施した後,該取り込んだ帳票画像を,分割テンプレートを用いて分割する画像分割処理を実行し,
各分割画像に,分割元の帳票画像(イメージ)を特定するための帳票イメージIDと項目番号とから成る分割画像IDを付与して,該付与した分割画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(クライアント端末側)に,各分割領域に設定されている種別コードとともに記憶し,ここで,各分割画像に固有に付与される分割画像IDとしては,分割元の帳票イメージが入力された年月日にその当日にスキャンされた帳票イメージのシリアル番号を加えた分割元の帳票イメージを特定可能に付与される定型書類特定情報となる帳票イメージID(ハイフンの前部分)に,分割テンプレートの各分割領域の項目を特定可能に付与される項目特定情報となる項目番号(ハイフンの後部分)とから構成されており,該分割画像IDから,各分割画像の分割元の帳票イメージと,該分割元の帳票イメージにおいて該当する項目と,が特定できるようになっており,
画像送信操作を受付けた場合には,分割画像管理データベース(クライアント端末側)において,各分割画像に送信画像IDをランダムに付与し,該付与した送信画像IDを分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶し,
送信画像IDの下3桁には,アルファベットの組み合わせが使用されていて,これら組み合わせがアルファベットの上位(aaa,aab,aac,aad…)となる順に再配列されることでシャッフルされて,センターサーバ100に種別コードと送信画像IDとともに分割画像が送信され,
シャッフルされて送信された分割画像は,該分割画像とともに送信されてきた送信画像IDと種別コードとに対応付けて,受信順に,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶され,
入力作業を行うために会員登録したエントリー会員は,入力作業を行うことのできる空き時間等に,センターサーバ100のサイトにアクセスすることにより配信されるログインページにおいて,会員IDとパスワードを入力してサイトにログインし,
センターサーバ100は,ログインページにおいて入力された会員IDとパスワードを,エントリー会員データベース(DB)に記憶されているデータと照合し,照合結果が照合OKであるときに,当該会員の会員ページを生成して配信し,
会員ページには,エントリ(入力作業)を行う場合において,入力の対象とする入力カテゴリを選択する選択ウインドウが設けられており,
エントリー会員は,例えば,自分が得意とする入力カテゴリを選択することができ,
センターサーバ100は,選択された入力カテゴリが,例えば「カタカナ」のカテゴリである場合であれば,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている未配信の送信画像IDの分割画像のうち,種別コードが「カタカナ」に対応するコード番号の分割画像を1つ抽出し,該抽出した分割画像を含む,入力ページを生成して配信し,
入力ページには,入力作業領域202と,入力カテゴリを変更するときに使用する,会員ページと同一の入力カテゴリを選択可能な選択ウインドウ201と,が含まれ,
入力作業領域202には,抽出された分割画像が入力対象画像として上方位置に表示されるともに,該入力対象画像の下方位置には,テキスト入力を行うためのテキスト入力部が設けられており,エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し,
入力が完了した場合には,入力完了操作(例えば,エンターキーの入力操作)を実行することで,テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信されて,該テキストデータ(電子データ)のデータ名に,送信画像IDによるデータ名が付与されて所定の記憶領域に記憶されるとともに,該データ名が,該分割画像の送信画像IDに対応する電子データ名として分割画像管理データベース(センターサーバ側)に,分割画像の送信画像IDに対応付けて記憶され,
入力ページの配信と入力とが繰返し入力されることで,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている未配信の分割画像が,順次,電子データ化され,
センターサーバ100は,該電子データ要求の受信に応じて,受信した電子データ要求に含まれる送信画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている電子データ名の電子データを読み出して,送信画像IDに対応付けた態様にて,電子データ要求の送信元のクライアント端末1aに対して返信し,
クライアント端末1aは,分割画像管理データベース(クライアント端末側)において,受信した送信画像IDに対応する電子データ受信状況データを「受信済み」に更新するとともに,該受信した送信画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶されている分割画像IDから,各電子データが対応する分割画像の分割元の帳票画像(イメージ)と,該分割元の帳票画像(イメージ)における該当項目とを特定し,特定した帳票画像(イメージ)毎に,各項目の電子データを統合して,各帳票画像(イメージ)に対応した電子データを生成して記憶する
データエントリーシステム。」
イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-107863号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
(ア)
「【技術分野】
【0001】
本発明は,データエントリーシステムに関し,より具体的には,帳票に記載された項目をデータとして入力するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来,各種の帳票に記入された記載事項をデータ入力する作業では,データエントリーを行う者,すなわちオペレータが,入力するべき帳票のイメージを見ながらその帳票に記載された事項をデータ入力することにより行われている。この帳票には,たとえば,住所,氏名,郵便番号,電話番号,口座番号,銀行名,支店名,受取人,金額等の事項が記載されている。また,帳票の記載項目は千差万別であり,記載事項の項目の種類や数などに相当の違いがある。
【0003】
データエントリーを行うエントリー担当者は,すべての記載事項を正確に入力しなければならず,高度に熟練された理解力とタイピング技術が必要とされ,入力時のミスが生じてしまうと大きな問題を引き起こしてしまうことになる。このため,入力ミスを発見して納品前に修正するため,エントリー工程の後にベリファイ工程を設け,ベリファイ担当者がエントリー担当者の入力ミスを修正することが広く行われている。
【0004】
また,近年,情報通信技術の飛躍的な進展等を背景としたインターネットやデジタル文書化の急速な普及等によって,実物の原票を持ち出さず,エントリー担当者およびベリファイ担当者がコンピュータを用いてイメージを見ながらデータエントリー及びベリファイを行うシステムが提案されている。特許文献1に開示されたデータエントリーシステムでは,帳票をイメージデータとして,そのイメージデータを項目ごとに分割し,分割したイメージデータを自宅にいるエントリー担当者に送信して,担当者が自宅で入力を行う。
【特許文献1】特開2006-244315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,従来のデータエントリーシステムでは,以下のような問題があった。
帳票のイメージを項目ごとに分割することによっても,個人情報の保護は十分ではないという第1の問題があった。すなわち分割された帳票イメージが在宅のエントリー担当者のもとに送信されることにより,個人情報が漏洩する可能性が飛躍的に増大する。また,帳票のイメージが分割されているからといっても,分割したイメージを合成すれば容易に個人情報の復元が可能である。さらに,現代のデジタル技術の進展によって,データ化された個人情報は瞬時に盗まれる可能性がある。
【0006】
また,従来のデータエントリーシステムでは,オペレータが任意の業務を選択することができるため,業務の進捗が予測できず,納期に間に合わない事態が生じるという第2の問題があった。すなわち,各オペレータが個人のスケジュールに従い業務を選択するのでは,あるデータエントリー業務が納品期限に間に合うか否かが,不確実であった。また,すべてのデータエントリー業務を納品期限に間に合わせようと調整するのは,管理者が所属するデータセンターの独自の方法(例えば,人海戦術)によって行っていたため,管理者の業務が煩雑になり,結果として調整もうまく行われておらず,場合によっては納期に間に合わないこともあり得た。
【0007】
さらに,従来のデータエントリーシステムでは,オペレータのスキルの管理がシステムとして行われていないため,オペレータのスキルが向上しないという第3の問題があった。
【0008】
そこで,本発明は,個人情報を厳格に保護し,データエントリーの業務の割当てを最適化し,且つオペレータのスキルを向上させることができるデータエントリーシステムを提供することを目的とする。」
(イ)
「【0030】
<全体構成>
図1は,本発明の実施形態であるデータエントリーシステム1の全体構成を示す図である。
【0031】
データエントリーシステム1は,クライアントコンピュータ110と,シンクライアントサーバ120と,ファイルサーバ130と,データベースサーバ140と,ワークフローサーバ150とを含んでいる。
【0032】
クライアントコンピュータ110は,例えばパーソナルコンピュータであり,OS,CPU,メモリ,ディスプレイ,マウスやキーボード等の入力装置から構成される。オペレータはクライアントコンピュータ110を通じて,データの入力を行う。このクライアントコンピュータ110はネットワーク,例えば,インターネットなどを介して,シンクライアントサーバ120に接続されている。
【0033】
シンクライアントサーバ120は,ハードディスクなどの資源を保持した通常のサーバであり,エントリーシステム121を含んでいる。エントリーシステム121は,ファイルサーバ130から受け取った分割エントリー用イメージをクライアントコンピュータ110に表示させ,表示されている分割エントリー用イメージに基づいて,オペレータからのテキストデータの入力を受け付けるシステムである。
【0034】
ファイルサーバ130は,帳票に関するイメージデータ及びテキストデータとしてのエントリーデータなどを格納している。ファイルサーバ130は,帳票のイメージデータ(以下,帳票イメージ)からエントリーすべき記載事項ごとのエントリーイメージを分割して,分割エントリー用イメージを作成する分割手段であるイメージ分割プログラム131と,複数いるオペレータごとに配信予定の分割エントリー用イメージを決定する抽出手段であるイメージ配信プログラム132と, 最終的に複数のオペレータから返信されたエントリーデータを元の帳票単位のデータに合成する合成手段であるデータ合成プログラム133を備えている。
【0035】
帳票イメージ,分割エントリー用イメージ,エントリーデータ及び帳票単位のデータは図示しない記録媒体に格納されている。分割エントリー用イメージは,イメージ配信プログラム132(抽出手段,配信手段)によって適宜抽出されて,シンクライアントサーバ120に配信される。このとき,イメージ配信プログラム132は,複数のオペレータごとに配信予定の分割エントリー用イメージを決定する抽出手段として機能するとともに,複数のオペレータに前記分割エントリー用イメージをジョブとして配信する配信手段として機能する。また,シンクライアントサーバ120は,オペレータから返信されたエントリーデータは適宜ファイルサーバ130に送信されて,図示しない記録媒体に格納される。
【0036】
データベースサーバ140は,帳票に関する情報を管理する業務マスタ141と,オペレータに関する情報を管理するオペレータマスタ142と,教育用のサンプル等を含んだ教育マスタ143を備えたサーバである。業務マスタ141は,業務に関する各種情報,分割エントリー用イメージ,エントリーされたデータを格納しているほか,例えば移行状況テーブル144,配信情報テーブル145などを保持している。オペレータマスタ142は,オペレータに関する情報,例えば,オペレータのスキル,スケジュールなどの情報を格納している。
【0037】
ワークフローサーバ150は,エントリー業務全体を管理するサーバである。このワークフローサーバ150は,スケジュール管理システム151と,課金情報照会システム152と,教育システム153と,問合せシステム154を備えている。これらのシステムについての詳細は後述する。
【0038】
ファイルサーバ130,データベースサーバ140及びワークフローサーバ150は,ローカルエリアネットワークなどによって接続されている。シンクライアントサーバ120は,ファイルサーバ130及びワークフローサーバ150とは,相互に依存度が少ない疎結合によって接続されている。」
(ウ)
「【0045】
<全体フロー>
図3は,本実施形態における業務の流れを示すフローチャートである。
【0046】
ステップS1の仕分け工程では,顧客から提供された帳票の仕分けを行う。
【0047】
ステップS2の取込み・バッチ工程では,顧客ごと,あるいは種類ごとに一まとまりのバッチとしての帳票の束を選択し,そのバッチごとに納期等の情報を設定する。続いて,帳票のスキャンを行い,帳票イメージとしてのデータに変換する。データベースサーバ140は,顧客,納期,その他の情報を業務マスタ141に格納する。また,ファイルサーバ130は,帳票イメージを格納する。
【0048】
続いて,ステップS2において,ファイルサーバ130のイメージ分割プログラム131は,帳票イメージを分割し,分割エントリー用イメージを生成する。イメージの分割は,帳票の記載事項ごとに行われる。すなわち,帳票ごとに予め設定されたテンプレートにしたがって,各記載事項ごとにイメージが切り出される。ファイルサーバ130は,切り出された分割エントリー用イメージを格納する。また,分割エントリー用イメージごとに,難易度,必要とされるオペレータのスキルのレベル等の情報が設定される。データベースサーバ140は,これらの情報を業務マスタ141に格納する。
【0049】
ステップS3の配信工程では,ファイルサーバ130のイメージ配信プログラム132が分割エントリー用イメージのまとまりをジョブごとにエントリーを行うオペレータを決定する。エントリーを行うオペレータの決定は,イメージ配信プログラム132が,業務マスタ141に登録された納期,難易度,必要とされるオペレータのスキルのレベル等の情報と,オペレータマスタ142に登録された各オペレータの各オペレータのスキルのレベル,スケジュール,ベリファイ移行率等の情報に基づいて,納期と品質が最適になるように行う。
【0050】
続いて,イメージ配信プログラム132は,そのジョブとエントリーを行うオペレータの情報をシンクライアントサーバ120のエントリーシステム121に配信する。エントリーシステム121は,配信されたジョブに含まれる分割エントリー用イメージを,決定されているオペレータに対してシンクライアントサーバ120から,クライアントコンピュータ110のディスプレイに表示させる。続いて,エントリーシステム121は,表示された分割エントリー用イメージに対するオペレータのデータのエントリーを受け付ける。このとき,分割エントリー用イメージの実際のファイルは,クライアントコンピュータ110に配信されず,シンクライアントサーバ120における処理の結果に応じた画面情報のみがクライアントコンピュータ110に送信される。
【0051】
ステップS4のエントリー・ベリファイ工程では,オペレータがクライアントコンピュータ110を通じて,エントリーまたはベリファイを行う。具体的には,エントリー担当者が分割エントリー用イメージを見ながら,データのエントリーを行う。エントリーされたデータはベリファイ担当者に回され,エントリー工程と同様にベリファイ入力を行う。エントリーデータと相違があれば,ベリファイ最中にエラーとなり修正を行う。ベリファイされたデータはデータベースサーバ140に格納される。
【0052】
ステップS5の出力工程では,ファイルサーバ130のデータ合成プログラム133が,分割エントリー用イメージに対してエントリーされたテキストデータを元の帳票単位のデータに合成する。続いて,ファイルサーバ130は,合成された帳票単位データを図示しない記録装置に格納する。
【0053】
ステップS6の修正工程では,帳票単位データのチェック及び修正を行う。例えば,識別できない不明なデータや所定の欄の外に記載された記載事項を,帳票全体のイメージと合成された帳票単位データとを比較して,管理者または上級オペレータが目視で確認し,必要があれば修正を行う。また,同じバッチに属する帳票単位データのまとまりに対して論理チェックを行い,不整合があるデータを抽出し,必要があれば修正を行う。
【0054】
ステップS7の納品工程では,完成した帳票単位データのまとまりを,顧客が要求するデータレイアウトに変換し,納品を行う。」
(エ)
「【0058】
<配信工程>
配信工程は,オペレータごとに配信予定の分割エントリー用イメージを抽出する抽出と,オペレータに分割エントリー用イメージをジョブとして配信するジョブ配信とに分けられる。
【0059】
分割エントリー用イメージの抽出は,予め設定した抽出条件に基づいて行われる。設定可能な抽出条件は,本番/教育,精度レベル(新人,初級,中級,上級,初・中級,中・上級,初・中・上級),速度レベル(新人,初級,中級,上級,初・中級,中・上級,初・中・上級),ステータス(エントリー待ち,ベリファイ待ち,予約,配信中,済み),納期,登録日,ベリファイの要/否,ベリファイ移行率,ランダム抽出の要/否,継続/新規などである。」
(オ)
「【0073】
<自動割当て処理>
オペレータのデータエントリーが開始されると,イメージ配信プログラム132は,自動割当てルーチンを起動する。この自動割当てルーチンは,オペレータがデータエントリーを継続できなくなった場合に,そのバッチを他のオペレータに自動的に割り当てる処理である。
【0074】
図6は,自動割当てルーチンの詳細を示すフローチャートである。ステップS601において,分割エントリー用イメージの配信が開始される。同時に,図示しないタイマーがカウントを開始する。
【0075】
ステップS602において,入力制限時間内にオペレータからエントリーデータの返信があったか否かが判断される。このとき,ステップS602を実行するCPUは,ジョブ完了判断手段として機能する。入力制限時間は,帳票イメージを分割した後に,分割エントリー用イメージごとに予め設定されている情報である。入力制限時間内に返信があった場合は,ステップS601に戻り,次の分割エントリー用イメージがそのオペレータに配信される。
【0076】
入力制限時間内に返信がなかった場合は,ステップS603に進み,以降の分割エントリー用イメージを他のオペレータに割当て,配信を行う。このとき,ステップS603を実行するCPUは,自動割当て手段として機能する。具体的には,イメージ配信プログラム132は,ステータスを「エントリー待ち」に戻し,図5のステップS503における他のオペレータからの予約要求に応じて,抽出される対象に戻される。以降,図5のステップS504において,分割エントリー用イメージとして他のオペレータに対して予約され,ステップS505において配信される。
【0077】
このように自動割当て処理を行うことによって,例えばオペレータが席を離れた場合など,データエントリーを継続できない場合が生じたとしても,他のオペレータにそのバッチが割り当てられ,データエントリーが継続されるため,納期が短縮され,生産性が向上する。また,バッチの処理が終了する時刻が予想できるため,短納期の業務にも対応することが可能になる。
【0078】
入力制限時間内に返信がない場合に,そのバッチが割り当てられる他のオペレータは,ステップS504において,所定の抽出条件(例えば,精度レベル,速度レベル)にしたがって決定されるので,同一のレベルのオペレータのもとでデータエントリーが継続されることになる。したがって,エントリーデータの品質も維持することが可能になる。」
(カ)
「【0090】
<スケジュール管理システム>
図8は,本実施形態におけるスケジュール管理システムの概略を示す概念図である。
【0091】
図8において,オペレータがログインした日付が毎月の月末に該当している場合は,エントリーシステム121は,「スケジュール管理画面」をクライアントコンピュータ110のディスプレイに表示させる。スケジュール管理画面は,図8(a)に示すように,一例として,カレンダー形式で表示され,各オペレータはそれぞれの日付に対して作業を遂行可能である予定時間を入力する。例えば,図8(a)に示すように,オペレータAは,XX月3日において,5時間の作業が可能であると入力し,オペレータBは同日に3時間の作業が可能であると入力する。入力された作業予定時間は,データベースサーバ140のオペレータマスタ142に登録される。
【0092】
一方,新規な業務を受任すると,その業務の期限と量がデータベースサーバ140の業務マスタ141に登録される。そして,図8(b)に示すように,各日付における業務量リストが作成される。例えば,XX月XX日には,帳票1000枚のデータエントリーが必要な業務A,帳票500枚のデータエントリーが必要な業務B,そして帳票2000枚のデータエントリーが必要な業務Cが予定されることになる。
【0093】
ワークフローサーバ150のスケジュール管理システム151が,入力された作業予定時間と,予定されている業務とその量に基づいて,自動的にオペレータに割り当てるようにしてもよい。例えば,作業可能時間が多いオペレータAに対しては,量が多い業務Cを割り当てる。あるいは,作業可能時間が少ないオペレータBに対しては,業務Aと業務Bを割り当てる。
この自動割り当ては,上述した分割エントリー用イメージの抽出と同様に,予め設定した条件に基づいて行われる。可能な抽出条件は,イメージの抽出と同様に,本番/教育,精度レベル(新人,初級,中級,上級,初・中級,中・上級,初・中・上級),速度レベル(新人,初級,中級,上級,初・中級,中・上級,初・中・上級),ステータス(エントリー待ち,ベリファイ待ち,予約,配信中,済み),納期,登録日,ベリファイの要/否,ベリファイ移行率,ランダム抽出の要/否,継続/新規などである。」
(キ)上記(ア)?(カ)によれば,引用例2には,以下の事項を含む技術(以下,「引用例2記載技術」という。)が開示されていると認められる。
「データエントリーシステム1は,クライアントコンピュータ110と,シンクライアントサーバ120と,ファイルサーバ130と,データベースサーバ140と,ワークフローサーバ150とを含んでおり,
クライアントコンピュータ110はネットワーク,例えば,インターネットなどを介して,シンクライアントサーバ120に接続され,
シンクライアントサーバ120は,エントリーシステム121を含んでおり,エントリーシステム121は,ファイルサーバ130から受け取った分割エントリー用イメージをクライアントコンピュータ110に表示させ,表示されている分割エントリー用イメージに基づいて,オペレータからのテキストデータの入力を受け付けるシステムであり,
ファイルサーバ130は,帳票に関するイメージデータ及びテキストデータとしてのエントリーデータなどを格納しており,
ファイルサーバ130は,帳票のイメージデータ(以下,帳票イメージ)からエントリーすべき記載事項ごとのエントリーイメージを分割して,分割エントリー用イメージを作成する分割手段であるイメージ分割プログラム131と,複数いるオペレータごとに配信予定の分割エントリー用イメージを決定する抽出手段であるイメージ配信プログラム132と,最終的に複数のオペレータから返信されたエントリーデータを元の帳票単位のデータに合成する合成手段であるデータ合成プログラム133を備えており,
分割エントリー用イメージは,イメージ配信プログラム132(抽出手段,配信手段)によって適宜抽出されて,シンクライアントサーバ120に配信され,
イメージ配信プログラム132は,複数のオペレータごとに配信予定の分割エントリー用イメージを決定する抽出手段として機能するとともに,複数のオペレータに前記分割エントリー用イメージをジョブとして配信する配信手段として機能しており,
取込み・バッチ工程では,顧客ごと,あるいは種類ごとに一まとまりのバッチとしての帳票の束を選択し,そのバッチごとに納期等の情報を設定し,
続いて,帳票のスキャンを行い,帳票イメージとしてのデータに変換し,
続いて,ファイルサーバ130のイメージ分割プログラム131は,帳票イメージを分割し,分割エントリー用イメージを生成し,イメージの分割は,帳票の記載事項ごとに行われ,
ファイルサーバ130のイメージ配信プログラム132が分割エントリー用イメージのまとまりをジョブごとにエントリーを行うオペレータを決定し,
イメージ配信プログラム132は,そのジョブとエントリーを行うオペレータの情報をシンクライアントサーバ120のエントリーシステム121に配信し,
エントリーシステム121は,配信されたジョブに含まれる分割エントリー用イメージを,決定されているオペレータに対してシンクライアントサーバ120から,クライアントコンピュータ110のディスプレイに表示させ,
エントリーシステム121は,表示された分割エントリー用イメージに対するオペレータのデータのエントリーを受け付け,
エントリー・ベリファイ工程では,オペレータがクライアントコンピュータ110を通じて,エントリー担当者が分割エントリー用イメージを見ながら,データのエントリーを行い,エントリーされたデータはベリファイ担当者に回され,エントリー工程と同様にベリファイ入力を行い,
出力工程では,ファイルサーバ130のデータ合成プログラム133が,分割エントリー用イメージに対してエントリーされたテキストデータを元の帳票単位のデータに合成し,
修正工程では,帳票単位データのチェック及び修正を行い,
納品工程では,完成した帳票単位データのまとまりを,顧客が要求するデータレイアウトに変換し,納品を行うデータエントリーシステムであって,
オペレータのデータエントリーが開始されると,イメージ配信プログラム132は,自動割当てルーチンを起動し,この自動割当てルーチンは,オペレータがデータエントリーを継続できなくなった場合に,そのバッチを他のオペレータに自動的に割り当てる処理であって,入力制限時間内にオペレータからエントリーデータの返信があったか否かが判断され,入力制限時間内に返信がなかった場合は,以降の分割エントリー用イメージを他のオペレータに割当て,配信を行う
データエントリーシステム。」
ウ 引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-236003号公報(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
(ア)
「【技術分野】
【0001】
本発明は,インターネットを介したWEB配信を用いたデータ入力システムに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の急速な普及によって一般家庭のパーソナルコンピュータ等の情報端末(ネットワーク端末)がFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)を通じて汎用ネットワークシステム(インターネット)に接続可能になってくると,在宅ビジネスも普及していくことが予想される。
【0003】
ネットワーク端末を用いた在宅ビジネスとしては,データエントリシステムが提案されている。
これは,帳票等の手書き入力イメージ情報をイメージ情報としてWEBサーバに登録し,在宅オペレータがネットワークを介して前記イメージ情報と入力インターフェース画面をダウンロード表示してイメージ情報を参照しながらネットワーク端末のキーボードからCGI機能を用いてサーバへの入力作業を行わせるものである。
【0004】
この点について,OCRを用いて手書き入力データを文字化するシステムもよく知られているが,企業で用いる帳票の場合,文字認識精度が100%でなければ実用的でない。そのため,オペレータが手書き帳票を目視してキーボードから文字入力を行う方式が主流となっている。
【0005】
なお,本願発明に係る先行技術文献としては,以下の文献に開示されたものがある。
特許文献1は,ネットワークを介して言語データの校閲を行うシステムであるが,文章中の表現の揺れ(たとえば,「振り替え」と「振替」などの表現の違い)を校閲するものであって,入力者に対して校閲者が1対1の関係でネットワーク回線を使用して校閲を行うものに過ぎなかった。
また,特許文献2は,サーバに蓄積されたデータをネットワークを介してどのように利用するかについて述べているに過ぎなかった。
【特許文献1】特開2004-252922号公報
【特許文献2】特開2003-208341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,前記データエントリシステムでは,以下のような課題が提起されている。
第1に,データの秘密性が確保できない問題があった。すなわち,手書き入力イメージ情報をネットワーク端末にダウンロードすることによって,企業の顧客情報や個人情報が漏洩するおそれがあった。
【0007】
第2に,オペレータが入力したデータの正当性を確認するシステムが確立されていない点が指摘されていた。すなわち,オペレータが入力したデータに誤りがあった場合,データエントリシステムサーバ上で当該データの誤りを発見したり修正するのは専ら検査者の目視に依存せざるを得ないため,システムとしてこれを修正する運用の確立が期待されていた。
【0008】
本発明は,情報の秘匿性を維持しながらネットワーク端末によるデータ入力を可能にするとともに,入力されたデータの正誤判定および修正を効率的に支援するネットワークを用いたデータエントリ方法を確立することを技術的課題とする。」
(イ)
「【0019】
図1は,本実施形態のデータエントリシステムによる処理フロー図,図2は本実施形態のシステム構成図である。
【0020】
本実施形態では,原票管理処理と,データエントリ処理と,クロスチェックデータ修正処理とからなる。
原票管理処理では,原票のスキャニング処理から,帳票パターンの自動認識および振り分け,項目イメージの座標切り出し,データ公開までの一連の業務処理および進捗の管理を行う。また,実際の原票枚数やデータエントリの進捗枚数,エラー数,完了数,納品データのダウンロード機能を備えている。
【0021】
この原票管理処理は,具体的には,原帳票のイメージ化(スキャン処理101),帳票パターン振り分け102,項目イメージ切り出し103,データ公開104の各ステップで構成されている。
【0022】
すなわち,原帳票をスキャン用端末で光学的に走査することによりイメージ画像ファイルを生成する(101)。このスキャン用端末には原票イメージデータベースを有しており,スキャンされた原帳票をJPEG,TIFF,GIF,BMP等のイメージデータで蓄積する。
【0023】
次に,帳票パターン振分サーバで帳票パターン毎に振り分けることにより(102),帳票別イメージ画像ファイルを生成する。この帳票別イメージ画像ファイルは,帳票パターン別イメージデータベースに蓄積される。
【0024】
この帳票別イメージ画像ファイルは項目イメージ切出サーバでによって読み出されて,項目毎の項目別パーツイメージデータの切り出しを行う(103)。このようにして切り出されたイメージデータは,項目別パーツイメージデータベースに蓄積される。
【0025】
そしてこの項目別パーツイメージデータは,データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバの中央処理装置によって読み出されて,HTMLフォーマット(Hyper Text Markup Language Format)に当てはめられて,WEBエントリデータとして公開される。
【0026】
このWEBエントリデータでは,項目別パーツイメージデータと,それに対応する入力ボックスが画面上に一対の状態で表示されるようになっている。
この状態でオペレータ端末は汎用ネットワーク(インターネット)を介してアクセス可能な状態となる(104)。
【0027】
そして,オペレータ端末ではオペレータがキーボードを用いて当該項目別パーツイメージに対応した文字を入力可能となっている。このようにして入力された文字データは,データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバのCGI機能を経てエントリ完成データベースに蓄積される。
【0028】
データエントリ処理は,あらかじめ登録されている在宅やSOHO(Small Office Home Office)の入力者(パンチャー)がオペレータ端末からインターネットを介してログインし,ダウンロードされた項目イメージを見ながらデータを入力する処理である。ここで,データ入力(データエントリ)は,一般のオペレータ端末にインストールされたインターネットエクスプローラ(マイクロソフト社の商標)やネットスケープ(ネットスケープ社の商標)等のWEBブラウザプログラムを介して行うことができるため,ネットワーク端末に特殊なソフトウェアをインストールする必要はない。データエントリ処理は,並行して実行処理することが可能であり,入力者数とデータ数を比較しながら,適切な作業へ自動的に振り分けを行うこともできる(最適化割当処理機能)。
【0029】
なお,このときに,個人情報に関わる重要な項目については,あらかじめ指定した信頼できる入力者にのみ割り当てることもできる。
【0030】
このデータエントリ処理では,具体的には,データエントリ処理105,最適化割当処理108を順次実行することによって行われる。
【0031】
クロスチェックデータ修正処理では,同一データを複数の入力者に割り当てて入力処理を行わせて,相互に入力されたデータを比較し,正解データを出力するようになっている(106)。オペレータ個人で異なるデータ入力方法(大文字・小文字判定,全角・半角の相違など)を選択できるようにするとともに,これらの入力データを補正する機能を,各入力項目毎に設定する機能を備えている。ここでは,正解データを検出するまで,最大で3名の入力者からの入力を受け付けて,それでも正解が特定できない場合には,データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバに接続された管理者端末(図示せず)による修正処理を行う。管理者端末による修正処理では,項目イメージのみからデータを入力する「項目修正」と,さらに上位者によって全イメージを見て修正する「全画面修正」の機能を備えている。
【0032】
以上のようにして,完成データを得る(107)。」
(ウ)
「【0036】
図3は,クロスチェック処理の詳細を示すフロー図である。
クロスチェック処理において,データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバは,同一項目を最低2名の入力者(オペレータ端末)に表示してそれぞれ入力させる。そのデータをデータエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバのクロスチェックプログラムによって相互チェックを行い,相互に同一の場合は正解データとして完成データ化する。
【0037】
また,入力データが正しくない場合には,別の入力者に入力作業を差し戻し,最大3名による入力値を相互比較し,正解データを求める。
【0038】
最大3名の入力値が相互に異なる場合には,あらかじめ指定した項目修正者によって,最終判断および最終データ入力を行う。なお,個人情報保護の観点から,項目修正者には,該当する項目しか表示しないようにしている。
【0039】
項目修正者によっても最終的な正解データの判断が難しい場合,項目修正者は,全画面修正者に最終データ入力を依頼することができる。依頼はシステム的に登録することができる。
【0040】
クロスチェック処理は,3分に一回,自動的に起動し,クロスチェック対象となるデータを自動抽出して,ステータスに応じた比較処理を行う。
【0041】
上のフローによって,最も少ない工数で精度の高い正解データを得ることが可能となり,また同時に原票データに記載された個人情報を含めたセキュリティの確保を担保することができる。
【0042】
入力データは図4に示す入力ステータステーブルによって管理されている。同図は,各ステータステーブル項目の定義を示している。
【0043】
同図に示すように,入力ステータステーブルは,切り出されたパーツデータ毎に1つのレコードとして,データの入力者や入力値,クロスチェックステータスを管理するテーブルである。各パーツ毎の入力データは,最終的には原票連番IDによって関連付けられて,最終的な納品データとなる。
【0044】
図5は,クロスチェック処理の一例であり,最初の2人のオペレータの入力値が一致した場合のフロー図と入力ステータステーブルの値の変化を示す図である。
【0045】
図6は,同じくクロスチェック処理の一例であり,最初の2人のオペレータの入力値が不一致で,3人目のオペレータ入力が実行された場合のフロー図と入力ステータステーブルの値の変化を示す図である。
【0046】
データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバは,当該サーバにアクセスしているオペレータ端末のオペレータIDを検索し,少なくとも2名以上のオペレータからの入力希望を受け付ける。
【0047】
そして2名のオペレータの入力値が一致した場合は,図5に示すように,正解フラグの1と2にそれぞれフラグ”1”を立てる。データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバの中央処理装置は,プログラムにしたがって正解フラグの1?3をチェックし,その中でフラグ”1”が2個以上立っている場合にはステータスを「完了」にし,完成データテーブルを生成する。この完成データテーブルには,データID,原票連番ID,パーツエリアIDおよびデータが登録される。
【0048】
一方,2名のオペレータの入力値が不一致である場合には,図6に示すように,いずれの正解フラグにも値を立てない。ここでは,第1入力者(ID=51)は「ブローバルセンス」と入力し,第2入力者(ID=781)は「グローバルセンス」と入力しているため不一致となっている。
【0049】
この場合にはデータエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバの中央処理装置は,プログラムにしたがって第3の入力オペレータをアサインする。具体的には,当該イメージ画像データ(項目イメージ)を再度データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバにアップロードし,入力希望のオペレータを募り,入力作業を行わせる。
【0050】
この結果,第3入力者(ID=781)の入力値が第2入力者(ID=781)と一致した場合には,中央処理装置は,第2入力者と第3入力者の正解フラグを”1”とし,第1入力者の入力は誤りであると判定して第1入力者の正解フラグを”0”とする。
そして第2入力者と第3入力者の入力値を完成データとして完成データテーブルを生成する。」
(エ)上記(ア)?(ウ)によれば,引用例3には,以下の事項を含む技術(以下,「引用例3記載技術」という。)が開示されていると認められる。
「データエントリシステムによる処理フローは,原票管理処理と,データエントリ処理と,クロスチェックデータ修正処理とからなり,
原票管理処理は,原帳票のイメージ化(スキャン処理101),帳票パターン振り分け102,項目イメージ切り出し103,データ公開104の各ステップで構成されており,
切り出されたイメージデータは,項目別パーツイメージデータベースに蓄積され,
項目別パーツイメージデータは,データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバの中央処理装置によって読み出されて,HTMLフォーマット(Hyper Text Markup Language Format)に当てはめられて,WEBエントリデータとして公開され,
このWEBエントリデータでは,項目別パーツイメージデータと,それに対応する入力ボックスが画面上に一対の状態で表示されるようになっており,
データエントリ処理は,あらかじめ登録されている在宅やSOHO(Small Office Home Office)の入力者(パンチャー)がオペレータ端末からインターネットを介してログインし,ダウンロードされた項目イメージを見ながらデータを入力する処理であり,
データ入力(データエントリ)は,一般のオペレータ端末にインストールされたインターネットエクスプローラ(マイクロソフト社の商標)やネットスケープ(ネットスケープ社の商標)等のWEBブラウザプログラムを介して行うことができ,
クロスチェックデータ修正処理では,同一データを複数の入力者に割り当てて入力処理を行わせて,相互に入力されたデータを比較し,正解データを出力するようになっており,
正解データを検出するまで,最大で3名の入力者からの入力を受け付けて,それでも正解が特定できない場合には,データエントリ用WEBサーバ兼クロスチェック処理サーバに接続された管理者端末による修正処理を行う
データエントリシステム。」
(2)本件補正発明1との対比・判断
ア 対比
本件補正発明1と引用例1発明とを対比する。
(ア)本件補正発明1は,データエントリーシステムの技術分野に属し,個人情報を含む帳票類を電子データ化するデータエントリーの過程における情報漏洩を防止し,データ入力を行うエントリー者として広く一般の人でも行えるデータエントリーシステムを提供することを課題としている(段落0001,0007)。
引用例1発明は,データエントリーシステムの技術分野に属し,サービス提供機関に個人情報等の保護情報が知得されてしまうことにより保護情報が漏洩してしまうことを防止することのできるデータエントリーシステムを提供することを課題としている(段落0004,0005)。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,データエントリーシステムという共通の技術分野に属し,また,個人情報等の漏洩を防止するという共通の課題を有しているといえる。
(イ)引用例1発明は,「保護情報が漏洩してしまうことを防止することのできるデータエントリーシステム」であって,「クライアント端末1a,1b,…には,個々のクライアントにて使用している申込書等の帳票をイメージデータとしてクライアント端末1a,1b,…に入力するためのイメージデータ入力手段であるスキャナー11a,11b,…が接続されて」いる。
ここで,引用例1発明の「申込書等の帳票」,「イメージデータとして・・・入力するためのイメージデータ入力手段であるスキャナー」,「クライアント端末」は,それぞれ,本件補正発明1の「保護情報が記載された帳票からなる原本シート」,「スキャンニングして・・・イメージデータを生成するスキャンニング手段」,「クライアントコンピュータ」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えたクライアントコンピュータを備えている点で共通している。
(ウ)引用例1発明は,「データエントリーサービスを提供するサービス提供機関が運営するセンターサーバ」を備え,「センターサーバ100は,クライアント端末1a,1b,…と,エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されて」いる。
ここで,引用例1発明の「クライアント端末」,「オープンコンピュータネットワークであるインターネット網」,「センターサーバ」は,それぞれ,本件補正発明1の「クライアントコンピュータ」,「通信ネットワーク」,「サーバコンピュータ」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,クライアントコンピュータに通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータを備えている点で共通している。
(エ)引用例1発明は,「センターサーバ」と「クライアント端末」と「サービス提供機関に入力作業(エントリー)を行う会員として事前に登録したエントリー会員が操作可能なインターネット端末であるエントリー会員端末2a,2b…と,から構成されているデータエントリーシステムであって,」「センターサーバ100は,クライアント端末1a,1b,…と,エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能であり,」「スキャナー11aから帳票画像(イメージ)を取り込む画像取り込み処理を実施した後,該取り込んだ帳票画像を,分割テンプレートを用いて分割する画像分割処理を実行し,」「エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し」ている。
ここで,引用例1発明の「オープンコンピュータネットワークであるインターネット網」,「帳票」,「入力作業(エントリー)」,「センターサーバ」,「データの送受信が可能」,「エントリー会員端末2a,2b…」は,それぞれ,本件補正発明1の「通信ネットワーク」,「原本シート」,「データ入力」,「サーバコンピュータ」,「データ通信可能」,「複数の情報端末」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,通信ネットワークに接続されて原本シートのデータ入力を行うサーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末を備えたデータエントリーシステムである点で共通している。
(オ)引用例1発明では,「クライアント端末1aにおいてクライアント用のアプリケーションプログラム(以下,クライアントアプリと略記する)を起動し,操作者の画像取り込み操作の受付けに応じて,スキャナー11aから帳票画像(イメージ)を取り込む画像取り込み処理を実施した後,該取り込んだ帳票画像を,分割テンプレートを用いて分割する画像分割処理を実行し」,「各分割画像に,分割元の帳票画像(イメージ)を特定するための帳票イメージIDと項目番号とか成る分割画像IDを付与して」おり,「該分割画像IDから,各分割画像の分割元の帳票イメージと,該分割元の帳票イメージにおいて該当する項目と,が特定できるようになって」いる。
ここで,引用例1発明の「クライアント端末」,「帳票」,「スキャナー」,「帳票画像(イメージ)」,「項目」,「分割画像」,「画像分割処理」は,それぞれ,本件補正発明1の「クライアントコンピュータ」「原本シート」,「スキャンニング手段」,「原本イメージデータ」,「データ項目」,「分割イメージデータ」,「イメージデータ分割」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,クライアントコンピュータが原本シートをスキャンニング手段によって生成した原本イメージデータを帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段を備えている点で共通している。
(カ)引用例1発明では,「各分割画像に,分割元の帳票画像(イメージ)を特定するための帳票イメージIDと項目番号とか成る分割画像IDを付与して,該付与した分割画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(クライアント端末側)に,各分割領域に設定されている種別コードとともに記憶し」,「分割画像管理データベース(クライアント端末側)において,各分割画像に送信画像IDをランダムに付与し,該付与した送信画像IDを分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶し」ている。
ここで,引用例1発明の「分割画像」,「分割画像管理データベース(クライアント端末側)」は,それぞれ,本件補正発明1の「分割イメージデータ」,「クライアントコンピュータの記憶部」に相当する。
したがって,引用例1発明の「分割画像ID」と,本件補正発明1の「識別データ」は,分割イメージデータがどの帳票のどのデータ項目のものであるかを特定可能な識別データである点で共通し,引用例1発明の「ランダムに付与」された「送信画像ID」と,本件補正発明1の「暗号化した識別データ」は,分割イメージデータに対して付与され,かつ,どの帳票のどのデータ項目であるかを特定可能なデータとの対応関係が第三者には不明な,分割イメージデータの識別データである点で共通している。
しかし,本件補正発明1の分割イメージデータの識別データが,暗号化されているのに対し,引用例1発明の分割イメージデータの識別データは暗号化されておらず,別途送信画像IDがランダムに付与されている点で相違している。
また,本件補正発明1では,識別データが付与された分割イメージデータを保存する際に,データ項目毎に保存しているのに対し,引用例1発明では,データ項目毎に保存していない点でも相違している。
(キ)引用例1発明では,「分割画像管理データベース(クライアント端末側)において,各分割画像に送信画像IDをランダムに付与し,該付与した送信画像IDを分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶し,送信画像IDの下3桁には,アルファベットの組み合わせが使用されていて,これら組み合わせがアルファベットの上位(aaa,aab,aac,aad…)となる順に再配列されることでシャッフルされて,センターサーバ100に種別コードと送信画像IDとともに分割画像が送信され」ており,「センターサーバ100は,クライアント端末1a,1b,…と(中略)オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能であ」る。
ここで,引用例1発明の「分割画像」,「センターサーバ」,「インターネット網」は,それぞれ,本件補正発明1の「分割イメージデータ」,「サーバコンピュータ」,「通信ネットワーク」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,識別データが付与された複数の分割イメージデータをシャッフルしてサーバコンピュータに通信ネットワークを介して送信する分割イメージデータ送信手段をクライアントコンピュータが備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,複数の分割イメージデータをシャッフルする際に,データ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルしているのに対し,引用例1発明では,データ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルしていない点で相違している。
(ク)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,インターネット網を利用する不特定多数のインターネット利用者が使用しているインターネット端末であって,文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置や,モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされているコンピュータ端末であり,」「エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し,入力が完了した場合には,入力完了操作(例えば,エンターキーの入力操作)を実行することで,テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信されて,該テキストデータ(電子データ)のデータ名に,送信画像IDによるデータ名が付与されて所定の記憶領域に記憶されるとともに,該データ名が,該分割画像の送信画像IDに対応する電子データ名として分割画像管理データベース(センターサーバ側)に,分割画像の送信画像IDに対応付けて記憶され,」「センターサーバ100は,該電子データ要求の受信に応じて,受信した電子データ要求に含まれる送信画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている電子データ名の電子データを読み出して,送信画像IDに対応付けた態様にて,電子データ要求の送信元のクライアント端末1aに対して返信し,」「クライアント端末1aは,分割画像管理データベース(クライアント端末側)において,受信した送信画像IDに対応する電子データ受信状況データを「受信済み」に更新するとともに,該受信した送信画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(クライアント端末側)に記憶されている分割画像IDから,各電子データが対応する分割画像の分割元の帳票画像(イメージ)と,該分割元の帳票画像(イメージ)における該当項目とを特定し,特定した帳票画像(イメージ)毎に,各項目の電子データを統合して,各帳票画像(イメージ)に対応した電子データを生成して記憶」している。
ここで,引用例1発明の「クライアント端末」,「エントリー会員端末」,「帳票」の「分割画像を見ながら」「入力されたテキストデータ(電子データ)」,「センターサーバ」,「各項目の電子データを統合して,各帳票画像(イメージ)に対応した電子データを生成」は,それぞれ,本件補正発明1の「クライアントコンピュータ」,「情報端末」,「原本シートに対応するエントリー入力データ」,「サーバコンピュータ」,「原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,情報端末を介して入力された原本シートに対応するエントリー入力データをサーバコンピュータから受信し,該エントリー入力データに対応する識別データを用いて原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段をクライアントコンピュータが備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,テキストデータとして合成する際に用いる分割イメージデータのIDデータが,暗号化した識別データであって復号して用いるのに対し,引用例1発明では,テキストデータとして合成する際に用いる分割イメージデータのIDデータが,暗号化した識別データでなく,復号して用いていない点で相違している。
(ケ)引用例1発明では,「クライアント端末」から「センターサーバ100に種別コードと送信画像IDとともに分割画像が送信され,シャッフルされて送信された分割画像は,該分割画像とともに送信されてきた送信画像IDと種別コードとに対応付けて,受信順に,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶され」る。
ここで,引用例1発明の「クライアント端末」,「センターサーバ」,「分割画像」,「分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶」は,それぞれ,本件補正発明1の「クライアントコンピュータ」,「サーバコンピュータ」,「分割イメージデータ」,「記憶部に保存」に相当する。また,引用例1発明の「送信画像ID」は,本件補正発明1の「暗号化した識別データ」に対応する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,サーバコンピュータが,クライアントコンピュータから送信された,識別データが付与された複数の分割イメージデータを記憶部に保存する手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,分割イメージデータを記憶部に保存する際に,顧客毎又は書類種別毎にまとめて1つの束(バッチ)としてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加しているのに対し,引用例1発明では,バッチファイルを構成しておらず,バッチ情報を付加していない点で相違している。
(コ)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,インターネット網を利用する不特定多数のインターネット利用者が使用しているインターネット端末であって,文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置や,モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされているコンピュータ端末であり,」「入力作業を行うために会員登録したエントリー会員は,入力作業を行うことのできる空き時間等に,センターサーバ100のサイトにアクセス」し,「エントリー会員は,例えば,自分が得意とする入力カテゴリを選択することができ,センターサーバ100は,選択された入力カテゴリが,例えば「カタカナ」のカテゴリである場合であれば,分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている未配信の送信画像IDの分割画像のうち,種別コードが「カタカナ」に対応するコード番号の分割画像を1つ抽出し,該抽出した分割画像を含む,入力ページを生成して配信し」ている。
ここで,引用例1発明の「センターサーバ」,「エントリー会員端末2a,2b…」は,それぞれ,本件補正発明1の「サーバコンピュータ」,「複数の情報端末」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,サーバコンピュータが,複数の情報端末からのアクセスに応答して,複数のエントリー用分割イメージデータの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータを選択して送信するエントリー用データ送信手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,送信するエントリー用分割イメージデータとして,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして送信しているのに対し,引用例1発明では,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして送信していない点で相違している。
(サ)引用例1発明では,「エントリー会員端末」の「表示装置」に表示された「入力ページ」内の「テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信されて,該テキストデータ(電子データ)のデータ名に,送信画像IDによるデータ名が付与されて所定の記憶領域に記憶され」ている。
ここで,引用例1発明の「エントリー会員端末」,「分割画像」,「センターサーバ」,「所定の記憶領域に記憶」は,それぞれ,本件補正発明1の「情報端末」,「エントリー用分割イメージデータ」,「サーバコンピュータ」,「記憶部に保存」に相当する。
また,引用例1発明の「入力されたテキストデータ(電子データ)」は,本件補正発明1の「エントリー入力データ」に対応する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,サーバコンピュータが,複数の情報端末から複数のエントリー用分割イメージデータに対するエントリー入力データを受信して,該受信したエントリー入力データを前記分割イメージデータに対応付けて記憶部に保存する手段を備えている点で共通している。
(シ)引用例1発明では,「センターサーバ100は,該電子データ要求の受信に応じて,受信した電子データ要求に含まれる送信画像IDに対応付けて分割画像管理データベース(センターサーバ側)に記憶されている電子データ名の電子データを読み出して,送信画像IDに対応付けた態様にて,電子データ要求の送信元のクライアント端末1aに対して返信し」ている。
ここで,引用例1発明の「センターサーバ」,「電子データ」,「分割画像管理データベース(センターサーバ側)」,「クライアント端末」は,それぞれ,本件補正発明1の「サーバコンピュータ」,「エントリー入力データ」,「記憶部」,「クライアントコンピュータ」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,センターサーバが,記憶部に保存したエントリー入力データを,クライアントコンピュータに送信するエントリー入力済データ送信手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,記憶部に保存したバッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に送信ているのに対し,引用例1発明では,複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データが全て揃ったことが確認しておらず,バッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に送信していない点で相違している。
(ス)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,インターネット網を利用する不特定多数のインターネット利用者が使用しているインターネット端末であって,文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置や,モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされているコンピュータ端末であ」る。
ここで,引用例1発明の「エントリー会員端末2a,2b…」,「インターネット網」,「文字や数字等の入力を行うことのできる」は,それぞれ,本件補正発明1の「複数の情報端末」,「通信ネットワーク」,「文字入力が可能」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,通信ネットワークに接続された文字入力が可能なコンピュータ端末である点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,パーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの携帯端末であるのに対し,引用例1発明では,コンピュータ端末であるものの携帯可能な端末か否か明らかでない点で相違している。
(セ)引用例1発明では,「入力作業を行うために会員登録したエントリー会員は,入力作業を行うことのできる空き時間等に,センターサーバ100のサイトにアクセスすることにより配信されるログインページにおいて,会員IDとパスワードを入力してサイトにログインし,センターサーバ100は,ログインページにおいて入力された会員IDとパスワードを,エントリー会員データベース(DB)に記憶されているデータと照合し,照合結果が照合OKであるときに,当該会員の会員ページを生成して配信し」ている。
ここで,引用例1発明の「入力作業を行うために会員登録したエントリー会員」,「センターサーバ」,「会員登録」,「会員IDとパスワードを入力してサイトにログイン」は,それぞれ,本件補正発明1の「携帯端末の利用者」である「原本シートのデータ入力を行うエントリー者」,「サーバコンピュータ」,「登録」,「認証」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,コンピュータ端末が,コンピュータ端末の利用者が原本シートのデータ入力を行うエントリー者としてサーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段を備えている点で共通している。
(ソ)引用例1発明では,「センターサーバ100は,」「エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能であり,」「センターサーバ100は,」「抽出した分割画像を含む,入力ページを生成して配信し」ている。
ここで,引用例1発明の「センターサーバ」,「インターネット網」,「エントリー会員端末」は,それぞれ,本件補正発明1の「サーバコンピュータ」,「通信ネットワーク」,「情報端末」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,情報端末が,通信ネットワークを介してサーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータを受信する分割イメージデータ受信手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,受信するエントリー用分割イメージデータとして,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信しているのに対し,引用例1発明では,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信していない点で相違している。
(タ)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,」「モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされて」おり,「センターサーバ100」が「生成して」「エントリー会員端末」に「配信し」た「入力ページには,入力作業領域202」「が含まれ,」「入力作業領域202には,抽出された分割画像が入力対象画像として上方位置に表示され」,「入力ページの配信と入力とが繰返し入力され」ている。
ここで,引用例1発明の「エントリー会員端末」に「配信し」た「入力ページ」の「入力作業領域」に「入力対象画像として上方位置に表示され」た「抽出された分割画像」,「エントリー会員端末」が備える「モニタ等の表示装置」は,それぞれ,本件補正発明1の「受信したエントリー用」の「分割イメージ」,「情報端末が備える画面」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,情報端末が,受信したエントリー用の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,受信するエントリー用分割イメージデータとして,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信しているのに対し,引用例1発明では,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信していない点で相違している。
(チ)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,」「文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置」「を備え,」「センターサーバ100」が「生成して」「エントリー会員端末」に「配信し」た「入力ページには,入力作業領域202」「が含まれ,」「入力作業領域202には,抽出された分割画像が入力対象画像として上方位置に表示されるともに,該入力対象画像の下方位置には,テキスト入力を行うためのテキスト入力部が設けられており,エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し」ている。
ここで,引用例1発明の「表示された分割画像」,「テキストにてテキスト入力部に入力」,「キーボート等の入力装置」は,それぞれ,本件補正発明1の「順次に画面表示される個々の分割イメージ」,「テキストデータとして入力」,「入力手段」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,情報端末が,順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段を備えている点で共通している。
(ツ)引用例1発明では,「エントリー会員端末」が備える「キーボート等の入力装置」を用いて,「エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し,入力が完了した場合には,入力完了操作(例えば,エンターキーの入力操作)を実行することで,テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信され」ている。
ここで,引用例1発明の「キーボート等の入力装置」を用いて「テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)」,「分割画像」は,それぞれ,本件補正発明1の「入力手段を用いて入力したテキストデータ」,「分割イメージデータ」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,情報端末が,入力手段を用いて入力したテキストデータに,分割イメージデータを対応付ける手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成しているのに対し,引用例1発明では,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成していない点で相違している。
(テ)引用例1発明では,「入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信され」ている。
ここで,引用例1発明の「入力されたテキストデータ(電子データ)」,「センターサーバ」は,それぞれ,本件補正発明1の「入力したテキストデータ」,「サーバコンピュータ」に相当する。
また,引用例1発明の「入力されたテキストデータ(電子データ)」は,本件補正発明1の「エントリー入力データ」と,「入力したテキストデータ」を含んでいる点で共通しており,互いに対応しているといえる。
したがって,引用例1発明と本件補正発明1とは,情報端末が,入力したテキストデータを前記サーバコンピュータに送信する手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明1では,入力したテキストデータをサーバコンピュータに送信する際に,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けて生成したエントリー入力データとして送信しているのに対し,引用例1発明では,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けたエントリー入力データとして送信していない点で相違している。
(ト)上記(ア)?(テ)によれば,両者は,以下の点で一致し,また相違する。
[一致点]
「保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えたクライアントコンピュータと,
前記クライアントコンピュータに通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと,
前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と,から成るデータエントリーシステムであって,
前記クライアントコンピュータは,
前記原本シートを前記スキャンニング手段によって生成した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と,
前記複数の分割イメージデータのそれぞれに分割イメージデータの識別データを付与し,前記識別データが付与された分割イメージデータを前記クライアントコンピュータの記憶部に保存する手段と,
前記識別データが付与された複数の分割イメージデータをシャッフルして前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信する分割イメージデータ送信手段と,
前記情報端末を介して入力された前記原本シートに対応するエントリー入力データを前記サーバコンピュータから受信し,該エントリー入力データに対応する分割イメージデータの前記識別データを用いて原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と,
を備え,
前記サーバコンピュータは,
クライアントコンピュータから送信された,前記識別データが付与された複数の分割イメージデータを記憶部に保存するエントリー用データ受付手段と,
複数の情報端末からのアクセスに応答して,複数のエントリー用分割イメージデータの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータを選択して送信するエントリー用データ送信手段と,
複数の情報端末から複数のエントリー用分割イメージデータに対するテキストデータを受信して,該受信したテキストデータを前記分割イメージデータに対応付けて記憶部に保存する手段と,
記憶部に保存したテキストデータを,クライアントコンピュータに送信するエントリー入力済みデータ送信手段と,を備え,
前記複数の情報端末のそれぞれは,
通信ネットワークに接続された文字入力が可能なコンピュータ端末であって,
前記コンピュータ端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と,
前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータを受信する分割イメージデータ受信手段と,
受信したエントリー用の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段と,
前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と,
前記入力手段を用いて入力したテキストデータに,前記分割イメージデータを対応付ける手段と,
入力したテキストデータを前記サーバコンピュータに送信する手段と,
を備えたデータエントリーシステム。」
[相違点1-1]
本件補正発明1の分割イメージデータの識別データが,暗号化されているのに対し,引用例1発明の分割イメージデータの識別データは暗号化されておらず,別途送信画像IDがランダムに付与されている点。
[相違点1-2]
本件補正発明1では,識別データが付与された分割イメージデータを保存する際に,データ項目毎に保存しているのに対し,引用例1発明では,データ項目毎に保存していない点。
[相違点1-3]
本件補正発明1では,複数の分割イメージデータをシャッフルする際に,データ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルしているのに対し,引用例1発明では,データ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルしていない点。
[相違点1-4]
本件補正発明1では,テキストデータとして合成する際に用いる分割イメージデータの識別データが,暗号化されており,復号して用いるのに対し,引用例1発明では,テキストデータとして合成する際に用いる分割イメージデータの識別データが,暗号化されておらず,復号して用いていない点。
[相違点1-5]
本件補正発明1では,分割イメージデータを記憶部に保存する際に,顧客毎又は書類種別毎にまとめて1つの束(バッチ)としてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加しているのに対し,引用例1発明では,バッチファイルを構成しておらず,バッチ情報を付加していない点。
[相違点1-6]
本件補正発明1では,サーバコンピュータが,記憶部に保存されたバッチファイルの中から,バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして記憶部に保存する作業ファイル作成手段を備えているのに対し,引用例1発明では,このような手段を備えていない点。
[相違点1-7]
本件補正発明1では,サーバコンピュータから情報端末に送信・受信するエントリー用分割イメージデータとして,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして送信・受信しているのに対し,引用例1発明では,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして送信・受信していない点。
[相違点1-8]
本件補正発明1では,複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,記憶部に保存したバッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に送信ているのに対し,引用例1発明では,複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データが全て揃ったことが確認しておらず,バッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に送信していない点。
[相違点1-9]
本件補正発明1では,パーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの携帯端末であるのに対し,引用例1発明では,コンピュータ端末であるものの携帯可能な端末か否か明らかでない点。
[相違点1-10]
本件補正発明1では,情報端末が,入力したテキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成・送信しているのに対し,引用例1発明では,入力したテキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成・送信していない点。
[相違点1-11]
本件補正発明1では,情報端末が,サーバコンピュータから受信した全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段を備えているのに対し,引用例1発明では,そのような手段を備えていない点。
イ 判断
相違点1-2および相違点1-3ならびに相違点1-6についての検討を行う。
[相違点1-2および相違点1-3について]
本件補正発明1では,識別データが付与された分割イメージデータを保存する際に,データ項目毎に保存し(相違点1-2),データ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルしている(相違点1-3)。これらの点について,引用例1にも,引用例2または引用例3にも,記載も示唆もなく,当該構成は,引用例1発明に,引用例2記載技術あるは引用例3記載技術を適用しても,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
[相違点1-6について]
本件補正発明1では,サーバコンピュータが,記憶部に保存されたバッチファイルの中から,バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして記憶部に保存する作業ファイル作成手段を備えている。
引用例2には,データエントリーシステムにおいて,複数のオペレータに前記分割エントリー用イメージをジョブとして配信することは記載されているものの,記憶部に保存されたバッチファイルの中から,バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割することは記載も示唆もなく,当該構成は,引用例1発明に,引用例2記載技術あるは引用例3記載技術を適用しても,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって,本件補正発明1は,引用例1発明および引用例2記載事項ならびに引用例3記載事項から,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(2)本件補正発明2との対比・判断
本件補正発明2と引用例1発明とを対比する。
(ア)本件補正発明2は,データエントリーシステムの技術分野に属し,個人情報を含む帳票類を電子データ化するデータエントリーの過程における情報漏洩を防止し,データ入力を行うエントリー者として広く一般の人でも行えるデータエントリーシステムを提供することを課題としている(段落0001,0007)。
引用例1発明は,データエントリーシステムの技術分野に属し,サービス提供機関に個人情報等の保護情報が知得されてしまうことにより保護情報が漏洩してしまうことを防止することのできるデータエントリーシステムを提供することを課題としている(段落0004,0005)。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,データエントリーシステムという共通の技術分野に属し,また,個人情報等の漏洩を防止するという共通の課題を有しているといえる。
(イ)引用例1発明は,「保護情報が漏洩してしまうことを防止することのできるデータエントリーシステム」であって,「クライアント端末1a,1b,…には,個々のクライアントにて使用している申込書等の帳票をイメージデータとしてクライアント端末1a,1b,…に入力するためのイメージデータ入力手段であるスキャナー11a,11b,…が接続されて」いる。
ここで,引用例1発明の「申込書等の帳票」,「イメージデータとして・・・入力するためのイメージデータ入力手段であるスキャナー」,「クライアント端末」は,それぞれ,本件補正発明2の「保護情報が記載された帳票からなる原本シート」,「スキャンニングして・・・イメージデータを生成するスキャンニング手段」,「原稿読み取り装置」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えた原稿読み取り装置を備えている点で共通している。
(ウ)引用例1発明は,「データエントリーサービスを提供するサービス提供機関が運営するセンターサーバ」を備え,「センターサーバ100は,クライアント端末1a,1b,…と,エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されて」いる。
ここで,引用例1発明の「クライアント端末」,「オープンコンピュータネットワークであるインターネット網」,「センターサーバ」は,それぞれ,本件補正発明2の「原稿読み取り装置」,「通信ネットワーク」,「サーバコンピュータ」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,原稿読み取り装置に通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータを備えている点で共通している。
(エ)引用例1発明は,「センターサーバ」と「クライアント端末」と「サービス提供機関に入力作業(エントリー)を行う会員として事前に登録したエントリー会員が操作可能なインターネット端末であるエントリー会員端末2a,2b…と,から構成されているデータエントリーシステムであって,」「センターサーバ100は,クライアント端末1a,1b,…と,エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能であり,」「スキャナー11aから帳票画像(イメージ)を取り込む画像取り込み処理を実施した後,該取り込んだ帳票画像を,分割テンプレートを用いて分割する画像分割処理を実行し,」「エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し」ている。
ここで,引用例1発明の「オープンコンピュータネットワークであるインターネット網」,「帳票」,「入力作業(エントリー)」,「センターサーバ」,「データの送受信が可能」,「エントリー会員端末2a,2b…」は,それぞれ,本件補正発明2の「通信ネットワーク」,「原本シート」,「データ入力」,「サーバコンピュータ」,「データ通信可能」,「複数の情報端末」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,通信ネットワークに接続されて原本シートのデータ入力を行うサーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末を備えたデータエントリーシステムである点で共通している。
(オ)引用例1発明では,「クライアント端末1aにおいてクライアント用のアプリケーションプログラム(以下,クライアントアプリと略記する)を起動し,操作者の画像取り込み操作の受付けに応じて,スキャナー11aから帳票画像(イメージ)を取り込む画像取り込み処理を実施した後,該取り込んだ帳票画像を,分割テンプレートを用いて分割する画像分割処理を実行し」,「各分割画像に,分割元の帳票画像(イメージ)を特定するための帳票イメージIDと項目番号とか成る分割画像IDを付与して」,「各分割画像に送信画像IDをランダムに付与し,」「送信画像IDの下3桁には,アルファベットの組み合わせが使用されていて,これら組み合わせがアルファベットの上位(aaa,aab,aac,aad…)となる順に再配列されることでシャッフルされて,センターサーバ100に種別コードと送信画像IDとともに分割画像が送信され」ており,「センターサーバ100は,クライアント端末1a,1b,…と,」「オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能であ」る。
ここで,引用例1発明の「クライアント端末」,「帳票」,「スキャナー」,「帳票画像(イメージ)」,「センターサーバ」,「インターネット網」は,それぞれ,本件補正発明2の「原稿読み取り装置」「原本シート」,「スキャンニング手段」,「原本イメージデータ」,「サーバコンピュータ」,「通信ネットワーク」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,原本シートに基づく原本イメージデータをサーバコンピュータに通信ネットワークを介して送信するイメージデータ送信手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明2では,原稿読み取り装置が原本イメージデータをそのままサーバコンピュータに送信しているのに対し,引用例1発明では,原本イメージデータを分割およびシャッフルして送信している点で相違している。
(カ)引用例1発明では,「エントリー会員端末」の「表示装置」に表示された「入力ページ」内の「テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信されて」ている。
ここで,引用例1発明の「エントリー会員端末」,「分割画像」,「入力されたテキストデータ(電子データ)」,「センターサーバ100に送信」,「所定の記憶領域に記憶」は,それぞれ,本件補正発明2の「情報端末」,「エントリー用分割イメージデータ」,「エントリー入力データ」,「サーバコンピュータ」が「受信」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,サーバコンピュータが,複数の情報端末から複数のエントリー用分割イメージデータに対するエントリー入力データを受信する手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明2では,サーバコンピュータが,受信したエントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,バッチファイル毎に対応する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段を備えているのに対し,引用例1発明では,サーバコンピュータがこのような構成を備えていない点で相違している。
(キ)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,インターネット網を利用する不特定多数のインターネット利用者が使用しているインターネット端末であって,文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置や,モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされているコンピュータ端末であ」る。
ここで,引用例1発明の「エントリー会員端末2a,2b…」,「インターネット網」,「文字や数字等の入力を行うことのできる」は,それぞれ,本件補正発明2の「複数の情報端末」,「通信ネットワーク」,「文字入力が可能」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,通信ネットワークに接続された文字入力が可能なコンピュータ端末である点で共通している。
しかし,本件補正発明2では,情報端末が,パーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの携帯端末であるのに対し,引用例1発明では,情報端末が,コンピュータ端末であるものの携帯可能な端末か否か明らかでない点で相違している。
(ク)引用例1発明では,「入力作業を行うために会員登録したエントリー会員は,入力作業を行うことのできる空き時間等に,センターサーバ100のサイトにアクセスすることにより配信されるログインページにおいて,会員IDとパスワードを入力してサイトにログインし,センターサーバ100は,ログインページにおいて入力された会員IDとパスワードを,エントリー会員データベース(DB)に記憶されているデータと照合し,照合結果が照合OKであるときに,当該会員の会員ページを生成して配信し」ている。
ここで,引用例1発明の「入力作業を行うために会員登録したエントリー会員」,「センターサーバ」,「会員登録」,「会員IDとパスワードを入力してサイトにログイン」は,それぞれ,本件補正発明2の「携帯端末の利用者」である「原本シートのデータ入力を行うエントリー者」,「サーバコンピュータ」,「登録」,「認証」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,情報端末が,情報端末の利用者が原本シートのデータ入力を行うエントリー者としてサーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段を備えている点で共通している。
(ケ)引用例1発明では,「センターサーバ100は,」「エントリー会員端末2a,2b…と,オープンコンピュータネットワークであるインターネット網を介して接続されており,該インターネット網を介して各種のデータの送受信が可能であり,」「センターサーバ100は,」「抽出した分割画像を含む,入力ページを生成して配信し」ている。
ここで,引用例1発明の「センターサーバ」,「インターネット網」,「エントリー会員端末」は,それぞれ,本件補正発明2の「サーバコンピュータ」,「通信ネットワーク」,「情報端末」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,情報端末が,通信ネットワークを介してサーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータを受信する分割イメージデータ受信手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明2では,受信するエントリー用分割イメージデータとして,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信しているのに対し,引用例1発明では,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信していない点で相違している。
(コ)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,」「モニタ等の表示装置を備え,センターサーバ100から配信される各種ページを閲覧するための公知のブラウザプログラムがインストールされて」おり,「センターサーバ100」が「生成して」「エントリー会員端末」に「配信し」た「入力ページには,入力作業領域202」「が含まれ,」「入力作業領域202には,抽出された分割画像が入力対象画像として上方位置に表示され」,「入力ページの配信と入力とが繰返し入力され」ている。
ここで,引用例1発明の「エントリー会員端末」に「配信し」た「入力ページ」の「入力作業領域」に「入力対象画像として上方位置に表示され」た「抽出された分割画像」,「エントリー会員端末」が備える「モニタ等の表示装置」は,それぞれ,本件補正発明2の「受信したエントリー用」の「分割イメージ」,「情報端末が備える画面」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,情報端末が,受信したエントリー用の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明2では,受信するエントリー用分割イメージデータとして,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信しているのに対し,引用例1発明では,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして受信していない点で相違している。
(サ)引用例1発明では,「エントリー会員端末2a,2b…は,」「文字や数字等の入力を行うことのできるキーボート等の入力装置」「を備え,」「センターサーバ100」が「生成して」「エントリー会員端末」に「配信し」た「入力ページには,入力作業領域202」「が含まれ,」「入力作業領域202には,抽出された分割画像が入力対象画像として上方位置に表示されるともに,該入力対象画像の下方位置には,テキスト入力を行うためのテキスト入力部が設けられており,エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し」ている。
ここで,引用例1発明の「表示された分割画像」,「テキストにてテキスト入力部に入力」,「キーボート等の入力装置」は,それぞれ,本件補正発明2の「順次に画面表示される個々の分割イメージ」,「テキストデータとして入力」,「入力手段」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,情報端末が,順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段を備えている点で共通している。
(シ)引用例1発明では,「エントリー会員端末」が備える「キーボート等の入力装置」を用いて,「エントリー会員は,上方位置に表示された分割画像を見ながら,分割画像に含まれているカタカナを,テキストにてテキスト入力部に入力し,入力が完了した場合には,入力完了操作(例えば,エンターキーの入力操作)を実行することで,テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信され」ている。
ここで,引用例1発明の「キーボート等の入力装置」を用いて「テキスト入力部に入力されたテキストデータ(電子データ)」,「分割画像」は,それぞれ,本件補正発明2の「入力手段を用いて入力したテキストデータ」,「分割イメージデータ」に相当する。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,情報端末が,入力手段を用いて入力したテキストデータに,分割イメージデータを対応付ける手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明2では,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成しているのに対し,引用例1発明では,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成していない点で相違している。
(ス)引用例1発明では,「入力されたテキストデータ(電子データ)と,分割画像の送信画像IDとがセンターサーバ100に送信され」ている。
ここで,引用例1発明の「入力されたテキストデータ(電子データ)」,「センターサーバ」は,それぞれ,本件補正発明2の「入力したテキストデータ」,「サーバコンピュータ」に相当する。
また,引用例1発明の「入力されたテキストデータ(電子データ)」は,本件補正発明2の「エントリー入力データ」と,「入力したテキストデータ」を含んでいる点で共通しており,互いに対応しているといえる。
したがって,引用例1発明と本件補正発明2とは,情報端末が,入力したテキストデータを前記サーバコンピュータに送信する手段を備えている点で共通している。
しかし,本件補正発明2では,入力したテキストデータをサーバコンピュータに送信する際に,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けて生成したエントリー入力データとして送信しているのに対し,引用例1発明では,テキストデータに,分割イメージデータを対応付けたエントリー入力データとして送信していない点で相違している。
(セ)上記(ア)?(ス)によれば,両者は,以下の点で一致し,また相違する。
[一致点]
「保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えた原稿読み取り装置と,
前記原稿読み取り装置に通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと,
前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と,から成るデータエントリーシステムであって,
前記原稿読み取り装置は,
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして原本シートに基づく原本イメージデータを生成するスキャンニング手段と,
前記原本シートに基づくイメージデータを前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信するイメージデータ送信手段と,を備え,
前記サーバコンピュータは,
複数の情報端末から複数のエントリー用分割イメージデータに対するエントリー入力データを受信する手段,を備え,
前記複数の情報端末のそれぞれは,
通信ネットワークに接続された文字入力が可能なコンピュータ端末であって,
前記コンピュータ端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と,
前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続して,該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータを受信する分割イメージデータ受信手段と,
受信したエントリー用の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面表示手段と,
前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と,
前記入力手段を用いて入力したテキストデータに,前記分割イメージデータを対応付ける手段と,
入力したテキストデータを前記サーバコンピュータに送信する手段と,
を備えたデータエントリーシステム。」
[相違点2-1]
本件補正発明2では,原稿読み取り装置が原本イメージデータをそのままサーバコンピュータに送信しているのに対し,引用例1発明では,原本イメージデータを分割およびシャッフルして送信している点。
[相違点2-2]
本件補正発明2では,サーバコンピュータが,原稿読み取り装置から送信された原本イメージデータを受信して,該受信した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と,前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与し,前記暗号化した識別データが付与された分割イメージデータをそれぞれ対応するデータ項目毎にサーバコンピュータの記憶部に保存する暗号化識別データ付与手段を備えているのに対し,引用例1発明では,サーバコンピュータがこれらの構成を備えていない点。
[相違点2-3]
本件補正発明2では,サーバコンピュータが,原稿読み取り装置から受信した原本イメージデータに対して,該原本イメージデータのそれぞれに対応する暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを1つの束(バッチ)にまとめてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加し,前記暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と,前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から,前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と,複数の情報端末からのアクセスに応答して,前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段とを備えているのに対し,引用例1発明では,サーバコンピュータが,これらの構成を備えていない点。
[相違点2-4]
本件補正発明2では,サーバコンピュータが,受信したエントリー入力データが全て揃ったことが確認されると,バッチファイル毎に対応する全てのエントリー入力データを,前記エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段を備えているのに対し,引用例1発明では,サーバコンピュータがこのような構成を備えていない点。
[相違点2-5]
本件補正発明2では,情報端末が,パーソナルコンピュータ(PC),タブレットコンピュータ,及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの携帯端末であるのに対し,引用例1発明では,情報端末が,コンピュータ端末であるものの携帯可能な端末か否か明らかでない点。
[相違点2-6]
本件補正発明2では,サーバコンピュータから情報端末に送信・受信するエントリー用分割イメージデータとして,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして送信・受信しているのに対し,引用例1発明では,予め設定した複数の作業単位であるエントリー用分割イメージデータファイルとして送信・受信していない点。
[相違点2-7]
本件補正発明2では,情報端末が,入力したテキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成・送信しているのに対し,引用例1発明では,入力したテキストデータに,分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成・送信していない点。
[相違点2-8]
本件補正発明2では,情報端末が,サーバコンピュータから受信した全てのエントリー入力が,予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段を備えているのに対し,引用例1発明では,そのような手段を備えていない点。
イ 判断
相違点2-3についての検討を行う。
[相違点2-3について]
本件補正発明では,サーバコンピュータが,原稿読み取り装置から受信した原本イメージデータに対して,該原本イメージデータのそれぞれに対応する暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを1つの束(バッチ)にまとめてバッチファイルを構成し,該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加し,前記暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と,前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から,前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と,複数の情報端末からのアクセスに応答して,前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段とを備えている。
引用例2には,データエントリーシステムにおいて,複数のオペレータに前記分割エントリー用イメージをジョブとして配信することは記載されているものの,記憶部に保存されたバッチファイルの中から,バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを,予め設定した複数の作業単位に分割することは記載も示唆もなく,当該構成は,引用例1発明に,引用例2記載技術あるは引用例3記載技術を適用しても,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
また,暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして記憶部に保存する構成についても,引用例1にも,引用例2または引用例3にも,記載も示唆もなく,当該構成は,引用例1発明に,引用例2記載技術あるは引用例3記載技術を適用しても,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって,本件補正発明2は,引用例1発明および引用例2記載事項ならびに引用例3記載事項から,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)まとめ
したがって,本件補正発明1および2は,いずれも,上記(1)イおよび(2)イのとおり,引用例1ないし3に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
よって,本件補正の請求項1および2に係る補正事項は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
本件補正のその余の補正事項についても,特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。
3.むすび
本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。
第3 本願発明
本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから,本願の請求項1ないし6に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものである。本件補正発明1および2は,いずれも,上記のとおり,引用例1ないし3に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。また,請求項3ないし6に係る発明は本件補正発明1または2にさらに限定を加えたものであるから,引用例1ないし3に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-14 
出願番号 特願2014-230147(P2014-230147)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G06Q)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木方 庸輔関 博文  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 野崎 大進
石川 正二
発明の名称 データエントリーシステム  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  

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