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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C08G
管理番号 1321799
審判番号 不服2014-20048  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-03 
確定日 2016-06-01 
事件の表示 特願2011-529609「再生可能材料から得られるブロックコポリマーと、そのブロックコポリマーの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月15日国際公開,WO2010/040944,平成24年 2月23日国内公表,特表2012-504672〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成21年10月 6日(パリ条約による優先権主張:2008年10月 6日,フランス共和国(全ての海外地域及び領地を含む))を国際出願日とする特許出願であって,平成25年12月 6日に拒絶理由の通知がなされ,平成26年 4月 3日及び4日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同年 5月29日に拒絶査定がなされ,同査定の謄本は同年 6月 3日に請求人に送達された。これに対して,同年10月 3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され,同年12月25日に特許法第164条第3項の報告がなされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年10月 3日付け手続補正書による手続補正を却下する。

[理由]
1.手続補正の内容
平成26年10月 3日付け手続補正書による手続補正(以下,「本願補正」という。)は,平成26年 4月 4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?41を新たな請求項1?31に補正しようとするものである。このうち,本願補正の前後の請求項1は以下のとおりである。

(本願補正前)
「下記の(1)と(2)とから成る、^(14)Cを含む少なくとも一種のテトラヒドロフランモノマーから得られるブロックコポリマー:
(1)1?99%の少なくとも一つのポリアミドのリジッドブロック、
(2)1?99%の少なくとも一種の^(14)Cを含むテトラヒドロフランから得られるポリテトラメチレングリコール(PTMG)から成る少なくとも一つのポリエーテルのソフトブロックであって、上記のポリテトラメチレングリコール(PTMG)の^(14)C/^(12)C同位体比が少なくとも1.2×10^(-14)であることで定義されるバイオ炭素の含有量が少なくとも1質量%のあるポリエーテルトブロック(当審注:「ポリエーテルソフトブロック」の誤記と認める。以下同じ。)。」

(本願補正後)
「下記の(1)と(2)とから成る、^(14)Cを含む少なくとも一種のテトラヒドロフランモノマーから得られるポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むPEBAであるブロックコポリマー:
(1)15?95質量%の少なくとも一つのポリアミドのリジッドブロック、
(2)5?85質量%の少なくとも一種の^(14)Cを含むテトラヒドロフランから得られるポリテトラメチレングリコール(PTMG)から成る少なくとも一つのポリエーテルのソフトブロックであって、上記のポリテトラメチレングリコール(PTMG)の^(14)C/^(12)C同位体比が少なくとも1.2×10^(-14)であることで定義されるバイオ炭素の含有量が少なくとも1質量%であるポリエーテルのソフトブロック。」

2.新規事項の追加の有無及び補正の目的
前記補正は,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ブロックコポリマー」の種類及び各ブロックの含有割合を限定するものであって,本願の当初明細書に記載された事項の範囲内であり,かつ,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題も同一である。
よって,本願補正は,新規事項を追加するものではなく,かつ,特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件
そこで,補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(すなわち,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について,以下検討する。

(1)本願補正発明
「下記の(1)と(2)とから成る、^(14)Cを含む少なくとも一種のテトラヒドロフランモノマーから得られるポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むPEBAであるブロックコポリマー:
(1)15?95質量%の少なくとも一つのポリアミドのリジッドブロック、
(2)5?85質量%の少なくとも一種の^(14)Cを含むテトラヒドロフランから得られるポリテトラメチレングリコール(PTMG)から成る少なくとも一つのポリエーテルのソフトブロックであって、上記のポリテトラメチレングリコール(PTMG)の^(14)C/^(12)C同位体比が少なくとも1.2×10^(-14)であることで定義されるバイオ炭素の含有量が少なくとも1質量%であるポリエーテルのソフトブロック。」

(2)刊行物及びその記載事項
ア.引用文献4
本願の優先日前に頒布された刊行物である,特開平5-194835号公報(原査定の引用文献4。以下,「引用文献4」という。)には,以下の事項が記載されている(下線は当審による。)。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ショア硬度が75A?92Aの熱可塑性ポリウレタンからなり、ポリエーテルアミドブロックコポリマーおよび/またはポリエーテルエステルブロックコポリマーを5?20重量%含んでなるフィルム。
【請求項2】 単層ブローフィルム押出し法によりえられる請求項1記載のフィルム。
【請求項3】 ポリエーテルアミドブロックコポリマーを含む請求項2記載のフィルム。
【請求項4】 最大厚さが100μmである請求項1、請求項2または請求項3記載のフィルム。
【請求項5】 ポリエーテルアミドブロックコポリマーがポリテトラメチレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール系のものである請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載のフィルム。
【請求項6】 ポリエーテルアミドブロックコポリマーが11-ナイロン、12-ナイロンおよび/または12,12-ナイロン系である請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載のフィルム。」(【請求項1】?【請求項6】)

(イ)「とりわけ、ポリエーテルアミドブロックコポリマーは、反応性末端基を有するホモポリアミドまたはコポリアミドと、反応性末端基を有するホモポリエーテルまたはコポリエーテルとの重縮合物からなってよい。たとえば、(a)末端アミノ基を有するホモポリアミドおよび/またはコポリアミドと、末端カルボキシル基を有するホモポリオキシアルキレンまたはコポリオキシアルキレンとの重縮合物、(b)末端カルボキシル基を有するホモポリアミドまたはコポリアミドと、末端アミノ基を有するホモポリオキシアルキレンまたはコポリオキシアルキレンとの重縮合物、(c)末端カルボキシル基を有するホモポリアミドまたはコポリアミドと、ホモポリエーテルジオールまたはコポリエーテルジオールとの重縮合物、いわゆるポリエーテルエステルアミドなどがあげられ、(c)が熱可塑性ポリウレタン用改質剤として特に好ましい。これらポリアミドの平均分子量(数平均分子量)は、通常500と10000のあいだ、ほとんどのばあい600と5000のあいだである。ポリアミド(ナイロン)は、最も多くのばあい、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,12-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロンもしくは12,12-ナイロンからおよび/または無定形ナイロンから、またはモノマーの共重合によりえられるコポリアミドから形成される。11-ナイロン、12-ナイロンおよび/または12,12-ナイロン(ポリアミド)が特に好ましい。」(段落【0014】)

(ウ)「ポリエーテルは、ほとんどのばあい、本質的にポリテトラメチレングリコール(PTMG)からなる。PTMG以外に、ポリエチレングリコール(PEG)および/またはポリプロピレングリコール(PPG)が含まれてもよい。ポリテトラメチレングリコール(PTMG)およびポリエチレングリコール(PEG)が特に好ましい。」(段落【0016】)

(エ)「ポリエーテルアミドブロックコポリマーは、ポリエーテル5?85重量%およびポリアミド95?15重量%から形成することができる。最も適当な比は、ポリエーテル30?85重量%対ポリアミド70?15重量%である。好ましいポリエーテルアミドブロックコポリマーは、ポリエーテルが本質的にPTMGおよび/またはPEGからなり、とりわけ、ポリアミドが11-ナイロン、12-ナイロンおよび/または12,12-ナイロンであるものである。」(段落【0018】)

イ.引用文献2
本願の優先日前に頒布された刊行物である,特表昭62-500108号公報(原査定の引用文献2。以下,「引用文献2」という。)には,以下の事項が記載されている。

(オ)「請求の範囲
(1)糖類または多糖類と実質的に非極性のポリオールを、酸触媒の存在下に溶媒中で反応させることからなる、液体グルコシドの製造方法。
(7)ポリオールが式
H-[-O-(CHR)_(m)]_(n)-OH
[式中、Rは水素または低級アルキル、mは2?4、nは最大分子量約2000を与える]
で示されるものである、請求の範囲第1項記載の方法。
(8)ポリオールがポリテトラヒドロフランである、請求の範囲第7項記載の方法。」(請求項1,7,8)

(カ)「液体炭水化物誘導体の製造
本発明は液体炭水化物誘導体の製造に関する。
ポリウレタン製造に必要な成分の1つは一般的にはポリオールとして公知の多価官能ヒドロキシ化合物である。ポリオールは、しばしばポリエステルまたはポリエーテルをベースとし、後者は非常に用途が多い。大多数のポリエーテルポリオール類は、現在、油由来の供給原料をベースとしているが、ある限られた用途のポリオールはショ糖およびソルビトールのような天然物から製造されている。」(第2頁左下欄2?9行)

(キ)「ポリオールの好ましい例は、1,4-ブタンジオール(R=H、m=4、n=1)、ポリ(テトラ-ヒドロフラン)およびヒドロキシ官能天然油、例えばヒマシ油である。これらは、全て再生可能な天然源(もちろん、これは糖類である)から得られる。たとえば、PTHFはテトラヒドロフランから製造され、後者はカラス麦殻、トウモロコシ穂油またはセルロースから中間体生成物フルフラールを介し得ることができる。ヒマシ油(castor oil)はとうごま植物から得られるトリオールである。」(第3頁右下欄9?15行)

(ク)「この発明の第1および第2の特徴の方法で製造したグリコシドは、ポリマー生成に有用なポリオールである。特に、それらは、ポリウレタンの生成に必要な諸性質、すなわち低粘度、高反応性、低揮発性、イソシアネート類との混合性および低毒性を満足する。また、種々の出発ポリオール類および炭水化物類を使用できることは、製造した液体グリコシドをポリマー生産業界の具体的な要求に適用させ得ることを意味する。」(第5頁左上欄11?16行)

ウ.引用文献3
本願の優先日前に頒布された刊行物である,特表昭56-501046号公報(原査定の引用文献3。以下,引用文献3という。)には,以下の事項が記載されている。

(ケ)「発明の背景
1 発明の技術分野
本発明は植物材料からフルフラールを製造する新規な方法並びにこの方法を実施するための装置に関する。フルフラールは下記の一般式(式略)で表される化合物であつて、非常に多くの応用分野たとえば合成繊維織物、合成樹脂、合成ゴム等の製造に使用されるので、産業上極めて有用である。
フルフラールは、ペントサン類を含む植物材料、たとえばトウモロコシ、カラス麦、米等の穂又は穂軸またはコツトンの外皮のような物質から、ペントサン類を加水分解してペントース類に変え、これを脱水してフルフラールとすることにより得られる。この反応は下記の通りである。
(C_(5)H_(8)O_(4))_(n)+H_(2)O→nC_(5)H_(10)O_(5) ・・・・・・・(1)
ペントサン ペントース
(C_(5)H_(10)O_(5))n→nC_(5)H_(4)O_(2)+3nH_(2)O ・・・・・(2)
フルフラール
2 従来技術の説明
ペントサン類を含む植物材料からフルフラールを製造することはすでに知られており、この公知の方法は上記反応(1)及び(2)に従つて、ペントサン類を分解するための触媒として作用する非揮発性稀酸で予め後者(植物材料)をしめらせ、これを4.2kg/cm^(2)という比較的高圧下に蒸気を通して製造するものである。」(第3頁右上欄2行?左下欄9行)

(3)刊行物に記載された発明
前記(2)ア.(ア)?(エ)より,引用文献4には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「ショア硬度が75A?92Aの熱可塑性ポリウレタンからなり,ポリエーテルアミドブロックコポリマーを5?20重量%含んでなるフィルムであって,前記コポリマーを構成するポリエーテルは,本質的にポリテトラメチレングリコール(PTMG)であり,前記ポリエーテルアミドブロックコポリマーは,ポリエーテル5?85重量%およびポリアミド95?15重量%から形成される,フィルム。」

(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
まず,引用発明のフィルムに5?20重量%含まれている「ポリエーテルアミドブロックコポリマー」は,本願補正発明の「ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むPEBAであるブロックコポリマー」に相当する。
そして,ポリエーテルアミドブロックコポリマーの組成についてみると,引用発明の「ポリエーテル5?85重量%」及び「ポリアミド95?15重量%」は,各々,本願補正発明の「(2)5?85質量%の少なくとも一つのポリエーテルのソフトブロック」及び「(1)15?95質量%の少なくとも一つのポリアミドのリジッドブロック」と重複一致している。ここで,本願の明細書の「ソフトなブロックは一般に…ポリエーテル(PE)をベースにし、リジッドなブロックは一般にポリアミドブロック…をベースにしている。」(段落【0007】)との記載よりみて,ポリエーテルを含むブロックがソフトブロックであり,ポリアミドを含むブロックがリジッドブロックであることは明らかである。
そうすると,本願補正発明と引用発明とは,

「下記の(1)と(2)とから成る,ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むPEBAであるブロックコポリマー:
(1)15?95質量%の少なくとも一つのポリアミドのリジッドブロック,
(2)5?85質量%の少なくとも一種のポリテトラメチレングリコール(PTMG)から成る少なくとも一つのポリエーテルのソフトブロック。」

である点で一致し,以下の点で相違する。

<相違点1>
ブロックコポリマーとして,本願補正発明は「^(14)Cを含む少なくとも一種のテトラヒドロフランモノマーから得られる」ことを特定するのに対し,引用発明はそのような特定を有しない点。
<相違点2>
ソフトブロックとして,本願補正発明は「ポリテトラメチレングリコール(PTMG)の^(14)C/^(12)C同位体比が少なくとも1.2×10^(-14)であることで定義されるバイオ炭素の含有量が少なくとも1質量%である」ことを特定するのに対し,引用発明はそのような特定を有しない点。

(5)相違点1,2に対する判断
本願の明細書には,バイオ材料と炭素同位体との関係について,以下のとおり記載されている。
「バイオ材料(天然起源の炭素100%)は^(14)C/^(12)C同位体比が10^(-12)以上、一般に約1.2×10^(-12)であり、化石材料での比率がゼロである。すなわち、^(14)C同位体は大気中で生成され、最大でも数十年の時間規模で光合成によって固定される。^(14)Cの半減期は5730年であるので、光合成で得られた材料すなわち一般には植物では必然的に同位体^(14)C含有量が最大になる。
バイオ材料またはバイオ炭素含有量はASTM規格D6866(ASTM D 6866-06)およびASTM規格D7026(ASTM D 7026-04)で決定される。ASTM規格D6866は『放射性炭素、同位体比質量ペクトル分析を用いた天然材料のバイオ含有量の測定法』であり、ASTM規格D7026は『炭素同位体分析を用いた材料のバイオ含有量の測定結果のサンプリングおよび報告方法』である。後者の規格の第1パラグラフで前者の規格に言及している。
前者の規格にはサンプル中の^(14)C/^(12)C比を測定し、この測定値を100%再生可能な材料起源の参考サンプルの^(14)C/^(12)C比と比較して、サンプル中の再生可能な材料起源の相対的割合を出すためのテスト法が記載されている」(段落【0036】?【0038】)
そうすると,本願補正発明における「^(14)Cを含む」は,「バイオ材料を含む」と技術的に同義であり,また,本願補正発明のバイオ炭素の定義,すなわち「^(14)C/^(12)C同位体比が少なくとも1.2×10^(-14)」は,「バイオ材料の含有量が少なくとも1%」(段落【0041】)と同義であるといえる。
そして,バイオ材料に由来するテトラヒドロフランをポリテトラメチレングリコールのモノマー原料とすることは,引用文献2(前記(2)イ.(キ)),引用文献3(前記(2)ウ.(ケ))に示されるとおり本願優先日前に周知であることを勘案すると,引用発明において,ポリテトラメチレングリコール(PTMG)として,バイオ材料に由来するテトラヒドロフランをモノマー原料として用いることは,その発明の技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易になし得たことであるといえ,その際,バイオ材料の含有量の最低限度を定めてみることに特段の臨界的意義は認められず,バイオ材料の含有量を少なくとも1質量%とすることは,設計上の事項にすぎない。
また,ポリマー原料におけるバイオ材料の含有量が,^(14)C/^(12)C同位体比により判別できることは,本願出願前に周知であるから(例えば,本願優先日前に頒布された刊行物である,国際公開2007/055361号:段落[0076]?[0078]参照。),バイオ材料の含有量が少なくとも1質量%であることの確認手法として,^(14)C/^(12)C同位体比を用いることは,当業者が格別困難なくなし得たことである。
そして,化合物の性状はその化学構造によって決定するところ,原子の性状は同位体間で差異がなく,同位体組成の異なる原子からなる同一化学構造の化合物が同一の性状を有することは明白であるから,引用発明に係るブロックコポリマーの性状も,その化学構造によって決定し,構成炭素の同位体組成に依存しないと解するのが相当である。そうすると,本願補正発明に係るブロックコポリマーが,引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た範囲を超える格別な効果を奏するものであるとも認められない。
したがって,本願補正発明は,引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(6)小括
以上のとおり,本願補正発明は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであって,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるから,前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
平成26年10月 3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は,平成26年 4月 4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし41に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。
「下記の(1)と(2)とから成る、^(14)Cを含む少なくとも一種のテトラヒドロフランモノマーから得られるブロックコポリマー:
(1)1?99%の少なくとも一つのポリアミドのリジッドブロック、
(2)1?99%の少なくとも一種の^(14)Cを含むテトラヒドロフランから得られるポリテトラメチレングリコール(PTMG)から成る少なくとも一つのポリエーテルのソフトブロックであって、上記のポリテトラメチレングリコール(PTMG)の^(14)C/^(12)C同位体比が少なくとも1.2×10^(-14)であることで定義されるバイオ炭素の含有量が少なくとも1質量%のあるポリエーテルトブロック。」

第4 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は,本願発明は,引用文献4に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,という理由を含むものである。

第5 当審の判断
1.刊行物,刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明
引用文献4の記載事項は,前記第2[理由]3.(2)ア.に記載したとおりである。また,引用文献4に記載された発明(引用発明)は,前記第2[理由]3.(3)に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は,前記第2で検討した本願補正発明において,ブロックコポリマーの種類及び各ブロックの含有割合の限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が,前記第2[理由]3.(4),(5)に示したとおり,引用発明に基いて容易に発明できたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明に基いて容易に発明できたものである。

3.むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-04 
結審通知日 2016-01-05 
審決日 2016-01-19 
出願番号 特願2011-529609(P2011-529609)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C08G)
P 1 8・ 121- Z (C08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大木 みのり  
特許庁審判長 小野寺 務
特許庁審判官 大島 祥吾
平塚 政宏
発明の名称 再生可能材料から得られるブロックコポリマーと、そのブロックコポリマーの製造方法  
代理人 越場 隆  

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