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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1321597
審判番号 不服2015-17616  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-28 
確定日 2016-11-09 
事件の表示 特願2013-541877「ロッタリーシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月 7日国際公開、WO2012/074140、平成26年 1月30日国内公表、特表2014-502200〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件出願は、2011年11月30日(パリ条約による優先権主張 2010年11月30日、2011年10月24日、ケニヤ共和国)を国際出願日とする出願であって、平成26年8月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月25日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成27年5月22日付けで拒絶の査定がなされた。これに対して、同年9月28日に拒絶査定不服審判の請求と同時に特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2 平成27年9月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正の概要

本件補正は、国際出願翻訳文提出書に添付された特許請求の範囲を補正するもので、補正前に

「【請求項1】
ロッタリーシステムであって、
(a)ロッタリー加入者がロッタリーに参加するために用いる無線通信装置と、
(b)前記無線通信装置を無線ネットワーク上で用いることに関連する請求システムと、
(c)前記無線通信装置と通信し、(i)ロッタリー登録モジュールと、(ii)少なくとも1つのロッタリーを備えるロッタリーデータベースと、(iii)ロッタリー抽選モジュールと、を備える賭博サーバと、
(d)前記賭博サーバにリンクしてチャンスユニットを預けるためのチャンスユニットアカウントであって、前記チャンスユニットを用いてロッタリー加入者は少なくとも1つのロッタリーに参加するチャンスユニットアカウントと、
を備え、
前記無線通信装置からの依頼の受信に応答して、前記賭博サーバは、金額を前記請求システムから引き出すことによってチャンスユニットを生成し、前記引き出した金額をチャンスユニットに定量化し、前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントに預け入れ、
さらに、
前記無線通信装置は、前記賭博サーバと通信するための加入者インターフェースを備え、
前記賭博サーバは、それと通信されるロッタリーウェブサイトと、前記ロッタリーで提供中の賞金を記録するための賞金データベースを備え、
前記賭博サーバは、ロッタリー加入者が獲得した賞金を換金すると、前記賞金データベースを更新し、
前記賞金データベースは、前記賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である
ことを特徴とするロッタリーシステム。
【請求項2】
前記加入者インターフェースは、前記無線通信装置にダウンロードされたロッタリーメニュを備えるか、または前記賭博サーバにリンクするワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)のページである
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記無線通信装置は携帯電話である請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記賭博サーバと通信する支払いネットワークシステムをさらに備え、前記支払いネットワークシステムはアカウントを備え、前記無線通信装置からの依頼の受信に応答して、
前記賭博サーバは前記アカウントから金額を引き出し、前記金額を相当するチャンスユニットに定量化し、そこから前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントに預け入れる
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記支払いネットワークシステムは、無線ネットワークプロバイダと操作可能に通信する金融システム、送金システム、クレジットカードシステム、携帯電話の入金用スクラッチカード及びインターネットを用いる送金システムからなるグループから選択される
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロッタリー加入者は、お互いに、チャンスユニットを転送または交換することができる
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ロッタリーデータベースはロッタリーを含み、前記ロッタリー加入者は前記選定から、少なくとも1つのロッタリーを選択し参加することができる
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記賭博サーバは、チャンスユニットを仮想通貨に再両替するように構成され、前記仮想通貨は指定窓口で換金することができる
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記登録モジュールは、加入者を前記ロッタリーシステムに登録するための登録方法を実施するように構成され、
前記登録方法は、
(a)登録依頼を受信するステップと、
(b)ユーザの電話番号に関連する識別番号コードを生成し、記録するステップと、
(c)ロッタリーインターフェースを起動するステップと、
(d)前記加入者の携帯電話番号に関連するチャンスユニットアカウントを生成するステップと、
を有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記登録依頼は、ユーザが指定コードを前記無線通信装置に送信またはダイヤルすることを備える
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記登録依頼は、前記加入者はさらに、前記賭博サーバにログインするための個人識別番号(ΡIΝ)を提供することが求められる
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記登録依頼は、前記無線通信装置のユーザが前記ロッタリーに加入するための招待を受信することに応答して送信される
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロッタリーに加入するための前記招待は、前記無線通信装置のユーザが使用時間アカウントを入金するか、または前記無線通信装置の使用に関連する請求金額を支払うことに応答して送信される
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記加入者はさらに、前記PIN及び前記チャンスユニットアカウントの明細書を含む、前記ロッタリーシステムへの登録状態に関する通知を受信する
請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
ロッタリーグループを登録するようにさらに構成され、加入者は友人を前記ロッタリーに勧誘してロッタリーグループを開設する
請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
チャンスユニットを生成する工程は、
(a)指定された数のチャンスユニットの生成に対する依頼を受信し、
(b)前記依頼された数のチャンスユニットに等価の金額を指定されたアカウントから引き出し、
(c)前記引き出した金額をチャンスユニットに定量化し、
(d)前記チャンスユニットを前記加入者のチャンスユニットアカウントに預け入れること、
を有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
チャンスユニットを生成するための前記依頼は、前記無線通信装置のロッタリーメニュを用いて、または前記ロッタリーウェブサイトを通じて送信される
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
チャンスユニットを生成するための前記依頼は、チャンスユニットを定期的に生成するために、前記加入者が前記賭博サーバに登録することをさらに備える
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
チャンスユニットを定期的に生成するための前記依頼は、時間に基づいてもよく、または加入者が無線通信装置使用時間を入金する、もしくは預け入れるとき、または特定のイ
ベントの発生時に行われる
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
ロッタリー加入者は、前記ロッタリーシステムにエントリーすることによってロッタリーに参加し、その参加方法は、
(a)前記加入者が前記賭博サーバに前記無線通信装置を介して依頼を送信し、前記依頼は前記ロッタリーの識別番号及びエントリーする数の表示を備え、
(b)前記賭博サーバは、前記依頼された数のエントリーに相当するチャンスユニットの数を判断し、前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントから引き出し、
(c)前記賭博サーバは、前記ロッタリーに前記依頼された数でエントリーし、
(d)前記賭博サーバは、確認メッセージを前記無線通信装置に送信すること、
を備え、前記確認メッセージは、前記ロッタリーを識別する情報と、エントリーする数
と、前記チャンスユニットアカウントの前記加入者の残高とを備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
ロッタリー加入者は、自分自身のチャンスユニットを用いて、別の加入者に代わってロッタリーにエントリー可能である
請求項20に記載のシステム。」

とあるのを、

「【請求項1】
ロッタリーシステムであって、
(a)ロッタリー加入者がロッタリーに参加するために用いる無線通信装置と、
(b)前記無線通信装置を無線ネットワーク上で用いることに関連する請求システムと、
(c)前記無線通信装置と通信し、(i)ロッタリー登録モジュールと、(ii)少なくとも1つのロッタリーを備えるロッタリーデータベースと、(iii)ロッタリー抽選モジュールと、を備える賭博サーバと、
(d)前記賭博サーバにリンクしてチャンスユニットを預けるためのチャンスユニットアカウントであって、前記チャンスユニットを用いてロッタリー加入者は少なくとも1つのロッタリーに参加するチャンスユニットアカウントと、
を備え、
前記チャンスユニットを生成する工程は、
指定された数のチャンスユニットの生成のための依頼を受信するステップと、
指定されたアカウントから、前記依頼された数のチャンスユニットに等価な金額を引き落とすステップと、
前記引き落とされた金額をチャンスユニットに定量化させるステップと、
前記チャンスユニットを前記加入者のチャンスユニットアカウントに預け入れるステップとを有する
ことを特徴とするロッタリーシステム。
【請求項2】
前記無線通信装置は、前記賭博サーバと通信するための加入者インターフェースを備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記加入者インターフェースは、前記無線通信装置にダウンロードされたロッタリーメニュを備えるか、または前記賭博サーバにリンクするワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)のページである
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記無線通信装置は携帯電話である 請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記賭博サーバと通信する支払いネットワークシステムをさらに備え、前記支払いネットワークシステムはアカウントを備え、前記無線通信装置からの依頼の受信に応答して、前記賭博サーバは前記アカウントから金額を引き出し、前記金額を相当するチャンスユニットに定量化し、そこから前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントに預け入れる
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記支払いネットワークシステムは、無線ネットワークプロバイダと操作可能に通信する金融システム、送金システム、クレジットカードシステム、携帯電話の入金用スクラッチカード及びインターネットを用いる送金システムからなるグループから選択される
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記賭博サーバと通信するように構成されるロッタリーウェブサイトを備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロッタリーで提供中の様々な賞金を記録するための賞金データベースを備え、ロッタリー加入者が獲得した賞金を換金すると、前記賭博サーバは前記賞金データベースを更新する
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記賞金データベースは、前記賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ロッタリー加入者は、お互いに、チャンスユニットを転送または交換することができる
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロッタリーデータベースはロッタリーを含み、前記ロッタリー加入者は前記選定から、少なくとも1つのロッタリーを選択し参加することができる
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記賭博サーバは、チャンスユニットを仮想通貨に再両替するように構成され、前記仮想通貨は指定窓口で換金することができる
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記登録モジュールは、加入者を前記ロッタリーシステムに登録するための登録方法を実施するように構成され、
前記登録方法は、
(a)登録依頼を受信するステップと、
(b)ユーザの電話番号に関連する識別番号コードを生成し、記録するステップと、
(c)ロッタリーインターフェースを起動するステップと、
(d)前記加入者の携帯電話番号に関連するチャンスユニットアカウントを生成するステップと、
を有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記登録依頼は、ユーザが指定コードを前記無線通信装置に送信またはダイヤルすることを備える
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記登録依頼は、前記加入者はさらに、前記賭博サーバにログインするための個人識別番号(ΡIΝ)を提供することが求められる
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記登録依頼は、前記無線通信装置のユーザが前記ロッタリーに加入するための招待を受信することに応答して送信される
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ロッタリーに加入するための前記招待は、前記無線通信装置のユーザが使用時間アカウントを入金するか、または前記無線通信装置の使用に関連する請求金額を支払うことに応答して送信される
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記加入者はさらに、前記PIN及び前記チャンスユニットアカウントの明細書を含む、前記ロッタリーシステムへの登録状態に関する通知を受信する
請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
ロッタリーグループを登録するようにさらに構成され、加入者は友人を前記ロッタリーに勧誘してロッタリーグループを開設する
請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記無線通信装置は、前記賭博サーバと通信するための加入者インターフェースを備え

前記賭博サーバは、それと通信されるロッタリーウェブサイトと、前記ロッタリーで提供中の賞金を記録するための賞金データベースを備え、
前記賭博サーバは、ロッタリー加入者が獲得した賞金を換金すると、前記賞金データベースを更新し、
前記賞金データベースは、前記賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である
請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
チャンスユニットを生成するための前記依頼は、前記無線通信装置のロッタリーメニュを用いて、または前記ロッタリーウェブサイトを通じて送信される
請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
チャンスユニットを生成するための前記依頼は、チャンスユニットを定期的に生成するために、前記加入者が前記賭博サーバに登録することをさらに備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
チャンスユニットを定期的に生成するための前記依頼は、時間に基づいてもよく、または加入者が無線通信装置使用時間を入金する、もしくは預け入れるとき、または特定のイ
ベントの発生時に行われる
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
ロッタリー加入者は、前記ロッタリーシステムにエントリーすることによってロッタリーに参加し、その参加方法は、
(a)前記加入者が前記賭博サーバに前記無線通信装置を介して依頼を送信し、前記依頼は前記ロッタリーの識別番号及びエントリーする数の表示を備え、
(b)前記賭博サーバは、前記依頼された数のエントリーに相当するチャンスユニットの数を判断し、前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントから引き出し、
(c)前記賭博サーバは、前記ロッタリーに前記依頼された数でエントリーし、
(d)前記賭博サーバは、確認メッセージを前記無線通信装置に送信すること、
を備え、前記確認メッセージは、前記ロッタリーを識別する情報と、エントリーする数と、前記チャンスユニットアカウントの前記加入者の残高とを備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
ロッタリー加入者は、自分自身のチャンスユニットを用いて、別の加入者に代わってロッタリーにエントリー可能である
請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
ロッタリーを実施する方法であって、
(a)ロッタリーシステムを提供するステップと、
(b)ユーザを前記ロッタリーシステムに登録するステップと、
(c)ロッタリー加入者は、エントリーすることによって、前記ロッタリーシステムにおいて抽選に参加するステップと、
(d)ロッタリーの抽選を行い、前記ロッタリー加入者に通知するステップと、
を有し、
前記ロッタリーシステムは、(i)無線通信装置と、(ii)前記無線通信装置を無線ネットワーク上で用いることに関連する請求システムと、(iii)前記無線通信装置と通信する賭博サーバであって、前記賭博サーバは、ロッタリー登録モジュールと、少なくとも1つのロッタリーを備えるロッタリーデータベースと、ロッタリー抽選モジュールと、前記賭博サーバにリンクして、少なくとも1つのロッタリーに参加するためにロッタリー加入者が用いるチャンスユニットを預け入れるチャンスユニットアカウントとを含む賭博サーバと、を備え、
前記無線通信装置からの依頼の受信に応答して、前記賭博サーバは、金額を前記請求システムから引き出すことによってチャンスユニットを生成し、前記引き出した金額をチャンスユニットに定量化し、前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントに預け入れ、
前記チャンスユニットを生成する工程は、
指定された数のチャンスユニットの生成のための依頼を受信するステップと、
指定されたアカウントから、前記依頼された数のチャンスユニットに等価な金額を引き落とすステップと、
前記引き落とされた金額をチャンスユニットに定量化させるステップと、
前記チャンスユニットを前記加入者のチャンスユニットアカウントに預け入れるステップとを有する
ことを特徴とするロッタリーの方法。
【請求項27】
チャンスユニットを生成するための前記依頼は、前記加入者がチャンスユニットを定期的に生成するための依頼を送信することを含み、前記依頼は前記チャンスユニットを生成するための所望する時期を表示する
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記チャンスユニットを定期的に生成するための前記所望する時期は、時間、または加入者が携帯電話使用時間を入金する、もしくは預け入れるとき、または特定のイベントの発生時を含む
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ユーザの前記ロッタリーシステムへの前記登録は、
(a)ユーザが前記賭博サーバに前記無線ネットワークを通じて登録依頼を送信し、
(b)前記賭博サーバは、前記依頼を受信すると、前記ユーザの電話番号に関連する識
別番号コードを生成、記録し、
(c)前記賭博サーバは、ロッタリー加入者インターフェースを前記無線通信装置に送信し、
(d)前記加入者の無線通信装置に関連するチャンスユニットアカウントを前記賭博サーバに作成すること、
を有する
請求項26に記載の方法。
【請求項30】
登録するための前記依頼は、前記ユーザが前記ロッタリーに参加するための招待を受信することに応答して送信される
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ロッタリーに参加するための前記招待は、ユーザの前記無線通信装置アカウントへの入金、または前記無線通信装置アカウントに関連する請求金額の支払いに応答して送信される
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ロッタリーに参加するための前記招待はSMSメッセージである
請求項30に記載の方法。
【請求項33】
登録するための前記依頼は、前記無線通信装置に指定コードを送信する、またはダイヤルすることを有する
請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記ユーザの電話番号に関連する前記識別番号コードは、前記ユーザの電話番号と同じである
請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記ロッタリー加入者インターフェースはロッタリーメニュまたは前記ロッタリーウェブサイトへのWAPリンクである
請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記加入者は、後で前記賭博サーバとの全取引を検証するために用いられてもよい個人識別番号(PIN)を提出することが求められる
請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記加入者は前記ロッタリーシステムへの前記登録状態に関する通知を受信し、前記通知は前記PINと、チャンスユニットアカウントの明細書とを含む
請求項29に記載の方法。
【請求項38】
ロッタリーグループの登録を可能にし、加入者が別の人を前記ロッタリーに勧誘しロッタリーグループを形成する
請求項29に記載の方法。
【請求項39】
ロッタリー加入者は、前記ロッタリーウェブサイトまたは前記無線通信装置から、ロッタリーグループに参加してもよい
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ロッタリーへの参加は、
(a)ロッタリー加入者が前記賭博サーバに前記無線通信装置を通じて依頼を送信し、前記依頼は、前記ロッタリーの識別番号と、そこにエントリーする数の表示とを備え、
(b)前記賭博サーバは、前記依頼された数のエントリーに相当するチャンスユニットの数を判断し、前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントから引き出し、
(c)前記賭博サーバは、前記ロッタリーで前記依頼された数をエントリーし、
(d)前記賭博サーバは、確認メッセージを前記無線通信装置に送信し、前記確認メッセージは、前記ロッタリーを識別する情報と、エントリーする数と、前記チャンスユニットアカウントの前記加入者の残高とを備えること、
を有する
請求項26に記載の方法。
【請求項41】
エントリーすることによって前記加入者がロッタリーの抽選に参加することは、前記加入者がロッタリーへの定期的なエントリーを登録することを有する
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
定期的にエントリーする前記方法は、
(a)前記加入者が所望する時期にエントリーするための依頼を送信するステップと、
(b)前記依頼を前記賭博サーバに登録するステップと、
(c)前記賭博サーバが、自動で前記所望する時期にエントリーするステップと、
を有する
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
定期的なエントリーをするための前記所望する時期は、時間、または加入者が無線通信装置使用時間を入金する、もしくは預け入れるとき、または特定のイベントの発生時を含む
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ロッタリーの抽選を行い、前記加入者に通知することは、
(a)前記ロッタリー抽選モジュールは、当選となるエントリーをロッタリー抽選規則にしたがって選択するステップと、
(b)賭博サーバは、全当選者にメッセージを送り、当選したことを通知するステップと、
(c)賞金を前記当選者に支払うステップと、
を含む
請求項26に記載の方法。
【請求項45】
前記賞金は全国にわたって、全地域にわたって、全大陸にわたって、及び国際的に分類され授与される
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記賞金は、前記賞金を前記ロッタリーシステムの前記加入者のチャンスユニットアカウント、前記支払いネットワークシステムが維持する前記加入者のアカウント、または前記無線ネットワークの前記請求システムが維持する前記加入者のアカウントに預け入れることによって支払われる
請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記当選者は指定窓口で賞金を換金する
請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記賭博サーバは、無料の特別なチャンスユニットをボーナスとして生成し、資格を持つ加入者のチャンスユニットアカウントに預け入れるように構成される
請求項26に記載の方法。
【請求項49】
前記資格を持つ加入者は、前記加入者の無線ネットワーク内、または前記加入者の無線ネットワーク外の一定のイベントが一致する結果として選択される
請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記無線通信装置は携帯電話である
請求項26ないし49のいずれかに記載の方法。」

と補正するものである。
(なお、下線は、補正の内容を明らかにするために、審決で付した。)

2 本件補正の目的

本件補正は、本件補正前の請求項1が備える発明を特定するために必要な事項である
「前記無線通信装置は、前記賭博サーバと通信するための加入者インターフェースを備え、
前記賭博サーバは、それと通信されるロッタリーウェブサイトと、前記ロッタリーで提供中の賞金を記録するための賞金データベースを備え、
前記賭博サーバは、ロッタリー加入者が獲得した賞金を換金すると、前記賞金データベースを更新し、
前記賞金データベースは、前記賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である」
を削除するものであるから、本件補正により特許請求の範囲が拡張されている。したがって、本件補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。

加えて、本件補正は請求項の数を増加するものであるが、請求項の数を増加する補正が、「特許請求の範囲の減縮」であるというためには、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。
しかしながら、本件補正後の請求項1ないし50については、一対一又はこれに準ずるような対応関係にある補正前の請求項は見当たらない。
したがって、この点においても、本件補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。

また、本件補正については、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない。

3 むすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年11月25日付けで提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「ロッタリーシステムであって、
(a)ロッタリー加入者がロッタリーに参加するために用いる無線通信装置と、
(b)前記無線通信装置を無線ネットワーク上で用いることに関連する請求システムと、
(c)前記無線通信装置と通信し、(i)ロッタリー登録モジュールと、(ii)少なくとも1つのロッタリーを備えるロッタリーデータベースと、(iii)ロッタリー抽選モジュールと、を備える賭博サーバと、
(d)前記賭博サーバにリンクしてチャンスユニットを預けるためのチャンスユニットアカウントであって、前記チャンスユニットを用いてロッタリー加入者は少なくとも1つのロッタリーに参加するチャンスユニットアカウントと、
を備え、
前記無線通信装置からの依頼の受信に応答して、前記賭博サーバは、金額を前記請求システムから引き出すことによってチャンスユニットを生成し、前記引き出した金額をチャンスユニットに定量化し、前記チャンスユニットを前記チャンスユニットアカウントに預け入れ、
さらに、
前記無線通信装置は、前記賭博サーバと通信するための加入者インターフェースを備え、
前記賭博サーバは、それと通信されるロッタリーウェブサイトと、前記ロッタリーで提供中の賞金を記録するための賞金データベースを備え、
前記賭博サーバは、ロッタリー加入者が獲得した賞金を換金すると、前記賞金データベースを更新し、
前記賞金データベースは、前記賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である
ことを特徴とするロッタリーシステム。」

2 引用例

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された特開2001-357166号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。

(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 携帯端末に対してネットワークを介してゲームサービスを提供するサービス提供方法であって、
前記携帯端末からの前記ゲームサービスへの参加要求を受信する手順と、
参加を要求した携帯端末と通信を行いつつ、前記ゲームサービスを実行する手順と、
前記ゲームサービスの実行結果に応じてネットワークを介して参加料及び配当の決済を行なう手順とを有することを特徴とするサービス提供方法。

・・・

【請求項9】 前記ゲームサービスへの参加料及び前記配当は、前記携帯端末の通信料が徴収される口座上で取引することを特徴とする請求項1乃至3おいずれか一項記載のサービス提供方法。
【請求項10】 前記決済は、金銭に対応したポイント数により行なわれることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載のサービス提供方法。」

(2)「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、携帯電話などの携帯端末の通信により、参加料を徴収して例えば、クイズ、宝くじ、簡易くじ、ビンゴゲームなどゲームサービスへの参加を募り、携帯端末と通信しつつゲームサービスを実行し、ゲームサービスの結果に応じて参加者に対して配当を行なうようにする。

・・・

【0013】本実施例のシステム1は、携帯端末装置2-1?2-n、携帯電話通信網3、通信管理装置4、ネットワーク5、サービス提供装置6-1?6-j、決済機関処理装置7を含む構成とされている。」

(3)「【0059】以上はクイズ形式のサービスについて説明したが、くじ形式のサービスを提供することもできる。

・・・

【0063】くじ購入者は、ステップS5-1で図3に示される手順により図15に示すようなゲーム・クイズサイト画面を表示させた後、ステップS5-2でクイック宝くじ項目を選択し、決定する。
【0064】ステップS5-2でクイック宝くじ項目が選択・決定されると、iモードセンタを介してサービス提供装置6-iにクイック宝くじ項目選択要求が送信される。サービス提供装置6-iは、ステップS6-1で携帯電話11からクイック宝くじ項目選択要求を受信すると、ステップS6-2で携帯電話11にクイック宝くじ画面情報を送信する。
【0065】携帯電話11は、ステップS5-3でサービス提供装置6-iからクイック宝じく画面情報を受信すると、ステップS5-4で図16に示すようなクイック宝くじ画面を表示する。
【0066】クイック宝くじ画面には、図16に示されるように受付締め切り日、抽選日、等級別の現在の当選金、くじ購入枚数が表示される。
【0067】くじ購入者は、くじ購入枚数を入力し、決定操作を行なう。携帯電話11は、ステップS5-5でくじ購入枚数をサービス提供装置6-iに送信する。サービス提供装置6-iは、ステップS6-3で携帯電話11から購入枚数を受信すると、ステップS6-4で乱数表などを用いてくじ番号を決定する。決定された番号は、サービス提供装置6-iで購入された携帯電話番号毎に記憶される。また、ステップS6-5でくじ番号を携帯電話11に送信する。
【0068】携帯電話11は、ステップS5-6でくじ番号を受信すると、ステップS5-7でくじ番号を表示する。
【0069】サービス提供装置6-iは、予め決められた抽選日時になると、ステップS6-6を実行する。ステップS6-6は、乱数表などを用いて当選番号を決定する処理を実行するステップである。」

(4)「【0075】さらに、くじ形式のサービスとして、いわゆる、ナンバーズ、ミニロトなどの簡易くじ方式のサービスを提供してもよい。

・・・

【0080】くじ購入者は、ステップS7-1で図3に示される手順により図20に示すようなゲーム・クイズサイト画面を表示させた後、ステップS7-2でクイック簡易くじ項目を選択し、決定する。
【0081】ステップS7-2でクイック簡易くじ項目が選択・決定されると、iモードセンタを介してサービス提供装置6-iにクイック簡易くじ項目選択要求が送信される。サービス提供装置6-iは、ステップS8-1で携帯電話11からクイック簡易くじ項目選択要求を受信すると、ステップS8-2で携帯電話11にクイック簡易くじ画面情報を送信する。
【0082】携帯電話11は、ステップS7-3でサービス提供装置6-iからクイック簡易じく画面情報を受信すると、ステップS7-4で図21に示すようなクイック簡易くじ選択画面を表示する。
【0083】クイック簡易くじ選択画面には、図21に示されるように複数種類の簡易くじ、ゲーム方法項目、ゲーム案内項目が選択可能とされる。くじ購入者により所望のクイック簡易くじが選択されると、ステップS7-5で簡易くじ要求がサービス提供装置6-iに送信される。
【0084】サービス提供装置2は、ステップS8-3で所望の簡易くじ情報を受信すると、ステップS8-4で簡易くじ購入画面情報を携帯電話11に送信する。携帯電話11は、ステップS7-6で簡易くじ購入画面情報を受信すると、ステップS7-7で図22に示す簡易くじ購入画面を表示する。

・・・

【0088】よって、簡易くじ購入画面は、図22に示すように3桁の数字を指定する数字指定部と、上記4種類の購入タイプ及びその購入口数を指定する購入タイプ選択部から構成される。
【0089】くじ購入者は、数字指定部に3桁の数字を入力するとともに、購入タイプ選択部の購入しようとする購入タイプに購入口数を指定し、決定操作を行なう。携帯電話11は、ステップS7-7で指定数字及び購入タイプ、購入口数などの情報をサービス提供装置6-iに送信する。サービス提供装置6-iは、携帯電話11から指定数字及び購入タイプ、購入口数などの情報を受信すると、ステップS8-5で指定数字及び購入タイプ、購入口数などの情報を携帯電話番号毎に記憶管理する。また、サービス提供装置6-iは、ステップS8-6で、現時点での参加口数、購入タイプ、賞金金額などを集計する。

・・・

【0092】サービス提供装置6-iは、指定された抽選日になるとステップS8-8で3桁の数字の抽選を行なう。抽選は、乱数表などを用いてコンピュータにより自動的に行なわれる。サービス提供装置6-iは、ステップS8-9で当選者に当選通知情報を携帯電話11に送信する。携帯電話11は、ステップS7-10で当選通知情報を受信すると、ステップS7-11で当選通知画面を表示する。」

(5)「【0154】ポイント管理データベース6aは、登録番号、氏名、携帯電話番号、住所、ポイント数などから構成される。登録番号は、登録者に予め付与された番号である。氏名は、登録者の氏名である。携帯電話番号は、登録者の携帯電話番号である。住所は、登録者の住所である。ポイント数は、登録者に与えられているポイント数である。ポイント数は、例えば、100,000ポイントが100,000円に相当する。
【0155】事業者は、上記のようなポイント管理データベース6aによりポイント数を管理する。登録者は、ポイント管理データベース6aに管理されたポイントを携帯電話の料金や事業者と提携した店舗などでの買い物の料金に振り替えることができる。また、上記のポイントによる管理は、第2実施例だけでなく、第1実施例にも適用できることは言うまでもない。登録者のポイントを管理することにより実際の金銭より管理が容易に行なえる。」

上記(1)ないし(5)の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「携帯端末に対してネットワークを介して、くじ、簡易くじのゲームサービスを提供するシステムであって、
携帯端末から、くじ、簡易くじのゲームサービスへ参加要求し、
ゲームサービスの実行結果に応じてネットワークを介して参加料及び配当の決済を行い、ゲームサービスへの参加料及び配当は、携帯端末の通信料が徴収される口座上で取引し、
決済は、金銭に対応したポイント数により行なわれ、ポイント数は、登録番号、氏名、携帯電話番号、住所、ポイント数などから構成されるポイント管理データベースにて管理し、
くじ形式のサービスを提供する際には、くじ購入者が、携帯電話にゲーム・クイズサイト画面を表示させた後、クイック宝くじ項目を選択し、決定すると、サービス提供装置は、携帯電話からクイック宝くじ項目選択要求を受信し、携帯電話にクイック宝くじ画面情報を送信し、携帯電話は、クイック宝じく画面情報を受信すると、クイック宝くじ画面を表示し、くじ購入者が、クイック宝くじ画面にて、くじ購入枚数を入力し、決定操作を行うと、サービス提供装置は、乱数表などを用いてくじ番号を決定し、携帯電話番号毎に記憶し、予め決められた抽選日時になると、乱数表などを用いて当選番号を決定し、
ナンバーズ、ミニロトなどの簡易くじ方式のサービスを提供する際には、くじ購入者が携帯電話にゲーム・クイズサイト画面を表示させた後、クイック簡易くじ項目を選択し、決定すると、サービス提供装置は、携帯電話からクイック簡易くじ項目選択要求を受信し、携帯電話にクイック簡易くじ画面情報を送信し、携帯電話は、クイック簡易くじ画面情報を受信すると、クイック簡易くじ選択画面を表示し、クイック簡易くじ選択画面には、複数種類の簡易くじが選択可能とされ、くじ購入者により所望のクイック簡易くじが選択され、送信されると、サービス提供装置は、簡易くじ購入画面情報を携帯電話に送信し、携帯電話は、簡易くじ購入画面情報を受信すると、簡易くじ購入画面を表示し、くじ購入者は簡易くじ購入画面の数字指定部に3桁の数字を入力するとともに購入タイプ、購入口数を指定し、決定操作を行なうと、サービス提供装置は、携帯電話から指定数字及び購入タイプ、購入口数などの情報を受信し、携帯電話番号毎に記憶管理し、指定された抽選日になると3桁の数字の抽選を行うことにより、
くじ、簡易くじのゲームサービスを提供するシステム」


3 対比

引用発明の「くじ、簡易くじ」は、本願発明の「ロッタリー」に相当し、「携帯端末に対してネットワークを介して、くじ、簡易くじのゲームサービスを提供するシステム」は「ロッタリーシステム」に相当する。

引用発明は「ゲームサービスの実行結果に応じてネットワークを介して参加料及び配当の決済を行い、ゲームサービスへの参加料及び配当は、携帯端末の通信料が徴収される口座上で取引」しているから、本願発明の「無線通信装置を無線ネットワーク上で用いることに関連する請求システム」を備えている。

引用発明の「サービス提供装置」は、「くじ形式のサービス」を提供する際には、「乱数表などを用いてくじ番号を決定し、携帯電話番号毎に記憶し、予め決められた抽選日時になると、乱数表などを用いて当選番号を決定」し、また、「ナンバーズ、ミニロトなどの簡易くじ」を提供する際には、「携帯電話から指定数字及び購入タイプ、購入口数などの情報を受信し、携帯電話番号毎に記憶管理し、指定された抽選日になると3桁の数字の抽選を行う」から、本願発明の「少なくとも1つのロッタリーを備えるロッタリーデータベース」を備えているといえる。また、引用発明の「サービス提供装置」は、「くじ」を提供する際には、「乱数表などを用いてくじ番号を決定し、携帯電話番号毎に記憶」し、「ナンバーズ、ミニロトなどの簡易くじ」を提供する際には、「指定数字及び購入タイプ、購入口数などの情報を、携帯電話番号毎に記憶管理」しているから、本願発明の「ロッタリー登録モジュール」を備えているといえる。引用発明の「サービス提供装置」は、「くじ」を提供する際には、「予め決められた抽選日時になると、乱数表などを用いて当選番号を決定」し、「ナンバーズ、ミニロトなどの簡易くじ」を提供する際には、「指定された抽選日になると3桁の数字の抽選を行う」から、本願発明の「ロッタリー抽選モジュール」を備えているといえる。したがって、「サービス提供装置」は、「無線通信装置と通信し、(i)ロッタリー登録モジュールと、(ii)少なくとも1つのロッタリーを備えるロッタリーデータベースと、(iii)ロッタリー抽選モジュールと、を備える賭博サーバ」に相当する。

引用発明の「金銭に対応したポイント数」は、本願発明の「チャンスユニット」に相当する。

引用発明において、「ポイント数は、登録番号、氏名、携帯電話番号、住所、ポイント数などから構成されるポイント管理データベースにて管理」されているから、引用発明の「ポイント管理データベース」は、本願発明の「賭博サーバにリンクしてチャンスユニットを預けるためのチャンスユニットアカウントであって、チャンスユニットを用いてロッタリー加入者は少なくとも1つのロッタリーに参加するチャンスユニットアカウント」に相当する。

引用発明において、「くじ購入者が、携帯電話にゲーム・クイズサイト画面を表示させた後、クイック宝くじ項目を選択し、決定すると、サービス提供装置は、携帯電話からクイック宝くじ項目選択要求を受信し、携帯電話にクイック宝くじ画面情報を送信し、携帯電話は、クイック宝じく画面情報を受信すると、クイック宝くじ画面を表示し、くじ購入者が、クイック宝くじ画面にて、くじ購入枚数を入力し、決定操作を行うと、サービス提供装置は、乱数表などを用いてくじ番号を決定し、携帯電話番号毎に記憶し」、また、「くじ購入者が携帯電話にゲーム・クイズサイト画面を表示させた後、クイック簡易くじ項目を選択し、決定すると、サービス提供装置は、携帯電話からクイック簡易くじ項目選択要求を受信し、携帯電話にクイック簡易くじ画面情報を送信し、携帯電話は、クイック簡易くじ画面情報を受信すると、クイック簡易くじ選択画面を表示し、クイック簡易くじ選択画面には、複数種類の簡易くじが選択可能とされ、くじ購入者により所望のクイック簡易くじが選択され、送信されると、サービス提供装置は、簡易くじ購入画面情報を携帯電話に送信し、携帯電話は、簡易くじ購入画面情報を受信すると、簡易くじ購入画面を表示し、くじ購入者は簡易くじ購入画面の数字指定部に3桁の数字を入力するとともに購入タイプ、購入口数を指定し、決定操作を行なうと、サービス提供装置は、携帯電話から指定数字及び購入タイプ、購入口数などの情報を受信し、携帯電話番号毎に記憶管理」することからすれば、引用発明は、本願発明の「賭博サーバと通信するための加入者インターフェース」及び「ロッタリーウェブサイト」を備えているといえる。

引用発明の「ポイント管理データベース」は、「くじ、簡易くじ」の「配当」の「決済」に用いられる「金銭に対応したポイント数」を管理するものであるから、本願発明の「ロッタリーで提供中の賞金を記録するための賞金データベース」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「ロッタリーシステムであって、
(a)ロッタリー加入者がロッタリーに参加するために用いる無線通信装置と、
(b)前記無線通信装置を無線ネットワーク上で用いることに関連する請求システムと、
(c)前記無線通信装置と通信し、(i)ロッタリー登録モジュールと、(ii)少なくとも1つのロッタリーを備えるロッタリーデータベースと、(iii)ロッタリー抽選モジュールと、を備える賭博サーバと、
(d)前記賭博サーバにリンクしてチャンスユニットを預けるためのチャンスユニットアカウントであって、前記チャンスユニットを用いてロッタリー加入者は少なくとも1つのロッタリーに参加するチャンスユニットアカウントと、
を備え、
前記無線通信装置は、前記賭博サーバと通信するための加入者インターフェースを備え、
戦記賭博サーバは、それと通信されるロッタリーウェブサイトと、前記ロッタリーで提供中の賞金を記録するための賞金データベースを備え、
前記賭博サーバは、ロッタリー加入者が獲得した賞金を換金すると、前記賞金データベースを更新する
ロッタリーシステム。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明では、「無線通信装置からの依頼の受信に応答して、賭博サーバは、金額を前記請求システムから引き出すことによってチャンスユニットを生成し、引き出した金額をチャンスユニットに定量化し、チャンスユニットをチャンスユニットアカウントに預け入れ」るが、引用発明では、その点が特定されていない点。

[相違点2]
本願発明は、「賞金データベースは、賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である」が、引用発明は、その点が特定されていない点。

4 判断

(1) 相違点1について

上記相違点1について検討すると、一般にロッタリーシステムにおいて、「無線通信装置からの依頼の受信に応答して、サーバは、金額を請求システムから引き出すことによってチャンスユニットを生成し、引き出した金額をチャンスユニットに定量化し、チャンスユニットをチャンスユニットアカウントに預け入れ」ることは、当業者に周知の事項(以下、「周知事項1」という。)である。(周知例として原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-294727号公報には、

ア.「【0014】
同図に示すように数字選択式宝くじ購入支援システムは、情報通信ネットワーク40を通じて、購入者が使用する端末装置(購入者端末20)からのアクセスを受け付け、宝くじの購入依頼を請けるシステムサーバ10を主として備えており、購入者の依頼に応じて、宝くじの購入手続の代行をする。」
イ.「【0031】
口座情報160fは、ポイントを換金したりする場合の会員側の取引口座に関する情報である。すなわち、システムサーバ10内では、現金に換算されるポイントを用いて数字選択式宝くじ購入申込み、当せん金支払いの処理等が行われる。」

ウ.「【0044】
メニュー操作でポイント処理項目が選択された場合には、ポイント購入処理或いはポイント換金処理を行う(S107)。ポイント購入処理ではあらかじめ定められた決済方法によって、会員が希望するポイント数の購入が行われる。ポイント購入処理が行われると、決済を行うとともに、会員情報DB160のポイント数160gを更新する(S108)。決済は、決済システム60を通じて、例えばクレジットカードを利用したり、携帯電話20aの通信事業者の利用料金に含めて行うようにしたり、プリペイドカードを購入して行ったりすることができる。」

との記載があり、ア.ないしウ.の記載事項を総合すれば、「情報通信ネットワークを通じて、購入者が使用する端末装置からのアクセスを受け付け、宝くじの購入依頼を請けるシステムサーバを備え、宝くじの購入依頼に応じて、宝くじの購入手続の代行をする数字選択式宝くじ購入支援システムにおいて、システムサーバ内で、現金に換算されるポイントを用いて数字選択式宝くじ購入申込み、当せん金支払いの処理等が行われ、購入者端末のメニュー操作でポイント処理項目が選択された場合には、ポイント購入処理が行われ、会員情報DBのポイント数を更新するとともに、決済は、携帯電話の通信事業者の利用料金に含めて行うこと」が記載され、つまり、「無線通信装置からの依頼の受信に応答して、サーバは、金額を請求システムから引き出すことによってチャンスユニットを生成し、引き出した金額をチャンスユニットに定量化し、チャンスユニットをチャンスユニットアカウントに預け入れ」ることが記載されている。)

そして、引用発明と上記周知事項1とは、共にロッタリーシステムの技術分野に属し、また、無線通信装置からの依頼の受信に応答して、チャンスユニットを用いてロッタリーに参加するチャンスユニットアカウントを備えている点で共通しているから、引用発明に上記周知事項1を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
よって、相違点1係る本願発明の発明特定事項は、引用発明および周知事項1から当業者が容易に想到し得るものである。

(2) 相違点2について

上記相違点2について検討すると、ロッタリーシステムにおいて、信頼性向上のために、「賞金データベースは、賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である」ことは、当業者に周知の事項(以下、「周知事項2」という。)である。(周知例として原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-53042号公報には、

ア.「【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信回線を通じてユーザ端末と接続可能であって、当該ユーザ端末からのゲーム入力に基づく遊技結果に応じた利益を提供し得るゲームサーバを具備したネットカジノシステムであって、
前記ゲームサーバから前記ユーザ端末に提供されるゲームに係わる換金率又は還元率等のユーザの利益に係わる遊技条件情報の真偽をチェックする真偽チェック手段を備えた監視サーバを具備し、
前記監視サーバとゲームサーバとが専用回線で接続され、当該専用回線を通じて前記ゲームサーバから前記端末への送信される遊技条件情報に係わる信号を、前記監視サーバが受信して、当該受信した遊技条件情報に係わる信号に基づいて前記真偽チェック手段により評価する制御内容を含むことを特徴とするネットカジノシステム。

・・・

【請求項4】 前記ゲームサーバと監視サーバとの運営管理が異なる管理者により行われていること、又は、前記遊技条件情報の真偽をチェックしている旨を告知する告知情報を、前記ゲームサーバでのゲーム中又はゲーム開始前に前記ユーザ端末に対して送信することを特徴とする請求項1から3の何れかの請求項に記載のネットカジノシステム。」

イ.「【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の技術では、インターネット等の通信回線を通じて、実際のパチンコ店などのパーラに出向くことなく景品交換を行うことが可能なネット上で実現される仮想のカジノゲームをユーザが行うにあたり、誰もが不安に感じることが予測できる信頼性向上の点についての配慮が全くなされていないといった問題があった。

・・・

【0014】この発明は上記問題点に鑑みなされたもので、仮想カジノとしてのネット上で運営されるネットカジノを如何にユーザに対して信頼されるものにするかに着目し、多数のユーザが安心して遊技を行うことが可能なネットカジノシステム及び当該システムに供されるサーバ、並びにゲーム制御方法を提供せんとするものである。さらには、換金率等の遊技条件情報が異なる複数のゲームサーバで遊技を行うことが可能な環境を構築する場合に好適なネットカジノシステム及び当該システムに供されるサーバ、並びにゲーム制御方法を提供することを下位の目的とする。」

ウ.「【0060】監視サーバ3は、データバスBUSに接続されたCPU31、ハードディスク等の記憶手段32、メモリ33、通信インターフェイス34及びデータベース35並びにタイマー手段36を有し、CPU31はメモリ33に格納されている制御プログラムに従って種々の処理を実行するようになされている。すなわち、CPU31は通信インターフェイス34によって接続されたインターネット網6及び電話回線8、専用回線5を介して、各ユーザ端末4・・・4及び各ゲームサーバ7・・・7間でのゲーム入力情報や前記ゲーム情報や前記抽選演算処理に基づく遊技結果のデータ等の中継処理を行うとともに、ユーザ端末4とゲームサーバ7間で送受信される内容を継続的にデータベース35内に送受信履歴情報として蓄積記憶するとともに、当該蓄積した送受信履歴情報に基づいて記憶手段32に格納した前記チェックプログラムに基づいて不正や偽りの情報がユーザ端末4に送信されていないかをリアルタイムでチェックする。」

との記載があり、ア.ないしウ.の記載事項を総合すれば、「通信回線を通じてユーザ端末と接続可能であって、当該ユーザ端末からのゲーム入力に基づく遊技結果に応じた利益を提供し得るゲームサーバを具備したネットカジノシステムにおいて、信頼性向上という課題を解決し、多数のユーザが安心して遊技を行うことが可能なネットカジノシステムを提供するために、ユーザ端末とゲームサーバ間で送受信される内容を継続的にデータベース内に送受信履歴情報として蓄積記憶し、ゲームサーバからユーザ端末に提供されるゲームに係わる換金率又は還元率等のユーザの利益に係わる遊技条件情報の真偽をチェックする監視サーバを備え、ゲームサーバと監視サーバとの運営管理が異なる管理者により行われていること」が記載され、つまり、「賞金データベースは、賞金の換金に関して取引詳細を閲覧及び監視してもよい第三者によってアクセス可能である」ことが記載されている。)

金銭を賭けるロッタリーシステムにおいて、信頼性向上という課題は一般的なものであって、引用発明においても内在する自明な課題である。してみると、引用発明と上記周知事項とは、共にロッタリーシステムという技術分野に属し、信頼性向上という共通する課題を有するものである。したがって、引用発明に上記周知事項2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
よって、相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明および周知事項2から当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願発明の発明特性事項の全体によって奏される効果も、引用発明、及び上記周知事項1、2から当業者が予測し得る範囲のものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明および上記周知事項1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-10 
結審通知日 2016-06-14 
審決日 2016-06-28 
出願番号 特願2013-541877(P2013-541877)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 植田 高盛
吉村 尚
発明の名称 ロッタリーシステム及び方法  
代理人 新保 斉  

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