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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47J
管理番号 1321720
審判番号 不服2014-26338  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-24 
確定日 2016-11-16 
事件の表示 特願2011-540846「飲料材料をディスペンシングおよびブレンディング/ミキシングするための統合型システムを制御するためのコントローラと方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年7月8日国際公開,WO2010/077699,平成24年5月17日国内公表,特表2012-510886〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 経緯の概略
本願は,2009年12月8日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理:2008年12月8日,米国)を国際出願日とする出願であって,その経緯は,概ね次のとおりである。
平成24年 8月 6日 手続補正書
平成25年 7月29日 拒絶理由通知書
平成25年12月24日 意見書,手続補正書
平成26年 1月30日 拒絶理由通知書
平成26年 7月31日 意見書,手続補正書
平成26年 8月26日 拒絶査定
平成26年12月24日 拒絶査定不服審判請求書,手続補正書
平成27年 6月 1日 上申書
平成27年12月 4日 拒絶理由通知書
平成28年 5月13日 意見書,手続補正書

第2 本願発明について
本願の請求項1?32に係る発明は,平成28年5月13日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?32に記載された事項により特定されるとおりのものであるが,そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
統合型スムージー飲料システムのためのコントローラであって,前記システムは
前記コントローラによって実行される第1のレシピスクリプトに基づいて,氷および1つまたは複数の材料を容器にディスペンスする単一のディスペンシングモジュールと,
前記容器内で,前記氷および前記1つまたは複数の材料をブレンドおよび/またはミックスし,氷の粒子サイズを粗いものから細かいものに砕く1つまたは複数のブレンディング/ミキシングモジュールと,
を有し,
前記コントローラは,前記ディスペンシングモジュールと,飲料を前記容器内に準備するための前記1つまたは複数のブレンディング/ミキシングモジュールと,を制御し,
前記コントローラは,前記氷および前記1つまたは複数の材料をブレンドおよび/またはミックスすることにより,前記飲料を作成することができ,
前記ディスペンシングモジュールは,複数の貯蔵容器および前記複数の貯蔵容器に対してただ1つのディスペンシングノズルを有し,
前記複数の材料は,前記複数の貯蔵容器のうちの別個の貯蔵容器に貯蔵されており,
前記コントローラは,前記複数の材料のうちの少なくとも1つを対応する貯蔵容器から前記容器へと供給するために前記ディスペンシングモジュールを制御し,
前記コントローラは,前記複数の材料から選択された材料を前記別個の貯蔵容器から別個の供給経路を介して前記ディスペンシングノズルに供給して,前記容器にディスペンシングするために前記ディスペンシングモジュールを制御する,
ことを特徴とするコントローラ。」

第3 拒絶理由の概要
当審において,平成27年12月4日に通知した拒絶理由(理由1)の概要は,本願発明は,その出願前(優先日前)に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
(引用例)
引用例1:特開2003-85641号公報
引用例2:特開昭58-217097号公報
引用例3:特開昭59-160291号公報
引用例4:特開2007-334496号公報
引用例5:国際公開第2007/090165号

第4 引用例に記載された事項
1 引用例1には,以下の事項が記載されている。
(1) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は飲料製造方法および飲料製造装置に関し,特に,シロップと氷とを混合してシャーベット状の飲料(フローズン飲料)を製造する飲料製造方法および飲料製造装置に関する。」
(2) 「【0014】図1は,本発明の第1の実施の形態に係る飲料製造装置の概略構成を示し,本体2と,カップトレイ3と,カップトレイ3に配置されて原料を受容するカップ(容器)4と,カップ4に受容された原料をカップ内で粉砕,混合,および攪拌するカッティング部(粉砕手段)5からなるフローズン飲料製造部1と,・・・カップ4に製氷された氷を供給する製氷部7と,カップ4にシロップを供給するシロップ供給部8と,・・・カッティング部5に電力を供給して回転駆動制御および昇降制御を行う駆動部11と,ユーザーからの販売要求に応じた販売要求信号を入力する販売要求信号入力部12と,販売要求信号入力部12から入力する販売要求信号に基づいて各部を制御する制御部(制御手段)13を有する。
【0015】本体2は,カッティング部5を昇降させる昇降機構部を内蔵し,昇降機構部は,駆動部11から飲料製造動作に応じて供給される電力に基づいてカッティング部5を上下に昇降させる。・・・
【0017】カッティング部5は,モータに接続されたシャフトの先端に原料を粉砕,混合,および攪拌するカッター部を有しており,モータの回転速度をその用途に応じて可変できるように構成されている。
【0018】製氷部7は,ロッド式,オーガ式等の製氷形式に基づいてアイス飲料用として飲料水を凍らせて形成された氷を供給する。
【0019】シロップ供給部8は,シロップタンクに貯蔵されたシロップを炭酸ガス等で加圧することにより供給するもの,重力によって自然落下させて供給するもの,又は,BIB(BAG IN BOX)から供給するもの等を用いることができる。
【0020】制御部13は,カップのサイズ(大,中,小)に応じた昇降機構部の垂直移動量,速度を変更可能に設けられるカッター部の回転速度等のデータ,飲料製造時における昇降機構部の昇降駆動パターン等のプログラムを格納する記憶部と,前述のデータおよびプログラムを手操作等によって変更可能なコントローラ(いずれも図示せず)を有している。」
(3) 「【0030】(a)原料供給工程
図4(a)は,フローズン飲料の原料供給工程を示し,操作者が販売要求信号入力部12を操作することにより,制御部13にフローズン飲料の販売要求信号が入力する。制御部13は,製氷部7およびシロップ供給部8にフローズン飲料の販売量に応じた制御信号を出力する。製氷部7は,制御信号の入力に基づいて販売量に基づいて予め設定された量の氷をカップ4に供給する。また,シロップ供給部8は,制御信号の入力に基づいて予め設定された量のシロップをカップ4に供給する。
【0031】(b)原料粉砕工程
図4(b)は,フローズン飲料の原料粉砕工程を示し,制御部13は,前述の制御信号の出力後,一定時間が経過すると駆動部11に通電開始信号を出力する。駆動部11は,通電開始信号に基づいて駆動モータ26に通電することにより,販売待機位置にある昇降機構部23をカップ4のある位置へ下降させる。また,駆動部11は,昇降機構部23の下降時に駆動モータ50に通電することによってカッター53を回転させる。カッター53の回転は可変させることができ,最初に下降するとき下限位置に達するまでは低速で回転し,その後,高速で回転する。また,この速度可変制御は,製造する飲料等の条件に基づいて変更することができ,例えば,駆動モータ50の駆動開始からある一定時間においては低速で駆動し,一定時間の経過後は高速で駆動するようにしても良い。
・・・
【0033】(c)原料混合工程
図4(c)は,フローズン飲料の原料混合工程を示し,昇降機構部23が下限位置に達すると,垂直位置検出センサ30Bが検出突起23Aによって遮光されてOFFとなり,制御部13は,駆動モータ26の反転信号を駆動部11に出力する。駆動部11は,反転信号に基づいて駆動モータ26を逆回転させることにより,昇降機構部23を上昇させる。制御部13は,昇降機構部23が上昇するときにエンコーダ26Aから入力する出力パルスをカウントする。また,制御部13は,昇降機構部23の上昇時にエンコーダ26Aから入力する出力パルスが記憶部に予め設定されたパルスカウント値となったときに駆動部11に反転信号を出力する。駆動部11は,反転信号に基づいて駆動モータ26を逆回転させることにより,昇降機構部23を支柱24Aおよび24Bに沿って所定の回数で往復移動させる。このようにして垂直位置検出センサ30BのOFF信号とエンコーダ26Aの出力パルスに基づいて昇降機構部23を所定の回数で往復移動させることで,カップ4内では,回転するカッター53によって氷およびシロップの粉砕および混合動作がカップ4の深さ方向に往復して行われる。蓋部55は,カッター53の回転に伴ってカップ周縁部に集中する原料がカップ4の外に漏れ出すことを防止する。」
(4) 「【0041】上記したフローズン飲料製造部1を有する飲料製造装置によると,氷とシロップをカップ4に供給し,カップ4内で回転するカッター53で氷を粉砕するとともにシロップと混合してフローズン飲料を製造するようにしたので,アイス飲料用に用いられる氷とシロップを混合した,口当たりの良いフローズン飲料を製造することができる。
【0042】また,氷の粉砕およびシロップとの混合をカッター53を用いてカップ4の内部で行うことによって,冷却タンク等の設備を必要とせずに既存の設備を用いて容易にフローズン飲料を製造することができる。」
(5) 「【0052】また,上記した昇降機構部23を往復移動させるとき,カップサイズや飲料のタイプ等に応じて定まる好ましい深さ方向の範囲を設定し,エンコーダ26Aから入力する出力パルスに基づいて設定された範囲でカッター53による攪拌動作が往復するように昇降機構部23の往復移動を制御するようにしても良い。」
(6) 「【0061】図8は,本発明の第3の実施の形態として,上記したフローズン飲料製造部1で説明したカップ内での原料混合機構を適用したカップ式飲料の自動販売機を示し,調理部60は,水平方向に延びる搬送機構61と,カップCを供給するカップ供給装置62と,クリーム,コーヒー,および砂糖等の粉末原料をカップCに供給する原料貯蔵部63A,63B,および63Cを備えたキャニスタ63と,カップCにレモンシロップ,生クリーム等のシロップをシロップポンプ64Aの送出動作に基づいて送出管64Bから送出するシロップ供給装置64と,カップCに湯を供給する湯タンク65と,粉末原料と湯との攪拌(調理),氷等の固形分の粉砕を行う回転可能なカッター66Aおよび蓋部66Bを有する攪拌機構66と,アイス飲料の調理に使用する氷を製氷し,貯水する製氷機67を有する。」
(7) 「【0069】購買者によって図示しない飲料選択ボタンが押されると,制御部は,カップ供給装置62にカップ供給動作を実行させる。カップ供給装置62はカップ保持機構81にカップCを供給する。・・・次に,制御部は,搬送モータ71と搬送モータ77を駆動してカップ保持機構81を原料の供給位置に移動させる。この移動によって,カップCにはシロップと氷が供給される。
【0070】次に,制御部は,カップ保持機構81を攪拌機構66のある位置に移動させる。制御部は,カッター66Aの駆動モータに通電してカッター66Aを回転駆動し,カップ把持アーム84で把持しているカップCをカップ受台83とともにカッター66Aの方向に上昇させる。・・・カッター66Aは,封止されたカップ内の氷およびシロップを粉砕,混合する。このカップ受台83は,カッター66Aで原料の粉砕,混合を行っている間に上下に移動するこのことにより,カップC内のフローズン飲料を深さ方向に攪拌する。」

2 引用発明
(1) 引用例1の上記記載及び図面によれば,次のことがわかる。
ア 「カップCにレモンシロップ,生クリーム等のシロップをシロップポンプ64Aの送出動作に基づいて送出管64Bから送出するシロップ供給装置64」(【0061】)というように,シロップとして複数種のものを想定しているから,「シロップ供給部」は,1つまたは複数のシロップを供給するものである。
イ 「駆動部」,「カッティング部」及び「昇降機構部」により,「カップ4内では,回転するカッター53によって氷およびシロップの粉砕および混合動作がカップ4の深さ方向に往復して行われる。」(【0033】),「カップ4内で回転するカッター53で氷を粉砕するとともにシロップと混合してフローズン飲料を製造する」(【0041】)のであるから,これらにより,氷の粒子サイズを粗いものから細かいものに砕くことができるものである。
ウ 「製氷部7は,制御信号の入力に基づいて販売量に基づいて予め設定された量の氷をカップ4に供給する。また,シロップ供給部8は,制御信号の入力に基づいて予め設定された量のシロップをカップ4に供給する。」(【0030】)ものであり,「速度可変制御は,製造する飲料等の条件に基づいて変更することができ(る)」(【0031】)ものであるから,「飲料製造装置」の「製氷部」及び「シロップ供給部」は,所定のレシピに基づいて氷及び1つまたは複数のシロップをカップに供給していることは明らかである。
エ 「制御部」は,「製氷部」,「シロップ供給部」,「駆動部」,「カッティング部」及び「昇降機構部」を制御し,氷及び1つまたは複数のシロップを混合することにより,飲料を作成するものである。
オ 「シロップ供給部」はシロップタンクやBIB(BAG IN BOX)のような貯蔵容器を利用するもので(【0019】),既に述べたように,シロップとして複数種のものを想定してるところ,図8において,シロップ供給装置64が,二組のシロップポンプ64A及び送出管64Bを備えていることが見て取れる。複数種の材料を同じ容器に貯蔵することは不合理であるから,「シロップ供給部」は,複数のシロップをそれぞれ別個の貯蔵容器に貯蔵していることは明らかである。
また,各組のシロップポンプ64A及び送出管64Bは,各貯蔵容器からの供給経路を構成しており,送出管64Bは,その機能や形状,構造に照らし,ノズル機能を有することは明らかである。
カ そして,「制御部」は,購買者によって飲料選択ボタンが押されると(【0069】),その販売要求に応じて,複数のシロップから選択されたシロップを,対応する貯蔵容器からシロップポンプ64Aの送出動作によって送出管64Bより,カップに供給するように,制御するものである。
(2) そうすると,引用例1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「フローズン飲料を製造する飲料製造装置のための制御部であって,前記飲料製造装置は
前記制御部によって実行される所定のレシピに基づいて,氷及び1つまたは複数のシロップをカップに供給する製氷部及びシロップ供給部と,
前記カップ内で,前記氷及び1つまたは複数のシロップを粉砕及び混合し,氷の粒子サイズを粗いものから細かいものに砕く駆動部,カッティング部及び昇降機構部と,
を有し,
前記制御部は,前記製氷部及びシロップ供給部と,飲料を前記カップ内に準備するための前記駆動部,カッティング部及び昇降機構部と,を制御し,
前記制御部は,前記氷及び1つまたは複数のシロップを粉砕及び混合することにより,前記飲料を作成することができ,
前記シロップ供給部は,複数の貯蔵容器および前記複数の貯蔵容器に対してノズルを有し,
前記複数のシロップは,前記複数の貯蔵容器のうちの別個の貯蔵容器に貯蔵されており,
前記制御部は,前記複数のシロップのうちの少なくとも1つを対応する貯蔵容器から前記カップへと供給するために前記シロップ供給部を制御し,
前記制御部は,前記複数のシロップから選択されたシロップを前記別個の貯蔵容器から別個の供給経路を介して前記ノズルに供給して,前記カップに供給するために前記シロップ供給部を制御する,
制御部。」

第5 対比及び判断
1 対比
(1) 本願発明は,「フレーバー材料と氷が一緒にミックスされているスムージー」(本願明細書【0081】)を製造するためのものであるところ,引用発明は,シロップと氷とを混合して製造されるシャーベット状の飲料であるフローズン飲料を製造するためのものであるから,引用発明の「フローズン飲料」は本願発明の「スムージー飲料」に相当するといえる。
そして,引用発明の「フローズン飲料を製造する飲料製造装置」は「制御部」,「製氷部」,「シロップ供給部」,「駆動部」,「カッティング部」及び「昇降機構部」から構成されており,その機能に鑑みれば,本願発明の「統合型スムージー飲料システム」に相当し,引用発明の「制御部」は本願発明の「コントローラ」に相当する。
(2) 引用発明の「製氷部及びシロップ供給部」は,「カップ」(本願発明の「容器」に相当する。)に,飲料の材料である氷と1つまたは複数のシロップを供給するものであるから,本願発明の「ディスペンシングモジュール」とは,「氷および1つまたは複数の材料を容器にディスペンスするディスペンシング手段」である点で一致する。
(3) 引用発明の「駆動部,カッティング部及び昇降機構部」は,本願発明の「ブレンディング/ミキシングモジュール」と,「容器内で,氷および1つまたは複数の材料をブレンドおよび/またはミックスし,氷の粒子サイズを粗いものから細かいものに砕くブレンディング/ミキシング手段」である点で一致する。
そして,引用発明は当該「駆動部,カッティング部及び昇降機構部」を複数備えるものではないところ,本願発明は「1つまたは複数」の「ブレンディング/ミキシングモジュール」を有するものであって,少なくとも1つの「ブレンディング/ミキシングモジュール」を有することで足りるから,この点で,両者は相違しない。
(4) 引用発明の「ノズル」は,その機能に照らして,本願発明の「ディスペンシングノズル」に対応する。
(5) そうすると,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「統合型スムージー飲料システムのためのコントローラであって,前記システムは
前記コントローラによって実行される第1のレシピスクリプトに基づいて,氷および1つまたは複数の材料を容器にディスペンスするディスペンシング手段と,
前記容器内で,前記氷および前記1つまたは複数の材料をブレンドおよび/またはミックスし,氷の粒子サイズを粗いものから細かいものに砕く1つのブレンディング/ミキシング手段と,
を有し,
前記コントローラは,前記ディスペンシング手段と,飲料を前記容器内に準備するための前記1つのブレンディング/ミキシング手段と,を制御し,
前記コントローラは,前記氷および前記1つまたは複数の材料をブレンドおよび/またはミックスすることにより,前記飲料を作成することができ,
前記ディスペンシング手段は,複数の貯蔵容器および前記複数の貯蔵容器に対してディスペンシングノズルを有し,
前記複数の材料は,前記複数の貯蔵容器のうちの別個の貯蔵容器に貯蔵されており,
前記コントローラは,前記複数の材料のうちの少なくとも1つを対応する貯蔵容器から前記容器へと供給するために前記ディスペンシング手段を制御し,
前記コントローラは,前記複数の材料から選択された材料を前記別個の貯蔵容器から別個の供給経路を介して前記ディスペンシングノズルに供給して,前記容器にディスペンシングするために前記ディスペンシング手段を制御する,
コントローラ。」
(相違点1)
本願発明は,「ディスペンシング手段」及び「ブレンディング/ミキシング手段」が,それぞれ,「ディスペンシングモジュール」及び「ブレンディング/ミキシングモジュール」であるのに対し,引用発明は,当該手段が,それぞれ,「製氷部及びシロップ供給部」及び「駆動部,カッティング部及び昇降機構部」であり,これらを「モジュール」といい得るのか明らかでない点。
(相違点2)
本願発明は,「ディスペンシング手段」が,単一の「ディスペンシングモジュール」であり,「ディスペンシングモジュール」が,複数の貯蔵容器に対して「ただ1つのディスペンシングノズル」を有するのに対し,引用発明は,当該手段が「製氷部及びシロップ供給部」であり,各貯蔵容器に対してノズルを有する点。

2 判断
(1) 相違点1
一般的に「モジュール」とは,装置,機械,システムを構成する部分で,機能的にまとまった部分(広辞苑第6版)と理解されているが,本願明細書に開示された実施例においても,製氷器305,ノズル304等からなる「製氷器と貯氷と分配を制御するモジュール300」と,飲料の材料を含むバッグ/容器,ポンプ1125等からなる「フレーバー/材料ディスペンシングモジュール1100」とから,「ディスペンシングモジュール」が構成され,モータ240,ミキサ245等から「ブレンディング/ミキシングモジュール」が構成されており,機能的にまとまった部分を「モジュール」と称している。
他方,引用発明は,「製氷部及びシロップ供給部」により飲料の材料をカップに供給する機能を果たし,「駆動部,カッティング部及び昇降機構部」により飲料の材料を粉砕,混合する機能を果たしており,これらは機能的にまとまった部分であるから,「モジュール」ということができる。
よって,引用発明の「製氷部及びシロップ供給部」,「駆動部,カッティング部及び昇降機構部」は,それぞれ,本願発明の「ディスペンシングモジュール」,「ブレンディング/ミキシングモジュール」と実質的に相違しない。
たとえ,「モジュール」が機能を物理的に統合することを意味するとしても,当業者が適宜なし得ることである。
(2) 相違点2
引用発明の「製氷部及びシロップ供給部」は,同時に複数の容器に対して動作するものではないから,機能的にみれば単一のディスペンシング手段といって差し支えない。
ところで,本願発明における「ただ1つのディスペンシングノズル」は,本願明細書に開示された実施例の「ノズル304」のように,各容器からの導管1119,線導管1130が接続されるフレーバー/材料ディスペンシング装置1127が,ノズル304においてまとめられているような形態も想定しているものである(【0086】,【0087】,図14?16)。
他方,引用発明においては,ノズルによりカップへ飲料の材料を供給することができさえすれば足り,ノズルを具体的にどのように構成するかは,当業者が適宜に決定できることは技術的に明らかである。引用例1の図8において見て取れるように,各送出管64Bは近接しており,これを1つのノズルにまとめて,それを介して供給するように構成することは,当業者にとって,格別困難なことではない。
この点は,1つのノズルを介して飲料の材料を供給することが,例えば,特開昭57-139889号公報(ノズル・アセンブリ10),特開平10-72099号公報(マルチバルブ10,マルチバルブ100),特公平3-66239号公報(ノズルN)にみられるように,当該技術分野における周知の技術であることからも明らかである。
そして,その場合,ただ1つのノズルを介して氷および1つまたは複数のシロップをカップに供給することとなるから,引用発明の「製氷部及びシロップ供給部」は,単一のディスペンシング手段といえるものである。
そうすると,引用発明において,相違点2に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到できる事項である。
(3) 本願発明が奏する効果についてみても,当業者が予測できる範囲内のものであって格別ではない。
(4) 以上を総合すると,本願発明は,引用発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。
そして,本願発明(請求項1に係る発明)が特許を受けることができない以上,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-13 
結審通知日 2016-06-20 
審決日 2016-07-01 
出願番号 特願2011-540846(P2011-540846)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A47J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 佳孝宮崎 賢司  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 佐々木 正章
窪田 治彦
発明の名称 飲料材料をディスペンシングおよびブレンディング/ミキシングするための統合型システムを制御するためのコントローラと方法  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
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